■2014年12月

■アジアカップにのぞむ日本代表メンバー発表

 来年1月にオーストラリアで開かれるアジアカップ2015にのぞむ日本代表メンバーが昨日発表されました。次の通りです。


GK 川島 永嗣 (リエージュ:ベルギー)
   西川 周作 (浦和)
   東口 順昭 (G大阪)

DF 吉田 麻也 (サザンプトン:イングランド)
   森重 真人 (F東京)
   内田 篤人 (シャルケ:ドイツ)
   酒井 高徳 (シュツットガルト:ドイツ)
   長友 佑都 (インテルミラノ:イタリア)
   太田 宏介 (F東京)
   塩谷  司 (広島)
   昌子  源 (鹿島)

MF 遠藤 保仁 (G大阪)
   香川 真司 (ドルトムント:ドイツ)
   長谷部 誠 (フランクフルト:ドイツ)
   今野 泰幸 (G大阪)
   柴崎  岳 (鹿島)
   清武 弘嗣 (ハノーファー:ドイツ)

FW 本田 圭佑 (ACミラン:イタリア)
   岡崎 慎司 (マインツ)
   乾  貴士 (フランクフルト:ドイツ)
   豊田 陽平 (鳥栖)
   武藤 嘉紀 (F東京)
   小林  悠 (川崎)


 11月のテストマッチに召集されたメンバーと比較しますと、負傷が癒えたインテルの長友選手とハノーファーの清武選手が復帰しているところが目を引きますね。

清武選手は、以前であればパスを出したあとそこで満足して足を止めてしまう残念なタイプのプレーヤーだったのですが、最近は少しづつゴールもあげられるようになってきたところに彼の成長がうかがえます。期待したいと思います。

 以前にも言った通り、日本代表のアジアカップにおける目標は優勝であり、W杯のアジア出場枠が4程度であることを考えれば、試合内容によってはベスト4以内でも酌量の余地がないわけではありません。

主力選手の年齢を考えれば、ブラジルW杯時のスタメンがそのままロシアW杯のスタメンとなるような事態は世代交代が上手くいっていないことを意味し、好ましいことではありません。

このアジアカップで、ベテラン選手を脅かすイキの良い若手選手がどんどん現れて、めざましい活躍をしてくれることを期待しています。

アギーレ監督はアジアカップにおける日本のライバルを「オーストラリア・韓国・ウズベキスタン」の三つとしていましたが、アジアカップ2015の予選やブラジルW杯本大会のデータをふまえて、当研究所が日本以外に優勝争いに名乗りをあげそうな三ヵ国をあげるとすれば、フィジカルコンタクトに強く守備が固いイラン、開催国としてのアドバンテージがあるオーストラリア、そして予選でウズベキスタンを破り、長い低迷期から脱しつつあるUAEがサプライズを起こすかもしれないと見ています。

もちろんその他の国々も決して侮ることはできません。

日本の輝かしい優勝で終わったため、多くの人が忘れているかもしれませんが、前回大会のグループリーグ初戦・ヨルダンとのゲームはヒヤヒヤのドローとなり、次のシリア戦は味方に退場者を出すなど大変苦しみました。

ブラジルW杯では、選手が悪い結果を恐れたり過緊張に陥ったりして、普段の練習やテストマッチで出来ていたことが大事な公式戦の場でほとんどできなくなってしまったということが、日本人選手の大きな問題点として浮かび上がりました。

アジアカップという久々の公式戦の場は、そうした課題を乗り越える絶好の機会ですので、油断せず・悪い結果を恐れず、どの試合も自分の実力を出し切ることに専念して欲しいです。そうすれば日本代表の目標は達成されると思います。

 さて、私の懸念していたことがとうとう現実のこととなりました。

スペイン検察は昨日、 リーガエスパニョーラの八百長試合に関与した容疑により、アギーレ日本代表監督を含む関係者42名をバレンシア裁判所に告発しました。

十分すぎるぐらい予想できた展開ですが、日本サッカー協会はどうするんでしょうね。



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■アギーレ監督がやりたかったサッカー(その2)

前回のつづき)

 アギーレ監督が就任して初のテストマッチとなったウルグアイ戦は、3トップの後ろに足元の技術に優れたタイプを置くのではなく、細貝・田中両選手のような当たりに強いタイプを並べて、その背後をカバーするアンカーにセンターバックの森重選手を起用、ボールを奪ったら前線にロングボールを放り込んで3トップが体を張って基点をつくるか、こぼれ球を2列目が拾ってサイドへ展開してクロスという「堅守速攻型のカウンターサッカー」を展開しました。

これがアギーレ監督が本来好むサッカースタイルだと思います。

次のベネズエラ戦後の会見でも、記者からロングボールの多さを指摘されると、アギーレ監督は「(サッカーでは)ロングボールは禁止されているのか?」と言ってムッとしたように反論し、「素晴らしいスタイルだと言われてFIFAランク44位になるより、良いと言われないスタイルでも20位以内に行きたい」とコメントしています。

時代ごとに多少の変化こそあれ、ゴールや勝ち点をあげる以外のこと、たとえば「選手個々の芸術的な足技」や「調和のとれたチーム組織の美」といったことにも喜びを見出す、いわゆる“スペクタクルなサッカー”を目指すことが、FCバルセロナの伝統を形作ってきたクラブ哲学の根本にあるように思えるのですが、「勝ちさえすれば、たとえ試合内容に見どころがなくたっていい」というアギーレ監督のサッカーに対する考え方はこれとは正反対と言えます。

私は、フィジカルコンタクトの強さとパワーを前面に押し出すバスクのサッカースタイルは、名波・中村俊・遠藤・本田・香川といった技術に優れたMFを続々と生み出してきた伝統を持つ日本のサッカーには合わないと思いますし、それを無理に当てはめようとすると失敗すると思います。

ウルグアイ戦の記事で「アギーレ監督はまだ日本人選手の特徴や長所・短所を把握できていないように見えます」と書いたのは、ウルグアイ戦を見てそうしたことを考えていたのが理由ですが、代表サポの多くがアギーレジャパンへの期待で胸をときめかせていた時期、私の「アギーレジャパンの暗い未来」を予見するガッカリ感がこの記事のあちこちから感じ取って頂けることでしょう。

事実、アギーレジャパン発足からのテストマッチ6試合は、それを証明するような展開となります。

3試合目のジャマイカ戦でようやく初勝利をあげたものの相手のオウンゴールによる1点のみと、試合内容は低空飛行を続けます。もっとも、アギーレ監督は初めから試合内容を求めていないのですから当然と言えますが。

結果が出ないことでアギーレ監督は、2列目に柴崎・香川のようなテクニック系の選手をだんだんと重用するようになり、以前は「ロングボールは禁止されているのか?」と反論していたのに、10月にシンガポールでブラジルに大敗を喫したあと、「(日本代表が)目指すべきスタイルについては、間違いなくティキ・タカ(パスサッカー)が合っている」と、アギーレ監督は突然の180°方針転換を表明します。

ゲキサカ記事) 

11月のホンジュラス戦とオーストラリア戦は、遠藤・長谷部の両ベテラン選手を呼び戻し、フォーメーションこそ違いますが、ザックジャパン時代をほうふつとさせるようなパスサッカーで連勝して今に至るというわけです。

無理に自分が理想とするスタイルを日本代表に当てはめようとせず、試合に勝つためリアリズムに徹して技術の高い選手を中盤に呼び戻し、日本人に合ったサッカーへ回帰したアギーレ監督の柔軟な姿勢は評価したいと思います。

が、そもそもメキシコ人のアギーレ氏を日本代表監督へ招聘した理由の一つに、「あまり背の高くない選手が細かいパスをつないでいくメキシコのサッカースタイルは、日本が目指す理想形のひとつだから」というものがあったはずですが、アギーレ監督が就任当初からやったロングボールを主体とした「バスクスタイルのカウンターサッカー」はそれとは似ても似つかないものでした。

リーガ時代のアギーレ氏がどんなサッカーをやっていたか私は継続的にフォローしていませんでしたが、話によればエスパニョールを率いていた時もロングボール主体のサッカーだったようですね。

アギーレ氏を日本に連れてきた原博実専務理事は、アギーレ氏がやっていたサッカーのどこを見て「メキシコのサッカースタイル」うんぬんと言う話を始めたのか、アギーレ氏がエスパニョールやサラゴサを率いていた時代にやっていたサッカーを原さんが実際にその目でちゃんと見て招聘を決めたのか? 実は「メキシコ人だからメキシコスタイルのサッカーをやるに決まっているだろう」という思い込みがあったのではないか、という強い疑問が残ります。

「あまり背の高くない選手が細かいパスをつないでいくメキシコのサッカースタイル」というのも1990年代までの古いイメージで、現在の中南米サッカーはメキシコ代表も含めて「堅守速攻のカウンターサッカー」が増えてきているのが実情であり、そのことに深入りすると記事がもう一本書けそうなんでやめときますけれども、日本サッカー協会の技術委員はちゃんと世界のサッカーの最新動向をチェックしているのか?という疑問を持たざるを得ません。

 就任以来のテストマッチ6試合を見た上で、当研究所はアギーレ監督にギリギリ合格点をつけたいと思います。

最後の2試合は試合内容もまずまず良かったですが、あのパスサッカーによる勝利がアギーレ監督の指導によるものか、ザッケローニ前監督の“遺産”なのかは微妙なところですけど。

来年1月のアジアカップはもう言い訳の許されない公式戦です。

たとえアウエー戦であっても単発のテストマッチがW杯本大会に向けてあまり参考にならないのは、オランダと引き分けベルギーに勝ったザックジャパン時代のベルギー遠征を見てもわかることですから、半分ガチのブラジルやイタリア・メキシコなどと戦って経験値をあげることができるコンフェデは、日本にとっては貴重な実戦の機会です。

やはりアジアカップを優勝して次回コンフェデの出場権はゲットしたいところ。

アジア各国代表と比較しても、アギーレ監督に与えられた戦力(選手)からすれば目標は当然優勝ですが、最悪ベスト4以内でも試合内容が良ければノルマ合格としたいのですが、アギーレ氏がスペインで監督をやっていた時に八百長試合に関わっていたのではないかという疑惑がさらに深まってきています。

12月4日再来日したアギーレ氏から事情を聞いた日本サッカー協会・法務委員長の三好豊弁護士は、八百長を絶対にやっていないと主張するアギーレ氏を「現時点では信用する以外はない」と言っています。

弁護士の論理としては、裁判でアギーレ氏の有罪が確定するまでは「推定無罪」ということなんでしょうが、サッカー界の常識として、たとえアギーレ氏が八百長にかかわっていなかったとしても、実際に起訴されてスペインで裁判を闘うことにエネルギーを割きながら、広大なアジアを転戦してW杯の予選を戦う日本代表も指揮するなんてどだい無理な話です。

いったん判決が出ても、アギーレ氏か検察側がそれを不服として控訴、その結果裁判が何年も長引けば、日本代表がW杯アジア最終予選を戦っている真っ最中に彼が法廷に呼び出されて代表チームから離脱しなければならなくなることも予想されますし、彼の有罪が確定すれば、大事な2018年W杯の直前になって日本代表監督が突如いなくなるという最悪の事態もありえます。

アギーレ氏の方針でチームを強化してきたのに、ロシアW杯の直前になって突然彼がいなくなり、これまでの経緯をまったく知らない別の人に代表監督を任せなければならないという事態は、絶対に避けなければなりません。

アギーレ氏にそうした事情を説明したうえ、すぐさま日本代表の次期監督候補をリストアップして、先方との交渉を開始するとともに、アギーレ氏が起訴される事態に備えて暫定の日本代表監督候補を今から決めておくべきです。

もし技術委員会でいけそうと判断するのであれば、アギーレジャパンのコーチを務めているファン・イリバレン・モラス氏か、スチュワート・ゲリング氏のいずれか優れている方を、次期監督が決まるまでの暫定監督とするのも一案だと思います。

前にも言いましたが、そうした事態はいくらでも想定できるわけですから、アジアカップやW杯予選の直前になってアギーレ監督が突然日本代表からいなくなり、「こんなことは想定外だった」と言い出して、日本サッカー協会が大慌てするようなことは見たくありません。



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■アギーレ監督がやりたかったサッカー(その1)

 それではお約束通り、6試合のテストマッチから見えてきた「アギーレ監督がやりたいサッカー」について、述べてみたいと思います。

まずアギーレ監督のパーソナリティーについて考えてみたいのですが、それに大きな影響を与えていると思われるものが、彼のファミリーの出自です。

アギーレ氏が日本代表監督に決まってから知ったことですが、彼はスペイン・バスク地方からのメキシコ移民の子孫だそうですね。

バスクと言えば、サッカーではアスレチック・ビルバオやレアル・ソシエダがすぐさま思い浮かびます。

私は「サッカー・マニア」であると同時に「世界の民族文化マニア」でもあり、世界にいろいろな文化があることだけでワクワクしてしまうのですが、バスク人の文化的特徴をあげるなら「質実剛健」だと思います。

バスク地方には今でも、男たちが巨大な石を持ち上げてそれをぐるぐる回し、力比べをするお祭りがあるはずですが、例外の人もいるでしょうが、「仕事は堅実で力持ち」を良しとするのがバスク人の価値観ではないでしょうか。

そうした価値観が、バスクのサッカースタイルにも現れているように思えます。

マドリード中央政府からの独立を求める「バスク民族主義」の象徴でもあるアスレチック・ビルバオは、創設以来バスク人選手しか入団を許されず、それでいてずっとリーガ1部にとどまり続けている「バスク人ONLY」のクラブで、Jリーグの村井チェアマンが知ったら口から泡を飛ばして「人種差別!」と非難し、永久追放を決定しそうなんですが、そのプレースタイルはロングボールを前線に放り込んで選手個々のフィジカルの強さとパワーを生かす傾向が強いです。

そうしたサッカースタイルが好まれるのは、乾燥した荒地が広がるスペイン中部以南と違い、雨が多くピッチがぬかるんでパスサッカーに向かないスペイン北東部バスク地方の気候風土が深く関係しているとも言われます。

その民族あるいは国民が好むサッカースタイルがそれに合った選手を生み出す傾向にありますから、同じスペインでもパスサッカーが好まれるバルセロナがあるカタルーニャ地方を代表するプレーヤー、柔軟で華麗なテクニックを持つがフィジカルコントタクトは得意ではないシャビみたいなタイプの選手はバスク地方からはなかなか生まれてこないのではないかと思います。

メキシコへ移住したバスク人の子孫であるアギーレ氏が、フィジカルコンタクトを恐れず相手にガチガチ当たってボールを奪う「戦う姿勢」だったりラテン人らしからぬ「規律」を選手に強く求めたりするのも、日本代表監督に就任してロングボールを攻撃の軸とする手堅く守備的なサッカーを真っ先にやろうとしたのも、「質実剛健」を良しとするバスク文化の影響が色濃く出ているのではないでしょうか。

次回、そのことについて詳しく見ていきましょう。

つづく




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