■2008年10月

■村八分?

 「皆さんの熱い思いをトラックバックで!」と銘打ち、スポーツナビ編集部さんが運営している日本代表蹴球宣言(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/daihyou/)というブログがあります。

トラックバック(TB)というのは皆さんご存知だと思いますが、自分のブログからトラックバックを打つと相手のブログに自分のブログへのリンクが形成されて、知識と情報のネットワークが無限に拡張できるというブログの素晴らしい機能の一つです。

 私もだいぶ前から日本代表関係の記事を書くたびに、日本代表蹴球宣言さんへTBを打っていたのですが、数ヶ月前から他のブログからのTBは受けつけているのに、自分のブログからのTBはどうしても弾かれてしまう状態が続いています。

最初は、インターネットの技術的トラブルかなと思っていたのですが、TBが弾かれてしまう時には共通点があることがだんだんわかってきました。

それは日本代表もしくは五輪代表の試合結果が悪くて、サッカー協会や監督への風当たりが強くなった時です。

私が最初に、このブログからのTBが弾かれていると感じたのは、7月14日アップの記事「新会長は犬飼基昭氏」と8月17日アップの「五輪三連敗が突きつけたもの」の二つの記事からです。

その後、9月1日アップの「シュートのセオリー」はTBを受けつけてもらえたのですが、9月8日アップの「バーレーン戦、繰り返された失敗(前編)」を受けつけてもらった後、翌日の「バーレーン戦、繰り返された失敗(後編)」は再びTBを何回打っても弾かれてしまいました。

そして10月10日の「日本代表、残念なドローも収穫あり」のTBは受けつけてもらえたものの、前回・前々回エントリーの「日本代表、ウズベキスタンとの痛い引き分け(前編・後編)」は再びTBを弾かれてしまいました。

TBが弾かれたかどうかは、日本代表蹴球宣言さんに行って確認したので間違いありません。

 どうしてこちらからのTBが、日本代表蹴球宣言さんで弾かれてしまうのか理由はまったくわかりません。

日本代表の試合結果が悪いときに限って、偶然かつ奇跡的にTBが弾かれてしまうのか、私が、日本代表蹴球宣言さんを何か怒らせてしまったのか(ちょっと心当たりがありません)、はたまた、誰かが日本代表蹴球宣言さんに圧力をかけて、代表の試合結果が悪い時はこちらからのTBを弾くよう指示したのか。

本当の理由はいったい何なのか私はまったく興味がありませんし、何ら予断を持たないことにしますが、同じような経験をなさっているサッカーブロガーさんはいらっしゃいますか?

試合結果が思わしくないとき、批判的な記事を書いてTBを打っているブログは当方だけではないはずですが、日本サッカー界に存在する「強大な闇の権力」は、当ブログを社会的に影響力があってよほど脅威だと感じているのでしょうか(笑)

もしそうだったとしたら、サッカーブロガーとして大変光栄です(笑)

 ここでちょっと話題を変えて、サッカー批評について述べたいと思いますが、私はサッカーを文化あるいは芸術の一つと考えています。

他の文化としては食(料理)なんかもありますが、確かヨーロッパあたりで「レストランに入って自分が金を出した料理について、客が美味いかまずいか言う権利はある」なんて言われていたはずです。

私は、1万数千円の日本代表レプリカユニフォームをホーム用とアウェー用の2着買いましたが、私が払ったお金のいくらかは、メーカーからライセンス料として日本サッカー協会に渡っていますし、チケットを買って代表戦を見に行ったときは、当然協会の収入になります。

その意味で、私は日本代表という文化・芸術を買った客であり、それが美味いかまずいか言う権利はあるわけです。憲法でも言論の自由は保障されていますし。

TBS系のあるサッカー番組で、日本でいえば小学校低学年ぐらいのブラジルの女の子がスタジアムで、「今日のドゥンガ監督の采配は賢明とはいえないわね」と発言するインタビュー映像が流れていて、私は飲んでいたアイスコーヒーを吹き出しそうになったのですが、ブラジルにしろヨーロッパにしろ、そのサッカーレベルの高さは、多くの肥えた目を持った観客が支えているわけです。

いつもいつも「負けちゃったけど感動をありがとう」で片付けてしまうのであれば、進歩も発展もないと思いますし、そういう考えを持つのは自由ですが、肥えた目を持った観客とはちょっと違うと思います。

私が肥えた目を持った観客かどうかはわかりませんが、少なくともこのブログでは、何か良いところがあればできるかぎり賞賛してきたつもりですし、何か批判する時は言いっぱなしではなく、日本サッカーの進歩と発展を祈って、必ず改善策や代案を出すよう心がけてきたつもりです。

 営利企業なんかでも、客からのクレームは金のなる木なんて言ったりしますが、趣味でサッカーをやっているならともかく、さまざまな形で客から金を取ってサッカーを見せているプロが客に対し「つべこべ言うな、黙ってろ」などと言ってはプロ失格でしょう。

レストランのコックがそんなことを言ったら、まちがいなくそのレストランはつぶれます。

 批判される側の態度で思い出したのですが、中田英寿氏が所属していたフィオレンティーナの本拠地イタリア・フィレンツェをルネサンスの時代に専制支配していたのはメディチ家でした。

そのメディチ家の専制支配を痛烈に批判していたのが、聖職者サヴォナローラだったのですが、メディチ家当主にしてフィレンツェ共和国の支配者ロレンツォ・デ・メディチにしてみれば、サヴォナローラを暗殺して黙らせるのは簡単だったと思います。

しかしロレンツォは、わざわざ自分を批判するサヴォナローラの演説を聞きにサンマルコ修道院へ足を運んだと言います。

中世のヨーロッパは世界的にみれば発展途上地域であり、当時はイスラム世界の方がよっぽど進んでいたのですが、その原因は、「太陽が地球の周りを回っている」といったカトリック教会の教えを批判することは一切タブーで、科学の発達が遅れたことも大きかったと思います。

教会がその教えを人々に強制した反動としてイタリアでルネサンスが始まったわけで、文化やお祭りを保護し市民からイル・マニフィコ(偉大な者)と呼ばれたロレンツォは、違う意見を封じ込め黙らせるのではなく、「あーでもない、こーでもない」といろいろな意見が存在することを広い心で許すことが、社会の進歩と発展につながるとわかっていたのかもしれません。

当然そうしたルネサンス文化は、現在のイタリア代表やイタリアのサッカー選手にも受け継がれていることでしょう。

 沈黙は金とされ、自己主張することが単なるわがままと見なされがちな日本では、根拠をあげたうえでの批評とただの悪口を区別する習慣があまりない日本ではどうなのでしょうか。




↑当ブログは、読者の皆さんのご支持だけが心の支えです↓
人気blogランキング

  

■日本代表、ウズベキスタンとの痛い引き分け(その2)

 前回記事で述べた、もっと大きな問題とは何でしょうか。

以前「サッカーとは弱気・消極的になった選手・監督・チームが罰せられる競技」と言いましたが、弱気・消極的がまさにそれでした。

この試合は日本のホームであり、移動時間・気候・慣れたピッチ・多くのサポーターの存在と条件も有利なはずなのに、日本代表に積極的な攻めの姿勢が見られません。

過緊張のせいか「大事な試合だから失敗したくない」という気持ちが強すぎたせいか、戦術うんぬん以前に各選手の動きが重く、一つ一つのプレーがどこか消極的で守りにはいったものでした。

 ボールの競り合いで「絶対に勝つ」という気持ちが見えず、空中から球が落ちてくる50:50の状況でも日本の選手はウズベキスタンの選手がヘッドするのを見ているシーンが目立ちました。

 攻撃では、周りの選手がその場に立ち止まってボール保持者が個人で局面を打開するのを見ている「待ちの姿勢」も目立ちました。

プレスをかいくぐって何とかパスを受けた場合でも、相手ゴールに向かってトラップし前を向けばチャンスになるしそれが可能にもかかわらず、まず第一に相手ゴールに背を向けてトラップし、とりあえずボールを個人でキープしようとしたり、

パスを出す判断が慎重すぎて、2タッチ3タッチしているうちに相手選手にあっというまに囲い込まれ、バックパスを繰り返すというミドルサードの攻撃の組み立て。

アタッキングサードでも、内田がペナルティエリア内に切れこんで、自分の前にGKしかいないのにシュートではなくパスを選択し、そのパスは相手GKとゴール前につめていた味方の間を抜けてゴールラインを割ってしまったシーンが象徴的。

まだシュートを打ってゴールに向かってチャレンジし、外れた方が良かったです。

どこへシュートを打つべきか迷うなら、セオリー通りでも良かったと思います。

失敗しても良いから、内田には若者らしく積極果敢にチャレンジするところを見せて欲しかった。

それでも「決定力なさすぎ」と叩く人がいるなら、私が彼を擁護する記事を書きます。

 これら一つ一つのプレーは、戦術うんぬん以前の話。

本番だろうがテストマッチだろうが、緊張していようがいまいが、相手が強かろうが弱かろうが、何点かリードしていようがリードされていようが、暑かろうが寒かろうが、連勝で気分がノリノリだろうが連敗で落ち込んでいようが、選手ひとりひとりが絶対にベストを尽くしてやりとげなければいけないプレーの基本です。

積極的な攻めの気持ちを持って、こうした一つ一つの泥臭いプレーを積み重ねていくことが結果につながっていくのではないでしょうか。

 スポーツでも何でもそうですが大事な本番に平常心でのぞみ、自分の実力を100%発揮することは容易なことではありません。

そのためにも日々の練習の積み重ねがあり、テストマッチがあると思うのですが、この試合は過緊張のせいか、失敗することを恐れて大事に行きすぎたのか、これまでできていたことがほとんどできませんでした。

バーレーンにアウェーで勝つ実力があるチームであれば、ホームでウズベキスタンをやぶるのは十分可能です。

よって、あれこれ結果を心配し失敗が怖いのでやるべきことをやらないのではなく、自信を持ってやるべきことを淡々とやることで、結果はおのずとついてきたと思います。

アジア予選の段階で本来の自分たちのサッカーを見失っていたのでは、もっとレベルが高く緊張を強いられるW杯本番で、冷静に自分たちのサッカーをやり遂げ、グループリーグを突破して決勝Tを勝ちぬいていくことなど夢のまた夢。

ドイツW杯でも初戦のオーストラリア戦から、日本代表は完全に自分たちのサッカーを見失い、相手の得意な形につられてひたすらロングボールの放り込み合戦をやってしまいましたが...。

 この試合の直前でもそうですし、予選本番が近づくと盛んに言われることですが、日本代表の一部選手もマスコミも「W杯予選では内容よりも自分たちの形よりも、まず結果が大事。きれいな形だけでは得点できない」といった趣旨の発言をすることがあります。

岡田監督にも「自分たちの形では得点できないんじゃないか恐怖症」みたいなものがあって、「最後はセンターバックをあげて中盤を省略し、ロングを放り込んでゴリゴリのパワープレーをしなくては点がとれないに違いない」という岡田サッカーにつながっていると思います。

私はこうした発言にすごく違和感を感じるのですが、今まで述べてきたようにプレーの内容はいくらでも改善する余地があるのに、そのことはそっちのけで悪い結果が起こることばかり心配している気がします。

また、内容が良くて結果がついてこなかったというのであれば、まだ次の試合に向けて希望がありますし、いずれ結果がついてくる可能性が高い。

しかし、内容が悪くて結果が良かったというのは単なるまぐれ勝ちであり、そうそうあることではありません。

大事な試合でいつも運が味方してくれるとは限りませんし、運まかせのサッカーに頼るのもどうでしょうか。

 また「内容を犠牲にすれば、それと引き換えに点が取れるんだ」と考えるのであれば、とても消極的でネガティブな勘違いではないでしょうか。

ユーロ2008で優勝したスペイン代表も準優勝だったドイツ代表も、非常に充実した内容で結果を残していったチームでした。

ユーロ決勝戦のスペインにしても、フェルナンド・トーレスが前線からプレスをかけ、味方にスペースをつくるために、あるいはパスを受けてシュートするために前後左右に激しく動き回り、試合の後半にヘトヘトになって動けなくなり交替するなど、決して優雅なサッカーだけをしているわけではありません。

一見優雅に見えるスペインも、白鳥のように水面下では必死に水かきをしているわけです。

日本サッカー界で言われる「サッカーの内容」「泥臭いプレー」「きれいな形」の基準は、どこか世界標準とズレがあるように思えます。

ゴール前でシュートを打たず、自分にパスが来てもボールをまたぎ、あるいはヒールパスを繰り返すサーカスプレーを「おしゃれなサッカー」と見なす日本の一部の風潮を批判して「きれいな形」と言っているのであればわかりますが、少なくとも私はそれを内容あるサッカーとは見ません。

 「内容よりも結果」、この種の発言の根底にはどこか自分たちがこれまでやってきたこと、自分たちのサッカースタイル・攻撃の形がW杯予選の本番では通じないのではないかという自信の無さや弱気がチラつくのです。

自分のサッカースタイルに最後まで自信を持っていない、だからこそ失敗しても痛くもかゆくもない練習やテストマッチではできていても、負ければ確実にW杯に出られない予選の本番では今までできていたことができなくなる、いや、やり遂げることを止めてしまう。

自分たちの長所を生かした本来のスタイルを自分で放棄してしまって、予選の本番では「よそいきのサッカー」というか、きわめて弱気で消極的なサッカーをやってしまうのではないでしょうか。

自分が日本人であることを否定しませんが、こういう日本人の民族的特徴、きびしく言えば弱点は、監督も選手も同じ日本人だとなかなか修正が効かないのかもしれません。せめて指導する監督が外国人であればどうだったのかなとも思います。

 激しいプレスで相手を自由にさせず、ボールを奪ったらミドルサードまではオートマチックにシンプルに前へつなぐ。

本来なら大事な予選の本番で日本がこうしたサッカーをしたかったのに自分たちは普段の実力を発揮できず、ウズベキスタンのアタッキングサードにおける攻撃のクオリティこそアジアレベルでしたが、相手にこうしたサッカーをやられてしまったのがこの試合最大の「敗因」でした。

 というわけで、今回のウズベキスタン戦。

1-1で引き分けという結果は負けに等しい残念なものでしたし、試合内容も自分たちのサッカーができないまま終わるという不完全燃焼でした。

日本代表には自分たちのやってきたこと、自分たちの実力を信じて、試合に集中してほしいです。

岡田さんは、選手の抜擢能力という面では良い点もあるのですが、普段の練習やテストマッチの取り組み方への疑問、ヨーロッパ型組織的プレス守備への対策を選手に授けることができない経験不足、そして不可解な采配と、ふたたび代表サポーターの信頼を失ってしまったように思います。


------------------------------------

   2008.10.15 埼玉スタジアム2002


   日本  1  -  1  ウズベキスタン


  玉田 '40         シャツキフ '27


 GK 楢崎        GK ネステロフ

 DF 中澤        DF アリクロフ
   闘莉王         ガフロフ
   阿部          イスマイロフ
   内田篤人       
             MF カパーゼ
 MF 中村俊         ジェパロフ
   遠藤          J.ハサノフ
   長谷部         マグデーエフ
   香川         (メルジジノフ 58)
  (稲本 76)       デニソフ
               アフメドフ
 FW 玉田         (ハイダロフ 72)
  (興梠 81)
   大久保       FW シャツキフ
  (岡崎 62)      (ゲインリフ 72)





↑いつもポチッとありがとうございます。↓
人気blogランキング

当ブログ関連記事

■日本代表にふさわしい監督とは?

  

■日本代表、ウズベキスタンとの痛い引き分け

 15日に行われたアジア最終予選の第2戦、日本対ウズベキスタンは1-1の引き分けとなりました。

対戦相手のウズベキスタン代表は、シャツキフ・デニソフの国外組と国内組で構成されるチーム。

日本との実力差は、ホームで日本の勝ち、アウェーで引き分けが順当(しかしオーストラリアがアウェーのウズベキスタン戦で勝ち点3を取ったので日本も勝利が必要となりました)と評価していましたが、日本のホームで1-1という結果は、負けに等しい大変残念なものに終わりました。

ウズベキスタンに関して言えば攻守にわたって、この試合はとくに守備面で良く組織された欧州スタイルのチームでしたが、前回記事でも述べたとおりUAEとは全くタイプの違うサッカースタイルであり、新潟でのテストマッチはあまり効果的ではなかったようです。

 試合展開をおさらいしておきましょう。

試合は、前から激しくプレスをかけて、ボールを奪うとシンプルな攻撃をしかけてくるウズベキスタンペース。

日本は過緊張のためか攻守に動きがにぶく消極的。

攻撃面では相手の激しいプレスで自由にやらせてもらえないためにショートパスによる組み立てがうまく行かず、守備面ではウズベキスタンのなるべくタッチ数を少なくしてシンプルかつオートマチックに前へつないでくる攻撃に、こちらの応対が遅れぎみとなって苦しい展開。

前半27分、自陣で闘莉王選手のクリアが真上にあがったところを相手に奪われ、カパーゼが自軍ゴールへ戻る日本のDF陣とGKの間にアーリークロス、これをシャツキフが合わせてウズベキスタン先制。

ゴールしたことによってウズベキスタンが余計に元気になり、相手のペースで試合が進む時間が続きます。

それでも40分、左サイドから中村俊選手がアーリークロスを入れ、これをファーポスト側に飛び込んだ大久保選手が中央へ折り返し、それを玉田選手が押し込んで日本がようやく追いつきます。

 後半立ちあがりも激しくプレスをかけて日本を自由にさせないウズベキスタンのペース。

17分からウズベキスタンの波状攻撃で、しばらく日本のゴール前に張りつけにされる苦しい展開。

しかし20分過ぎからウズベキスタンによるプレスの勢いが弱まってくると、じょじょに日本がボールをうまく回せるようになります。

ウズベキスタンは前からプレスに行くのをやめ自陣に引いて守備を固め、引き分け狙いに。

22分、セットプレーから途中出場の岡崎選手による惜しいヘディングシュートが2本続き、26分玉田のミドルシュートはGKが横っ飛びでセーブ。

さらに闘莉王を前線に上げて捨て身の攻撃に出ますが、中盤が薄くなったところを逆にウズベキスタンのカウンターを浴び、冷や汗をかくシーンが数度。

45分、闘莉王の惜しいヘッドもありましたが、前線に何人もの選手を張りつけたものの決定的チャンスは少なく、そのまま痛すぎる引き分けとなってしまいました。

 それでは試合内容を分析します。

試合内容はUAE戦とはうってかわり、攻守にわたって低調。

攻撃面では、前回記事でアーリークロスをもっと使えと書きましたが、唯一の得点シーンとなった場面も中村俊がサイドの相手を抜ききらないうちにあげたアーリークロスから。

この攻撃は数少ない良い形でした。

日本では、相手の身長が高いとシンプルなアーリークロスは通じないと判を押したように言われ、岡田監督もその対策としてグラウンダーのクロスを練習させていたようですが、それは発言者が単にうまくいったところを見たことがないだけだと思います。

サイドからのクロス攻撃で重要なのは、クロスの正確性とともに、中でヘッドする選手がいかに相手のマークを外し、相手のマークの空白にポジショングするかという技術。

日本の場合、後者のレベルがあまり高くないためになかなかうまくいったところが見れないだけで、アーリークロスそのものの効果がないということではないと思います。この試合のように。

実際アジアレベルでは、身長が高くてもサイドからのクロスにボールウオッチャーになってしまうチームが多く、得点シーンでもウズベキスタンDF陣がボールだけを見てしまい、ファーに飛び込んだ大久保をフリーにするという基本的ミスをおかしました。

その点、香川選手や内田選手がサイドをえぐることにこだわりすぎてボールを持ちすぎ、2人3人と相手に囲まれてもサイドをえぐることにこだわってボールを相手に引っ掛けることが多かったのは積極的というよりはむしろ無謀でした。

 しかし、中村俊も含めて中盤の組み立ては低調。

ウズベキスタンの前からかけてくる速く激しいプレスに対し、こちらのパス判断もポジショニング修正も遅く、ボールはある程度持ててもバックパスばかりで、グラウンダーのショートパスを前へ効果的に出すことがほとんどできませんでした。

特に10番をまかされている中村俊(それに香川も)ですが、最初のタイミングでシンプルに前にいる味方にパスすれば良いのに、相変わらず2~3タッチしてはパスコースが無くなってバックパス、あるいは持ちすぎてフィジカルの強い相手にボールを奪われ、そうかと思えば、普通の選手なら出さないようなタイミングで凝った技術を使ってパスを出すので、敵はもちろん味方も意表をつかれてパスを受けられません。

中盤の要である中村俊が「現代サッカー戦術とケンカをしている」ために、流れの中から効果的に攻撃を組み立てられません。

前述のように、うまくいった形はボールを持ちすぎず、相手を抜く前にシンプルにあげたアーリークロスから。

日本がセットプレーからしか点がとれない原因の多くはこのあたりにありそうです。

ともかく、ウズベキスタンレベルのプレスでボールが回せなくなってしまうようでは、W杯の本番でスペインやドイツ、アルゼンチンなどのプレッシャーをかわして、パスで中盤の攻撃を組み立てられる可能性は限りなく低いです。

 またアジアにおいて、この試合前半のウズベキスタンのように比較的コンパクトな陣形を保ち、前から組織的にプレスをかけてくる欧州スタイルのチームは少ないのですが、ベンチも選手も対応の仕方がわからず明らかにとまどっていました。

組織的プレス守備への対応というのはサッカーの戦術教科書で言えば中級編にあたる話になりますし、このブログでも初めて話すことになります。

相手が密集陣形を保って激しくプレスをかけてきて、こちらがグラウンダーのショートパスで中盤を組み立てられなくなった場合、センターバックやボランチからロングの浮き球を相手の最終DFラインのやや背後に放り込み、オフサイドに気をつけてこちらのFWがDFラインのウラへ抜け出すようにします。

シュートチャンスにつながらなくても良いのでこれを数度繰り返すと、自分のウラを取られたくない相手がDFラインをズルズル下げる可能性があり、そうなれば相手の陣形が間延びして選手ひとりひとりの距離が離れ、中盤にスペースができてプレスがかけにくくなります。

そこで、こちらは本来のショートパスで攻撃を組み立てゴールを狙い、相手が再び前から速くプレスをかけてきてコンパクトな密集陣形になったなと感じたら、バックやボランチからロングボールを相手DFのウラへ放り込んで、間延びさせることを繰り返します。


あまりロングに偏ると、ウラのスペースが狭くなりすぎ、こちらのFWがウラへ抜け出してパスを受けられる可能性が低くなってしまいます。

そういう場合、ショートパスを足元でつなぐことによって相手がバックラインを押し上げてプレスをかけてくれば、またウラが広く開いてきます。

バランスの良いパス配分は、グラウンダーのショートパスが全体の70%前後、ロングの放り込みが30%前後でしょうか。

これが組織的プレス守備への対応策となりますが、決定的解決法とはなりません。

一番大事なのは普段からどんな激しいプレスをかけられてもグラウンダーのショートパスがつなげるよう練習を積んでおくことです。

 守備に関しては、50:50のボールを絶対にマイボールにするんだという意識が弱く、中盤のプレスも弱かったために、勝ちたいという気持ちが強かった相手に試合の主導権を握られてしまいました。

こういう時は、「ボールがとれないから行くのやーめた」ではなく、相手の激しいプレスに負けないよう、泥くさくこちらもプレスを掛け返して、試合の主導権を取り戻さなければいけません。

もしボールを取れなくても、相手のボール保持者にプレッシャーを与え、激しく動き回ることでこちらのディフェンディングサードに存在するスペースの形・大きさ・パスの通り道をめまぐるしく変化させるだけでも、相手の効果的なパス回しをかなり妨害できます。ウズベキスタンが日本に対してやったように。

 失点の場面は、闘莉王がクリアを真上に上げてしまったのはやむをえなかったですが、落ちてくるボールに対し誰も競りにいかなかったために、簡単に相手ボールにしてしまいました。

落ちてくるボールに誰か一人は競りに行き、もう一人が後ろをカバーしてこぼれ球を拾うという守備の基本が欠けていたのが残念でした。

チーム全体としては、前回記事でも述べた通り、まだまだチーム陣形をコンパクトにできていません。選手どうしの距離が離れているために、パスが通りにくい、プレスがかけにくいという状況でした。

 監督の采配については、立ちあがりからゲームの流れが悪いのですから、前半の中ごろまでには試合が止まった時にでも「こちらも激しくプレスをかけて試合の主導権を取り返せ」という指示があってしかるべきでしたし、それでも状況が好転しないなら、中盤でプレスをかけられる選手をもっと早く投入すべきでした。

 点を取るために、後半の後半から闘莉王を上げて前線に4人以上張りつかせていましたが、かえって危険なカウンターを浴び、中盤が極端に薄くなったことでなかなかマイボールにもできず、効果的な攻撃もできませんでした。

サッカーで、4トップ5トップにすればそれに比例して点が入るというわけでは必ずしもありません。
なぜなら、4トップ5トップにすれば相手選手もそれだけ自軍ゴール前へ戻り、スペースが無くなるからです。

確かにホームでウズベキスタンに引き分けるのは痛いですが、負けて相手に勝ち点3を与えてしまえば取り返しのつかないことになります。

予選リーグはまだ始まったばかり。

これが最終戦というならともかく、いちかばちかのカミカゼ攻撃にはまだまだ早すぎます。

監督の采配にも疑問が残ります。

しかしもっと大きな問題は別のところにありました。

それは何か?

次回に続きます。




↑購読料代わりに一日一回ポチッとして頂けるとうれしいです。↓
人気blogランキング

  

■日本代表、残念なドローも収穫あり

 W杯最終予選ウズベキスタン戦にむけたテストマッチである対UAE戦はドローに終わりました。

対戦相手のUAEは国内リーグでプレーする選手で固めたチーム。
ホームでもアウェーでも日本が勝てるぐらいの実力差はあると評価していました。

それからすると1-1で引き分けという結果はかなり残念なもので、これが予選本番であったなら負けに等しいドローといったところでした。

それはひとまず置いておくとしてもこのテストマッチ、どちらからオファーしたのかわかりませんが、もし仮想ウズベキスタンとして日本側がマッチメイクをしたのであればかなり疑問です。

2007年アジアカップのときと変わっていないのだとしたら、ウズベキスタン代表は白人選手を中心にスピードとパワーを生かして、ヨーロッパ的なきれいな組織サッカーをしてくるチームです。

しかし伝統的にUAEは、アラブ人と黒人、その両者の混血選手を中心に柔らかいテクニックを生かして、守ってカウンターを狙う典型的な湾岸アラブスタイルで全然別のチーム。

もし仮想ウズベキスタンということであれば、ちょっと実力が落ちるのですが、民族やサッカースタイルがより近いと思われるタジキスタン・トルクメニスタン・キルギスといった中央アジアのチームとやった方が良かったのではないでしょうか。

11月の予選・カタール戦の前にシリア代表とのテストマッチが組まれていますが、シリアはカタールと同じアラブとはいっても黒人選手をあまり見かけず、スピードとパワーを生かした縦に速いサッカーが伝統ですし、ウズベキスタン戦の前にシリア戦を持ってきてカタール戦の前にUAE戦を持ってくるというならまだ話はわかるのですが、その逆というのは代表や協会のスカウティングがどうなっているのか理解に苦しみます。

 それでは試合展開を振りかえります。

試合は予想通り、完全に日本ペース。

UAEの組織的攻撃力が低いので、プレスからかなりボールを奪うことが出来ました。

ボールを奪取してからのショートパスの組み立ても、稲本・長谷部の両選手を基点として上々の出来。あとはアタッキングサードに侵入してゴールするだけでした。

4分の中村俊選手のFKを皮きりに、14分岡崎選手の振り向きざまのシュート、25分寺田選手のヘッド、45分大久保選手のヘッドと惜しいチャンスがありながら決められず。

 後半も引き続き日本が主導権を握ります。

後半も中村俊のFKを皮きりに、10分玉田選手のラストパスを大久保がバーの上にフカし、11分にも大久保が強引にシュートしますがGK正面。

しかし後半から投入された興梠選手がUAE守備陣を混乱させ、27分、興梠のヘディングシュートがポストに当たって跳ね返ったところを内田選手がファー側へクロス、これを香川選手が落ち着いて決めて待望の日本先制。

ところが、FW・MF陣が前へイケイケになったところでUAEお得意のカウンターを浴び、アルハマディのシュートが高木選手の足に当たってゴールイン。

たった5分間で追いつかれ、その後香川の惜しいシュートが2本ありましたが、そのままドローとなってしまいました。

 それでは試合内容を攻撃面から見ていきましょう。

ミドルサードまでの攻撃の組み立てはかなり良かったと思います。

前回のバーレーン戦と比べると無駄に持ちすぎる選手もあまりおらず、パス判断のスピードや球離れが良くなっていましたし、ボール保持者へのサポートも改善されています。

中盤の組み立てにおける両ボランチの貢献も大です。

長谷部が攻守に効いているのはいつものことですが、特に稲本選手が素晴らしい出来。

ボールを奪って相手の攻撃の芽をつむと、すぐさま的確にボールを散らし、2列目やFWを追い越してのオーバーラップによる攻撃参加で中盤の組み立てを活性化させていました。

ただチーム全体として、パスが出せる最初のタイミングでパスを出さず躊躇してしまう場面もあり、中盤のオートマティズムについてまだまだ改善の余地はありそうです。

 アタッキングサードの攻撃については、サイドから相手GKとDFラインの間にグラウンダーのクロスを入れる攻撃がこの試合の課題となっていたようでした。

ですが、前半の前半は中央突破にこだわりすぎていたようです。

前半の後半からサイド攻撃をボチボチ入れ始めましたが、サイドから入れるグラウンダーのクロスの精度が今二歩ぐらい。

トラップしないダイレクトキックからでも精度の高いクロスが行くよう、各選手はしっかりと練習を積んでほしいです。

本番では、浮き球でも良いので、サイドをえぐらずに入れるアーリークロスをもっと使っても良いと思います。

 アタッキングサードの攻撃の総仕上げであるシュートですが、この精度の高低が日本と世界との差と言えるでしょう。

ファンの方には申し訳ないですが、神戸でのプレーはともかく、大久保は代表戦となるとどうしても精神の乱れがシュートの乱れとなってあらわれてしまう気がします。

フリーでシュートを打った決定的なシーンが2~3度ありましたが、いずれもゴールマウスさえ捕らえられません。

こればっかりは実戦で経験と自信を上積みしていくほかありません。香川もヘディングを良く練習しましょう。

この試合バーレーン戦と比べると、先制するまでシュートやゴールへの意識がやや弱かったように思いました。

 つづいて守備面です。

UAEの攻撃面での組織力が低かったこともありますが、中盤からのプレスが機能して良くボールを奪えていたことはとても良かったです。

特に両ボランチがプレスの要となって効いていました。

 日本の攻守両面でなかなか解決されない問題として、FWからDFラインまでの距離が間延びして、得点を焦って前へ行きたがるFW・2列目と、ウラを取られるのを恐れてズルズル後退する最終DFラインという二つのチームに分裂してしまい、ちょうどボランチの前後に広大なスペースをつくってしまうということがあります。

この前のウルグアイ戦で守備が大崩壊したのは、ボランチの前後にできた広大なスペースを使われたからでしたが、この試合も失点の原因はそれでした。

前半はともかく試合の後半、日本のFWからDFラインまでの距離がどんどん間延びしていって、しかも稲本をベンチに下げたことによりボランチのスペースをカバーする選手が足りなくなってしまいました。

そして待望の先制点を取った後、ボランチからFWまでがイケイケになってしまって、DFラインだけが後方に孤立。DFラインの前にぽっかりと広大なスペースをつくっていました。

そこでUAEのカウンターを浴び、相手の攻撃陣とこちらの守備陣がほぼ同数という形をつくられてやられてしまいました。

新潟はサッカーのやりやすい涼しい気候だったはずで、FWからDFラインまでコンパクトにできないというのは戦術意識の問題でしょう。

特にUAEのようにロングボールからカウンターを狙うチームは、相手自身が間延びしやすいので、こちらも意識的にコンパクトな布陣を心がけていないと、相手につられて間延びしてしまいます。

試合の後半になると少しきついでしょうが、コンパクトな布陣と選手間前後の距離を常に意識してほしいです。ボランチの前後に広大なスペースを自らつくってしまえば致命的なピンチとなります。

 個人に関しては、前述のように稲本が攻守に良く効いていました。

そして前半の後半から徐々に消えてしまいましたが、岡崎もシュートへの積極性・パス判断の速さ・運動量で光るものを見せ、興梠も持ち前のスピードで相手守備陣をかきまわし混乱に落とし入れていました。

興梠は先輩に遠慮しているのかシュートをためらってパスしてしまう場面がありましたが、先輩・後輩なんて関係ありません。積極的にどんどんシュートを打って欲しい。

この試合、興梠・岡崎ら若手のフレッシュなプレーは収穫でした。

先制ゴールにつながった香川の先のプレーを読んだポジショニングもすばらしいです。

若手FWを玉田や大久保といった選手と競争させて、沈滞ぎみの代表FW陣にカツをいれたいもの。

実力さえあるのなら南アフリカのピッチに立っているのが興梠・岡崎・森島でも全然かまいません。

大分の金崎選手も代表に呼んでどれだけやれるか、個人的には1.5列目あたりで見たいところです。のびしろを考えてじっくり育てても良いと思います。

 最後に試合と直接関係ありませんが、W杯予選からここ何試合かでとても気になっていたことを。

試合前に両チームと審判団がメインスタンドに向かって整列し、招待されたVIPと握手をするセレモニーがあります。

その時、各チームのキャプテンがまず先頭のVIPに自己紹介して握手した後、自チームの選手を紹介しながらVIPをエスコートして先導し、列の最後まで行ったらキャプテンは選手の列に加わって二人目以下のVIPと握手するというのが、サッカーにおける外交プロトコール(儀礼)になっています。

で、UAEのキャプテンはそれができていましたが、日本代表の場合アジア3次予選のときもそうだったのですが、それができていません。

本来なら日本サッカー協会会長以下、監督・コーチといった指導者がそうした外交プロトコールを理解した上で代表キャプテンに教えてあげるべきですが、それもできていません。

ザルツブルグの宮本選手が代表キャプテンだったときは、できていた気がするのですが...

一見小さなことですが、サッカー文化の成熟度や国際化において日本がどのレベルにあるか、世界から判断される一つの基準ともなりますので、次回からは招待客をほったらかしにしないようお願いします。

 この試合、1-1という結果は大変残念なものでした。

ただ、試合内容はまずまず良かったですし、UAEレベルではこちらの若手FW陣もかなりやれるということがわかったことは収穫です。

あとはアタッキングサードでゴールを決めるだけでしたがシュートの正確性に欠け、ディフェンディングサードで戦術理解の不足から失点を招いてしまいました。

1点を取ったり1点を守ったりという試合結果を左右する重要なところで、日本代表はまだまだ理解と経験が不足しているようです。


-----------------------------------------
  2008.10.9 東北電力スタジアム(新潟)


  日本  1  -  1  UAE


'72 香川       '77 アルハマディ


GK 楢崎       GK M.ナセル

DF 中澤       DF H.アリ      
  長友          B.サイード
  内田          A.マララー
  寺田         (M.オスマン 46)
 (高木 46)       O.メサリ
               F.ジュマー
MF 中村俊
  (香川 70)    MF M.イブラヒム
   稲本         (N.ムバラク 64)
  (中村憲 65)     Y.ジャベリ
   長谷部        A.ムバラク

FW 玉田       FW I.マタル
  (興梠 57)       アルシェヒ
   大久保        (アルハマディ 75)
  (佐藤 82)
   岡崎
  (巻 82)



↑購読料代わりに一日一回ポチッとして頂けるとうれしいです。↓
人気blogランキング

  

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク






   

ブログ内検索