■2011年09月

■タジキスタン戦にむけた代表メンバー発表

 10月7日に行われるベトナムとのテストマッチ(@神戸)と、W杯アジア3次予選のタジキスタン戦(11日@長居)のために召集された日本代表メンバーが発表されました。


GK 川島 永嗣 (リールス:ベルギー)
  西川 周作 (広島)
  権田 修一 (F東京)

DF 今野 泰幸 (F東京)
  吉田 麻也 (VVV:オランダ)
  長友 佑都 (インテルミラノ:イタリア)
  駒野 友一 (磐田)
  栗原 勇蔵 (横浜M)
  伊野波 雅彦(ハイデュク・スプリト:クロアチア)
  槙野 智章 (ケルン:ドイツ)

MF 遠藤 保仁 (G大阪)
  長谷部 誠 (ボルフスブルグ:ドイツ)
  阿部 勇樹 (レスター:イングランド)
  細貝  萌 (アウグスブルグ:ドイツ)
  中村 憲剛 (川崎)
  増田 誓志 (鹿島)

FW 香川 真司 (ドルトムント:ドイツ)
  岡崎 慎司 (シュツットガルト:ドイツ)
  清武 弘嗣 (C大阪)
  李  忠成 (広島)
  ハーフナー (甲府)
  原口 元気 (浦和)
  藤本 淳吾 (名古屋)


 今回召集されたメンバーを見てますと、インテルの長友選手がようやく復帰してくれましたが、今度はシャルケの内田選手がケガをしてしまいました。

U-22も含めて日本代表選手の負傷が多いですね。

代表でレギュラーポジションが取れていない選手にとってはチャンス、と良い方向に考えて日本の選手層がもっと厚くなるよう、各選手の奮起と成長に期待します。

そして浦和の柏木選手やノバラの森本選手、柏の田中選手が外れ、名古屋の藤本選手が久しぶりに呼ばれました。

ところで柏の酒井宏樹選手の召集があるのではないかと報道されていましたが、初召集はなりませんでした。

まだトラップが雑なところがあり、荒削りでA代表のレベルに達していないという判断なのかもしれませんが、低くて速く正確な彼のクロスは魅力です。

フィジカルも強そうですし、訓練を積ませればサイドもセンターバックもできそうなところも良いですね。

彼の将来性を見据えて、近いうちに召集しても良いんじゃないかと私は考えています。

 11日に行われるホームでのタジキスタン戦、日本代表にとって勝ち点3はmustです。

FIFAランキングがあまりアテにならないのはいつものことですが、タジキスタンはホームでのウズベキスタン戦とアウェーの北朝鮮戦、いずれも0-1と思ったより健闘しています。

今さら言うまでもありませんが、日本も全力でいかないとだめです。

北朝鮮がホームで1-0でしたから、こんどのタジキスタン戦はどんなに悪くても2点差以上の勝利、もちろん取れるものなら何点でも取って同じグループのライバルに差をつけておきたいところ。

そのためにもベトナムとのテストマッチを有意義に使って、公式戦に向けた最終チェックをお願いします。




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■ひいた相手の崩し方

 まず初めに。

コメント欄にこのブログがわかりやすいと書きこんでくださった方がいて、サッカーブロガーの一人としてとても嬉しいです。

本当はもっとわかりやすく論点をしぼって書きたいのですが、時間上アップできる記事の数がかぎられているので、どうしても一つの記事に多くのことを盛りこまないといけない状況になっていて、そこは歯がゆいところです。

今後も「的確な分析をわかりやすく」を目標に、ブログを更新していけたらと考えています。

        ☆        ☆        ☆

 さて埼スタでの北朝鮮戦では、相手に自陣にひかれて日本代表はなかなかゴールすることができませんでした。

こういうことは今に始まったことではありませんし、北朝鮮戦の内容は悲観するほどのものでもありませんでしたが、日本の攻め方に改善すべき点があるのも事実です。

今日はお約束どおり、ひかれた相手の崩し方について短期集中講座を開催します。

 まず下図をご覧下さい(クリックで拡大 以下同様)


ベタひき



ひかれた相手を崩すのがなぜ難しいかと言えば、攻める側にとってフリーでプレーできるスペースが少なくなるからです。

戦術を理解し実行する能力で劣るチームでもひくことによって、強豪チームがレベルの高いプレスをかけて相手が使えるスペースを少なくするのと同様の効果をあげることができます。

相手がひくと、まず裏のスペースが狭くなります。

最近ではコンパクトな陣形をとるチームが増えていますので、そういうチームではバックラインの後ろのみならず、前にもスペースが少なくなっています。

こういう戦術を取るチームから点を取るのは簡単ではありません。

 ひいた相手に対して避けるべきは、前線へロングボールを放りこんで、ひたすら相手のDFラインのウラを狙うプレーをやってしまうこと。

ひいたチームのウラは始めから狭くなっていて、ロングをウラへ放りこんでもGKにキャッチされる確率が非常に高くなります。

また、攻撃側のFWが得点を焦って早い段階から前へ前へと行くと相手DFもウラを警戒してラインを下げ、ただでさえ狭いウラのスペースがなおさら狭くなってしまいます。

パスを出す方も受ける方も「ウラへ抜け出すプレー」を好む選手が多かったため、過去の日本代表はこうしたパターンの攻撃を繰り返し、ひかれた相手に苦戦する例が多かったですね。

 それでは、ひいたチームに弱点は無いのかというとちゃんとあります。

上図のように、いくらベタびきしてもサイドのスペースは埋めきれません。

また、ひくことによってオフサイドラインが下がり、攻撃側がクロスをあげるポイントを自軍ゴールに近づけてしまうという問題もあります。

クロスは距離が短いほど正確になりますし、守備側もマークのズレを修正する時間がなくなってしまいます。

ですから、ひいた相手を崩すには“飛び道具”が有効と言えます。

つまり、相手のDFラインより前でシンプルにパスを回してサイドからクロスをあげる、そしてフィニッシュは、相手選手に囲まれた狭いスペースからシュートできるヘディングが適しています。(ヘディングじゃなきゃ絶対ダメという意味ではありません)

先制点をあげてしまえば、負けられない相手は前へ出てこざるを得ません。そうすればスペースができて、こちらの攻めのバリエーションは増えるでしょう。

(逆にいえば、これまでアジアで「ベタびきにしてカウンター」という戦術が有効だったのは、精度の高い“飛び道具”を持つチームが無かったから。日本はこうしたレベルから早く抜け出すべきです)


        ☆        ☆        ☆

 まず中盤の組みたて方ですが、グラウンダーのショートパスを中心にしてシンプルにパスをつないで相手を前後・左右にゆさぶります。

パスを受けたらまずボールをキープして、ゆったりとドリブルしながら「どこへ出そうかな?」などとノンキなことをやっていると、パスを受ける味方がみんなマークされてしまって、ひいた相手を崩せません。

DFラインの前でパスをつながれると、相手はこちらのボール保持者に自由にやらせないようプレスをかけ、ラインを崩してでもバックラインを多少あげてきます。(ゾーンディフェンスの場合)

そこでタイミング良くサイドに展開して、できれば相手のバックが自軍ゴールに向かって走る形からアーリークロスをあげたいところ。

クロスをあげる地点は上図の黄色い円のエリアが距離的にも理想でしょう。

時にはサイドを深くえぐってからのクロスも効果的。

そしてクロスに合わせゴール前でフィニッシュ。

相手にはね返されても、あきらめずにボールを拾って外から中から、ヘッドにミドルシュートと手を変え品を変えやることで、いつかは相手も疲労して崩れるはずです。

 3次予選2試合の中盤の組みたてにおいて、各選手がボールを受ける時のボディシェイプが悪いのも気になります。

北朝鮮戦後に柏木選手が「相手に背を向けてボールを受けるのが怖かった」と言っていましたが、それはボールを受ける時のボディシェイプが悪いから。

相手ゴールに背を向けるのではなく、自分のヘソをボールが来る方向のタッチラインに向けて半身で受ければ、ゴール方向への視界が確保できるので恐怖感なく、そのまま前方へターンするかボールを相手からスクリーンして横あるいは後ろへパスするか、といった判断がしやすくなります。(下図)


ボディシェイプ


ボールを受ける前にフェイントを入れて、自分のマークをはがしてからパスを受けるのが理想的。
こういう細かいところでスペイン代表のような世界のトップレベルの強豪と差がついてきます。

反対にパスを受ける選手のボディシェイプが悪いとパスがスムーズにつながらず、苦しまぎれにロングを放りこんでGKにキャッチされるか、DFにヘッドではね返されるかして、やっぱり苦戦なんてことになりかねません。

        ☆        ☆         ☆

 フィニッシュに関して。

北朝鮮戦でもウズベキスタン戦でもそうなのですが、日本の選手はヘディングする場合ゴールに近すぎるという問題をかかえています。(下図)


近すぎる


極端な場合ゴールエリア内に何人もの選手がいてクロスが入ってくるのを待っており、2mぐらいクロスがずれると、もうヘディングシュートをあきらめて見送ってしまいます。

これではその場で垂直にジャンプするだけなので、いくら体をひねってもシュートの威力が低くなってしまいますし、クロスが少しズレただけでシュートチャンスを逃してしまいます。

クロスの落下点がゴールエリアに近いとGKにもキャッチされやすくなりますね。

FWはゴールに近づけば近づくほど良いというものではありません。

まず自分が走りこんでヘディングするスペースをつくることが重要です。

走りこみながらヘディングすれば自分の運動エネルギーがボールに乗って、シュートの破壊力が格段にアップします。

そうすればゴールから多少離れても、シュートは十分決められます。(下図の黄色で囲んだエリア)





クロスを入れる時も、立ち止まっている味方の頭へ合わせるよりも敵の選手と選手の間のスペースへ正確に落とす、あるいは中にいる味方と打ち合わせしておいて、中の選手が動いてつくったスペースに落とすべきでしょう。

 ゴール前への走りこみ方の基本は、一旦ファーサイドへ動きながらクロスに対して走り出すタイミングをできるだけ遅らせ、走り出したらクロスの軌道とGKの位置などを確認しつつスピードに乗ってボールにミートします。

その場で垂直にジャンプする場合は点でボールに合わせないといけませんが、こうすることでクロスの軌道に面で合わせられるのでクロスが多少ズレてもミートポイントを微調整することでシュートチャンスを多くつかむことができます。

またファーサイドへふくらんでから中へ走りこんでヘッドすることでシュートをコントロールしやすくなり、シュートの決定率も上がることでしょう。(下図)


飛び込み方基本


さらに一旦ファーサイドへ動くことで、自分にピッタリくっついているマーカーを引きはがしやすくなります。(下図)


飛び込み方1



1.マーカーがこちらを見ている時にファーサイドへ動き出す。はがされまいとマーカーはもちろんついてくる。

2.相手が自分から目を離してボールを見た瞬間に内側へターン。マーカーは自分とボールを同時には見られないのでマーカーの前を取れる。

3.GKの位置を確認しつつクロスの軌道に合わせて走りこみ確実にミート。ゴール!


次は、クラブワールドカップでガンバ大阪とマンチェスターUが対戦した時、C.ロナウドが使ったテクニック。(下図)


飛び込み方2


1.マーカーがこちらを見ている時に動き出す。マーカーもついてくる。

2.相手が自分から目を離した瞬間にその場でストップ!マーカーが知らずにそのまま前方へ走っていけば、自分の前にポッカリとスペースが。

3.クロスに合わせてゴール!


ヘディングシュートの威力や正確性をあげるためにも、マークを外し自分がシュートするスペースをつくり出すためにも、ゴールに近いところで垂直にジャンプするよりもタイミングを遅らせてゴール前へ走りこんだ方がベターです。

くりかえしますがFWはゴールに近いところにいれば良いというものではありません。

日本人選手はゴールを焦せり、我慢しきれずに早すぎるタイミングで必要以上にゴールへ近づきすぎる傾向があります。

ウズベキスタン戦で決めた岡崎選手のダイビングヘッドが良い例です。

それまでの2試合、彼はヘッドする時ゴールに近づきすぎていましたが、あのゴールだけはクロスに対して走りこむタイミングを遅らせたために、自分の前方に飛びこめるスペースが生まれたわけです。

決まれば良いのですが、それでもまだ若干ゴールに近いんですけどね。

 これは余談ですが、ここ2試合ゴールのニアへ向かってシュート性の低いボールを蹴り、GKの前を味方(吉田・長谷部)が横切るというプレーをやっていますね。

あれはGKの前を横切るプレーヤーがスルーではなく少し触ってコースを変えた方がGKが取りづらく、よりゴールになりやすいと思います。

        ☆        ☆        ☆

 というわけで、今回はひかれた相手を崩す定石としての“飛び道具”の使い方について述べました。

日本人選手は、足元の技術について言えば南米や欧州の選手にもだんだんと引けを取らなくなってきましたが、ヘディングやクロスの技術については、まだまだ差をつけられているように感じます。

そのあたりを改善できれば、相手にひかれてもそれほど苦にしなくなるでしょう。




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■日本代表の後方支援は万全に

 ちょっと気になる記事を読んだので、今日は予定を変更してお送りします。

11月11~15日にタジキスタン・北朝鮮とのアウェー2連戦という、3次予選第二のヤマ場がやってきます。

これに関連して「北朝鮮とのアウェー戦で“1泊2日の弾丸遠征”プランが浮上」と報道されています。(報知新聞記事

またタジキスタン戦を控えた直前合宿の候補地として、タシケント・モスクワ・トルコなどが浮上しては消え、日本サッカー協会(JFA)も選定に苦慮しているようですね。

日本代表は短い期間でタジキスタンから北朝鮮へ移動しなければならず、実力差があっても疲労から勝ち点を落としてしまったなんてことになれば大変です。

JFAには、選手の負担がもっとも軽くなるような移動方法を考え、アウェー戦の環境に戸惑わなくてもよいような準備ができるよう、合宿地の選定をやってほしいです。

 先日の試合で日本が苦戦したから言うわけではありませんが、3次予選で一番強い相手であろうウズベキスタンとのアウェー戦への移動には、ソウルで乗り換えをしなくてはいけない普通の旅客便を利用するのではなく、飛行機をチャーターして直行便を使い万全を期すべきではなかったかと思います。

羽田空港が国際化して24時間空港になりました。

やろうと思えば、埼玉で北朝鮮戦を戦いメディア対応して選手がシャワーを浴びたあと羽田へ直行、深夜1時発でお願いしておいたチャーター機でタシケントまで直行、タシケント時間6時(日本時間朝10時)ごろに到着、というプランも可能ではないでしょうか。

最近のビジネスクラスのシートは、ほぼ水平に倒れてベッドになる“フルフラットシート”が当り前になっていますから、チャーターするのはボーイング767クラスで十分なので、ANAやJALなど航空会社にお願いしてチャーター機の座席を選手・監督の分だけ“フルフラットシート”に取り替えてもらえば、選手たちはベッドで寝ているうちにウズベキスタンへ移動することができます。

試合が終わった夜はホテルのベッドで寝たいというなら話は別ですし、JFAの予算の都合もあるでしょうが、ピッチの中で選手に実力を出しきってもらうためには必要な投資だと思います。

タジキスタンから北朝鮮への移動にはチャーター便利用は必須です。

それにタジキスタンやウズベキスタンが先にピョンヤンで試合をするわけですから、彼らから情報を得るなりして問題がないようであれば、なるべく早くピョンヤン入りして疲労や時差の影響はできるだけ取り除いておいた方が良いと思います。(時差ボケは西から東へ移動したほうが影響が大きくなる)

ところでタジキスタンは最近ホームゲームを、タジクリーグの強豪レガール・タダズの本拠地で首都から60km離れたトゥルスンゾダで開催しています。

日本との試合をここでやるにしろ、首都のドゥシャンベでやるにしろ標高が約700mと比較的高めで11月は冷えることが予想されます。

タジキスタン戦の直前合宿は、報道されているトルコだと首都のアンカラが標高や気候が似ていますね。

他にカザフスタンの旧首都アルマトイも、やはりタジキスタンと標高や気候が似ていて合宿地の候補になりそうです。こちらはタジキスタンまで飛行機で1時間ぐらいではないでしょうか。

アルマトイは、1998年フランスW杯予選で日本代表も訪れた経験がありますね。(カザフスタン1-1日本)

FIFA加盟国がW杯予選の時にお互い対戦相手へのビザ発給をどうしているのか、部外者なので情報がありませんが、ビザ発給の件も考慮しながら適切なチャーター便の利用や合宿地の選定を行って、日本代表の選手が全力を出しきれるようバックアップしてあげて欲しいです。

あと、ピョンヤンの試合は人工芝のピッチが予想されますので、その対策も必要でしょう。

今日アップ予定だった「引かれた相手の崩し方」は水曜日までにアップできたらと思います。




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■日本代表、最低限の勝ち点1(その2)

○試合内容の分析(つづき)

 攻撃は、あまり機能しませんでした。

原因は前回述べたとおり、確率の低いミドル・ロングの浮き球のパスでひたすら裏を狙うだけ、という単調で雑な攻撃ばかりをやってしまったこと。

そのため陣形が間延びして選手どうしの距離が遠くなったことで味方をサポートしづらくなり、守備はもちろん攻撃でもミスが多くなりました。

私が、ロングボールを多用した攻撃を好まない理由の一つは、攻守両面で陣形が間延びしやすくなるからです。

そしてコンパクトな陣形が間延びするのは簡単ですが、いったん間延びした陣形をコンパクトに戻すのは難しい。

選手の体力が落ちてくる試合の後半はなおさら。

間延びしてしまうと距離感が悪くなって、いざショートパスで相手を崩したくてもそれが困難になってしまいます。

ショートパスをスムーズにまわすにはクライフが言っているように、攻撃時に選手どうしが6~7mの距離でサポートしあって、ボール保持者に2つ以上のパスコースを用意することが欠かせません。

さらに選択すべきプレーがあべこべ。

この試合、中盤からアバウトなミドルパスを放りこんではボールを簡単に失い、ようやく相手のバイタルエリアに侵入したと思ったら、こんどは逆に相手を完璧に崩そうとして細かいパスまわしにこだわりすぎて相手選手にひっかかり、やっぱりボールを失ってしまう。

中盤はシンプルかつ丁寧にショートパスで相手を崩していき、アタッキングサードへ侵入してチャンスと見たら大胆にボールを放す。(つまりシュート)

札幌での韓国戦ではこれがちゃんとできていたのに、どういうわけか北朝鮮戦からゴール前でのシュートへの意識が低くなっています。

日本人選手の傾向として、悪いときほどシュートの射程距離がどんどん短くなっていくような気がします。(下図 クリックで拡大)

シュートレンジが短い

 守備面では、最悪でも勝ち点1は取らなくてはいけない試合でしたが、何度も相手に川島選手との1対1の場面をつくられ、リスクマネジメントができていません。

相手は中盤をダイアモンドにした4-4-2でこちらが4-2-3-1、中盤のマッチアップで相手のMFが1枚フリーになりやすかった上に、2トップのうちゲインリフが1.5列目ぎみにポジションを取るので、マークの確認と受け渡しはより注意が必要でしたが、うまくいきませんでした。

「相手を圧倒して勝ちたい」という思いばかりが空回りして、陣形が間延びしたことで相手に大きなスペースを与えてしまった上に、両サイドバックが同時に上がってしまって、カウンターからこちらのセンターバックと2対2の危険な形を何度もつくられていました。

1点で済んだのは幸運だったと言わざるをえません。

4バックが横に間延びする危険な場面も見うけられました。

後半6分のウズベキスタンの決定的シーンを見てみましょう。(下図)


ポジションミス


1.アンカーのアフメドフが駆け上がってカパーゼからパスを受けます。

2.アフメドフはフェイントで吉田をかわして裏に空いた大きなスペースへパス、ここにカパーゼが走りこんで受けます。

3.今野が気づいた時にはもう遅く、あわててカパーゼのドリブルを阻止に行きましたが間に合いません。

4.川島と1対1になったカパーゼがシュートするも、川島のビッグセーブ!

以前の記事でも注意を呼びかけておきましたが、これはアジアカップの初戦・ヨルダン戦の失点シーンとまったく同じミスです。

吉田選手がアフメドフに対応するためサイドへ引きずり出された時に、今野選手がポジショニングでミスをしてそちらへスライドしなかったために内田・吉田両選手の後ろに危険なスペースをつくってしまい、そこを使われて決定機をつくられてしまいました。

4バックを横にコンパクトにしておかないとこういう危険性があります。

できればボランチの長谷部選手も気づいてやって、このスペースを埋めて欲しかったです。

暑くてきつい試合だったとは思いますが、タテにも横にも陣形はコンパクトにしなければ、守備は安定しないということを絶対に忘れないで欲しい。

コンパクトな4-4のブロックをつくっておけば、この試合もあれほど簡単にはやられなかったはずです。

 やはり北朝鮮戦でも指摘しましたが、相手が中盤でドリブルを始めても日本の選手はそれを見ているだけで誰もプレスをかけに行かないシーンが多いのも危険。

相手ボール保持者と自軍ゴールとを結んだ線上に立って、相手のシュートやパスコースを限定することは欠かせません。

ポジショニング6


        ☆        ☆       ☆


○選手個々の評価

選手個々で特筆すべきは、まずビッグセーブ連発の川島選手でしょう。

日本が勝ち点1を拾えたのは彼のおかげです。マンオブザマッチの働きでした。

岡崎選手のダイビングヘッドも素晴らしかったですね。

ただ裏を取るプレーが好きなのはわかりますが、そればかり狙っているのがTVから見てもミエミエ。

これではブンデスリーガなど世界レベルのDFをあざむいてゴールを量産するのは難しいのではないでしょうか。

監督さんからも「あまり早い段階で前へ行き過ぎるな」と再三言われていると思いますが、ゴールに近づけば点がより多く取れるとは限りません。

アジアカップ・サウジ戦前にザッケローニ監督から指導されたことをよく思い出してください。

アシストした内田選手もナイスでした。しかしそれ以外のクロスの質が悪すぎます。柏の酒井宏樹選手を呼びたくなる誘惑にかられます。

守備固めで起用された阿部選手でしたが、相手のMF陣をつかまえきれず。

失点シーン、競った今野選手のクリアが小さくなったのは仕方ないとしても、フリーでシュートしたトップ下のジェパロフをまずマークしなければならなかったのは阿部選手ではないでしょうか。

チーム全体として、南アフリカW杯で見られたようなゴール前での研ぎ澄まされた集中力やひたむきな守備が今は見られなくなっているのが残念です。


        ☆        ☆       ☆


○まとめ

この試合、引き分けという結果は順当でした。

3次予選の最初のヤマである2連戦は、もちろん勝ち点6取れればベストですが悪くとも4なら良しと考えていました。その意味で悲観するような結果ではありません。

しかし自分たちのサッカーを見失い、攻守に試合内容が良くなかったのは気になります。

やるべきことをやらず、「アジアで相手を圧倒して勝ちたい」という想いだけが空回りしていたように感じました。

ウズベキスタンの隣にある、中央アジアのカザフスタンやアゼルバイジャンはUEFA所属であり、サッカーの世界ではもう“ヨーロッパ”です。

ドイツやイングランドといったヨーロッパの強豪は、たとえピッチや気候が自分のとこと違ったとしても、こうした国々からアウェーで勝ち点3をキッチリとってW杯に出てくるわけです。

日本もW杯でベスト16以上を望むなら、今回のアウェー戦のような環境でも、自分たちのサッカーを見失うことなく、勝ち点3があげられるぐらいのタフさを身につけて欲しいと思います。

次回は、「引いた相手をどう崩すべきか」をテーマに短期集中講座を予定しています。日曜までにアップできればと思っています。


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   2011.9.6 パフタコル・マルカジ・スタディオニ
                   (タシケント)
             
   ウズベキスタン  1  -  1  日本


    ジェパロフ '8        岡崎 '65


  GK ネステロフ        GK 川島

  DF デニソフ         DF 内田
     トゥフタフヤエフ       吉田
     ムラジャノフ         今野
     カルペンコ          駒野
    (イスマイロフ 75)     (槙野 82)

  MF アフメドフ        MF 阿部
     ハイダロフ         (清武 46)
     カバーゼ           遠藤
     ジェパロフ          長谷部
                      岡崎
  FW バカエフ           香川
    (トゥルスノフ 53)
     ゲインリフ       FW 李
    (シャツキフ 78)     (ハーフナー 65)





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■日本代表、最低限の勝ち点1(その1)

 昨夜アジア3次予選の第2戦、ウズベキスタン戦がタシケントで行われ、日本代表は1-1で引き分けました。

対戦相手のウズベキスタンは、ロシア・中東・韓国などでプレーする海外組に、国内でプレーする選手を合わせたチーム。

日本との実力差は、日本のホームで日本勝利、アウェーで引き分けぐらいと評価していました。
この試合1-1という結果は順当で日本は最低限のノルマは果たしましたが、試合内容は悪かったです。

内容が悪かったのは2つのミスが原因であり、それは

1.監督の采配ミス

2.選手が自分たちのサッカーを放棄してしまったこと

です。

まず試合展開を振り返ります。

        ☆        ☆        ☆

○試合展開

 立ち上がりはホームのウズベキスタンがやや押しぎみか。

前半8分、左サイドからゲインリフのクロスが内田に当たり、落ちてきたボールを今野が競ったこぼれ球を拾ったジェパロフがフリーでシュート。日本、絶対にやってはいけない先制点を与えてしまいます。

13分、左サイドへパスを展開してから駒野がクロス、李のヘディングシュートは相手GKがなんとかセーブ。

15分、相手の大きなサイドチェンジから右サイドのカルペンコがボレーキック。これが絶好のシュートになりますがGK川島がゴールからかき出します。

この試合ボランチに阿部、トップ下に長谷部を入れた布陣が攻守に機能せず、30分過ぎに阿部をアンカーにする4-1-4-1へシステム変更しますがあまり状況は改善しません。

45分、長谷部の浮き球のパスを受けた李が胸トラップからのシュート、これはゴールポストに阻まれます。

 後半から清武を投入し、再び4-2-3-1へ。これで日本のリズムが少し良くなります。

3分、駒野のクロスから香川がフリーでヘディングシュート、しかしバーの上を通過。

12分、右サイドから清武が中央の香川へ折り返し、シュートしますがやはり大きくふかしてしまいます。チーム全体が前半の悪いリズムをひきずっています。

17分、左サイドで基点をつくったアフメドフが内田の後ろに大きく空いたスペースへパス。カパーゼがこれを受けてGKと1対1になるも川島がファインセーブ!

決定機をしのいだ後の日本のチャンス。20分、長谷部が右へパスを展開して内田がクロス、岡崎のダイビングヘッドを相手GKが止めきれず、日本がようやく同点に追いつきます。

しかし前半の消耗が激しかったのか、日本の攻勢は続かず。

23分、中盤での不十分なクリアを相手に拾われ、そこからスルーパスを通されて最後はジェパロフが川島と1対1になりますが、川島がビッグセーブ連発!!

30分、遠藤・清武とつないで右サイドからクロス、ハーフナーがヘッドしますがGK正面。

日本は何とか逆転ゴールを狙いましたが、このままタイムアップ。両チームで勝ち点1を分け合いました。

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○試合内容の分析

 まずザッケローニ監督の采配から見ていきたいと思いますが、ホームのウズベキスタンが白の2ndユニホームで出てきたのもちょっと驚きましたが、もっと驚いたのは阿部選手がボランチで長谷部選手のトップ下起用という、ぶっつけ本番の新布陣でした。

北朝鮮戦の後半に清武選手が投入され、トップ下香川-右サイド清武-ボランチ長谷部のトライアングルができたことでパスがつながって攻撃が機能するようになり、あのロスタイムの決勝弾が生まれました。

それを踏まえれば、このウズベキスタン戦でも香川選手と清武選手を近づけて配置し、このトライアングルを崩さないようにした方が日本の攻撃が機能しやすくなると私は考えていました。

監督さんは守備を重視したいということであのような布陣にしたのかもしれませんが、今までどおり、守備の時は4-2-3-1の両サイドハーフがボランチの位置まで下がって4-4-1-1のコンパクトなブロックをつくればアウェーでも十分守れたと思います。

私は、上手くいっているチームをいじるのは好みません。

やはり長谷部選手のトップ下起用というザッケローニ監督の采配は慎重すぎて弱気だったと思いますし、機能せず失敗でした。

攻めが機能しないのでチームから良いリズムと自信が失われ、焦りと疲労からミスプレーが増加、悪いリズムは清武選手を投入して香川選手をトップ下に入れた後半まで尾を引いてしまいました。

これが試合内容が悪かった原因の一つ目です。

また、香川選手の左サイド起用というのも機能しませんね。

香川選手がドリブルしてもゴールから遠すぎて、相手にとって脅威になっていません。

ザッケローニ監督が香川選手の左サイド起用にこだわるのは、彼の姿をユベントスのアレッサンドロ・デルピエロと重ね合わせているからかもしれません。

私もかつては“ユベンティーノ”でしたからアレックスのプレーは数多く見てきましたし、ゴール前の左45°が“デルピエロゾーン”と呼ばれ、数々の芸術的ゴールを決めてきたのも知っています。

ですが、「香川選手はデルピエロとは違う個性を持つ選手なのだ」ということを理解してあげて欲しいです。

やはり香川選手はクラブでやっているようにトップ下で、センターバック直前のバイタルエリアでボールを持って前を向いたときに真価を発揮する選手だと思いますし、少なくとも本田選手が帰ってくるまではトップ下で勝負させて、ダメだったら別の対応を考えたら良いのではないでしょうか。

 試合内容が悪かった原因の2番目は、選手が自分たちのサッカーを放棄してしまったことです。

例えるなら、「お金が無くて苦しい人がコツコツと働きもせず、宝くじを買って人生の一発逆転をかける、そんなサッカーをやってしまいました。

この試合いつものようにショートパスで中盤を組みたてるのではなく、確率の低いミドルあるいはロングの浮き球のパスを多用する、単調で雑なサッカーをやってしまったことで攻撃が機能せず、試合の主導権を相手に奪われ、先制されてそれを追いかける苦しい試合になってしまいました。

遠藤選手は「パスを回せば崩せた相手だったと思います」とコメントしていましたが私もそう思います。(遠藤選手コメント)

最近「アジアでは相手を圧倒して勝ちたい」というコメントが選手たちから良く聞かれるようになりましたが、韓国とのテストマッチとは正反対の、攻撃の「引出し」の少ない単調で雑なサッカーではそれは無理です。

前線の李・岡崎両選手も、2人一緒にひたすら裏でボールを受けようとするアイデアに乏しいワンパターンの動き。

こういうサッカーをやってしまうと、バックからトップまで間延びしてしまい、選手一人一人の距離が離れすぎてしまいパスミスも多くなる。

パスは距離が長くなればなるほど出す方も受ける方もミスが多くなりますし、相手にも読まれてカットされやすい。

チームが間延びすると守備にも穴ができやすくなります。

試合後の会見でザッケローニ監督が、「選手どうしの距離感が悪く相手にスペースを与えすぎてしまった」と語っていたとおりです。

あれほど指摘しておいたのですが、関塚ジャパンがアウェーのクウェート戦で犯したミスをA代表も繰り返してしまいました。

U-22が負けてA代表が引き分けにできたのは、GKとセンターバックの質と経験の差でしょう。

長谷部キャプテンは前日の記者会見で「自分たちのサッカーを変わらずにピッチの上で表現したい」と言っていたのに、どうして単調で雑なサッカーをやってしまったのか?

それはマスコミ報道に選手たちが引きずられてしまったからではないでしょうか。

数日前から日本の報道陣がさかんに、「パフタコル競技場のピッチがひどくてパスがつなげない」と大騒ぎしていました。

駅のスタンドで売っているスポーツ紙に「日本代表、W杯予選大ピンチ」と書いてあったら、多くの人はつい買いたくなるでしょう。

マスコミは、やれ「日本と比べてピッチが荒れている」だの「ボールがJリーグで使っているのとは違う」(ドイツW杯予選、アウェーのシンガポール戦)だの言っては、「日本代表、W杯予選大ピンチ」と大騒ぎして危機感をあおります。

そうやって読者の不安をあおった方が新聞が売れるからです。

しかし私がTVで試合を見たかぎりでは、ボールがイレギュラーしてボコボコはねるシーンはほとんどありませんでしたし、ウズベキスタンは普通にショートパスで日本を崩して川島との1対1の決定機を何度もつくっていました。

ですからショートパスが回せないほどピッチが極端に悪かったとは思えません。芝も試合直前に短く刈り込まれたましたし。

一部の選手のコメントが示すように、日本のマスコミが「ピッチがひどくてパスがつなげない」と大騒ぎしたことで、監督や選手たちが「この試合はパスをつなぐのは無理」と思いこんでしまったのではないでしょうか。

それがミドルの浮き球パスばかりを使った単調で雑なサッカーをやってしまった理由だと思います。

遠藤選手が語ったように、パスを回せたし、そうすれば崩せた相手だったと試合後に気づいたと。

関塚ジャパンのクウェート戦もまったく同じでした。

「クウェートのスタジアムのピッチがひどい」というだいぶ前の古い情報があって、当日TVの解説者も「ピッチが悪いから今日はパスをつなぐのはあきらめ、大きく前へ蹴れ」と言っていました。

そしてあの敗戦。

試合後、関塚ジャパンの選手か監督から「ピッチは以前より改善されていた。つなごうと思えばつなげた」という声があったように記憶しています。

ショートパスをつなげないほどひどいピッチかどうかは、試合当日までの練習で確認できるはず。

自分たちが実際にボールを蹴ってみた感触だけを信じて欲しい。

そして日本代表の選手や監督は、マスコミやTV解説者の大騒ぎには一切耳を貸さないで欲しいと思います。

万が一、試合までにピッチ状態が確認できなかったら、試合開始後10分ぐらいパスを回してみれば無理かどうか判断できるでしょう。

昨日の試合は、日本代表の選手たちがマスコミの報道につられて「パスをつなぐのは無理」と始めから決めつけてしまったのは失敗でしたし、そのことで韓国戦で見せてくれたような自分たちの普段のサッカーを放棄して単調で雑なサッカーをやってしまった。

それが試合内容が悪かった原因の2つ目です。

攻撃が単調になって機能していないと感じたら、試合の途中から陣形をコンパクトにして普段通りのショートパスをつなぐ攻撃に転換するということを、監督に言われなくてもピッチ上の選手だけで判断して実行するという、大人のサッカーを見せて欲しかったですね。

そうした選手の成長も望まれます。

 これは余談ですけど、日本の選手は世界的に見てもサッカーをする環境がとても恵まれています。

南米やアフリカの貧しい国では、芝がはえたピッチなんてぜいたく品で、土ぼこりの舞うデコボコの空き地や道路で裸足でサッカーをやって、ボールがイレギュラーするのは当り前の環境から、すばらしいテクニシャンが何人も育ってきたわけです。

過去に日本が戦ったイエメンのサヌア、インドのバンガロールのスタジアムは本当にデコボコのピッチでしたけど、それが世界で戦うということの意味であり厳しさです。

埼玉が「上」サヌアが「下」だとすれば、パフタコルのピッチは「中」でした。

ピッチは良いに越したことはありませんが、日本のマスコミがあの程度で大騒ぎしているのを見ていると、とても「ひ弱」に感じます。

ボールがボコボコはねるような荒れたピッチでは4人のバックラインで横パスを回したり、DFからボランチの足元へパスをつけるのはなるべく避けなければなりませんが、日本代表の選手には多少ボールがイレギュラーするピッチでも、なんなくショートパスが回せるぐらいの技術とタフさを身につけて欲しいと個人的には思います。

記事が長くなりました。

攻撃・守備の具体的な分析は次回にします。

(続く)




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■日本代表、劇的ゴールで白星発進!

 W杯アジア3次予選、日本代表の初戦となる対北朝鮮戦が埼玉で行われ、日本が1-0で北朝鮮を下して白星発進となりました。

対戦相手の北朝鮮は、国内組をベースに日本やドイツなど海外でプレーする選手をあわせたチーム。

ホームでもアウェーでも日本が勝利できる実力差があると戦前に評価していましたが、1-0で日本の勝利は順当でした。

ただ北朝鮮の守備が固いのはわかっていましたが、1点を取るまでが長かったですね。

いつも思うのですが、埼玉スタジアムのホーム側サポーターの目の前にあるゴール(メインスタンドから見て左側)には、日本代表を守ってくれる神様が住んでいらっしゃるようです。

過去、W杯の予選で日本代表は何度も苦しい1点差ゲームをものにしてきました。

北朝鮮やオマーン・バーレーンといった相手に、ロスタイムの決勝弾あり、相手選手のオウンゴールあり、相手GKが目測を誤ってパスがそのままゴールインありと、埼スタの左側のゴールは不思議とそのようなドラマの舞台になってきました。

そして今回も。

スペイン代表は、この試合に負けるとW杯に出られなくなるといった大事な試合は、不敗神話があるセビージャのエスタディオ・ラモン・サンチェス・ピスファンで試合をしたものですが、日本代表もゲンをかついで、ここぞという時は埼玉スタジアムで試合をやった方が良いのかもしれません。

 前置きが長くなりました。試合経過を振り返りましょう。

W杯予選の最初の試合のせいか、日本代表は硬い立ちあがり。北朝鮮のマークも厳しく、なかなかシュートまでもっていけません。

それでも前半20分を過ぎると緊張がほぐれてきたのか、じょじょに良い形をつくり始めます。

25分、遠藤の縦パスを李がバックパス、これを柏木がシュートしましたがバーの上。

33分、柏木のクロスから李がヘディングシュート、これはGKがキャッチ。

その後日本の攻めは一服してしまいます。

後半も日本が攻め、北朝鮮が守るという展開ですが、日本の攻撃は今一つ。
しかし15分に清武選手を投入してから、攻めが機能しだします。

21分、香川がペナルティエリアに侵入してヒールパス、これを清武がシュートしますがバーの上。

25分、ゴール前で長谷部がファールを受けFK獲得。遠藤のキックは惜しくもゴール左へ外れます。

28分、長谷部のパスを香川が触れず、後ろで待ち構えたハーフナーがシュートしますがバー直撃。

35分、CKから香川がクロスし、岡崎がヘッドしますがGKがファインセーブ。

後半ロスタイム2分、CKから香川がフリックしたボールを受けた今野がワントラップからボレーシュート、バーを叩いたボールは真下に落ち、相手選手が必死でクリア。

ロスタイム4分経過、ショートコーナーから清武が絶妙のクロス、これを吉田がヘッドで叩きこみ待ちに待ったゴール!

そのままタイムアップとなりました。

 それでは日本代表の試合内容を分析しましょう。

まず攻撃から見ていきますが、注目された本田選手の代役は、個人的には韓国戦で機能した清武選手が右サイドハーフもしくはトップ下に入るのかなと思っていたのですが、ザッケローニ監督のチョイスは柏木選手でした。

彼もチームのために全力を尽くしてくれたとは思うのですが、やはり本田選手欠場の影響が無かったと言えば嘘になるでしょう。

これまで本田選手はずっと代表の攻撃の中心としてやってきたので経験値が違いますし、6月のキリンカップから後、本田選手が中盤でのパスの組みたて能力や流れの中からの得点力でかなりの成長を見せて、アジアカップのころよりも国内組の選手をぐーんと引き離していたということもありました。

また、W杯の予選ということで大事に行きすぎたのか、多くの選手がボールを受けて考えてパス、考えてパスという悪いリズムで中盤を組み立てていたのも、韓国とのテストマッチで見られた、流れるようなパスワークが消えてしまった一つの原因となっていました。

韓国戦のように、ワンタッチ・ツータッチでリズム良くパスを回していくと、回される方はプレスをかけに行ってもかわされてしまうため、うかつに飛びこめなくなります。するとよけいにパスを回しやすくなります。

逆にこの試合のように、考えてパス・考えてパスという悪いリズムでやると、ボールを持っている選手より前にいる味方に、相手がマークにつく時間を与えてしまうため相手のプレスが掛かりやすくなる、プレッシャーをかけてボールが奪えるから相手もよけい頑張ってくる、だから攻撃が機能しないという悪循環になってしまいます。

良いリズムでどんどんパスを回して行き、ボール保持者の周囲にいる味方がうまく動いてやって、相手選手をつり出して空けたスペースを別の味方が使うということを積み重ねていく必要があります。

ただ後半15分から清武選手が投入されていくぶんボールが収まるようになり、トップ下に移った香川選手とのからみが増えたことで日本の攻撃が機能するようになりましたね。決勝点はまたしても清武選手の精度の高いクロスからでした。吉田選手の決勝ヘッドも素晴らしかったです。

本田選手はスペインでヒザの手術を受けたようですが、しばらくW杯予選に参加できないことはわかっています。

今代表に召集されている選手が、「実力で本田選手を抜いてやる」という意気込みを持って、成長して欲しいと思います。

W杯でベスト8・ベスト4を狙うなら、戦力の厚みが欠かせません。

 守備は良かったと思います。

韓国戦の記事で、「ゴール前のマークがルーズ」という課題をあげておきましたが、吉田・今野の両センターバックを中心に1対1でしっかりファイトして、相手のキーマンであるチョン・テセにまったく仕事をさせませんでした。

今後も継続していって欲しいと思います。

特に吉田選手はチームで一番気合が入っていたのではないでしょうか。

注意すべき点が一つあるとすれば、キックオフ直後に駒野選手が相手の蹴ったボールを触らずに出してゴールキックにしようとしたところ、相手に後ろからチャージされて足をすべらせ、ボールを奪われてそのままシュートまでもっていかれたというシーンがありました。

幸いレフェリーがファールをとってくれたので助かりましたが、アウェーであればそのまま流されてしまうこともありうる危険なプレーでした。

ディフェンディングサードでのミスはすぐさま失点につながるので、必要以上にマイボールを大事にするよりも安全第一でお願いします。

選手個々で特筆すべきは、フィジカルコンタクトでガチガチと強いところを見せた吉田・今野の両センターバック。特に吉田選手は気合十分で決勝ゴールも値千金の働き。

長谷部選手も、前半不用意にボールを奪われるシーンがありましたが、後半は攻撃で良い動きを見せてくれました。

途中出場した清武選手も、香川選手や長谷部選手とうまくからんで攻撃を活性化。

逆に、先発した前の4人は奮起が必要です。

李選手はシュートがそのものが少なすぎますし、岡崎選手も好調だったアジアカップの頃の勢いが見られず。

柏木選手はボールの受け方に課題あり。ボールを持っている両ボランチやサイドハーフから距離が遠すぎるため、パスがうまくまわりません。シュートの精度ももっと高めましょう。

香川選手は、考え過ぎ・悩み過ぎかもしれません。

絶好調だった韓国とのテストマッチ後、ドルトムントの試合ではシュートが打てる場面なのに味方へのパスを選んだり持ちすぎてシュートチャンスを逸したりと、どういうわけかプレーが弱気・消極的になっていました。

そこからだんだんと迷いが見られるようになり、この試合もそうでした。

「出場するすべての試合で絶好調というのはあり得ない」と良い意味で開き直り、自分の実力と直感に自信をもって、「シュートが打てる」とひらめいた最初のタイミングで思いきって打った方が、迷った末に選択したプレーよりも良い結果が出るのではないでしょうか。

 日本のブラジルW杯に向けての最初の一歩となった対北朝鮮戦。

試合内容は今一つだったものの、最後まで試合をあきらめないゲルマン魂ならぬ“大和魂”でホームで勝利という結果をきっちり出せたのは良かったです。

今度はウズベキスタンとのアウェー戦。

ロスタイムを5分もとってくれるなど今回はジャッジもホームの利がありましたが、次の試合はまったく逆かもしれません。

失うものは何も無いテストマッチとはまったく違う、厳しい公式戦の場で日本代表の選手たちがもっともっと成長してくれることを希望します。


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        2011.9.2 埼玉スタジアム2002


        日本  1  -  0  北朝鮮


        吉田 '90+


      GK 川島      GK リ・ミョングク

      DF 駒野      DF チャ・ジョンヒョク
         今野         パク・ナムチョル⑭
         吉田         リ・グァンチョン
         内田         チョン・グァンイク

      MF 遠藤      MF アン・ヨンハ
         長谷部        リ・チョルミョン
         香川        (パク・ソンチョル 78)
         柏木         チョン・イルグァン
        (清武 60)      パク・ナムチョル④
         岡崎        (パク・クァンリョン 56)
                     リャン・ヨンギ
      FW 李        
       (ハーフナー 70)FW チョン・テセ
                    (アン・チョルヒョク 90)




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■日本代表、ハーフナーを追加召集

 台風の接近で開催が危ぶまれていた明日のW杯アジア3次予選、日本代表の初戦となる対北朝鮮戦ですが、台風の進路が急激に変わらないかぎり「今のところ予定通り実施」というアナウンスが日本サッカー協会からありました。

 また皆さんも良くご存知でしょうが、CSKAモスクワに所属する本田圭佑選手と川崎の中村憲剛選手がケガのため、試合には出られなくなってしまいました。

本当に残念なニュースですが、この先W杯の予選や本大会でも、本田選手が警告の累積やケガなどで試合を欠場する可能性はあります。

本田選手がいない場合でもチームが機能してちゃんと結果を残せることを示す、絶好のチャンスと前向きに捉えたいと思います。

そのためにも、「戦術は本田圭佑」みたいな個の能力だけに頼ったチームづくりを避け、ザッケローニ監督が「私のチームに替えの効かない選手はいない」と言うようなチームづくりをしてきたわけですから。

香川選手や岡崎選手、柏木選手、清武選手に原口選手を加えたグループから、状態の良い選手を監督さんがピックアップすることと思いますが、私は彼らを信頼しています。

清武選手も韓国とのテストマッチで良い動きを見せてくれましたし、アジアカップ2011グループリーグ・サウジアラビアとの第3戦(5-0で日本が勝利)で先発した柏木選手も、マスコミから叩かれるほど悪くはなかったと思います。

 さて離脱した本田・中村両選手に代わり、これまで当研究所が「代表に呼んで育ててみたらどうか」と言ってきた甲府のハーフナー・マイク選手が追加召集されています。

やはり2m近い身長とフィジカル能力の高さというそのポテンシャルが魅力ですが、まだまだゴール前での動きの質に課題があるので、そこはザッケローニ監督自らみっちり指導してくださることを希望します。

ただ今後とも、ハーフナー選手を実戦投入する上で注意しなければならない点が一つだけあります。

それは、いくら身長が高いからといって日本代表の攻撃が彼の頭をめがけたロングボール一辺倒になってしまっては絶対にいけないということです。

もしそうなってしまうと、香川選手や本田選手、遠藤選手の頭上をひたすらボールが通過するだけになってしまい、技術の高い選手を中盤にそろえてショートパスで崩していくという日本のストロングポイントを自ら放棄してしまうことになるからです。

関塚ジャパンに名古屋のFW永井選手が復帰した五輪アジア予選・アウェーのクウェート戦がまさにそうでした。

この試合、大勝したホームゲームとはうってかわって、「規格外の俊足」を持つ永井選手が復帰したからということで、彼をめがけてひたすらロングボールを蹴りこむサッカーをやってしまったわけですが、ロングの蹴り合いならクウェート代表の方が得意とするところ。

清武選手や東選手の頭上をひたすらボールが通過することでゲームの主導権を失った関塚ジャパンは、この試合を落としてヒヤヒヤの最終予選進出となり、動揺した日本のマスコミが一斉に「中東パニック」に陥ってしまいました。

ですから、攻撃に変化をつけるためロングボールを使うのはかまいませんが、A代表ではロング一辺倒にならないように。

そのあたりは遠藤選手や長谷部選手が中心となって、攻撃が単調にならないようボールを上手く散らしてくれるとは思いますが、その点だけは要注意です。

ハーフナー選手の高い身長はオマケぐらいに考えて、韓国を3-0で圧倒したような普段どおりのショートパスでまず崩して、両サイドを駆け上がった長友・内田ら両サイドバックから上がったクロスを高い打点のヘッドでハーフナー選手が決めるとか、強いフィジカルを生かしてバイタルエリアで彼が基点をつくり、ハーフナー選手からパスをもらった香川選手や本田選手など2列目の選手がフィニッシュするといった使い方をした方が彼の個性が生きると思いますし、日本代表の攻撃の厚みも増すのではないでしょうか。

それではいよいよ明日に迫ったブラジルに向けたザックジャパンの初陣。

日本代表の勝利とともに良い内容のゲームを期待します。





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