■2012年08月

■イラク戦に臨む日本代表メンバー発表

 9月6日に行われるUAEとのテストマッチ(新潟)と同11日に行われるW杯アジア最終予選の対イラク戦(埼玉)に臨む日本代表が招集されました。

メンバーは以下のとおり。


GK 川島 永嗣 (リエージュ:ベルギー)
   西川 周作 (広島)
   権田 修一 (F東京)

DF 吉田 麻也 (VVV:オランダ)
   長友 佑都 (インテルミラノ:イタリア)
   駒野 友一 (磐田)
   伊野波 雅彦(神戸)
   水本 裕貴 (広島)
   岩政 大樹 (鹿島)
   酒井 宏樹 (ハノーファー:ドイツ)
   酒井 高徳 (シュツットガルト:ドイツ)

MF 本田 圭佑 (CSKAモスクワ:ロシア)
   遠藤 保仁 (G大阪)
   長谷部 誠 (ヴォルフスブルク:ドイツ)
   中村 憲剛 (川崎)
   細貝  萌 (レヴァークーゼン:ドイツ)
   高橋 秀人 (F東京)

FW 香川 真司 (マンチェスターU:イングランド)
   前田 遼一 (磐田)
   岡崎 慎司 (シュツットガルト:ドイツ)
   ハーフナー・マイク(フィテッセ:オランダ)
   清武 弘嗣 (ニュルンベルク:ドイツ)
   原口 元気 (浦和)


 今回招集されたメンバーを見てみますと、累積警告等で今野・内田のレギュラーDFが欠けていますし、ザッケローニ監督がセンターバックの控えのファーストチョイスと考えている栗原選手もいません。

その代りに先日のベネズエラ戦でテストされた水本選手が引き続き呼ばれました。

特にセンターバックのポジションに誰が起用されるか注目ですが、誰が入るにせよイラク戦直前の最後のテストマッチとなるUAE戦で、ぜひとも安定した守備を見せてほしいものです。

かつては日本より先にW杯に出場し(90年イタリア大会)アジアトップレベルだったUAEも、近年はすっかり弱体化してレバノンやイエメンとともに中東最弱クラスに落ちぶれています。

もちろんイラクはUAEより格上ですから、日本の新しいDFラインがここにやられているようではダメです。

あとイラク戦に向けて注意すべき点は、欧州組がいかに日本の蒸し暑い気候に適応するかではないでしょうか。

ヨーロッパの夏は涼しい日が多く、空気が乾いているので日陰に入れば過ごしやすいです。
しかし日本の夏は暑い上に湿度が高く、涼しい気候に慣れた選手はとたんに運動量が落ちてしまいます。

ホームとはいえ、UAEとのテストマッチや合宿で、いかに日本の気候に慣れるかがとても重要です。

6月の三連戦で日本代表は好スタートを切りましたが、ホーム戦が日程の前半に偏っているスケジュールですので、あとあとのことを考えると今回のホームでのイラク戦も、絶対に日本が勝って勝ち点3ゲットはMUSTです。

 話は変わって、マンチェスターユナイテッドのプレーヤーとしてプレミアデビューした香川真司選手ですが、初のホームゲームとなったフラムとの試合で早くもゴールをあげてくれましたね。

彼のポテンシャルを考えればもっともっとできるはずです。

まだルーニーやファン・ペルシー、ウェルベックなど周りの選手をリスペクトしすぎたり、あるいはミスしないよう大事に行きたいという気持ちが強いのだと思いますが、味方へのバックパスを最初から決め打ちするケースがやや多いかなという気がします。

確かに同僚の選手たちはワールドクラスのビッグネームばかりで、気後れしそうになってしまうかもしれませんが、自分のゴールでユナイテッドを必ず勝利に導くんだという強気でプレーできたら、さらに良い結果が得られるのではないでしょうか。

パスを受けたらそのまま前を向いて、自分でシュートしたりドリブルで勝負をかけても良いのではないかと思います。

その際大事なのは、ボールを受ける瞬間に自分がシュートを叩き込むべきゴールに背を向けるのではなく半身になること。

そうすることでゴールへの視界が確保できて、パスを受けたときにフリーで前を向けるかどうか、前を向いた後どういったプレーを選択するのがベストか、より判断しやすくなります。

香川選手には今後もユナイテッドの攻撃をひっぱる中心選手としての活躍を期待します。




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■ベネズエラとのテストマッチは収穫少ないドロー

 札幌でベネズエラとのテストマッチが行われ、日本代表は1-1で引き分けてしまいました。

対戦相手のベネズエラはコパアメリカ2011で4位に躍進、ブラジルW杯予選でもホームでアルゼンチンを破り、南アフリカW杯4位のウルグアイとはアウェーで引き分けるなど、南米の急成長株です。

日本との力関係はホームで日本の勝利、アウェーで引き分け程度と見ていました。

ただし、今回来日したのがメンヘングラードバハのアランゴやルビン・カザンのS.ロンドンら主力を欠く1.7軍といったところだったので、日本が確実に勝利したいところでしたが、引き分けという結果は残念でした。

        ☆        ☆        ☆

 試合立ち上がりは、コンパクトな4-4-2から厳しくプレスをかけてくるベネズエラがやや優勢か。

6分、ベネズエラの速攻から前線でボールを受けたフェドールが伊野波を1対1でかわしシュート、これは川島がファインセーブ!

キックオフから15分ぐらいでベネズエラのペースが落ちて日本の反撃開始。本田から右サイドの駒野へパスが出て、駒野が相手選手の股を抜いて突破してからのマイナスの折り返しを遠藤が冷静に決めて日本先制!

21分、遠藤のパスを受けた岡崎からのパスを本田がシュートするがクロスバーに当たって外れます。

28分、ベネズエラのFKから最後はゴンサレスのミドルシュートを食らいますが、ファーポストをかすめて外れました。

後半もロッカールームでカツが入ったのかベネズエラが立ち上がり優勢。

5分、カウンターからフェドールが右サイドを突破、中央へのパスをセイハスがシュートしますが、水本がかろうじて足に当てて救われます。

15分、左サイドからの長友のクロスを香川がフリーでヘッドしますが惜しくもゴール右へ。

17分、左サイドでボールを奪ったベネズエラのカウンター、マルティネスのドリブルに対して水本が対応を一瞬迷ってパスを許してしまい、ペナルティエリア内でこれを受けたフェドールには吉田がついていたものの、ボールを見失ったところを押し込まれて同点に。

22分、本田からのパスを受けた長友が強烈なミドル、GKが前にこぼしたボールは岡崎に当たり、前田がそれを拾いましたがシュートは打たせてもらえず。

30分、右サイドを突破した駒野のクロスはファーポスト側でフリーだった香川にドンピシャに合いましたが、シュートをクロスバーに当ててしまいます。

試合はこのままドローに終わってしまいました。

        ☆        ☆        ☆

 それでは試合内容の分析に入りますが、海外組は既に開幕を迎えた選手あり、まだプレシーズンマッチの段階の選手ありとコンディションがバラバラで、この前のオーストラリアとのW杯予選よりも、ゲームの質が攻守にわたってがっくりと落ちてしまったのはやむを得ないことなのかもしれません。

陣形がタテにも横にもコンパクトさを保てなかったので、ベネズエラのカウンターから何度か危険な形をつくられて1失点。

攻撃においても、選手の運動量が走れる選手とそうでない選手とでまちまちで、攻めの形が限られていました。

9月のイラク戦までにはすべての選手のコンディションが整って、オマーンやヨルダンとの試合で見せてくれたような高いクオリティーを取り戻してくれるとは思いますが、このままの内容ではもちろん不合格です。

        ☆        ☆        ☆

 選手個人で特筆すべきはまず駒野選手。
豊富な運動量でサイドを突破し、質の高いクロスから再三好機を演出しました。

折り返しを正確にゴールへ流しこんだ遠藤選手も素晴らしいです。ただし、ボールの持ちすぎから相手に囲まれて奪われたシーンがあったのは頂けません。

岡崎選手も攻守に汗をかきサイドからのチャンスメークにがんばりました。後はゴールという結果だけ。

この試合の最重要課題は、次回予選で出場停止の今野・栗原両選手が抜けたDFラインの穴を埋めてくれる選手を探すことでしたが、まず伊野波選手。

ヨルダン戦の記事でも触れましたが、伊野波選手は外国人FWに応対する時いっぱいいっぱいのように見えます。

この試合でも立ち上がり、ペナルティエリア内で相手FWとの一対一で抜かれ、シュートを許してしまいました。

後半からテストされた水本選手ですが、まずまず無難に対応できたものの、失点シーンでは自分に向かってドリブルしてくる相手選手に対し、パスコース・シュートコースを消すために前へ出なければいけないのに一度下がってしまい、彼のこの試合唯一のポジショニングミスが失点の原因に。

シュートしたフェドールについていた吉田選手も、一度はシュートを防ぎましたがボールを一瞬見失ったところを相手にプッシュされ同点弾を献上。オリンピックからの連戦で疲れていたのかもしれませんが最後まで集中力を保って欲しいですね。

長谷部選手も、中盤の競り合いでフィジカルの強い相手にやや劣勢で、並走してドリブルする相手に振り切られるシーンも。遠藤選手もそうでしたが、相手の攻めに戻りが遅れてセンターバックの前のバイタルエリアを広く空けてしまったのも、失点ゼロに抑えられなかった一因となりました。

        ☆        ☆        ☆

 このテストマッチ最大の課題であったDFラインの再構築ですが、駒野選手は合格点以上でしたがセンターバックの穴は依然として埋められませんでした。

どちらかと言えば伊野波選手より水本選手の方が現時点では見込みがありそうに見えますが、W杯予選で実戦投入できるレベルまで引き上げるにはしばらく辛抱して育てていく必要がありそうです。

特に失点シーンにおいて、ゴールに向かってドリブルしてくる相手への対応に一瞬迷って、後ろに下がってしまったのは決して見過ごせないミスです。

水本選手でも他の選手でも良いですから、今から次のW杯予選がある9月まで、ザッケローニ監督とスタッフ陣がJリーグ各クラブをまわって「これは」と思うセンターバックに対し、「正しい体の使い方」「正しいポジショニングの取り方」など個人レッスンをしてはどうかと思います。

現在の日本サッカー界は攻撃にはだいぶ良い選手がそろってきましたが、世界に通用するセンターバックが手薄というのはやや深刻な問題ですね。

 また、この試合で再びはっきりしたのは、香川選手にとってサイドハーフは適材適所ではないということ。

後半、本田選手をワントップにあげましたが、それをやるなら香川選手をトップ下で試して欲しかったですね。

ザッケローニさんは歴代日本代表監督で最高レベルの指導者であるのは間違いありませんが、あまり機能していない香川選手のサイド起用にこだわったり、将来を見据えて宮市選手に経験を積ませるような起用をかたくなに拒んでいる点について、私は賛成できません。

そこで一つ提案なのですが、もし本田選手のトップ下がどうしても譲れないのであれば、FCバルセロナのメッシのイメージで、香川選手のワントップにして左サイドにはウインガータイプの選手(宮市・永井選手など)を入れたらどうかと思います。

香川選手は彼がもっとも得意とするゴール前中央のバイタルエリアからペナルティボックス内で動き、トップ下の本田選手とタテの関係で入れ替わりながら相手DFラインを崩してどちらからでも点がとれるゼロトップ・システムのようなイメージです。

ペナルティエリア内でのドリブルやワンタッチプレーで崩すなら香川選手、フィジカルを生かしたポストプレーが欲しいなら本田選手が最前線に上がって香川選手がトップ下に下がってサポートする。

これならばゴール前中央で本田選手と香川選手が共存できると思うのですがどうでしょうか。

ゼロトップ
(クリックで拡大)

リスクをおかしてもどうしても1点取りたいという時は、長谷部選手をアンカーに、本田選手と遠藤選手が横並びになる4-1-2-3にするのも一つの案です。

        ☆        ☆        ☆

 今回のテストマッチは、引き分けという結果も残念でしたし、試合内容の方もあまり良くありませんでした。

9月のW杯予選までにはコンディションも含めて、圧勝したW杯予選・ヨルダン戦のレベルまできっちりと調整してきて欲しいです。

イラク戦までに埋まらないセンターバックの問題解決は急務ですし、香川選手をワントップにもってくることも含めて、失敗できるテストマッチがあと一試合ありますから、ザッケローニ監督にはもっと柔軟に、思い切ったテストをやって欲しいと思います。

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          2012.8.15 札幌ドーム

        日本  1 - 1  ベネズエラ

      遠藤 '15     フェドール '62


      GK 川島       GK エルナンデス        

      DF 長友       DF ロサレス
         伊野波        トゥニェス
        (水本 46)       R.フェルツチェル
         吉田          シチェロ
         駒野
        (槙野 87)    MF セイハス
                      (オロスコ 90)
      MF 遠藤           F.フローレス
         長谷部         (ベラスケス 70)
        (細貝 62)        A.フローレス
         香川          (ルセナ 54)
         本田            ゴンサレス
         岡崎         (F.フェルツチェル 74)
        (藤本 74)
                   FW フェドール
      FW 前田          M.ロンドン
        (中村 74)      (マルティネス 61)




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■なでしこ史上初の銀メダル!!男子は残念...

 10日にイングランドサッカーの聖地・ウェンブリースタジアムで行われた五輪サッカー競技の女子決勝、残念ながらなでしこは1-2でゲームを落とし、アメリカが五輪三連覇を達成しました。

試合はW杯の雪辱に燃えるアメリカの攻勢ではじまり、前半8分に日本のペナルティエリア(PA)内からあがったセンタリングをアメリカのロイドに押し込まれて先制されます。

サッカーは、キックオフ後の10分間とタイムアップまでの10分間に点が入りやすいと言われますが、一番気をつけなければいけない“魔の時間帯”に失点したことにより、苦しいゲーム展開を強いられます。

これが五輪決勝戦の重圧なのかもしれませんが、クロスを入れたアメリカの選手に対する寄せが甘く、日本の選手が数が足りていたのに体が動かずボールウオッチャーになってしまったことで正確なクロスを許し、ファーポスト側にもワンバックをはじめアメリカの選手を二人もフリーにしてしまったことが敗因でした。

ここからなでしこが本来のパスサッカーで反撃に出ますが、シュートは相手GKのファインセーブやクロスバーに弾かれるなどしてなかなか追いつけません。

宮間選手のキックをPA内にいたアメリカの選手が手で止めたシーンもありました。

体の横幅から手を出してボールをはたき落としたのでPKをとっても良かったのではと思いましたが、主審は流しました。

後半もやはり、立ち上がりの魔の時間帯になでしこが失点してしまいます。

ドリブルするロイドに日本の守備陣がズルズル下がって、シュートレンジに入ったところで強烈なミドルを浴びて0-2。

後ろのDFラインが整ったら誰か一人は相手のボールホルダーにプレッシャーをかけないと、こうなってしまいますね。

しかし後半18分、宮間選手・大野選手とつないで澤選手がシュート、これはいったん防がれますが、こぼれ球を澤選手がもう一度プッシュ、最後は大儀見選手が押し込んで一点差に詰め寄ります。

その後、同点に追いつくチャンスもありましたが決めきれず、1-2のスコアのままタイムアップ。

なでしこは銀メダル獲得となりました。

 なでしこのロンドン五輪を総括しますと、「手堅く史上初の五輪メダルを取りに行ったな」というのが私の感想です。

W杯優勝国として対戦相手から研究されたこともあったのでしょうが、どちらかと言えばなでしこ本来の攻撃的パスサッカーを前面に押し出したというよりは、まず手堅く守りから入って、負けないサッカーをやっていたように感じます。

そのため、攻撃面では相手にポゼッションされる試合が多く、本来のパスサッカーが顔を出したのはようやく決勝戦でアメリカに先制されてからという印象です。

守備面でも、連戦の疲労があったのかもしれませんが、この大会のなでしこは陣形がやや間延びしがちであり、特に両センターバックの前のスペースを広く開けていたため、相手に危険な形を多くつくられたり、ボール・ポゼッションで劣勢になる要因の一つとなっていました。

このあたりが、次回W杯や五輪に向けての課題でしょうか。

それでも、女子サッカー界ではオリンピックが事実上最高の大会と位置付けられていますから、日本女子サッカーチームとして初めての五輪メダル獲得、それも銀メダルというのは歴史的快挙だと思います。

選手・監督はじめ関係者の皆さん、本当におめでとうございます。

残念ながら澤選手にとって五輪はこれが最後ではないかと思うのですが、なでしこにとっては一つの時代の区切りを迎えたということであり、日本女子代表が五輪で金メダルを獲得するという壮大なプロジェクトは、次の世代の目標として引き継がれることになります。

なでしこの皆さんは自宅に着くまでがオリンピックですので、気をつけて帰ってきてください。本当におつかれさまでした。

 一方韓国との3位決定戦にのぞんだ男子代表でしたが0-2でこちらも試合を落としてしまいました。

立ち上がりの攻撃をしのいだあとは日本がボールを支配して韓国を押し気味でした。

GKチョン・ソンリョン、ボランチのキ・ソンヨン、攻撃のク・ジャチョルやパク・ジュヨンといったあたりはフル代表の選手たちですから、それを押し込んだ中盤における攻撃の組み立ては悪くなかったと思います。

しかし、日本は味方のボールホルダーへのサポートが遅く、アタッキングサードで相手を決定的に崩すような運動量が少なかったというのは、準決勝のメキシコ戦と同様。

シュートへの積極性も足りませんでした。

相手を押し込んでもゴールを決められないうちに、前後半にそれぞれ韓国のロングボールのカウンターから2失点。

これまでの五輪の試合でもしばしば見られたことですが、DFの誰かひとりが相手選手と空中戦を競ったり、相手ボールホルダーと一対一になっているときに、正しいチャレンジ&カバーのポジションが取れていません。

一人が空中戦を競ったら離れたところをトボトボ歩いているのではなくそちらの方へ寄って行って、こぼれ球を予測してそれを拾えるカバーのポジショニングを取る。

味方が相手ボールホルダーと一対一になっているときは、味方と横並びになってボールを奪いに行くのではなく、味方の少し後方にポジショニングして、前がプレスをかけてそれを抜きにかかった相手が体からボールを放したときにそれを奪うといったことができていれば、これほど簡単にカウンターにやられることはないはずです。

メキシコ戦では初めてリードを奪われて、リードされた状況を想定した心構えがなかったせいか精神的にガックリ来てそのまま試合を落としてしまいましたから、この3位決定戦では精神的に成長したところを見せてほしかったのですが、やはりそのままチームを立て直せませんでしたね。

 男子のロンドン五輪を総括しますと、グループリーグでスペインを破ってベスト4進出というのは素晴らしい結果でした。

ただ、男子は年齢制限のある大会であり世界最高レベルの大会はW杯ということになります。

日本五輪代表も課題は決して少なくないように思います。

攻撃では、永井選手のカウンターが猛威をふるいましたが、攻撃が単発ぎみでした。

フル代表が半分混じった韓国も含めてアジアレベルではボールをポゼッションできますが、エジプト・モロッコのアフリカ勢やメキシコ・ホンジュラスの中米勢といった世界を相手にすると中盤の争いで押され気味だったということ。

その原因は攻撃における東選手と両ボランチの運動量の少なさ、サポートの遅さにあったと思います。

そのためこちらが先制できたときは良いのですが、一度でも相手にリードされると同点に追いつく力がありませんでした。

「相手に1点取られるとそれがすべて」というのではこの先サッカーになりません。

スペイン戦で引いてカウンターという戦術が当たったので、次の試合以降「とりあえず相手の出方を見よう」といったぐあいに、選手が気持ちで受け身になってしまったのかもしれませんね。

守備では、コンパクトな布陣からのプレスディフェンスで準決勝に進出するまで無失点と良く守りましたが、「(特にボランチやDFは)自陣深くで相手選手をドリブルやフェイントで抜こうとしてはいけない」「味方が相手のボールホルダーにチャレンジしたら、隣のポジションにいる選手はやや後方に下がってカバー」という、U-20までにはしっかり身につけておきたい個人戦術ができていません。

このあたりは選手個人だけでなく、日本の育成システムを含めての課題だと思います。

そのために44年ぶりのメダルを逃すという高い授業料を払うこととなりました。

アメリカのビジネス界では「フェイル・ファスト(若いうちに失敗しておけ)」という言葉があります。

一番重要なのは「大事なところで失敗した選手はもういらない」ではなくて「この経験をどう生かし、困難を乗り越えて成熟したプロのフットボーラーになるか」です。

個人で特筆すべきは、まず大津選手。

運動量がチーム一番であり常にボールに関与しつづけようとする積極性も良いですし、何よりガッツが素晴らしい。準決勝の先制ミドルは本当にビューティフルでした。

大津選手ぐらいがんばれる選手が中盤にあと3人いれば、金メダルも狙えました。

永井選手の速さはイギリスにセンセーションを巻き起こし、ベスト4進出の原動力になりましたね。
ただ、この先高速カウンター一本では研究されて苦しいと思います。

清武選手はカウンターの起点となるなど攻撃の中心に。
フィジカルの強い相手には劣勢になり消える時間帯もあるのが今後の課題。

残りの選手は、テクニック・戦術理解・フィジカル能力そしてメンタルの強さにおいて世界と戦うにはまだまだ物足りません。

 関塚監督については、惨敗したツーロンからチームを良く立て直しベスト4進出は素晴らしい成果でした。

ただ、守ってカウンター以外の戦術オプションが見えなかった点、相手が守備で待ち構えているところを遅攻で崩して点を取りきるまでの戦術指導ができなかった点は、2010年W杯監督の岡田さんと似ていました。

守備で失点に直結する個人戦術の誤りを修正できなかったことも含めて、世界レベルの日本人監督が誕生する上での課題かもしれません、

厳しい連戦おつかれさまでした。男子も気をつけて帰ってきてください。




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■女子は決勝進出に成功!男子は残念...

 ロンドン五輪・サッカー競技の準決勝、なでしこはフランスを2-1で破り決勝進出。残念ながら男子はメキシコに1-3で敗れ、3位決定戦へとまわることになりました。

 まず男子ですが、前半は6:4でメキシコが押す展開だったでしょうか。それでも12分に大津選手の素晴らしいミドルシュートが決まって日本が先制。

あれぐらい良いシュートがコンスタントに打てるなら、フル代表のセンターフォワード候補としてチャンスを与えてあげたくなりますね。

しかし30分過ぎ、大会前から弱点と言われているセットプレーの守備のほころびを突かれ、メキシコに追いつかれます。

自分の直前にあった密集を越してボールがこぼれてきたのでよく見えなかったのかもしれませんが、徳永選手には相手がフリーでヘッドできないようがんばって欲しかったです。

後半20分、今度はバイタルエリアでボールを持ちすぎた扇原選手がミスから奪われ、そのままメキシコのミドルを食らって逆転。

ホンジュラス戦のエントリーでも指摘しましたが、「このチームはバックやボランチがイージーミスからボールを失い、決定的なピンチを迎えすぎです」。

ロンドン・オリンピック壮行試合となった国立でのニュージーランド戦でも、日本の1点リードで迎えた後半ロスタイム、やはりセンターバックの直前にいた選手が無駄にリスクをかけてボールを持ちすぎて奪われ、ニュージーランドに同点ゴールを浴びるというシーンがありましたね。

サッカーにミスはつきものですが、同じようなミスを修正せずに何度も何度も繰り返していると、五輪の準決勝に出てくるようなレベルのチームは見逃してはくれません。

自陣深くでのミスは失点に直結しますし、こういうことは普段の心がけ一つで防げることなので、本当にもったいないです。

それでも残り時間がまだ25分もありましたから同点・逆転のチャンスが十分あったはずですが、大会に入ってはじめてリードを許したことでチームの心がポッキリと折れてしまったようでした。

リードしている時はイケイケでモチベーションバリバリでも、一度リードされるとがっくりきてチームを立て直せないまま試合終了を迎えてしまうといったことは、若くて経験のないチーム・選手にはよくあることです。

その点、リードされてもモチベーションを一定以上に保ち、冷静に同点・逆転ゴールをあげたメキシコの方が精神的にタフでした。

このあたりも、フットボーラーとして一生に一度あるかないかのオリンピック準決勝という舞台で「勝ちたい」という強い気持ちを持ち続けられるかどうかという、自分たちでどうにでもコントロールできることなので、もったいなかったように思います。

逆転されたあと清武選手を下げてから攻撃がまったく組み立てられなくなったように見えました。

このチームは、ダブルボランチの攻撃組み立て能力があまり高くないので、清武選手のパスが中盤の生命線みたいなところがありますから、ベンチの采配としてどうだったでしょうか。

それでもスペインを破り、準決勝進出を成し遂げたのですから、関塚ジャパンはここまで素晴らしい結果を残しています。

選手も自信をつけ大きく成長したことでしょう。


ただ、試合前から弱点だとわかっていたセットプレーの守備やボランチのイージーミスから失点し、リードされて精神的にがっくりきてチームを立て直せないまま終わったこの準決勝は非常にもったいない、ちょっと悔いの残る試合だったかもしれません。

3位決定戦の相手は韓国になりましたが、このまま悔いを残して終わってしまうか、チーム全員で「勝ちたい」という強い気持ちをもう一度取り戻し、銅メダルをゲットしてウェンブリーを笑顔で去るか、もう二度と結成されることはないU-23関塚ジャパンとしての最後の試合で有終の美を飾って欲しいと私は思います。

 なでしこの準決勝の相手はフランスでしたが、ブラジルとの試合よりはいくらかボールをポゼッションできた感じがしました。

宮間選手のFKを相手GKがキャッチしそこねボールがこぼれたところを、勝利への執念もろとも大儀見選手がゴールにねじこみ先制。

再び宮間選手のFKから、うまく相手のマークを外した阪口選手がヘッドで決めて2-0と試合を優位に展開します。

なでしこはシュート効率が良いというか、少ないシュート数でも高い決定力でゴールにつなげてきますね。

後半30分すぎにフランスに1点返され、その後PKを与えてしまいますが、相手が外してくれてそのまま日本が勝利、なでしこ決勝進出決定です。

金メダルをかけた決勝戦は、2011女子W杯優勝国の日本と準優勝のアメリカという予想通りの対戦となりました。

これまで通り、なでしこが自信・強気・プレーへの積極性を持って力を出し切ることができれば、きっと金メダルが取れることでしょう。




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■男女とも準決勝進出に成功!!

 ロンドン五輪・サッカー競技の決勝トーナメント初戦、男子はエジプトを3-0で降し、女子もブラジルを2-0で破り、男女ともに準決勝進出に成功という素晴らしい結果を出しました。

男子は、エジプトに3-0という結果も良かったですし、試合内容もホンジュラス戦より良くなっていました。

特に、相手から攻撃の自由を奪うプレスディフェンスが良かったですね。

コンパクトな守備陣形からプレスをかけ続けて粘り強く守り、ボールを奪ったら鋭いカウンターアタックで先制、一人少ない相手が後半疲れてきたところでダメ押しゴールをあげて勝利を決定づけました。

このチームの良いところは、90分粘り強く守備をして辛抱強くチャンスを待ち、後半相手が疲れてきたところで勝利に導くゴールをあげられるというところでしょう。

あえて課題をあげれば、ミドルシュートを打とうとする相手選手への寄せが甘い場面があったこと。

五輪予選・アウェーのシリア戦で、寄せが甘くなったところでミドルシュートを決められて敗戦、予選突破が一時危うくなったことがありましたが、同じ過ちを繰り返してはいけません。

また相手がロングボールを放り込んできた時、自分のゴールに近いところでワンバウンドさせてから処理するのではなく、バウンドさせずにヘッドやキックでダイレクトにクリアした方がリスクが少ないです。

選手は「ヘッドやキックが空振りにならないよう、ワンバウンドさせて大事にクリアしよう」と考えてのことでしょうが、思わぬバウンドから相手FWにボールをかっさらわれて失点というケースは、関塚ジャパンのロンドン五輪二次予選・アウェーのクウェート戦のように、本当に良くあることです。

連戦で疲労しているとは思いますが、陣形ももう少しコンパクトにした方がベターでしょう。

攻撃では、もっと味方のボールホルダーへのサポートを早くして無駄なボールロストは避けたいですし、コースが見えたらまずシュートを狙うという積極性も大切。

準決勝の相手はメキシコです。

ここまで来ると「組しやすい相手」はいませんが、気持ちで守りに入ったりせず積極的にプレーに関与し、自分の力を信じて強気で勝利をもぎとって欲しいと思います。

 女子もブラジルに攻められましたが、守りでよく辛抱しました。

クロスボールからのヘディングシュートで再三危険な形をつくられましたが、ブラジルの選手にゴール前で粘り強く体を寄せて、自由にシュートさせなかったことが無失点につながりました。

攻撃では、澤選手の抜け目のないリスタートから大儀見選手がゴールをあげ先制。サッカー王国ブラジルの御株を奪うプレーでしたね。

追加点は、大儀見選手が左サイドで基点となってのカウンター攻撃から最後は大野選手が決めるという形でした。

素晴らしいです。

課題をあげるとすれば、GKやDFのミスパス・ミスキックでしょう。

ここでミスがでると即失点につながりかねないところですので、リスクマネジメントをしっかりやって欲しいですね。

なでしこの準決勝の相手はフランスとなりました。

なでしこも、自信・強気・プレーへの積極性を持って決勝進出を勝ち取って欲しいです。




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■男女とも決勝トーナメント進出に成功!

 ロンドン五輪のサッカー競技において、日本代表は男女とも決勝トーナメント進出に成功しました。

男子はスペインに勝利したあとモロッコにも1-0で勝ち、決勝トーナメント行きを決めています。

モロッコに1-0という結果は良かったのですが、試合内容には課題が残ったと思います。
スペイン戦よりも相手に危険なシュートチャンスを許すシーンが多かったように感じられました。

日本のプレスディフェンスがスペイン戦よりも弱かったために、モロッコの攻撃に押されぎみでしたし、ゴール前におけるセットプレーの守備が甘くなるという、五輪予選やツーロン国際大会の時にも見られた悪い癖が顔をのぞかせていました。

攻撃でも、意図してモロッコにボールを持たせていたというよりは、味方のボールホルダーへのサポートが遅かったために日本が攻撃の主導権を握れなかったという面の方が強かったように思います。

それでも試合内容が今一つなりに、永井選手のカウンター一発から決勝点をゲットして勝ち切ったというところに、選手の成長がうかがえました。

つづくホンジュラス戦は決勝トーナメントの戦いを見据えて、有利な組み合わせに入るためにも引き分け以上で首位通過が欲しい、しかも疲労がたまっている選手を休ませ、サブメンバーに実戦経験を積ませたいという決して簡単ではない目標をもって試合にのぞみましたが、0-0の引き分けでミッションはほぼ成功したといえるでしょう。

ただ先発メンバーをかなり入れ替えたこともあって、試合内容の方はやはり課題の残るものでした。

球際の競り合いでホンジュラスに押され、後半相手の足が止まるまでゲームの主導権はホンジュラスに。

モロッコ戦でも感じましたが、このチームはバックやボランチがイージーミスからボールを失い、決定的なピンチを迎えすぎです。

攻撃面でも味方のボールホルダーへのサポートが遅いために日本の攻撃が単発に終わり、なかなかシュートまでもっていけませんでした。

ようやくシュートチャンスを得ても、選手がパスを選択して得点から遠ざかってしまいましたね。

決勝トーナメント初戦の相手はエジプトになりました。

2000年シドニー大会では、決勝トーナメント初戦でアメリカと当たることになった時、なんとなく楽勝ムードが流れて、アメリカに「よもやの」PK戦負けを喫してあと2試合やれるチャンスを失ってしまいました。

エジプトも決して楽な相手ではなく、サッカーのもっとも基本的なところである球際のフィジカル争いで勝つところから、もう一度気を引き締め直してファイトしてほしいと思います。

 なでしこは、カナダに勝利したあとスウェーデンとは0-0の引き分け。

攻撃は、崩しまではまずまず良かったと思いますが、あとはゴールを決めるだけでした。

守備面では、相手にロングボール攻撃をされるとどうしてもそうなりがちですが、ボランチの戻りが遅れて陣形が間延びし、特にセンターバックの前のバイタルエリアにスペースを与えてしまっていたのが課題でしょうか。

それでも他グループの結果により決勝トーナメント進出決定。初戦の相手はブラジルに決まりました。

グループリーグ最後の対南アフリカ戦において、後半も0-0だったので佐々木監督が決勝トーナメントの組み合わせのことも考えて、引き分け狙いの指示を選手に出したことが一部で話題になっています。

東南アジアNO.1を決めるタイガーカップ1998年大会においてこんなことがありました。

グループリーグ最終戦のインドネシア対タイ戦、決勝トーナメント初戦で開催国ベトナムと当たることを嫌がった両チームはお互いまったく攻撃しようとせず時間だけが過ぎ、後半ロスタイムにこのままの結果ではベトナムと当たることになってしまうと焦ったインドネシアの選手がくるっと反転し自分のゴールに豪快にシュートを叩き込むという前代未聞の事態が発生。

インドネシア代表は「アンフェアすぎる」と非難を浴びてしばらく国際大会から追放されるということがありました。

わざと味方のGKが守るゴールにシュートして2位通過を狙うなんてことがあっては絶対にいけませんが、金メダルの確率を高めるために決勝トーナメントの相手を考えて「引き分けのままでも良い」という戦略をとった佐々木監督の決断を私は支持しますし、誰に対しても謝罪する必要はないと思います。

仮に南アと引き分けてなでしこが金メダルを取るのと、南アに勝って金メダルを逃してしまうのとどちらが良いでしょうか?

今さら言うまでもないことです。「マリーシア」の範囲内のことでしょう。

ただし、あくまでも2位通過によって理論上金メダルの確率があがったというだけで、ブラジル女子も強敵です。

なでしこにも悲願のオリンピック金メダル獲得に向け、決勝トーナメントの一戦一戦において女子W杯以後の鍛錬の集大成となるような戦いぶりを見せてほしいと思います。





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