■2010年06月

■プレトリアの死闘

 日本代表が中立地開催でのワールドカップ初となるベスト8を目指した戦いは、延長戦を含む120分の死闘でも決着がつかず、PK戦の末に惜しくもベスト8進出はなりませんでした。

対戦相手のパラグアイ代表は、欧州や南米の強豪リーグでプレーする選手がほとんどのチームで、南米予選ではホームでブラジル・アルゼンチンに勝っている強豪です。

戦前では、日本のホームで引き分け、パラグアイホームでパラグアイの勝利ぐらいの実力差があると評価していました。

そのパラグアイを120分間0-0で苦しめたのですから日本は全力を出し尽くしたと思いますし、ベスト8進出を果たせなかったのは本当に残念でしたが、じゅうぶん胸を張っていい結果です。

ちなみに昔のワールドカップだと、90分で勝負がつかない場合は引き分け再試合になったはずです。

ところが、テレビ放映権料などサッカーに巨額のお金が動くようになると、決められた日時で大会日程をこなさないといけなくなったため、何日か後に再試合なんていうのんびりとしたことはやっていられなくなりました。

そこで導入されたのが次のラウンドへ進出するチームを決めるための「クジ引き」としてのPK戦だったというわけです。

前回記事でも書きましたが、PKを外した選手に責任はありませんし誰も責める権利はないと思います。

 それでは2時間30分を越える死闘を振り返ってみます。

試合は終始、地力に勝るパラグアイペースで進みました。

日本は守備ブロックをつくり、パラグアイの攻勢がゆるんだところで時折反撃するという展開です。

前半19分、ラストパスをもらったバリオスがルーレットのようなターンで日本のDFをかわしてGKと一対一に。
しかし彼のシュートを川島がナイスブロック、こぼれ球も中澤が懸命のクリア!

21分、パラグアイゴール前で大久保がドリブル、これを相手選手がスライディングで防ぐもこぼれ球が松井の前へ。松井はダイレクトでシュートを放ち、惜しくもバーを叩きます。

27分、パラグアイの左CKからのボールがこぼれてサンタクルスの前へ。しかし本田の必死のスライディングでサンタクルスのシュートはゴール右へ外れます。

40分、中盤でボールを奪って日本のカウンター、3対2の形をつくります。
右サイドを突破した松井が中央へ折り返し、本田がダイレクトシュート!
左足アウトにかけたシュートはわずかにゴール左へ。

この試合、もっともゴールの可能性を感じたシーンでした。

 後半も前半同様ジリジリとした我慢くらべの展開。

9分、松井のクロスを相手選手がヘッドでクリア、それを拾った長友のミドルシュートは相手のスライディングに阻まれて、最後はGKがキャッチ。

11分、中盤深いところでボールを奪われてパラグアイのカウンターを浴びます。ラストパスをもらったベニテスのシュートは中澤が体を張ってブロック。

17分、日本の右CKから闘莉王が打点の高いヘッドでゴールを狙いますが、ゴール左へ外れます。

36分、中村憲を投入して日本は攻撃的な4-2-3-1へシフト。

ロスタイム、FKのボールを中澤が頭で落とし、闘莉王が懸命に足をのばすが届かず、延長戦へ。

 延長前半6分、ラストパスをもらったバルデスがターンしてGKと一対一になりながらシュートするがまたしても川島がブロック、パラグアイはゴール前にどんどんパスを入れてきて連続シュートでたたみ掛けてきますが日本が体を張って気合の守備で防ぎます。

9分、本田のFKは低い弾道となり、GKがなんとか弾いてCKに逃れます。

延長後半11分、長友がボールを奪ってカウンター、岡崎→玉田とつながって玉田はシュートではなくゴール前への折り返しを選択しますが中村憲には合わず。

2006年大会のブラジル戦や2004年アジアカップ準決勝でもそこからゴールを決めていたはずですし私はそこを「玉田ゾーン」と呼んでいるのですが、ゴール前左の角度のないギリギリのところは玉田選手が本来シュートを得意としている場所ではないでしょうか。

外れてもいいから玉田選手には積極的にシュートを打って欲しかったと個人的には思います。

延長戦でも決着がつかずPK戦へ

先攻のパラグアイは5人とも決めたのに対し、日本は1人が外してパラグアイがベスト8に進出する権利を得ました。

 それでは試合内容を分析します。まずは守備から。

この試合でも日本の守備がとても良く機能していたと思います。

パラグアイの選手は当りの強さも技術もレベルが高く、危険な攻撃を何度もしかけられましたが、ゾーンディフェンスによる日本の守備ブロックがクッションとなってパラグアイの鋭い攻撃を吸収してしまい、時間がたてばたつほど疲労したパラグアイの選手のパス・トラップが不正確になっていきました。

最後の一線も両センターバックとGKが体を張って守りきりました。

今の日本代表は、守備力だけで言えば世界の強豪にまったくひけを取らないと思います。

スペインやブラジル・オランダのような優勝候補であっても、そう簡単にはゴールをあげることはできないでしょう。

ただこの試合の前半、日本の選手同士でボールをお見合いしてパラグアイの選手に奪われたりするシーンが何度か見られました。

やはり日本初のベスト8をかけた試合で相手は南米の強豪ということで、消極性や失敗に対する恐怖心がどうしても顔をのぞかせてしまったのかもしれません。

これを除けば、日本の守備は素晴らしかったです。

 つづいて攻撃面ですが、日本代表は守備でこそ短期間で組織力を世界レベルまで高めることができましたが、残念ながら攻撃での組織力アップはそこまで手がまわらなかった印象です。

前から激しく来るパラグアイのプレスに引っかかり、日本は中盤でかなりボールを失っていましたし、数少ないチャンスも単発で、パラグアイの守備を崩して攻撃の形をつくることがなかなかできませんでした。

やっぱり「大切な試合だから大事に行きたい」という思いが強いのか、選手がボールを長時間キープしたがり、フィジカルやテクニックで勝る相手選手に体を寄せられて簡単にボールを失っていました。

連戦の疲労もあるとは思いますが、ボールを持っている味方に対するまわりのサポートも緩慢で、日本の選手が相手選手が2人も3人もいるところへ単騎ドリブルで突っ込んで行ってはボールを奪い返されていました。

相手選手の間で組織的にショートパスをリズミカルにつないでミドルサードを短時間で突破し、バイタルエリアや相手サイドバックの前のスペースで味方がボールを持って前を向くシーンをもっともっとつくれれば、1-0、2-0で勝つことも可能だったと思います。

 日本が南米の強豪パラグアイに120分間戦いぬいて0-0という結果は大健闘でした。

PK戦の結果でベスト8進出は果たせませんでしたが、日本は現有戦力でベストを尽くし、全力を出しきったと思います。

岡田ジャパンの総括は近いうちにやりたいと考えていますが、個の能力で劣勢な日本がワールドカップでベスト16に進出し、南米3位の強豪にほぼ互角にやりあえたのは組織の力あってこそでした。

単純に11対11の「個の能力の足し算」で勝負を挑んでいたら日本はここまで来れなかったことでしょう。

しかし、ここから先に進むためには長期プログラムで組織を支える選手個々の能力をもっと高めていく必要がありますし、組織力もとくに攻撃面でもっともっとみがきをかけないといけません。

日本代表の選手・監督・スタッフの皆さん全員に心から感謝の意を述べるとともに、次の戦いまでゆっくり心身を休めて欲しいと思います。

連日、良いゲーム・良いプレーを見せていただき本当にありがとうございました。

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   2010.6.29 ロフタスヴァースフェルド・スタジアム
                   (プレトリア)


     パラグアイ  0  -  0  日本
              (5 PK 3)
 


      GK ヴィジャール     GK 川島

      DF モレル        DF 駒野
        ダシルバ          中澤
        アルカラス         闘莉王
        ボネット           長友

      MF ベラ         MF 阿部
        リベロス          (中村憲 81)
        オルティゴサ       長谷部
       (バレト 75)        遠藤
                       松井
      FW サンタクルス      (岡崎 65)
        (カルドソ 94)      大久保
        バリオス         (玉田 106)
        ベニテス
       (バルデス 60)    FW 本田





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■いよいよパラグアイ戦迫る!

 日本代表の決勝トーナメント初戦、対パラグアイ戦が29日に迫ってきました。

対戦相手のパラグアイについて、この大会の彼らの試合は見ていないのですが、南米らしくしっかりとした個の技術があってさらにフィジカルコンタクトに強く、伝統的にねばり強い堅守から速攻を狙うタフなチームという印象があります。

日本の選手は南米選手にあこがれてサッカーを始めた人も多いかと思いますが、だからといってパラグアイを過剰にリスペクトしたり苦手意識を持ったりする必要はありません。

これまでの3試合で日本の選手たちはメンタル面でもかなりの成長を見せていますからそういうことはないと思いますが、目の前で相手に高い技術を見せられたり仮に先制されても「これはかなわない」と自分から勝負をあきらめてしまわないことです。

闘莉王選手が何度も「へたくそなりのサッカーをやる」と言っていますが、これまで通り我慢強く「へたくそなりのサッカー」をやり抜けばパラグアイにも勝てます。

 守備で最も重要なのはやはり絶対に相手に先制点をやらないことです。

4-3-3でコンパクトなブロックをつくり、チーム全員で協力してそこへ入ってくる相手のタテパスを受ける選手やドリブルする選手を自由にやらせないような守備をする。

ロングボールやセットプレーからの攻撃を我慢強く跳ね返し、そのこぼれ球も集中力を切らすことなくすべて日本側が拾う、シュートやクロスは体を張って止めるというこれまでのやり方を90分・120分と継続すべきです。

マークが甘くなっては本末転倒ですが、日本のゴールに近いところではできるだけ相手を倒さずに守りたいものです。

相手がゴールに背を向けてボールを持っている分にはそれほど焦る必要はないはずです。

無理にボールを奪うような動きをせず、後ろから相手に体を寄せて前を向かせないようにして相手のボールコントロールミスを誘うような守備をしたり、そうやって時間をかせいでいるうちに別の味方とサンドイッチするような守備をするのも一つのやり方でしょう。

ゴールに背を向けた選手がバックパスから味方にシュートを打たせるようなプレーをやられると嫌なので、周りの選手が集中してそうしたプレーを防ぐ必要があります。

 攻撃では、本田選手が今まで以上に警戒されてマークがきつくなるのではないでしょうか。

本田選手に警戒が集中するなら、松井・大久保といった他の選手が一層奮起して、組織の力で攻撃しパラグアイからゴールを奪うということがより大切になってくることでしょう。

ちょっと気になったのは大久保選手が「ゴールだけが仕事じゃない」とコメントしていたことで、それはそうかもしれませんが、攻撃の選手は自分にそういう言い訳を用意して欲しくないですね。

大久保選手はよく「ワイルドな人」と言われています。確かに風貌はワイルドですが、メンタル面では非常に繊細で弱気な一面も持っている選手だと思います。

だからこそ「パラグアイ戦でゴールを奪う」と宣言し、何度も何度も繰り返し頭の中で自分がシュートしてパラグアイからゴールをあげるのに成功しているところを想像する、メンタルトレーニングをするべきです。

想像するイメージはより具体的なほうが良く、写真でパラグアイのGKの顔をしっかりおぼえて、ニアポスト側・ファーポスト側、両足・頭といろいろなパターンでシュートして自分がパラグアイGKからゴールを奪うのに成功するところを繰り返し想像することで、実戦でもより冷静に平常心に近い形でシュートできるようになって、それがシュートの正確性と本当のゴールにつながってくるはずです。

大久保選手に限らず、できればすべての選手がやった方が良いと思います。
本田選手はもうやっているかもしれませんが。

 私はパラグアイ戦で90分間での日本の勝利を願っていますが、決勝トーナメントに進出した以上、延長戦を含む120分間やPK戦まで行く3時間近いタフな我慢比べのゲームになる可能性は常に想定しておかなくてはなりません。

延長戦に入ってもそれまでの90分間とやり方は大きくは変わらないと思いますが、PK戦用の準備は必要です。

PK戦において、選手の蹴る順番をどうするかについては監督さんやチームによってそれぞれ考え方があると思いますが、私が監督ならプレッシャーがかかる1人目と5人目にはシュート成功率が高い選手をいれます。

監督によってはゲームキャプテンを5人目に持ってくる場合もあります。

センターバックなど普段ほとんど足でシュートを打たない人がキャプテンとなっている場合でも、そのセンターバックに5人目を蹴らせる監督さんもいますが私だったらなるべくそれは避けます。

もし5人目に入るなら長谷部キャプテンのシュート成功率はどうでしょうか。

同じ理由で、できれば2人目と4人目もシュート成功率が高い選手を入れたいところです。

あと、PK戦に対して強い恐怖心を持っている選手がいるようであればこっそり自己申告してもらって、監督が特別にケアしてあげて精神的な負担を軽減してやる必要があります。

チーム全員がそろうミーティングなどの場で、選手がPK戦に対して恐怖心を持つことは決して恥ではないことチーム全員で戦っているのだから全力を尽くした結果たとえ誰かがPKを外したとしても、チームメートの誰もその選手を非難することもなければその選手個人の責任でもないことを監督・コーチ・選手全員で声に出してはっきりと確認しておくのも一つのやり方です。

アジアカップ2004の決勝トーナメント1回戦で、日本が最初の2人が外してそれでも大逆転勝利したことがありましたが、たとえPK戦になっても自信を持ってベストを尽くせばおのずと良い結果がついてくることでしょう。

 2002年大会ではベスト16に終わり、日本のすべてのサッカー関係者・サポーターがとても悔しい思いをしました。

ようやく日本代表が手にしたリベンジのチャンスです。

やはり「相手に勝ちたい、絶対に自分たちがベスト8に行く」という強い気持ちを持っている方が先へ進む権利を得ることでしょう。それは日本代表のはずです。

2002年の悔しさをパラグアイ戦に全力でぶつけてぜひ勝利を勝ち取り、新しい日本サッカーの歴史をつくって欲しいと強く強く願っています。





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■日本代表、決勝トーナメント進出!!

 日本代表の決勝トーナメント進出がかかったデンマーク戦は見事に3-1で日本が勝利!

日本はグループリーグEを2位で通過し、決勝トーナメント進出を決めました。

日本がベスト16に進んだのは2002年大会に続きこれで2度目。

中立地開催でのワールドカップでは初の快挙となります。

 私もユーロ92でデンマークがドイツを破って優勝するのをリアルタイム(正確にいうと録画中継)で見ましたが、1992年といえばまだ日本代表がW杯に一度も出たことのない時代であり、わが日本代表が将来デンマークをワールドカップで破って決勝トーナメント進出を達成するとはその当時想像すらしていませんでした。

日本がデンマークにあっさり勝ったような印象をもたれる方もいるかもしれませんが、2010年W杯欧州予選でも、イブラヒモビッチがいるスウェーデンを予選敗退に、C.ロナウドやナニがいるポルトガルをプレーオフに追いやってトップ通過を果たしたのがデンマークでした。

試合前の戦力評価では、日本のホームで引き分け、デンマークホームでデンマーク勝利ぐらいの差があると考えていましたが、中立地において3-1で日本の勝利という結果は歴史に残る大金星でしたし、世界を驚かせたと思います。

試合内容もその結果にふさわしい充実したものでした。


それでは歴史に残る一戦を振りかえりましょう。

 前半立ち上がり、日本代表はスイス合宿前に使っていた4-2-3-1で前からプレスをかける戦術を採用し、勝ちに行く姿勢を前面に押し出しました。

しかし、日本のDFとMFのラインがやや間延びしたところを使われて、デンマークの速くて組織的なパス回しに何度か崩されそうになります。

7分、デンマークの左サイドからのクロスが駒野に当たってコースが変わり、ゴール前のトマソンがシュートしようとしますがヒットせず。続くCKは中澤の前に入ったクロルドルップにシュートされますがゴール左へそれてヒヤっとさせられます。

これを見た日本代表はカメルーン戦・オランダ戦で機能した4-3-3に戻してブロックをつくる堅守速攻型へチェンジ。ようやく守備が安定しました。

デンマークが日本をやや押しこみ、日本が速攻から反撃をうかがう展開となります。

9分、ゴール前に入れたボールを飛び出した松井がわずかに触れてコースを変えますが、デンマークのGKがよく反応して防ぎました。

14分、左サイドでボールを受けたトマソンがファーサイドへシュート、ゴール右外ギリギリを通過します。

17分、日本の速攻から右サイドやや遠めのエリアでFKのチャンスを得ます。これを本田が得意の無回転シュートでデンマークゴールへ叩きこみ、日本にとって大きな大きな先制点。

29分、再び日本の速攻からゴール正面でFKを獲得。デンマークの警戒が本田に集まるところ、今度は遠藤がコントロールシュートを決めて日本にとってこれまた大きい追加点をあげます。

 後半も前半と同様、ゴールしなければ決勝トーナメントへ行けないデンマークが攻め、ブロックをつくって堅守からの反撃を狙う日本という展開。

3分、遠藤のFKからのボールが意外にのびたのかGKソーレンセンがキャッチミス、こぼれたところを闘莉王がシュートしましたが外れます。

13分、J.ポウルセンが中盤から強烈なミドルシュートを放ちますが、川島がナイスセーブ。

18分、デンマークはエリクセンを入れて4トップにし、日本のゴール前にロングボールを放りこむゴリゴリのパワープレーに出てきます。

24分、日本の左サイド奥でいったん相手からボールを奪ったものの、再び相手にボールを渡してしまい、ロンメダールのクロスをトマソンがシュートしますがヒットせず。

35分、日本のペナルティエリア内での競り合いで長谷部が相手選手を倒したと判定されPKに。トマソンのキックを一度は川島がはじきますが再びトマソンにプッシュされ2-1とされます。

しかしデンマークのスタミナ消耗も激しく彼らの足が止まった42分、本田がペナルティエリアに持ち込んでフェイントで相手をかわしGKと一対一。これを右にいた岡崎にラストパスしてシュート!

デンマークの戦意を喪失させるのに十分なゴールゲットで試合を決定づけました。

そしてタイムアップ。

日本は中立地開催でのワールドカップで初の決勝トーナメント進出を達成しました。

 さて、この試合の勝敗を分けたポイントについてですが、まず第一にデンマークと勝ち点は同じだったものの得失点差で日本が1上回って直接対決にのぞめことが大きかったと思います。

特に日本がオランダ戦を0-1で我慢できたことがとても大きかったです。

これによって勝たなければ絶対に決勝Tへ行けなくなったデンマークがリスクをおかして日本に攻撃をかけるために前へ出てきてくれました。

前掛かりになったデンマークの後ろにスペースが空き、日本代表の堅守速攻型の戦術がハマリやすい状況をつくることができました。

逆に日本が先にゴールしなければ決勝Tに進出できない状況になり、自陣に引いたデンマークを崩さなければならない状況であったら日本は大変苦しかったことでしょう。

 次に日本は立ち上がり、スイス合宿の前に使っていた4-2-3-1で前からどんどんプレスをかけていく戦術をとったわけですが、試合を見ていて私はとても驚きましたし「これはまずい」と思いました。

案の定、チーム陣形がやや間延びしたところをデンマークに突かれて組織的な速いパス回しから何度か崩されそうになりました。

岡田監督の指示で前半10分ぐらいまでにはDF・MF・FWのスリーラインでコンパクトな陣形をつくる戦術に戻しましたが、この危険な10分間に相手に先制点を許さなかったことも勝敗を分けるカギになりました。

その点はラッキーだったと思います。

 三つ目は、本田選手のフリーキックで日本が先制できたことです。

3-0から追加点をあげるよりも、同点の状態から均衡を破るゴールをあげることの方がより大きなエネルギーを必要としますが、世界の強豪相手に均衡状態を破れるだけの決定力を持っているのが本田選手の素晴らしいところです。

のちほど述べますが、サッカーは守備側に有利なスポーツであり、実力が拮抗しているのであれば先制点を取った方ががぜん優位に立ちます。

遠藤選手のFKも見事でしたが、1本目で本田選手にあれだけのキックを見せられたことで、デンマークのGKも壁に入った選手も遠藤選手が蹴った瞬間、完全に意表を突かれていたようでした。

先制され追加点まで奪われたデンマークはとても焦り、時間がたつごとにシュートやパスの正確性がどんどん低下していきました。

典型的な番狂わせのパターンです。

カメルーン戦における本田選手の先制点がすべての始まりとなっていますが、均衡を破る先制点がその後の守備だけでなく味方の攻撃をも有利にするということですね。

 つづいて守備面から試合内容を分析します。

日本代表のコンパクトな陣形からブロックをつくる守備戦術がとても素晴らしいです。

オランダ・デンマークと日本が強豪相手に互角かそれ以上に渡り合えたのも、すべてはこの守備がベースだと思います。

キックオフからの10分間で見られたように、デンマークも本来は高い組織力に裏づけられたポゼッションサッカーによる破壊力ばつぐんの攻撃を誇るチームです。

ですがオランダにしろデンマークにしろ、日本の組織的な守備によって彼らの最大のストロングポイントであるハイレベルの組織的攻撃や個の能力の高さをかなりの程度まで無力化できています。

相手がボールをまわしても日本の守備ブロックを崩すのは容易ではないので、相手の体力を奪い、疲労させるという効果もあります。

我慢強さと持久力に優れる日本人選手にとってこの守備戦術はとても相性が良いようです。

決勝トーナメントへ行ってもこの守備戦術を継続するべきでしょう。

相手が4トップにしてきたこともありますが、後半30分過ぎぐらいからだんだんMF3人がDFラインに吸収されかかったところは修正点でしょう。

 また前回記事でお願いしたとおり、「90分間こぼれ球への集中を切らさず必ず日本の選手が先にボールに触る、相手にシュートやクロスなどで自由なプレーを許さずワンプレーごとに相手に競り勝って絶対にマイボールにする」ということもよくできていました。

サッカーはバレーボールやバスケットと違って、1試合でアタックが何十回も成功するスポーツではありません。

つまりやるべきことさえしっかりやっていれば、サッカーは守備側に有利なスポーツなわけです。

やるべきことというのは先ほど述べたカッコの中のことです。

グループリーグの3試合でもまれているうちに日本の守備力は素晴らしく成長しました。

 PKを与えてしまったシーンはやや日本に厳しい判定だったかもしれませんが、やはりペナルティエリアの中で手を使って相手を押すのは避けた方が良いでしょう。

あと前半19分に大久保選手が自陣深くでドリブル突破しようとして相手に奪われたシーンがありましたが、厳格なリスク管理が求められたこの試合であのような割に合わないリスキーなプレーをやってはいけません。

 攻撃面では何といっても本田選手の無回転フリーキックでした。

大会ベストゴールの一つにあげられるのは確実でしょう。

前回記事で、デンマークの組織的な守備網を崩しきって得点するのはなかなか難しいと考え、試合会場がボールがのびる高地ということもあって、相手DFラインの前からミドルシュートを狙ってはどうかと提案しましたが、相手DFラインの前からフリーキック2本で2得点ですから非常に効率の良い攻撃でした。

3点目はカウンターからでしたが、セットプレーから2得点・カウンターからもう1点と、堅守速攻型のチームとしては理想的な点の取り方・勝ち方ではないでしょうか。

本田選手はフリーキックだけではなく、ポストプレーで前線の基点となってやや攻撃面で組織力が欠ける部分をカバーしたり、パスでゲームをつくり岡崎選手のゴールをアシストしたりとまさに獅子奮迅の働きでした。

本田選手が他のチームメイトを生かし、チームも本田選手の個性を生かすことができていると思います。


チーム全体としてもパスをシンプルにまわしてチャンスをつくるということが少しづつ改善されています。

これからは日本も警戒され、対戦相手がうかつに前掛かりに攻めてくることは少なくなるかもしれません。

相手が守備ブロックをつくって待ち構えているところを崩さなければならないシーンも出てくるかもしれませんし、それができるかどうかはまだ未知数です。

さらなる攻撃面での組織力アップに期待します。

最近このブログで図解入りの解説がなくなって手抜きじゃないかと思っている読者の方もいるかもしれませんが、私が図解入りの記事を書くときというのは、たいてい日本代表が危機的状態になったときです。

それがなくなったということは、今の代表がうまく行っているということです。

 日本代表は強豪デンマークに勝利し、決勝トーナメント進出を勝ち取りました。

グループリーグの3試合で高いレベルの相手と真剣勝負をしながら日本は着実に成長しています。

デンマークに3-1での勝利という結果も素晴らしいですが、特に守備面では結果にふさわしい内容をともなっての勝利でした。

岡田監督は、日本代表は個の能力に頼った戦いをするのではなくチーム組織として戦う、日本の決勝トーナメント進出によってサッカーがチームスポーツであることを証明できたとおっしゃっていましたが、まさにそのとおりだと思います。

 さて2002年大会でも日本代表はベスト16に進出しそれも快挙ではありましたが、それ以上は前進できずに悔しい思いもしました。

ワールドカップの本当の戦いはいよいよこれからだと言えます。

決勝トーナメントはこれまでと戦い方が変わり、延長戦を含む120分でも決着がつかなければPK戦で勝敗がつくまで争い合う、相手チームとの一対一でのサシの勝負です。

最初の対戦相手はパラグアイとなりました。

日本代表はレベルの高い相手と真剣勝負を繰り返すうちに、1試合ごとにめざましい成長をとげています。

ワールドカップ本番で熟成されつつある、チームとして戦う日本代表のサッカーを最後までやりぬいて、粘り強く勝利を勝ち取って欲しいと思います。



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 2010.6.24 ロイヤルバフォケン・スタジアム(ルステンブルク)


    デンマーク  1  -  3  日本

   
    トマソン(PK)'81     本田 '17
                  遠藤 '30
                  岡崎 '87



    GK ソーレンセン     GK 川島

    DF アッガー       DF 駒野
      ヤコブセン        中澤
      クロルドルップ      闘莉王
     (ラルセン 56)      長友
      S.ポウルセン
                 MF 阿部
    MF C.ポウルセン       長谷部
      ヨルゲンセン       遠藤
     (J.ポウルセン 34)   (稲本 90+)
      カーレンベルク      松井
     (エリクセン 63)    (岡崎 74)
                   大久保
    FW トマソン        (今野 88)
      ベントナー      
      ロンメダール     FW 本田





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■いよいよデンマーク戦迫る!

 注目のカメルーン対デンマークは、デンマークの勝利という順当な結果でした。

しかしカメルーンががんばって1点差負けにしてくれたおかげで、2試合を終わった段階で日本が得失点差でデンマークを1上回りました。

これで日本対デンマークの直接対決で日本が勝てばもちろん、引き分けでも日本の決勝トーナメント進出が決まります。

日本がオランダに0-1とがんばったことも大きかったと思います。

ところで、コメントをくださった方からスナイデルがフリーになっていたことについて本田選手の責任ではないかというご質問がありましたが、バイタルエリアは本来アンカーがケアするべきゾーンだと思います。

ワントップの選手にそこまで要求するのは酷というものですし、もし攻められるたびにワントップがいちいちバイタルエリアまで戻って守備をしていたら、日本は完全に攻め手を失って押しこまれっぱなしになったり、疲労で肝心の時にゴールを決められなくなってしまうのではないでしょうか。

 さて現地時間24日にいよいよデンマーク戦を迎えることになります。

試合会場のルステンブルクは高地の上、ナイトゲームとなりますから、相当気温が下がることが予想されます。
(ルステンブルクのこの時期の最低気温は0℃ぐらい)

気温が20℃以上あったダーバンのオランダ戦とは一転して、スピーディーでハイテンポな試合になる可能性があり注意が必要です。

欧州のチームにしては比較的スローテンポだったオランダ戦のイメージのまま試合に入ってしまうと、デンマークの選手の速い動きやスピーディーなパス回しについていけなくなる恐れもあります。

速い展開の試合になっても対応できるように、心身ともに準備をしっかりとやっておくべきでしょう。

 日本対デンマーク戦は、スコアを0.5対0にしてキックオフすると考えるとわかりやすいかと思います。

そのまま試合が終われば日本が決勝トーナメント進出ですが、1点取られれば立場が逆転します。日本が1点取り返せば再び日本が上に立ちます。

デンマークはこれが決勝戦と思って得点を奪いに来るはずです。

デンマークもオランダに決してひけをとらない攻撃力があります。

オランダ戦と同様にタフで我慢くらべの試合となることでしょう。
絶対に先制点をやってはいけないのは言うまでもありません。


守備では、90分間コンパクトな陣形を維持し続け、DF・MF・FWの三つのラインをそれぞれ10m以内に保ちつづけることが欠かせません。

90分間こぼれ球への集中を切らさず必ず日本の選手が先に触る、相手のシュートやクロス、ラストパスは体を張って防ぐ、ワンプレーごとに相手に競り勝って絶対にマイボールにするということの積み重ねが重要です。

ゴール前の空中戦でも、まず日本の選手が先に触る、それができない場合は相手に体をしっかりと寄せて、相手の体の自由を奪うことが求められます。


ボールを持った相手に攻撃をかけて絶対に自由にはやらせないという「攻撃的な守備」の精神ですね。

 この試合は今まで以上にリスク管理が求められます。

両サイドバックやアンカーなどの不用意な攻めあがりは避け、4バックと3人のMFは強固なブロックを維持して相手に備えます。

アタッキングサードであれば、シュートやラストパスなどボールを失うリスクを積極的におかしても良いでしょう。

ですが、ディフェンディングサードでは、いちかばちか通すようなパスやドリブル突破は避けて安全第一に。
相手に囲まれてパスコースがなければ大きく前方へクリアで構いません。

ミドルサードでも、アンカーあたりでボールを失うようなことがあってはなりません。

オランダ戦では後半立ち上がりの10分間、日本代表は集中力を欠いていました。

こぼれたボールとフリーになったスナイデルを、一瞬だけ皆が足を止めて見てしまいました。

その一瞬のために90分間の苦労と勝ち点1が泡と消えました。

後半20分すぎまで0-0で耐えられればオランダも攻め疲れてペースダウンしたでしょうし、タイムアップまでの10分間も集中できていたら、日本はオランダから勝ち点をもぎ取り、世界をアッと驚かせたかもしれません。

オランダ戦を終えて、日本代表に好意的な報道が増えていますが、「善戦したけど結局負けた」の繰り返しがこれまでの日本サッカーでした。

この悔しさをデンマーク戦に全力でぶつけて欲しいと思います。

 攻撃でもまず90分間コンパクトな陣形を維持することが不可欠です。

「大切なワールドカップだからボールを大事にキープしてどこへパスを出すかじっくり考えたい」と、つい思ってしまいがちですが、それでは攻撃が機能しません。

オシム氏が説教している通り、中盤で3秒も4秒もトロトロドリブルしながら「自分の一発のパスで試合を決めてやろう」と考えて周りをキョロキョロする30年前の南米サッカーみたいな時代遅れの戦術をきっぱり捨て去るべきです。

本田選手も「自分が攻撃の中心にならなければ」という思いが強いのでしょう、ポストプレーをやって、ドリブル突破やパスでゲームをつくり、そしてシュートと何でも自分一人でやろうと肩に力が入りすぎではないでしょうか。

もっと味方を信頼してシンプルにプレーし、自らのシュートチャンスに備えるべきでしょう。

オランダ戦ではチーム全体として本田選手のポストプレーに頼りすぎているため、得点源の本田選手が多くの時間、相手ゴールに背を向けてプレーしていました。

これではシュートが打てません。

バイタルエリアや両サイドバックの前のスペースでなるべく多く日本の攻撃の選手がボールを持って前を向き、攻撃を仕掛けたいものです。

ルステンブルクは高地ですので、ミドルシュートが有効でしょう。

バイタルエリアで前を向いたら、自分の前にいる敵選手をフェイントでゆさぶってシュートコースを空け、ミドルシュートをデンマークゴールに叩きこむプレーをまず選択肢の第一に考えてみてはどうでしょうか。
(GKが前へはじくことを想定して味方がつめることも忘れずに!)

身長が高く空中戦に強そうなデンマークのDFも、地上戦で細かく左右に揺さぶられると日本の選手につききれない可能性があります。

どうしてもシュートが打てそうにない場合は、ワンツーでの突破やスルーパス、クロスで相手DFを崩してデンマークから得点をあげたいものです。

バイタルエリアでボールを持って前を向くには、ショートパスをテンポよくつないでミドルサードをなるべく短時間で突破したいところです。

ミドルサードでは、自分より前方でフリーの味方がいるなら最初のチャンスでパスを出し、必要であればパスを受けた味方をサポートするために次のスペースへ動きます。

いわゆる「オートマティズム」です。

中盤でモタモタドリブルして相手に守備ブロックをつくる時間を与えてはだめです。

攻撃の選手の見せ場はミドルサードではなく、アタッキングサードでありバイタルエリアだということを胆に銘じましょう。

 オランダ戦の終盤、長友選手がPKをもらいにわざと倒れたプレーがありましたが、勝ち点1を奪うためにどうして最後まで踏ん張って自分でシュートするなり、センタリングするなりしなかったのでしょうか。

まったくの時間の無駄でした。

あのようなミエミエのシミュレーションにひっかかるスキルの低いレフェリーはワールドカップに出てくる前にふるいにかけられてしまいます。

長友選手は最初から自分はオランダからゴールを奪う能力がないとあきらめていたから、レフェリーからPKをもらって「なぐさめてもらおう」としたのでしょうが、それは自分を弱者と認めている人間の甘えであって勝者が持つべきメンタルではありません。

自分からオランダに勝つ資格を放棄していたと言えます。

最近大久保選手を少し見直したところは、私が大嫌いなシミュレーションをほとんどやらなくなったところです。

自分たちはデンマークからゴールを奪う能力がある、デンマークを上回って決勝トーナメントに進出する資格があるということを、日本代表のすべての選手が固く信じるところから出発して欲しいと思います。

 日本対デンマーク戦は、決勝トーナメントに行きたいという強い気持ちが上回った方に栄冠が輝くことでしょう。

カメルーン戦・オランダ戦と日本代表は実戦を重ねるなかで着実に進歩をとげています。

しかし依然として我々はまだ何も手に入れていません。

日本代表のすべての選手に「決勝トーナメントに行くのは絶対に自分たちだ」という強い気持ちをデンマーク戦における一つ一つのプレーで表現して欲しいと思います。

そうすれば、日本代表は決勝トーナメントに進出し、新たな歴史をつくりあげることができます。





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■日本代表、オランダに惜敗

 日本代表のワールドカップ第二戦、対オランダ戦がダーバンで行われ、日本は0-1で惜敗しました。

オランダ代表は、欧州チャンピオンズリーグで優勝したインテルで司令塔をつとめるスナイデルや、準優勝チーム・バイエルンのサイドアタッカー・ロッベンに代表されるように世界のスター選手がそろった強豪です。

残念ながら日本より格上のチームということは認めざるを得ないですし、0-1という結果は順当でした。

カメルーン対デンマークの結果はまだわかりませんが、デンマークがオランダに2点差で敗れていることを考えると、この試合で勝ち点が取れなかったのはとても残念でしたが、日本代表は自分達ができることを精一杯やったと思います。

 それでは試合を振りかえってみます。

前半はオランダが圧倒的にボールを支配し、日本を押しこむ展開。

しかしながらダーバンの気候が蒸し暑かったのかそれとも日本のカウンターを恐れていたのか、オランダの動きはいかにも重たそうで100%の状態ではありませんでした。

日本もコンパクトな陣形で守備ブロックをつくり、危険なエリアでオランダに決定的な仕事をさせず、オランダはボールは長時間保持するもののシュートは少なかったです。

前半、日本の辛抱強い守備がとても良かったと思います。

9分、スナイデルのFKはゴール上へ外れます。

11分、左サイドでパスを受けた長友が切れこんでミドルシュート!惜しくもゴール右へ外れます。

13分、ファンデルファールトのFKは闘莉王がクリア。

25分を過ぎると攻め疲れたのかオランダの運動量が減り、前線での動きも少なくなって攻撃がうまくいかない様子。

このあたりから日本も少しづつ攻撃できるようになります。

36分、遠藤のFKに闘莉王がゴール前で競り勝ちますがヘディングシュートは外れました。

37分、オランダのゴール前で本田・遠藤とつながって最後は松井が受けましたがトラップミス、しかしバイタルエリアから強引に打ったミドルシュートはGK正面。

ロスタイム、ファンデルファールトがゴール前でバウンドする嫌なミドルシュートを打ちますが、GK川島が丁寧にキャッチ。

 後半キックオフ。

オランダは控え室で監督からカツが入ったのか、再び攻勢に出てきます。

日本は前半で「オランダ相手でもいける!」という手応えがあったせいか、後半の入り方がやや浮ついていたようでした。

8分、相手の強いクロスを闘莉王がクリア、これを拾ったオランダの選手がバックパスし、フリーになったスナイデルが強烈なミドルを打ちます。GK川島はよく手に当てましたが不運にもボールは日本ゴールへ吸いこまれてしまいました。

後半立ち上がりの嫌な時間帯で、絶対にやりたくない先制点を与えてしまいました。

先制したオランダは自陣に引いて、慎重に勝ち点3を確保する戦術に変更します。

それに対し日本が同点に追いつこうと攻める展開。

11分、ピッチ中央へ切れこんで放った大久保のシュートはGKがキャッチ。

20分、再び大久保がピッチ中央からロングシュートを放ちますがクロスバーの上。

日本代表が同点にするべく前掛かりになったために、後半25分すぎからチーム陣形が間延びをしはじめます。

そこをオランダがカウンターで突いて、いつ失点してもおかしくない状態に。

ファンマルヴァイク監督は27分にエリア、38分にアフェライと攻撃の選手を投入し、オランダはあまり人数をかけずに2点目3点目を取って試合を決めてしまおうともくろみます。

40分、オランダのカウンターからアフェライへスルーパス、GKと一対一の決定的な場面は川島が危うくセーブ!!

43分、またしても日本のウラをオランダに突かれてアフェライがシュート、川島にあたって後ろへこぼれたところをゴールラインぎりぎりで中澤がクリアするも蹴りそこね、最後は闘莉王がクリアしてCKへ逃れます。

45分、闘莉王が頭で落としたボールを岡崎が拾ってシュート、残念ながらクロスバーの上。

そしてタイムアップ。

日本は強豪オランダ相手に善戦したものの、0-1で惜敗という結果になりました。

 それでは試合内容を分析します。

まず守備からですが、この前のカメルーン戦からさらに進歩していました。

カメルーン戦はコンパクトな守備陣形が前半45分しか続かなかったので、後半はカメルーンの怒涛の攻撃に押されっぱなしになって、反撃の糸口がぜんぜんつかめませんでした。

しかし今回のオランダ戦は、後半25分過ぎまでコンパクトな守備陣形を維持することができ、特に前半の45分間はオランダに攻撃らしい攻撃をやらせませんでした。

DFとMFの二つのラインでブロックをつくり、その二つのラインの間に危険なタテパスが入ったところで相手に自由にやらせないような守備がとても良かったです。

前半はよく辛抱したと思います。

MFのラインがDFラインに吸収されることもほとんどなく、DFとMFの二つのラインを大部分の時間維持できていました。DFラインも勇気をもって押し上げるべきところは押し上げていましたね。

惜しむらくは後半立ち上がり、前半戦を終えて「オランダ相手でもやれる。攻撃だってある程度できるじゃないか!」という強い手応えをつかんだせいでしょうか、なんとなく浮ついた感じで試合に入ってしまい集中力をやや欠いていたようでした。

わずか数mですがDFとMFのラインが微妙に広がっていた感じでしたし、先制点を許したシーンではスナイデルをあの瞬間はまったくのフリーにしてしまいました。

このブログでバイタルエリアで前を向いたスナイデルのミドルシュートは要警戒だと何度も言ってきたわけですが、やはりやられてしまいました。

日本は同点にするためにここから反撃に出ますが、後半25分すぎからチーム陣形が間延びし、両センターバックの前のスペースがだんだん空いてきて危険な形となりました。

そのためオランダに三回ぐらい決定的な得点チャンスを与えてしまい、無失点で済んだのは幸運以外の何ものでもありませんでした。

同じグループのもう一試合カメルーン対デンマークの結果がどうなるかわかりませんし、オランダに1点差負けという結果が十分だったかどうかはわかりません。

2点目3点目を失うリスクをおかしても同点ゴールと勝ち点1を取りに行くか、それとも1点差のままで試合を終わらせてデンマークより得失点差で2上回る状態を保つべきかは難しい判断です。

もう少しで同点ゴールに手が届きそうなので総攻撃をかけたい気持ちはよくわかります。

しかし日本が大量失点差で負ければ、これから試合に臨むデンマークの心理的負担が軽くなってしまいますし、それがカメルーン対デンマーク戦の結果に影響を与える可能性もあります。

後半30分ぐらいからあそこまで失点の危険をおかして総攻撃をかけるという選択はどうだったのか疑問です。

少なくとも、コンパクトな陣形を維持してDFラインとMFラインの間に広いスペースを空けることだけは避け、できるだけ失点の可能性を減少させた上で同点ゴールを奪いに行く作戦をとるべきだったと思います。

目の前のオランダ戦だけでなく、グループリーグ三試合をトータルで考えて日本の決勝トーナメント進出の可能性を高めるためにはどうすれば良いのかを考えて選手はプレーをして欲しいです。

このことは今後ワールドカップで良い成績を残すためにも、日本サッカー界全体の教訓とするべきでしょう。

ともかく1点差負けという結果は幸運でもありましたし、選手は体を張ってよく守ったと思います。

 続いて攻撃ですが、選手同士の連動性があまりよくなく、効果的な攻撃の組み立てができていないです。

まあオランダ相手ですからやむをえないところはありますが、カメルーン戦でもカメルーンのパス成功率71%に対して日本は59%というデータが出ていて、この試合も効果的にパスがつながっていないように思われます。

味方のボール保持者に対して周りの選手が足を止めて敵選手の影にいるためにパスがつながらないシーンを見かけます。

特に交代で入った選手は相手のバイタルエリアで効果的に動いて、パスコースやスペースをつくってあげないとチャンスが生まれません。

前線で足を止めずに相手DFが自分についてきたら動く、またついてきたら動くということを絶えず繰り返して、フリーになり続けることが重要です。

また、ボール保持者もいったんボールを長時間キープしてどこへパスを出すか考えてから出す、という日本のサッカー選手にありがちな悪い習慣がしばしば顔をのぞかせます。

象徴的だったのは後半32分、交代で入った中村俊選手が3秒ぐらいゆったりとドリブルしてどこへパスを出すか考えているうちに、後ろから来たオランダの選手にボールを奪われて逆襲を食らったシーン。

ブブゼラで味方の「後ろから来ている」という指示が聞こえないのはわかりきったことですし、このレベルの相手に何秒もボールを持ってトロトロドリブルしていたら奪われるのは当り前。

中村俊選手は特別フィジカルが弱いことをよく自覚して、当りに強いオランダの選手が体を寄せてくる前に判断よくパスをはたいてしまわないといけません。

シュートを少なくともワクに行かせる技術ももっともっと改善する必要があります。

 オランダから勝ち点が取れなかったことは非常に悔しいですが、1点差での負けは最善を尽くした結果と言えますし、選手は胸を張っていいと思います。

試合内容も守備面で引き続き改善が見られます。

攻撃面はもっと連動性を高めて欲しいです。

そして攻守両面で重要なのは、やはり90分間チーム陣形をコンパクトに維持し続けることです。

それではカメルーン対デンマークの試合結果が日本の決勝トーナメント進出に有利なものとなることを祈ります。


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    2010.6.19 モーゼスマヒダ・スタジアム(ダーバン)


      オランダ   1  -  0   日本


    スナイデル '53



   GK ステケレンブルク       GK 川島

   DF ファンデルヴィール      DF 駒野
     ハイティンハ           中澤
     マタイセン            闘莉王
     ファンブロンクホルスト      長友

   MF ファンボメル         MF 阿部
     デヨング             長谷部
     スナイデル           (岡崎 77)
    (アフェライ 83)         遠藤
                      松井
   FW ファンデルファールト      (中村俊 64)
    (エリア 72)           大久保
     カイト             (玉田 77)
     ファンペルシー
    (フンテラール 88)      FW 本田





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■オランダ戦迫る!

 いよいよオランダ戦が日本時間19日夜に迫ってきました。

オランダ対策については既に書いたので繰り返しませんし、オランダが実際どう出てくるのかもわかりません。

一つ言えることは、絶対に早い時間に先制点をやってはいけないということです。

オランダは日本に当り前のように勝利して2連勝で決勝トーナメント進出を決めてしまい、優勝するために最終戦は主力メンバーを休ませたいはずです。

だから試合を決定づける先制点が欲しいはずです。
それも大量得点勝ちが望めるできるだけ早い時間に。

逆になかなか点が取れずにオランダの選手達がイライラしだしてラフプレーに走るように仕向ければ、こちらのペースでしょう。

日本はできるかぎり相手に先制点をやらないような試合運びをするとともに、相手が攻撃に専念できないようオランダがヒヤッとするような効果的な反撃を仕掛ける必要があります。

もし日本が先制点を取れれば、虚を突かれたオランダは驚き相当焦るはずです。

焦らせることによってシュートやパス・選手同士の連携が少しづつずれていき、オランダの攻撃が正確性を欠いていくようにしたいものです。

残り時間が少なくなればなるほどオランダの焦りは強くなり、プレーは不正確なものになっていくでしょう。

日本の勝利なら最高の結果ですし、引き分けでも大変素晴らしいですね。

仮に先制されても、動揺して立て続けに失点しないように日本の選手は強い精神を持たなくてはいけません。

これは一つの考えかたですが、1点差であればこれまで通り点を許さないような守備をしつつ、あまり人数をかけないで同点を狙っていくというやり方もあると思います。

カメルーン戦と同様、個の能力で劣勢な部分はあっても、積極的で前向きな精神力と体を張ったプレー・運動量でカバーし、イレブンが一つの組織としてまとまり一致団結してオランダに臆することなく立ち向かって行って欲しいです。

南アフリカはオランダ系移民が多いですし、本国からの応援団も加わってスタンドはオレンジ色に染まるかもしれません。

そうしたこともあらかじめ想定に入れて準備をするべきでしょう。

どれだけ日本サッカー協会が高額のファイトマネーを積んでもアウェーに遠征しても、本気のオランダと戦えるチャンスなんてワールドカップ以外にありません。

日本代表の選手達は選ばれたフットボーラーだけに許されるそのぜいたくな時間を90分間楽しんで欲しいですし、失敗を恐れず勇気を持って全力を出しきって欲しいと思います。




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■日本代表、泥にまみれてつかんだ勝利

 日本代表のワールドカップ初戦である対カメルーン戦が行われ、日本が1-0で勝利しました。

対戦相手のカメルーン代表は、イタリア・ドイツ・スペイン・イングランドといった欧州主要リーグでプレーする選手がほとんどのチームです。

近年コートジボアールやガーナにやや遅れをとっていますが、アフリカをリードする国の一つでしょう。

ここのところ調子が出ない日本よりカメルーンの方が実力はやや上と評価していましたが、1-0で日本の勝利という結果は素晴らしいものでした。

前回投稿した記事で「勝負はやってみないとわからない」と書いたのですが、本当にその通りになりました。

これで日本代表は中立地で開催されたW杯で初勝利をあげたことになります。

 それでは試合を振り返ってみましょう。

立ちあがりは両チームとも非常に慎重なゲーム運びでした。

日本はもうちょっとカメルーンに押し込まれるかと思ったのですが、お互いが相手の出方をうかがうジリジリと緊迫した展開が続きます。

日本代表はコンパクトな陣形を保てたおかげでカメルーンに決定的なパスを許さず、攻撃でもそこそこパスをまわせていたと思います。

8分、スルーパスを受けたウェボがゴール前へ折り返し、チュポモーティングに渡りそうになりますが、トラップミスに救われます。

21分、日本のクロスボールをGKが落とし、本田がつめるがその前にオフサイド判定。

30分、カメルーンのFKをGK川島がキャッチしにいくも背中から落ちた時にボールをこぼしてしまい、あわてて長友がクリアします。

38分、左サイドでパスをつながれて最後はエノーがミドルシュートを放ちますが、川島の正面。

この試合、日本の攻撃は連動性が高かったとは言えないものでしたが、数少ないパスがつながった好機を日本がものにします。

39分、本田→遠藤→松井とパスがつながって、松井がインサイドへドリブルで切れこんでペナルティエリア角からクロス、これがプライム・スコアリング・エリアで待っていた本田にピタリとあって、ワントラップから落ち着いてシュート、日本が待望の先制点をあげます。

 後半、先制されたカメルーンが攻勢に出ます。

日本代表は5分前後から徐々にチーム陣形が間延びをしはじめ、DF-MF-FWの三つのラインの間に広いスペースが空きはじめると、そこをカメルーンに使われて押される一方となってしまいます。

4分、右サイドを突破したエトオがペナルティエリアからプルバックのパス、これをチュポモーティングがシュートするも危うく日本ゴールをかすめていきます。

この後カメルーンの怒涛の攻撃が続きますが、ドタバタしながらも泥臭く体を張った日本がゴールを許さず。

30分すぎから、日本のMF三人がDFラインに吸収されてしまいボールをまったくつなげなくなる非常に危険な形になり、ロングボールを前線に放りこむカメルーンのゴリゴリのパワープレーをまともに受けてしまいます。

それでも37分、日本の数少ない攻撃のチャンスで長谷部のミドルシュートを相手GKがはじき、これを拾った岡崎のシュートは惜しくもポストに当たって外れます。

40分、日本のMFがDFラインに吸収されて一列になってしまい、ポッカリと空いたバイタルエリアからムビアが強烈なミドルシュート!ポストに当たってはねかえったボールを再びカメルーンにシュートされますが何とか防ぎます。

ロスタイム、カメルーンのクロスがウェボに当たって日本ゴールへ転がるも、川島がナイスセーブ!

そしてタイムアップ。日本が強豪カメルーンから価値ある一勝をあげました。

 それでは試合内容を見ていきましょう。

この試合の勝敗を分けたものは組織の力でした。

日本はチーム組織が一つにまとまっていました。

セリエAやブンデスリーガ、プレミアリーグでプレーする選手をずらりとそろえ、個の能力で日本を上回っていたカメルーンですが、チームが一つにまとまりきれていないように見えました。 

世界的スター選手のエトオがなかなかチームにフィットせず、テストマッチのスロバキア戦・セルビア戦と本大会に近づくにつれてどんどんチーム状態が悪化しているようでしたし、カメルーンは攻撃の中心選手の一人、アーセナルのA.ソングが日本戦に出てこず、監督と選手あるいは選手同士でゴタゴタがあったのかもしれません。

そのせいかカメルーンは非常に神経質になっていたみたいで、試合の前半、日本の出方をずっとうかがているような消極的なプレーをしてしまい、そうこうしているうちに日本の先制点を食らって非常に苦しい立場に追い込まれてしまいました。

もしかしたら、いつものように日本が間延びしたまま前がかりになったところをカウンターで突いて得点し、そのまま逃げ切ってしまうゲームプランだったのかもしれませんが。

後半のカメルーンが本来の姿だと思いますが、前半ずっと消極的なプレーをしてしまったことを相当後悔したのではないでしょうか。逆にカメルーンの失敗を見たオランダやデンマークは、試合の前半からガンガン日本を攻めたててくる可能性があり注意が必要です。

サッカーとは組織のまとまりが勝敗に大きく影響する団体競技であり、いつもこのブログで言っているように「弱気で消極的なチームや選手が罰を受けるスポーツ」だと再認識させられました。

組織力をアップさせれば個の能力で多少劣っていても、試合に勝つ可能性を高めることができるということを、日本サッカー界全体の貴重な教訓として絶対に忘れないで欲しいです。

 次に守備面を見ていきますが、コートジボアールとのテストマッチの記事で岡田ジャパンはオーソドックスなゾーンディフェンスに変更したらどうかと提案したのですが、この試合は普通のゾーンディフェンスを採用していたみたいで、そのおかげで守備がまずまず安定してきたと思います。

まだぎこちないところや経験不足なところも多々見受けられますが、相手のシュートやクロス、ラストパスを選手が体を張って止めるなど、気持ちがこもった積極的な守備でカバーしていました。素晴らしいです。

DFラインからトップまでをコンパクトに保つということも、イングランド戦やコートジボアール戦では前半20分ぐらいしか続かなかったのですが、この試合は前半45分まで続けることができて、そのことも勝利に大きく貢献しました。

ボランチの遠藤選手も練習試合の録画を見て、長谷部選手と一緒にバックラインとの距離に注意していたとコメントしていましたが、大きな進歩だと思います。

しかし、試合の後半から陣形がだんだん間延びしていって、選手がバラけてしまうにつれてボールをまったく拾えなくなってしまいました。

後半に日本代表がゲームのコントロールを失いカメルーンの猛攻を許した原因はここにありますが、チーム陣形をコンパクトに保つということを90分間続けられるように練習しないといけません。

試合後半になるとスタミナ的に苦しいのでしょうが、DF・MF・FW三つのラインのそれぞれの距離をセンターサークルの半分(およそ10m)に保ち続けることが不可欠です。

さらに後半30分すぎからMF三人が下がりすぎてDFラインに吸収されて一つのラインになってしまい、バイタルエリアをポッカリと空けてしまうというもっとも危険な形をつくってしまいました。

そこを使われて後半40分にムビアの強烈なミドルシュートを食らってしまったわけですが、あれがゴールポストの外側に当たって跳ね返ってくれたのは大変ラッキーでした。(下図 クリックで拡大)


吸収


失点が怖いのでしょうけれど日本のDF陣も試合の後半、最終ラインをペナルティエリアの中まで下げていましたが、これも大変危険な形です。

こうなるといつやられてもおかしくない形でしたが、体を張って相手のシュートやパスを止める日本の選手の気合の入った積極的な守備が日本に幸運をもたらしてくれました。

ですが、いつも幸運が味方してくれるとは限りません。

カメルーンは組織力が低く、ロングボールを単純に放りこむ確率の低いパワープレーに来てくれて助かりましたが、オランダやデンマークはカメルーンよりはるかに上の組織力を持つチームであり、こちらがコンパクトな陣形をつくっていても人と人の間を正確なショートパスでつないで相手を崩すことができるチームです。

チームが間延びしていたり、MF陣がDFラインに吸収されたりするとなお危険です。
かなりの確率でやられると思った方が良いでしょう。

しつこいようですが、陣形を90分間コンパクトに保ちつづけDF・MF・FWの三つのラインのそれぞれの距離を10m以内に保ち続けることが死活的に重要です。

相手がボールを下げるたびにDFラインは勇気を持って押し上げて、どんなに下がってもペナルティエリアの直前でふんばって欲しいです。

 他に気づいた点としては、カメルーンがパワープレーをするためにGKがドリブルをしてかなり前進してからロングボールを蹴っていましたが、日本のFWが相手GKにプレスをかけてペナルティエリアから出て来れないようにしないといけません。

本田選手はもう動けなくなっていましたから、交代出場の岡崎選手にそういう役目をやって欲しかったのですが、ドリブルして前進してきた相手GKを振り向きもせず自陣に向かって走っていました。

自分がどう行動すれば相手が一番嫌がるのか、よく考えてプレーして欲しいです。

 攻撃面では、数少ないチャンスから貴重なゴールにつなげることができました。

ペナルティエリアの角あたりでクロスすれば、得点するチャンスが高まります。

その点、松井選手のインに切れこむドリブルは大変良かったですね。

本田選手はワントラップから確実にシュートを決めたのも素晴らしいですが、クロスを受ける動きも素晴らしいです。

本田選手はファーポストの前でボールが来るのを待っていてゴールを決めることが多いですが、ファーポスト前というのはしばしば守備側が注意を怠るエリアであり、得点の可能性が高い場所なんですね。

リンクで示したとおりイングランドの戦術書では「プライム・スコアリング・エリア」と呼ばれますが、ヨーロッパでもまれているうちに本田選手は感覚的にそのエリアを上手に使うことを覚えたのかもしれません。

日本のすべてのサッカー少年・少女はこうしたプレーをお手本にするべきです。(逆に守備の選手はファーポスト側に気をつけろということですね)

本田選手はMFながら1試合当たりの得点率はかなり高いはずです。

代表戦のデータを見ると、日本の攻撃的MFの年間ゴール数は守備の要・センターバックとだいたい同じなんですね。

それについて普段から不満に思っていたのですが、「自分は良いパスを出せればそれで満足」で終わっていた日本人選手の殻をやぶって、貪欲にゴールを奪うことを求め続ける本田選手のメンタリティーはとても素晴らしいと思います。

 しかしながら、日本代表はまだまだ連動性の高い攻撃ができているとは言えません。

ボールを持ってじっくり待っていればチャンスがくると考えるのではなく、自分の前にフリーの味方がいるならパスが出せる最初のチャンスに出してしまうことです。

パスを受けた選手がさらに相手ゴールに近いところへパスが出せれば良し、それが無理なら戻せば良いだけのこと。

周囲の選手もボール保持者が一人で何とかするのを見ているのではなく、チーム陣形をコンパクトに保ったままサポートしていくつものパスコースをつくってやる。

リズムの良いパスまわしが良い攻撃をつくっていきます。

カメルーン戦の後半に日本がほとんど攻撃を仕掛けられなくなったのは、やはりチームが間延びして選手一人一人の距離が離れすぎたからですね。

攻撃も守備も陣形をコンパクトに保つことが必要不可欠です。

さらにクロスばかりではなくてミドルシュートがもっともっと欲しいです。

 日本のワールドカップ初戦となったカメルーン戦、日本の試合内容はスペクタクルなサッカーとはかけ離れたとても泥臭いものでしたが、1-0で勝利という結果はとても良かったと思います。

日本はチームが一つにまとまり、経験のなさを選手個々の気持ちと体を張った積極的なプレーでカバーして、泥臭く泥臭く勝利をたぐり寄せました。

ですが、まだ日本は何も手に入れたわけではありません。
リベンジを果たしたわけでもありません。

次のオランダ戦に向けた準備に全力をあげて欲しいと思います。

デンマークが0-2でオランダに敗れましたが、デンマークにとってはそう悪い結果ではありません。

もし日本がオランダに3点差以上で敗れたり、デンマークがカメルーンに2点差以上をつけて勝利すると、がぜんデンマークが有利になってしまいます。

そうなるとデンマークは最終戦で日本と引き分ければ得失点差で決勝トーナメント行きが決まりますし、勝たなければいけない日本が前がかりになれば、守備を固めてカウンター狙いのデンマークが試合を有利に進められるでしょう。

もちろん不屈のライオン(=カメルーン)はまだ死んだわけではありません。

「オランダ戦は捨てゲーム」などと言う人がいますがとんでもないことです。

できれば勝利したいですし、引き分けられれば日本が決勝トーナメント進出にぐっと近づきますが、デンマーク対カメルーン戦の結果はどうしようもないのですから、どんなに最悪でもオランダ戦は1点差負けに踏みとどまらないといけません。

オランダ戦の開催地であるダーバンですが、海沿いの低地の上にインド洋の温かい海流の影響で冬でも温暖な場所のようです。

昼間のキックオフということもあり、好天に恵まれれば意外と気温が高くなる可能性もあります。

それが吉と出るかどうかはわかりませんが...。

日本代表はカメルーン戦でみつかった課題をきちっと修正して、90分間全力でオランダとファイトしなくてはいけません。

人事を尽くして天命を待つです。

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2010.6.14 フリーステートスタジアム(ブルームフォンテーン)


       日本  1  -  0  カメルーン

     
      本田 '39


     GK 川島         GK ハミドゥ

     DF 長友         DF アスエコット
       闘莉王          ンクル
       中澤           バソング
       駒野           ムビア

     MF 阿部         MF マクン
       遠藤          (ジェレミ 75)
       長谷部          エノー
      (稲本 88)        マティプ
       松井          (エマナ 63)
      (岡崎 69)       
       大久保        FW エトオ
      (矢野 82)        チュポモーティング
                   (イドリスー 75) 
     FW 本田           ウェボ





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■ワールドカップ南アフリカ大会開幕

 先日コメント欄に書きこんでくださった方から「このブログを見てサッカーが面白いと思えるようになった」とおっしゃって頂き本当に嬉しいですね。

初めはでたらめにボールを蹴り合っているようにしか見えないかもしれませんが、サッカー戦術のことを知ると一つ一つのプレーにちゃんと意図があることがわかるようになります。(少なくとも一流のチーム同士では)

ヨーロッパでサッカーはしばしばチェスにたとえられますが、相手に勝つために攻守にわたってどういう布陣をひいてどういう風に動かしていけば最適なのかを考える頭脳戦でもあります。

将棋でたとえるなら、強いチームは飛車や角を3枚も4枚も持っていて、弱いチームは王様のほかは全部歩なんてことも。

そこで弱いチームがどうやったら強いチームに勝てるか知恵をしぼるのも監督業の醍醐味なのかもしれません。たいていは勝てないんですけどね。

「中澤選手や本田選手が足が遅いのではないか?」というご指摘ですが、中澤選手にはベテランらしい読みでカバーして欲しいですね。

本田選手の足が特別遅いかどうかわかりませんが、ミドルサードで余計なドリブルをしてボールを奪われるなど判断の遅さの方が私は気になります。

もう一人の方へのお返事としては、カタールやバーレーンより攻撃力が強いチームと対戦すると失点が多くなり、今までの間延びしたまま前へ前へとプレスをかけて相手を押しこんで行くサッカーができなくなったというのが現状ではないでしょうか。

よってコンパクトな陣形を維持したまま相手の強弱によって最終ラインを置く位置を変えるようなチーム戦術を構築することが解決策になると個人的には思います。

 それでは本題に入りますが、いよいよワールドカップ南アフリカ大会が開幕します。

私も一生懸命日本代表を応援したいと思いますが、まずは1勝を目標にしてその積み重ねが日本代表の決勝トーナメント進出達成につながることを祈ります。

そこでオランダ対ハンガリー戦、オランダ対ガーナ戦(前半のみ)、デンマーク対セネガル、カメルーン対スロバキア戦(前半のみ)を観て、日本と同組に入ったライバル国の戦力をチェックしてみました。(ABCの3段階評価)


      個の能力 チームの組織力

オランダ    A     A

デンマーク   B     A

カメルーン   B     B

日本     B~C    B~C 


個人的見解ではこうなります。現在の日本代表はイングランド戦みたいに好不調の波が激しすぎるので評価が難しいです。

ただ、実際の順位がこの通りになるかどうかは試合をやってみないとわかりません。

ここまで来たら戦力差がどうこうじゃなくて選手一人一人の積極性・やる気・モチベーションの問題だと思います。

サッカーはモチベーションで結果が大きく左右されるスポーツです。

ここが勝負の分かれ目というところでどれだけ相手より多く良質な動きができるか、もう少しで相手ゴールにボールを押しこめるという勝負どころで選手が目の色をかえて相手ゴールに殺到できるか、相手のシュートに体を張ってそれを防ぐことができるかどうかで日本代表の歴史が大きく変わることでしょう。

個の能力や組織力をCからB、BからAにアップさせ世界の日本に対する評価を塗り替えるのは、実際にワールドカップのピッチに立った日本代表の23人の選手達です。

 攻撃でも守備でも11人が協力しやすくするためにチーム陣形をコンパクトにすること。

陣形を崩してまで無理して相手からボールを奪おうとする必要はありませんが、コンパクトな陣形を保ったまま相手のボール保持者にプレスをかけて自由に攻撃はさせない、マイボールになったらやはりコンパクトな陣形を保って選手みんなが協力し連動して攻めることが勝利への第一歩です。

しばらく勝利していないのでつい弱気になってしまうかもしれませんが、「相手に押しこまれるに決まっている」と決めつけてキックオフからベタ引きは禁物。

相手の出方を慎重にうかがいながらも、いける時は積極的にディフェンスラインを押し上げて攻勢に出なくてはいけません。

そうしないと90分ずっと守って終わってしまったということになってしまいます。

もちろんW杯では格上のチームが多いですから、相手に攻められる時間が長くなるかもしれません。

しかし日本が焦る必要はまったくありません。

サッカーはどんなに攻められてもボールを回されても、点さえ取られなければ負けることはありません。

このことをよく頭に叩き込んで、たとえ攻められる時間が長くても神経を図太くしてずうずうしくプレーして欲しいと思います。

日本代表はアジア内においては長時間攻められることが少ないだけに、いざそうなると日本人選手は不安になったり焦ったりもう負けが決まったような気分になってしまいがちです。

そうした精神的落ち込みから相手の攻撃に耐えきれなくなって実際にゴールを許したり、マイボールになっても守から攻への切り替えが遅くなって、攻撃から鋭さが失われているように見えます。

最近相手に攻められる時間が長い試合が多いせいか、岡田監督は「攻撃の推進力が足りない」と言っていますが、そのことが原因ではないでしょうか。

ブラジルの名選手がサッカーを「寸足らずの毛布」にたとえたように、こちらがちゃんと陣形をコンパクトにして必要以上に自陣にベッタリ引かなければ、相手に攻撃され押しこまれている時というのは実はカウンターアタックから日本が得点するチャンスなのです。

攻められる時間が長いからといって精神的にブルーになる必要はありません。虎視眈々と得点チャンスを狙い、攻撃的な守備を心がけるべきです。

カウンターと言えば、遠藤選手などが「カウンターの時は一発のパスでウラへ」とコメントしています。

イングランド戦の前半、カウンターから大久保選手がウラへ抜け出してそこへ阿部選手が浮き球のパスを出しましたが、大久保選手より背の高いG.ジョンソンにヘッドでクリアされてカウンターが決まりませんでした。

もしこれがグラウンダーのパスだったら、ジョンソンの脇をパスが抜けたらもう彼は追いつけなかったでしょう。

浮き球の一発のパスが成功するケースもありますが、カウンターの成功率を上げたかったらなるべくグラウンダーのスルーパスでちょっとだけ手数をかけてやって最終ラインを突破すべきでしょう。

そのためにはカウンターを仕掛けるFWや二列目の選手がいつマイボールになっても良いように、相手のディフェンダーの配置を見ながらカウンターを仕掛けるのに最適なポジショニングをとっておきます。

そしてカウンターを仕掛ける3人なり4人なりでやりたいカウンター攻撃のイメージを共有しないといけません。

さらにカウンターを仕掛ける時、ボールを奪った選手がまず最初にボールを預けるのは誰かあらかじめ決めておきます。(右サイドでボールを奪ったらまず右ハーフを探してすぐボールを預けるとか)

こうすればカウンター攻撃がスムーズに仕掛けられることでしょう。

本音ではオランダもデンマークもカメルーンも「このグループで日本が最弱であり勝って当り前。日本戦で勝ち点3が取れないチームが決勝トーナメント行きを逃す」と考えているはずです。

つまり「ゴールしなければならない、勝たなければいけない」という重いプレッシャーを背負っているのは相手の方なのです。

相手はゴールするために「上半身に毛布をかけて、足をさらけ出す」はずです。

そこに日本がつけこむスキがあり、勝機があるということになります。

ちょっと攻められる時間が長かったからといって日本の選手が意気消沈し、マイボールになっても守から攻への切り替えが遅ければ、みすみす得点チャンスを逃してしまいます。

 ただテストマッチを見た感じでは、100%ベストの状態のオランダ代表はまさに悪魔のようなチームです。

エンスヘーデで日本と対戦した時とはまったく別のチームに仕上がっていますし、このまえのイングランドよりもレベルは上です。(あの時のイングランドは不調だったのかも)

日本がオランダとまともにがっぷり四つに組んだら、4~6点差の大敗を喫する可能性があります。

オランダに勝てればこれ以上言うことはありませんし、引き分けでも勝ちに等しい大健闘と言えます。

しかし5点も6点も取られて負けてしまえば、日本の決勝トーナメント進出が非常に難しくなってしまいます。

どんなに悪くとも1点差負けぐらいにしておかなくてはなりません。

オランダの4-2-1-3はセンターフォワードにファンペルシーという強力な選手がいて、両ウイングのロッベンやカイトも脅威です。

そしてトップ下のスナイデルはバイタルエリアで前を向いたら、自分の前に相手センターバックがいてもお構いなしにミドルシュートをゴールへ叩きこむ力を持っています。

その正確性と破壊力はパクチソンをまったく問題にしません。

ミドルシュートだけではなく、ワントップや両ウイングへのスルーパスも要注意です。

これに両サイドバックがからんでくるのがオランダの主要な攻撃パターンでしょう。

攻撃力が高いオランダ対策としてチャンピオンズリーグで優勝したインテルのモウリーニョ監督のシステムが参考になります。

4バックのゾーンディフェンスでは、相手がサイドへボールを展開したら4バックがボールサイドへスライドして守るのが基本ですが、相手チームの3トップが非常に強力な場合、二枚のセンターバック(CB)がサイドへずれるとゴール前がやや手薄になります。

チャンピオンズリーグ決勝のインテル対バイエルン戦を例にあげると(下図 クリックで拡大)、バイエルンにはロッベンという超強力なサイドハーフがいて、ドリブル能力の高いロッベンは戦いを有利にするためサイドいっぱいまで開きます。

インテルのサイドバック(SB)は絶対にロッベンをフリーにはできませんから、やはりサイドいっぱいまで引きずり出されてしまいます。(1)

インテル

しかし、ロッベンについたSBにインテルのCBがスライドしてついていくとゴール前が手薄になって、バイエルンのやはり強力なセンターフォワード・オリッチをつかまえきれなくなると嫌なのでしょう、インテルのCB二枚はボールサイドにあまりスライドしないのが特徴です。

するとインテルのSBとCBの間に大きなスペースが空きます。(2)

そこでボランチ(DM)二枚のうち、ボールサイドの選手がそのスペースを埋めるのがモウリーニョのインテルでは約束事になっているようです。(3)

そしてロッベンに対してSBとDMの二枚で突破を妨害し、ロッベンがたまらずボールを中央へパスしたら、DMは大急ぎで本来のポジションに戻って、バイエルンの2トップに正確なパスが入らないようバイタルエリアを狭めていました。(4)

中央へはパスの出しどころがないと見て、バイエルンのMFが再びサイドのロッベンへパスすると、インテルのDMは再びSBの後ろのスペースをケアするためにカバーのポジションに入ります。

DMにかなり負担のかかる守備システムですが、インテルの両DMカンビアッソとサネッティはうまくこなしていました。さすがです。

これを日本代表にも取り入れることはできないものかと思います。

ただしカンビアッソのいない日本代表がオランダを相手にDM二枚で同じシステムをやるのはちょっと無理かもしれません。(下図)


オランダ対策


システムは4-3-2-1もしくは4-3-1-2です。(図ではDMが5人いるように見えますが3人です)

日本のDM三枚のうち、一人は基本的にバイタルエリア前から動かず、スナイデルのスルーパスやミドルシュートを防ぎます。

オランダの両ウイングにはSBがつきますが、CB二枚はインテルのようにボールサイドへスライドせず相手のセンターフォワードをみます。

そして両ウイングにボールが渡った時は、残りのDMのうちボールサイドの選手がSBの後ろのスペースに入ってカバーし、相手のウイングの突破(インでもアウトでも)を妨害します。

相手ウイングが突破をあきらめてボールを中央にいる選手へ戻したら、DMも元のポジションまで戻ります。

攻撃は前の三人もしくはボランチ一枚を加えた四人ぐらいでやるのが基本となりますが、時折オランダが胆を冷やすような鋭いカウンターアタックをしかけ、できればゴールしないと専守防衛で90分間はきついと思います。

やってみる価値はあると思いますがどうでしょうか。

ともかくオランダに1点でもリードされたからといって意気消沈して足を止めれば、大量失点負けまっしぐらです。

できれば勝利や引き分けが欲しいですが、どんなに悪くとも1点差負けに留めるため90分間最後まであきらめずにファイトしなくてはいけません。

 いろいろと書いてきましたが、ここまで来たら最後は選手一人一人の積極性・やる気・モチベーションです。

決勝トーナメントのことはひとまず忘れて、これまでのサッカー人生でやってきたことに自信を持って目の前の試合に勝つことに集中して欲しい。試合が終わったらぶっ倒れてもいいという覚悟で、積極的にボールにからんでいって欲しいと思います。

サッカーは、積極的で前向きなチーム・選手の方にボールと幸運が転がってくるものです。

今の日本代表には「谷間の世代」と呼ばれた選手も多いですが、このままそれを認めて引退していくのか。

それとも意地とプライドをかけて南アフリカで勝利をかちとり「谷間の世代」と言った人間を見返してやるか。

パクチソンみたいに外国の選手から名指しで「弱い」と言われて、それを認めておめおめ引き下がるのか。

それとも「日本は弱い」と馬鹿にした選手がいる国よりも南アフリカで良い成績を収めてリベンジを果たすか。

すべては選手しだい。

サポーターも、意地とプライドをかけて全力を出しきった日本代表を見たいはずです。

いよいよワールドカップ南アフリカ大会が開幕します。

さあ皆さん、楽しい楽しいサッカーの時間ですよ。




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■自分から手放してしまった希望

 ワールドカップ本番前、最後のテストマッチであるコートジボアール戦がスイスのシオンで開催され、日本は0-2で敗北しました。

日本とコートジボアールの戦力差は、日本のホームで引き分け、アウェーでコートジボアールの勝利程度と見ていました。

中立地で0-2の敗戦という結果は順当だったと思いますが、ゲームの内容は悪かったと思います。

 それでは試合を振り返っておきましょう。

試合は立ちあがりから地力に勝るコートジボアール優位に進みます。

前半13分、日本のゴール前でコートジボアールのフリーキック。
ドログバが蹴ったボールは壁でジャンプした日本の選手に当たってコースが変わり、ゴール前につめた相手選手についていった闘莉王に当たってまたしてもオウンゴール。

TV解説者は不運で片付けていましたが、確かにアンラッキーな面もあったと思いますがドログバがボールを蹴った時、闘莉王選手は相手選手の動きだけを見ていてボールをまったく見ていないようでした。

闘莉王選手が最後までボールから目を離さなければ、もしかしたらオウンゴールは避けられたかもしれません。

単なる不運で片付けてはいけないと思います。

16分、ハーフウェー付近でボールを受けたドログバに中澤がつめるが、ドログバはボールを浮かして中澤のウラへ。
これに闘莉王がタックルに行ってドログバと交錯。ドログバは負傷退場。

22分、中盤でボールを奪って日本のカウンターという場面。
長谷部のスルーパスにウラへ抜け出した岡崎が追いつけません。(オフサイドだったかも)

ここまで比較的コンパクトな布陣をつくれていた日本代表ですが、前半20分すぎからいつものように間延びしはじめます。

コートジボアールは先制したこともあり、ドログバの負傷退場を見せられて選手がケガを恐れたこともあってか、攻撃も守備もペースダウンして省エネモードとなります。

28分、コートジボアールはオフサイドラインをそろえないうかつな日本DFのウラへロングボールを放りこみ、ドゥンビアがウラへ抜け出すという単純なカウンター攻撃。シュートがクロスバーの上を超えていき命びろい。

後半、日本代表はメンバーを大幅に入れ替え。

これによってフォーメーションをコンパクトにするという意識は完全にリセットされ、日本代表は韓国戦以前の状態へ。

ただ、省エネモードに入ったコートジボアールも運動量が減って同じく間延び。
選手と選手の間にスペースができたことで日本がボールをある程度まわせるようになります。

5分、ゴール前のFKを中村俊が狙うもGKがキャッチ。

日本はある程度パスはまわせるようになりましたが、コートジボアールはバイタルエリア近くで日本に決定的な仕事はさせません。

時間だけが過ぎ去り、35分コートジボアールのセットプレーから、ゴール前につめたフリーのK.トゥーレに決められて0-2。

これをひっくりかえすことはできず、日本の敗北となりました。

 この後45分間の延長戦が行われ日本代表が1点を返しましたが、それは見ていないので代表Aマッチとして行われた前後半90分に限定して記事を書きたいと思います。

前回の記事で「試合開始からたった25分間しか続かなかったチーム陣形をコンパクトにするということを、90分・120分と持続することができるか。その成否に日本代表のすべてがかかっていると言っても過言ではないと思います」と書きました。

あれから4日間、練習がうまく行っただろうか?コートジボアール戦で少なくとも後半25分ぐらいまではコンパクトな陣形を保てるようになって欲しいと祈るような気持ちでした。

イングランド戦後、選手から敗戦の原因について的外れなコメントが続出して嫌な予感がしていたのですが、この試合でもコンパクトな陣形を保てたのは前半20分すぎまででした。

相手に押しこまれた時だけ、コンパクトな守備ブロックをつくるということは覚えたようですが、まだ相手がDFラインでボールをまわしている時やこちらが攻撃中であってもその状態を保つということができていません。

前半20分をすぎて、時たま思い出したようにつくるコンパクトな守備ブロックも、細かいところで選手の動き方が適切ではないので、不安定な守備による綱渡り状態でした。

まだまだ本番で計算できるものではありません。

カメルーン戦まで残された時間はたったの10日、スタメン組だけでもコンパクトなフォーメーションを90分間維持できるようにするため、テストマッチをやりながら実戦の中で憶えていくことでなんとか本番まで間に合わせなければならない状態だったのに、試合の後半からメンバーを大量に入れかえたためにスタメン組は貴重な練習時間を失い、間延びしっぱなしの日本代表にリセットされてしまいました。

岡田さんのこの采配はまったく理解できません。

わずか前半25分までだったけどコンパクトな陣形をつくれたので好ゲームができたというイングランド戦で見えた一筋の希望を、日本代表が自分から手放してしまったようでした。

 試合内容を見ていきましょう。

まず守備面ですが、内容は相変わらず悪いです。

このチームは「相手の攻撃に備えるため常に準備しておく」ということがまったくできていません

「相手の攻撃に備える」ということは試合終了のホイッスルが鳴るまで、今この瞬間相手にボールを奪われても即失点につながらないような体勢を常に整えておくということです。

そして相手にボールを奪われたら急いで自分のポジションに戻って4-2-3-1なり4-1-4-1なり、本来のフォーメーションをすみやかに回復するということです。

ところが、岡田ジャパンは攻撃時にボールを前へ運ぶに従ってDFラインを押し上げる時にオフサイドラインを揃えることさえしないので、前半28分みたいにロングボールのカウンター一発でやられそうになる。

攻撃の時はチーム全体のことはお構いなしに、フィールドプレーヤー10人が自分の好きな時に自分の好きな場所へ行ってしまいます。

センターバックが上がりボランチが上がりという「カミカゼ特攻サッカー」は相変わらず。

フィールドプレーヤーが前後左右に自由奔放にポジションチェンジして相手にボールを奪われてもすみやかに元のポジションに戻らないのでヒヤヒヤの連続。

こちらのバイタルエリアへ向かって相手選手がドリブルしているのに、阿部選手はその後ろを軽くジョギングしてついていくだけ。

相手はこちらの守備体勢が整うまで攻撃を待ってくれるとでも思っているのか、攻から守への切り替えが致命的に遅いです。

だからわざとではないにしても闘莉王選手がレイトタックルぎみにドログバと交錯するようなことが起こってしまいます。

 岡田さんの目指しているプレス守備の完成形とはいったいどういうものなのかご本人に聞いてみないとわかりませんが、結果が出ていませんし現時点でそれが完成しているようには見えません。

残念ですけどオーソドックスなゾーンディフェンスに戻すべきではないでしょうか。

かつてACミランやイタリア代表を指揮したアリゴ・サッキは、ゾーンディフェンスの失敗としていくつか例をあげています。

まずDFからトップまでが間延びすることでDF-ボランチ-二列目でつくるスリーラインのいずれかの間に、広いスペースをつくってしまうこと。(下図)


ゾーンディフェンス誤

(クリックで拡大 以下同様)
 

次にDF-ボランチ-二列目のそれぞれのラインを横にそろえないと、オフサイド崩れのような形で相手に簡単にパスを通されてしまうということ。(下図)


ゾーンディフェンス誤2


現在の日本代表の守備というのはこういう状態なんですね。
だから無失点に相手を抑えられないわけです。

以前、「このままだと韓国・イングランド・コートジボアールの3連戦で、日本代表は6~9失点しますよ」と予言した通りです。

前回の記事でもちらっと触れましたが、現代戦術におけるオーソドックスなゾーンディフェンスというのは、以下の通りです。

わかりやすいようにゾーンディフェンスの基本4-4-2を用いますが、まずDFとMFの間を10~15mのコンパクトな状態に保ち、相手が使えるスペースを限定してしまいます。

これによって自分達も余計な距離を走らなくて済みます。

次に相手がボールを前後左右させるのに応じてチーム全体で移動します。

そして陣形が整っていることを確認した上で相手のボール保持者が自分の担当ゾーンに入ってきた選手は軽くプレスをかけます。(今の岡田ジャパンの状態では軽くプレスをかけるにとどめ、無理して奪いにいくことは控えるべきでしょう)(下図)


ゾーンディフェンス


すぐ後ろの選手もついていきスペースを消します。

プレスをかけるために前へ出ていった選手の脇にいる選手は一緒にボールを奪いに行くのではなく、軽く寄せて(青線)味方のナナメ後方にポジショニングすることで、相手のボール保持者がドリブル突破(赤線の矢印)してきても応対できるように準備します。この一連の動きがすべての基本となります。

相手がパスでボールを中央寄りに動かした場合もやり方は一緒。(下図)


ゾーンディフェンス2


相手がサイドチェンジしたら、ボールが移動する間にすばやくチーム全体で逆サイドへスライドします。(下図)


ゾーンディフェンス3


こちらのMFラインを相手に突破されてしまった場合でもDFラインの対応の仕方は一緒ですね。(下図)


ゾーンディフェンス4


スペースを狭くし、ボール保持者にプレスをかけたセンターバックの両脇の選手がナナメ後方から適切にカバーに入っています。

相手がたまらずバックパスしたら、それと同じ距離だけ最終ラインを押し上げることを忘れてはいけません。そのときもチーム陣形を維持して全体で押し上げます。

相手からボールを奪ったらなるべくチーム陣形を維持しながら攻撃していきます。

日本の選手は縦だけではなくて横にも間延びしており、攻守両面でボールがあるサイドに寄ることが苦手なのでそこは要改善点ですね。

相手にボールを奪われたら攻守の切り替えを早くして、すぐに本来のフォーメーションに戻らないといけません。

こうして見てもらえばわかる通り、誰一人自分勝手な動きなんてしていないでしょう。

これがゾーンを組織で守るということです。

世界の一流プレーヤーだって90分間完璧にやれているわけではないと思いますが、このゾーンディフェンス戦術の基本を知っているのといないのとでは大違いです。

 そこでこういう練習メニューを提案したいと思います。

選手同士を腰に結びつけたロープかゴム綱(ダラーっと伸びすぎるものはダメ)でつなぎ、コーチ数人でボールを前後左右にパスして、ボールのある位置に応じてチーム全体で前後左右に動きます。(下図)


練習


直角に交わるところでないとロープが結べないので本来の4-2-3-1とは若干位置がずれていますが、これによって選手一人一人の適切な距離感やコンパクトな陣形というものを体で覚えさせるとともに、常にチーム全体で組織だって攻撃も守備もやるということを意識させることができるのではないでしょうか。

前後左右の選手との距離をいつも意識していないと、自分だけ違う動きをしてロープにひっぱられてコケてしまいます。

パスをまわすときも体にロープを結びつけたままチーム全体で前進するということを練習すると良いと思います。

こうしたことをロープ無しでもできるようになるまで練習する。

スポーツニュースによると、岡田ジャパンでは3本の横線をピッチに書いてそこに選手を並べてパスの練習をしているそうです。

これがもしチームをコンパクトにしたり、守備ブロックをつくるための練習なら上手くいかないと思います。

陣形をコンパクトにするということはそういう静的なものではありませんから。

本番まで残された時間は少ないですが、選手一人一人がチームメートと協力して勝手な行動を取らない、攻撃も守備もコンパクトな陣形を保って組織でやるということが死活的に重要だと思います。

 攻撃面では、イングランド戦の前半に見られた連動性がまったくなくなってしまいました。

遠藤・阿部・本田ら各選手がパスを受けたらまずボールをゆっくりキープするということを繰り返していたので、フィジカルの強いコートジボアールの選手に何度もボールを奪われていました。

メッシやシャビといった身長が高くなくてフィジカルも強そうに見えない選手が、世界の屈強なDFを苦にせずプレーできているのはなぜか?

メッシがなぜ自分の体を相手DFに一瞬でも触れさせないような高速ドリブルをするのか、なぜシャビが必要最低限のタッチ数で簡単にパスをはたいてゲームを組み立てるのか、その理由をよく考えて欲しいです。

前半22分に惜しいカウンターがありました。

ボールを奪ってから日本が2対2のケースをつくりかけましたが、長谷部選手がまだ深いところからスルーパスを出してしまったために強いパスを出さざるを得ず、ウラへ抜け出した岡崎選手が追いつけませんでした。

この場合、長谷部選手が焦らずに我慢して相手センターバックに向かってドリブルしてもっと相手センターバックをひきつけてからスルーパスを出せば、さほど速いスピードでなくてもパスが通るようになりますし、岡崎選手も受けやすくなります。

岡崎選手もウラへ抜け出すタイミングが早すぎました。
それにつられて長谷部選手がパスを出してしまったみたいですね。

ドリブルする味方が相手バックとの距離を十分縮めてから、FWがウラへ抜け出す動きをしても遅くはありません。

練習をしっかりやって、カウンター攻撃の経験を積んで欲しいと思います。

 選手個人レベルでは、闘莉王選手のTPOをわきまえない攻め上がりや、戻りが遅くてボールを奪われても危機感のない阿部・遠藤両ボランチのプレーなど全体的に精彩を欠いています。

本田選手もサイドでは生きないですね。

外国人にも負けないフィジカル能力やメンタル面での積極性、そして持っているテクニックから、次のワールドカップで攻撃の中心になって欲しいのは本田選手だと考えています。

このワールドカップでは本田選手をトップ下において監督がトップ下としての動き方を指導することで、将来にもつながっていくような経験を積ませるべきではないでしょうか。

4-2-3-1なら長谷部・稲本の両ボランチでガッチリとバイタルエリアにふたをして、トップ下には本田選手、守備の弱い遠藤選手はサイドハーフに持ってきた方が適材適所のような気がします。

ワントップも結果が出ないなら初めから森本選手でもいいのではないでしょうか。

 イングランド相手に機能した、選手個々が適切な距離感を保ったコンパクトな陣形をキックオフから何分持続できるか、そこに注目していたコートジボアール戦でしたが、やはり前半20分くらいでいつもの日本代表に戻ってしまいました。

内容がよくないので勝利という結果もついてきません。

残された時間は少ないですが、攻守に渡ってチームをコンパクトにするということに集中してほしいと思います。

練習が終わって体を休めている時も頭脳は動かせます。

選手全員でインテルやマンチェスターUなどがどうやってコンパクトな陣形を維持しているかチャンピオンズリーグのDVDなどをじっくり見て、自分がその中で実際にプレーしているつもりになってどう動くべきなのか、チーム全体で共通イメージを持つようにしてはどうでしょうか。


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     2010.6.4 スタッド・ド・トゥルビオン(シオン)


      日本  0  -  2  コートジボアール


                '13 O.G.(闘莉王)
                '80 K.トゥーレ



      GK 川島       GK バリー

      DF 長友       DF エブエ
        闘莉王        K.トゥーレ
        中澤         デメル
        今野         ティエネ
       (駒野 67)
                 MF ゾコラ
      MF 遠藤         Y.トゥーレ 
       (中村憲 46)     ティオテ
        阿部        (コネ 88)
       (稲本 46)        
        長谷部      FW ドログバ
        本田        (ドゥンビア 19)
       (中村俊 46)    (ケイタ 63)
                   カルー
      FW 岡崎         ディンダン
       (玉田 55)
        大久保
       (森本 65)




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