■2009年06月

■中村俊輔選手、エスパニョールへ移籍

 スコットランドの名門クラブ、グラスゴー・セルティックに所属していた中村俊輔選手ですが、スペイン・バルセロナ市を本拠とするエスパニョールへの移籍が決定しました。

よりレベルの高いリーグへの挑戦ということなりますが、中村選手本人にとっても日本サッカー界全体にとっても良かったと思います。

実はずっとスペイン行きで決まらないかなと考えていたぐらいです。

Jリーグ復帰を望んでいた方には申し訳ありませんが、欧州リーグで成功した南米選手の場合でも、母国の古巣クラブに戻る時というのは、もう歳をとりすぎてヨーロッパで通用しなくなったケースが多いですから、まだまだヨーロッパで十分やれる選手がJリーグに戻ってくるというのは、私は賛成しません。

残念ながらJリーグのレベルは、スペインやイングランドなど欧州各国リーグより見劣りするのは事実ですし、レベルの高いリーグでもまれた方がサッカー選手として成長し続けることができます。

出場機会があるか不安というのであれば、2部でも良いでしょうし、フランス・オランダ・ベルギー・ポルトガルといった欧州四大リーグよりちょっと下がるリーグのクラブでも、学べることはいっぱいあると思います。

 これで思い出すのが浦和の高原直泰選手で、2007アジアカップではあのオーストラリアから貴重な同点ゴールを奪うなど、アジアでも屈指のFWとして君臨していましたが、ドイツからJリーグに戻ってきてすっかり平凡な選手になってしまいました。本当に残念なことです。

アイントラハト・フランクフルトにいた07年当時、高原選手はチームの首脳陣と関係があまり良くなく思ったように試合に出られないと報道されていましたが、ちょうどそのとき浦和がACLで優勝し、クラブワールドカップに出場してACミランと対戦しているのを彼はドイツから見ていて、「浦和に行けばセンターフォワードのポジションは約束されたようなものだし、ACLで優勝すればミランやマンチェスター・Uなんかと対戦できるかもしれない」と考えて、浦和への移籍を決断したのかもしれません。

でも私は、ヨーロッパのクラブからオファーがあるのなら日本へ帰って来るべきではないと考えていました。

高原選手にフランクフルト以外の欧州クラブからオファーがあったという報道も当時されていたように思います。

 中村選手以外の海外組日本人選手も、続々と移籍先が決まっていますが、新天地での成功を心より祈っています。




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■日本、オーストラリアに力負け

 2010年W杯アジア予選の最終節、対オーストラリア戦は1-2で敗戦という結果となりました。

この試合で審判団はようやくノーマルなジャッジとなりましたね。

 さて、対戦相手のオーストラリアは現時点では日本より格上。
日本のホームで引き分け、アウェーでオーストラリアの勝利、ぐらいの実力差と評価していました。

1-2で敗戦という結果は順当だったと思います。

おそらく両チームともまだW杯出場を決めておらず、フルメンバーで対戦したとしても、かなりの確率で同じ結果になっていたのではないでしょうか。

しかし、日本はW杯で3位以上という目標をかかげているわけですから、どんなに悪くとも引き分けにしておかないといけません。

 試合経過をおさらいしておきます。

立ちあがりは両チーム互角の展開。

7分、オフサイドぎみにウラへ抜けたケーヒルが定石通りファーへシュートするも楢崎選手がセーブ、こぼれたボールのクリアがオーストラリア側へ渡ってステリョフスキーにシュートを打たれるも、日本の選手が体に当ててCKへ。CKからケーヒルのヘッドはゴールマウスを外れました。

19分、GKのミスキックを拾った松井選手がクロス、岡崎選手のヘッドはクロスバーの上。

40分、オーストラリアの時間を耐えた日本が反撃。
CKから中村憲選手が蹴ったボールをフリーになった闘莉王選手が打点の高いヘッドでゴールにねじ込み、日本先制。

 ここから目の色が変わったオーストラリアが攻勢を強めます。

後半10分・13分に松井や岡崎のシュートが外れた後の14分、日本ゴール前のFKからフリーになったケーヒルがヘッドで競り勝ってシュート、オーストラリアが同点に追いつきます。

32分、またしてもセットプレーから失点を許します。CKから阿部選手に競り勝ったケーヒルに逆転ゴールを叩きこまれて1-2。

このあと日本の攻撃をオーストラリアがしっかり守って、そのままタイムアップとなりました。

 それでは試合内容を攻撃から分析してみます。

中盤での攻撃の組み立てはウズベキスタン戦を大底に、カタール戦→オーストラリア戦と徐々に良くなっていました。

各選手から自分たちのやり方を取り戻そう、最後までやり抜こうという意志が見えたのはとても良かったと思います。

ただ、ショートパスによる組み立てでミスが多く、オーストラリアに簡単に攻撃権を渡してしまったのは残念でした。

原因は、パスの受け手のポジショニングがまずいのが一点。

そしてパスの出し手が、足元にしっかりと出すわけでもない、かといって敵選手がいないスペースに出すわけでもない、非常に中途半端なショートパスを出してしまうことが二点目です。

結局、相手の守備陣形をグラウンダーのショートパスで崩す時の基本がまだまだ理解できていないということであり、少なくともミドルサードでは、パスの出し手はどういう時にパスを出して良いのか、受け手はどこでパスを待ったら良いのか、それぞれの約束事をハッキリと決めておくべきです。

グラウンダーのショートパスをつなぐときの基本事項

W杯までたった1年という段階で、こういうベーシックな部分ができていないというのは危機的状況だと思います。

 得点シーンは、中村憲がスペースへ精度の高いCKを蹴ったことと、闘莉王がうまく自分のマークを振り切ってフリーになり、落ちてくるボールに全力で飛び込んだことが勝因でした。

本来ならケーヒルが闘莉王をマークすべきだったのでしょうが、一瞬応対が遅れたことも得点につながりました。

どうも日本サッカー界には、身長の高いチーム相手にサイドからのクロスボール攻撃は通用しないという思いこみがあるみたいなのですが、精度の高いクロスを相手の選手と選手の間のスペースへ正確に落とし、うまく相手のマークを振り切って落ちてくるボールに全力で飛び込んでヘッドすれば、日本代表でも得点できるということをこの日の得点は証明しています。

日本代表の場合、相手の身長が高いからといってサイドからのクロスをためらってしまったり、クロスを受ける選手も、その場でジャンプできる範囲内のボールしかヘッドしないという傾向がありますが、それではサイドからのクロス攻撃が機能しないのも当然です。

その点日本人FWとしては希少価値のある、スペースへ飛び込むダイビングヘッドが得意な岡崎がブレイクしたのも必然だったのでしょう。

ゴール前でのヘディングシュートの基本

 つづいて守備面ですが、各選手から中盤でのプレスをしっかりやる、チーム隊形をコンパクトにするという意志を感じ取ることができたのは良かったと思います。それがより完成度の高いものに近づくように、継続していって欲しいと思います。

最初の失点シーンは、ケーヒルについていた阿部がどういうわけか途中でマークを放してしまい、ほぼフリーでヘディングシュートを打たれたことが敗因でした。

今年はじめのイエメン戦でも言いましたが、オーストラリアはもちろんスペインやドイツ・ブラジル相手にW杯本番でこういうプレーを10回やったら12点叩きこまれるでしょう。

自軍ゴール前でマークすべき相手選手をフリーにしてしまうというのは、サッカーの上手・下手、戦術うんぬん以前の問題であって、相手のCK・FKやクロスに対してはまず日本の選手が最初にボールに触る、それがどうしてもできない時はそれであきらめてしまうのではなくて、最後まで相手選手に自分の体を密着させフリーでやらせない、相手のヘッドをできるかぎり弱めてGKを助けるということは全てのフィールドプレーヤーとって最低限の義務です。

これは阿部1人の問題ではなくて、日本人選手全体の問題ですが、W杯まであと1年を切っている段階で、こういうベーシックなところが未だに徹底されていないというのはかなり危機的な状況です。

 2失点目は、阿部がケーヒルとの一対一の勝負で負けたことが全てでした。

ケーヒルはW杯予選初失点の原因が自分にあったことを理解して、日本にリードされて以降、普段より増して積極的にプレーし、ミスを取り返そうとしていました。

ミスを取り返すどころか決勝点を決めておつりが来る活躍でした。

ファンの方には申し訳ないですが、現時点において阿部に世界レベルの試合でセンターバックを任せるのは荷が重過ぎるようです。

山口・槙野両選手がいたのですから、同じ失敗をするにしてもまだ槙野に経験を積ませた方が良かったのではないでしょうか。

 選手個々の評価では、カタール・オーストラリアとの二連戦で、阿部・今野・橋本といったレギュラーポジションを取れていない選手が起用されましたが、何としても自分がレギュラーポジションを獲得してW杯に出てやるという積極的な姿勢が伝わってきません。

自分のマークを放して相手がフリーでプレーするのを立ち止まって見ている、攻守の切り替え時でも自分のポジションに戻るのが遅い、せっかく相手ゴール前でシュートチャンスをもらってもパスすることばかり考えている、といった具合にプレーがとても消極的です。

これでは世界で戦えません。

代表に新しい選手を入れてどんどんチャンスを与え、控え組はもちろんレギュラー組にも危機感を持たせることで、よどんで腐りかけた水を一掃すべきです。

今までの実績にあぐらをかいて、「控えでも良いから南アフリカへ行って、記念に10分でも試合に出られればそれでいい」と考えるベテランをいれるぐらいなら、経験も実績もなくとも「何としても代表でレギュラーポジションを取り、南アフリカで活躍してリーガエスパニョーラやプレミアリーグのスカウトにアピールしてやる」と考える10代の選手の方がよっぽどいい。

監督の代表選手選考や試合での起用法についても、年功序列を重視した、消極的な安全策ばかりになっているのではないでしょうか。

 アジア予選の最終戦は、サッカーの基本を最低限おさえられているオーストラリアが、基本がまだ完全にはできていない日本を破るという順当な結果となりました。

ただ、現時点でオーストラリアがW杯で決勝トーナメントに行けるかどうかは五分五分でしょう。

 W杯アジア最終予選を総括すると、日本の2位通過は順当な結果だったと思います。

岡田ジャパンは当初、W杯で3位以上という目標をかかげましたが、今予選中、決勝トーナメント進出を狙えるようなレベルのサッカーができたのはアウェーのカタール戦1試合のみであり、現在の状況では決勝トーナメント進出すら危ういように思われます。

日本が2002年W杯で決勝トーナメントに進出した熱気が残っていた06年W杯予選では、ドイツ行きを決めた対北朝鮮戦の視聴率は40%を越えていました。

ところがドイツでの大敗の後、オシム前監督が「全員で(止まってしまった日本サッカーという)車を強く押さなければならない」 と危機感をあらわにしたように、代表人気も凋落、南アフリカ行きを決めたウズベキスタン戦の視聴率は半減の20%台という状況です。

国民は、日本代表がグループリーグ敗退の次のステップへ進むことを期待しており、南アフリカでもう一度大敗するようなことは、許されない状況です。

代表とJリーグは日本サッカーにとって車の両輪であり、どちらが欠けても前へ進めなくなってしまいます。

 岡田ジャパンのたてたW杯3位以上という目標が実現するところをぜひ見たいと私も思います。

そのためには、いついかなる状況でもサッカーの基本を押さえたプレーができるように練習で一つ一つ地道につぶしていく、いったん覚えた基本は二度と忘れない、同じ失敗を二度と繰り返さないということを、地に足をつけてやって欲しい。

優秀な監督なら、1年あれば本番にギリギリ間に合う最後のチャンスです。

もし私がJFAの会長であったなら、岡田監督がそうした問題意識をそもそも持っているのか、具体的なソリューションを持っているのか良く話し合いをして、正しい解を用意できないと判断すれば、スッパリ監督を変えて積極的に勝負します。



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     2009.6.17 メルボルン・クリケットグラウンド


     オーストラリア  2  -  1  日本


     ケーヒル '59          闘莉王 '40
     ケーヒル '76


     GK シュワルツァー       GK 楢崎

     DF ニール            DF 闘莉王 
       ノース               長友
       ステファヌット           内田
       ウィリアムズ         
      (バーンズ 78)        MF 阿部
                          今野
     MF ケーヒル             橋本
      (ビドシッチ 86)         (興梠 84)
       カール               中村憲
      (マクドナルド 78)         松井
       カリーナ             (矢野 68)
       グレッラ
       ステリョフスキー       FW 岡崎
                           玉田
     FW ケネディ




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■カタール戦、空回りのドロー

 2010年W杯アジア最終予選、日本にとっては事実上の消化ゲームとなってしまった対カタール戦が横浜で行われ、1-1で引き分けという結果となりました。

 いや~それにしてもカタールの首都でやった試合かと思いました。

この試合もウズベキスタン戦に引き続き、9割がた政治力(ぶっちゃけて言えばイカサマ)がかかっていたように思えます。

「アジアサッカー連盟(AFC)のハマム会長の出身国であるカタールがW杯に出られないのではカッコがつかない。日本はもうW杯出場が決まってんだし、この試合は負けとけ。な。」という天の声があったか、

前々回にお話したとおり、FIFA理事選でハマム会長の落選を狙って失敗した日本サッカー協会への報復か。

それを生かす?ことができず、W杯プレーオフ行きの切符を逃してしまうカタールもなんだかなぁ、という話ですが。

 正々堂々と戦えれば、日本はホームでもアウェーでもカタールに勝てる実力差はあると評価していましたが、引き分けという結果は残念でした。

W杯行きをすでに決めている日本としては、モチベーションの維持が難しかったと思いますし、審判もアレでしたからやむをえないところもあるでしょう。

PKからの失点はあんまり気にする必要はないと思います。

ただW杯3位以上をめざすなら、審判が向こうの味方であっても、問題なくあのレベルの相手には勝っておきたいところでした。

選手たちも、政治力が働いていると試合中に気づいたら、どうやれば勝てるか、どういうことは避けるべきかということを、この試合の経験から学ぶことができれば、これからきっと役に立つことがあるでしょう。

 つづいて試合展開を振り返っておきます。

立ちあがりはほぼ互角の展開。

日本は、前からプレスをかけてリズムよくショートパスをまわす、これまでやってきたスタイルを取り戻そうとしていました。

これに対し勝たなければW杯行きが無くなるカタールも、DFラインを高く保って前からプレスをかけて攻めてきます。

DFラインを高く保ってコンパクトな陣形をとる湾岸アラブのチームというのは、初めて見た気がします。

 2分、中村俊選手のすばやい展開から右サイドを突破した内田選手が中央へクロス、これをカタール選手がクリアミスしてオウンゴール。早くも日本が先制します。

10分、右サイドを突破したカタール選手がクロス、ゴール前左にフリーでいたシディクのヘッドは枠をとらえず。

30分、左サイドから今野選手がクロス、橋本選手がヒールでシュートするが惜しくも外れます。

このあたりから攻守にわたって日本の足が止まりはじめ、カタールに押し込まれ続けるウズベキスタン戦と似た嫌な展開。

カタールの攻撃を何とかしのいだ44分、左サイドから日本のクロスが入り、こぼれたボールを闘莉王選手が押し込んで起死回生のゴールかと思いきや、その前にハンドの判定。

 後半も、同様の展開。

8分、日本のペナルティエリア直前で中澤選手と併走していたカタールの選手が倒れて、これが何と、まったくあり得ないPK判定。カタールが同点に。

しかし15分すぎあたりから、カタールが攻め疲れたのか足がパッタリと止まると、再び日本が攻撃できるようになります。

ここから日本が何度か決定機をつくりますが決めきれず、30分をすぎると日本の足も止まりバテバテに。

あとはゴール前で危険なミスがでたりして、ノーガードの打ち合い状態になるも両者とも決定力に欠けて得点できず、異様に長すぎるロスタイムも消費してそのままタイムアップとなりました。

 それでは試合内容の方を分析します。まずは攻撃から。

攻撃面では、選手個々がボールの持ちすぎ、単調なロングボール攻撃ばかりになって苦戦の原因をつくったウズベキスタン戦の反省から、チーム全体が忘れかけている、これまでやってきた攻めのコンセプトを取り戻そうという努力が見えたのは評価できます。

相手のオウンゴールを誘った日本の攻撃も、すばやいパス回しから中村俊が速い判断で右サイドへ展開して、戻りきれない相手をサイドから崩したもので、良い攻めの形だったと思います。

中村憲選手も、普段はロングの浮き球をパスとして多用しますが、今回はグラウンダーのスルーパスを岡崎に通すことで、単調な攻めになるのを防ごうとする意識が見えました。

先制してからも攻撃をスローダウンさせず、気持ちで守りにはいらないよう努力していました。

そのため攻めのリズムがかなり良くなり、先制点につながりました。

 しかし前半30分すぎから試合終了まで、相手の足が止まった後半の15分間を除いて、日本の攻めがまったく機能しなくなります。

その原因はウズベキスタン戦とまったく同じであり、詳細についてはウズベキスタン戦の記事(その1その2)を読んでいただくとして、日本の中盤の選手に変な余裕が出てきたのか普段のやり方を捨て、またしてもロング一本のパスで試合を決めようとして、攻めが単調になってしまいました。

中村憲も浮き球からグラウンダーに切り替えて悪いリズムを変えようとしたのは良かったのですが、岡崎にウラばかりを狙わせてひたすら一本のパスを通そうとするのではなく、例えば相手センターバックの前のスペースで岡崎にボールを受けさせることでワン・クッションを置いて、自分や中村俊が岡崎を追い抜いて、DFラインのウラでスルーパスをもらってシュートすれば、攻めのオプションに幅を持たせることができます。

 ところで、ちょっと前に発売された名古屋のストイコビッチ監督の顔が表紙になっている号のスポーツ雑誌「ナンバー」は皆さんご覧になったでしょうか。

ストイコビッチ監督インタビューイタリアから来た戦術オタク記者のJリーグ観戦記が載っているのですが、彼らが日本サッカーを見て気づいた戦術的な問題点というのが実に的確な指摘で、ぜひお読みになることをお勧めします。

ストイコビッチ監督が一番好きなチームはマンチェスター・ユナイテッドだそうで、マンチェスター・Uのようなチームを作るために最も重要なものとして、「コレクティブ(組織的な)・スピリット」をあげています。

「(マンチェスター・Uの選手たちは)ゲームにおける自分の役割、そして責任というものを完璧に理解していて、好き勝手にプレーする選手なんて一人も見当たらない」「どの選手もとてもフットボール・インテリジェンスが高い」とストイコビッチ監督は言います。

それと同時に自分が監督をつとめる名古屋の選手に対し、パスやトラップといった技術面でのミスはしょうがないが戦術的なミスは絶対に譲れない、「戦術的なミスを犯すということは、コレクティブ(組織的)にプレーすることに対する意識が低いことを意味する。つまりチーム全体のことを考えていないということなんだ」とインタビューに答えていました。

 ウズベキスタン戦でも今回カタール戦でも見られたように、日本代表の、特に中盤の選手がボールを持ちすぎ、自分の一本のロングパスで試合を決めてやろうとこだわり続けるのは、独り善がりなエゴにすぎないと思います。

たぶん「自分が決定的なパスを出せば、チームの勝利に貢献するのだから、独り善がりではない」という考えなのかもしれませんが、決定的なパスを出してやろうと1人の選手がボールを長く持ち、パスの出しどころを探しつづけるという行為そのものがチーム全体の攻撃のリズムを悪くして勝利から遠ざけてしまう、自分勝手なエゴなのです。

敵ゴール前ならいくらでもエゴイストになって、ゴールを決めてヒーローになって一番目立って欲しい。

しかし現代サッカーにおいては、ゲームをつくるミドルサードでエゴイストになる選手が出れば、そのチームは勝つのが難しくなります。

 中村俊は、ゴール前のFKのときに重要な戦力になってくれる選手ですし、ロングキックの練習に惜しみない努力をし続けている点も尊敬しています。

しかし、現在日本代表の攻撃がうまく機能していないのは、10番を任されている攻撃のリーダー・中村俊の責任が大きいと思います。
 
攻撃のリーダーである中村俊がロング一本のパスにこだわり続け、ロングが通らないということで中盤で無謀ともいえるドリブル突破をはじめると、周りの選手は彼が1人で局面を打開するのを足を止めて待つ「ボールウオッチャー」になってしまいます。

そして中村憲・遠藤・長谷部・大久保・玉田といったまわりの選手も、リーダーである中村俊につられて同じようなプレーをはじめ、チーム全体の攻撃がロング一本の単調な攻めになってしまうのです。

ストイコビッチ監督に言わせれば、「フットボール・インテリジェンスが高くない、サッカーIQが高くない」ということになるでしょう。

ウズベキスタン戦や今回のカタール戦、皆さんは楽しかったですか?

私はぜんぜん楽しくなかったです。もっと楽しいサッカーが見たいです。

 昨年11月のW杯予選・カタール戦は岡田ジャパンのベストゲームで、唯一、W杯決勝トーナメント進出が狙えるレベルのサッカーだったと、何度も言ってきました。

日本代表、カタールに充実の勝利!!

日本代表、カタールに充実の勝利!!(その2)

その試合よく思い出して見ると、中村俊が左ひざのケガでほとんど動けない状態でした。

彼は、ボールをもらうと痛めたひざに負担がかからないよう、ワンタッチ・ツータッチでシンプルにパスをしていましたし、中村俊があまり動けない分、他の中盤やFWの選手が一生懸命動いて、連動性の高い、フットボール・インテリジェンスにあふれた攻撃を展開していました。

試合を見ていてとてもワクワクしましたし、実際アウェーという不利な状況で、カタールに3-0で勝利というパーフェクトマッチだったわけです。

日本代表の調子が悪くなったときは、このカタール戦の録画を見ろと言ってきましたが、この試合にこそ日本の攻撃がどういうときに機能するのか、その重大なヒントが隠されています。

 守備面でも課題はウズベキスタン戦と同じです。

90分を通してチームをコンパクトにしつつ、ポジションチェンジを行ってもチーム全体の陣形は変えてはいけないということが守れなかったために、カタールに押し込まれる原因となりました。

阿部・橋本の両ボランチが、下がって行くDFラインについていくのが遅れ、DFラインの前に広くスペースを空けてカタールに使われてしまうという、危険な状況を自らつくりだしていました。

サイドバックも、ボランチが見てくれるはずの敵選手を見れば良いのか、サイドをあがってくる本来マークすべき選手を見れば良いのか混乱して、敵をフリーにしていました。

たとえば4-2-3-1の4ラインを30m前後に収めるということは、ラインとラインの間は最も広がった状態でも8mぐらいまでということになります。

試合中、選手はそのことを常に意識してポジショニングを考える必要があります。

 チームが間延びしていると、それだけ必要のない無駄な走りをしなくてはいけません。

これによって、勝つために1点がどうしても欲しい、絶対に1点を守りたいと思っても、それがわかっているのに足が動いてくれないということが起こってしまいます。この試合のように。

W杯決勝トーナメントでスペインやドイツと当たった時、90分間を何とか同点に持ちこんでも、無駄に体力を消耗している分だけ日本の足が止まって延長戦で失点とか、PK戦で足がつって思うようなキックができずに敗退する、といった可能性が高くなってしまいます。

W杯で3位になれるチームは、豊かな経験でそういうことを知っているということです。

 今回のカタール戦は結果も内容も残念なものでしたが、モチベーションや政治力の問題もあって、ある程度やむをえないところがあったと思います。

それでも、日本代表がW杯で3位をねらうにはサッカーの基礎がまだまだできていない、ストイコビッチ監督がおっしゃるサッカーIQが高くないという課題がはっきりした試合でした。

決して今回の苦戦は、単純な疲労が原因ではありません。

カタールを含む他のすべてのチームの条件は同じですし、そもそもウズベキスタン戦であれほど日本が消耗した原因は必要のない無駄な動きが多いからです。

南アフリカ行きを決めてもなおオーストラリアは、休養十分・モチベーションバリバリのバーレーンを中3日でホームに迎えて、キッチリと2-0で勝利しています。

いまだオーストラリアはこの予選・無失点を続けており、現状において日本との力の差をハッキリと感じます。


 (本人が了承してくれることが前提になりますが、若い本田選手や試合にあまり出ていない松井選手はオーストラリア遠征につれていった方が良いように思います。向こうがどんなメンバーで来るかわかりませんが、オーストラリアに対して自分たちのサッカーを最後までやり切るということが貴重な経験となるからです)


 

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        2009.6.10 横浜国際総合競技場


        日本  1  -  1  カタール


 O.G.(アル・ビナリ) '2      ヤヒヤ(P.K.) '53



        GK 楢崎       GK ブルハン

        DF 中澤       DF アブドルマジド
           闘莉王        ラジャブ
           今野         ザヘル
           内田 
                     MF アル・ヤジディ
        MF 橋本          モンテジン
           阿部         (アル・ハマド 70)
          (松井 58)       シディク
           中村俊
          (本田 81)    FW ヤヒヤ
           中村憲        (アル・ハイドス 87)
                        マジド・ハッサン
        FW 玉田         (ユーセフ・アリ 54)
          (興梠 67)       モハマディ
           岡崎          アル・ビナリ




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当ブログ参考記事・地のサッカー

当ブログ参考記事・連動性に欠ける岡田ジャパン


  

■W杯出場決定も、いろんな意味で後味の悪い試合(その2)

前回からのつづきです。

 守備面では、中澤を中心とした日本ゴール前の最後のところは良くかんばっていたと思いますが、中盤でまったくプレスがかからず、相手にいいようにボールを拾われ回されてしまいました。

その最大の原因はセットプレー中は例外としても、ゲームの始めから終わりまで、例えば4-2-3-1ならその四つのラインを常に一定の幅にし、FWからDFまでを30m以内に収めなければならないというチーム戦術の基礎ができていないからです。

引きぎみ
(クリックで拡大)

     ↓  ↑

普通

     ↓  ↑

押しぎみ

バルサやマンチェスター・Uの試合を見ていると、試合終了5~10分前には多少崩れるところもあるかもしれませんが、ほぼ90分間チーム全体の形はほとんど乱れません。

ところが日本代表の場合、上下にオーバーラップや左右のポジションチェンジをするのは良いのですが、ある選手が本来の位置から動いたとき、チーム隊形が維持しつづけられるよう他の選手が必ずそのスペースを埋めてカバーするという意識が希薄なので、試合をやっていくうちに、チーム隊形が崩れていきます。

この試合、まずDFラインが怖がって深くなりすぎていました。

そして下がるDFラインにボランチがついていくのが遅れ、ボランチが下がるのに二列目がついていくのが遅れ、結果として中盤にスペースを広く空けてしまいました。

そのためどうしてもDFのクリアが広く空けてしまった中盤に落ち、それを拾うのはいつも敵選手で、相手に押し込まれる一方となってしまうのです。

こうした課題は今にはじまったことではありませんが、なかなか解決されません。

 攻撃に関してはバーレーンに負けたときなどに典型的にあらわれるパターンですが、各選手ともいつもの早いパス回しがまったくできず、ロングボールの蹴り合いになってしまいました。

苦しい試合にはいつも「日本の地のサッカー」が出てしまうのです。

中村憲が浮き球のミドルパスから岡崎の得点をアシストしましたが、あれが通用してしまうのがウズベキスタンがW杯に出られない理由の一つでしょう。

ただ、浮き球のロング・ミドルパス攻撃が機能したのはこれ一回ぐらいで、あとはウズベキスタンDF陣がきっちり修正してきて、日本はまったく攻め手を失ってしまいました。

ここで攻撃を別のオプションに切り替えることができればよいのですが、ロングパスを一本調子に放り込んで、身長が高くフィジカルの強い相手にことごとく拾われてしまう、それじゃあと苦しまぎれに単独でドリブル突破をはかりますが、やっぱり屈強な相手選手にあっさりとボールを奪われてしまいました。

ロングパスの攻撃はどうしても自らの陣形を間延びさせますが、それが原因で選手同士のサポート距離も開きすぎてしまい、ショートパスで崩す自分たちのサッカーをやろうとしてもできません。

W杯予選の雰囲気に飲まれ、冷静さを失っていました。

ロングパスの攻撃一辺倒になり、パスがつながらなくなってきたら、落ちついてもう一度チーム隊形をコンパクトに整えて、ショートパスをつないで試合の流れを自分たちの方へ引き戻すということができるようになれば、日本は強くなると思います。

 選手個人の面では、岡崎のファイティングスピリットにチームは救われたのかもしれません。

逆に彼をのぞく、中盤の選手があまり機能していません。

中村俊も大ブレーキ。

ボールを持ちすぎてチーム全体の攻めのリズムを狂わせ、強引なドリブルを仕掛けてはあっさりボールを失い、ノールックでバックパスをすれば相手へのプレゼントボールとなって、敵のカウンターの基点となっていました。

止まったボールを蹴るのはともかく、流れの中からまったくといって良いほどゲームをつくれていません。

ショートパスをまわして日本代表がボールを支配し続けるかぎり問題があらわれてくることはありませんが、相手にボールを圧倒的に支配されてしまうと、中村俊・遠藤・中村憲の守備面での弱さが目立ちます。

パス能力は高いがフィジカルが弱くボール奪取をあまり得意としないタイプばかりを中盤に並べることについて、チーム全体のバランスを再検討すべきかもしれません。

 タシケントでのウズベキスタン戦は、W杯ドイツ大会でも見られた、プレッシャーのかかる大一番で日本代表は自分たちの普段のサッカーを見失ってしまうという、最大の弱点がまたしても出てしまった試合でした。

岡田ジャパンはW杯3位以上を目標としているはずです。

アジア予選の段階でウズベキスタン相手に1点取ったら「これを守りきろう」と逃げに入ってしまうようなメンタルの弱さをかかえていたのでは、このゴールが決まればライバル国に得失点差で1上回ってグループリーグ突破が決まる、このPKが決まれば2010年W杯準決勝進出が決まるという場面で、どうして冷静にシュートを決められるでしょうか。

スペイン・ドイツ・ブラジルなどが当然出てくるであろうW杯で、日本が3位になるということはそういうことです。

こういうメンタル面の課題は、プレッシャーがかかるアジア予選のうちに克服しておきたかったです。

しかもプレッシャーがかかる真剣勝負は、もうW杯本番までないのです。

例え相手がスペイン・ドイツ・ブラジルでも、日本が負けて失うもののない親善マッチでは、あまりメンタル面での鍛錬にはなりません。

親善マッチでは相手もケガをしたくないので、フィジカルでガチガチくることはありません。
だからこそフィジカルの弱い日本でもそこそこ善戦できてしまうのです。

ドイツ大会で惨敗したジーコジャパンも、親善マッチではドイツ・イングランド・ブラジルに引き分けることができたことを忘れるべきではないでしょう。

キリンカップのベルギー戦後に言ったように、親善マッチでできたことがW杯予選本番でできなくなるのでは意味がないと警告しましたが、ウズベキスタン戦でそれが現実となってしまいました。

 私は岡田ジャパンが3位になるところを是非みたいと思っています。

ですからこの記事を真剣に書いていますが、そのために必要とされるサッカーのレベルにはぜんぜん足りないのです。

 もしかしたら岡田さんは、選手が自分たちの力だけで正解に気づくことを待っているのかもしれません。

サッカーの教科書の基礎と応用を90%以上マスターしておくのは最低限、運にも恵まれてようやく到達できるのがW杯3位以上というゴールです。

現在の日本代表は、応用どころか基礎の部分さえ十分にマスターできていないレベルです。

W杯までわずか1年。

世界トップレベルの国とのテストマッチをやれたとしてもたったの数試合。

クラブチームならまだしも、選手が自分たちの力だけで正解に気づくのを待っていたのでは、けっきょく時間切れで2010年W杯は3試合で終了という可能性が高いです。

それではジーコ元監督の失敗の二の舞です。

 明治以降の日本は、自分たちの力だけで鉄道・自動車やコンピューターをつくれるようになったわけではありません。

欧米先進国から学びそれに日本人らしい創意工夫をプラスすることで、世界から奇跡と呼ばれるほどの急スピードで先進国・日本ができあがりました。

先駆者の知恵や経験から学ぶことは恥ではありません。それはサッカーとて同じです。

スペインやドイツ・イングランドといった先駆者の経験や知恵から良いところを学び、すばやく効率的に成長できるというのが二番手以降の強みです。

これから世界トップレベルの航空会社をつくろうとするとき、すでに最新鋭のジェット旅客機が発明されて売っているのに、わざわざ自分たちの力だけでプロペラ複葉機を部品からつくりはじめる必要はないと思います。


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    2009.6.6  パフタコール・マルカジ・スタディオニィ
                    (タシケント)


     ウズベキスタン  0  -  1  日本

                 
                       岡崎 '9



     GK ネステロフ         GK 楢崎

     DF イスマイロフ        DF 駒野
        トゥフタフジャエフ       中澤
        スユノフ             闘莉王
       (S.ジュラエフ 83)       長友

     MF カリモフ          MF 遠藤
        アフメドフ            長谷部
        カパーゼ            中村憲
        ハサノフ           (本田 66)
        ジェパロフ           中村俊
        F.タジエフ          (阿部 90+) 
       (ソリエフ 61)
                       FW 岡崎
     FW ゲインリフ           大久保
       (エルキノフ 75)       (矢野 69)




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■W杯出場決定も、いろんな意味で後味の悪い試合

 タシケントで行われた2010年W杯アジア最終予選の対ウズベキスタン戦は1-0で日本が勝利、日本が4大会連続4度目のW杯出場を決めました。まずはおめでとうございますと言っておきます。

 この試合のシリア・セットの審判団みたいに、こんな露骨なホームタウン・デシジョンは久しぶりに見ましたが、99%政治力(つまりイカサマ)が働いていたと思います。

負ければW杯出場の目がなくなってしまうウズベキスタン側が審判団にお金を積んだか、最近行われたアジア枠の国際サッカー連盟(FIFA)理事選挙において、現職のアジアサッカー連盟(AFC)会長であり、オーストラリアや中国が支持するカタール人のハマム候補落選をめざし、日本と韓国がバーレーン人の対立候補を応援した(結局、日韓側が敗れハマムAFC会長が当選)ことへの報復として、あのような審判団がAFCから派遣されたか。

「犯行動機」はだいたいそんなところと推測されます。

(どちらにせよ、FIFA会長就任への野望をいだく韓国のチョン・ムジュンFIFA副会長が、FIFA会長選を争うライバルであるハマムAFC会長を「汚職まみれだ」と批判し、それに乗せられわざわざ負け組についた、ナイーブでマリーシアに欠ける日本サッカー協会(JFA)の失態。韓国のチョン・ムジュンのやり方だって独善的で相当あくどいことは日韓W杯で日本も嫌というほど思い知ったはずだろうに。

さらに、こういう恣意的な政治力を排除し、日本戦をさばく審判団が公平なジャッジを下すようにさせるのが、小倉FIFA理事をはじめとするJFA幹部の役目。

アジアで数少ないFIFA理事を輩出している日本のゲームで、こういうことが起こること自体、あってはならないことだ)

☆日本“敗北”でW杯招致に影響も(産経ニュース)

ただ、「それもサッカーというスポーツやアウェー戦の一部分」ということで、汚職がはびこる発展途上国がほとんどであるアジアの、そして世界の現実として受け入れなければいけないのかもしれません。

当ブログで対戦相手の戦力分析をするとき、「互角の相手なら、ホームで日本の勝ち、アウエーで日本の負け」という言い方をよくしますが、「実力が互角なら2引き分けじゃないの?」と変に思われた方もいるのではないかと思います。その意味はこういうことです。

相手がどこだろうと、いくらホームで真剣みに欠ける親善マッチを重ねたところで、あまり強化にはならないということでもあります。

政治の話はこのあたりにしておきますが、今回の対戦相手ウズベキスタンは、日本とほぼ互角の戦力と私は見ていました。

よってアウェー戦は引き分けで勝ちに等しいと言いたいところですが、バーレーンもオーストラリアもウズベキスタンとのアウェー戦は勝っているので、日本も勝っておきたいところでした。

1-0で勝利という結果はとても良かったと評価できます。

監督にとって一番難しいのは、チームが試合に勝ってお祝いムードになっているところで、その試合であらわになった致命的な問題を、選手に真剣に受けとめさせ改善させることではないかと思いますが、ウズベキスタン戦は試合結果とは逆に内容がとても悪く、致命的な問題が次々と噴出しました。

ドイツW杯惨敗の屈辱を南アフリカではらす、W杯で3位以上をめざすというのが岡田ジャパンの目標ですが、この内容では決勝トーナメント進出すら危ういと思います。

 試合展開をふりかえります。

前半立ちあがりは互角の展開。

9分、相手センターバックの前のスペースでボールを持ち敵ゴールを向いた中村憲選手が浮き球のパス、これをウラへ抜け出した岡崎選手が受けてシュート。いったん相手GKが防ぐものの、はねかえったボールを岡崎がヘッドで押し込んで日本が先制。

13分、ゴール前のFKから遠藤選手がシュート、ポストにはねかえったところを大久保選手が押し込むが、オフサイド判定。

しかし、20分すぎから日本は1点を守ろうという意識が強くなったのか攻守に足が止まり、立ち止まって相手のプレーを見ている選手が増えてきます。日本人選手の本当に悪いクセです。

これによって相手に一方的にボールを支配され押し込まれて、ゲームのコントロールを失ってしまいました。

選手が自力で反撃の糸口を見つけることがまったくできません。

34分、ウズベキスタンのCKを楢崎選手がパンチング、これをアフメドフがシュートしますが、ゴールマウスは外れました。

43分、ゴール前でのゲインリフのFKは大きく外れ、44分のスユノフの強烈なミドルシュートは楢崎の正面で助かります。

45分、タジエフのスルーパスが通れば決定機という場面は長谷部選手が危うくクリア。

 後半も日本代表の消極的な守りの姿勢は同じで、ゲームの流れはぜんぜん変わりません。

14分、中村俊選手の不用意なミスでボールを奪われ逆襲を食らいます。しかしジェパロフのラストパスは楢崎がおさえました。

21分と24分、まったく機能しない中盤に本田・矢野選手を投入しますが、遅すぎました。
ここまでで選手全員がすっかり疲弊してしまい、数人を入れ替えたところでチーム全体の運動量の激減を補うことはできません。

35分、FKからジェパロフのボールは日本のゴール前スレスレを通過。誰かさわれば1点というケースでした。

44分、不可解な判定で長谷部が退場、日本はいっそう苦しくなります。

46分、ウズベキスタンのミドルシュートを楢崎がファインセーブ、これが最後の決定機となり、試合終了のホイッスルとなりました。

 つづいていつものように試合内容を分析します。

この試合、ここまで苦戦した最大の原因はウズベキスタンが強かったからでも、審判団の不可解な判定のせいでもありません。

自信が無く、弱気で消極的であるという日本人選手最大の弱点がぜんぜん克服できていないからです。

日本代表の選手はしっかりとした技術はあるのに、どうして自分自身を信じてやることができないのでしょうか?


1点とったらそれを大事に大事に守ろうとする気持ちが攻守両方とも積極性を失わせて足が止まり、数が足りているのにプレーには関与しない「死に駒」の選手が増えてくる。

とうぜん相手にボールを支配されてガンガン攻めこまれ、あえて相手に攻めさせているのではなく、ゲームのコントロールを失って流れを引き戻すことすらできなくなってしまうという、日本代表が苦戦する典型的なパターンです。

2点先制したところでレギュラー組が試合を「流して」しまったキリンカップのベルギー戦で、そうした予兆はすでにあらわれていたと思います。

 別にいつもセンターバックを残して全員攻め上がれと言っているわけではありません。
相手に押し込まれる時間だってあります。

しかし1点をとってもなお攻めの気持ちを失わず、運動量を落とすことなく中盤でガツガツボールを奪いに行く、相手の攻勢が弱まった時に人とボールを良く動かして決定機を何度もつくり出す、あわよくば追加点を奪い「ゲームを殺してしまう」ということを、選手たちが誰に言われるまでもなく自分の判断でできれば、そもそもこんな展開にはなりません。

たとえアウェー戦でもウズベキスタンレベルの相手なら、W杯決勝トーナメントに常時進出できるチームであれば2点差以上をつけて勝ってしまうか、1点差勝ちでも相手につけこむスキを与えるようなことはないでしょう。

「ウズベキスタンに先制した。でももう1点奪いに行けば失点してW杯出場を決定できないかもしれない」という発想から抜け出せないことこそ、日本代表選手の自信の無さ・弱さの証明であり、ウズベキスタンにボールを支配され、こちらが後手後手でボールを追いかけることほどリスクが高く、体力を消耗することはありません。

攻撃でもみんなの足が止まっているので、精度の低いロングボールをひたすら前へ蹴りこむサッカーとなってしまい、身長とフィジカルの強さで勝る相手にことごとくボールを拾われて、攻めの糸口をまったくつくれなくなってしまいました。

1点しかリードが無いから、あからさまにウズベキスタンに有利な審判団のジャッジが、なお一層負担になってきます。

 W杯ドイツ大会以前のこういう消極的なサッカーから脱皮して、人とボールを積極的に動かしていくポゼッションサッカーで相手を破るのが、オシムジャパン・岡田ジャパンの「自分達のサッカー」だったはずです。

アジア予選の段階で、自分達のサッカーを見失ってしまうようでは、もっとプレッシャーのかかるW杯本番で、どうして自分達のサッカーをやりぬくことができるでしょうか。

1-3で負けた、ドイツW杯における屈辱のオーストラリア戦のように。

今回のウズベキスタン戦は、あのオーストラリア戦の失敗をまたしても繰り返してしまいました。

いつまで、おんなじところで何回も何回もつまづいているのかと思うと、とても残念で悔しいです。

それでも1-0で勝てたのは、オーストラリアよりウズベキスタンの選手の技術が低かったことと、かなりの部分、運の良さに恵まれたからでした。

オーストラリアより強い国がまだ30ヶ国以上あるにもかかわらず、それらの国々を打ち負かして岡田ジャパンは3位以上をめざすと言っているわけですから、今の状態では夢のまた夢です。

昨年秋のカタール戦を最初で最後に、W杯決勝トーナメントに進出できるような可能性の見えるサッカーを岡田ジャパンで見ることができません。まぐれだったのでしょうか。

 岡田監督の消極的な采配も問題でした。

1点リードしたものの前半20分あたりから、日本が押し込まれる一方という危険な展開になったのに、動くのが遅すぎました。

はやければ前半30分すぎ、遅くとも後半キックオフ頭ぐらいからMFを1人入れ替えて、「気持ちで守りに入るな!攻守両方とも積極的にファイトしろ!」というメッセージをチームに送るべきでした。

後半20分すぎに始めて交代選手を入れましたが、この時点でさんざん相手に振り回されたチーム全体がすっかり体力を消耗しており、手遅れの状態になっていました。

失点してからでは遅いです。

リードしていても、流れの悪いときはその原因を正しく見抜き、流れを取り戻せるような采配をしなくてはいけません。



次回につづきます。



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■日本代表、ベルギーにも大勝

 キリンカップ第2戦となる日本対ベルギーは、またしても4-0で日本の大勝、これで日本代表がキリンカップ優勝を決めました。

 対戦相手のベルギーは、かつてはW杯4位、欧州選手権準優勝に輝いたこともある強豪でしたが、今はすっかり落ちぶれてしまいましたね。

現在は、日本代表とほぼ互角ぐらいの実力でしょう。

エンツォ・シーフォというとても良い司令塔がいた1994年ごろまでが全盛期だったと思います。

さて、今回来日したメンバーは、イングランドやイタリアでプレーする主力や、10番を背負うベルギー代表の象徴ともいえるクラブ・ブルージュのソンクを欠く、1.5軍でした。

しかも日本代表は前の試合から3日間休めましたが、ベルギーは金曜日にチリと試合をしていて中1日しか休めないという、ひどいスケジュール。

日本が勝って当然の試合だったと思います。

そして4-0で日本が勝ったわけですが、やはり両チームとも失うものは無いテストマッチであり、相手は疲労でヘロヘロ。

そのあたりを差し引かないといけませんが、それでも4-0という結果は素晴らしかったと思います。
試合内容の方も、攻守にわたってまずまず良いものでした。

それでは得点経過をざっと振り返っておきましょう。

 前半はホームの日本がすばやくパスをまわし、攻撃を組み立てます。
ベルギーはどうも動きが重く、プレスもかからないので、日本にいいようにボールを支配されてしまいます。

21分、中村憲選手が左サイドへ展開、長友選手がドリブルでゴール前へ切れこみながら、角度のないところから強引にシュート!これが見事決まって日本先制。

23分、パスをもらった中村憲が切り返しでうまく相手選手を外して、強烈なシュート!
これがGKの手にあたりゴールイン。2-0とします。

 これでホッとしたのか、日本代表の足が止まり始めると、攻撃が停滞。
精度の低いロングパスでたびたび相手にボールをプレゼントし、だんだんリズムが悪くなっていきました。

流れが悪くなると、つまらないこんなプレーも出てくるもの。

31分、バックパスを受けた闘莉王選手がトラップミス、これをベルギー選手に奪われてGKと1対1の決定機をつくられますが、シュートはゴール右へわずかに外れていき、ヒヤリとさせられます。

 後半たちあがり、ベルギーは前半体力を温存していたのか、攻守にわたって運動量を増やしてきて、互角の展開に。

しかし15分、右サイドから大久保選手のクロスに岡崎選手がダイビングヘッド!
3-0としてベルギーの戦意を喪失させました。

32分、左サイドを突破した長友がグラウンダーのクロスを入れ、これを途中出場の矢野選手が押し込んでトドメの4点目。

交代枠を使い切った後、大久保がケガで退場し、相手より一人少なくなりましたが大勢に影響はなく、このままタイムアップとなりました。

 つづいて守備の方から試合内容を見ていきましょう。

守備に関しては、前試合にひきつづき良かったと思います。

激しくプレスをかけて相手を自由にやらせないようにしていました。

ベルギーは攻撃の組織力が低いため、ほとんど決定機もつくらせませんでしたね。

唯一の決定機は闘莉王のイージーミスからでしたが、これは集中力の問題でしょう。

前回チリ戦でも、ふとした瞬間に集中力が切れて相手にフリーでシュートを打たせてしまうことがありましたが、W杯予選の本番では致命的ミスとなりかねません。

キリンカップ2試合では失点にこそなっていませんが、相手の決定力の無さに救われたシーンも何度かあったと思います。

 攻撃に関しても、まずまず良かったです。

相手があまりプレスをかけてこず、かなり自由にやらせてもらった面もありますが、2-0になるまでは人とボールが良く動いて相手を崩し、シュートの雨あられをふらせていました。

パスのテンポも迷いがなくスムーズで、チリ戦に引き続いて各選手ともシュートへの積極性が見られ、こうした姿勢は非常に良いです。

長友のシュートも、これまでの日本人選手なら90%以上パスを選択していた角度ですし、チリ戦でペナルティエリア内に侵入してシュートが打てるシーンでパスを選択してチャンスをつぶしていた中村憲も思うところがあったのか、この試合では素晴らしいゴールを見せてくれました。

岡崎の勇気あるダイビングヘッドも良かったですね。

W杯予選では今年に入ってからのオーストラリア戦・バーレーン戦と、FWが点が取れていませんでしたから、キリンカップでの岡崎の台頭は代表にとって貴重だと思います。

今の調子が継続するかぎり、FWは岡崎を軸に考えて良さそうです。

 玉田・田中達・大久保と似たようなタイプのFWが多い代表にとって、タイプの違う矢野のゴールも収穫でしょう。

監督さんによっては同じタイプのFWを並べるのを嫌ったりしますが、私は現時点で一番調子の良いFWを使えば良いと考えますので、あまりそういうことは気にしません。

ただ、控えも含めて同じタイプばかりのFWを揃えていると、日本代表で言えば、上背は無いがドリブルと俊敏性を武器とするFWが苦手とする、あるいは通用しない相手と対戦したとき打開策が非常に狭まってしまいます。

そうした場合に違うタイプのFWがいると攻撃のオプションに幅ができますし、そうした意味で矢野の成長に期待したいと思います。

 途中出場の本田も良い動きをしていました。

フィジカルも強く、オランダサッカーらしいチームの勝利やゴールに最短距離で向かうリアリズムを意識したプレー、実戦的なプレーをするところがとても良いです。

ヒールキックを多用し、パスをもらってもまたいでばかりいるサーカスプレーに走る選手を「オシャレ」と持ち上げる風潮が日本にありますが、絵的に派手ではあるものの、あまり実戦的ではないと思います。

ファンの方には申し訳ないですが、今なら大久保より本田を起用した方が良いのではないでしょうか。
ポジションの兼ね合いはあると思いますが。

大久保はこの試合でもそうでしたが、今こそ決定機という場面でいつも倒れてレフェリーからPKをもらおうとしますが、まったく頂けません。

もともとフィジカルが弱いのかもしれませんが、自分だけの力でシュート・ゴールまでもっていく自信が無いから途中で倒れてPKをもらおうとするのではないでしょうか。

フィジカルや技術うんぬんの前に、そういった精神力の弱さを克服しないかぎり、FWとしてドイツで成功するのは難しいのでしょう。

自分の殻を打ち破って、世界に通用するFWになって欲しいと思います。

 最後に、キリンカップという大会についてですが、こんな短期間にどうやって3試合こなすのだろうと疑問に思っていたのですが、日本代表の中3日で2試合はともかくとしても、まさか日本サッカー協会はゲストのチリとベルギーに中1日で2試合もさせる非人道的な大会にするとは思いませんでした。

これで日本が優勝しても、うれしくとも何ともありません。

日程がつまっていてゲストに中1日で試合をさせるぐらいなら、単発のテストマッチ2試合にすべきでしたし、どうしても3ヶ国対抗の大会にこだわるなら、もっと余裕のある日程を組んで、どのチームも中3日は最低限休めるようにしないといけません。

昨年、あるサッカー・ジャーナリストが伝統あるキリンカップをテストマッチと言うなと主張していましたが、今年のおざなりな大会スケジュールを見る限り、単なるテストマッチ以下だったかもしれません。

もしキリンカップの伝統を大事にしたいのであれば、それにふさわしい準備をするべきです。

 今回のベルギー戦、4得点で無失点という結果はとても良かったですし、試合内容もまあ良かったと思います。

ただ、W杯に出られるかそうでないかを左右する予選という本番の舞台では、キリンカップでのプレーができなかったでは意味がありません。

なかなか出来ることではありませんが、予選本番のように真剣に練習やテストマッチをやり、練習やテストマッチのように予選本番でも力が発揮できるように準備して欲しいです。

 今度の対戦相手・ウズベキスタンは結果こそ出ていませんが、前線から激しくプレスをかけてくるヨーロッパスタイルの組織サッカーを得意としており、決して試合内容が悪いわけではありません。

ウズベキスタンのプレッシングサッカーへの対処方は、前回対戦時のエントリーで書いてありますが、戦術で言えばバーレーンなんかよりよっぽど現代的で、まったく油断できない相手だと思います。

ACLでもウズベキスタンのクラブが躍進しており、「2010年W杯の世界最速出場なるか」なんて浮かれている場合ではありません。


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          2009.5.31 東京・国立競技場

         日本  4  -  0  ベルギー


        長友  '21
        中村憲 '23
        岡崎  '60
        矢野  '77


        GK 楢崎       GK スティーネン

        DF 中澤       DF シモンス
           闘莉王        スヴェルツ
          (山口 74)      フェルメーレン
           長友         ポコニョーリ
           内田        (フォッセン 69)
                       アルデルヴェイレルド
        MF 中村俊
          (本田 45)    MF ローランツ
           遠藤         (デンベレ 82)
          (阿部 62)       ハルン
           中村憲        デ・ラート
          (興梠 67)      
           長谷部      FW マルテンス
          (橋本 45)       ムヤンジ 
                       (フイセヘムス 62)
        FW 大久保
           岡崎
          (矢野 70)




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