■2013年03月

■日本代表、ヨルダンで自らの弱さに負ける(その2)

 前回からのつづき

 それでは特筆すべき選手を、まずチームに貢献した方から。

香川選手は久しぶりに代表での良いゴールでした。ただ、攻撃のリーダーとしてはまだまだ物足りません。
ファーガソン監督からもアドバイスされていると思いますが、ペナの中からだけでなく外からミドルシュートを正確に叩きこむ能力を身につけることができれば、C.ロナウドやルーニーのようなユナイテッドのレジェンドたちにもっと近づけます。彼らみたいに人並み外れたパワーがなくてもそれは可能なはず。バイタルでちょっとスピードに乗り、目の前にいるDFにワンフェイント入れて振り回し自分でシュートコースを空けたら後は狙ったところに打つだけです。

遠藤選手はもともと守備は得意なほうではありませんが、この試合では体を張ってボール奪取に貢献。PKは、あれが彼の精一杯のキックであれば非難はできないでしょう。

逆に清武選手はアシストがあったものの攻撃面で大ブレーキ。自分の目の前にゴールとGKしかいない状況でパスに逃げてしまったり、シュートをためらっているうちにコースがなくなったりしたことでチームが勝つためのゴール決定機を何度も失ってしまいました。ラストパスやクロスもミスが多かったです。もちろんゴールするに越したことはありませんが、ベストを尽くしたシュートならば例え外れても非難する人はいないと思います。失敗を恐れず勝負して欲しいです。

岡崎選手はシュート意識の高さは買いますが、セットプレーから致命的なマークミスでホームチームに絶対やってはいけない先制点を献上。今後セットプレーにおける日本の弱点として、身長があまり高くない岡崎選手にヘッドの強い選手をぶつけてCK・FKを挑んでくるチームが出てくることも考えらえるので、要注意です。

酒井高徳選手も、決勝点を与える痛恨のダブルミス。
サイドバックとして自分の後ろに誰もいない状況で相手選手をドリブルで抜きにかかるというハイリスク・ローリターンのプレーをしてしまったことが一つ目。自分のミスを自分でカバーしようとせず、ドリブルするハイル・イブラヒムの背後をスピードをゆるめて追いかけ、吉田選手との一対一を見てるだけだったのが致命的ミスの二つ目。あのような状況では全速力で戻り、吉田選手のやや後方に位置して相手の突破に備えるカバーのポジションをとらないといけません。こういったリスクマネジメントのやり方は個人戦術の基礎として、せめてユース年代を卒業するまでには体で覚えていて欲しいもの。もし酒井選手がまったく知らなかったのであれば、あの失点は日本の選手育成システムの敗北でもあります。

ドリブルで振り切られた吉田選手は、酒井選手のダブルミスを一人でカバーしなければならず、失点をすべて彼の責任にするのはちょっと酷でしょう。ただ相手はシュートするために必ずゴールがあるピッチ中央へ向かってドリブルしなければならず、吉田選手は相手よりもピッチ中央側にいたわけですから、相手と並行に走るのではなくゴールまでの最短距離を戻れば、もう一度相手にタックルするチャンスがあったかもしれません。こういった失敗もプレミアを代表するセンターバックになるために必要な経験ですね。

ザッケローニ監督の采配面では、相手に先制されてもなお攻撃で機能していない選手をひっぱり続けたのは疑問です。どんなに遅くとも後半15分までにはシュート意識が高い乾選手を入れるなどして、停滞したチームに「シュートしろ」という明確なメッセージを送るべきだったと思います。

        ☆        ☆        ☆

 この試合は結果も悪かったですし試合内容も良くありませんでした。

私がヨルダン戦を見て一番失望したのは、敗戦という結果ではなくて、選手一人一人が攻撃でも守備でも勝負することから逃げ腰だったことです。

「オーストラリアがオマーンと引き分けたのが試合前に分かっていたので、ヨルダン戦は引き分けてもW杯に行ける。だから失敗しないように大事に行きたい」

「シュートを絶対に失敗しないように無人のゴールに蹴りこむだけにしたい。だからペナの中でGKをかわせるまでパスをつなぎたい」

「相手に絶対に抜かれないように、うかつに飛び込みたくない」

もしそういう気持ちが心のどこかにあったのなら、わからなくもありません。

自分のゴール前でDFがメッシをドリブルで抜きにかかるほど、無謀で無意味な行為はないでしょう。

しかしこれまで何度も言ってきたように、「消極的な安全策ほど危険な策はない」のです。そして「サッカーとは、弱気で消極的な選手・チームが罰を受けるスポーツ」です。

その罰が、数か月前に6-0で勝った相手から勝ち点1さえ取れないという結果でした。

世界を代表するトップアスリートで「バスケットボールの神様」と呼ばれたマイケル・ジョーダンがいます。

競技こそ違いますが、成功者の考え方、勝利者が持っているメンタリティの一つとして彼の言葉を紹介したいと思います。

「挑戦することを恐れるな、自分が挑戦しないことを恐れろ」

挑戦しなかったから、大事なW杯予選で負けるというとても悔しい結果を導いた。日本の選手はこれを恐れて欲しいです。

そしてもう一つ。

「私は9000回以上シュートを外し、300試合に敗れた。試合の勝敗を決めるシュートを任されて26回も外した。人生で何度も何度も失敗してきた。だから私は成功したんだ」

W杯予選という真剣勝負の場で、あるいはチャンピオンズリーグという最高の舞台で、今の実力を出し切ったベストのシュートを実際に外してみて、初めてわかることもあるのではないでしょうか。

それは挑戦した者だけに許される、うらやましい特権なのです。

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     2013.3.27 キング・アブドラ2世スタジアム(アンマン)


       ヨルダン  2 - 1  日本


       バニアテヤ 45'+      香川 69'
      H.イブラヒム 60'



      GK S.サバハ          GK 川島

      DF F.オスマン         DF 内田
         A.バニヤシン          吉田
         ムスタファ            今野
         ザフラン             酒井高
        (アドゥース 38)        (駒野 79)

      MF アルムルジャン      MF 長谷部
         アブハシャシュ         遠藤
         アルサイフィ           岡崎
         Am.ディーブ           香川
        (アルダルドル 84)       清武
         バニアテヤ           (乾 86)

      FW H.イブラヒム       FW 前田
        (サリム 67)         (ハーフナー 64)




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■日本代表、ヨルダンで自らの弱さに負ける

 昨日行われたW杯アジア最終予選のヨルダン戦は、1-2で日本代表はゲームを落としてしまいました。

対戦相手のヨルダンはサウジやUAEなど海外でプレーする選手と国内組で構成されたチームです。

日本との実力差はホームでもアウエーでも日本が勝利できる程度と評価していましたが、1-2で敗れるという結果はあってはならないものだったと思います。

実際、埼玉で0-6で日本に負けたヨルダンが短期間で急激に強くなったというよりは、日本が自滅したゲームだったといえるでしょう。

        ☆        ☆        ☆

 ゲームは引き分け狙いのせいかヨルダンが慎重なゲームの入り方をしてきたため、立ち上がりは日本が優勢にゲームをすすめます。

前半4分、香川のスルーパスを受けた清武がウラへ抜け出しGKと一対一になるもパスを選択し、香川がシュートしましたが、体を張った相手に防がれます。

14分、清武の左サイドからのクロスを相手のマークをうまく外した前田がヘッド、これは相手GKがセーブ。

15分をすぎると日本の攻勢が弱まり、試合は一進一退の展開に。

16分、日本の右サイドをハイル・イブラヒムに抜かれシュートされますが、川島が防ぎます。

22分、右サイドで内田・長谷部とつないでクロス、これを前田が再びヘディングシュートしますが惜しくもバーに当たって外れます。

35分、香川のドリブルが防がれたこぼれ球を長谷部がミドルシュート、これはゴール右へ。

前半ロスタイム、たった一つのプレーからゲームの流れは大きく変化します。ヨルダンの左CKから岡崎のマークが甘くなったところをバニアテヤの強烈なヘディングシュートを食らい、日本は絶対にやってはいけない先制点を与えてしまいます。

後半は、先制点を奪ったヨルダンがあまり前に出てこなくなり、日本が同点に追いつくべく前がかりになって攻める展開に。しかし、パスばかりでなかなかシュートを打とうとせず時間ばかりが過ぎていきます。

10分、中央でパスを受けた香川が落としたボールを走りこんだ岡崎がシュートしましたがGKが良く反応して防ぎます。

15分、左サイドでパスを受けたH.イブラヒムがカウンター攻撃、対応した吉田がドリブルで振り切られそのままシュート、日本は0-2とされ苦しくなりました。

二点差とされて目が覚めたように運動量が増え、遅まきながらようやく必死になって攻めにかかる日本。

24分、縦パスを清武が背後に浮かしたラストパス、ウラへ抜け出した香川がこれを決めて1-2とします。

25分、スルーパスに抜け出した内田をヨルダンの選手が遅れてタックルし、PK獲得。キッカーは遠藤でしたが、ゴール右へのシュートはGKが横っ飛びで防ぎます。

36分、右サイドをくずして清武が長谷部へつなぎミドルシュート、これはGK正面。

43分、駒野のクロスをハーフナーがヘッドで落とし、今野がシュートしますがゴール右へ外れます。

この後はヨルダンに上手く時間を消費されゲームセット。日本は力を出し切れないまま敗れました。

        ☆        ☆        ☆

 レーザー光線やらなんやらありましたけど、この試合最大の敗因は「日本の選手たちが失敗を恐れ、勝負することから逃げていた」

この一言につきます。

自分のプレーが悪い結果になることを恐れ、攻守にわたって「サッカーの試合に勝つためにやるべきこと」をやっていませんでした。

これでは負けるのは当たり前。

 攻撃では相手に2点差をつけられるまで、自分がボールに関わってミスするのを嫌がっているのか、味方のボールホルダーを周囲の選手が足を止めて遠巻きに見ているだけ、というシーンが目立ちました。

カナダ戦から全く改善されておらず、これでは効果的な攻撃の組み立てはできません。

味方のボールホルダーのまわりにいる選手はもっと近寄って(だいたい7m以下に)、複数のパスコースをつくりプレーの選択肢を増やしてやらないと。

そして攻撃の最大の問題点は、シュート意識の圧倒的低さ。

今に始まったことではありませんが、ペナルティエリアに侵入して、相手GKと一対一になってもま~だパスの相手を探しています。

「シュートする角度が少なかったから」「もっと良い位置に味方がいたから確率の高いほうを選んだ」

そんなことは、シュートから逃げていることの言いわけにすぎません。

この試合、ペナに入ってからのクロスやスルーパスは長すぎたりタイミングがあわなくてなかなかシュートできませんでした。

必ずしも「パスの方が確率が高い」なんて言いきれません。むしろペナの中で時間をかければかけるほど相手DFが戻ってきて、良い体勢からシュートを打つチャンスが減ってしまいます。

同じ日に行われたオーストラリア対オマーン戦で、オマーンの先制ゴールは角度のないところから強引に打ったシュートが、シュウォーツァーの股間?を抜けてゴールになっていますよね。

GKが強烈なシュートを前にこぼしてそれをプッシュできるかもしれない、OGがあるかもしれない。シュートを打たなければ何も始まらないんですよ。

シュートしなければゴールは奪えませんし、ゴールしなければ試合にも勝てません。

特に試合の前半、日本の選手は足でシュートすることから逃げていました。

試合の前半、清武選手が二回ほどペナに入って自分の前にGKしかいなかったとき、打てる最初のタイミングで一本でもシュートしていてそれが入っていたら、このゲームの結果はまったく違ったものになっていたでしょう。

あそこでシュートを打つ勇気があるかどうかで、欧州四大リーグで成功できるかどうかが決まるのだと思います。ニュルンベルクで今一つ成功できていない原因はここにあるのではないでしょうか。

ピョンヤンで行われたW杯3次予選でも試合終了間際、長谷部選手がGKと一対一になりながらパスに逃げてしまいましたし、アジアカップ2011の韓国戦だったと記憶していますが、遠藤選手も一対一の場面で味方へのパスを選んでしまっていました。

香川選手や長友選手でさえシュートが打てるのにためらってしまうシーンを見かけますし、代表で一番ハートが強い本田選手でもそういうケースがあります。

世界トップレベルの選手、メッシやC.ロナウド、ファンペルシーがシュートから逃げるというシーンをほとんど見たことがありません。

W杯で優勝するということは、こういう選手がいるチームからゴールをあげて勝つということであり、現時点において、日本の選手はW杯優勝を狙うために必要な精神力の強さがまったく足らないと言わざるをえません。

こうなったらGKをつけてペナルティエリア内の角度のないところからシュートを打ったり、DFをつけてペナの外側からミドルシュートを打つ練習を徹底的にやるべきではないでしょうか。

ペナに入って自分の前にGKしかいなかったら必ずシュートしなければならない、もしパスしたら交代という縛りをかけて練習試合をやるのも良いでしょう。

 守備でもやるべきことが全然できていません。

ザックジャパンは守備の時、4-2-3-1の両サイドハーフがボランチのラインまで下がって4-4-1-1のコンパクトなブロックをつくって守ることが戦術上のお約束ですが、この試合はそれをすっかり忘れてしまったかのように選手がばらけてしまって、あちこちにスペースをつくってしまいました。

敵がクサビの縦パスを入れたときもボールの受け手へのプレスが甘く、前を向いた相手ボールホルダーへのプレッシャーも弱くて、相手のドリブルにあわせてひたすらズルズルと下がって危険なシュートを打たれていました。

前回記事で、ヨルダンの攻撃パターンはヘディングシュートとバイタルからのミドル、そしてカウンターだと警告しておいたわけですが、まんまとそのうちの二つを食らってしまいました。

先制点を献上したシーンはボールウオッチャーになりすぎてマークがゆるくなった結果、相手に先に前へ入られて強烈なヘッドを叩き込まれてしまいました。カナダ戦の失敗が生かされていません。

二失点目のカウンター攻撃は、カナダ戦でも指摘したチーム全体の守備への切り替えの遅さという問題点もあるのですが、吉田選手が相手をディレイさせている間に酒井選手が全速力で戻り吉田選手の後ろに位置して、それを確認したところで吉田選手がプレスをかけ、相手が吉田選手をドリブルで抜きにかかってボールを体から離したところを後ろにいる酒井選手がカットするという守備の基本であるチャレンジ&カバーができていれば防げた失点でした。

この試合、ヨルダンのボール保持者へのプレッシャーが弱くなったのも日本の選手が失敗を恐れ、もしプレスをかけて抜かれたら怖いからとズルズルと下がって、ゴールが近づいてもう下がれないというところで相手にシュートを打たれていました。

抜かれるのが怖いなら、すばやく戻ってチャレンジ&カバーの態勢をとれば良いのに、そういったサッカーの基本ができていません。

どうしても一対一で対応しなくてはならない状況なら、相手がペナに入る前に日本の選手がベストと思われるタイミングでボールを奪うための勝負をしないと。

 もう何度も指摘してきましたが日本のサッカー選手の弱点の一つは、プレーをして悪い結果が出ることを恐れたりどんなに上手くても自分の能力に自信がなかったりといったメンタルの弱さです。

(もう一つはフィジカルコンタクトの弱さ)

その結果、日本の選手なりチームは、どんな状況でも安定して自分の実力を100%発揮するということが苦手のように見えます。

欧州リーグでゴールをあげたりすばらしいパフォーマンスを見せた選手が、次の試合からしばらく鳴かず飛ばずだったり、Jリーグなんかでも、降格争いをしているクラブのJ2行きが決定したとたん、それまでの金縛りにあったようなプレーがあとかたもなくなって、次の試合で優勝争いをしている上位チームを食ったりするのを見かけたりします。

でも、今までとほとんど変わらない選手たちでプレーしているのにまったく逆の結果になるということは、選手の心の持ち方しだいで結果は大きく変わるということですよね。

どんな状況でも、失敗を恐れず自分ができることを精一杯プレーすることに専念するということがいかに大切なことか、ということを示しているのではないでしょうか。

 こうしたことは、「失敗しない人間をつくる」という日本のしつけや学校教育にも問題があって、「失敗しないこと=成功」ではないんだということを理解している日本の大人が少ないということも大きく関係していると思います。

サッカー界としてできることは、子供の時から失敗を恐れずに自信をもってプレーすることの大切さを繰り返し教えることです。

そして自信をもってプレーさせるにはその裏づけとなるサッカーの基本を子供のときから身につけさせ、正しく習慣づけることが重要でしょう。

サッカー選手が必ず知っておくべき攻撃の一番の基本とは、自分の前に相手フィールドプレーヤーがいなければ、ゴールまでの最短距離をできるかぎり速くドリブルして、GKがいようがいまいが自分でシュートしてゴールを決めてしまうことです。

自分の前に相手フィールドプレーヤーが立ちはだかった時、初めてドリブルで抜くか味方にパスを出すか、フェイントで相手を振ってその前からシュートを打つか考えれば良いのです。

守備の基本はこれの逆です。 

相手ボールホルダーと自軍ゴールを結んだ線上(つまりゴールへの最短距離)に自分が立って、まずシュートコースを隠すこと。そして相手と適当な間合いをとってボールを奪う決断をしたら実行に移すこと。

こういう一対一のプレーの基本の上に、11対11のゲームがあるわけです。

日本サッカー協会に確認したいところですが、ジュニアユースまでにこうした基本がしっかりと日本の子供たちに教えられているのでしょうか?

日本人選手を見ていると、自分の前にGKしかいないのに「それが正しいことだ」という確信をもってシュートを打っている様子をあまり見かけませんし、カウンターで相手DFのウラに抜け出してゴールまであと25m、でもそのまま全速力でドリブルしてシュートするのではなく、わざわざスピードを落として左右を振り返って、味方が押し上げてくる「タメ」をつくっているシーンを見かけることもあります。

こういう現象が起こるのは、やはりサッカーの基礎がちゃんと教えられてこなかったからではないでしょうか。

今回の敗戦の一番根っこのところには、こういった個人戦術の問題もあると思います。

長くなりましたので、選手個々の評価は次回にしましょう。

つづく




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■日本代表、カナダ相手に低調な試合

 カタールで合宿をはっている日本代表は昨日カナダとのテストマッチを行い、2-1で勝利しました。

対戦相手のカナダは、ドイツやイングランドなど欧州でプレーしている海外組と、実質的な国内リーグであるアメリカでプレーしている選手で構成されたチームです。日本との実力差はホームでもアウエーでも日本が勝利できる程度と見ていました。

中立地で日本の勝利という今回の結果は順当なものでしたが、試合内容は低調なものでした。

それでは試合経過をダイジェストで。

        ☆        ☆        ☆

 立ち上がりは厳しいプレスをかけてくるカナダのペース。日本はパスをつなげずカナダに押し込まれる展開。

しかしワンプレーで流れががらっと変わります。

前半9分、相手のミスパスを拾った長谷部がスルーパス、ウラへ抜け出した香川より先にカナダGKがクリアしたもののボールはちょうど岡崎の前に。岡崎が飛び出したGKの頭を越すループシュートを放ち、これがうまく決まって1-0。

14分、香川からのパスを受けた乾がノールックで中央へ折り返し、前田がシュートしましたが大きく上にふかします。

19分、ゴール前でFK獲得。遠藤のキックは惜しくもゴールポストと相手GKに跳ね返されて決まりません。

26分、再び香川からのパスをもらった乾が中央へ切れ込んでシュートしましたが、大きくふかしてしまいました。

38分、味方からパスを受けたジョンソンがゴールやや右からミドルシュートを放ちましたが外れます。

 後半はトップ下に中村選手を入れたことでパスのつながりがいくぶんか改善されました。

3分、カウンターから香川が出したスルーパスにハーフナーが抜け出してGKと一対一に。ハーフナーもループシュートを選択しましたが、ゴール右へ外れます。

13分、カナダのコーナーキック。伊野波のマークが甘くなりフリーになったヘイバーにヘッドを決められ1-1。

これでカナダが勢いづき、16分にはエドウィニボンスに強烈なミドルを打たれますが、川島がナイスセーブ。

20分、再びカウンターから遠藤のパスを受けた酒井高がGKと一対一になりますが、またしてもシュートを外してしまいます。

29分、香川らが左サイドを崩して酒井高がクロス、相手に当たったボールのこぼれ球をハーフナーが冷静にゴールへ蹴りこんで日本が勝ち越し。

35分をすぎると日本は守備ブロックをつくってこのまま逃げ切る体勢に。

36分、日本のDFの前からお構いなしに打ってきたハッチソンの強烈なミドルは川島がセーブ。

39分、日本のペナルティエリア右からハッチソンがシュートするも川島が良く体に当て、こぼれ球に反応したリケッツのシュートも川島が体を張ります。

試合は2-1のままタイムアップとなりました。

        ☆        ☆        ☆

 つづいて試合内容の分析です。

まず日本代表の攻撃からですが、あまり良くはなかったですね。

味方のボールホルダーが一人で局面を打開するのをまわりの選手が足を止めて見ていることが多く、相手に厳しいプレスをかけられてボールホルダーが孤立させられパスがうまく回らないために、最後は苦し紛れの長いボールを前線に蹴りこむというケースも多かったです。

相手のプレッシングにあわせてパスを受けられるスペースも変わってきますから、もっと運動量を増やして相手選手間のギャップでパスを受けられる動きを粘り強く繰り返して欲しいです。

パスがうまく回らない原因は、選手間の距離が遠すぎたということもあり、選手間が遠いので一発のミドルパスで局面を打開しようと急ぎすぎてミスになるという面もありました。

パスが弱くて味方に届かなかったり、ボールを相手選手にぶつけてしまったりと、ショートパスもイージーミスが非常に多かったですね。

カウンター攻撃はまずまず良かったものの、攻撃の内容は低調だったと思います。

 守備面でも見過ごせない問題点が露呈しました。

失点シーンは相手の選手に対するマークが甘くなりフリーでヘディングシュートを食らうという、これまたイージーなミスから。

自分のゴール前ではたった一つのミス・たった一つの競り負けが失点に直結しますし、ヨルダンが得意とするゴールパターンはヘディングシュートと、バイタルエリアからのミドルですから、それを考えても一番やってはいけないミスでした。

日本のプレスディフェンスはケガを恐れているためか、相手ボールホルダーへの体の寄せが甘かったですね。本番のヨルダン戦でこういうことをやっては絶対にいけません。

守備ブロックのつくりかたは、後半25分過ぎから選手がばらけてしまって陣形が崩れた結果、守備が不安定となっていました。

試合の最後の方は日本が攻め上がった後、相手の速攻を受けても守備に戻れなくなるシーンが見受けられました。

南アフリカW杯では、参加国トップクラスの運動量が日本のストロングポイントになっていたわけですが、代表選手の欧州移籍が進んだ結果、欧州の寒冷な気候に慣れたせいか、毎試合90分間ゲームに出れていないせいかわかりませんが、代表選手のスタミナが落ちてきているのではないでしょうか。

埼玉でのイラク戦でも感じましたが、特に気温が高めなアジアでのゲームにおいて、日本の選手の足が止まるのが早くなってきた気がします。(長友選手を除く)

今回は合宿で負荷をかけているために後半の中ごろ以降足が止まったというなら良いのですが、持久力が低下しているなら何らかの対策を取らないといけないのかもしれません。         

        ☆        ☆        ☆ 

選手個々で特筆すべきは、まず川島選手。相変わらず安定したセービングでチームの勝利に貢献しました。

岡崎選手はループシュートを見事に決めましたね。ただ、つなぎの際にミスパスが多く守備の戻りが遅いのも頂けません。

ハーフナー選手は決勝ゴールを冷静に決めました。ポストプレーはもうちょっと味方へボールを落とす成功率を高めたいですね。

酒井高徳選手は、決勝点の基点となるなどサイドの攻め上がりは良かったです。しかし、後半は彼が上がった後のスペースをカナダにつかれて何度も逆襲を食らうなど、ポジショニングには改善すべき余地が。

逆に伊野波選手は、相手選手へのマークが甘くなり失点の原因となるなど致命的なミス。厳しいことを言うようですが、現時点における伊野波選手は代表のセンターバックを任せられるクオリティには達していないと思われます。伊野波選手はJリーグで能力を高めて代表へ再チャレンジしてもらうことにして、今は別の選手にチャンスを与えるべきではないでしょうか。

香川選手はトップ下であまり機能せず。ドルトムント時代にパスの供給源であったボランチのヌリ・シャヒンが移籍して一時期不調になったことがありましたが、この試合でも遠藤・長谷部の両ボランチとの距離間が悪かったせいか、香川選手にあまり良いパスが供給されず前半はほとんど消えていました。後半はいくぶん良くなりましたが、ボールを持ってバイタルエリアに侵入した時、シュートするのかパスするのかドリブルで相手を抜くのか三つの選択肢を平等に置いて選択に時間をかけているうちにシュートチャンスを失っているように見受けられます。バイタルエリアに入ったら自分の前にDFがいたとしてもシュートコースがないかをまず探し、シュートができないときに別の選択肢を選ぶように心がけて欲しいです。香川選手は23歳ですが、それに遠慮することなく攻撃のリーダーとしての自覚をもち、「自分のゴールでチームを勝たせてやる」ぐらいの意気込みで毎試合プレーしてくれることを望みます。

乾選手は足元の技術に優れパスも上手いんですが、シュートを打つときだけプレーが不正確になります。シュートを「特別なプレー」と考えて硬くなる必要はなく、自分の狙ったところにボールを届けるという意味で「パスの延長線にある普通のプレー」だと考えて落ち着いてキックすれば、テクニックはあるわけですからズバズバ決まるようになると思います。

        ☆        ☆         ☆

 W杯予選直前のテストマッチとなったカナダ戦は、勝利したものの試合内容は低調なものでした。

これまで指摘したように攻守両面でやるべきことができていませんでしたし、球際の競り合い、フィジカルコンタクトの競り合いに勝って50/50のボールを必ず自分のものにするという、サッカーの一番ベーシックなところで押され気味でした。

来たるべきヨルダン戦は、埼玉での試合(日本6-0ヨルダン)とはまったく違う展開になることも予想されます。

ヨルダンは日本のいる予選グループではオーストラリアに次いでフィジカルコンタクトが強いチームです。

熱狂的な大観衆に後押しされたヨルダンは、カナダ以上に日本に激しくプレスをかけ体をガチガチ当ててボールを奪い、タテに速いカウンターを仕掛けてきたり、ゴール前でのセットプレーからフィジカルの競り合いに勝ってヘディングシュートを狙い、バイタルエリアからパワフルなミドルシュートをどんどん打ってくることも予想されます。

日本としてはまず球際の競り合い、フィジカルの競り合いに勝ってマイボールの回数を増やし、特に日本のゴール前での一対一には絶対に負けないこと。相手が攻める時間が長くなってもあわてず、コンパクトなブロックをつくってそこからしっかりとプレスをかけていくこと、そして攻めに転じたらパスを受けるための運動量を増やし、パスをつなぐためにパスするのではなく、バイタルエリアに入ったら高いシュート意識をもって必ずゴールをあげ、試合に勝ち切ること。

「もうW杯に行くのは決まったようなものだから、早くW杯に向けての準備を始めたい」という油断しきった声も多く聞かれますが、我々はまだ何も手に入れていません。

今はアウエーのヨルダン戦という決してやさしくないゲームに勝つことに集中して欲しいと思います。

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     2013.3.22 ハリファ・インターナショナルスタジアム
                           (ドーハ)

       日本  2 - 1  カナダ


        岡崎 9'          ヘイバー 58'
    ハーフナー 74'


      GK 川島         GK ボージャン

      DF 酒井高        DF レジャーウッド
        (酒井宏 83)       (エノー 54)
         伊野波           エドガー
        (栗原 61)        (ナカジマ 87)
         吉田            ヤコビッチ
         内田            デ・ヨング
        (駒野 46)
                     MF デ・グスマン
      MF 遠藤           (ジャクソン 84)
         長谷部          ジョンソン
         乾             ベッカー
        (大津 63)        (セバラ 67)
         香川            ハッチソン
         岡崎  
        (中村 63)      FW へイバー
                        エドウィニボンス
      FW 前田           (リケッツ 78)
       (ハーフナー 63)




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■ヨルダン戦に臨む代表メンバー発表

 今月22日に行われるカナダとのテストマッチと、26日に行われるW杯アジア最終予選・対ヨルダン戦に向けての代表メンバーが招集されました。



GK 川島 永嗣 (リエージュ:ベルギー)
   西川 周作 (広島)
   権田 修一 (F東京)

DF 今野 泰幸 (G大阪)
   吉田 麻也 (サウサンプトン:イングランド)
   内田 篤人 (シャルケ:ドイツ)
   酒井 高徳 (シュツットガルト:ドイツ)
   酒井 宏樹 (ハノーファー:ドイツ)
   駒野 友一 (磐田)
   栗原 勇蔵 (横浜M)
   伊野波 雅彦(磐田)

MF 遠藤 保仁 (G大阪)
   長谷部 誠 (ヴォルフスブルク:ドイツ)
   細貝  萌 (レバークーゼン:ドイツ)
   中村 憲剛 (川崎)
   高橋 秀人 (F東京)

FW 香川 真司 (マンチェスターU:イングランド)
   前田 遼一 (磐田)
   岡崎 慎司 (シュツットガルト:ドイツ)
   清武 弘嗣 (ニュルンベルク:ドイツ)
   乾  貴士 (フランクフルト:ドイツ)
   ハーフナー・マイク(フィテッセ:オランダ)
   大津 祐樹 (VVV:オランダ)


 今回招集されたメンバーを見ますと、W杯予選に久しぶりに香川選手が帰ってきてくれました。クラブではアジア人初となるプレミアでのハットトリック達成という活躍に、期待感が高まります。

ところが本田選手と長友選手がケガや体調不良のため招集が回避されたのはとても残念。

長友選手は半月板損傷ということで心の準備がある程度できていましたが、今一つ情報がはっきりしなかった本田選手までが欠場というのはちょっとショックでした。

実は、W杯最終予選の前節・対オマーン戦で、国歌を歌うために試合前に両チームが整列したとき、本田選手の顔色が悪いように見えたので少し嫌な予感がしたのですが、やはりその試合における本田選手の動きが悪かったので、それいらい気になっていたんですよね。

今年2月にラトビアとのテストマッチがありましたが、本田選手はゴールをあげたものの体にキレがなく、その時期から既に体調不良の影響が出ていたのかもしれません。

起こってしまったものは仕方がありませんし、カタールでしっかり合宿を行って、残された者で勝利という結果を勝ち取るしかありません。

代わりに起用される選手はレギュラーポジションを獲得する大チャンスなのですから、良いパフォーマンスと結果を出してくれることを希望します。

本田・長友両選手は完治するまで焦らず、しっかりと治して再び元気な姿を代表やクラブで見せて欲しいものです。

 



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