■2010年02月

■世界を驚かせる覚悟

 皆さんは自分が応援していないチーム同士の試合を観る時、強いチーム視点で観ますか?それとも弱いチーム視点で観ますか?

例えば、FCバルセロナVSシェレス戦を観るとしたら、たぶん多くの人は「メッシすげーな、イニエスタすげーな」と言いながらバルサ視点で観戦するのではないでしょうか。

その方がだんぜん面白いですしね。

私は逆に、いつも弱いチーム視点で観ます。

もしFCバルセロナVSシェレスならシェレスの視点で、ドイツVSリヒテンシュタインならリヒテンシュタイン代表の視点で観ます。

なぜかと言えば、強豪チームの選手はフットボーラーとしてなすべきことを当り前のようにやってしまうので、強いチーム視点で観ているとそれが本来どれくらいすごいことなのかイマイチ分かりにくい。

「C.ロナウドすげーな」で何となく終わってしまうのではないでしょうか。

ところが、弱いチームというのは「やるべきことをやらないとこういう失敗するよ」ということの宝庫なのです。

だから弱いチーム視点で試合を観ると、逆にワールドクラスのプレーヤーが難なくこなしていることがどれくらいすごいことなのかハッキリと分かります。

 一例をあげれば、「相手に1点リードされても決してしょぼくれて下を向くことなく、すぐ点を取り返そうと反撃する」という一見当り前のことが弱小チームではできません。

特に「対戦相手は自分達より強い」と考えている場合、弱いチームが同点あるいはリードしている状態であればがんばれるのですが、たった1点リードされただけで「ダメだ。もう終わった」というムードがチームに充満し、がっくりとモチベーションが下がることが良くあります。

これは典型的な「敗者のメンタリティ」です。

モチベーションの急落は「足が止まる」という現象で現れます。

自軍のペナルティエリア内で相手の一番危険な選手がヘディングシュートしても、ボールがゴールネットに突き刺さるまでみんなが足を止めてそれを見ている。

相手選手がミドルシュートの体勢に入ったとき、シュートコースを消すための一歩が遅れたためにもう1失点。

気づくと相手に3点差・4点差をつけられている。

弱小チームのイレブンの「もう終わった」という気持ちが、強豪相手の試合で現実にそういうスコアを引き寄せてしまう。

オランダ遠征での日本代表が典型的だと思います。

0-0の状態では非常によい内容のゲームをしていました。

ところがゴール前における一瞬のマークのズレからファンペルシーに先制ゴールを許すと日本代表は運動量がガックリと減って、スナイデルのミドルにフンテラールの駄目押しゴールを立て続けに食らって0-3の完敗。

東アジア選手権での韓国戦も、前半日本が先制したものの逆転を許し1点ビハインドという状況で、ロッカールームに帰ってきた選手達は、みんな下を向いて黙りこくっていたそうですね。

まだ残り45分もあって、たった1点リードされただけなのに。

サッカーでは、退場で1人少なくなったチームがまるで相手より1人多いかのように動き回ってガンガン攻めるなんてことも起こります。

日本の選手が消極的な「敗者のメンタリティ」を引きずっている限り、W杯で決勝トーナメントへ進出するなど夢のまた夢でしょう。

W杯優勝3回を誇るドイツ代表の代名詞といえば最後の1分1秒まで絶対に勝利をあきらめない「ゲルマン魂」で、過去に何度も名勝負を繰り広げてきましたが、これこそ「勝者のメンタリティ」と言えます。

 日本人選手のメンタル面における二つ目の問題は、日本代表は練習やテストマッチではできることでも、プレッシャーのかかる公式戦(W杯予選や本大会など)だとサッパリできなくなってしまうということがよくあります。

まず、失敗を恐れるあまり慎重になりすぎて、「勝つ」ために最低限必要なリスクさえ取ることができなくなってしまいます。

ボールを失うのが怖いのか、バイタルエリアに入ってもシュートやクロスをためらって、バックパスばかりのサッカーになる。

東アジア選手権の3試合でも、監督の指示とちょっとでも違うことをやってレギュラーポジションを失うのが怖いのか、監督が「サイド攻撃を」と指示すると、サイドからのクロス・パスばかりになってなかなかシュートが打てません。

これでは自分の力を出しきる前に負けてしまいます。こんな悔しい負け方はないはずですが...

 さらに、強いプレッシャーのかかる試合では無我夢中でプレーしてしまうために現代戦術のセオリーが忘れ去られ、日本の「地のサッカー」がたちまち姿をあらわしてしまいます。


それは、FWからDFまでチームが間延びして、特にセンターバックの前に広いスペースを空けてしまうという現象としてあらわれます。

つらい試合苦しい試合ほど、にわか仕込みのチーム戦術などはぶっ飛んでしまって、子供の時から体に染みついている「地のサッカー」が姿をあらわすというのは私の持論なのですが、日本のW杯出場がかかったアウェーのウズベキスタン戦はその典型で、日本はコンパクトな陣形をまったくつくれず本当に苦しい試合になりました。

東アジア選手権の韓国戦もそうでしたし、ドイツW杯のオーストラリア戦でもそうでしたね。

元ブラジル代表でかつて王様と呼ばれたペレは、「ペナルティエリアでは落ちついている方が勝つ」と言っています。

日本代表の選手たちは、相手のペナルティエリアに近づくほどメンタル面で余裕を失い、プレーがどんどん硬くなっていきます。

ワールドクラスのプレーヤーは、相手のゴール前でゆるいパスを本当に上手に使います。

敵GKやDFよりも味方の方が早く到達できるスペースへ「シュートを打ってください」とばかりに、やさし~いゆっくりとしたパスを出すのが本当に上手いですね。

ところが日本の選手がペナに近づくと、味方が追いついたりトラップするだけでも難しいような、強すぎるパスを力任せに蹴るシーンをしばしば見かけます。

ようやく一大決心をしてシュートを打つ時は全身に力が入りすぎてもうガチガチで、技術力のレベルがミドルサードにいる時の半分くらいになってしまいます。

日本代表のベンチワークからしてプレッシャーのかかる試合ではガチガチにこりかたまってしまって、交代カードを切るのがいつも手遅れになるなど「脳死状態」に陥っているように思います。

 人間だから、プレッシャーのかかる公式戦で緊張するのは仕方ありません。

しかし日本がW杯で勝ちぬいて行くためには、過緊張からくる悪影響がチームの敗戦に直結しないよう、選手のメンタル面でのマネジメントが欠かせないと思います。

本当ならば、W杯アジア予選の段階でこういった課題は一つ一つクリアしておくべきでした。

それをおざなりにしてきたから、W杯まで後3ヶ月という今になってジタバタ大騒ぎしているわけです。

こういう問題は海外組を呼べばなんとかなるというものではありません。
海外組が参加していたW杯予選からずっとそうでしたから。

 日本代表選手のメンタル面の問題をもう一度整理します。

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1.ちょっと苦しい状況になっただけで勝利への闘争心を失い、ガックリとモチベーションが下がってしまう

2.プレッシャーのかかる試合ほどシュートが打てなくなるなど、消極的な安全策に逃げこんでしまう

3.プレッシャーのかかる試合ほど選手が我を忘れて無我夢中でプレーしてしまい、戦術の基本的なお約束さえどこかへぶっ飛んでしまう


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少なくともアジアにおける日本人選手の技術力はトップクラスだと思うのですが、どうしてこうも自信なさげにプレーしてしまうのでしょうか。

 私は「根性さえあれば勝てる」といった非科学的な精神論は支持しません。

もちろんフィジカル能力や技術力・チーム戦術の理解力も重要なのですが、選手個々のメンタル面が脆弱だとやはりよい成績はあげられないと思います。

日本代表選手の抜本的な意識改革を行って、たとえ相手が強豪でも不利な試合展開でも最後まで勝利をあきらめずに、アタッキング・サードではリスクをおかしてシュートすることから逃げない積極性を何としても身につける。

どんなにプレッシャーがかかる試合でも無我夢中で我を忘れてプレーしてしまうのではなく、攻守両面でチーム戦術が徹底できているかどうか常にまわりを見渡せる冷静な判断力、相手のゴール前へ行くほどよい意味で力をぬいたプレーができるメンタル面での余裕。

W杯で本当に4強を狙うなら、そういった「勝者のメンタリティ」を身につけるための意識改革が絶対に必要です。

これで対戦相手が想定外のことをやってきて自分達のやっているサッカーがうまく行かなくなった時、ピッチ上の選手たちだけでどうすべきかを考え、正解を導き出せるような戦術眼を持つようになってくれば言うことなしですが。

 少なくとも、相手が誰だろうが1点奪われたら今まで以上のモチベーションでそれを取り返してやろうとすることに特別な才能はいらないはず。

残念ながら、今の岡田ジャパンから「世界を驚かせる覚悟」というものがぜんぜん感じられません。





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■日本代表、自分を見失って大敗

 東アジア選手権の最後の試合となった韓国戦、日本が優勝するためには2点差以上の勝利が求められた試合でしたが、逆に2点差をつけられての黒星という結果に終わってしまいました。

対戦相手の韓国は日本とほぼ互角の相手と見ていました。

よってホームでは絶対に勝たなければいけない相手でしたが、1-3という結果はあってはならない大敗だったと思います。

 それでは試合展開を振り返りましょう。

立ちあがりは両チームとも激しくプレスをかけあってほぼ互角の展開、やや日本が優勢だったでしょうか。

前半20分、遠藤のFKから闘莉王がウラへ抜け出したところ相手DFに手で押さえ込まれPK獲得、これを遠藤が落ちついて決めて日本先制。

しかしここから日本がやや受身にかわり、韓国が攻めこみます。

韓国は日本の中盤のプレスを避けてロングボールを多用し、日本のセンターバックとボランチの間のスペースが広く空いていたのでことごとくボールを拾われます。

一方日本も韓国につられるようにロングボール攻撃を多用、フィジカルの強い相手の思うツボとなり徐々に攻撃のリズムを失っていきます。

32分、日本の右サイドにパスを通されてペナルティエリアに侵入した韓国の選手を内田が倒したとしてPK献上、これをイ・ドングクが決めて振り出しへ。

39分、カウンター攻撃から中盤でボールを受けたイ・スンヨルが強引にロングシュートを放ち、前方にいた中澤に当たってコースが変わり、やや不運な失点で逆転を許します。

41分、日本のFKの時、相手ともつれた闘莉王が報復行為で一発退場。きわめて苦しくなりました。

 後半も立ちあがりは重苦しい展開は変わらず。

7分、岡崎を倒した相手選手が2枚目のイエローで退場、さらに15分ぐらいから韓国の運動量が落ちて日本が押しぎみになります。

20分、右サイドを突破した内田から玉田へパスが出ますが今一歩のところでシュートできず。

逆に25分、韓国のカウンターからこちらの右サイドを突破され、センタリングを受けたキム・ジェソンがシュート。これが決まって1-3。

このあと日本はたいした見せ場もつくれずタイムアップとなりました。

 それでは試合内容を分析します。

まず最初に指摘したいのは、「クラシコ・伝統の一戦」に対する過緊張のせいか、良い結果が出てない焦りからか知りませんが、この試合の日本代表は攻守にわたってこれまでやってきた事がブッとんでしまい、韓国につられて相手の注文通りのサッカーをやってしまったということです。

日本代表が自分達の長所を放棄して、わざわざ相手の長所をひきたてるようなサッカーをやってしまった、それが1-3というスコアになってあらわれたと思います。

1-3というスコアも同じなら、先制して逆転されたという得点経過も同じ、日本よりフィジカルに勝り、ロングボールを多用する相手につられるようにこちらもロングボール攻撃を多用して攻めのリズムを失い、日本のセンターバックの前にスペースを空けてそこで相手にボールを拾われてピンチの連続。

2006年W杯ドイツ大会のオーストラリア戦と同じ失敗を繰り返してしまいました。

韓国の監督は「日本を研究していた」と言っていますが、もしそれが事実ならこういうことではないでしょうか。
(もちろん私が韓国の監督なら、日本の欠点を親切に教えてやるようなことはしません)

日本代表が現代サッカー戦術の基礎をまだしっかりとマスターしきっていない、ちょっとプレッシャーがかかる試合だと普段できることでもたちまちできなくなってしまう、その弱点を相手につけこまれたと思います。

 現代サッカーのチーム戦術では、DFからFWまでの長さを30m前後におさめてチームが上下動してもそうしたコンパクトな状態を常に保たなくてはいけません。

システムにもよりますが、チーム全体で30m前後におさまるのはもちろんのこと、DFとMFでつくる2ラインもしくは3ラインを等間隔にして、ブロックをつくるようにしなければいけません。

これがチームの守備・攻撃すべてのベースとなります。


引きぎみ
(クリックで拡大)

     ↓  ↑

普通

     ↓  ↑

押しぎみ


当ブログ記事・W杯出場決定も、いろんな意味で後味の悪い試合(その2)

当ブログ記事・地のサッカー

ところが日本のサッカー選手はチームをコンパクトに保つということが本当に苦手で、一つのチームが、失点を怖がって引きぎみになるDFラインと、得点を焦って前のめりになるFW・攻撃的MFの二つに別れてしまって、特にDFとボランチの間のスペースを空けてしまうという悪いクセがよく見られます。


間延び
(クリックで拡大)


また、全体をコンパクトにして強烈なプレスディフェンスをかけてくるチームを破るときの定石は、FWにロングボールを当ててウラを取られたくない相手DFをズルズルと下がらせることでチーム全体を間延びさせるというもの。

これはW杯アジア予選、ホームでのウズベキスタン戦で指摘したとおりですが、この試合でもおそらく韓国は意図的にロングボールを多用して日本を間延びさせ、特に日本はDFとボランチの間のスペースを空けやすいということを知っていて、そのスペースが空いたところをうまく使って攻撃を展開してきたものと思われます。

これはドイツ大会でオーストラリア監督だったヒディンクが使った戦術と同じです。

日本がPKで先制したことでやや受身になったこともあって、余計にそうした戦術がハマってしまったのではないでしょうか。

 それではどうすれば良いか。

ロングボールを放りこまれても日本のDFラインが多少下げさせられてしまうのはやむをえませんが、特にDFラインとボランチのラインを一定にしてスペースを空けないということに注意して、相手のロングボールをこちらのDFがヘッドでクリアしたら、必ずこちらのボランチがボールを拾って前へつなぐということを、一試合を通し辛抱してやり続けることです。

相手がロングボールを多用するチームだと相手につられて間延びしがちになりますが、選手は常に前後のポジションの味方との距離をチェックして修正し、チーム全体でコンパクトな陣形を保ち続けられるようにしなければなりません。


失点シーンですが、2点目はややアンラッキーな面がありました。

しかし、1点目のきっかけとなったPK献上について、既に一度レフェリーがPKの笛を吹いているときはいつもよりPKが出やすくなっていると注意すべきで、あの判定は少し日本に厳しいものでしたが内田選手はその点経験不足でしたね。

3点目は韓国のカウンターを受けた時、いちばんメインスタンド側がいた選手がオフサイドラインをそろえるのを怠るという初歩的なミス。そのため相手はオフサイドにならずゴール前の決定的な位置でパスを受けることができたように思います。

闘莉王選手が退場になった場面ですが、どういう理由であれイライラして退場に結びつくプレーをやってしまえば相手の思うツボ。

経験のある大人の選手がやるプレーではありませんでした。二度とあってはいけないことです。

 次に攻撃面ですが、まず中盤での攻撃の組立てから見ていきます。

中盤では韓国に厳しいプレスをかけられて、なかなかパスをつなぐことができませんでした。そして韓国につられるようにロングボール攻撃ばかりになってしまいました。

日本が韓国よりフィジカルで勝っていればロングボール攻撃も機能したのかもしれませんが、残念ながらほとんど相手DFラインを崩せませんでした。

韓国はセンターバックとボランチの間のスペースを空けないよう、キッチリ守備ブロックをつくって対応していたこともあります。

相手がゴールにカギをかけてもスペインあたりだと理にかなったパス回しで、例えるならカギ穴に合ったハリガネを差し込んでちょちょっと回して簡単にゴールをこじ開けてしまいますが、日本代表の場合、がむしゃらに力任せにカギをひっぱたいてそれでいてゴールをこじ開けられない、世界トップレベルとの差はそれくらいあると思います。

日本代表がこの試合どうしてパスを回せなくなってしまったかというと、局面局面でパスを受けるのに最適なポジショニングというのを、まだ完全に理解できていないからです。

相手が動けば当然パスを受けるのに最適なポジショニングというのも刻々と動いていきますが、相手が4-2-2-2という基本布陣で来た場合は下の図のようになります。


最適ポジション
(クリックで拡大)

黄色で示したポジションが中盤でグラウンダーのショートパスをつなぐ時にパスを受けるための最適ポジションであり、青で示したところはラストパスを受ける(自分の足元or相手DFのウラ)のに最適なポジションです。

ゴールキーパーが相手のシュートを防ぐ時、相手が蹴る瞬間は必ず止まっていないとシュートに対応できないと思いますが、それと同じでフィールドプレーヤーが足元でパスを受ける時も最適ポジションに入ったらパスが出る瞬間までは止まっていないといけません。

ところが今の日本代表は、パスを受ける最適ポジションとはまったく関係のないところへも含めて、90分間がむしゃらに走りまくっていて、これではちょっと厳しくプレスをかけられただけでパスが回らなくなるのも当然です。

「サッカーの守備の基本は相手をフリーにしない、攻撃の基本は相手からフリーになる」ですが、ひどい場合日本代表の選手たちはわざわざ相手の選手へ向かって走って行ってしまい、自分の背中をタイミングが合わないパスが通過するというシーンがしばしば見られます。


ミスパス


スペイン代表やFCバルセロナの試合をよく見てもらいたいのですが、グラウンダーのショートパスをつなぐ時はその局面局面で最適ポジション(人と人の間)を取り、良いポジションを取ったら一度止まってパスを受け、次の展開をはかるという基本を一からやり直すべきです。

パス回しの時も自分の前後にいる味方との距離に注意し、チーム全体をコンパクトに保って前進することが欠かせません。


チームが間延びするとサポート距離が離れすぎてうまくパスが回せなくなります。

仮に相手のプレスが厳しすぎてうまくパスが回らなくても、我慢してチームをコンパクトにし続けて守備ブロックをつくり相手のロングボール攻撃を跳ね返し、ショートパス・ロングパスを織り交ぜながらねばり強く攻撃をしかける能力がなければ、W杯で上位に行くことは難しいでしょう。

この試合、後半の15分過ぎからそれまで猛烈なプレスをかけていた韓国がスタミナ切れを起こしていましたから、そこまで少なくとも同点のまま粘っていたら、後半の後半は日本が押し込む展開になり勝利も可能だったと思います。

思うような攻撃ができなくても、攻守に渡ってコンパクトな陣形を保って自分達の時間が来るまで辛抱するということができずガタガタッと崩れてしまうのは、今の日本代表は経験が足りないということです。

こうした失敗の経験を生かして、W杯までに二度と起こらないように修正しなくてはいけません。

 バイタルエリアに入ってからの攻撃については、日本の選手のシュート意識の弱さを前回課題にあげておきましたが、この試合でもほとんど改善されていません。

シュートを打たなければ何も始まりません。

韓国の2点目なんかが典型ですが、シュートを打てば中澤選手に当たってボールがドロップし、そのままゴールになってしまうということも起こるわけです。

逆に日本の選手はバイタルエリアで自分にパスが来ると、それをまたいでばかり。むざむざ相手DFへの絶好のプレゼントボールになっていました。

本当に消極的です。

「サッカーは消極的な選手・チームが罰を受けるスポーツ」だと何度も言ってきましたが、この試合も罰を受けたのは日本代表でした。

 岡田監督の采配も疑問符がつきました。

この試合2点差以上をつけて勝たなければ、日本の優勝はないわけです。

それが前半を折り返して1点負けていてしかも一人少ないのですから、後半の早い時間から3枚目の交代カードを切って機能しない攻守を立て直し、同点・逆転を狙いにいくべきでしたが、実際にカードを切ったのが試合終了10分前ぐらい。

まさかGK負傷に備えて温存していたのでしょうか。もしそうなら全く意味のないことです。

さらにチームづくりの良い流れを無視した選手起用というのも中国戦から変わりません。

香港戦では遠藤選手を前へ上げてから攻撃が機能しはじめました。

ならばこの試合も遠藤選手を前に出して、いまいち調子が出ていない中村憲・大久保の両選手を外すか、別のポジションで起用するべきではなかったのではないでしょうか。

ところがこの試合でも香港戦で良かった流れをぶった切って、機能していないいつもの布陣・いつもの顔ぶれ。

武士の情けで名指しはしませんが、代表戦で1年3ヶ月以上ゴールできていない選手をほぼレギュラーとしてFWもしくは2列目で使い続けるのはまったくもって理解できません。

岡田監督は「角を矯めて牛を殺している」というか、多少トラップが甘かろうが少々守備で手抜きしようが、チャンスを与えた新しい選手がゴールという結果を出せばそれでいいじゃないか、と私は考えますが。

日本人がやる人事というのは、一度功績があればずっとそのポジションに居続けることができるという非常に硬直した「年功序列制度」になりがちです。

岡田監督の選手起用もそうした傾向があり、それがチームの活性化を阻んでいるのではないでしょうか。

チームのベストメンバーというのは日々刻々と変化する生き物であって、監督の硬直した脳内にあるものではありません。

フランスW杯アジア最終予選において突如大スランプのおちいった三浦カズ選手を、当時の加茂周監督はレギュラーFWとして先発起用し続けました。

もっと早く先発FWを中山選手や呂比須選手に切りかえるべきでしたがそれができず、日本は予選落ちのピンチに陥りついに加茂監督はクビになりました。

岡田監督も同じ失敗を繰り返しつつあります。

 東アジア選手権最終戦の対韓国戦は、1-3というホームではあってはならない大敗という結果になりました。

たかだか韓国相手にカーッとなって自分達のやるべきサッカーを見失っているようでは、もっと緊張するW杯本大会では日本のサッカーをまったくやらせてもらえないうちに終わってしまうことでしょう。ドイツ大会のように。


これは調整が遅れている、時間をかければ自然と調子が戻ってくるとか、そんな生やさしい問題ではありません。

ぬるいテストマッチでだましだまし通用させてきた、日本代表がサッカーの基礎をきっちりマスターできていないところを韓国につかれて、いままで述べてきたような課題が浮き彫りになったと思います。

「これがW杯本番でなくて良かった」と前向きに考えるより他ありませんが、W杯までたった4ヶ月あまり。

このままJリーグが始まって何の修正もなされないまま本大会突入となれば、決勝トーナメント進出さえ非常に厳しいと思います。

オランダやデンマーク・カメルーンは必ず日本のこうした弱点をついてくると考えた方がよいです。

無理をしてでも時間を空け、1ヶ月ぐらい時間をとって集中合宿とテストマッチをやる必要があるのではないでしょうか。

岡田監督の認識は甘いと思います。


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         2010.2.14 国立競技場(東京)

       日本   1  -  3   韓国



      遠藤(PK)'23     イ・ドングク(PK)'33
                  イ・スンヨル  '39
                  キム・ジェソン '70



     GK 楢崎          GK イ・ウンジェ

     DF 長友          DF オ・ボムソク
       闘莉王           カン・ミンス
       中澤            チョ・ヨンヒョン
       内田            パク・チュホ

     MF 遠藤          MF キム・ジェソン
       稲本            キム・ジョンウ
       中村憲           キム・ボギョン
       大久保          (オ・ジャンウン 87)
      (香川 26)         シン・ヒョンミン
      (岩政 45)
                   FW イ・スンヨル
     FW 岡崎           (ク・ジャチョル 56)
       玉田            イ・ドングク 
      (佐藤 82)        (イ・グノ 62)





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■まだ迷っている日本代表

 東アジア選手権、日本の第2戦は香港との試合になりましたが3-0での勝利という結果でした。

対戦相手の香港は、ホームでもアウェーでも日本が大差で勝利できる相手という戦力評価は昨年秋と変わっていません。

日本が優勝するためには、韓国に勝った中国が香港との試合を残していることを考えると、この試合できるかぎりの大量点での勝利、最低でも6点差以上の勝利が欲しいところでしたが3点差で勝利という結果は物足りないものです。

 それでは試合展開をおさらいしましょう。

前半、立ちあがりからホームの日本が押し込みますが、香港もプレスを勤勉にかけてきてなかなか自由にはやらせてもらえません。

日本はプレーが硬く、まだシュートやパスに迷いが見られ、攻めている割には質のよいチャンスをつくれません。

それでも41分、相手のクリアミスを拾った玉田が左サイドの角度のないところから思いきってシュートを放ち、ようやく日本先制。

ですが先制後もプレーにまだ迷いが見られます。

 後半早々、平山が投入され日本が香港を攻めたてる展開は変わりません。

20分、CKから闘莉王が高い打点のヘッドを決めて、ようやく追加点。

このあたりから香港の運動量ががっくりと減り、日本の攻撃が機能し始めます。

37分、ショートコーナからゴール前へ入ったボールに日本が波状攻撃、相手ともつれてこぼれたボールを玉田が押し込んで3点目。

しかしこの後が続かずタイムアップ。勝利するも3点差という優勝を狙うには不満の残る結果に。

 それでは試合内容を見ます。

まず守備からですが、プレスも良くかかり安易に相手に飛びこむことも無くなって、前回の問題点がかなり修正されていました。

ただ一点だけ、試合の後半に闘莉王選手が日本のゴール前で長くドリブルを続けて相手を抜きにかかっていましたが、安全第一のディフェンディング・サードでは絶対にやってはいけないプレーというのは指摘しておきます。

ミスパスからボールを失った時レフェリーが笛を吹いてくれたので助かりましたが、カメルーン以上の相手なら即失点は覚悟のケース。

闘莉王選手も前の選手がなかなか点がとれなくてイライラしていたのだと思いますが、二度とあってはいけません。

 攻撃面も前回より少し良くなっていましたが、まだ大事に大事に行こうとしすぎてプレーに迷いが見られます。

中盤の組み立てではパスの受け手の「顔出し」が増えたのですが、パスを出すほうがまだ迷っています。

どこへパスやクロスを出そうかグズグズ迷っているうちに香港が守備組織を整えてしまい、そうこうしているうちにフリーの味方がいなくなってバックパスというパターン。

上がった両サイドバックが「バックパス専用選手」になってしまう時というのは、日本の攻撃リズムが悪い時でしょうね。

グズグズといっても時間にしてほんの3~4秒ぐらいですが、それが大きな差を生んでしまいます。

選手に「ボールを失ってはいけない、大事にパスを出そう」という思いが強すぎるので、どこへパスを出すか迷いが生まれ、それが攻撃リズムを失わせてなかなかゴールという結果がでない。

結果がでないと「大事にパスを出そう」という思いがさらに強くなってしまうという悪循環です。

自分より前にフリーの味方がいて十分パスが通ると判断できるなら、オートマチックにパスを出して自分は次のスペースへ動くということをチーム全体の約束事にしておくべきでしょう。

ボールが自分より相手ゴール近くにいるフリーの味方に渡って、得することはあっても損することはないじゃないかと割り切ったほうが良いです。

 アタッキングサードでも同様に「結果が出ていないから大事に行こう」としすぎてなかなかシュートを打とうとしません。

FWもシュートを打つことにまだためらいが見られますし、日本の場合、攻撃的MFのゴールが少なすぎます。

しかし玉田選手の先制点を見ればわかるように、シュートを打たなければゴールはあり得ません。

もし玉田選手が「角度がなさすぎるから、確率の高いところにいる味方にパスしよう」と考えてプレーしていたら、当然あのゴールは幻となっていましたし、この試合もスコアレスドローに終わっていたかもしれません。

どうして日本人選手はアタッキング・サードに入ってもシュートすることをためらうのか、消極的で弱気という日本人の民族性もあるのでしょうけれど、まず第一に「プレーの優先順位」というものを、ユース年代までにキッチリ叩きこまれてこなかったからではないかと思います。

攻撃戦術の鉄則としてまず最初に叩きこまれなければいけないのは、「自分がボールを持ったら、相手のフィールドプレーヤーが前に立ちはだからない限り、相手ゴールまで最短距離のルートをなるべく速いスピードでドリブルしていって、自分がそのままシュートを決める」です。

自分の前に相手のフィールドプレーヤーが現れて初めて、パスをするのかドリブルで抜くのか、それとも相手の前からシュートを打ってしまうかという選択をすることになります。

攻撃戦術の最初歩
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Jリーグなんかを見ていますと、ハーフウェーラインあたりまで相手DFが押し上げていて、そのウラへボールが出てFWがうまく抜け出してカウンター、後はGKと一対一という場面で、そのFWがドリブルのスピードを緩めて「タメ」をつくり、左右をキョロキョロしながら味方が押し上げてくるのを待っているというシーンを見かけてガックリすることがあります。

(なんでもかんでも「タメ」をつくれば良しとするのは日本サッカー界の悪いところでしょう)

味方の押し上げを待つということは、相手DFが戻ってくるのを待つということでもあり、それではせっかくの得点チャンスをむざむざドブに捨てるようなものです。

どうしてこういうことが起こるのかというと、選手が「自分の前にゴールマウスとGKしかいなかったら、自分自身がシュートを打つ」ということが絶対的に正しいという確信を持っていないからでしょう。

なぜそうした確信を持っていないかといえば、前述のような攻撃戦術の初歩を子供の時からキッチリと叩きこまれていないからとしか思えません。

その代わり、日本のコーチや解説者がシュートを外した選手に「フリーの味方にパスすれば良かったのに」という結果論で批判するから、まじめな選手は余計に迷ってしまいます。

「自分がボールを持ったら、相手のフィールドプレーヤーが前に立ちはだからない限り、相手ゴールまで最短距離のルートをなるべく速いスピードでドリブルしていって、自分がそのままシュートを決める」

日本代表レベルの選手なら常識であると信じたいですが、この攻撃戦術の初歩を今一度確認して体で覚えさせることです。

たとえば、フィールドプレーヤー全員にセンターサークルあたりからゴールまでの最短距離をできるだけ速くドリブルしていって、自分でシュートを決めさせるという練習はどうでしょうか。(もちろんGKをつけます)

練習のための練習にならないように、スタッフに各選手のシュート決定率を記録してもらって、監督から「誰を使うか迷ったらシュート決定率の高いやつから使うからな」と選手に宣告して実戦さながらのプレッシャーをかけます。

そして「自分の前にゴールマウスとGKしかいなかったら、自分自身がシュートを打つ」ということが絶対的に正しいという確信が持てるまで、練習することでしょう。


 次に頭に叩き込んでおくべきなのは、ボールがピッチのどこにあるかでプレーの優先順位が変わるということです。

優先順位
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ピッチを三分割した場合の自軍ゴール寄りであるディフェンディングサードでボールを失えば即失点の可能性があり、何よりも安全第一のプレーを心がけなくてはいけません。

そこではドリブルで相手を抜きにかかったり、背中に敵選手を背負ったままボールを持って前方へターンすることは避けるべきです。

ヒールキックによるパスなど不確実性の高いプレーもご法度。

続くミドルサードは、攻撃を組み立てボールを前へ運ぶためによりリスクをかけても許されるゾーンです。

ただし、DFラインでボールを失えば後はGKしかいません。ボランチで失えばDFライン一枚しか守りはいなくなります。

たとえチーム全体がミドルサードにスッポリ入っていても、DFやボランチのラインではやはり安全第一が求められます。

相手ゴールに近いアタッキングサードでは、ゴールするためにボールを失うリスクをおかすことが許されるゾーンです。

ゴールするためのシュートやラストパス・クロスは、ここまで大事に運んできたボールを思いきって手放すことで初めて可能になります。

ミドルサードからアタッキングサードに入った時点で、特にペナルティエリアの中とその周辺部では、「ゴールするためにはシュートしなくてはいけない。そのためならボールを失っても良いんだ」という頭の切り替えをしっかりできないと、パスはさんざん回ったけど1点も取れずに負けたということになってしまいます。

これが三つのゾーンごとのプレー優先度の違いです。

スコアレスドローに終わった対中国戦において、選手達は監督から「サイド攻撃を!」と強調されていたようです。

しかし、今お話した二つの攻撃戦術の初歩を選手達が知っていれば、両サイドからボールを前へ運んでアタッキング・サードに侵入した時点で頭が切り替わり、自分の判断でペナルティエリア内やその周辺では確信を持ってシュートを打てるはずです。

ところが監督の「サイド攻撃」という指示を最後の最後まで守り、ペナに入ってもまだクロスやプルバックのパスにこだわりすぎて、ゴールという結果がでない。

ゴールや勝利という結果が出ないから、「サイド攻撃」という監督の指示への不信感が頭をもたげて、香港戦では強引な中央突破ばかりになり、それでもなかなかシュートを打たないということは変わらないので、やっぱりスッキリとした勝利という結果が出ない。

ゾーンごとのプレー優先度の違いや「自分の前にゴールマウスとGKしかいなかったら、自分自身がシュートを打つ」ということを、日本の選手はユース年代までにしっかりと叩きこまれてこなかったのでは?と感じてしまいます。

 優勝のために大量点が望まれた香港戦でしたが、3点差で勝利という結果は物足りないものです。

特に攻撃面でプレーにまだ迷いと消極性が見られ、試合内容も今一つといったところでした。

練習と実戦経験を積むことで改善は可能だと思いますが、積極的か消極的か・強気か弱気かという問題は生まれついての性格や育った環境も大きいと思います。

結果が出ないから大事に行こうとしすぎるあまり消極性と弱気が顔を出し、なかなかシュートを打とうとしない攻撃の選手を見ていると、自信過剰ぎみの本田選手をFWとして起用したらどうだろうか、背中にDFを背負っていても強引に前を向いてゴールを決めようとする森本選手が見てみたい。

ついそう思ってしまいます。

シュートというチャレンジから逃げてしまう選手には、これからの伸びしろを感じません。

本田・森本両選手の潜在能力を考えれば、もしすぐには結果が出なくても本番までの残り少ない貴重な時間を使って失敗の経験を積ませても、何か得られるものがあるのではないでしょうか。

私が監督なら、ふてぶてしい彼らを本番までに何としてでもモノにしたいと考えますが...


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        2010.2.11 国立競技場(東京)


      日本   3  -  0   香港


      玉田  '41
      闘莉王 '65
      玉田  '82



     GK 楢崎        GK ヤ・フンファイ

     DF 駒野        DF リー・チホ
       闘莉王         ゴ・ワイチウ
       中澤         (ガイ 75)
       内田          ウォン・チンフン
       今野          チャン・ワイホ
      (平山 45)
                 MF スー・デシュアイ
     MF 小笠原         オーヤン・イウチャン
      (稲本 62)       レン・チュンポン 
       遠藤          クォク・キンポン
       大久保        (リー・ワイリン 69)
      (香川 76)       バイ・ヘー
       中村憲       
                 FW チャオ・ペンフェイ
     FW 玉田





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■日本代表、消極性で自滅

 東アジア選手権が6日開幕し、男子のオープニングゲームとなった日本対中国戦はまたしてもスコアレスドローになってしまいました。

対戦相手の中国はかつてはアジアトップレベルだったものの近年は凋落が激しく、ホーム・アウェーともに日本が勝利できる実力差とその戦力を評価していました。

シャルケ04にいるハオ・ジュンミンが参加していませんでしたが、海外組がいないのはこちらも同じ。

日本の勝利が絶対に必要なところでしたが、引き分けという結果に終わってしまいました。いや、楢崎選手の活躍が無ければ負けが濃厚なゲームでしたね。

これは中国がいきなり強くなったというより日本代表が実力を発揮できなかったと見るべきでしょう。

 試合展開をざっとおさらいします。

立ちあがりは攻守にわたって日本が主導権を握りました。

13分、内田のクロスがこぼれたところを大久保がシュート、しかしゴール上へ大きくふかします。

19分、右サイドで中村憲・岡崎がつないで中へ折り返すも、玉田のプッシュはワクをとらえず。

日本は攻めている割にはシュートが少なく、モタモタ攻めあぐねているうちに30分すぎから試合の流れは中国へ。

33分、相手クロスを中澤がヘッドでクリアしたところを拾われ、中国選手のミドルを食らいますがサイドネットで助かります。

チャンスはそれほど多くないものの、中国も粘り強いプレスからボールをつなぎ、前半ボールポゼッションで日本と中国は割合いい勝負だったのではないでしょうか。

 後半も前半と似たような展開。

1分、左サイドを突破した長友がクロス、これを大久保がヘッドするも相手の正面。

9分、稲本のフィードを胸トラップで受け前を向いた内田がそのままペナルティエリア(ペナ)に侵入しシュート!しかしポストに嫌われます。

10分、左サイドを突破してきた中国選手のクロスに中澤と楢崎が交錯してクリアできず、危うくオウンゴールのところを闘莉王がかき出します。

20分、後半投入された平山がウラへ抜け出し遠藤がパス、平山のボレーは空振り。

35分、中国の左サイドからのクロスをクリアしようとした長友が腕に当ててしまいPK献上。しかし落ち着き払った楢崎がファインセーブ。日本は命びろいしました。

その後日本にたいしたチャンスも無くスコアレスドローとなりました。

 それでは試合内容を分析しましょう。

守備からいきたいと思いますが、試合の流れが良かった時はまずまず良かったのですが、流れが悪くなった前半の後半から攻撃のリズムの悪さが守備にも伝染して空回りした感じでした。

プレスをかけるのはいいんですが、焦って飛びこんで相手にかわされるというシーンが目につきます。

チームの約束事がどうなっているかわかりませんが、守備の時はボールと日本ゴールの間に立つというのは守備の鉄則で、相手がパスを受ける前にインターセプトできればベスト、それが無理ならまずボールを持った相手を前へ振り向かせないようプレスをかけて、あわよくば自分でボールを奪ってしまうか、横や前から戻ってきた選手とはさみこんで奪うのが理想的な形です。

あるいは自分をカバーする選手が必ず後ろにいることが前提で、前を向かせてしまった相手のボール保持者にあえて飛びこんでプレスをかけて、相手がドリブルで抜きにかかりボールを体から放した瞬間、自分の後ろにいるカバー役の選手に奪ってもらうというやりかたもあります。

しかし、こうした守備の鉄則をおそろかにして安易に飛びこんでしまうと相手に体を入れ違いにされて抜かれるということが起こってしまいます。

W杯まであと4ヶ月しかありませんが、こういう守備のベーシックなところの約束事はどうなっているのでしょうか。

守備の基本

 攻撃については、W杯アジア予選ホームでのウズベキスタン戦と同じ問題が発生していたように思います。ベネズエラ戦でもそうでしたが。

それは消極性。

「サッカーは消極的な選手やチームが罰せられるスポーツ」と以前言いました。

そして「日本人サッカー選手最大の弱点は消極性と弱気」だとも。

ボール保持者にいくつものパスコースを用意できるように周囲の味方が積極的に「顔出し」をして、高い連動性によってダイレクトパスで相手を崩すというのが、中盤の組み立てにおける日本の生命線なのですが、この試合もベネズエラ戦と同様、顔出しの動きが少ないです。

また、後ろからパスが来たらプレーヤーの第一選択肢は「ボールを持って前へターン」なのにパスが来た瞬間に100%バックパスと決めつけてプレーしています。

非常に消極的ですし、相手DFにとって全然怖さがありません。

だから無駄なバックパス・横パスばかりが増えて時間がかかるばかりで、質の高いチャンスが生まれにくくなります。

連動性の高め方


一番消極的だったのがシュートでした。

選手にしてみれば「いや、積極的にゴールを取りに行った」と答えるかもしれません。

「ペナに入って自分でシュートを打てたけど、自分より角度のよいところに味方がいたからプルバックのパスをした」

「ペナに入って、自分の前にいる相手DFを完全にドリブルで抜いてからシュートを打ったほうが確率が高い」

そういう考え方を消極的というのです。

相手ゴール前では、手数をかければかけるほど時間をかければかけるほどゴールの確率は低くなります。

自分でシュートを打てば「入るか入らないか」ですが、味方にパスをすれば「自分がミスパスする」「受け手がトラップミスをする」「受け手がシュートミスする」「戻った相手DFに防がれる」と、どんどんゴール確率が低くなっていきます。

自分でシュートできるのにわざわざ味方へパスをして、低くなる確率をカバーしておつりがくるほどのケースというのは、よほどの場合です。

ペナルティエリア・バイタルエリアに入ったらプレーヤーが最優先すべき選択肢はまずシュートを狙うこと。それが完全に不可能な場合にパスやドリブルという選択肢が出てきます。

一番ゴールに近かったのが、ペナに侵入して迷いなく打った内田選手のシュートだったことを見ればそれは明らかでしょう。

この試合、積極的にファイトしていたのは内田選手ぐらいだったと思います。

W杯出場32チームのうち、日本代表は下から数えたほうが早いです。

その序列をひっくり返し、成りあがって新しい歴史をつくってやろうとしているチャレンジャーが今の日本です。

その日本代表の選手はW杯まであと4ヶ月に迫った今さら、シュートから逃げて何を守ろうとしているのか不可解としかいいようがありません。

今からこんなでは、南アフリカでも大事に大事にいきすぎて無難な横パス・バックパスばかりをやっているうちに、カウンターやセットプレーから一発でカメルーンのエトオに決められて全力を出しきることなく初戦を落とし、自信喪失でのぞんだオランダ戦に0-4の大敗で「ジ・エンド」になりかねません。

消極性・弱気の克服という基礎的な問題は少なくともW杯アジア予選で完全にクリアしておくべきでした。

シュートのセオリー

 監督の采配面も気になりました。

岡田さんには岡田さんのやり方があり、ちゃんと本大会から逆算して間に合うようにやっているのでしょうが、私が監督ならば、あと何試合もない今の段階ではシステムやメンバーを大きくいじって選手の組み合わせを試す時期は過ぎたと考えます。

もちろんメンバーを完全固定しろということではありません。一言でいえば「壊れていないならば直すな」

例えば、前の試合で岡崎・大久保両選手で2トップを組ませたらうまくいかず、平山選手をトップに入れて大久保選手を2列目に下げたら機能したとします。

だったら現時点で岡崎・平山の2トップがベターな組み合わせで、中国戦のスタメンもそれで行くべきではないでしょうか。

もしそれで結果が出れば新たに起用された平山選手も自信をつけて調子に乗ってきますし、チーム全体にもよい流れ、成功によって積み重ねられたベースみたいなものが出来あがってきます。

逆に結果が芳しくなければ、岡崎選手か平山選手のどちらかを佐藤選手や玉田選手に代えてみる、新たに前田選手を呼んで試してみるという選択肢が出てくるのではないでしょうか。

ですが、岡田監督は前試合の流れとは何の脈絡もなくスリートップぎみにして平山選手を外し、玉田選手を入れる。

これではせっかくチャンスをつかみかけた新戦力もチーム全体もよい流れがぶった切られて、なかなか調子に乗っていけないのではないでしょうか。

玉田選手が練習でどの選手よりもズバ抜けてよかったならともかく、この試合では凡ミスの連発でケガからの復帰が遅れているのは明らかでした。

逆に壊れていて機能回復の見込みがないと見れば、たとえ中村俊選手や中澤選手でも一度先発から外してみて、そのポジションの二番手の選手にチャンスを与えるという、チーム作りの流れを尊重した上での大胆さも必要だと思います。

この試合も、選手がどういうわけか守りに入っていて攻撃機能が壊れていたのですから、積極的に顔出しのできるMFと積極的にシュートを狙えるFWをもっと速やかに投入すべきでした。

攻撃の悪い流れをそのままにしておくと守備の流れまで悪くなって、危うくオウンゴール寸前まで行ったり、相手にPKを与えたりといったことが起こります。

サッカーは試合の流れをうまくつかんだほうが勝つスポーツであり、監督は試合の流れの良し悪しを読めなくてはなりません。

加茂周氏に代表される日本人監督の采配もそうですし、日本人選手のパスを受ける時のポジショニングなんかもそうなんですが、「動くべき時に動かず、動いてはいけない時に動いてしまう」というケースが多いと思います。

まだサッカーの基本がしっかり理解できていないということです。

 選手個人では、ほぼ内田選手だけが攻守にわたって積極的にファイトしていたのが評価できます。

ただ、相変わらず嘔吐症がでているとのことで大変心配です。

おそらく、サッカーに関する何かが内田選手の精神的負担になっており、それを我慢してプレーを続けているために嘔吐という形で体が拒否反応を示しているのではないでしょうか。

メンタルヘルスの先生とよく相談して、何が精神的負担になっているのかを解明してそれを取り除くとか、思いきってしばらくプレーを休んでみるなどの処置が必要だと思います。

大久保選手については、相手GKとDFの位置をよく確認してシュートを打ったほうがよいのではないでしょうか。
いつも打つシュートが相手の正面ばかりです。

 東アジア選手権初戦となった中国戦ですが、結果はほとんど負け同然のドローで、試合内容も低調です。

一番の問題は、大事に行こうとしすぎて「完璧なチャンス」が生まれるまでシュートをなかなか打たないなど、選手が非常に消極的で弱気なこと。

W杯本番まであと何試合もありませんが、今さら日本の選手が何を守ろうとしているのかまったく不可解です。

モタモタとシュートを打たないでいるうちに守備のリズムまで悪くなってPKを献上するなどつまらないミスが起こる。

消極的な安全策ほど危険な策はありません。


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      2010.2.6  味の素スタジアム(東京)


     日本  0   -   0   中国



    GK 楢崎          GK ヤン・ジー

    DF 長友          DF スン・シャン
      闘莉王          (クー・ボー 45)
      中澤            チャオ・ペン
      内田            ロン・ハオ
                    ドウ・ウェイ
    MF 遠藤            チャン・リンペン
      稲本
      中村憲         MF チャオ・シュリ
     (金崎 85)        (フェン・シャオティン 64)
      大久保           デン・チョーシャン
     (佐藤 85)         ヤン・ハオ
                    ジャン・ニン
    FW 岡崎
      玉田          FW ガオ・リン
     (平山 62)        (ヤン・シュウ 83)




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■日本代表、慣らし運転中?

 2010年日本代表のホーム初試合となったテストマッチ、対ベネズエラ戦はスコアレスドローとなりました。

今回対戦したベネズエラは他の南米諸国から「南米のくせに国技が野球」と言われ、W杯南米予選でもコパアメリカでも最下位が定位置だったのですが、オイルマネーのおかげでしょうかペルーやボリビアのいる最下位グループから脱出し、近年急速に力をつけてきたチームです。

現時点において日本との力関係は、ほぼ互角と見ていました。

勝利へのモチベーションこそ十分でしたが、やはりというか今回来日したチームはスペインのシェレスでプレーするマルドナードやドイツのメンヒェングラードバハでプレーするアランゴらを欠く1.7軍。

ホームということもあり日本の勝利が不可欠の試合でしたが、引き分けという結果に終わってしまったことは大変残念だったと思います。

 試合展開の方は、双方が激しくプレスをかけあって流れがあちらへ行ったりこちらへ戻ったりと、一進一退となりました。

序盤からベネズエラの厳しいプレスに日本代表も戸惑いぎみでした。

前半16分、中央から小笠原選手が精度の高いミドルシュートを放つも相手GKがファインセーブ。 

ここから日本のぎこちなさがやや改善されました。

29分、日本のCKからゴール前へボールが送られ小笠原が飛びこむもうまくヒットせず。

31分、日本の左サイドを突破したベネズエラの選手がゴール前へクロス、これをフリーになったモレノがヘディングシュートするもゴール左へ外れヒヤっとさせられます。

後半立ちあがりも互角の展開。

日本のプレスが効いてベネズエラに決定的なチャンスは与えないものの、こちらの攻撃もうまくいかないというもどかしい状況。

しかし、14分に平山選手を入れて大久保選手を二列目に下げてからようやく攻撃が機能しだします。

18分、大久保の左サイドからのクロスを平山が頭で合わせますが、ベネズエラDFもきっちりと体を寄せてシュートはワクをとらえません。

20分、中央での崩しから稲本選手がミドルを狙いますがゴール左上へと外れます。

27分、やはり大久保のクロスをフリーの岡崎選手がヘッドで狙いますが、うまくヒットしませんでした。

このあと大量に選手交代が行われたため、攻撃の軸がぼやけてしまった感があります。

スコアはそのまま動かずに終了のホイッスルとなりました。

 それでは試合内容を見ていきましょう。まず守備面から。

日本代表は中盤のプレスがよく効いて、相手を日本のバイタルエリアに近づけさせない守備が良くできていました。

ただ前半に一度だけ、日本の左サイドにいた闘莉王選手が突破されてクロスが入った時、ゴール前にいた長友選手がボールばかり見ていて相手選手へのマークをずらしてしまい、フリーでヘディングシュートを許すという場面がありました。

幸いシュートはワクを外れてくれましたが、あれがエトオやカイト、ベントナーあたりだったら軽く決められていた可能性があります。

長友はオランダ遠征でも、一瞬ファンペルシーをフリーにして先制ゴールを許すきっかけとなっていましたが、自分のゴール前で集中力の欠けたプレーがたった一度でもあれば、90分間プレスをかけ続けた苦労が水の泡になってしまいます。

長友はどうしてマークをずらしてしまうのか良くコーチに相談して根本的な改善策を講じる必要があるでしょう。

試合結果を左右するゴール前の攻防において、日本代表はまだまだプレーの粗さが目につきます。

 攻撃面は、実質的なオフ明け一試合目ということもあるのでしょうが慣らし運転中といった感じでした。

中盤の組みたてでは散発的に良いダイレクトプレーが見られましたがまだパスの受け手の動きが緩慢で、ボール保持者が手を広げてパスコースを探すシーンが何回も見られましたし、ラストパスやクロスの精度も低かったです。

バイタルエリア内での攻撃では、時折良いミドルシュートを放つ選手もいましたが、ゴール前での「絶対に得点を奪う!」という迫力が欠けていました。

このあたりは今後の練習や試合で改善されていくとは思います。
 
 選手個々では何といっても小笠原が注目されました。

チーム全体の連携が悪かったことも関係していますが、精度の高いミドルシュートはさすがと思わせましたが、ラストパスやクロスの精度・バイタルエリアにおける崩しのアイデアについてはまだ物足りないです。

フィジカルが弱いのか、ベネズエラのプレスにかかって簡単にボールを失うシーンが二~三度あったことも気になりました。

平山は与えられたプレー時間そのものが短く、質の高いクロスがなかなか入らなかった点はかわいそうでしたが、彼がトップに入ったことで攻撃が活性化されたことについては今後に期待が持てます。

 逆に平山の前にトップに入っていた大久保なんですが、MFとしてチャンスメークの動きは悪くはありませんが、FWとして必要とされるものが決定的に欠けていることが明らかになったと思います。

以前にも指摘しましたが、自分でゴールを決める自信がないせいかシミュレーションに頼るクセがまったく直りませんね。

試合の前半、岡崎のシュートをGKがはじいて前へこぼしたシーンですが、GKがボールをキャッチする前に大久保がボールを奪うことができたのですがその瞬間大げさに倒れこみ、GKに足をはらわれたとレフェリーに見せかけるミエミエのシミュレーション。

GKがゴールマウスを空けてしまっているのですから、奪ったボールを中央へ折り返すなり自分でシュートまで持っていくなりすれば良いものを、せっかくの大チャンスをつまらない小芝居でつぶしてしまいました。

大久保はジーコジャパン時代の日韓戦においてシミュレーションで2枚目のイエローをもらって退場になり、チームに大変な迷惑をかけたことがあったはずです。

シミュレーションに頼ってばかりいる選手というのは、自分の力でゴールにねじこむだけの自信がないから、レフェリーの目をごまかしてお手軽にPKをもらおうとするのではないでしょうか。

サッカーが上手・下手以前の問題で、ファンの方には申し訳ないですが私が監督であればシミュレーションに頼るクセが直らない限り絶対にそのFWを呼ぶことはないでしょう。

平山も国見の先輩だからといって、悪いところを見習う必要はありません。

 岡田ジャパン、2010年初のホームゲームはドロー発進となりました。

ドローという結果は残念でしたし、試合内容の方もオフ明け一試合目にしてはまずまずかと思いますが、慣らし運転中といった感じでまだ実戦体勢が整っていないという印象を受けました。

次の試合でちゃんと戦闘体勢が整うのか、注目していきたいと思います。

 これは余談ですが、試合前の子供たちによる国歌斉唱はもう勘弁してもらえないものでしょうか。

児童合唱団の生徒さんには何の罪もなくこういうキャスティングをした大人が悪いのですが、「これから男たちが闘いにいくぞ!」という時に子供たちのほのぼのとした歌声を聞くと、心地よい緊張感が一気にゆるみ闘争心がヘナヘナ~と萎えるんですよね。

私は以前から芸能人の君が代斉唱は必要ないと言ってきました。

代表戦の収益低下で芸能人へ払う高いギャラが出ないので苦肉の策として子供たちに君が代を歌ってもらっているのではないかと推測しますが、吹奏楽団による厳粛な両国国歌の演奏の方がTPOにふさわしいと思います。

全国各地の警察か、大相撲の君が代演奏のように自衛隊の音楽隊に相談してみてはどうでしょうか。

例えば九石ドームで試合があるなら大分県警音楽隊陸上自衛隊西部方面音楽隊が適任ではないかと思います。

東京で試合があるなら警視庁音楽隊か、練馬にある東部方面音楽隊でしょうね。

サッカーの国際試合というビッグイベントなら警察や自衛隊活動の広報にもなりますし、快く引き受けてくれるのではないかと思います。

ただ、彼らもいろいろな行事に参加していますので要予約です。

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        2010.2.2 九州石油ドーム(大分)


      日本  0   -   0  ベネズエラ



     GK 楢崎         GK モラレス

     DF 長友         DF ロメロ
       闘莉王          レイ
       中澤           シチェロ
       徳永           サラサール
      (駒野 59)
                  MF ルセナ
     MF 遠藤          (ペロソ 84)
       稲本           グエラ
       中村憲         (ゴメス 81)
      (平山 59)        ディ・ジョルジ
       小笠原          フローレス
      (金崎 76)       (フエンマジョール 73)
       大久保
      (香川 85)      FW モレノ
                   (ファリアス 90)
     FW 岡崎           アリスティギエタ
      (佐藤 75)       (ロンドーン 68)






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