■2014年10月

■戦う姿勢のまったく見えない日本代表、ブラジルに惨敗(その2)

 (前回のつづき)

 選手個々で特筆すべきは岡崎選手。自分より大きい相手に体を張ってボールをキープし惜しいシュートを放つなど、ブラジルに対して唯一戦う姿勢が見られた選手でした。

途中出場の武藤選手もブラジル相手にどれだけ自分が通用するか、チャレンジしようとした姿勢は買います。

 しかし岡崎選手以外の先発メンバーのほとんどが、精神的にも技術的にもワールドクラスの相手と戦う準備ができていたのか疑問。

本田・香川・長友といったレギュラー陣からポジションを奪う絶好のチャンスなのに、岡崎選手のように全力でプレーして自分の力を出し切るという姿勢がまったくうかがえず、プレーに関与して失敗することを恐れているのか、守備でも攻撃でもボールのゆくえを眺めながら歩いているやつが多すぎます。

田口選手は普段Jリーグの選手を相手にしていて、いきなりブラジル代表レベルに対応しろというほうが酷なのかもしれませんが、どうすればよいかわからないままピッチ上をさまよっていました。バックの前のスペースに侵入して先制ゴールをアシストしたジエゴタルデリへは、まずアンカーが前方へのパスコースを消しに行って欲しかったです。

酒井選手はネイマールへのマークを放してブラジル先制ゴールの一因に。ドリブルするジエゴタルデリへのプレスがまったく掛かっていない状況でしたから、あそこはオフサイドを取りに上がるのではなくネイマールへついて行って欲しいところ。

塩谷選手は自陣において相手をドリブルで抜きにかかったところを奪われ、カウンターを浴びてしまいました。Jリーグでもそういったプレーを時折見かけますが、センターバックの個人戦術セオリーとしてはタブーである「ハイリスク・ローリターン」のプレーです。ミスを自分で取り返して事なきを得たものの、前方へパスしてそのまんま相手にボールを渡してしまうプレーもありました。

ブラジルの3点目のシーンにおいて、川島選手はフェルナンデスのシュートをセーブしたのは良かったのですが、ボールをはじいた先にネイマールがいましたからもう少しなんとかできなかったでしょうか。

柴崎選手は、次のプレーをどうするかの判断の遅さ、ボールコントロールのちょっとしたミスから相手に奪われて、何度もブラジルのショートカウンターのえじきに。

森岡選手はほとんどの時間消えていて、攻撃にも守備にも存在感なしです。

        ☆        ☆        ☆

 アギーレ監督の采配は、理解に苦しむ点が多かったです。

おそらくフォアチェックからボールを奪ってショートカウンターというのが、この試合の狙いだったのかもしれませんが、足元の技術はもちろんフィジカルコンタクトでも個の能力でブラジルに勝っているとはいえない日本人選手の特徴を考えれば、個の強さで相手からボールを奪うことを前提とした戦術を選択したことに疑問が残ります。

仮にフォアチェックからショートカウンターという当初の狙いが外れたとしても、じゃあどう戦術を修正して試合を勝ちなり引き分けなりにもっていくのかという駆け引きも見えませんでした。

ラテンアメリカ気質なのか、ジーコ元監督もチームづくりがうまくいかないと、かんしゃくを起こしたようにスタメン総とっかえみたいなことをやっていましたが、そもそもこれだけ国際経験のない選手たちをいきなりブラジル相手にぶつけた意図がよくわかりません。

Jリーグ選抜のような選手たちに、世界との大きな差を肌身で感じさせるためのショック療法でしょうか?

チームの強化には「競争」も大事ですが、「継続性」というものも大事だと思います。

ザックジャパンはブラジルで思うような結果を残せなかったとはいえ、すべてが無駄だった、間違いだったわけではありません。

それまでの4年間で積み上げた「アジアにおける圧倒的な強さ」や、「コンディションの良いときならイタリアやオランダとも互角に渡り合った」という経験と実績があります。

そうしたものをチームづくりのベースとして、少しづつアギーレ監督の色を出していってはどうでしょうか。

選手の起用法についても、ターンオーバー制みたいに試合ごとに大量のメンバーを入れ替えるのではなく、前の試合で良かった選手は残し、パフォーマンスが悪かった選手を外すという風に、チームづくりには継続性が必要です。

ジャマイカ戦で言えば、本田選手が特別悪かったとは思いません。決定的なシュートを外していましたが積極的に攻めた結果の失敗は、とがめたくありません。

本田選手より小林選手がブラジル戦のスタメンにふさわしいとアギーレ監督が考えた理由、細貝選手より田口選手がアンカーとして優れていると考えた理由が知りたいですね。それほど練習中の動きが良かったのでしょうか。

小林・田口両選手がそうだとは言いませんが、実力のない選手にいきなり無条件で先発ポジションを与えるよりも、本田選手や長友選手など世界のトップリーグの一つでプレーしている選手とポジション争いをさせることで、自分が乗り越えなければならないレベルというものを、海外組はもちろん普段Jリーグでプレーしていて世界を知らない選手であっても肌身で感じることができるようになります。

そうした競争によって、本田選手や長友選手を追い抜いていく若手が現れれば、前の世代の経験やレベルが次の世代へと受け継がれ、うまくいけば「サッカー強国としての伝統」を築きあげていくことができます。

アギーレ監督からは、そうした継続性がうかがえません。

ザックジャパンのレガシー(遺産)をすべてご破算にしてゼロからチームづくりを始め、前の試合で特別悪かったとも思えない選手を外して、スタメン大量入れ替えということをやっているので、いまだに攻撃の軸となる戦術が確立されているようには見えませんし、苦しいときにこのチームを引っ張る軸となるようなリーダー的な選手も、少なくともブラジル戦の前半までピッチ上には皆無でした。

いつまでも「選手選考」ばかりやってはいられません。チーム戦術を熟成させる時間が無くなってしまいます。

このままだと、大事な公式戦であるアジアカップが「ぶっつけ本番」になってしまわないか、強く懸念されます。

        ☆        ☆        ☆

 というわけでまとめます。今回のブラジル戦、0-4の惨敗という結果は残念でしたし、試合内容も不満の残るものでした。

守備はともかく、アギーレジャパンはいまだに攻撃の軸となる戦術、ゴールを奪うために効果のある攻めの形が見えてこないのが気になります。

この試合に収穫があったとすれば、「Jリーグ選抜」の選手たちに世界との差を痛感させることができたことでしょうか。

日本の指導者が「ボールホルダーをディレイさせろ」と指示することが多いせいか、残念ながらJリーグは世界的に見てもボールホルダーへのプレッシャーが弱いリーグです。

この試合の日本代表のように、ボールホルダーを見ているだけで体を寄せに行かないことが多いので、次のプレーをどうするかボールホルダーが考える時間はたっぷり与えられますし、トラップミスして少々ボールが体から離れても、自分の周りに広いスペースを与えてくれるので、ミスがミスになりません。

しかしブラジルのような世界レベルでは、そうしたことが即失点に結びつくミスになってしまいます。

(だから、世界トップレベルのリーグヘ行くチャンスがあるなら、できるかぎり若いうちに行くべき!)

 ブラジルのジャーナリストが「日本はセレソンにおびえていた」と言っていましたが、技術の差はしょうがないとして、この試合の日本代表からは戦う姿勢がまったく見られなかったのが、とてもとても残念です。

ブラジルW杯でどうして日本代表は負けたのか、その分析がウヤムヤにされていて、正確な敗因が日本サッカー界でいまだに共有されていないように思えます。

どうしてブラジルW杯で日本は負けたのかと言えば、今回のブラジル戦とまったく同じで、日本人選手は大事な試合になればなるほど、緊張したり失敗を恐れたりして、おじけづいて動けなくなってしまうからです。

コートジボアール戦は「初戦が一番重要」ということでガチガチになり、もう負けられないギリシャ戦は死にもの狂いで勝ちに行きましたが引き分け、勝たなければ決勝T行きがなくなるコロンビア戦の前半は、よけいなことは考えずに本来の実力を出し切って1-1、ハーフタイムにギリシャがコートジボアールをリードしていることを聞かされ、日本があと1ゴールあげれば決勝T行きの可能性が出ることを知ると再び失敗を恐れて動けなくなってしまい、ハメス・ロドリゲスのドリブルにおびえてズルズル下がって失点を重ねていきました。

ブラジルW杯で優勝したドイツのプレーを見ても、シュバインシュタイガーをはじめ選手ひとりひとりが試合中であっても時おり笑顔を見せるなど、世界一を決める戦いという本来とてつもないプレッシャーがかかるであろう試合でも、適度にリラックスして普段どおりの実力が出せているようでした。

技術やフィジカル能力にも差はありますが、日本人選手が世界トップレベルの選手たちと一番差をつけられているのが、こういったメンタル面の強さではないでしょうか。

この弱点が治らないかぎり、ポゼッションサッカーをやろうが、ショートカウンターをやろうが、ワールドカップで日本が勝つことはできないと思います。

送り出した選手がピッチの上で動けなくなってしまえば、監督がどんなに優れた戦術をさずけたとしても無意味です。

◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

    2014.10.14 シンガポール・ナショナル・スタジアム

         日本  0 - 4 ブラジル

                    ネイマール 18'
                    ネイマール 48'
                    ネイマール 77'
                    ネイマール 81'


      GK 川島        GK ジェフェルソン
 
      DF 太田        DF ダニーロ
         森重          (フェルナンデス 46)
         塩谷           ミランダ
         酒井           ジウ
                       フィリペルイス
      MF 田口
         森岡        MF ルイスグスタボ
        (本田 46)       (ソウザ 73)
         柴崎           エリアス
        (鈴木 84)       (カカ 76)
                       オスカル   
      FW 田中          (コウチーニョ 46) 
        (細貝 70)
         岡崎        FW ウィリアン
        (柿谷 78)       (リベイロ 46) 
         小林           ジエゴタルデリ
        (武藤 52)       (ホビーニョ 65)
                       ネイマール




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■戦う姿勢のまったく見えない日本代表、ブラジルに惨敗

 昨日行われた日本対ブラジルのテストマッチは0-4で、日本はいいところなく敗れました。

 対戦相手のブラジルについては説明の必要はないでしょう。自国開催となったワールドカップではドイツにスキャンダルとも言える歴史的な大敗を喫し、ドゥンガ新監督のもとでチームの立て直しをはかっています。

一方、日本代表の方もアギーレ監督がザックジャパンのレガシー(遺産)を引き継がず、チームをゼロから立ち上げたところであり、シンガポールという中立地でブラジルを相手にどれだけやれるか注目されましたが、4点取られて大敗という結果はとても残念でしたし、試合内容のほうも不満の残るものとなってしまいました。

それでは試合展開を振り返りましょう。

        ☆        ☆        ☆

 試合は両チームともスロースタート。特にブラジルは、北京でのアルゼンチン戦から中2日というゲーム間隔と移動の疲れで明らかに体が重い様子。

それでもボールをゆったりと回すブラジルに対し、日本は前からプレスをかけますがボールを奪えません。

そうこうしているうちにブラジルのエンジンがかかってきます。

前半15分、ゴール前やや左から蹴ったネイマールのFKは左ポストに嫌われ日本は助かりました。

18分、中盤をスルスルっとあがるジエゴタルデリへのチェックが甘くなったところで絶妙なキラーパスを出され、これを受けたネイマールがGK川島との一対一を冷静に決めてブラジルが早くも先制。

お疲れモードのブラジルは自陣に引いて省エネサッカーを展開、日本はブラジルの守備をなかなか崩すことができません。

それでも23分、太田の左サイドからのクロスをDFがクリアしたボールが小林の前へ。彼が放ったシュートはクロスバーの上。

34分、右サイドから酒井のクロスに走りこんだ岡崎が難しい体勢からバックヘッドしますが、シュートはゴールの左へ。

ロスタイム1分、右CKを田中がシュートしますが相手に防がれ、そのこぼれ球を塩谷がボレーシュートしますがヒットせず。

 後半ブラジルは3人を変え、再び攻勢に出てきます。日本は攻撃も守備も何をどうしたいのか狙いが見えません。

3分、ピッチ中央付近で柴崎がボールを奪われブラジルのカウンター、コウチーニョのスルーパスに抜け出したネイマールがまたしても川島との一対一を決めて0-2と突き放します。

10分、柴崎からパスを受けた田中がゴール前右へスルーパス、走りこんだ岡崎が角度のないところからシュートしますが、右ポストに当たって外れます。

14分、またしても柴崎がボールを奪われカウンターを食らいます。エベルトンリベイロからパスを受けたネイマールが放ったシュートはゴールのわずか右へ。

32分ブラジルの波状攻撃、ネイマールのクロスをカカがヘッドしますがバーに当たり、森重がボールをクリアしますがフェルナンデスが拾ってシュート、川島がセーブしたボールをネイマールがプッシュして試合を決定づけるハットトリック達成、0-3。

36分、ホビーニョからパスを受けたカカがゴール前左からクロス、ネイマールのヘッドが決まってトドメを刺されました。0-4。

がっくりとうなだれる日本。試合はこのまま終了となりました。

        ☆        ☆        ☆

それでは日本代表の出来はどうだったのか試合内容を分析しますが、この試合の日本はどういったサッカーをやりたかったのか、意図がよくわかりませんでした。

もしかしたらジャマイカ戦で見られたように、フォアチェックによって高い位置でボールを奪いショートカウンターを仕掛けたかったのかもしれませんが、それが可能だったのはジャマイカの個の能力が日本より劣っていたために一対一に競り勝ってボールを奪取することができていたからで、ブラジルは個の能力で日本より上回っているために、フォアチェックがほとんど機能しませんでした。

じゃあそうなったときにどうするか、それでもフォアチェックを継続してボールを取り返すのか、いったん自陣へ引いてそこからプレスをやり直すのか、日本がどっちつかずになっているうちにブラジルに先制を許してしまいました。

先制したブラジルに自陣に引かれると、アギーレジャパンの今のところたった一つの攻撃戦術であるカウンターは機能しづらくなるわけで、ロングボールでサイドに基点をつくってからクロスという単調な攻撃の繰り返しで、相手のクリアミスが運よく日本の選手の前にこぼれてきたときぐらいしか、シュートチャンスはありませんでした。

「弱者のカウンター」という戦術の常識ですが、自分たちより強い相手に先制されて相手に引かれると、たちまち手詰まりになってしまうわけで、じゃあそうなったときにどうするのか、というのがアギーレ監督の采配から見えてきません。

(たとえば、チームが連動して相手選手の間でグラウンダーのパスを通してコンビネーションで崩すとか)

 彼我の個の能力差を差し引いたとしても、日本の守備はひどかったと思います。

ドリブルする相手をただ見ているだけで、際限なくズルズル下がってしまうのは、ブラジルW杯のコートジボアールやコロンビアとの試合と同様であり、そのときから何も進歩していません。

こうなってしまうのは、日本のサッカー界で相手のボールホルダーに抜かれることを極端に恐れるがために「相手をディレイさせろ」と指導者が選手に指示することが多いせいではないでしょうか?

しかしその指導者がディレイを指示した後、「どう対処するか」ということを選手に教えているようには見えません。

日本人選手がドリブルする相手をただ見ているだけでズルズルと下がるのは、ただ単に問題解決を先延ばしにしているだけであり、ペナルティエリアに入ってもう下がれないよというところで、射程距離に入った相手に正確なシュートを食らったり、決定的なパスを通されたりして失点を重ねています。

日本のサッカー界は「技術」へのリスペクトが非常に強いので、特に相手選手の足元の技術が自分たちより上回っているのを見ると、日本人選手は自分が抜かれることを恐れてとたんにビビッてしまい、ズルズル下がる傾向が強くなります。

こうなってしまうと、本来の個の能力差以上に日本人選手の一対一の弱さが増幅されてしまいます。「無条件降伏」して、相手の攻撃を黙って見ているようなものですから。

一対一のチャレンンジを避け続ければ、「この瞬間なら相手からボールを奪える」という選手個々の判断力が養われることもありませんし、自分の成功体験に基づいてボールを奪い返す行動を起こす自信や勇気も身につくことはありません。

技術の差だけが一対一の強さ・弱さを決定する要素なのでしょうか?それは違うでしょう。

たとえば、ドイツVSアルゼンチンのブラジルW杯決勝を見ても、足元の技術ではフンメルス・ボアテンクの両センターバックがメッシにかなわないのは明らかです。

それでもフンメルスがいっぱいいっぱいになりながらもフィジカルコンタクトをしてメッシが自由にプレーするのを妨げ、ボアテンクも体を張りフンメルスをカバーして、とうとうメッシを完封しました。

技術で勝てないのなら「戦う気持ち」とフィジカルコンタクトで相手に勝つよう心掛け、自分の体で相手に最後まで食らいついていって何としてもボールを奪い返す、そういうサッカーの基本中の基本が日本の選手に一番欠けています。

 それでも抜かれたときのために守備のチーム戦術があるわけで、必要に応じて相手をディレイさせたあとコンパクトな守備陣形が整ったのを確認したら、相手のボールホルダーに対してハーフが当たっていき、ドリブルする相手がその選手を抜くためにボールを体から放したところでハーフの背後をカバーするアンカーが奪う、

相手のボールホルダーにアンカーが食らいつき、相手がバランスを崩したところでバックがボールを奪う、こういったチャレンジ&カバーという守備戦術の基本もまったく見られません。

日本がボールを失いブラジルが攻撃を始めているのに日本は攻守の切り替えが遅く、ブラジルの攻めを見ながら歩いているやつが多すぎます。

 「歩いているやつが多すぎる」というのは攻撃も同様で、ロングボールを放り込んで味方がサイドに基点をつくっても、その他の選手が歩いていてフォローしてやらないために、1対3や1対4の状況でブラジル守備陣につぶされていました。

何度も繰り返しますが、カウンター攻撃をやるにしても、前線の選手がもっと連動してグラウンダーのパスをつなぎ、3人なり4人なりで相手の守備態勢が整わないうちにフィニッシュまで持ち込まないと、カウンターをする意味がありません。

個の能力で劣るなら、せめて相手の2倍走るつもりでがんばらなければならないのに、お疲れ気味で運動量の少ないブラジルにお付き合いするように、歩いている選手ばかりだったのが大変残念でした。

ブラジルW杯の苦い教訓というのは、日本人選手は大事な試合になればなるほど、緊張したり悪い結果を恐れたりして、おじけづいて動けなくなってしまう、守備では相手がやることをただ見ているだけでズルズル下がり、攻撃でも味方のボールホルダーがすることを足を止めて見ているだけ、結局自分たちが持っている本来の実力を出しきれないまま試合に負けてしまう、ということです。

大きな犠牲を払って学んだその教訓が、この試合にまったく生かされなかったことが本当に悔しいです。


        ☆        ☆        ☆

 選手個々の評価と、この試合の総括については次回にしましょう。


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■アギーレジャパン初勝利も微妙な内容(その2)

        ☆        ☆        ☆

 (前回のつづき)


 選手個々で特筆すべきは、まず岡崎選手。前線から労を惜しまないプレスでボールを奪い、ショートカウンターの基点になっていました。先制点となった相手のオウンゴールは実質彼の得点と言ってもよいと思います。

酒井選手も積極的な攻め上がりで、何度も攻めにからむ働き。本田選手へのスルーパスも大変良かったのですが、クロスの精度に改善点あり。

塩谷選手は空中戦や一対一で安定した強さを見せていました。今後相手のレベルが上がったときにセンターバックとしてどれくらいやれるか楽しみです。

細貝選手はアンカーとして良く体を張り、相手の攻撃の芽をつぶしていました。
ただ、マイボールにした後の攻めの基点となる働きには依然として物足りなさを感じます。遠藤選手みたいな働きは期待していませんが、もうちょっと前に向かってパスをさばけると、バックからロングを多用する単調な攻撃に変化をつけられたり、攻めの組み立てで香川・柴崎両選手への負担も減ると思います。

逆に長友選手は、失点にこそならなかったもののGKへのバックパスが相手へのプレゼントボールとなる大きなミス。クラブで出たり出なかったりで焦りがあるのでしょうか?また攻撃面でもサイドを縦に突破してゴールライン付近からクロスというプレーを多用していますが、相手に読まれ気味でクロスが味方にことごとく合っていません。
世界一のサイドバックを目指すつもりならドイツ代表のラームがW杯でどんなプレーをしていたか良く研究すべきです。例えば、縦に抜くと見せかけてカットインしてから、ペナルティエリアの角付近でクロスをあげるというプレーをもっと使うべき。守る側からすると、ペナの角付近からあげられる正確なクロスは対応する時間が少なく、中の選手にピタリと合えばマークのズレからゴールになりやすいものです。このプレーで相手が対策をとってきたときは逆をついて、普段よく使っている縦に抜けてクロスというプレーをやれば、相手に読まれにくくなるのではないでしょうか。

森重選手も、不用意なパスからピンチになりかけたシーンが2度くらいありました。パスを出すときは「なんとなく」ではなく、味方にどういったプレーをして欲しいのかしっかりとメッセージをこめて出して欲しいです。

香川選手は、前半チームがロングボールを使った攻撃をやっていたせいもあってやむをえない面もあるのですが、消えていた時間が長かったですね。後半ジャマイカの足が止まり、日本の攻めが少しポゼッションサッカーっぽくなってくると、本田・柴崎・長友選手らとのからみで彼のシュートやチャンスメークのシーンが増えだしたのは、なんと言っていいのやらです。

柴崎選手も悪いというわけではないのですが、オウンゴールを引き出した前半よりも、香川選手と同じ理由で後半の方が良い出来だったと思います。しかしシュートを打てる場面でも初めから次の選択肢をパスに決め打ちしているようなプレーばかりで、そこは大いに不満。もっとゴールへの積極性を見せて欲しいです。でないと第二の清武選手みたいになってしまいます。

        ☆        ☆        ☆

 ジャマイカ戦は勝利という結果は順当だったものの、内容については今ひとつ。塩谷選手がセンターバックのレギュラー候補として名乗りをあげたということが数少ない収穫だったでしょうか。

 それではお約束どおり、当研究所がジャマイカ戦に注目していた理由をお話ししたいと思います。

アギーレ監督を招へいした原博実・専務理事は「戦術の引き出しの多さ」をその理由の一つにあげていました。

これまで対戦したウルグアイなりベネズエラは、日本と互角か相手の方が実力的に上だったので、カウンターという「弱者のサッカー」を日本がやるのはある意味、理にかなっています。

しかし今回の相手ジャマイカは日本より実力が下であることがわかっているチームであり、そういう相手に対してアギーレ監督がどういった戦術をとるのかとても興味がありました。

具体的には、「戦術の引き出しが多い」というのであれば、相手が強ければカウンターサッカーをやり、相手が弱ければ今まで通りボールをポゼッションして相手をガンガン攻める攻撃的なサッカーをやるというふうに、戦術を使い分けたりするのかということです。

結論から言えば、ジャマイカという格下が相手であっても、アギーレ監督は「堅守速攻型のカウンターサッカー」を選択していました。

原さんは「戦術の引き出しが多い」と言っていましたが、今のところアギーレ監督の戦術は、相手が日本より強かろうが弱かろうが「カウンターサッカー」一つしか見せていません。

「あえてそうしている」のならともかく「それしかできない」のであれば問題です。

まだテストマッチが11月まで3試合ありますから、そこまでは日本代表サポとアギーレ監督の「ハネムーン期間」として様子を見るつもりですが、数ある戦術のひとつとしてカウンターサッカーをやるというならともかく、これからもアギーレジャパンが「たとえ相手が強かろうが弱かろうが、カウンターサッカー一本で行く」というのであれば、私は支持できません。

その理由はおいおい述べていくつもりですが、「勝ちさえすれば内容はどうだってかまわない」という、目先の利益にとらわれたサッカーを選択するなら、長い目で見た場合いつか痛い目を見ると思います。

 最後に、あまりヒステリックに「差別!差別!」と叫びたくはないのですが、俳優の岩城滉一氏が日本代表の選手たちを指して「猿」「オランウータン」と発言したと報道されていますが、これが事実とすれば日本代表を応援している人みんなが大変残念で悲しく思っていることでしょう。

報道記事) 

日本サッカー協会も村井満チェアマンもこの発言を知らないのか、まだ何も対応していないようですが、岩城滉一氏に断固抗議をして謝罪を求めるとともに発言の撤回を求めるべきです。

     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇

    2014.10.10 デンカ・ビッグスワンスタジアム(新潟)

        日本  1 - 0 ジャマイカ

 O.G.(ノスワーシー)16'


      GK 西川       GK トンプソン

      DF 長友       DF ノスワーシー 
        (太田 89)       モーガン
         森重          テーラー
         塩谷
         酒井       MF パウエル
                      フィンドレイソン
      MF 細貝         (グレイ 64)
         香川          ワトソン
        (田口 90+)      ローレンス
         柴崎          グラント
                     (ベンボー 75)
      FW 武藤        
        (柿谷 74)    FW ロザ
         岡崎         (シートン 46)
        (小林 59)       リチャーズ
         本田         (マトックス 46)
 


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■アギーレジャパン初勝利も微妙な内容

 日本・ジャマイカそれぞれの代表監督にとって縁の深い新潟で行われたテストマッチは1-0で日本が勝ち、アギーレジャパンはようやく初勝利をあげました。

(2002年W杯のべニューとなったビッグスワンスタジアムにおいて、アギーレ氏はメキシコ代表を率い、シェーファー氏はカメルーン代表を率いて戦った)

今回の対戦相手ジャマイカは、イングランドやアメリカなどでプレーする選手に国内組をあわせたチーム。ホームでもアウエーでも日本が勝たなければならない相手でしたが、日本の勝利で終わったことは順当な結果だったと思います。

しかし試合内容については課題が多いですね。

 サッカーというスポーツは、ボールを持つ選手と持たない選手による一対一の対決が前後のプレーとは関係なしに、コマ切れのように90分間積み重なっていくゲームなのではなく、

攻守のプレーで試合の流れを自分たちのチームでつかみ、その流れが自分たちの方へ来ている間にゴールに結びつけることができるか、相手に試合の流れが行っているときにどれだけ辛抱して点を与えず、できるだけ早く流れを取り戻すことができるかによって勝敗が左右されるスポーツだと考えています。

それではこのジャマイカ戦、日本は試合の流れをうまくつかめたのかどうか、試合展開を振り返ります。

        ☆        ☆        ☆

 試合は前線から厳しいプレスをかけ、ボールを奪うと長短のカウンターを仕掛ける日本が、まずゲームの流れをつかみました。

6分、本田のゴール右を襲ったFKはGKトンプソンがナイスセーブ。

16分、前線のプレスから岡崎が良い位置でボールを奪取、本田→柴崎とつないで上げたペナルティエリア右からのクロスは、トンプソンがはじきますが、これがDFノスワーシーの体に当たってゴールイン。日本が早くも先制します。

ここから勢いに乗って追加点で相手をたたみかけたいところでしたが、速攻を仕掛けるも、あまり質の高いチャンスはつくれない日本。

それでも32分、相手のミスからボールを奪った酒井を起点にショートカウンター、酒井がウラヘ抜けた本田にスルーパス、相手GKと一対一となった本田が放ったループシュートは惜しくもクロスバーの上。

40分、本田のパスを受けた酒井が右サイドを突破してシュート、相手DFに当たったこぼれ球を岡崎がバイシクルシュートで狙いますが外れます。

 後半も高い位置からのフォアチェックで相手からボールを奪って攻める日本のペース。

11分、酒井からパスを受けた柴崎がゴール右サイド深くから岡崎へパス、これをダイレクトでシュートしますがトンプソンがセーブ。

14分、アギーレ監督は攻撃がうまくいっていないと見たか、岡崎に代えて小林を投入します。

16分、長友のパスを受けた香川がドリブルで相手をかわし左サイドからクロス、武藤がヘッドしますがトンプソンが片手でボールをかき出します。

20分、本田→柴崎→酒井とつないで、酒井が出したゴール前への折り返しを香川がシュートしますが、ゴールの右へ。

22分、ジャマイカの右CKから森重に競り勝ったモーガンがヘッドしますが、ゴール左に外します。

29分、香川とのワンツーから長友がペナへ侵入しGKと一対一になりますが、シュートを打ちきれず相手DFがクリア。

ゴールチャンスを決めきれず、攻守両面でだんだんとリズムを失っていく日本。

34分、長友が自陣でGK西川へ戻したパスが相手選手へのプレゼントボールになり、西川と一対一になりかかるも森重が戻ってボールを奪い返し事なきを得ます。

44分、ショートコーナーから途中出場の太田がクロス、これを小林がヘッドしますが枠をとらえられません。

結局スコアは動かず、1-0のままタイムアップとなりました。

        ☆        ☆        ☆

 それでは試合内容を見ていきましょう。今日はまず守備から。

守備はそこそこ良かったのではないでしょうか。

3トップから始まる厳しいプレッシングでボールを奪ったり、相手のミスを誘ってマイボールにしたりと、良くボールを奪えていたと思います。

こういった守備の姿勢は、カウンターサッカーにしろポゼッションサッカーにしろ絶対に必要な守備の基本中の基本ですから、今後も継続して高いレベルを維持できるようにしていって欲しいですね。

守備隊形をコンパクトにすることもだいたいできていましたが、間延びしてしまう時間もありました。

前からプレスをかけるときはバックラインを押し上げて陣形をコンパクトに保つか、さもなくばバックラインの位置を基準として前の選手がいったん戻ってそこからボールを奪いに行くか、チームとして「ボールの取りどころをどこに置くのか」の意志統一が必要です。

これまでの2試合は、自陣深くでミスをして相手にボールをプレゼントしてゴールを決められてしまい、それが1分1敗という成績につながっていましたから、「自陣深くのミスで相手にボールをプレゼントしない」というのが守備のテーマとなっていましたが、失点こそしなかったものの、この試合でも長友選手が決定的なミスを一つ、森重選手が二つほどやってしまいましたね。

長友選手にしたって、これまでこんなことはなかったのに、アギーレジャパンになってからこのようなイージーミスをチームで連発している理由がよくわからないのですが、本当に注意して欲しいです。

 攻撃に関してはあまり良くなかったと思います。

シュートの決定力については、選手それぞれで個の能力を高めていって欲しいのですが、攻撃の組み立て方にも課題は多かったですね。

この試合も、攻撃の主な形は後ろからロングボールを前へ放り込んで、3トップがボールをおさめて前線で基点をつくり、上がってきたサイドバックを使ってクロスというものでした。

こういうサッカーだと、香川・柴崎の両ハーフの頭上をボールが超えていって、彼らのようなタイプの選手をあまり生かせないように思えます。

浮き球のロングボールが攻撃の主体なのでそのボールを相手DFのウラで受けたくて、2人のハーフまで相手DFと同じラインまで上がってしまうために、4-1-5みたいなフォーメーションになり、「5トップ」が足を止めてバックがロングを蹴るのを待つシーンも目立ちます。

今回は相手がジャマイカでしたから、そこそこ決定機をつくれていましたが、相手の個の能力そしてチーム組織力が自分たちよりも高い場合に機能する攻撃なのか疑問です。

ショートカウンターをやりたいなら良いときのドルトムントみたいに、前線の3人なり4人なりが適切な距離間でもっと有機的にからみ、グラウンダーのパスを中心に次のプレーへの判断を素早く的確にして、相手の守備の急所を突くような攻撃をすることでゴールを奪うシーンをどんどん増やすべきでしょう。

そうすれば、香川選手なんかはもっともっと生かせると思うのですが。

というわけで勝つには勝ったものの、日本代表のゲーム内容はトータルで見ると今ひとつパッとしない出来でした。

        ☆        ☆        ☆

 次回は個人レベルで良かった選手、そうでなかった選手についての評価と、当研究所がこのジャマイカ戦を「ブラジル戦よりも注目している」と予告した理由について、アギーレ監督が目指していると思われるサッカースタイルとからめながら述べていきたいと思います。

次回へつづく



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■ジャマイカ・ブラジル戦に向けた代表メンバー発表

 今月行われる日本代表のテストマッチ、対ジャマイカ戦(10日)と対ブラジル戦(14日)に招集されたメンバーが発表されました。

次の通りです。


GK 川島 永嗣 (リエージュ:ベルギー)
   西川 周作 (浦和)
   権田 修一 (F東京)

DF 吉田 麻也 (サウサンプトン:イングランド)
   水本 裕貴 (広島)
   長友 佑都 (インテルミラノ:イタリア)
   酒井 高徳 (シュツットガルト:ドイツ)
   塩谷  司 (広島)
   太田 宏介 (F東京)
   昌子  源 (鹿島)
   西  大伍 (鹿島)

MF 香川 真司 (ドルトムント:ドイツ)
   柴崎  岳 (鹿島)
   細貝  萌 (ヘルタベルリン:ドイツ)
   森重 真人 (F東京)
   田中 順也 (スポルティングリスボン:ポルトガル)
   森岡 亮太 (神戸)

FW 本田 圭佑 (ACミラン:イタリア)
   岡崎 慎司 (マインツ:ドイツ)
   武藤 嘉紀 (F東京)
   柿谷 曜一朗(バーゼル:スイス)
   ハーフナー・マイク(コルドバ:スペイン)
   小林  悠 (川崎)


 今回招集されたメンバーを見ますと、酒井宏・坂井・扇原・大迫・皆川といった選手が外れ、塩谷・昌子・ハーフナーら各選手が久しぶりに呼ばれました。

長谷部選手も選考から漏れましたが、香川選手がアギーレジャパン初招集となっています。
Jリーグで結果を残している川崎の小林選手も代表に初めて呼ばれました。

FC東京の太田選手も初招集じゃないの?と思ったのですが調べてみると、岡田ジャパン当時の2010年1月、イエメンとのアジアカップ予選に出ていたんですね。

代表で彼のプレーを見た記憶がどうしても思い出せないと思ったら、ジーコジャパンが2006年ドイツW杯で惨敗して、あの当時は代表人気が最低だった時期。

イエメンの首都サヌアで行われたその試合は、日本でTV中継がありませんでしたから、私が彼のプレーを見た記憶を持っていないも当然でした。

代表におけるセンターバックの人材不足はあいもかわらず解消されていません。

今回呼ばれた塩谷・昌子の両選手には期待したいと思いますし、選考から外れてしまった選手はクラブで個の能力をあげることに全力で取り組んで欲しいです。

 10月のテストマッチはブラジルとのゲームを楽しみにしている代表サポが多いのではないかと思いますが、当研究所はむしろジャマイカとの試合に注目したいです。

これまでの2試合は、日本よりやや上か互角の実力を持った相手との試合でした。しかし今度のジャマイカ戦は失礼ながら、アギーレジャパンにとって戦力的に格下であることがはっきりした相手との初めてのゲームとなります。

そこでどういった内容のゲームをやり、勝利という結果をつかむのかという点に注目して試合を見たいと思います。

 ところで、アギーレ監督がリーガエスパニョーラのサラゴサを指揮していたときに、八百長試合に関与した疑惑がもちあがり、スペイン検察当局から事情聴取のために出頭を要請されているとスペイン国内で報じられています。

事の真偽はわかりませんが、正式にスペイン検察からアギーレ監督に対する出頭要請があった時点で最悪の事態に備え、日本サッカー協会(JFA)はアギーレ監督に通告した上で、次の代表監督候補のリストアップと、もし必要ならば契約交渉開始に備えた事前接触を水面下でやっておくべきだと思います。

来年1月に行われる公式戦・アジアカップ2015も間近に迫っていますし、リスクマネジメントの上からも当然のことです。

「アジアカップで日本代表を指揮する人が突然いなくなる」という最悪の事態が発生してから、「そんなことは想定外だった」などといってJFAがオロオロする姿だけは見たくありません。



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