■2010年10月

■日本代表、韓国と惜しい引き分け

 今年はやくも3度目となる日韓戦がソウルで行われ、惜しくも引き分けとなりました。

数年前、バーレーンとの試合が何回も続いた時もそう感じましたが、1年間に同じ国と3度も4度も試合をするのは個人的にはいささか食傷ぎみになります。

さて現時点における日本と韓国の力関係は、南アフリカの中立地で韓国を大差で破ったアルゼンチンに日本がホームで勝ったことを考えれば、日本のホームで日本の勝利、韓国のホームで引き分けぐらいの差だろうと考えていました。

それを踏まえれば0-0で引き分けという今回の結果は順当と言いたいところですが、今年2度も負けている相手ですから何としても勝ちたかったですね。

ただ、ハンドのPKをレフェリーに見逃してもらっての引き分けですから、韓国にとっては負けに等しい試合でした。

結論から先に言ってしまえば、日本の試合内容も悪くはありませんでした。

ハンドの場面も含め、質の高いチャンスをより多く創り出していたのは日本だったと思います。

岡田ジャパン時代の2試合とは比べ物にならないくらい、試合内容が良くなりました。

 ここで試合経過を振り返っておきましょう。

試合立ちあがりはやや韓国が優勢か。

前半12分、日本のゴール前でヘッドでクリアしようとした駒野に韓国の選手が後ろから大変危険なレイトタックルの頭突き。

変な態勢で落下した駒野が腕を骨折して退場。のっけから大変なアクシデントに見まわれます。

しかし、15分ぐらいになると日本が優勢にゲームを進めます。

右サイドからの松井のクロスを韓国のDFが戻りながらクリア、これを拾った香川が胸でワントラップしてシュートを狙いますが、相手DFに防がれます。

もうペナルティエリア内に入っていたのですから、香川は相手のクリアボールをワントラップせずにダイレクトでヘディングシュートすべきだったと思います。

27分、バイタルエリアで前を向いた本田圭が相手DFの前からミドルシュート!GKがセーブしてなんとかCKへと逃れます。

30分あたりから試合の流れは韓国へ傾きます。

38分、日本陣内右サイドから韓国のFK。ゴール前でシン・ヒョンミンがヘディングシュートしますがバーの上。

シン・ヒョンミンと競ったのは内田のように見えましたがマークがズレてしまい、シンにほぼフリーでシュートを許してしまいました。

こういうことは二度とあってはいけません。

 後半も引き続き韓国ペース。

7分、今野がGK西川へバックパスするも弱く、危うくパク・チュヨンにつめられそうになります。

13分、韓国のFKを西川がパンチングで防ぐが、これをパクチュヨンがヘディングシュート。西川がハンブルしてボールが股間を抜けるが、後ろでカバーしていた日本の選手が危うくクリア。

悪いながれを断つべく、27分ザッケローニ監督は細貝を入れて4-2-3-1から4-3-3へシフトチェンジ。

30分あたりから韓国の足が止まりはじめたこともあって、ゲームの流れは再び日本へ。

32分、日本のカウンターから長谷部が相手DFのウラへ抜け出した松井へスルーパス。しかし松井が痛恨のトラップミスでシュートチャンスを逸します。

しかしボールを持ち直した松井がセンタリング、これを韓国の選手がハンドで防ぎますが、レフェリーは流します。

韓国の選手は体のラインから手を離して明らかなハンドでセンタリングを叩き落としましたが、あれがPKにならないところがいわゆる「ホームタウン・デシジョン」でありアウェー戦ということでしょう。

もっとも日本にやってくる外国のレフェリーは、ホームの日本にもアウェーチームにも大変公平な笛を吹いてくれる気がしますが、それはなぜでしょうか(苦笑)

35分、右サイドを突破した本田圭からのパスを長谷部がシュート!これも残念ながらバーの上。

44分、再び日本のカウンター攻撃。今度は本田圭が自分でミドルシュートしますがGKに防がれました。

そしてタイムアップ。試合は0-0のドローで終わりました。

 それでは試合内容を見ていきましょう。まずは守備から。

岡田ジャパン時代はほとんど言及されませんでしたが、ザックジャパンがアルゼンチンに勝ってからテレビが盛んにコンパクトコンパクト言い出しはじめましたね。とても面白い現象だと思います。

アルゼンチン戦では後半20分ぐらいから間延びしはじめてピンチの連続となりましたが、この試合はところどころ間延びした時間帯はありましたが、ほぼ90分間コンパクトな陣形を保つことができていました。

韓国の攻撃をシャットアウトできたのはそのことが大きかったと思いますし、進歩です。

W杯南アフリカ大会決勝のスペイン対オランダでは、身長とフィジカルコンタクトの強さで勝るオランダがボールを持つと、マタイセンとハイティンハの両CBが両サイドいっぱいまで開いてボールを回してピッチを広く使おうとし、それに対するスペインはオランダの陣形に引きずられないように一生懸命コンパクトな陣形を維持しようとしていました。

また卓越した個の能力を持つオランダのウイング・ロッベンに対して、スペインは左サイドバックのカプデビラとボランチのシャビ・アロンソの二人で数的優位をつくって組織で応対していましたが、レベルこそ違うものの、そのことを思い出しながら私はこの試合を見ていました。

アジアで最もフィジカルが強い国の一つである韓国は伝統的にロングボールを多用する「間延びしてもあえてOK」のサッカーをやってきますが、これまで日本が韓国に苦しんだのは日本の選手も監督も相手につられてこちらの陣形が間延びさせられても修正できずに、相手の有利な土俵で試合をさせられてしまったことが一因でした。

この試合でも日本が間延びしそうになるとザッケローニ監督が盛んに「コンパクトにしろ」と指示を送っていましたので、守備の組織戦術に関するかぎり安心して見ていられました。

惜しむらくは日本のアタッカー陣にイニエスタ並の決定力があれば、勝てた試合でした。

 守備の課題としては、日本のゴール前における空中戦で危険なマークのずれが何度かあったことです。

前述した前半38分のシン・ヒョンミンがヘディングシュートした場面。

マークしていたのは内田選手のように見えましたが、しっかりと体を寄せることができませんでした。

後半36分だったでしょうか、パク・チュヨンがヘディングシュートした時もマークしていた栗原選手のジャンプが遅れ、ほぼフリーでシュートを許してしまいました。

たとえ90分間完璧にコンパクトなゾーンディフェンスを維持できても、たった一度でもゴール前でマークがずれてフリーでヘディングシュートを打たれれば、90分間の苦労が水の泡になってしまいかねません。

結果オーライではなくて、こういうことは絶対にあってはいけないことです。

 攻撃面では岡田ジャパン時代よりは良くなりましたが、まだまだ課題は多いです。

日本の一部のサポが「鬼プレス」と呼ぶ、韓国の激しいプレスにうまく対応できませんでした。

日本の選手がパスを受けたらミドルサードでまずボールをキープしようとするので、すぐさま2人・3人と相手選手に囲まれボールをロストする場面が目立ちました。

ボールを持って前を向いたら自分より前にいる味方にシンプルにはたいて目の前の敵選手を抜いてしまえば、得点の可能性がぐーんと広がっていくのに、モタモタとドリブルしているうちに相手がどんどん戻ってしまい、自分からゴールチャンスのドアを閉じてしまいました。

パスをもらったときに選手がまずチャレンジすべきことは、ボールを持って前方へターンする事ですが、韓国代表をリスペクトしすぎているのか、日本の選手はパスをもらうと後ろ向きにトラップして、まずボールを大事にキープしようとする消極的な姿勢も目立ちました。

そのこともうまくパスを回せなかった原因の一つです。

ザッケローニ監督が「自分たちの才能に気付いていない選手、このチームがもっと良くなることを信じていない選手がいる」と試合後コメントしたのは、このことを指しているのではないでしょうか。

それはシュートも同様で、前半20分に後ろからきたパスをゴール前でフリーだった松井選手が受けて、そのまま前方へターンすればGKと1対1のシュートまでもっていけたのに、松井選手が選択したのはアウトサイドの味方へのヒールキックでした。これも消極的です。

こういうことが起こってしまうのは消極性・弱気というメンタルの問題と、前回ちょっと触れたボディシェイプの悪さが関係しています。

相手選手を背中に背負って密着マークされているなら別ですが、フリーな状態であれば半身になって後ろから来たパスを受けることで前方への視界が確保でき、スムーズに前方へターンしてシュートなりパスなり次のプレーにつなげることができます。(下図)


ボディシェイプ
(クリックで拡大)

しかしこの試合では、フリーなのに相手ゴールに背中を向けてパスを受ける選手が多かったために、必然的に無駄なバックパスが多くなって、パスがスムーズに回りませんでした。

ザッケローニ監督は「攻撃時のタテのスピードの必要性」を強調していますが、選手はパスを受けたら前方へターンしてまずシュート、あるいはさらに前方へのパス・ドリブルをすることを考え、それができない時に初めてヨコや後ろへのパスを選択するというプレーの正しい優先順位を体に染み込ませないと、攻撃に「タテのスピード」を乗せることはできません。

細かいことですが、選手一人一人が正しいボディシェイプを保ってボールを受け、正しい優先順位でプレーを選択するという基礎がキチンと出来ているかどうかで、厳しいプレスをかけられてもパスが回せて攻撃で主導権を握れるかどうか結果が大きく違ってきます。

毎度のことですが、韓国の「鬼プレス」も後半25分ぐらいから足が止まるので、そこが相手の息の根を止める勝負どころでしたが、松井選手・長谷部選手・本田選手らが相手を仕留めきれなかったところは残念でした。

シュートにチャレンジし、味方へのパスへ逃げなかったことは大いに賞賛します。

ですが、韓国代表をリスペクトしすぎて過緊張だったのか、シュートやトラップが不正確になったのが彼ららしくありません。

本田選手はアルゼンチン戦よりもシュートを打つタイミングが改善され、調子が回復してきました。

ただレアル・マドリードの10番になるためには、このレベルの相手からはきっちりと1本決めたいところです。

それでも日本代表はチーム全体として、攻守ともに試合内容はまずまず良かったと思います。

あとはU-19代表もそうなんですが、日本サッカー界は総力をあげてフィジカルコンタクトの弱さを根本的に解決しないといけませんね。

 選手個々で気になったところは、GKの西川選手がザックジャパン初登場となりましたが、経験のなさが出てちょっとバタバタしてしまいましたね。気長に経験を積ませる必要があるでしょう。

ワントップの前田選手は相手のスリーバックを相手に苦労していたのはやむを得ないところですが、ポストプレーにかかりっきりでシュートゼロに終わったのは残念。

どうも先発でワントップに入った選手がシュートを打つのに苦労しているみたいですが、どうせシュートが打てないならポストプレー役と割りきって、2列目の香川・本田・松井の各選手にシュートを打たせた方が良いのかもしれません。

韓国のようなフィジカルの強い選手を背負っても当り負けしない人が適任でしょう。

日本のオリバー・ビアホフ、FC東京の平山相太選手はどうか、どなたかザッケローニ監督に聞いてみてください。

 今年3度目の日韓戦、引き分けという結果はちょっと残念でしたが大人のチームになった日本代表は手堅く最低ノルマは達成したというところ。

試合内容も進歩が見られ、まずまず良かったと思います。

これで来年1月のアジアカップが楽しみになりました。4度目の優勝を期待します。

ところで代表引退を表明しているパクチソンの花道を飾るため、大会直前に2週間の合宿を予定するなど韓国はいつになく本気モードのようです。

日本は原技術委員長が欧州組をアジアカップに呼ばない意向を表明し、ザッケローニ監督がエトオみたいなスター選手だってアフリカ選手権に参加しているのにと言ったと報じられましたが、直前合宿も含めて本当に日本サッカー協会はそれで良いのでしょうか。

 最後に、駒野選手が大けがを負いましたし栗原選手も被害にあいましたが、日本の選手がヘディングしようとすると韓国の選手は日本の選手の後頭部や側頭部めがけて意図的に前頭部で頭突きしてきて、ボクシングでいうバッティングの反則のような大変危険な行為を繰り返していました。

ケンカのとき韓国人の必殺技は頭突き(パッチギ)だそうですが、技術の無さを暴力で解決するようなプレーはアンチ・フットボールであり強く反対します。

アルゼンチンのマラドーナ前監督も、韓国戦に出場する自国選手のケガを心配するコメントを出していたと思いますが、韓国代表のああいった行為はサッカーの進歩・発展に兆戦するものですし、誰の利益にもなりません。

FIFAもボールとは関係ない、あからさまに相手のぜい弱な後頭部や側頭部を狙った危険な頭突きは警告・退場の対象とすべきです。


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     2010.10.12 ソウルワールドカップ競技場


      韓国  0  -  0   日本




  GK チョン・ソンリョン    GK 西川

  DF イ・ジョンス       DF 駒野
    チョ・ヨンヒョン      (内田 15)
    ホン・ジョンホ        栗原
                   今野
  MF イ・ヨンピョ         長友
    シン・ヒョンミン
   (キ・ソンヨン 46)    MF 長谷部
    ユン・ビッガラム       遠藤
    チェ・ヒョジン       (中村 85)
   (チャ・ドゥリ 82)      松井
                  (金崎 78)
  FW チェ・ソングク        本田圭
   (ヨム・ギフン 66)      香川
   (ユ・ビョンス 82)     (細貝 72)
    パク・チュヨン
    イ・チョンヨン      FW 前田




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■ザックジャパン、初陣でアルゼンチン撃破!

 ザックジャパンの実質的な初陣となるアルゼンチン戦が埼玉スタジアムで行われ、日本が1-0で勝利しました。

アルゼンチンは世界ナンバー1のアタッカー、リオネル・メッシをかかえる強豪ではありますが、日本が南アフリカでの戦い方をベースにして挑めば、ホームでなら勝つ可能性は十分あると考えていました。

南米予選ではアルゼンチンとパラグアイは勝ったり負けたりと互角の勝負を繰り返しているわけですから、日本がホームでパラグアイに勝てるならアルゼンチンに勝つのもそれほど不思議なことではありません。

そして日本が1-0でアルゼンチンから初勝利をあげるという良い結果を出すことができました。

試合中アルゼンチンはハムストリングなど足を痛める選手が続出しており、コンディションが整っていないようでしたが、それも含めてのホームアドバンテージだと思います。

これはあくまでもテストマッチだということは頭に入れておいたほうが良さそうですが、それでも南アフリカでの4試合で日本代表の選手たちが急成長して、ちょっと調子の悪いアルゼンチンなら倒すことができるようになったということは言えるでしょう。

 試合の流れを振りかえります。

立ちあがりは、アルゼンチンのプレスにパニクった栗原がゴール前で相手にボールを渡してしまう大ピンチがありましたが、それを何とか防ぐとあとはほぼ互角の展開。

7分、D.ミリトからパスを受けたメッシがドリブルで中央突破し、ループシュートを狙いましたがバーの上。

8分、右からの内田のクロスが相手に当ってコースが変わり、これを岡崎がシュートするもGK正面へ。

19分、ゴール前中央で岡崎からのパスを受けた本田圭がシュート態勢に入るも一旦防がれますが、そのこぼれ球を長谷部が強烈なミドルシュート!

GKは前へはじくので精一杯で、そのこぼれを岡崎がプッシュして日本が待望の先制点ゲット。

27分、メッシの直接FKは川島がナイスセーブ。

後半立ちあがりも日本はアルゼンチンと堂々と渡り合います。

11分、南アフリカでのデンマーク戦と似たような位置でFKのチャンス。本田圭のブレ球FKは相手GKが何とか触ってCKへ逃れます。

しかし、後半の15分過ぎからパストーレを投入し早く同点にしたいアルゼンチンが大攻勢をかけてきて日本は防戦一方に。

時間とともに疲労がたまってきたせいか、それまでコンパクトだった日本のチーム陣形がタテにもヨコにも間延びしはじめると、アルゼンチンに何度も危険なチャンスをつくられてしまいます。

18分、アルゼンチンにいいようにパスを回されて、ゴール前へ飛び出したパストーレにラストパスが出ますが、前から戻ってきた岡崎がボールを外へ蹴りだしシュートさせません。

30分、日本のゴール前で再びつながれて最後はメッシのコントロールシュートを食らいますが、川島がナイスキャッチ。

31分、再びメッシに日本のゴール前やや右を突破されてセンタリングを許し、テベスが飛びこみますがボールに触ることができません。

45分、前掛かりになったアルゼンチンの裏をつく日本のカウンター攻撃。交代出場の前田がGKと1対1となりましたが、惜しくもシュートは防がれます。

後半ロスタイム、日本のゴール前でメッシのFKが壁に当って外れたところでタイムアップ。

日本はアルゼンチンから初勝利をあげました。

 今回はじめてザッケローニ監督がやろうとしているサッカーが目に見える形となって表れたわけですが、「岡田ジャパン総括(3)」の記事において、次期代表監督にふさわしい人の条件として三つあげました。


(1)基礎的なところからより高度なレベルまでゾーンディフェンスをみっちり指導できる人

(2)攻撃面での組織力、特に敵選手の間・間でショートパスをスムーズにつないで相手守備陣を崩す組織戦術の指導ができる人

(3)攻撃の時も守備の時も、そして最終ラインをどこに置くにしても常にコンパクトな陣形を維持し続けるという日本人の一番苦手な部分を修正する能力を持った人



まだ一試合だけで評価を下すのは早計なのかもしれませんが、少なくともアルゼンチン戦を見た限りでは、ザッケローニ監督が(1)(2)(3)の条件を満たしているかと問われれば、その答えはSi(イエス)です。

ザックジャパンは攻撃時は4-2-3-1で、守備のときは1トップと本田選手を残して両サイドハーフ(この試合では岡崎・香川両選手)が引いて、中盤がフラットな4-4-2でゾーンディフェンスの守備ブロックをつくるのが基本戦術のようです。

日本代表は、W杯南アフリカ大会ではDFの最終ラインを自陣のペナルティエリアがはじまるあたりまで下げてコンパクトな守備ブロックをつくっていましたが、DFラインを押し上げて攻めに出ると間延びしてしまう傾向にありました。

スライムをコップに入れるところを思い浮かべてほしいのですが、スライムが日本代表のチーム陣形でコップがピッチの自軍側半分、コップの底がペナルティエリアのはじまりのラインだとします。

南アフリカではスライムをコップに入れると(日本が自陣に引きぎみに構えると)コンパクトにまとまりますが、コップからスライムを出すと(前へ前へ攻めにあがると)、びろ~んと伸びてしまうといった感じでした。

この試合では南アフリカの時より最終ラインを10~20mぐらい高くあげていましたがそれでもコンパクトな陣形を保つことができました。

このあたりはザッケローニ監督の指導の成果でしょう。

実際、4日間の合宿で選手たちは正しいボディシェイプからゾーンディフェンスの基礎を叩きこまれたようで、とても良い傾向です。

ボディシェイプ(体の向き)が正しくないと適切な視野が確保できずに、守備で失点しやすくなるのはもちろん攻撃の時もスムーズにパスやシュートができない原因となります。

日本人選手のボディシェイプの悪さは私も長年気になっていたのですが、この際新監督にきっちりと修正してもらうべきでしょう。

この試合後半15分過ぎから日本の組織が崩れて陣形がだんだんと間延びしはじめ、スペースが広くなったことでアルゼンチンの選手が前を向いて日本の選手と1対1をしかけやすくなり日本が再三ピンチにおちいりましたが、ザッケローニ監督がベンチの前に出て、身振り手振りをまじえて盛んにコンパクトにしろと叫んでいましたので、日本代表の長年の問題点も的確に把握できています。

というわけで新監督に求められる条件のうち、(1)と(3)は合格です。

残りの(2)はまだ様子を見たいと思いますが、ザッケローニ監督はインタビューで「日本のテクニカルなサッカーにスピードを乗せたい」と語っていました。

それについてはまったく同感でこれまで何度も指摘しましたが、日本のファンタジスタ系MFがミドルサードでモタモタとドリブルしたがり、それがボールのポゼッション率は高いけれどもなかなかシュートチャンスに結びつかない、いつも相手の陣形が整うのを待ってから攻めることになってしまう一因となっていました。

少なくともザッケローニ監督がやりたい攻撃の方向性は正しいように思われます。

また、試合の流れを見極める能力もありますし選手交代を含む采配も的確でした。

後半15分過ぎから流れが悪くなりアルゼンチンに押し込まれる一方になりましたが、ザッケローニ監督はすぐさまそれを感じとってその5分後に前田選手を投入して流れを引き戻そうとし、それでも不十分と見るや続けざまに阿部選手や中村選手を投入して、チームを立て直そうと努力し勝利に結びつけました。

やろうとしている戦術、試合の流れやチームの問題点を的確につかむ能力、選手交代のタイミングを含む采配と、こと監督の仕事に関する限り、このアルゼンチン戦はストレスをまったく感じることなく観戦することができました。

病気で倒れやりたいサッカーの全貌が最後まで明らかにならなかったオシム氏を除けば、こういうことは本当に久しぶりです。

まだ一試合だけで判断を下すのは早計なのかもしれませんが、ザッケローニ氏は新監督として合格点を与えられると思います。

というか、ザッケローニ氏がやるサッカーを見ることで、欧州で主流となっている組織戦術とはどんなものかということを生で知る格好のレッスンとなるのではないでしょうか。

逆に、どちらかというと個の能力に頼ったサッカーをしていたのはアルゼンチンでした。

ザッケローニ監督はアルゼンチン戦直前に、「勝ちたければ、チーム力で上回るしかないと選手たちに言ったそうですが、的確なチーム戦術の選択で見事に勝利をおさめることができました。

これまで「組織戦術は個性をダメにする。『個の自由』こそ重要」「組織で劣勢な個の能力をカバーするなんて不可能」などといった主張が堂々とまかり通ってきた「ガラパゴス化」した日本サッカー界ですが、南アフリカでようやく正しい方向へと歩み出した日本サッカーの流れが「世界標準」を満たすザッケローニ新監督の就任によって確固たるものになることを希望します。

 選手個々については、相手GKがボールを前へはじくことを予測してきちんとつめていた岡崎選手はすばらしかったです。

そのプレーをアシストした形となった長谷部選手のミドルシュートも良かったですね。
やはりシュートを打たないことには何も始まりません。

本田圭選手は依然として良くありません。

次のプレーへの判断が遅く、自分一人で何でもやろうとしてボールを持ちすぎてしまうことが不調の原因だと思います。

シュートを打つタイミングもワンタッチ・ツータッチ遅れています。

香川選手もシュートを打つ時に同じような傾向にありました。

相手選手の前からもっとミドルシュートを狙っても良いでしょう。

グアテマラ戦で良かった森本選手も元に戻ってしまった感じです。

守備では川島選手と長友選手が光っていましたね。

 ザッケローニ新監督の実質的な初陣となったアルゼンチン戦、勝利という結果も良かったですし、試合内容もまだ修正すべき点は多々あるものの今後に期待が持てるものでした。

守備ではゾーンディフェンスを採用してタテにもヨコにもコンパクトな布陣からプレスをかけて相手のボール保持者を外へ外へと追いこんで行く、攻撃では日本の特色であるテクニカルなサッカーに世界標準のスピードを乗せたいというザッケローニ監督の目指すサッカーの方向性もじゅうぶん納得できるものです。

アルゼンチンに勝ったという結果は抜きにしても、ザッケローニ氏の監督として指導の内容が良く、我々はようやく世界標準を満たす監督を手に入れたのかもしれません。

 最後に余談ですが、アルゼンチンの国歌は独唱には向かないと思いました。スペインなど独唱に向かない国歌は多々ありますが、どうしても歌手に歌わせたいならせめて伴奏をつけたらどうでしょうか。


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      2010.10.8 埼玉スタジアム2002

     日本  1  -  0  アルゼンチン


      岡崎 '19


    GK 川島         GK ロメロ
     (西川 85)
                 DF デミチェリス
    DF 長友           G.ミリート
      栗原           ブルディッソ
      今野          (ラベッシ 78)
      内田           エインセ
  
    MF 遠藤         MF マスチェラーノ
     (阿部 71)        カンビアッソ
      長谷部         (ボラッティ 45)
      香川          (ディ・マリア 84)
     (中村 77)        ダレッサンドロ
      本田圭         (パストーレ 60)
      岡崎
     (関口 71)      FW メッシ
                   テベス
    FW 森本           D.ミリート
     (前田 65)       (イグアイン 33)




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組織か個か 




  

■ザックジャパン始動

 今月8日・12日に行われるアルゼンチン戦・韓国戦にのぞむ日本代表メンバーが発表されました。

次の通りです。

 GK 川島永嗣  (リールセ:ベルギー)
   西川周作  (広島)
   権田修一  (F東京)

 DF 闘莉王   (名古屋)
   駒野友一  (磐田)
   栗原勇蔵  (横浜M)
   伊野波雅彦 (鹿島)
   長友佑都  (チェゼーナ:イタリア)
   槙野智章  (広島)
   内田篤人  (シャルケ:ドイツ)

 MF 遠藤保仁  (G大阪)
   中村憲剛  (川崎)
   阿部勇樹  (レスター:イングランド)
   今野泰幸  (F東京)
   長谷部誠  (ヴォルフスブルク:ドイツ)
   本田拓也  (清水)
   細貝萌   (浦和)

 FW 松井大輔  (トムスク:ロシア)
   前田遼一  (磐田)
   関口訓充  (仙台)
   岡崎慎司  (清水)
   本田圭佑  (CSKAモスクワ:ロシア)
   森本貴幸  (カターニャ:イタリア)
   金崎夢生  (名古屋)
   香川真司  (ドルトムント:ドイツ)


 ザッケローニ新監督は今回初めて自らの手で代表選手を選んだわけですが、W杯南アフリカ大会で戦ったメンバーとあまり大きく変わっていないことがわかります。

あまりにも劇的に世代交代を進めてしまうと南アフリカでベスト16進出をなしとげた経験とノウハウが次の世代に受け継がれずに、また一からの作り直しにもなりかねませんので、岡田ジャパンの主力をベースに徐々に世代交代を進めていくことには賛成です。

毎度のことながらアジアサッカー連盟のドタバタ運営で来年1月にはもうアジアカップが迫っていて、大会まで時間が無いなかで大幅な選手の入れ替えは現実的ではないということも理由の一つでしょう。

私自身は東アジア選手権やA3といった大会の必要性をほとんど感じないのですが、世界のサッカー界におけるアジアの地位向上のため、アジア最高峰の大会として代表ならアジアカップ、クラブならアジアチャンピオンズリーグを盛り上げて行くのに日本もリーダーシップを発揮していくべきだと考えています。

当初、原技術委員長はアジアカップに日本の海外組選手は召集しない意向だったようですが、アフリカネーションズカップには欧州でプレーするアフリカのスタープレーヤーが参加するのに、どうしてアジアカップはダメなんだとザッケローニ監督が主張したと報じられていましたが、まさしく正論でしょう。

その点、欧州から駆けつけて2000年からの3度のアジアカップに皆勤賞で、そのうち2回優勝を勝ち取った中村俊輔選手の姿勢には頭が下がりました。

ケガやクラブ内の事情に配慮しなければならないこともあるでしょうが、2011年アジアカップはザッケローニ監督の希望にそう形で、できるかぎり良いメンバーで送り出せるよう希望します。

せめてアジアカップ開催が2012年1月だったらとは思いますが。

 代表メンバーに話を戻すと、鹿島の伊野波選手、清水の本田拓也選手、仙台の関口選手あたりがフレッシュなメンバーですね。

金崎選手も2014年ブラジル大会までにぜひ台頭してほしいと個人的に考えていた選手の一人です。

(しつこいようですがVVVの吉田選手も)

というわけで、ザックジャパンの初陣となるアルゼンチン戦が楽しみになってきました。

 それにしても、南アフリカ大会直前は代表スタメンに海外組は3人ぐらいでしたが、今では先発メンバーの過半数が海外組になりそうな勢いです。

海外へ移籍すれば何だって良いというわけではありませんが、これもW杯ベスト16効果と言えるでしょう。

やはり勝負事は勝たないといけません。




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