■2012年06月

■重心の高さとフィジカル能力

 皆さんすでにご存じのように、香川真司選手がマンチェスター・ユナイテッドへ移籍することが本決まりとなりました。

ようやく“シアター・オブ・ドリームス”こと、オールドトラフォードの入り口に立つことが許されたわけです。

ブンデスリーガに比べるとプレミアリーグは、ややロングパスの比率が高いように感じられますが、リーグやクラブのやり方など環境の違いを理解してうまく適応することが重要だと思います。

香川選手なら、クラブにゴールと勝利をもたらす主力選手としてきっと成功してくれることでしょう。

これからも全力で応援したいと思います。

 さてここからが今日の話題。

6月12日に行われたW杯アジア最終予選の対オーストラリア戦は、引き分けという結果も試合内容もまずまず良かったのですが、本田選手など一部をのぞいて日本代表の多くの選手が相手とのフィジカルコンタクトの争いにおいて劣勢な姿がTV画面に映し出されていたのもまた事実でした。

サッカー選手に求められる個の能力のうちフィジカルコンタクト能力において、日本人選手はなかなか世界平均にまで達することができないという弱点があり、それは“ドーハの悲劇”のころからあまり改善されていないように思えます。

この分野でせめて世界平均まで能力を引き上げることができれば、日本人選手はもっと世界の舞台で活躍できるでしょうし、先日のオーストラリアとの試合でも日本の勝利という形ではっきりと差をつけられたことでしょう。

フィジカルコンタクトの能力が高いか低いかは、身長や骨格・筋肉の発育など体格の問題、体の当て方・腕の使い方などテクニックの問題、そして「相手との球際の競り合いに絶対に勝つ!」というメンタルの持ち方の問題など複数の要素がからみあって決まってくるのではないかと私は考えています。

こうしたことは一朝一夕に改善されるものではなく、日本サッカー協会(JFA)がリーダーシップをとって世界から優れたフィジカルコーチを招聘し、日本人選手のフィジカル能力強化をめざすプログラムの戦略的な策定・実行が望まれます。

 そうしたお仕事はJFAにお任せするとして、それとは別に比較的短期間にフィジカルコンタクトの能力を改善する方法について、ちょっと考察してみたいと思います。

今年秋、フランス代表とのテストマッチが計画されていますが、会場はパリ郊外のスタッド・ド・フランス(サンドニ)になりそうです。

サンドニと言えばトルシエジャパン時代にもフランスとテストマッチをやり、日本が0-5の大敗を喫したスタジアムでした。

その試合で印象的だったのは、フランス代表の選手たちはふつうにサッカーができているのに、当時ASローマでプレーしていた中田英寿氏をのぞくJリーグ組の選手たちは、雨を含んでぬかるんだサンドニのピッチに足をすべらせたり当たり負けしたりするケースが多々あって、なかなかサッカーをやらせてもらえなかったということでした。

2009年に岡田ジャパンがオランダに遠征したときも、エンスヘーデのスタジアムがにわか雨に見舞われ、同じ条件でもオランダ代表の選手は普通にプレーしているのに、足をすべらせる日本人選手が続出、横浜Mの中澤選手は足をすべらせたことも失点の要因と考えて、帰国後に足腰の強化のため砂場でのトレーニングを取り入れたほどでした。

「日本人選手、特に国内組の選手が外国のピッチで足をすべらせやすいということと、日本で育てられる選手のフィジカルコンタクトの能力が低いということには深い関係があるのではないか」というのが私の仮説です。

毎年2月ごろになると滅多に降らない東京でも大雪に見舞われ、翌朝凍結した路面で転倒して骨折などの重傷を負う人が続出しニュースになります。

一方、同じ都会でも札幌ではそういうことはあまりないようで、札幌市民が東京都民へ向けて、雪で路面が凍結してすべりやすい場合は「腰を落として重心を低くし、大股で歩かないように」とアドバイスする様子がTVで報じられたりします。

裏返せば、路面がしっかりと整備されていて凍結する恐れも少ない東京では、重心が高い腰高の状態でもバランスを崩して転倒することなく歩くことができるのです。

これと同じことがサッカーでも言えるのではないでしょうか?

Jリーグのピッチは、きれいに刈りそろえられた芝はもちろん、芝が生えている土の質や水はけも含めて、世界でもっともよく整備された美しいものです。

ところがサッカーの本場・欧州でさえ、一見美しく整えられたピッチでも芝の下が水はけの悪い粘土質だったり土壌が固かったりして、ちょっとでも雨を含むとすべりやすくなるので、子供の時から重心を低くして走るよう習慣づけられているから、それにふさわしいバランス感覚や足腰が発達して外国人選手は同じ条件下でもすべって転倒しにくいのではないか、と推測できます。

仮にそうだとすると、足場がしっかりと手入れされた美しいピッチで育ち高い重心のまま走ってしまう日本人選手と、重心を低くしてすべりにくいようにプレーしている外国人選手が肉体をぶつけ合った場合、どちらがバランスを崩してボールを奪われやすいでしょうか?

日本にもフィジカルコンタクトで勝敗が決まる競技があります。そう、相撲です。

相撲では、腰高で重心が高すぎる力士は相手とぶつかった時バランスを崩して土俵外へ寄り切られやすいのでそれは避けるべきとされますが、サッカー選手のフィジカルコンタクトの勝負でも同じことが起こっているのではないでしょうか。

このあたり、世界的なフィジカルコーチのご意見をうかがいたいところですが、皮肉なことに世界一恵まれた日本のピッチが、日本人選手のフィジカルコンタクト能力を低くしてしまっている可能性があります。

レガースをつけた真剣勝負のボールの奪い合い練習や重心を考えた走法トレーニングなどは短期間でも導入が可能でしょうし、食生活の改善も含めて総合的な日本人選手のフィジカル能力の強化は急務です。

 フィジカル強化とはちょっと外れた話ですが、欧州のトップリーグでもフィジカルコンタクト能力があまり高くない選手が活躍している例はあります。

スペイン代表&FCバルセロナのシャビ・エルナンデスがその代表ですが、彼がどうやって高いレベルのリーグで生き残ってきたのか注目してきました。

彼は自らのあまり強くないフィジカル能力をカバーするため、こういうテクニックを使うことがあります。

あまり上手くない図なんですが、これを見ながら順をおって説明しますと、(1)シャビが後方からパスを受けようとしている。それに対して相手選手がプレスをかけてきており、シャビにはそれが見えている。

(1)
シャビ


(2)シャビはパスを受けても前を向く十分な余裕はないと判断。そこでプレスをかけてきた相手選手のすぐ脇を通してボールをちょこんと前へ蹴って、プレスをかけてきた相手に半分わざとぶつかって倒れる。(前へボールを蹴ることが重要。バックパスではそれほど効果はない)

(2)
シャビ2

(3)レフェリーは、前方へドリブル突破しようとしたシャビの進路を妨害したと判断してファールを取る。一度ファールを取られると、特にゴール前での危険なフリーキックを与えたくない相手選手はシャビにうかつに飛び込めなくなりプレスを弱めざるを得ない。 フィジカルコンタクトの争いが少なくなれば技術の高いシャビの方が有利になる。

以上、シャビはこういったマリーシアな方法も使いながら、フィジカルコンタクトで劣勢であるという自らのウィークポイントをカバーして世界で最もレベルの高いリーグの一つで何年も活躍してきたわけです。

メッシや香川選手も、高速ドリブルで相手にフィジカルコンタクトを受ける前に仕事をフィニッシュしてしまうというやり方で、体が小さくても厳しい競争に勝利してきました。

フィジカル対策には、こういうまったく別の角度からの解決策もあります。

どちらにせよ、フィジカルコンタクトで弱いというウィークポイントを放置し続けることが一番いけません。




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(当ブログ関連記事・練習のための練習)



  

■正直すぎる日本人選手

 香川選手のドイツにおける輝かしい成功によって、近年欧州へ移籍する日本人選手がたいへん増えました。

それ自体はとっても素晴らしいことなのですが、気になることが一つあります。

それは、今いるクラブはいずれ自分がビッグクラブの一員になるためのワン・ステップにすぎないだとか、今度移籍するクラブで活躍してもっと良いクラブへ移籍したいなどといったことを、記者会見等の場で堂々と宣言する日本人選手が少なくないということです。

たとえそれが選手個人の偽らざる本心であったとしても、自分が今度移籍するクラブがレアルマドリードやマンチェスターユナイテッドのようなビッグクラブではないことが明白な事実であったとしても、あまりにも正直すぎる発言ではないでしょうか。

日本のマスコミ向けに日本語でしゃべったのだとしても、そうした発言は日本語以外に翻訳されて欧州のサッカー界に伝わることを前提に考えるべきです。

そして、それを聞いたクラブの関係者(監督やオーナー)や、ゴール裏席に陣取るサポーターはどういう風に受けとめるでしょうか。

もし自分が応援しているJリーグクラブが今度獲得した新外国人選手が「ここは自分がビッグクラブで成功するためのステップ・踏み台にすぎません」などとぬかしやがったら、「誰が応援してやるか」と私なら思います。

日本代表のあるFWがいくらゴールしても先発でなかなか使ってもらえないのは、欧州へ移籍直後にそういう発言をしたことも原因の一つではないかと、個人的に疑っています。

逆に南米人だったでしょうか、欧州の地方クラブからビッグクラブへ移籍することになったある選手が、「○×は歴史と伝統あるビッグクラブであり、今いるクラブも私も○×からの移籍オファーを拒否することは許されないだろう。サポーターの皆さんもそれを理解してほしい」とコメントして、近々出ていくことになるクラブの関係者やサポーターの感情を害さないよう非常に気を使っていたのが印象に残っています。

日本人選手が欧州の移籍マーケットで人気になったのはごくごく最近のことであり、現時点においても日本サッカー界全体が選手の海外移籍についての経験が少なく、それが選手に不用意な発言をさせてしまう原因なのでしょうが、そうしたことは日本サッカー界にとってまったく利益にならないと思います。

今度移籍する、あるいは自分が今所属しているチームがビッグクラブでないことが動かしがたい事実であっても、自分を育て、欧州四大リーグに適応するためのチャンスを与えてくれているクラブの関係者やサポーターに対して、最低限の敬意を欠かさないよう、日本人選手は自らの発言には十分注意してほしいと思います。




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■日本代表、スタートダッシュに成功

 ブラジルW杯アジア最終予選の開幕をつげる3連戦、日本代表は2勝1分の勝ち点7、得点10・失点1という成果をあげることができました。

この3連戦がはじまる直前のエントリーで、3連勝の勝ち点9がベストだが勝ち点7をゲットできればひとまず合格と書きましたが、予選突破に向けて必要な勝ち点がひとまず確保できたと言えるでしょう。

日本の予選日程は前半にホームゲームが片寄っていますから、スタートダッシュ成功はMUSTの状況でしたが、良いスタートを切ることができました。

結果もさることながら、この3試合は内容が良いですね。

3試合で10ゴールですからつい攻撃に目が向きがちですが、私は守備の安定がとても大きいと思います。

守備がとても安定しているので、先制されて自分たちが不利な状況から相手を追いかけなければならないということがなく、それが攻撃面にも良い影響をもらたしています。

この点において、ウズベキスタンに1分1敗、北朝鮮に1勝1敗だった3次予選の日本代表とはまったく違うレベルのサッカーをやっているといっても過言ではありません。

守備が安定した最大の原因は、タテ・ヨコにコンパクトな陣形をつくって相手が攻撃に使えるスペースを限定しているからです。

今のところオマーンもヨルダンも、日本がつくったコンパクトな守備ブロックの間をぬって正確にパスで攻撃を組み立てるような能力はありませんし、ロングボール攻撃に切り替えても、たとえ最初の空中戦で競り負けても陣形がコンパクトですぐ近くに味方がいるので日本がこぼれ球を拾ってマイボールにしやすく、これも機能していませんでした。フィジカルが強いオーストラリアにはやや劣勢でしたが、あのへんなPK判定さえなければ無失点で乗り切っていた可能性が高いと思います。

こうなると、相手に守備を固められて狭いスペースしかなくてもショートパスで相手を組織的に崩すことができる日本が圧倒的に有利になってきます。

それが2勝1分の得点10・失点1という好成績につながりました。

こうしたサッカーが始めからできていれば、3次予選も無敗でいけたんじゃないでしょうか。

ヨルダンについては試合前に「これまで90分間で日本は1度も勝っていない」とさんざん言われました。

ヨルダンとの最初の対戦はアジアカップ2004の準々決勝でしたが、あのときのヨルダン代表はエジプトの名将・エルゴハリ監督によく鍛えられた、なかなか良いチームでした。

オランダ・PSVでプレーするパクチソンのいた韓国と引き分けてグループリーグを2位で通過、準々決勝で日本と当たったわけですが、ジーコジャパンは攻守ともに組織力が非常に低く、陣形がダラーッと間延びしていたので安定しない守備からヨルダンに先制を許し、何とか追いついて1-1からPK戦勝ちにもちこんだのでした。

ジーコジャパンは準決勝でもバーレーンと3-2(延長)というゲームをやっていますし、この大会で優勝してアジアトップレベルであることは証明したものの、あんまりアジアの国々と大きな差をつけることができないチームでした。

そして昨年開催されたアジアカップ2011の初戦で久しぶりにヨルダンと対戦し、1-1の引き分けとなりましたが、このときは本来なら1月のシーズンオフ中でチーム練習がままならず、やはり守備時のチーム陣形をタテ・ヨコにコンパクトにすることができずに不安定な守備を突かれて先制ゴールを浴び、試合終了間際に追いついたという展開でした。

当ブログ記事・韓国戦から見えた課題) 

しかし先日のアジア最終予選におけるザックジャパンのディフェンス組織はコンパクトで非常に堅く、ヨルダンはほとんど攻め手を失っていました。それが6-0という圧倒的な差につながったのです。

こうした意味で、現在のザックジャパンはアジアカップ2011の頃と比べても、アジア3次予選の頃と比べても、ワンランク上のレベルのサッカーができています。

これからも現在の良いサッカーをずっと継続していって欲しいですね。

次回は9月に埼玉でイラクと対戦することになりますが、ホーム戦ですし絶対に勝利しなければならない試合です。

 ところがそのイラク戦に向けて難題が持ち上がっています。

吉田選手はヨルダン戦で靭帯を痛めてしまいましたし、栗原選手はオーストラリア戦で退場処分、今野選手も累積2枚目の警告を受けてどちらもイラク戦に出場することができません。

レギュラークラスのセンターバック(CB)でイラク戦に確実に出場できる選手が現在誰もいないというのは、頭の痛い問題です。

吉田選手のケガが早く治り、イラク戦に間に合ってくれることを祈るしかありませんが、ここはひとつ名古屋の闘莉王選手を呼んでみてはどうでしょうか。

2010W杯で世界を相手に闘った豊富な経験がありますし、フィジカルやハートの強さは日本人選手の中ではピカ一です。

ただ、チームが点を取れないといてもたってもいられず、前線にガンガン上がって行ってしまうので、チームの規律と攻守のバランスを重んじるザッケローニ監督がそのあたりどうするかですが...。

前述の吉田選手は、どういうわけかロンドン五輪のオーバーエージ枠にも選出されましたが、A代表のレギュラーCBが誰もいないという緊急事態ですから、まずは9月のイラク戦出場を最優先課題にリハビリに励んでもらいたいです。

仮にロンドン五輪に間に合ってプレーし、そこで負傷してイラク戦に結局出場できなかったという最悪の事態は、何としても避けなければなりません。

その意味でも彼のオーバーエージ枠選出は、理解に苦しみます。

女子ワールドカップが一部で五輪予選を兼ねているように、女子サッカー界では五輪が事実上、世界最高峰の大会といえるかもしれませんが、男子サッカーではワールドカップが最高峰の大会であり、年齢制限のある五輪は必ずしもそうではありません。

マンチェスターユナイテッドに移籍が決定的な香川選手が、早くチームに慣れるために五輪招集を見送られましたが、妥当な判断でした。

次のW杯予選に向けてレギュラーCBがそろわない問題も、妥当な判断をお願いしたいです。




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■日本代表、不可解な判定に苦しみながらも価値ある勝ち点1

 日本代表のW杯アジア最終予選の第3戦は、アウェーのオーストラリア戦。

結果は1-1の引き分けとなりました。

対戦相手のオーストラリアですが、かつては主力選手のほとんどが欧州でプレーしていたものの、エバートンのケーヒルやフルハムのシュウォーツァーあたりを除いて、日本・韓国・UAEなどアジアのクラブでプレーする選手が本当に多くなりました。

日本との力関係はほぼ互角、現時点ではやや日本の方が上かと評価していましたが、アウェーで引き分けという結果はまずまず良かったと思います。

日本の試合内容も悪くはなかったですね。

それでは激闘となった試合を振り返りましょう。

        ☆        ☆        ☆

立ち上がりはホームで絶対に勝たなければならないオーストラリアが、お得意のロングボール攻撃で攻勢に出てきます。

前半5分、ノースが右サイドから日本のゴール前へクロス、競り合いのこぼれ球が“D”のエリアに落ち、待ち構えていたバレリのミドルシュートはバーの上。

同じ形からのミドルがもう一本ありましたが、これは前回記事でオーストラリア対策として挙げていたとおりで、このあとはちゃんとケアができていました。

6分、ロングボールを拾ったケーヒルが日本のDFをかわし強烈なシュート、川島がなんとかセーブしますが、前へはじいたボールを逆サイドに展開されてウィルクシャーがペナルティエリアに侵入して再びシュート、これも川島がファインセーブ!

日本がオーストラリアの猛攻を良く我慢して両チーム互角の展開へ。

8分、日本のショートコーナーから岡崎がフリーでヘッドするもワクをとらえられず。

20分、左サイドからのクロスにケーヒルがヘッド、川島・アレックス・栗原らがもつれて混戦になり、こぼれ球をニールがプッシュしようとしますが、栗原が倒れたまま絶妙のクリア。日本は危うく命びろいをします。

43分、右サイドで香川・本田とつないでからオーバーラップした内田へパス、内田のシュートは大きく浮いてしまいます。

 後半のはじめも互角の展開。

しかし10分にヘッドでクリアしようとした内田に対する危険なプレーでミリガンが退場してから、ゲームの流れは一気に動いてきます。

足が止まりつつあるオーストラリアが守りを固め、日本がそれを崩そうとする展開に。

20分、右ショートコーナーから本田がペナルティエリア内へドリブル、ゴールライン際からのクロスをファーポスト側につめていた栗原が押し込んで、日本が待望の先制点。

ところが23分、オーストラリアのCK時にペナルティエリア内の内田が不可解なPKをとられ、ウィルクシャーがこれを決めてオーストラリアが同点に。

31分、オーストラリアのCKのクリアがオグネノフスキに渡りシュートしますが、クロスバーに当たって跳ね返り日本は助かりました。

PKをもらって一時息を吹き返したオーストラリアでしたが、試合の流れは再び日本へ。

32分、左サイドを突破してのクロスからゴール前フリーの香川がヘッドしますが相手GKがキャッチ。

34分、長友からパスを受けた香川が角度のないところから振り向きざま強烈なシュート、これはGKがよく抑えます。

43分、ゴール前絶好の位置からの遠藤のFKは大きく上へ。

44分、ボールのないところでオーストラリアのFWともつれて倒れた栗原が退場処分に。

ロスタイム、ゴール前右からの本田がFKという場面で試合終了のホイッスル。

日本は勝ち点1をオーストラリアと分け合いました。

        ☆        ☆         ☆

 つづいて攻撃面から試合内容を分析しましょう。

攻撃の内容についてはまずまず良かったと思います。

グループ最強のライバルと目される相手との大一番でしたが、冷静にパスを回して自分たちのストロングポイントを生かしたサッカースタイルをタフにやり抜くことができていました。

やはり試合前にピッチのことが言われましたが、香川選手が試合後コメントしていた通り、パス回しに関して「全然問題なかった」ですね。

日本のピッチがS級ぞろいなだけで、南米やアフリカも含め世界全体ではあれぐらいは並の部類だと思います。

 次のプレーへの判断が早くリズム良く攻めることができたヨルダン戦に比べると、球ばなれがだいぶ遅くなってしまったのが、これから日本がもっと強くなっていくための課題。

「重要な試合だからパスは大事に行きたい」という気持ちはわかるのですが、これまでの2試合と違って相手が勝つために前へ出て来ていましたから、日本がカウンターからゴールするチャンスがたくさんありました。

しかし本田選手や香川選手・長谷部選手が、カウンターから後ろへ下がる相手センターバックに向かって前を向いてドリブルという場面で球ばなれが遅いために、相手が陣形を整えてしまいシュートまでもっていけないというシーンが何度もあって、もったいなかったですね。

カウンターから1点でも取れていればこの試合、日本が勝ちきっていた可能性が高いです。

オマーン戦の記事でも指摘したとおり、自分より相手ゴールに近いところにフリーでいる味方がいれば、即断即決でパスした方が上手くいくことが多いと思います。

シンプルに前へ前へパスをすることで、パス前には予想できなかった相手守備陣のスキが見えてくることもありますし、もしそのパスを受けた選手から先、攻撃の展開のしようのない“行き止まり”になってしまったら、初めてそこでバックパスをして攻撃を組み立て直しても全然問題ないわけです。

現在、ユーロ2012が絶賛開催中ですが、ポルトガルを倒して好発進したドイツ代表のレーヴ監督は、1人の選手がボールを保持する1回当たりの時間が3秒では遅すぎると言い、正確性を保ったままドイツ代表の選手たちがパスを受けてから次のパスを出すまで1.5秒以下になるようずっと努力してきました。

W杯でベスト8・ベスト4と勝ち進んで行くレベルのチームは、今回のオーストラリアが相手ならアウェーでも勝ちきっていたでしょう。

 また、日本が最後までパスで相手を崩そうとしすぎて、ミドルシュートの意識が弱すぎたのも勝ちきれなかった原因の一つだと思います。

ユーロのイングランド戦で決めたナスリ(フランス代表&マンチェスターC)のようなミドルシュートがもっと欲しかったですね。

香川・本田・遠藤選手らがバイタルエリアでフリーで前を向いた場面がいくつかありましたが、いずれも選択したプレーがパスだったのが残念でした。

シュートにしろパスにしろ、大事に行き過ぎてゴールチャンスを失ってしまうのは、技術・戦術よりも選手個々のメンタルの問題。

相手がヨルダンだろうがオーストラリアだろうが、相手をナメずリスペクトもしすぎず、常に平常心でやるべきことをやってきっちり勝利という結果を出す。

選手個々が代表でもクラブでも成長を続け、W杯でベスト4以上を狙えるチームが持つ、そのような勝者のメンタリティーを身につけてほしいと思います。

それでもこの試合の攻撃に関しては内容は良かったです。
 
 守備に関しても内容は良かったですね。

相手がロングボール攻撃を多用してきたので陣形が間延びしやすい状況でしたが、コンパクトな陣形をなるべく保つということができていました。

さすがに疲労からか、後半30分すぎからは陣形がばらけ気味になってしまいましたが。

世界トップレベルのフィジカルコンタクト能力を持つ相手に、ボールの競り合いでも良くがんばっていました。

ただ、多くの選手がフィジカルでの争いに劣勢だったのは事実で、世界のどこと戦っても手を使わずにフィジカルの勝負で互角に持っていかれるよう、体の使い方など日頃の練習から強化していって欲しいです。

レガースをつけない「練習のための練習」をやっていたんでは、いつまでたってもフィジカル能力は強化できません。

        ☆        ☆        ☆

選手個々で特筆すべきはまず栗原選手。

相手の攻撃をよく抑え、前半20分のゴールライン上に倒れた状態からの冷静なクリアは日本を救いました。攻めては貴重な先制ゴールでチームに大きな貢献。

退場の原因となったシーンは映像では確認できませんでしたが、パスが出たところとは無関係であり判定は不可解なものでしたから気にする必要はないでしょう。

ただ北朝鮮戦で相手の若いFWに空中戦で競り負けた時もこの試合後のコメントでも「Jリーグにはいない相手」「世界の選手は思った以上に強い」という言い方をするのが気になります。

ブラジルW杯までにレギュラーのセンターバックになりたいのであれば、世界の強さを常に意識して自分を高めなければなりません。欧州クラブへ移籍するのも一つの手です。

GK川島選手も好セーブ連発で、アウェーで貴重な勝ち点1をゲットするのに貢献。
 
本田選手は攻撃の組み立ての中心として活躍し、ワンアシストを記録。ゴール前でのマルセイユ・ルーレットなど魅せてくれました。もう少し球ばなれが早くなると、ビッグクラブにふさわしい選手にもっと近づけます。

逆にこの試合の長友選手は、ボールホルダーとの間合いをつめるのが遅れ気味で、サイドからの相手のクロスボールを簡単に入れさせてしまったりと、守備がやや軽かったように思います。

岡崎選手も相手に脅威を与えることがあまりできませんでした。フリーでヘディングシュートしたら最低限ゴールマウス内に入れてほしいところ。

香川選手は、プレー内容は決して悪くはないですがもっとシュートの意識を強くもって欲しいですね。
マンチェスターUで成功するためには、こういうビッグゲームでも自分のゴールでチームに勝利をもたらしてやるという強いメンタルとリーダーシップが必要です。

ドイツカップ準決勝でしたか、フリーのヘッドを外してドイツの新聞に厳しい採点をつけられたことがありましたが、この試合でも同じような場面がありました。彼は足技が抜群に上手いですが、ヘディングシュートも練習しましょう。

代表でなかなかゴールできない焦りがあるのか、この3連戦はパスやドリブルに移る前のトラップが雑になっているのが気になります。香川選手はポテンシャルがケタ違いに大きいのでつい要求レベルが高くなってしまいますね。

長谷部選手も悪くはないのですが、中盤でのフィジカル勝負で押され気味でした。クラブでボランチのレギュラーが獲得できていないのはこのあたりに原因がありそうです。

ボルフスブルグではチームの黒子役・「何でも屋」に徹していますが、最近出番が減っています。もっと積極的に我を出してボランチのレギュラーを獲得できるように、フィジカル・精神面での強化をした方が良いと思うのですがどうでしょうか。

        ☆        ☆        ☆

最終予選初のアウェー戦となったオーストラリアとの試合は引き分けとなりましたが、結果としてはまずまず良かったと思います。

試合内容も攻守にわたって良く、オーストラリアより一枚上手のサッカーができていました。


それだけに1-1という結果は論理的なものではなかったと思います。

「それがアウェー戦だ」と言ってしまえばそれまでですが、ピッチの上にいた“オーストラリアの12人目の選手”に勝ち点2を盗まれた気分です。

前回記事で、「ホームとアウェーのレフェリングの違いに注意」「ペナルティエリア内で相手に手をかけるとPKを取られる可能性がある」と指摘しておきましたが、確かに手が少しかかっていたように見えたものの内田選手がそんなに悪質なファールをおかしたようには見えません。

内田選手へのファールでミリガンを退場させたので、観客をなだめるために無理矢理バランスをとったのでしょうか。

栗原選手の退場も不可解でした。

この先こういうことがあるかもしれませんから、日本の選手には手を使わずにフィジカル勝負に勝てるよう練習にはげんでもらいたいですが、この試合を裁いたサウジアラビアのアルガムディ主審は、アジアカップ2011で日本が韓国に勝った準決勝でも笛を吹いていました。

で、あの時も今野選手が不可解なPKを取られたんですよね。

彼の脳内では我々が見ている現実とは違う試合映像が流れているのかもしれませんが、日本対オーストラリアのようなレベルの高い試合を裁くスキルがあるとは思えません。

AFCレフェリーの要注意人物として今後もマークしておくべきでしょう。

本田選手がFKを蹴ろうとした瞬間、試合を終わらせたことも話題になっていますね。

Jリーグのレフェリーには、ロスタイムが終わっても負けている方のチームにもうワンプレーだけさせて、ボールを失ったりプレーが途切れたところで笛を吹くという、謎の習慣があります。

Jリーグのレフェリーが試合終了の笛を一番吹きやすいのは、勝っている方のGKがゴールキックを蹴ってボールが空中にある瞬間ではないでしょうか。

サッカーのルールブックには必ずそうしなければならないとは書いていないはずですし、海外のレフェリーはプレーが途切れなくても時間がくれば容赦なく試合終了の笛を吹きますから、本田選手がFKを蹴ろうとした瞬間ゲームを終わらせてもルール上は間違いではないですけれども、何か釈然としないものが残るのも確かです。

あくまでも審判はわき役であって決して主役になってはいけません。アジアレベルを超越した好ゲームを目立ちたがり屋のレフェリーにブチ壊された気がします。

 次回は、このアジア最終予選の3連戦について総括しましょう。

記事のアップは今度の土曜か日曜を予定しています。

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    2012.6.12 サンコープ・スタジアム(ブリスベン)

        オーストラリア 1 - 1  日本

  ウィルクシャー '70(PK)      栗原 '65


  GK シュウォーツァー       GK 川島

  DF カーニー            DF 内田
     オグネノフスキ          (酒井 73) 
     ニール                今野
     ノース                栗原    
                         長友     
  MF マッケイ                  
    (ルカビチャ 64)       MF 長谷部  
     バレリ                遠藤
     ブレシアーノ            岡崎
    (ミリガン 13)           (清武 86) 
     ウィルクシャー           本田
    (クルーズ 90+)           香川
                        (伊野波 90+)
  FW ケーヒル          
     アレックス          FW 前田 




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■日本代表、ヨルダンに6-0の爆勝!!

 ブラジルW杯を目指す日本代表の第2戦の相手はヨルダン代表でしたが、日本が6-0と“爆勝”しました。

対戦相手のヨルダンは、ルーマニアでプレーするFWバワブ以外は国内組にサウジなど周辺国でプレーする選手をプラスしたチーム。

ホームでもアウェーでも日本が勝利できるぐらいの実力差があると見積もっていましたが、6-0で日本の勝利という結果は大変素晴らしいものでした。試合内容も良かったですね。

いつものようにまずゲームを振り返ります。

        ☆         ☆        ☆


 オマーンに比べてフィジカルが強いヨルダンからガチガチ厳しいプレスをかけられた日本でしたが、落ち着いたパス回しから相手の守備ブロックを崩しにかかります。

前半5分、ウラヘ抜け出した岡崎に遠藤から絶妙のパス、岡崎はゴールに背を向けたまま胸でワントラップしてシュート、これはGKがファインセーブ。

18分、本田の蹴ったCKをゴール前で競った前田が肩にあててゴールに押し込み日本が良い時間で先制点をあげます。

22分、相手のクリアボールを拾った遠藤がまたしても精度の高いスルーパス、ゴール前に走りこんだ本田にピタリとあってそのままゴールへと流し込み2-0とします。

27分、ディーブ・サリムが長谷部に肘打ちで退場、日本がますます有利に。

31分、遠藤のパスを受けた岡崎のクロスが相手の足に当たりながらもファーポスト側へ流れ、これを本田が詰めて早くも3-0。

35分、やはり相手のクリアボールを拾った内田がゴール前中央へ流し、香川の狙いすましたシュートが決まって4-0と一方的な展開。

45分、長谷部からのスルーパスに走りこんだ内田のシュートはバーの上でした。

 後半はロッカールームで監督からカツが入ってヨルダンが必死の攻撃に出てきましたが、まだ45分もあるのに日本は楽勝ムードが充満したのか足が止まってしまい、ヨルダンの攻撃を機能させてしまいます。

3分、ヨルダンのFKから前田のマークが遅れアルムルジャンがフリーでバックヘッド、ゴールマウス左に外れましたがヒヤッとさせられます。

5分、日本のパスミスからヨルダンのカウンター、バワブからパスを受けたハイル・イブラヒムのミドルシュートは川島の正面で助かりました。

日本はようやくハーフタイム終了に気づいたかのように反撃開始。

8分、左サイドに侵入した前田が相手に倒されてPKゲット。これを本田が決めて5-0とし、ヨルダンは完全に戦意を喪失しました。

その後、両チームとも疲労からか足が止まり始め、ゲームのクオリティーは落ちました。

44分、ショートコーナーから長友がクロス、最後は栗原のヘッドで締めて6-0。

日本代表が相手に壊滅的打撃を与える爆勝となりました。

        ☆        ☆        ☆

 それでは試合内容の分析です。今日も攻撃から。

攻撃の内容は良かったと思います。

ヨルダンのプレスディフェンスは厳しいものでしたが、相手のボールホルダーがフリーで前を向いている時、バックは自分たちの守備ラインのウラヘ抜けようとする相手選手にはラインを下げてついていかなければならないというセオリーがありますが、ヨルダンはこれができていませんでした。

そのため遠藤選手が基点となって面白いようにラストパスが決まりましたね。

相手の崩し方もゴールシーンも様々なバリエーションがあり創造性あふれるものでしたし、攻撃の組み立てでもショートパスとミドルパスの使い分けがとても良かったのではないでしょうか。

前回エントリーで指摘した球離れもだいぶ早くなりましたから、攻撃面で大きな問題点はありませんが、CKを蹴る時ボールの落としどころがやや相手GKに近すぎるように感じます。

たまにはペナルティスポットあたりを狙ってみて、そこに走りこんでからのヘディングシュートも面白いでしょう。

守備も内容は良かったですね。

フィジカルの強い相手に大変だったと思いますが、陣形をコンパクトに保ってプレスをかけ続け、相手のロングボール攻撃からの一対一にもほとんど勝てていました。

 攻守のクオリティー自体は高いものでしたが、後半のキックオフ直後、チームに楽勝ムードが流れていたのか明らかに集中を切らし、相手にゴールチャンスを何度か与えたのは問題です。

あそこで1失点でもしていたらその後のゲーム展開は変わっていたことでしょう。

前半で4-0と大量リードでしたから気持ちを張り続ける方が難しいとは思いますが、サッカーは90分で1試合ですから、試合終了の笛が鳴るまでは集中を維持しなければなりません。

また日本の選手は足元は上手いですが、ヘディングが伝統的に不正確ですね。

フリーでヘディングしているのに敵選手にパスしてしまうシーンが何度かありました。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべきはまず前田選手。

肩に当たってのゴールはややラッキーでしたが、チームを楽にする値千金の先制弾。ゴール前でも良く動いてPKゲットとチームに大きく貢献。

ハットトリック達成の本田選手も攻撃を組み立て、最後は自分がフィニッシュと大活躍。

遠藤選手も正確なラストパスで何度も決定機を演出していました。

相手がなかなかバイタルエリアでスペースを与えてくれませんから本人はまだ納得がいってないかもしれませんが、香川選手にも待望のゴールが出ましたね。
次のオーストラリア代表が五分と五分の勝負に出てくるなら、香川選手が生きるスペースが生まれるかもしれません。

締めは栗原選手。打点の高いヘッドは迫力がありました。
ただ、日本のペナルティエリア内で相手の肩に手をかけて空中戦を競ると、Jリーグでは取られなくても国際審判はファール・PKと判断する可能性があるのでそこだけは要注意でしょう。

 途中出場の伊野波選手についてですが、アゼルバイジャン戦でも感じたのですが、相手FWと一対一の勝負にいっぱいいっぱいのように見えます。

また、相手がスペースに出したロングボールに対し、全力でダッシュすれば先に追いついてマイボールにできるのに、わざとスピードを緩めてしまうために相手選手に先にボールを拾われて、その選手を伊野波選手が背後からマークするのですが、前線で基点をつくられていました。

前へ出て先にボールに触れず相手に抜かれてしまったら困るので大事にいこうとしたのかもしれませんが、一対一の勝負に絶対の自信がないことがそうさせているのかもしれません。

このままでは、インターナショナルレベルのFWを相手にするのはきついと思います。

これに関連して、大変残念なことにセンターバックの吉田選手が足を痛めてチームを離脱してしまいました。

軽傷であることを祈りますが、オーストラリアで何が起こるかわかりません。呼べるのであれば代わりのセンターバックをすぐ補充した方が良いと思います。

たとえ使われなかったとしても、ザッケローニ監督のやり方を知っている選手が一人でも増えれば、チームにとってもプラスになるのではないでしょうか。

        ☆        ☆        ☆

 アジア最終予選の第2戦となったヨルダン戦は、6点差の大勝プラス失点ゼロと大変素晴らしい結果でしたし、試合内容も攻守に良いものでした。

すぐれたチーム組織に高い個の能力が理想的に組み合わさった自分たちのサッカーを冷静にやり抜き、ホーム2連戦を最高の結果で終えて気持ちよくオーストラリアに乗り込むことができます。

今度の相手オーストラリアは、これまでとは違いアジアトップクラスのチーム。

昨年のアジアカップではロングボール主体で攻撃してくるイングランドスタイルのチームでしたが、清水でプレーしているアレックス・ブロスクが加わってからは、ショートパスも使えるようになったと聞いています。

陣形をコンパクトにしてプレスをかけ90分間相手を自由にしないこと、そして相手のロングボール攻撃や日本ゴール前でのヘッドの競り合いにしっかり勝つことがまず大切。

あと、イングランドスタイルのチームに特に注意すべき点は、相手ゴール前でセットプレーのチャンスを得たら、ペナルティエリア前の“D”のエリアに1~2人の選手を置いておき、相手のクリアミスやヘッドのこぼれ球を狙ってミドルシュートを打ってくるのがセオリーとなっていますから、そのエリアのケアが欠かせません。(下図)

対策
(クリックで拡大)

また、センタリングが入ってくるのとは逆のファーポスト側(プライムスコアリングエリア)に、ボールをプッシュするため選手が詰めている場合がありますので、そのエリアのケアも必要でしょう。



もちろんこの試合もまず勝利を狙うべきですが、残り時間が少なくなったらどんなに悪くとも引き分けに持ち込むような、リスク管理も重要になってきます。

ホームとアウェーのレフェリングの違いも頭にいれておかなければなりません。

ブリスベンのスタジアムでは日本の試合が行われる数日前にラグビーの試合があるそうで、またもや一部マスコミが「芝生がー!ピッチのデコボコがー!」と大騒ぎしていますが、相手にする必要はありません。

そんなに美しく整った芝生が好きなら、男同士のプライドが激しくぶつかり合う“野蛮な”サッカーの取材なんかやめてベルサイユ宮殿の庭師にでもなれば良いのです。

ろくに芝が生えていなかったタジキスタンのピッチでザックジャパンはパスサッカーをやって勝ちましたが、あれよりひどいケースはまずないでしょう。

ロンドン五輪予選で関塚ジャパンが星を落としたアウェーのクウェート戦のときのように、「ピッチが悪いからボールを大きく前へ蹴れ」という解説者もいるかもしれませんが、仮にピッチが多少荒れていても、普段よりボール扱いに注意しながら自分たちのサッカーを勇気をもってやりぬいて欲しいです。

 最後に、コメント欄でCugai18さんからお褒めの言葉をいただき光栄です。ありがとうございました。
日本がいつかW杯で優勝できる日が来ることを期待しつつお互いがんばりましょう。


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       2012.6.8  埼玉スタジアム2002

        日本   6 - 0   ヨルダン


     前田 '18
     本田 '21
     本田 '30
     香川 '35
     本田 '53(PK)
     栗原 '89


      GK 川島       GK シャフィ

      DF 長友       DF バニアテヤ 
         今野          アルムタシム
        (伊野波 72)     A.バニヤシン
         吉田          F.オスマン
        (栗原 44)      (アルディミリ 44)
         内田
                   MF スライマン 
      MF 遠藤          アルムルジャン  
         長谷部         アルサイフィ
         香川          サリム
         本田     
        (中村 57)     FW H.イブラヒム
         岡崎          (アブハシャシュ 78)
                       バワブ
      FW 前田          (ヒジャ 58)




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(当ブログ関連記事・日本代表、最低限の勝ち点1(その1))
  

■日本代表、オマーンに盤石の勝利で好発進

 ブラジルW杯アジア最終予選の初戦、対オマーン戦が埼玉で行われ、幸先よく日本代表が3-0で勝利しました。

オマーンは、イングランドのウィガンでプレーするGKアルハブシ以外は、国内やサウジ・カタールなど周辺国でプレーする選手で固めたチーム。

北朝鮮・ウズベキスタンとの公式戦で連敗した日本代表の格付けをワンランクダウンさせ、ホームで日本の勝利、アウェーで引き分け程度と日本・オマーン両チームの実力差を評価していましたが、日本がホームで3-0という結果は順当でした。試合内容も良かったと思います。

久しぶりに見たオマーンについて言えば、ミラン・マチャラ元監督にかわいがられアジアカップ2004あたりには既にレギュラーだったFWのアルホスニやMFドゥールビーン、GKアルハブシらがいまだに攻守の中心でしたね。彼らを脅かす選手が出てきていないということでしょうか。

それでは試合がどう経過したか見ていきましょう。

        ☆        ☆        ☆

 試合は立ち上がりから攻守に圧倒した日本が優勢に進めます。

オマーンは特別ベタ引きというわけではなく、コンパクトな4-1-4-1の布陣をつくって押し上げるところは押し上げ、攻撃でもかつてのようなロングボールをゴリゴリ放り込んでくるスタイルというよりは、パスサッカーを志向しているようでした。

このあたりはル・グエン監督がフランス流の組織サッカーを植え付けている途中なのかもしれません。

前半11分、左サイドで前田・香川がからんでワンタッチパスのつなぎから最後は長友へスルーパス、長友のクロスからゴール前に走りこんだ本田のボレーシュートが決まって早くも日本先制!

しかし1点を取って安心したのか、日本の攻撃のペースがやや落ちます。

ようやく31分、本田のパスを受けた長友が1点目と同じような形からクロス、これを岡崎がヘッドしますがゴール右へ外れます。

38分、本田のパスを受けた香川がペナルティエリア左奥へドリブルで侵入、戻したボールを長友がシュートするもDFがクリア。

 後半も日本の優勢は続きます。

後半6分、本田のパスを受けた香川が左サイドからセンタリング、オフサイドぎみだったもののウラヘ抜け出した前田が相手GKをかわしてシュート!2-0とします。

9分、香川のパスを受けた前田がゴール前やや右からシュート、相手DFに当たったボールが岡崎の前にこぼれ一旦はGKに防がれたものの、前へ弾いたボールを蹴りこんで日本が3-0と突き放しました。

25分過ぎから選手を入れ替えたオマーンが攻撃する時間が続きましたが、コンパクトな布陣からプレスをかけ相手を自由にさせない日本の守備が機能します。

35分、途中出場の清武から香川とつなぎ最後は左サイドでパスを受けた本田がシュートしますが惜しくもゴール右へ。

44分、やはり途中出場の酒井が右サイドからクロス、これを本田がシュートしますがGKが良く防ぎ、こぼれ球を拾った清武のシュートもアルハブシがファインセーブ。

そしてタイムアップ。日本はホームゲームで勝利発進となりました。

        ☆        ☆        ☆

 それでは試合内容を分析しましょう。まずは攻撃からです。

攻撃に関しては良かったと思います。

特にサイドから中央へ折り返すクロスで良い攻撃の形を何度もつくっていましたね。

アジアのチームはサイドからのクロスにボールウオッチャーになりやすいので、本田選手の先制ゴールをはじめ、極めて効果的でした。

攻撃で大きな問題点はありませんでしたが、もっと球ばなれを早くできると、より良い形から余裕をもってラストパスやクロス、シュートができるはずです。

大切なゲームだからボールを大事にしたいという気持ちはわかるのですが、慎重に考えながらパスすることで、相手に守備のポジショニングを修正し準備する時間を与えてしまいました。

あまり深く悩まずに、自分よりゴールに近いところにフリーの味方がいれば即断即決でパスすることで、前へボールを運ぶスピードと迫力が日本の攻撃にもっともっと出てきます。

ブンデスリーガ優勝のドルトムントが得意とするゴールパターンである、ショートカウンターなんかもそうですよね。

またミドルシュートをもうちょっと使っても良かったのではないでしょうか。

欲を言えば、後半早い時間に追加点が取れましたからもう1・2点は取りたいところでした。

 守備に関しても内容は良かったですね。

ほぼ90分間コンパクトな陣形を保つことができ、オマーンの選手を自由にやらせないようなプレスをかけることができていました。

球際での一対一の競り合いも日本の選手は気合十分で、かなりの確率で勝てていましたね。

オマーンのロングボール攻撃も最終ラインの4人が競り合いに勝ってほとんど跳ね返してしまい、ショートパスをつなごうとしても前述のようにコンパクトな陣形からプレスをかけられてオマーンは攻撃手段が無くなってしまいました。

相手に与えた決定機が、ほぼゼロだったことがそれを物語っています。

        ☆        ☆        ☆

 選手個々で特筆すべきは、まず本田選手。

先制ゴールとなったボレーシュートは美しかったですね。パスの組み立ての中心となって良く動けていました。
もうちょっと球離れを早くしていけば、もっと日本の攻撃が良くなるでしょう。

長友選手も左サイドを切り裂いて何度も良いクロスをあげて決定機を演出しました。

前田選手は前線でボールに良く絡みワンゴールの活躍。

岡崎選手は右サイドからの早いタイミングでのクロスが良かったですし、ゴールシーンも彼らしい泥臭いもの。
シュートを打つ時、香川選手のゴール前での冷静さを盗むことができれば、もっと怖いFWとなれるでしょう。

長谷部選手は、90分間集中して味方センターバックの前のバイタルエリアを注意深くケアし、相手ボールになった瞬間いち早く危険を察知して相手の攻撃の芽を摘んでいくなど、日本代表が久しぶりに攻守に安定したゲームをすることができた最大の功労者。

 逆に内田選手はプレー自体は悪くなかったのですが、自分で勝手にファールと判断してプレーをやめてしまい、レフェリーが流したことで味方がピンチになりかけたのは頂けません。

前半右サイドを突破した後ファールをもらいにいって倒されたものの、レフェリーが取ってくれず座りこんで抗議していましたが、シミュレーションぎみのプレーに対する目はだんだん厳しくなっています。あそこも踏ん張ってクロスなりシュートなりまで行って欲しかったですね。

遠藤選手は相手のプレスに簡単にボールを失ったり、彼らしからぬミスパスがあったりと、ちょっと元気がないように見えました。

香川選手のプレーも決して悪いわけではありませんが、やはりトップ下でスタートさせてあげた方が、彼の大きなポテンシャルを最大限に発揮できる気がします。

        ☆        ☆        ☆

 アジア最終予選の開幕となったオマーンとの試合は3-0という結果も良かったですし、攻守両面で試合内容も良かったですね。

攻守のトランジション(切り替え)がしっかりとできていて、ほぼ90分間コンパクトな陣形を保ちプレスをかけることができていたので、守備が安定していました。

守備が安定しているからこそ攻撃もたくさん良い形がつくれるわけで、そうした好循環が生まれていました。

同じ埼玉スタジアムでアルゼンチンを破ったころの良いサッカーを取戻しつつあります。

しかしまだ最終予選は始まったばかり。

これからもこの良いサッカーを体に叩き込んでW杯ブラジル大会までずっと継続していき、さらに試合内容を高めていって欲しいと思います。

 次回対戦するヨルダンは、昨年のアジアカップを見たかぎりではオマーンよりフィジカルコンタクトが強く、タテに速いサッカーをしてくるイメージがあります。

カウンター攻撃に加え、日本のペナルティエリア内での空中戦、さらにゴール前にいる選手が落としたボールを後方から走りこんだ選手が打つミドルシュートに特に注意が必要ではないでしょうか。

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       2012.6.3 埼玉スタジアム2002 


       日本  3 - 0  オマーン

     本田 '12
     前田 '51
     岡崎 '54


     GK 川島       GK アルハブシ

     DF 長友       DF S.アルムハイニ
        今野          Ab.アルムハイニ
        吉田          アルオワイシ
        内田          アルムスラミ
       (酒井 57)
                  MF アルマハイジリ
     MF 遠藤          Ah.アルムハイニ
       (細貝 86)      (アルジャブリ 64)
        長谷部         アルハドリ
        香川         (アルガッサニ 66)
        本田          サレハ
        岡崎          ドゥールビーン
       (清武 74)
                  FW アルホスニ
     FW 前田         (アルマクバリ 65)




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■練習のための練習

 ロンドン五輪にのぞむU-23日本代表が参加していたツーロン国際大会ですが、オランダに勝ったもののトルコとエジプトに負けてしまい日本はグループリーグ敗退となってしまいました。

そのU-23代表ですが、総じてフィジカルコンタクトで劣勢でしたね。

相手がタテパスを入れてきてもボールの受け手に体を寄せないので自由にパスを回されて突破されるシーンが目につきましたし、日本のゴール前でも自分の体を密着させて敵選手の体の自由を奪うような守備をやらないので、フリーでヘッドされてセットプレーから失点というパターンも目立ちます。

最悪相手より先にボールにさわれなくても、空中で体を密着させて相手が自由にヘッドできないようにしておけば、強いシュートが日本ゴールに向かっていくことはないのですが、エジプト戦でしたか相手のクロスボールを日本の選手がヘッドでクリアせずよけてしまうのですからお話になりません。

(攻撃面の課題は、ゴール前での細かすぎるパス回しとシュート意識の低さ)

一方、ACL決勝トーナメントに進んだ柏・名古屋・FC東京ですが、1回戦で全滅という大変残念な結果に終わっています。

名古屋もセットプレーからフリーでアデレードの選手にヘッドされてそれが決勝点につながりましたし、FC東京も柏も中国・韓国勢に対しフィジカルコンタクトで押され気味でした。

 フィジカルコンタクトの能力が弱いと、中盤においてはボールと試合の主導権を失い、自分のゴール前ではダイレクトに失点と試合の敗北へとつながっていきます。

U-23代表もACL決勝トーナメントに進出したJリーグ各クラブも、決して相手がレベルの高いサッカーをしているわけではないのに、フィジカルコンタクトが弱いために星を落としてしまいました。

ただ、宇佐美選手など海外でやっているプレーヤーは比較的適応できているように見えましたから、日本国内のサッカー環境に問題があるように思えます。

 シュツットガルトに移籍した岡崎選手も、練習からガチガチフィジカルで当たってくる外国人選手に始めは戸惑ったと言っていましたが、海外では普段の練習から真剣に体をぶつけて合ってサッカーをやるのが当たり前で、そうした良い習慣を毎日積み重ねることで選手の肉体にフィジカル争いに勝つための筋肉がついていくわけです。

しかし、海外へ移籍したある日本人選手が日本にいた時にそうしていたようにレガースをつけずに練習場に来たら、周りから「危ないぞ」と注意されたそうですね。

すべてのJリーグクラブやユースチームの練習がそうなのかわかりませんが、日本人選手がフィジカルコンタクトに弱い最大の原因は、レガースをつけなくても危なくないような、まさに「練習のための練習」をしているせいではないでしょうか?

フィジカルコンタクトのないサッカーというものは存在しませんし、実戦で通用する選手を育てるには実戦並みのフィジカルコンタクトを受けても相手からボールを奪って自分の意志どおりにボールを扱えるような練習をしなければなりません。

にもかかわらず、日本国内ではフィジカルコンタクトを極力避けた練習をやり、そういうぬるい環境でやっている日本人選手どうしの試合では問題なくても、U-23の国内組やACLで惨敗したJリーグクラブのように、外国の選手やチームとサッカーをするとモロにフィジカルの弱さが出て試合に負けてしまう。

Jリーグのレフェリーも過保護で、選手どうしがぶつかればなんでもかんでもファールを取ってくれるから、ますます国内でプレーする選手がひ弱になってしまいます。

ちょっと前に、「Jリーグよりレベルの低い」ドイツやオランダの地方クラブになんで移籍するのか?ということを主張している人がいました。

もちろん海外移籍すれば何でもよいとは言いませんが、フィジカル強化一つとってもブンデスリーガやエールディビジという厳しい環境でプレーすることは、とても大きな意味があることだと思います。

 ツーロンでの惨敗やACLでのJリーグクラブ全滅という事実を前に、日本サッカーの現状に強い危機感をおぼえます。

すべてのJリーグクラブで、全選手がレガースをつけて練習からガチガチフィジカルコンタクトしてボールを奪い合うことを今すぐにでも始めるべきです。

やり方がわからなければ海外でプレーした経験のある日本人に意見を求めれば良いでしょうし、欧州からコーチを呼んでも良いでしょう。

酒井高徳選手が、ドイツへ行った当初はフィジカルコンタクトの激しい練習に恐怖感があったが、しだいに慣れたと言っていましたが、要は毎日の練習で正しい習慣づけをできるかどうかです。

最近の日本サッカー界はどうも地に足がついていないというか「攻撃!攻撃!」ばかりで、フィジカルコンタクトに勝つことや守備時にコンパクトな陣形を維持してプレスをかけ相手の自由を奪うといった、地味だけれども重要なことがおそろかになっている気がします。

それはA代表とて例外ではありません。

オマーンとの大事なW杯アジア最終予選の初戦がいよいよ迫ってきました。

2010年W杯ではオランダやデンマーク・カメルーンという強者に、死に物狂いの日本が挑戦する形でしたが、ベントナーのいるデンマークもエトオのカメルーンもまさか日本に負けるとは思わなかったでしょう。

W杯アジア予選では日本がオランダやデンマークの立場になり、死に物狂いのオマーンやヨルダンが立ち向かってきます。

南アフリカの激闘を経験した長谷部キャプテンをはじめ本田選手・長友選手らがいるわけですから、90分間ひたむきに攻守にハードワークしたあの時の姿勢を南アフリカを経験していない全ての選手とも共有して、しっかりと地に足をつけたサッカーで必ず勝利して欲しいと思います。




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