■2012年11月

■日本代表、酷暑のオマーンで苦しんだ勝利(その2)

前回の続き

 選手個々で特筆すべきは、まず岡崎選手。

本人はゴール以外何もしていないと言っていましたが、チーム全体としてシュートへの意識が低いなか隙あらばシュートを打って、ゴールへの貪欲さを行動で示してくれました。素晴らしいです。

決勝ゴールは彼らしい泥臭いものでしたが、本田選手や香川選手にはない岡崎選手の個性がチームを救ってくれることも多いです。このゴールをきっかけに、クラブでの結果につながると良いですね。

清武選手も良いクロスを何本も供給し、自身もワンゴールと活躍。ただ、絶好の決定機でシュートがヒットしなかったシーンも二度あったのはこれからの課題でしょう。

長友選手は、30℃を越す砂漠気候のなかでも超人的なスタミナで上下動を繰り返し、先制点をお膳立てするなど大車輪の働き。これでサイドを突破してから中央へ切れ込んでミドルシュートを正確にゴールに叩き込む能力を身につければ、世界一のサイドバックにまた一歩近づけると思います。

後半投入の酒井高徳選手もスピードで相手を振り切って、良いクロスをあげてくれました。今後に期待です。

 逆に酒井宏樹選手はクラブで長期間試合に出ていない影響か、特に前半パス・トラップ・ドリブルでイージーミスを連発し、ゴール前では相手へのマークをずらして決定的なシュートを許すなどボロボロの出来。

吉田選手は相手のシュートをクリアしそこない、それが失点につながってしまいました。

今野選手も、空中戦で相手の高い打点のヘッドにやや苦しみました。

本田選手は一試合を通して動きが重く、イレブンのなかで一番動けていませんでした。おそらく氷点下のモスクワから30℃オーバーのオマーンに来たことが、肉体的に相当こたえたのでしょう。

        ☆        ☆        ☆

 日本が相手のホームに乗り込んで、オマーンに対して2-1で勝利という結果は良かったです。

ただ、灼熱の気候のもとで試合が行われたことについては同情の余地があるものの、試合内容は今一つで解決すべき課題も少なくありません。


それでも今一つの内容なりに、失点しても冷静にゲームを進め、最後の最後にはきっちり決勝ゴールを奪って勝ち切れるところに、ザックジャパン以後の日本代表に成長の跡がうかがえます。

これが普段から欧州の高いレベルのリーグでプレーしている選手が多いチームとそうでないチームとの「経験の差」だと思います。

        ☆        ☆        ☆

 最後に余談ですが、試合前に「オマーンはホームで負けていない」というマスコミの煽りが激しかったですね。

サッカーはまず実力で勝敗が決まるのであって、「ホームで負けたことがない」というジンクスは二の次・三の次じゃないでしょうか。

ジンクスを言うなら、この試合が行われたスルタン・カブース・スポーツコンプレックスは日本代表にとってゲンの良いスタジアムで、私が知る限りこれまで三度ここでオマーンと対戦していますが日本の3連勝のはずです。(加茂ジャパン1-0 ジーコジャパン1-0)

これを言っちゃうと、消費者(代表サポ)への煽りにならないという「大人の事情」が理由でしょうけれど。

逆に岡田ジャパンの時に使用されたロイヤルポリス・スタジアムでは引き分けて(1-1)いたりして。

 さて来年のことを今から言うと鬼に笑われそうですが、次回W杯予選はヨルダンとのアウエー戦が来年3月に予定されています。

ヨルダンとのアウエー戦と言えば、9月に行われたヨルダンVSオーストラリア(2-1)で、オーストラリアがPKをとられたシーン。



いくらサッカーではホームタウン・デシジョン(レフェリーの地元びいき)が珍しくないとはいえ、これでPKとるのはちょっとレフェリーの能力を疑います。

現在アジア選出枠のFIFA副会長がヨルダンの王族で、6月に行われた日本対ヨルダン戦(6-0)において、FIFA副会長という全てのFIFA加盟国に対して公平中立でなければならない公職にありながら、自分の出身国であるヨルダンの代表チームが大敗して「レフェリーの判定がヨルダンに厳しすぎる」と、審判団に向かって試合後ブーブー文句垂れていたのがその人なんですよね。

まさかFIFA副会長の権力を使って、ヨルダン対オーストラリア戦で審判団にヨルダンに有利な判定をするよう裏で圧力をかけたとは思いたくないのですが...。

日本サッカー協会として、彼やヨルダンサッカー協会の動きに不審なところがないか、FIFAに注意を促してヨルダン対日本戦の当日に監視団を派遣してもらうとか、何らかの手を打っておくべきではないでしょうか。

今から心配してもしょうがないのでこれくらいにしておきますが、来年行われるアウエーのヨルダン戦も厳しいものになることを覚悟しておいた方が良さそうです。

ヨルダン戦の数日前に欧州遠征をやろうという構想が持ち上がっているらしいですが、「もうヨルダン戦で必ず勝ち点が取れるだろうからブラジル行きが決まったようなものだ」などと油断しきっていると、想像もつかないアクシデントに足元をすくわれるかもしれません。

何が起こるかわからない、それがアジアのアウエー戦ですから、来年3月はヨルダンに勝つことを最優先させるべきです。ブラジル行きの切符を確実に手に入れた後でも、欧州遠征は遅くないと思います。

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  2012.11.14 スルタン・カブース・スポーツコンプレックス
                            (マスカット)

        オマーン  1 - 2  日本

       マハイジリ '77      清武 '20
                      岡崎 '89

      GK アルハブシ      GK 川島

      DF ムサラミ        DF 酒井宏
         R.アルファルシ       今野
        (E.アルファルシ 73)    吉田
         A.ムハイニ         長友
         アルガイラニ  
                      MF 長谷部
      MF マハイジリ          遠藤
         ドゥールビーン      (高橋 90+)
         アルマシャリ        清武
         アルアジミ         (細貝 84)
        (アルマクバリ 85)     本田
         サレハ            岡崎

      FW アルホスニ      FW 前田
        (ハジ 46)         (酒井高 64)




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■日本代表、酷暑のオマーンで苦しんだ勝利(その1)

 ブラジルW杯アジア最終予選も後半戦に突入、日本代表は相手の首都マスカットでオマーンと対戦し、2-1で勝利しました。

オマーン代表はプレミアリーグでプレーするGKアルハブシ以外、国内とサウジなど近隣諸国のリーグでプレーする選手で固められています。

日本とオマーンとの実力差はホームでもアウエーでも日本が勝利できる程度、と戦力評価していました。

その点、2-1で日本が勝ったことは順当であり良い結果ですが、欧州組の過密日程や35℃近い猛烈な暑さの影響で、日本の試合内容が今一つだったのはやむをえなかったかもしれません。

続いて試合経過です。

        ☆       ☆        ☆

 立ち上がりはホームの大歓声を味方につけたオマーンがやや優勢か。

11分、早いスローインを受けたアルアジミがクロス、ゴール前でどフリーになったドゥールビーンがシュート!大きくふかしてくれて助かりましたが、背筋に冷たいものが走ります。

猛暑のせいか動きがにぶく攻守に集中力が欠けている日本。しかしオマーンの攻撃をなんとかしのぐと徐々にゲームの流れを引き寄せます。オマーンは徐々に引いてカウンター狙いへ。

17分、清武のクロスを岡崎がヘッド、GKアルハブシがセーブしたボールを前田がプッシュしようとしますが、オマーンDFが必死のクリア。

20分、今野のパスを受けて左サイドを抜け出した長友がセンタリング、相手に当たったこぼれ球を清武が狙いすましたシュート!これが決まって日本が待望の先制点。

27分、やはり素早いスローインを受けたアルアジミが酒井宏樹を背負いながらオーバーヘッドシュート、これはゴール右へ外れました。

29分、清武が右サイドからクロス、ゴール前やや左に前田が飛び込むも残念ながらヘディングシュートできず。

36分、左サイドからアルガイラニがセンタリング、酒井宏がマークをずらしてしまいアルアジミがフリーでヘディングシュートしますが、ボールはニアポストを直撃しGK川島の背中に当たりながら幸運にもファーポスト外側へこぼれ、長友がなんとかクリア。

 後半、オマーンが同点を狙いに攻勢に出ます。

6分、バイタルエリア付近でボールを受けたマハイジリがミドルシュートするも、川島がファインセーブ。
つづくオマーンのCKのこぼれ球をアルガイラニがシュートしますがバーの上。

悪くなった流れを変えるため、日本は前田を下げて酒井高徳を投入、長友をMFにして動きの悪い本田をトップにあげます。

21分、左サイドをえぐった長友のプルバックを本田がヒールで流し、受けた清武のシュートは力なくアルハブシが押さえます。

32分、かなりホームに有利なレフェリングで日本ゴール前でFKをもらったオマーン。壁のわきを抜けてきたマハイジリの強烈なシュートを吉田がクリアしきれずゴールイン。オマーンが同点に。

たった一つのファール判定からゲームの流れが完全に変わり、なかば試合をあきらめかけていたオマーンが完全復活。

36分、今野のクリアを拾ったアルマクバリからハジとボールがつながり、押せ押せのオマーンが逆転ゴールを狙いますが、川島がハジとの1対1のピンチをなんとかしのぎます。

試合終了が見えてきて「日本相手なら引き分けでも良し」と考えたのかオマーンの攻撃が弱まりましたが、その一瞬のスキを日本が突きます。

44分、左サイドを突破した酒井高のクロスを、ニアサイドに飛び込んだ遠藤がコースを変え、ファーサイドの岡崎がボールもろともゴールに飛び込む泥臭いゴールで値千金の決勝弾。

オマーンは戦意を喪失し、日本にとってアウエーでの貴重な勝ち点3ゲットとなりました。

        ☆        ☆        ☆

 それではいつものように試合内容を見ていきましょう。まず守備から。

30℃を超える猛暑のせいもあったのでしょうが、守備の内容はあまり良くありませんでした。

埼玉でのイラク戦で、ゲームの立ち上がりに誰が誰にマークにつくのかあいまいになってしまう問題点を指摘しましたが、この試合もそうでした。

特に前半11分のドゥールビーンのシュートが決まっていたら、このゲームどうなっていたかわかりません。

またブラジル戦の記事でも指摘した、ドリブルする敵ボールホルダーに誰もプレスをかけに行かず、長い時間フリーにしてしまうという欠点が依然として解決されていませんね。

ブラジル戦ではバイタルエリアでフリーにした相手にミドルを叩き込まれて、ゲームがそこで終わってしまったのですから、その反省をさっそくこのゲームに生かすべきでした。

フリーでドリブルする相手がいたらたとえ自分のマークを捨てても、近くにいる選手が前に立ちふさがって、シュートやパスのコースを限定することが欠かせません。スペースを与えて相手をスピードに乗らせるとドリブル突破を防ぐのも難しくなります。

 失点シーンは、2008年に行われた南アフリカW杯アジア3次予選のリプレーを見ているようでした。

昨日の試合でオマーンの同点ゴールをあげたポニーテールが特徴の守備的MFマハイジリは、4年前にやはりマスカットで岡田ジャパンと対戦した時も、ゴール前やや左からのミドルシュートで日本から得点をあげています。

今回はセットプレーからのミドルシュートでしたが、まず吉田選手がクリアしきれなかったのが残念。さらに壁の作り方やGKがどこまでの範囲をカバーすべきか意思疎通にも問題があったかもしれません。

 攻撃面でも内容はいまいちでした。

岡崎選手を除き、チーム全体としてゴールへの意識が低いことをまず指摘したいと思います。

試合にこそ勝ったものの、シュート数ではオマーンに負けています。(日9 オ11)

オマーンのシュート決定力が低かったからゲームに勝てたとも言えそうですが、では攻撃の内容でオマーンが勝っていたからシュートが日本より多かったのかと言えば、そうではありません。

日本の方が質の高いチャンスを多くつくれていたと思いますが、相手を完璧に崩そうとするあまり最後までパスやクロスにこだわりすぎたり、ドリブルでつっかけては中途半端にボールを失ってオマーンの逆襲を食らい、体力を無駄に消耗していたように思います。

たとえ自分の正面に相手DFがいてもワンフェイント入れてシュートコースをつくるなりして、もっとバイタルエリアからミドルシュートを使うべきです。

 おそらくスカウティング・スタッフからの指示でしょうが、中盤の攻撃の組み立てにおいて、相手DFのウラヘ抜ける味方への浮き球のパスが多用されていました。

それが一応先制点に結び付きましたが、組立ての中心である本田選手の動きがにぶかったことも攻撃のバリエーションが少なかった原因でしょうが、先制ゴール以降、相手ゴール前へ浮き球のパスばかりの単調な攻撃に偏ってしまい、オマーンが守備をやりやすいようにしていたのは問題でした。

日本が相手の息の根を止める有効な攻撃ができなかったことも、オマーンの同点ゴールを呼んでしまった伏線になったのではないでしょうか。

 まとめますと、試合内容は攻守においてあまり良いものではありませんでした。

週末にヨーロッパでリーグ戦を戦って、気温が20℃以上も高いオマーンに来てゲームを戦った選手も多く、体力的にきつくて思うように体が動かなかったせいもあったと思います。

ただ、スペインやブラジルなどW杯で優勝を狙えるレベルのチームは、たとえアウエーであってもオマーンレベルの相手であれば、全く危なげなく勝っていることでしょう。

守備では相手のボールホルダーを簡単にフリーにしてしまう、攻撃ではシュート意識が低く、ゴールへの貪欲さが足りないという課題はピッチ上の気温に関係なく、ここ何試合もずっと解決されないままになっています。

W杯でフランスやブラジルと五分に打ち合って勝ちたいなら、普段の試合から課題を着実にクリアして、コツコツと実力を積み上げていって欲しいと思います。

今回は長いエントリーになりそうなので、次回に続きます。





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■オマーン戦に臨む日本代表メンバー発表

 11月14日に行われるブラジルW杯アジア最終予選の対オマーン戦に召集された日本代表メンバーが発表されました。


GK 川島 永嗣 (リエージュ:ベルギー)
   西川 周作 (広島)
   権田 修一 (F東京)

DF 今野 泰幸 (G大阪)
   吉田 麻也 (サザンプトン:イングランド)
   長友 佑都 (インテルミラノ:イタリア)
   内田 篤人 (シャルケ:ドイツ)
   栗原 勇蔵 (横浜M)
   駒野 友一 (磐田)
   伊野波 雅彦(神戸)
   酒井 宏樹 (ハノーファー:ドイツ)

MF 本田 圭佑 (CSKAモスクワ:ロシア) 
   遠藤 保仁 (G大阪)
   長谷部 誠 (ヴォルフスブルク:ドイツ)
   中村 憲剛 (川崎)
   細貝  萌 (レバークーゼン:ドイツ)
   高橋 秀人 (F東京)

FW 前田 遼一 (磐田)
   岡崎 慎司 (シュツットガルト:ドイツ)
   清武 弘嗣 (ニュルンベルク:ドイツ)
   乾  貴士 (フランクフルト:ドイツ)  
   ハーフナー・マイク(フィテッセ:オランダ)
   宇佐美 貴史(ホッフェンハイム:ドイツ)


 岡崎選手が久しぶりに復帰したのは明るい話題ですが、代わりにケガで香川・宮市の両プレミア勢が外れてしまいました。大変残念ですが今いるメンバーでやるしかありません。宇佐美選手も代表でレギュラーポジションを獲得する良いチャンスなのではないでしょうか。

 アウェーのオマーン戦でまず要注意なのは、11月でも平均最高気温30℃前後というオマーンの暑さ。

今や日本代表の大半が欧州でプレーするようになっていますが、気温が上がってもせいぜい10℃前後という欧州から、
気温差20℃のオマーンに急に移動すると、日本人選手のスタミナ面が懸念されます。

今回はオマーンの暑さに体を順応させる時間が数日しかありませんから、余計です。

フィジカルコーチとも良く相談しながら、試合では相手より先に足が止まらないようにうまく対策をとって欲しいです。

オマーン代表は慣れた気候やスタジアムの大声援を味方につけて、前回の試合(日本3-0オマーン@埼玉)とは全く違うパフォーマンスを見せることも予想されます。まずフィジカルでガチガチ当たってきて、ボールを奪ったら果敢にミドルシュートを狙ってくるかもしれません。

ただ、本田選手や長友選手が目標としているW杯優勝を見据えるなら、ここでアウェーの雰囲気に飲まれて自分たちのサッカーを見失い、星を落としているようではダメです。

たとえ自分たちに不利な条件でも、是が非でも勝ちたい相手。どんなに悪くとも勝ち点1は取らないといけません。

守備では、縦・ヨコにコンパクトな陣形を保ちつつ、ゴール前での空中戦を含めて球際の競り合いに必ず勝つことが大事。

攻撃では、足を止めずにボールホルダーへのサポートを早くして攻撃の主導権を握り、バイタルエリアではまずゴールをあげることを考え、積極的にどんどんシュートを打っていくことが重要ですね。

そして攻から守、守から攻への切り替えを速くすること。


6月のヨルダン戦(日本6-0@埼玉)では、以上のことが高いレベルで出来ていたのに、最近の数試合はそうではありません。

ヨルダン戦で自分たちがどういうサッカーをしていたのか良く思い出してそれを実践できれば、今回も勝利という良い結果が出るはずです。

ブラジルとのテストマッチの結果や来たるべきW杯本大会を見据え、普段から目指すべきサッカーのレベルを高く設定して、勝利という結果とともに良い内容の試合を日本代表に期待します。




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