■2015年04月

■W杯アジア2次予選、日本の対戦相手が決定!

 2018年ロシアW杯アジア2次予選の組み合わせ抽選会が昨日おこなわれ、日本はグループEに入りました。

対戦チームと試合日程は次のとおりです。

グループE

 日本 シリア アフガニスタン シンガポール カンボジア

    6月16日 シンガポール VS 日本 (シンガポール)
    9月3日  日本 VS カンボジア (埼玉)
    9月8日  アフガニスタン VS 日本 (未定) 
   10月8日 シリア VS 日本 (未定)
   11月12日 日本 VS シンガポール (埼玉)
   11月17日 カンボジア VS 日本 (プノンペン)
16年 3月24日 日本 VS アフガニスタン (埼玉)
    3月29日 日本 VS シリア (埼玉)

(左側がホームチーム。開催地は今後正式決定)


 W杯アジア2次予選の組み合わせが決定しましたが、いろいろと思うところを述べていきます。

まず問題だったのは、アジアサッカー連盟が行った組み合わせ抽選のポッド分け。

日本は第1ポッド(第1シード)に入りましたが、ブータンと北朝鮮というあまりにも実力が違いすぎるチームが同じ第4ポッドに入り、第5ポッドにはマレーシアとグアムという、やはり実力に相当差があるチームが入れられるというのは公平性に欠けています。

ブータンやグアムと同じ組に入ったチームは予選突破に大変有利で、北朝鮮と同じ組に入ってしまったチームは予選突破がそれだけキツイということです。

これもすべて、必ずしも各チームの実力を正確に反映しているわけではないFIFAランキングでポッド分けを決めたせいであり、直近のアジアカップやその予選、前回W杯アジア予選の成績等でポッド分けを決めた方がより正確で公平だと思います。

各グループの1位が無条件でアジア3次予選へ勝ち抜け、全8グループの2位チームのうち、上から成績の良い4チームが3次予選へ進出というレギュレーションとなっていますが、1グループ5チームは多すぎなんじゃないですか。

今回からW杯アジア予選が次回アジアカップの予選も兼ねるようになったせいなのでしょうが、本来なら1グループ4チームがベストでしょう。

で、日本の入ったグループE、もちろん日本は首位通過を是が非でも勝ち取らなければなりませんが、実力からいって日本の最大のライバルはシリアと目されます。

シリアは日本を除く3チームとの対戦を全勝で来ると思いますので、シリアとの勝ち点や得失点差の争いを考えれば、日本にとって取りこぼしが許されないアフガニスタン・シンガポール・カンボジアとの対戦も侮れません。

内戦状態にあるシリアとアフガニスタンは自国でホームゲームをやることは許されず、FIFAによって中立地開催を命じられることがほぼ確実です。

ここからは、日本代表の勝利を後押しするために日本サッカー協会(JFA)にお願いですが、高い広告収入が見込めるからといって、W杯予選のテレビ中継が日本のゴールデンタイム(夜7時~9時)と重なるようにアウエー戦のキックオフ時間を設定するよう、対戦相手のサッカー協会に要求するのはやめていただきたいです。

過去のW杯予選においてある中東の国と対戦したとき、日本のテレビ中継の都合で、灼熱の太陽が照りつける40℃近い気温のなか現地時間午後4時ごろキックオフというひどい事例がありましたが、35℃とか40℃といった気温はサッカーにふさわしい環境ではありません。

アジアは暑い国が多いので30℃はやむを得ないところがありますが、日本の確実な勝利や選手の体への負担を考え、せめて現地時間で日没後にキックオフとなるよう十分配慮してあげて欲しいです。

「たとえ気温40℃でも、選手は気合と根性で我慢しろ」という、昭和のスポ根サッカー部みたいな発想はもはや通用しません。日本代表が勝ち続け、代表人気を保つことこそが、代表戦中継の広告価値をあげることにつながります。

ブラジルW杯アジア最終予選のとき、日本と対戦したイラク代表の監督さんが「本当はドバイでやりたかったのにドーハにさせられた」と強い不満を表明していましたが、戦争やテロで極めて危険というなら話は別ですが、対戦相手が決めたアウエー戦や中立地での試合会場を日本側の都合で変更するよう圧力をかけるのも、スポーツマンシップやフェアプレーの精神からいって、見ていてあまり気持ちの良いものではありませんでした。

今回も広大なアジアを飛行機で移動することとなりますが、代表選手たちが乗る航空会社の安全性には十分な注意を払っていただきたいです。

昨年アギーレジャパンが新潟で試合をした後、シンガポールでのブラジル戦に向けて移動するときに、大韓航空に乗って新潟からインチョン経由でシンガポール入りしたのにはゾッとさせられました。

なぜならアギーレジャパンが新潟で試合をしたわずか1年前(2013年8月)に、大韓航空が新潟空港で着陸に失敗して滑走路をオーバーラン、もう少しで川に沈むところだったという事故を起こしているからです。

(事故画像) 

新潟からシンガポールへ移動するなら、ANAを利用して成田経由というルートがあります。

新潟ー成田線は、ふだんなら小型のプロペラ機が飛んでいて、人数分のチケットが取りにくかったのかもしれませんが、JFAが「代表選手の移動に使いたい」とリクエストすれば、ANAの方で中型ジェット機にシップ・チェンジしてくれると思います。

それをよりによって、新潟空港で事故を起こした大韓航空に代表選手たちを乗せるとは、JFAも空の旅に不慣れすぎです。

同じ韓国の航空会社でもアシアナなら良いだろうと思ったら大間違い。2013年7月にサンフランシスコ空港で着陸に失敗して爆発炎上するという大事故を起こしたばかり。

(事故画像) 

昨日広島空港で、また着陸に失敗しましたよね。

(事故画像) 

韓国のキャリアは、パイロットの技量に大きな問題があるのは明らかですし、どんなにチケットが安くても乗ったことはありません。自分の命の方が大事ですからお金にはかえられません。

日本代表の海外遠征時に利用する航空会社選びはJFAが責任をもって、安さより安全第一でお願いします。




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■ポゼッションサッカー悪玉論は間違い(その2)

 前回のつづき

 サッカーの歴史をひもとけば、自分たちから主体的に攻撃を創造して勝つことを目指す「スペクタクルな攻撃サッカー」と、相手の良いところを消してミスするのを待つことで試合に勝とうとする「カウンターサッカー」という、2つの潮流があります。

前者の代表がヨハン・クライフ率いる1970年代のオランダ代表“トータルフットボール”やFCバルセロナのパスサッカーであり、後者としては“カテナチオ”で有名なエレニオ・エレーラ監督時代のインテルミラノや2004年ユーロで優勝したギリシャがあげられます。

「スペクタクルな攻撃サッカー」と「カウンターサッカー」は、これからもどちらかが完全になくなるというわけではなく、時代によりどちらかが流行したり、一つのチームがその二つを使い分けたりすることになるでしょう。

「フォアチェックからのショートカウンター」みたいに、より積極的なカウンター戦術も登場しています。

一時的な挫折はあっても、より輝かしい歴史をつくってきたのは「スペクタクルな攻撃サッカー」の方だと思いますし、私が好きなのも、相手の失敗を待つ消極的なサッカーではなくて自らのアイデアで攻撃を創造していくサッカーです。

カタルーニャ人以外でもバルサのサッカースタイルを支持するファンは大変多いですが、インテリスタ以外で今もカテナチオを賞賛し続ける人は少ないのではないでしょうか。

ユーロ2004で優勝したからといって、ギリシャのサッカースタイルが世界の主流となるようなこともありませんでした。

ドイツ・スペイン・イタリア・オランダ・イングランド・ブラジル・アルゼンチンのような世界の強豪でさえ、いつも順風満帆の歴史だったわけではありません。

どこも勝てなくて苦しい時代がありましたし、今そういう時代を迎えつつある国もあります。

バルサだって思うように結果が出ない時期があり、これまで相手チームのカウンターアタックに何十回と沈められてきたはずですが、それでも彼らは確固としたサッカー哲学を持ち続け、失敗しても失敗してもあきらめずに再び立ち上がり、「自分たちのサッカー」を改良し続け、現在までの栄光の歴史をつくりあげてきたのです。

かつてマジック・マジャールと呼ばれ、アリゴ・サッキをはじめ世界を魅了する攻撃サッカーをしていたチームがありました。

ハンガリー代表のことですが、彼らは自分たちのサッカーを継承し、改良していくことをやめざるをえなかった(ソ連軍に侵略されて起こったハンガリー動乱が原因で選手たちが海外に亡命した)ため、世界最強国としての歴史は1956年以降プッツリと途切れてしまいました。

プスカシュやヒデクチ、ホンヴェドと言われてピンときたり、聖地ウェンブリーでハンガリーがイングランドを6-3で破ったことがあることを知っている若い人は、今やほとんどいないんじゃないですか。

そうした歴史が、「継続は力なり」の重要さを我々に教えてくれます。

世界と比べて体格に劣るけれどもアジリティがあり、自分たちの技術や創意工夫で問題をコツコツ解決していくことが好きな国民性を持つ日本人には、パスサッカーで自分たちから主体的に攻撃を創造していく方があっていると思います。

現実を見れば、まだまだ日本は世界トップレベルの強豪とは言えないので、実力が上の相手と対戦するときにはカウンターサッカーをやるというふうに、状況に応じて戦術を使い分けていけばいいんじゃないでしょうか。

しかし、あくまでもベースとすべき戦術はパスサッカーです。(あえてポゼッションサッカーとは言いません)

なぜなら相手に厳しいプレスをかけられてもそれをかわして攻撃することが可能な高度なパスサッカーをやるためには、時間をかけてトレーニングしていくことが欠かせないからです。

人と人の間をグラウンダーのパスで正確に通していくサッカーをやっていたチームに、ロングボールの浮き球を使ったカウンターサッカーをやらせるのは簡単ですが、その逆は容易なことではありません。普段練習していないのにカウンターがダメだったからすぐにパスサッカーをやれというわけにはいかないのです。

カウンターサッカーをやるにしても、グラウンダーのパスを中心にするべきでしょう。

「W杯はどんなサッカーでも勝てばいいんだよ、勝てば」という代表サポもいますが、目先の利益を追いかけて、あっちへフラフラ、こっちへフラフラやっていても、日本サッカーの未来にたいしたものは残らないと思います。

ちょっと失敗しただけでうろたえて、「個の自由だ」「カウンターだ」「ポゼッションだ」「やっぱりカウンターだ」とやっていたら、日本サッカーはいつまでたっても「中途半端の根無し草」のままなんじゃないでしょうか。

ブラジルW杯は残念な結果となりましたが、受け身のサッカーではなく、リスクを取ってでも自分たちで主体的にゲームをつくり、攻撃を創造して勝利という結果をつかみたいと望んだザックジャパンの選手たちの意気込みを私は今でも評価していますし、失敗しても失敗してもこれから何度でも立ち上がって「自分たちのサッカー」を改良していくべきです。

負けていいW杯なんてありませんが、ブラジルでの失敗は日本がサッカー強国になるために必要な経験でしたし、あれは未来のための「投資」です。

問題なのは「失敗」という名の先生から教えてもらったことを、将来の成功につなげることができるかどうかです。

大会後に本田選手が「ザックジャパンで4年間やってきたことは大きな間違いだった」と言ったそうですが、それは違うと思いますよ。もちろんあのままではだめですけど。

もし悔いが残るところがあったとすれば、「大事な試合で失敗したくない」という気持ちがあまりにも強くなりすぎて、ブラジルで中途半端に守りに入ったサッカーをやってしまったことですね。

代表選手たちが本来やりたかった「自分たちのサッカー」を3試合貫き通してくれたら、たとえ悪い結果に終わったとしても、どれだけ精神的にサッパリできたことかと思いますし、もしそれができていたら現在とまったく違う未来が待っていたんじゃないでしょうか。

今メディアはハリルジャパンのカウンターサッカーをもろ手を挙げて絶賛していますが、いずれそれが相手に研究されて、日本のカウンターを防ぐために自陣深く引いてスペースを消し、
逆カウンターを狙ってくるチームが現れることでしょう。

相手が「強豪の日本からは勝ち点1取れればOK」と判断して前へ出てこなければ、ハリルジャパンが相手をワナにはめるために引いてカウンターのチャンスをうかがっても試合時間がどんどんすぎるだけで、日本は0-0のドローゲームが増えていくだけになると思います。

そういう場合は、守備ブロックをつくって自陣で構えている相手からゴールを奪う戦術が必要になります。

もちろんハリルホジッチ監督も、そうした状況におかれた場合の解決策を用意しているでしょうが、相手をティキタカで崩すパスサッカーは一つの選択肢となります。

そうした意味においても「ポゼッションサッカー悪玉論」は、的外れの主張だと指摘しておきます。

 ブラジルW杯での敗退は、4年間一生懸命努力してきたザックジャパンの選手たちにとり残酷で、精神的につらい経験になってしまったと思います。

その傷口にふれるようなことを何度も書いて申し訳なかったのですが、「自分たちのサッカーって何だったの?」という皮肉に象徴される、一生懸命やってきた人の失敗を茶化すような風潮が今のマスコミにはびこっていることが我慢ならなかったので、この記事を書かずにはいられませんでした。

というわけで、失敗してもうろたえず、何度でも立ち上がって、
これからも日本のサッカーをつくりあげていきましょう。



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■ポゼッションサッカー悪玉論は間違い

 自分たちの希望も多分にこめて、「新しい代表監督は、レオナルド・ジョルジーニョ・オリベイラが有力」なんて言いながら、「奇妙な南米サッカー押し」をしていたマスコミが手のひらを返したように、今度は東ヨーロッパ出身の新代表監督を手放しで絶賛しており、節操がないというか無責任というか、気楽な商売でいいですね。

ハリルジャパンとザックジャパンとを対比させて、ポゼッションサッカーこそがブラジルW杯の敗因だったという「ポゼッションサッカー悪玉論」を広めようとする動きも一部のマスコミに見られますが、それには強い違和感を覚えます。

ここで誤解のないように当研究所の「立ち位置」を明らかにしておきますが、私はFCバルセロナに象徴される、いわゆる「ポゼッションサッカー」を支持していますし、“スパルタク”というハンドルネームからもおわかりのように、インテリジェンスが感じられる東欧のカウンターサッカーも大好物です。

共通するのは、「選手たちが流れるように動いて連携しながら、グラウンダーのパス中心で攻める」ということ。

なんで「ポゼッションか?カウンターか?」という二者択一を迫るゼロサム理論をふりかざすのか、日本のサッカーメディアは不可解でしかたありません。

ハリルホジッチ監督についても今のところはポジティブに評価しています。

しかし、ブラジルW杯後からくすぶっている「ポゼッションサッカー悪玉論」は間違いだと思います。

日本が敗退した直後から、「自分たちのサッカーって何?」という声がマスメディアから一斉に湧き上がりましたが、たった4年前の南アフリカW杯で何が起こったのかさえ知らない新米記者さんばかりになったようですので、まずそこから振り返りましょう。

「日本人選手の個の能力は、世界と比べて決して劣っていない」と主張し、相手がスペインだろうがブラジルだろうが真正面から攻撃して試合に勝つことを目指した岡田ジャパンでしたが、3年間におよぶ強化策の失敗が明らかとなり、南アフリカW杯の直前に「自陣に引いて守りカウンター狙い」というスタイルに方針転換することで、ベスト16進出という結果を残します。

岡田監督のそうした判断は当時としてはやむをえなかったと思いますし、「ベスト16進出」は岡田ジャパンとして、これ以上望むことのできないくらいの成功でした。

エトオを良く抑えた長友選手もセリエA・チェゼーナへの移籍を成功させ、日本サッカー界は決して少なくない収穫を得ます。

しかしメディアも含めた日本サッカー界の一部から、「守ってカウンターみたいな面白くないスタイルでW杯を勝っても何の意味があるのか?」とか、「岡田ジャパンは臆病すぎた。攻撃的なサッカーでいけばもっと上まで行けた」「自分たちで主導権を握って攻撃しながら勝っている他の国がうらやましい」みたいな声が続々とあがり始めます。

岡田ジャパンがW杯で勝ったとたんに気が大きくなったあげくの、勝手な言いぐさだとは思いませんか?

その後、代表選手たちからも「いつまでも守ってカウンターでは進歩がない。次のW杯では自分たちで攻撃の主導権を握るサッカーがしたい」という要望が出て、岡田さんの後釜としてザッケローニ氏が招聘されます。

最近、「ポゼッションサッカーをかかげてブラジルで惨敗したザッケローニ監督は無能」みたいなことまで主張するサポもいますが、ザッケローニ氏の名誉のために言っておきますけど、彼が本当にやりたかったのは3-4-3でタテに速くパスを入れるサッカーです。

でも3-4-3が最後まで日本代表にフィットせず、選手たちの希望もあり自分たちで攻撃の主導権を握る「ポゼッションサッカー」で、ブラジルW杯を目指したわけです。

これがザックジャパンの選手たちが言っていた「自分たちのサッカー」です。 思い出すことができましたでしょうか?

ザックジャパンはアジアカップ2011で優勝し、ブラジルW杯アジア予選でも圧倒的な強さで勝ちあがります。W杯前の遠征ではオランダとドロー、完全アウエーのベルギー戦で勝利します。

当時ザックジャパンのサッカースタイルに対して、現在のように強い批判の声が大部分のメディアからあがることはありませんでした。

むしろ正反対で、ブラジルW杯の組み合わせ抽選後に「日本は楽なグループに入った」「これならベスト8以上も狙える」などと大騒ぎだったはずです。

当研究所は、決して楽なグループとは言えないと楽観論を戒めつつ、ブラジルW杯ではいわゆるポゼッションサッカーをベースとして戦うとしても、相手や試合状況によっては堅守速攻をするなどして、戦術を使い分けるべきだと考えていました。

そしてザックジャパンのブラジルW杯は、1分2敗のグループリーグ敗退という大変残念な結果となってしまうわけですが、大会直後に「自分たちのサッカーって何?」という自虐的な問いかけと、ポゼッションサッカーこそがブラジルW杯の敗因だったという「ポゼッションサッカー悪玉論」が一斉に噴出します。

しかし「ポゼッションサッカー悪玉論」は2つの意味で間違っています。

「ブラジルW杯におけるザックジャパンのサッカースタイルはポゼッションサッカーだった。だから負けた」というのが1つ目の間違い。

「ポゼッションサッカーはもはや終わった戦術である」というのが2つ目の間違いです。

コートジボアール戦で日本がやったサッカーと、いわゆるポゼッションサッカーの象徴であるバルサやレーブ監督率いるドイツ代表がやっているサッカーが同じに見えてしまう人は、サッカーを見る目がないと思います。

コートジボアール戦の日本は「初戦で失敗したくない」という守りの気持ちが強すぎ、本田選手の先制ゴールで守りの気持ちがますます強くなって、パスがミスになりカウンターを浴びるのを心配してどこへパスを出すか迷ってばかりのノロノロ攻撃と、うかつに飛び込んで抜かれるのが怖いからとドリブルで前進してくる相手を見ながらズルズル下がるだけの守備という、バルサやドイツ代表とは似ても似つかないポゼッションサッカーの出来損ないだったのです。

ポゼッションサッカーの完成度で言えば、良いときのバルサが100だとするとブラジルW杯の日本は30ぐらい。

ザックジャパンのベストゲームの一つ、アジア最終予選の埼玉でやったヨルダン戦やW杯前のベルギーとのテストマッチでも65はあったと思いますが、これらの試合の日本代表のインテンシティとコートジボアール戦のインテンシティが同じに見えるのであれば、やはりサッカーを見る目が無いと思います。

ブラジルW杯でのザックジャパンのサッカーは、とてもポゼッションサッカーと呼べるシロモノではなかったのですから、「ポゼッションサッカーのせいで日本は負けた」という主張は当然誤りです。

次に2つ目の誤りについてですが、対戦相手や状況に合わせて戦術を使い分けていたものの、ポゼッションサッカーをベース戦術としたドイツ代表がブラジルW杯で優勝したのですから、「ポゼッションサッカーの時代は終わった」という某“辛口解説者”さんの主張が誤りなのは明白です。

また、FCバルセロナに象徴される「ポゼッションサッカー」も、日本サッカー界では正しく理解されていなかったと思われます。

「ポゼッションサッカー」という日本語訳がそもそもの間違いで、「パスサッカー」とか「パスゲーム」と言った方がより適切なのかもしれません。

「ポゼッション」といっても、仮にチーム全体で長い時間ボールを保持していても、選手1人1人がボールを持つ時間はできるだけ少ない方が良い、ということが日本サッカー界ではあまり理解されていなかったんじゃないでしょうか。

日本では遅攻のイメージが強いバルサですが、前から積極的にプレスをかけて相手陣内でボールを奪ったら、相手の守備が整う前にスピーディにパスを回してシュートまで持っていく、ショートカウンター的なサッカーも実は得意です。

というか、相手陣内でボールを奪ってショートカウンターができなかったときに、結果的にティキタカによる遅攻をやるという具合に戦術を使い分けていただけで、遅攻そのものがバルサの最終目的ではなかったはずです。

レーブ監督のドイツ代表もポゼッションサッカーをベース戦術としていますが、レーブ氏がドイツ代表監督に就任した2006年時点では、ドイツ代表選手の1試合あたり平均ボール保持時間は2.8秒だったそうですが、彼はこれを8年かけてトレーニングで計画的に短縮していき、ブラジルW杯で優勝したときには平均1秒ぐらいになっていたそうです。

こうした戦略的なトレーニングによって、ドイツ代表はどんなに精神的プレッシャーがかかる試合であっても、高いインテンシティを保つことができるようになったのではないでしょうか。

パスの長短は違うかもしれませんが、ハリルホジッチ監督も同じことを代表選手たちに求めていますよね。

当研究所も日本代表に対し、プレー選択の判断をスピーディにできるだけ2秒以下で、自分よりゴールに近いところに味方がフリーでいたら、オートマチックに縦パスを入れたっていいと口を酸っぱくして言ってきました。

ところがこの日本では、「タメをつくれる選手」がサッカー記者や解説者から手放しで賞賛されてきた歴史があります。

後ろの味方が上がる時間を稼ぐために中盤でボールをキープしてタメをつくれば、当然のことながら相手チームが自陣に戻り守備陣形を整える時間も与えてしまいます。

これはポゼッションサッカーにしろカウンターサッカーにしろ、現代サッカーの攻撃としてはまずいわけで、「タメをつくれる選手」を手放しで絶賛してきた日本サッカー界がバルサのサッカーを正しく分析できなかった結果、1人1人がボールを長い時間持ち、チームとしても長時間ボールを持つサッカーが「ポゼッションサッカー」だと誤解されてしまったのではないでしょうか。

そうした誤解をもとに「ポゼッションサッカーは終わった」などといくら主張しても、それは間違いです。

最近日本に広がり出した「ポゼッションサッカーこそがブラジルW杯の敗因であり、もはやポゼッションサッカーの時代は終わった」という「ポゼッションサッカー悪玉論」には断固反対したいと思います。

 南アフリカでベスト16に入った岡田ジャパンのカウンターサッカーにブーブー不満を言い、攻撃サッカーをかかげたザックジャパンを「ブラジルでベスト8を狙える」とあおりたて、ザックジャパンが敗退すると手のひらをかえして「ポゼッションサッカー悪玉論」を言い立てながら、ハリルホジッチ監督の「カウンターサッカー」を絶賛する。

そのどこに、ブレない、確固としたサッカー哲学があるのでしょうか?

日本代表がブラジルで敗退して、やり場のない怒りをもてあます気持ちはわかりますけど、メディアを含む今の日本サッカー界はうろたえすぎです。

じゃあどうするか? それは次回述べます。



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■日本代表、ウズベクに大勝も危うさチラつく(その2)

 前回のつづき

  選手個々で特筆すべき活躍だったのは、まず青山選手。あの正確なミドルシュートはワールドクラスでしたし、チームを勢いづかせる先制ゴールとなりました。攻撃の基点となるボランチとして、先制ゴールをあげるまでのパス出しもまずまず良かったのですが、そのあとの出来には不満が残ります。バックからボールを良い体勢で受けて2列目の3人へ着実につなぐことができなくなり、チームの攻撃が浮き球のロングボールをひたすら放り込む雑なものになって、後半開始まで相手ペースになってしまったことの一因に。チーム全体が焦って前へのパスを急ぎすぎていたら、自分の状況判断でそれを落ち着かせるようなプレーが求められます。

岡崎選手は、またしても絶妙なポジショニングからのダイビングヘッドでチームの勝利を決定づけるゴールをゲット。柴崎選手のループシュートをかき出そうとする相手選手をブロックする“アシスト”もする活躍。

柴崎選手は、カウンターから相手GKを良く見てロングシュートを決めました。柴崎選手は良い先輩を持ちましたね。ただトップ下としての働きは及第点に届かず。判断やプレーそのもののスピードが遅く、守備でも軽さが目立ちました。

宇佐美選手は、高い技術に加え緩急をつけたドリブルであっという間に相手DFを置き去りにして、正確なシュートを決めてくれました。彼の一番良いところは、入っても外れても本当に楽しそうにシュートを打つところですね。シュートを打つことを楽しむ彼の姿勢が好結果につながっています。すべての日本人選手が見習うべきです。左サイドからカットインしてのドリブルシュートだけでなく、ダイアゴナルランでDFラインのウラヘ抜けてパスを受ける動きも良いですし、スルーパスを出してチャンスメークする能力もあります。
あれだけの才能を持ちながら努力を惜しんでいるとすれば人生の無駄遣いですし、天狗にならず毎日コツコツ努力することができれば、将来もっと大きな舞台でもっと楽しくサッカーができるでしょう。 監督さんが宇佐美選手を先発から起用しないのは、たぶん1試合を走り切るスタミナにまだ不安があると考えているからではないですか。だったら普段のクラブの試合でしっかり守備をするべき。守備をすることで1試合を走り切り長いリーグ戦を乗り切れるだけのスタミナがつきますし、自分が守備をすることで守備側がどういうことを考えて守っているのかを知れば、自分の攻撃にも必ずプラスになります。そして外国語を覚え持久力をつけて、できるだけ早いうちにレベルの高い相手を求め海外へ再チャレンジを! あの素晴らしいドリブルシュートが欧州4大リーグのセンターバックに通用するなら、凄いことになるでしょう。

川又選手も泥臭く相手と競って、うれしい代表初ゴールをあげました。

香川選手はゴールこそなかったものの、トップ下として攻撃を組み立てる中心となり好調を持続。パスの判断スピードもだいぶ速くなりましたし、シュートへの高い意欲も引き続き良いです。

太田選手は岡崎選手の決勝点を好アシスト。自分に来たボールをノートラップでクロスしたことで、相手は周囲を確認してポジショニングを修正する時間がなく、岡崎選手がフリーでシュートできた勝因となりました。ノートラップで正確なクロスをあげられるサイドバックはまだまだ日本には少ないので、本当に良いプレーでした。

川島選手は試合の終盤、ヌルマトフの強烈なシュートをファインセーブ。日本は失点が1少なくてすみました。

 残念だったのは、CK時に相手と競り負け、ゴール中央へ狙い通りにボールを落とされて失点の一因となってしまった森重選手。ボールの落下地点を読み間違えたか、ジャンプするタイミングが遅れたことが競り負けの原因でしょう。たとえ頭にボールを当てられなくても、しっかり空中で相手と競って欲しいですし、もっと対人守備能力向上をお願いします。川又選手へのアシストがあっただけに残念。

今野選手も失点にこそつながらなかったものの、前半の相手CK時にジャンプのタイミングが遅れ、相手に危険なヘディングシュートを許していました。完璧主義の監督さんなら、絶対に見過ごせないプレーのはずです。

        ☆        ☆        ☆

 W杯アジア予選前最後のテストマッチは、ウズベキスタン相手に4点差をつける大勝という結果はとても良かったのですが、試合内容の方は良かったところ半分、修正すべき点や今後問題になりそうな点がチラリと見えたところが半分といったところでした。

ハリルホジッチ監督が指揮をとってからまだ2試合目ですし、プレスをかける前の6人と4バックとの連携が取れておらず、センターバックの前のバイタルエリアに広いスペースを空けてしまうという問題も、監督さんは気づいているようですので、何らかの対策が取られるだろうと思います。(でないとW杯予選がしんどくなりかねません)

これまで2試合のテストマッチを見た感じでは、攻撃面はパスをどこへ出すかの判断スピードがかなり速くなり、ボール保持者をサポートする動きも改善されています。守備では球際を激しく行って相手からボールを奪い返す強い意志も見られるようになるなど、インテンシティ(プレー強度)の高いゲームができていることをポジティブに評価したいと思います。

しかしこのインテンシティをもったプレーを、負けて痛くもかゆくもないテストマッチだけでなく、W杯の予選や本大会のように、1つのゴールを決めるか決められるかで本大会に行けなくなったり、W杯のグループリーグ敗退が決まるような実際に痛みが伴う公式戦で実行できなければ何の意味もありません。

それが出来なかったことが、日本がブラジルW杯で結果を出せなかった最大の原因だったのですから。

 ハリルホジッチ監督はこの2試合、いろいろな選手を試すということで、これまでやったことがまったく無いメンバーでチームを組み、チーム組織を熟成させる時間をあえて取らなかった結果、前述したとおりプレスをかけるときに10人の連携が取れていないといったコンピネーション上の問題が出ているわけですが、さてどうしますか。

        ☆        ☆        ☆

 Jリーグを視察したハリルホジッチ監督が、「ゴール前でのマークのルーズさ」「フィジカルコンタクトの弱さやボール奪取力の低さ」「体格の小ささ」などを日本サッカーの問題点として指摘していますが、まったく同感ですね。

当研究所でも長年指摘していたのですが、Jリーグや育成年代でほとんど修正されずにここまで来てしまいました。
 
完璧主義の監督さんが本腰を入れて改革に乗り出したようですから、代表選手がJリーグの各クラブへ戻り、チームメイトにも弱点の克服を呼びかけた方が良いと思います。

この2試合で感じたのは、吉田選手を除くセンターバックの層の薄さ、体格の小ささです。

前にも言いましたが、ポリバレントな選手が重宝される現代サッカーにおいても、センターバックは専門職だと思いますし、身長は最低でも185㎝以上欲しいところ。


名古屋 ハーフナー・ニッキ  20歳 197㎝
      大武 峻        22歳 187㎝   
      牟田 雄祐      24歳 187㎝

G大阪  西野 貴治      21歳 187㎝

鹿島   植田 直通      20歳 186㎝

川崎   板倉 滉        18歳 186㎝

鳥栖   笹原 脩平      18歳 185㎝

神戸   岩波 拓也      20歳 186㎝

甲府   熊谷 駿        18歳 190㎝


Jリーグだったらこのあたりの選手を重点的に育成し、欧州4大リーグのようなより高いレベルのクラブに売り込んで、同時に世界レベルのセンターバックに成長させたいところです。

このうち何人かは、守備的MFでもかまいません。1人で守り切れる大型ボランチがいれば、4-1-2-3なんかもできるようになり、戦術選択の幅が広がるでしょう。

でも、まず必要なのは世界に通用するセンターバックです。

        
◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

        2015.3.31 味の素スタジアム(調布)

        日本 5 - 1 ウズベキスタン

     青山  6'         トゥフタフジャエフ 82'
     岡崎  54'  
     柴崎  80'
     宇佐美 83'
     川又  90'+


    GK 川島         GK A.トゥラエフ

    DF 酒井高        DF ムハンマディエフ
       森重            トゥフタフジャエフ
       昌子            イスマイロフ 
       内田            メルズリャコフ 
      (太田 46)        (ミルザイエフ 59)

    MF 青山         MF ハイダロフ
       今野            L.トゥラエフ
      (水本 46)        (ムラジャノフ 85)
       乾              トゥルスノフ    
      (宇佐美 63)       (サイフィエフ 59)
       香川            ショディエフ
      (柴崎 69)        (クジボエフ 46)
       本田            ラシドフ
      (大迫 72)
                  FW ナシモフ
    FW 岡崎           (ヌルマトフ 77)
      (川又 82)

 


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■日本代表、ウズベクに大勝も危うさチラつく

 W杯アジア予選本番に向けて最後のテストマッチとなったウズベキスタン戦は、5-1で日本代表が大勝しました。

ウズベキスタン代表は国内リーグでプレーしている選手をベースに、ロシア・ウクライナなど国外でプレーする選手を組み合わせたチーム。日本との実力差は、日本のホームで日本の勝利、アウエーで引き分け程度と見積もっていました。

この試合、正GKネステロフやロシアリーグでプレーする選手2人が出場せず、相手が若干メンバーを落としていた点は考慮しなければなりませんが、それでも4点差をつけての大勝という結果はとても良かったです。

しかしながら試合内容を見ると、良かったところが半分、攻守両面での修正点や今後問題になりそうなハリルジャパンの危うさが見えたところも半分といった感じでした。

そのあたり、詳しく見ていきましょう。

        ☆        ☆        ☆

 まず攻撃面からですが、前半10分ぐらいまでは良かったと思います。

ボールを奪ったら香川選手を中心に各選手が連動し、グラウンダーのパスでスピーディな攻撃を仕掛けることができていました。それによってCKを獲得し、青山選手の先制ゴールを引き出しました。

しかしそのあとは、あまりに縦パスを急ぎすぎて攻撃が非常に雑になってしまいましたね。

DFラインやボランチから浮き球のロングボールを使った攻撃ばかりになってしまったため、香川・本田・乾ら二列目の選手の頭上をボールが超えていき、前線やサイドへ流れた岡崎選手が頭に当ててボールを落としても、縦に急ぎすぎているため、どうしても二列目以降の押し上げが間に合わず、敵にボールを拾われて攻撃がまったく機能しなくなりました。

浮き球のロングボールにも使い道はあり全否定するつもりはないのですが、ゴールするために速いパスを前方へ入れるのではなくて、ボールを奪ったら早くパスを出すことそれ自体が最終目的になってしまい、効果的な攻撃ができなくなってしまったのは問題です。

日本人選手はまじめすぎるので、監督からこうしろと指示されると、自分で状況判断をせずにそればっかりやってしまう傾向がありますが、早くパスを出せという指示に過剰適応してしまった感じでした。

ボールを奪った瞬間、数メートル前方に相手選手が立ちふさがったら、焦って前方へロングを蹴るのではなく、ダイアゴナルや横へのパスを使ってフリーな味方にパスし、そこからグラウンダーのパス中心に前方へ素早く展開していくべきです。

正確なボールコントロールができるギリギリのスピードで前方へパスを入れたけれども相手を崩せなかった場合は、いったんボールを中盤以降へ戻して、攻撃の組み立て直しをしても良いと思います。

前半10分以降、試合の流れをつかむことができなかった日本でしたが、後半はハーフタイムで監督さんから注意があったのか、先制ゴールをあげるまでの良い攻撃に戻り、4つのゴールを導き出すことができました。

攻撃は良かったところ半分、課題が出たところも半分という感じです。

 つづいて守備を見ていきましょう。

テストマッチ2試合を見る限り、ハリルホジッチ監督の守備戦術は、コンパクトな守備ブロックをつくって自分たちが守るべきスペースを限定し、そこからプレスをかけていくのではなく、ある程度スペースを空けてしまうのを覚悟の上で相手のボール保持者を追いかけ回し、人に食いついていく守備のようですね。

サッカー記者によってはこうしたやり方を「マンマーキング」と呼ぶ人もいるようですが、当研究所の定義では「マンマーキング」と呼ぶのはちょっと抵抗があります。

「ゾーンディフェンス」は、自分の受け持ちゾーンさえ埋めていればそれで良いというわけではなく、自分の担当ゾーンに相手選手が侵入してきたらマンマーキングに切り替えて、相手のプレーを妨害する守備のやり方です。

自分の担当スペースをただ埋めているだけの完全なゾーンディフェンスだと、守備側の選手と選手の間にできるスペース(守備ゾーンのギャップ)で相手に好き勝手にプレーされて失点してしまうので、相手に自由にプレーさせないためポジションを修正し、相手にプレスをかける必要があります。

しかし完全なマンマーキングのように、相手選手にどこまでも食いついていってしまうと、守備ブロックが広がりすぎて攻撃側に広いスペースを与えてしまったり、人がいて欲しいゾーンに誰もいなくなってしまったりする(マークされる攻撃側は当然それを狙って動く)ので、相手選手が自分の担当ゾーンから出て行ったら追いかけるのを止めて、隣接するゾーンを守っている味方へマークの受け渡しをするわけです。(もちろん、絶対にマークを受け渡してはいけない状況はあります)

これが当研究所における「ゾーンディフェンス」の定義です。

そして「プレスをかける時にどこまで人に食いつかせるか」、逆の視点から言えば「どこまでコンパクトな陣形や選手の並び方を維持するのか」の「さじ加減」は、各監督さんの好みであり腕の見せ所なわけです。

ですから、大昔に見られた、相手がシューズを交換するためにタッチライン際へ行ってもついていくような、原則マークの受け渡しをしないで守る正真正銘のマンマーキング以外はすべてゾーンディフェンスの一種であり、完全なマンマーキングディフェンスと、ただスペースを埋めパスコースを消すだけでプレスをほとんどかけない完全なゾーンディフェンスとの間に、現代におけるサッカー先進国のほとんどのチームの守備戦術が入るはずです。

違いは単に、人へのマークに重きを置いたゾーンディフェンスか、守備陣形の維持に重きを置いたゾーンディフェンスか、だけです。

完全なマンマーク           完全なゾーンディフェンス
       
     ←|ーーー|ーーー|ーーー|ーーー|→

例外としては、フランスサッカー界でのキャリアが長いハリルホジッチ監督は良くご存じだと思いますが、かつてフランスのリーグアンにオーセールという小さなクラブ(現在2部でプレー)が所属し、名将ギー・ルー監督のもと、1990年代半ばにマルセイユやPSGといったビッグクラブを制してリーグやカップ戦で優勝するなど黄金期を迎えるのですが、私は試合を見る機会がありませんでしたが、そのときのオーセールが4-3-3をベースにしたほぼ完全なマンマークディフェンスだったと聞いたことがあります。

 話を日本代表に戻しますが、過去の日本代表の守備戦術を分類すると、こんな感じでしょうか。


完全なマンマーク            完全なゾーンディフェンス

     ←|ーーー|ーーー|ーーー|ーーー|→
       ↑ ↑    ↑           ↑
      (4) (1)   (2)          (3) 

(図を正しく表示するためには、グーグル・クローム推奨)

(2)はプレスが効いている、良いときのザックジャパン、(3)はブラジルW杯のコートジボアール戦やコロンビア戦など、選手が全然動けずプレスがまったく効いていない、悪いときのザックジャパンです。

(4)は極めてマンマークに近かった岡田ジャパンの守備戦術ですが、バイタルエリアが広く空くという弱点をW杯直前のテストマッチで徹底的に突かれ、守備が完全崩壊しました。だから本大会では守備戦術をゾーン重視へと、ガラッと変えざるをえなかったのです。

 ハリルジャパンの守備は(1)のあたり、「人へのマーク志向が強いゾーンディフェンス」だと思いますが、それだけにコンパクトな守備陣形を保つことが難しく、中盤で広いスペースが空いてしまいます。

ボランチから前の5~6人が激しくプレスをかけると、特に4バックの前のバイタルエリアに広いスペースが空いてしまうのが、非常に気になります。

私が対戦相手の監督だったら、この弱点を徹底的に突きます。

本来であれば4バックが、プレスをかけている前の6人と連動してバックラインを高く押し上げ、センターバックの前にできる広いスペースを消すべきなのですが、高く保ったラインの後ろを取られるのを恐れているのか、それができていませんでした。

だからこそハリルホジッチ監督は後半からボランチに水本選手を投入し、どうしても空いてしまう両センターバックの前のゾーンを彼に埋めさせ、そのスペースを使われて相手に攻撃されないように手を打ったわけです。

後半に岡崎選手のゴールで2-0とすると、DFラインを下げて自陣に守備ブロックをつくり、1点返そうと前掛かったウズベキスタンの薄くなった守備をついて、カウンターから追加点を奪ったのは良かったのですが、広いスペースで激しいプレスを掛け続けたために日本の選手の消耗も激しく、後半の後半から相手のボール保持者へのプレスが遅れたりマークがズレ始め、CKを与えてそこから失点してしまいました。

そうしたところにも、ハリルジャパンの守備戦術の危うさがチラつきます。

実はウズベキスタンのシュート精度の低さに助けられていただけで、この試合の前半からセンターバックの前に広がるスペースを使われた危ういシーンがいくつかありましたし、これがアルゼンチンやブラジルなど、日本より個の能力が高いチームが相手だと、前6人のプレスをかわされてしまった時に、相手の攻撃陣に対してこちらの4バックが丸裸になり、広く空いたセンターバックの前のスペースを使われて、ボコボコにやられてしまう可能性が高いです。かつての岡田ジャパンのように。

ボールがサイドにある時に、センターバックがサイドへスライドせずにゴール前のゾーンを守っているため、相手のボール保持者にプレスをかけるサイドバックの後ろから、ニアサイドのセンターバックにかけてスペースが広く空くところも気がかりです。(下図の(2)のスペース)

悪い形
(クリックで拡大)

「相手がチュニジアやウズベキスタンだったからこうした守備戦術を取った」と監督さんが言えばそれまでですが、これをそのままW杯で、アルゼンチンなりブラジルなりにぶつけるのは疑問がありますし、中東で行われる酷暑のアウエー戦で最後まで守備の体力が持つかどうか不安です。

当研究所は、球際で厳しくプレスをかけ続けるのは当然としても、守備陣形をコンパクトに保ち、自分たちが守らなければならないスペースを限定して体力の消耗を防ぎつつ、個の能力が高い相手に広いスペースを与えないようなゾーンディフェンスのやりかたの方を推奨します。

 選手個々の評価は次回としましょう。




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