■2014年07月

■新監督はアギーレ氏

 25日、日本サッカー協会(JFA)は新たな日本代表監督をメキシコ人のハビエル・アギーレ氏(55歳)に決めたと発表しました。

報道によれば、基本の2年契約に加えさらに2年契約を延長できるオプション付きという条件で、アギーレ氏と話し合いがまとまっているとされています。

同時に彼を補佐するコーチ陣3人も明らかにされています。コーチ陣はU-21日本代表を見ている手倉森監督を含め、さらに数人が追加されるもようです。


☆コーチ スチュアート・ゲリング(イングランド)

☆フィジカルコーチ ファン・イリバレン・モラス(スペイン)

☆GKコーチ リカルド・ロペス・フェリペ(スペイン)


 アギーレ氏の手腕については予断をもたず、これから実際にどういった試合をするかで判断したいと思いますが、守備的なゲームをやることが多いという話が出ている点についてはちょっと気になります。

原博実・技術委員長は、ザックジャパンの「攻撃的なサッカー」という方向性は間違っておらず、新監督にはそうした方向性を継続していってもらえる人物を選ぶと言っていたような気がしますが、そのあたりはいったいどうなってしまったのでしょうか。

岡田さんがオシムジャパンのスタイルを継続すると言いながら、最終的にまったく違った方向へ行ってしまった過去があるので疑問が残ります。

私は、日本代表がブラジルW杯に挑むにあたり、基本的には自分たちがやりたい攻撃的ポゼッションサッカーで行って、相手が自分たちより強かった場合などはより現実的に、堅守速攻型にスタイルを切り替えた方が良いのではないかと考えていました(記事・ブラジルW杯のための予備登録メンバー発表)が、あくまでも自分たちが目標とする理想を追求しつつも勝ち続けるためにリアリズムも忘れないという柔軟なやり方で、これからも行った方が良いと思います。

しかし、相手が強かろうが弱かろうが初めから「失点しないサッカー、負けないサッカー」ありきで、守備的にゲームをすすめる監督さんは支持できません。

サッカーは相手があることですから常にリアリズムを忘れてはいけませんが、だからといって「勝つためならどんなサッカーだってかまわない」という志の低い考え方では、たとえそこそこ結果が出たとしても、日本サッカーの大きな進歩発展は望めないと思います。

 ところで原技術委員長とアギーレ氏との交渉が続いていた時期に、一部の元日本代表選手やサッカー解説者が「ザッケローニ監督の後任は日本人監督にすべきだ」と主張しているのを目にしました。

その理由として「ブラジルW杯ベスト4に進出した国はすべて自国人監督が指揮していたから」ということをあげていましたが、しかしこれは「結果」を誤って解釈してしまっていると思います。

じゃあ自国人監督にさえ任せれば、クック諸島代表やアンチグア・バーブーダ代表だってW杯のベスト4に進出できるようになるのでしょうか?

違いますよね。

ブラジルW杯のベスト4に進出した国々はすべてプロサッカーの長い歴史をもつ強豪国ばかりで、それは優秀な選手はもちろん、戦術的な知識もチームマネジメントの経験も豊富に持っている優秀な監督を自分の国のなかだけで「自給自足」できるからであって、それが「W杯ベスト4進出国すべてが自国人監督だった」という結果につながったわけです。

将来的には、日本代表が日本人監督の指揮でW杯優勝を目指すというのがベストシナリオだとは思いますが、残念ながら世界に通用する自国人監督がまだ出てこない今の日本に適用できる話ではありません。

2012年ロンドン五輪にのぞむチームを任された関塚さんは、将来の日本代表監督就任も見据えた、あの時点における「日本人で最も優秀な指導者」として呼ばれたはずですが、初戦のスペイン戦はともかくとしても、日本と互角かやや格下と思われたモロッコやホンジュラスにさえ、守りから入って俊足FWの永井選手を生かすカウンターサッカーをやっていて、前に出てきた相手からカウンターで先制点をあげられれば勝つ可能性が高いが、先に失点してしまうと引いた相手を崩す攻めの戦術がないのでそこで終わりみたいな、消極的であまり将来性を感じられないサッカーでした。

関塚ジャパンは使える戦術がたった一つしかなくて、正直日本人の日本代表監督は時期尚早じゃないかと思ったものです。

ロンドン五輪アジア予選においても、日本より明らかに格下のクウェートに対して、アウエーだからといって相手の良さを消しに行く消極的なサッカーを選択して負けてしまうという、弱気な采配も気になりました。

ようやく日本のサッカーがプロ化したのが1993年であり、そこからスタートして今や欧州のビッグクラブでプレーする選手が現れるなど、日本サッカーの発展スピードはあまりにも急激でした。

そのため、監督になるような年齢の人たちの多くは現役時代アマチュアで、プロの選手として高いレベルのサッカーを経験しておらず、また世界最先端のサッカー戦術やチームマネジメントの知識も十分ではないのが実情です。

そこがドイツやアルゼンチン、オランダとの大きな違いとなっています。

日本人のJリーグ・クラブ監督がACLで優勝、さらにクラブW杯でも好成績を残し、それを認められて日本人監督が欧州4大リーグのクラブを指揮するようになって結果を出せれば素晴らしいですし、「じゃあその人を代表監督に」ということにもなると思うのですが...。

あるいは欧州クラブのジュニアやユースのチームを任されてそこで成功し、トップチームのコーチに昇格して監督を補佐、そこでの手腕を評価され、ついにはトップチームの監督に抜擢されて結果を残す、という道もあるでしょう。

手倉森氏をU-21代表監督に据えたのは、やはり将来の代表監督就任を見据えた日本人指導者の育成という意味あいがあるのでしょうが、手倉森さんはベガルタ仙台時代に堅守速攻型のサッカースタイルで結果を残してきた人であり、彼にU-21代表を任せたりアギーレ・ジャパンのコーチとして入閣させるのは、「ザックジャパンの攻撃サッカーという方向性は間違っていなかった」という原技術委員長の言葉や、長期的な視野に立ち一貫した戦略のもとで日本代表を強くするということと矛盾するように思えるのですが、どうなんでしょうか。

 さて、アギーレ氏の日本代表監督就任が発表された記者会見において、原技術委員長からブラジルW杯における日本の敗因分析も語られました。

そこで、キャンプ地をイトゥにしたことで長時間かけて試合会場入りしなければならず、しかも会場入りが試合の前日となったことで代表各選手のコンディションが万全ではなかった、指宿での国内合宿で負荷をかけすぎたことも失敗だったという話が出ました。

私は日本代表のブラジルでの敗因として、悪い結果が起こることを恐れた選手が「ビビッてしまい」、自分たちが持っている本来の実力を十分発揮できなかったという選手たちの精神的な未熟さが60%、選手の肉体的コンディションの不良が30%、その他の理由が10%だと考えています

それでも、「暑いマイアミでしっかり合宿をすれば、涼しくて湿度の低いイトゥを本拠地にしても暑熱対策の効果は持続するし、蒸し暑い試合会場にはゲームの直前に入れば大丈夫」という、大会前にJFAがしていた説明が間違いであったことが明らかになったわけで、これについては厳しく批判されなければなりません。

いったいぜんたい誰がそんなデタラメを主張していたのか、ザックジャパンのコーチか、JFAの日本人スタッフか、はたまた原技術委員長だったのかをはっきりさせて、しっかり責任をとってもらわなければならないでしょう。

W杯のグループ分けと試合会場が抽選で決まる前に、ブラジルでの日本の活動拠点を決めなければならなかったという釈明も原委員長からありましたが、たとえそうであったとしても、もっとやり方はあったはずです。

比較的涼しいポルトアレグレ・クリチーバから熱暑のマナウスやレシフェ・クイアバーまで開催都市は事前にすべて分かっていました。

暑いところで生活している選手が涼しいところで試合をするよりも、涼しいところで生活している選手が暑いところで試合をする方が適応が難しく、試合中に足が止まるのが早くなるというのはサッカーの常識です。

よって日本がどこで試合をするかまだわからない段階だったとしても、気温が高めのところでなるべくクーラーを使用しないで生活でき、なおかつブラジルW杯のどのスタジアムへもできるだけ短時間で移動できるようなキャンプ地を探すべきだったと思います。

 あと、ブラジルW杯直前に起こった出来事で非常にまずいなと思ったのは、大仁邦弥JFA会長とザッケローニ氏がブラジルW杯後に代表監督の契約を延長しないことで合意したというニュースが流れたことです。

勝っても負けても大会後にクビになると初めから決まっていれば、代表監督としてワールドカップに勝とうとするモチベーションが落ちるのは必然であり、W杯が終わった後にザッケローニ氏との契約を延長するか打ち切るかを決める時間はいくらでもあったのですから、ザッケローニ氏に「ブラジル大会が終わるまで契約延長の是非を決めるのは待ってほしい」と言うべきでした。

仮にザッケローニ氏が「ブラジル大会が終わったら辞任したい」という強い意志を持っていたのだとしても、選手に悪影響を与えないために、絶対にそうした情報を外に漏らしてはいけなかったと思います。

こうした意味において、JFAの情報管理は極めてお粗末でした。

Jリーグのクラブでも、まだ天皇杯の公式戦が残っているのに「○×監督今季限りで辞任」と発表しておきながらチームの指揮はそのままシーズン最後まで任せることがよくありますが、「もう監督の指示には従わなくてもいいや、もうすぐクビになるのだから」と考える選手が出てくる可能性がありますから、チーム内の規律やまとまりの維持のため、さらには選手の動揺を避けるためにもこういうことは避けるべきです。そのクラブが天皇杯を初めから捨てているのであれば別ですが。

ましてや大事な大事なブラジルW杯の直前に、「ザッケローニ監督はブラジルW杯かぎり」という決定を下し、それを報道に漏らしたJFAと大仁会長のマネジメント能力には、大いに疑問が残ります。

そのときすでにアギーレ氏と原委員長とが水面下で接触していたという報道もありましたが、次の代表監督を早く決めるために「ザックはブラジルで最後」ということを大会前に決定したのだとしたら、きわめて愚かとしか言いようがありません。

なぜなら「W杯で日本が勝つために、監督や選手のモチベーションを高く保ったまま大会に集中できるよう、余計な雑音を入れない」ことよりも、「次の日本代表監督を早く決める」ということを優先させたからです。

もし本当にそうなら、これほど物事の優先順位を間違えた、極めて愚かな決定もありません。

 ともかく、ブラジルW杯が残念な結果に終わり、2018年W杯ロシア大会での失敗は許されなくなりました。

アギーレ新体制に決まった以上、がんばってもらわなければなりません。



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