■2009年07月

■コンフェデの驚き

 南アフリカで開催されていた、W杯チャンピオンと各大陸カップ優勝国が集まりしのぎを削るコンフェデレーションズカップは、ブラジルの優勝で幕をおろしました。

この大会最大の驚きは、準決勝でスペインを破り決勝でも一時は2-0とブラジルをリードしたアメリカ代表でした。

アメリカ代表を見るのはドイツW杯以来でしたが、その時も結果こそ出ませんでしたが攻守にわたって高いレベルの組織力を誇る良いチームでしたし、今回のチームはそれが数段アップした感じでした。

選手個々の組織戦術の理解度で言えば、スペインと遜色なかったと思います。

親善大会ですので、ブラジルやスペインもケガをしないよう適度に力を抜いてやっていたでしょうし、前回のコンフェデでも日本が欧州王者のギリシャを破り、当時のW杯優勝国ブラジルと引き分けていますから、アメリカが次回W杯でも決勝戦に進めるかどうかはわかりません。

それでも2010年は、じゅうぶん決勝トーナメント進出が狙えるチームだと思います。

1990年代までは日本とさほど変わらないレベルだったのに、アメリカにはずいぶん差をつけられてしまった気がします。

 それにしてもアメリカは良いサッカーをしていました。

ユーロ2008で躍進したロシア代表のやり方なんかもそうなんですが、選手個々の能力で劣るチームが、自分たちより個の能力で上のチームに勝つ確率を高めるには、現状ではあのやり方しかないと思います。

組織で劣勢な個の能力をカバーし、しっかり守る。

攻撃では人とボールを走らせて、組織的に相手を崩し点を取る。

運動量で常に相手を上回り、90分で決着をつけられなくても粘りつづけ、相手の足が止まった延長戦で決勝ゴールを奪う。

それができないのなら最後まで相手にリードを許さず、PK戦で勝利をもぎとる。

高い組織力をベースにして、アルシャビンみたいな個の能力で秀でた選手がいればなお良い。

そういうサッカーです。

もう一点重要なことは、今度のW杯は久しぶりに冬に行われる大会で、決勝戦は10℃ぐらいだったと思いますが、気温が低い分、よく動けるので運動量の豊富な組織サッカーのチームが有利になるだろうと予想されることです。

 逆に「組織は個性を奪うからだめ。個の自由が大切」などという一見もっともらしいが、世界のサッカー戦術の進化とは正反対のやり方が流行し、個の能力で自分たちより上の相手に個で勝負をいどんで、当たり前のように「チンチンに」やっつけられたのが、ドイツW杯におけるジーコジャパンでした。

 さて、ちょっと細かくアメリカ代表のサッカーを分析しますが、守備の時は4-4-2のスリーラインの距離をそれぞれ一定に保って相手にスペースを極力与えないようにする、非常にコンパクトな陣形で守っていました。

アメリカの2トップが深い位置にいる相手のボール保持者にプレスをかけるときは例外ですが、それでも4-4のツーラインは絶対に崩しません。

選手全員が組織的によく鍛えられていて、まったくもって見事でした。

下図は日本代表の記事のときにつくったもので4-2-3-1のフォーラインになっていますが、これが4-4-2のスリーラインだと思ってください。

引きぎみ

        ↑ ↓

普通

        ↑ ↓

押しぎみ


 先月のウズベキスタン戦やカタール戦の録画と比べてみると本当にわかりやすいですが、日本代表の場合センターバックが下がった時、ボランチがそれについていくのが遅れるために、センターバックの前のバイタルエリアに大きなスペースを空けてしまいます。

そのため日本の4バックは孤立無援で相手の攻撃を防がねばならず、特にセンターバックの中澤選手にものすごく負担がかかるわけです。

横浜でのカタール戦における中澤選手の消耗ぶりは見ていて気の毒なぐらいでしたし、体調不良でオーストラリア戦を欠場したのは当然の帰結でした。

日本人サッカー選手はチーム隊形をコンパクトにして90分それを維持するというのが昔からとても苦手です。

岡田監督は「戦術論なら誰にも負けない」と豪語しているそうですが、こうした状況がずっと改善されないのはどうしてなのでしょうか?

何もこういったことは私だけが言っているのではなく、06年にオーストラリア代表を指揮したヒディンク氏も「当時の日本はDFとMFの間にかなりスペースがあった。後半に疲れるのは明白だった」と証言しています。  

 
 攻撃面でもアメリカ代表は非常に組織的で、特に決勝戦でブラジルから2点目を奪ったカウンターアタックは本当に美しかったです。

カウンターといってもロングボールをでたらめに放り込むのではなく、グラウンダーのショートパス・ロングパスを組み合わせて、デイビスとドノバンの二人のコンビネーションで相手守備陣の薄いほう薄いほうへとボールを動かして崩していく、まさに頭脳的なプレーでした。

遅攻の時でもそうなんですが、どこへパスするか次のプレーへの決断の速さ・的確さも見逃せないところです。

中盤でモタモタドリブルして「次はどこへ出そうかな」なんて悠長なことをやっていたら、常に準備が整った相手に向かって攻めなければならず、とてもスペインやブラジルの守備は崩せないでしょう。

 アメリカは、サッカーの教科書の基礎的なところはほぼ出来ていますから、あと1年基礎のところでミスをしないことと応用力をみがくことで、じゅうぶん決勝トーナメント進出への期待が持てます。

日本代表の場合、「試験」まであと1年しかないのに、応用どころかまだまだ基礎問題でとりこぼしが多く、「1次試験」で足切りされてしまう偏差値にとどまっています。

日本代表のW杯予選より戦術においても個の能力においてもレベルの高かったコンフェデの試合を見ながら、あと1年強化のために時間をじゅうぶんとって、真剣に練習やテストマッチをやらないと本当にヤバイと思います。




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