■2008年09月

■バーレーン戦、繰り返された失敗(後編)

 前回は拙いベンチワークについて分析するのに大部分を費やしてしまったので、今回はいつものようにプレーの内容を見てみましょう。

 攻撃に関しては、常にゴールを目指して隙あらば積極的にシュートを打っていこうという姿勢が、チーム全体からうかがえたのはとても良かったと思います。

シュートという勝負から逃げない姿勢が3ゴールという結果につながりました。

PKを奪取した中村俊のシュートと中村憲のラッキーなゴールが典型ですが、やはりシュートを打たなければ何もはじまりません。

セットプレーの精度の高さもさすがです。

 ショートパスの組み立てはまずまずでした。

しかし酷暑できついとは思いますが、味方のボール保持者をもっともっとサポートして、複数のパスコースを確保してあげてほしい。

特に中村俊ですが、前にフリーな選手がいたらもっとシンプルに、オートマチックにパスして、次のスペースに走りこんで欲しいです。

うかつに倒せないペナルティエリア付近でなら彼のドリブルがもっともっと生きるはずですが、パスの判断が遅くミドルサードでゆっくりドリブルするので、その間にバーレーンの選手がどんどん戻ってスペースが無くなるのみならず、フィジカルの弱さからボールを簡単に奪われて、一度決定的なピンチを招いていました。

そういうプレーを繰り返すと、自分も味方も無駄な体力を消耗するばかりです。
足の痛みが完治していないならなおさらです。

 守備に関しては、両センターバックを中心にねばり強くがんばりました。プレスもまずまず。

しかし、バーレーンの縦パスが入って来た時に誰も応対しなかったり、逆に縦パスをインターセプトしようとして飛び込むのが早すぎ、ボールと一緒にターンした相手と入れ替わって抜かれてしまう場面もあり、クオリティが一定しません。

縦パスが来たらまず相手のポストプレーヤーの背後について、相手にボールとともに前を向かせないようにポジショニングするのが最優先。相手がバックパスや横パスをしているだけなら、さほど怖くありません。

次に余裕があれば相手がボールをトラップする前にインターセプトを狙いに行くと良いでしょう。
それができないなら、相手のパスを不正確なものにするため後ろから圧力をかけるだけでも効果があります。(ファールする必要はありません)

その上でチーム全体でプレスをかけ、約束事となっている方向へ追い込む、例えば相手のボール保持者をサイドへサイドへと追い込み、そこで囲い込んでボールを奪取できるようになると素晴らしいと思います。

ウルグアイとのテストマッチで、守備の約束事がすっかりあやふやになっていたことが露呈しましたが、どうも組織的守備力のクオリティが一定せず、今回のバーレーン戦までに完全に修正されたとは言えないようでした。

 チーム全体としては、何とかDFラインからFWまでをコンパクトにしようとする姿勢がうかがえましたが、酷暑の砂漠気候と相手がロングボールを放り込んできたことが原因でどうしても間延びしてしまいました。

それはある程度やむをえないことなので、もっと涼しいところで試合をするときは、最終DFラインをどこに設定するのかよくチームで話しあって、全体がコンパクトになるようにして欲しいです。

 1点取った後、チーム全体がその1点を守ろうとして消極的な姿勢に入ってしまい、ほとんど攻撃できなくなるのは、相変わらず大きな問題です。

よほどの実力差がないかぎり、日本が90分攻めっぱなしということはあり得ませんが、こちらが押されている時間でも先制する前のようにゴールを狙い、相手をヒヤリとさせる攻撃ができなければ、こちらにゲームの流れを取り戻すこともできなくなり、相手にガンガンに押し込まれてゲームのコントロールを完全に失ってしまいます。

相手が攻める時間になっても慌てる必要はありませんが、チャンスを見て反撃をしかけ、まずはピッチ内の選手だけでこちらにゲームの流れを取り戻すことができるようにならなければ。

 総括すれば、純粋にプレーの内容だけを見ればまずまず良かったと思います。

ただ、ベンチにいる首脳陣も含め、決勝トーナメント進出・W杯3位以上を目標にかかげるチームとしては、多くの経験不足と脆さがあらわになった試合でした。

 今回のバーレーン戦、 
 
試合後岡田監督は「サッカーは怖い」とおっしゃっていましたが、3-0から2点返されたのは「ピッチに棲む魔物」のせいではありません。

明らかに人災です。

今回勝ち点3こそ取れましたが、相手に当たってコースが変わる中村憲のラッキーなゴールがなければ、ロスタイムまであと3分・1人少ない相手に2ゴールを失って勝ち点2を奪われるところでした。

監督が即解任されてもおかしくないミスです。

得失点差+3で終わるところ、たった+1になってしまいました。

もしリードが3点でなかったら、もし相手がバーレーンではなくオーストラリアやサウジレベルの強敵であったなら、ゲームをひっくり返されていた可能性があります。

とても結果オーライで済まされません。

岡田氏は、「コップに水が8割、選手がこぼした分が2割。2割をコップに戻すのが監督の仕事」と今回の試合を例えていらっしゃいますが、選手がコップにいっぱいにした水の4割をこぼしたのは、ほかならぬベンチだと思います。

「采配がミスだった、加茂周氏と同じ失敗を繰り返してしまった、本当にもう同じ失敗はできない」という自覚症状をもっておられないことが、輪をかけて失望を大きくしています。

 岡田監督はW杯3位以上という目標をかかげておられます。

ですが、日本代表の首脳陣がこんなに拙い経験不足の采配、いえ、以前経験した同じ過ちを繰り返してしまうのはとても残念です。

サポーターの信頼を大きく失う采配ミスでした。

Jリーグの監督としてすばらしい実績を持つ岡田監督が、全身全霊をかたむけて努力なさっていることは見ていてわかります。いっぱいいっぱいになりながら努力なさっているお姿を拝見していて「お体大丈夫だろうか」と感じるときさえあります。

 ただ残念ながら、世界と勝負する監督として経験がいかんせん不足しているのは否定しがたいところです。それが今回の試合で明らかになってしまいました。

攻守におけるチーム組織の構築・選手の育成という戦略レベルはもちろん、試合における采配という戦術レベルでも疑問符がつきます。

日本代表は、個の力によって2010年W杯本大会へたどり着く事ができるのかもしれませんが、本大会では個の能力ゆえに、ドイツ大会と同じように敗れ去るのではないかという不安が隠せません。

それでは同じ敗れるにしてもジーコジャパンの二の舞であり、次回も同様、日本サッカー界に残るものは少ないのではないでしょうか。

2010年以降、代表人気はますます低下し、サッカー協会も収益面で厳しい状況に陥るでしょう。

 本当に今の監督以上の人が世界にはいないのでしょうか。

たとえば世界中から代表監督を公募する、オシム氏にヨーロッパあたりに有望な人材はいないか調査・スカウトしてもらう等、工夫の余地はいくらでもあるはずです。

 日本サッカー協会は、まるでシュートから逃げる選手のようです。

「別の監督にして失敗したらどうしよう」という消極的な逃げをうつのではなく、「日本のめざすサッカーに合った、より良い監督を探して任せる」という攻めの決断をすべきだと思います。


----------------------------------------

  2008.9.6 ナショナル・スタジアム(マナマ)


  バーレーン  2  -  3  日本


  S.イッサ  '87       中村俊  '18
 O.G.(闘莉王)'88      遠藤(P.K.)'44
                 中村憲  '85


 GK S.ジャファル      GK 楢崎

 DF M.ハサン        DF 闘莉王
   マルズーキ         中澤
   S.イッサ           阿部
   M.フセイン          内田
 
 MF アル・ワダエイ    MF 遠藤
   サルミーン          長谷部
  (J.ラシェド 83)       (今野 85)
   アーイシュ          中村俊
   オマル            松井
                  (中村憲 70)
 FW A.フバイル          
  (アブドルラフマン 62) FW 田中達
   I.ハサン            玉田
  (ジョン 62)         (佐藤 78)




↑購読料代わりに一日一回ポチッとして頂けるとうれしいです。↓
人気blogランキング


当ブログ関連記事

日本代表にふさわしい監督とは?

日本、バーレーンの自滅で勝ち点3

日本、オーストラリアに逆転負け
  

■バーレーン戦、繰り返された失敗(前編)

 W杯アジア最終予選が開幕し、日本はアウェーでバーレーンと対戦して3-2と勝利をおさめました。

対戦相手のバーレーンですが、クウェートやカタールのリーグなどでプレーする海外組と国内組からなるチームであり、「日本よりも実力的に下でアウェーでも勝たなければならない相手」という私の戦力評価は以前から変わっていません。

3次予選対バーレーン戦(アウェー) 

3次予選対バーレーン戦(ホーム)

3次予選の結果を振りかえってみても、バーレーンはホームにタイとオマーンを迎えて引き分けることしかできませんでした。

日本とタイ・オマーンとの実力差を考慮すれば、バーレーンとのアウェー戦で日本がタイ・オマーン以上の結果、つまり勝利を得ることは十分可能と見るべきでしょう。

それを踏まえると3-2で日本の勝利という今回の結果は順当なものです。
ただ、試合内容には多くの点で疑問と不安が残りました。

 まず試合経過をおさらいしておきましょう。

 試合は立ちあがりから攻守に積極的な日本ペース。

プレスをかけてボールを奪うと、ショートパスで攻撃を組み立てていきます。

敵最終ラインを決定的に崩すところまではいかないものの、数多くアタッキングサード内に侵入できたため、ゴールに近いところで相手からファールを受けてセットプレーのチャンスを得ます。

前半18分、ゴール右前で得たFKのチャンスを中村俊選手が直接決めて待望の日本先制。

しかしジーコジャパン時代からそうですが、日本は1点リードすると「やれやれ点が取れた。ふー、どっこいしょ」とばかりに一服モードに入ってしまい、チーム全体が消極的な守りの姿勢に入ってしまう傾向があります。

結果こそ違えども、2000年アジアカップのオマーン戦(重慶)しかり、ドイツW杯予選の北朝鮮戦(埼玉)しかり、ドイツW杯本大会のオーストラリア戦しかりです。

ここからバーレーンが攻勢に出て日本は再三押し込まれますが、これはあえてボールを持たせて攻めさせているというよりも、ゲームのコントロールを失ってガンガンに攻めこまれている危険な状況でした。

私は「このまま無失点でいけば1-0で日本の勝ちだが、もし1点でも失えば攻め手を完全に失っている日本はガタガタッと来て、オーストラリア戦のような大逆転負けもあり得る。なんでベンチが手をこまねいて見ているのか!」とヒヤヒヤしながら見ていました。

中澤・闘莉王の両CBを中心に何とか相手の攻撃をしのいでいるうちに、数少ない反撃から再び相手陣内でセットプレーのチャンスを得ました。

44分、こんどは左サイド奥からのFKを遠藤選手がゴール前中央へ戻し、これを中村俊がシュートしますが、相手選手がシュートを手ではたき落としてPKゲット。

これを遠藤が決めて2-0とし、前半終了。

 後半もバーレーンが猛攻に出て、反撃手段とゲームのコントロールを失っている日本は依然として危険な状態。

日本が何とか守備でふんばり、後半20分を過ぎるとバーレーンがスタミナ切れを起こして流れは再び日本に。

足が止まったバーレーンに日本はカウンターで反撃。

40分、中村憲選手のミドルシュートが相手に当たってコースが変わりそのままゴール。3-0とします。

このゴールの数十秒前に、岡田監督は守備固めのために今野選手を投入していますが、これがゲームの流れを一変させてしまいます。この試合最大のターニング・ポイントだったと言えるでしょう。

交代直後の42分、バーレーンが右サイドからグラウンダーのクロスを入れると、今野の目前にクロスが来たにもかかわらずクリアしないでスルー。

それがペナルティエリア内にいたサルマン・イッサに渡り、マークを外されてシュート、日本が1点返されました。

これで明らかに動揺が走った日本。

バーレーンがロングボールを蹴りこんで来て、それに応対した闘莉王が前方へヘディングクリアすれば何でもないところでバックパス、このボールがGKの楢崎選手と入れ違ってしまいオウンゴール。

バーレーンサポが大騒ぎをはじめスタジアムが異様なムードに。
どちらがレッドを出されて1人少なくて、どちらが勝っているのかまるでわかりません。

ロスタイムは3分、楢崎の安定したセーブと相手の不正確なシュートに助けられて、日本はどうにかこうにか最小得失点差で勝ち点3を得ることができました。

 いつかのエントリーで書きましたが、サッカーとは消極的で弱気なチーム・監督・選手が罰を受けるスポーツです。

「外れたらどうしよう」と考えてシュートから逃げパスを選択する。
ペナルティエリア内でそんなことを考えている選手ばかりでは絶対に得点できません。

「マークに行って抜かれたらどうしよう」と考えて、みんなが相手選手のマークを押しつけ合い、シュートコースを消しもせず、ただ相手がすることを黙って見ていたら失点しないほうが不思議です。

 この試合の最大のターニングポイントとなったのは、後半40分の今野投入でした。

後半42分、バーレーンがグラウンダーのクロスをゴール前へ送り、それが今野の目の前に来ますが、今野は走るスピードをダウンさせて見送っています。

TV解説者は失点は内田のミスとしていましたが、確かに応対に問題が無かったわけではないものの、そもそも今野が走るスピードをゆるめず簡単にクリアしていれば、その後のサルマン・イッサのフェイントもシュートも無かったわけです。

しかも、酷暑の中ほぼ90分走りまわってきた内田・中澤・阿部・闘莉王らと違って、今野は投入されたばかりのフレッシュな選手のはず。

その選手がゲームをぶち壊すような、こんな消極的なプレーをしていてはダメ。

今野の愚直なまでのひたむきなプレーは買います。たぶん人柄もすごく良いのでしょう。

日本における彼への評価も高いようですが、東アジア選手権の日韓戦で、ペナルティエリア内で足をすべらせて失点の一因となるなど、インターナショナルレベルでの「経験」が無さすぎます。

上記リンクの記事で、

次にCBですが、まず自分のヘソをタッチライン沿いに居る選手ではなく相手陣地方向に向けていれば、クロスと相手選手の両方を視界に入れることができますから、慌てて足を滑らすようなことも無くて済みます。



と書きましたが、「武士の情け」で名指しはあえて避けたものの、ボールウオッチャーになって慌てて足を滑らせたCBというのは今野のことです。

クラブに戻ってトレーニングを積んで、もう一度代表にチャレンジして欲しいです。

 そして最大の問題は岡田監督の消極的な采配。

前述のように、日本がガタガタッと崩壊しそうな危険の予兆は前半からありました。

日本は先制してから攻め手とゲームのコントロールを失って、ガンガンに攻めこまれ続ける危険な状況でした。

流れが悪いならゲームが切れたときにでも、「中盤の4人で攻めの組織をもう一度立て直せ。FW2人とMF2人の最低4人だけでも良いから、機を見てもう一度ゴールを狙え」と監督から指示があるべきです。

それでも流れが変わらないなら、もっと早めに交代選手を入れるなりして攻めの組織を立て直し、弱気になって守りに入ろうとしているチームに積極性を与えるべきでした。

ただ、相手の攻撃レベルの低さに助けられ、危機は表面化はしませんでした。
そのうち願ってもない追加点が日本にもたらされます。

 ここで岡田監督は守備固めに今野を入れたわけですが、攻撃ではうまく流れがつくれないものの、闘莉王・中澤・阿部・内田の最終ラインと遠藤・長谷部の両ボランチでつくる守備組織は、良い流れで来ていました。

ここであえて良い流れで来ていた守備組織をいじり、長谷部を外して今野を入れたのですが、監督による「守りに入れ」という選手交代のメッセージは、自らの弱気と必死に戦い、攻めの気持ちをもった守りをして最後の一線でふんばりファイトしていた選手たちを一気に消極的な守りの姿勢に入らせることになってしまったと思います。

今野の消極的プレーがたちまち失点を誘発、それまでがんばっていた闘莉王に弱気が伝染、下がりながらのいくぶん難しいヘッドでしたが、前へクリアすれば何でもないロングボールをバックパスし、楢崎と入れ違いでオウンゴールになってしまいました。

GKへのバックパスはゴールマウスを外して行うというのは鉄則ですが、それよりも最初の失点が無ければ、その前に岡田監督が守備組織をいじって流れを変えなければ、オウンゴールも無かったかもしれません。

流れが良いときは、ピッチの中をいじらないというのは采配のセオリーと言われます。

うまくいっていない「流れの中からチャンスをつくる攻撃の組織」をいじらず、それまでうまくいっていた守備組織をいじって自滅。

勝ち点3がとれたのは、選手たちと幸運のおかげと言わざるをえません。

 これで思い出すのが98年W杯アジア最終予選の日韓戦(国立)です。
リアルタイムで見ていない人のために振りかえりますと、

日本は山口の芸術的ループで先制し、組織力で韓国を押し続けます。

しかし加茂周監督は後半30分近くに、FWの呂比須を外してDFの秋田を守備固めで投入。

秋田はどのスペースの誰をマークするのかあやふやなまま、ピッチをさ迷います。

これでFWが1人欠けた日本の攻勢がストップし、一転して韓国がガンガンに押してきます。

ほどなくして同点ゴールを許すとチーム組織はガタガタに崩壊。

呂比須にマンツーマンでついていたイ・ミンソンがフリーとなって駆け上がり、逆転ゴールとなるミドルを浴びました。

結局、加茂氏も「消極的で弱気なチームは罰を受ける」というサッカーの掟によって敗れ去りました。

「流れが良いときは、ピッチ内のその部分をいじらない」

「守備固めと称して、消極的で弱気な采配はしない」

というのが、あの時日本サッカー界全体が学んだ教訓であり、永遠に語り継がれていかなければならない貴重な経験です。


その師匠の失敗を岡田監督は目の前で見ていたはずですが、今回のバーレーン戦で二度と繰り返してはいけない同じ過ちを繰り返してしまいました。

弱気になりそうな選手に勇気を与え、90分ファイトさせなくてはいけない監督が、一番弱気になってしまいました。

 日本は1点リードするとチーム全体が消極的な守りの姿勢に入ってしまい、攻め手とゲームのコントロールを失って、もし1点でも取られるとチーム組織がガタガタッと崩壊し立て直しがきかなくなる、続けざまに2点3点と失点してしまうというのが、W杯ドイツ大会のオーストラリア戦から学んだ苦い教訓でした。

98年W杯アジア最終予選の教訓と06年W杯の教訓、その苦い教訓から日本は多くのものを学んだはずでしたが、なんど同じ過ちを繰り返していくのでしょう。

我々は、なんど良い経験をしなければいけないのでしょうか。


 試合結果と試合内容を分けて分析しなければ、それが順当勝ちなのか、まぐれの勝利なのかを理解できません。

「勝てば、結果オーライ」で済ませた方が楽です。

しかしそれでは何度でも同じ失敗を繰り返すことになるでしょう。今回のように。

次回につづきます。



↑購読料代わりに一日一回ポチッとして頂けるとうれしいです。↓
人気blogランキング

  

■シュートのセオリー

<サッカー戦術研究・攻撃編>

 日本の選手はとかくシュート決定力がないと言われる。

ジュニア、あるいはユース時代にシュートを打つ時のセオリーを教わらないか、教わっても身につかないまま大人になってしまうことが原因なのではないだろうか。

シュートを打つ時のセオリーを知らないので、数秒あるかないかのシュートチャンスにおいて確信ではなく迷いが生じ、どこへ打つべきか考えることに時間を消費しているうちに戻ってきた相手選手にシュートコースを消されてシュートチャンスそのものが消えてしまい、やむをえず味方へパスするというパターンに陥ってはいないだろうか。

 それではシュートを打つ時のセオリーとは何か。

ゴールマウスの枠内に入れることは言うまでもないが、まずシュートはグラウンダーで打つ方が有利である。

理由は二点ある。

まず相手ゴールキーパーにとって、腰より上のシュートは比較的反応しやすいが、地を這うグラウンダーのシュートはキャッチまたはセーブの態勢に入るまで余計に時間がかかり、そのぶん速いシュートを防ぎにくいからである。

二点目の理由は、グラウンダーのシュートの場合、ゴール前の踏み荒らされた部分や雨でスリッピーになったグラウンドの影響で思わぬイレギュラーバウンドが発生し、相手ゴールキーパーがキャッチングミスをして前へこぼす・後逸・オウンゴールしてしまう可能性があるからである。

無回転のブレ球シュートをどんな場面でも確実に打てるという選手は別かもしれないが、空中を飛ぶシュートの場合イレギュラーバウンドは発生しない。

 セオリーの二点目。

ゴール正面から打つ時は相手GKの動きを見ながらシュートするとして、問題は左右のあまり角度の無いところ(例えば左右45°)からグラウンダーのシュートを打つ時に、ニアポスト側とファーポスト側、どちらへ打つ方が有利だろうか。

以下の図を見ていただきたい。(クリックで拡大)


シュート2


キャッチできないほど強いシュートに対処する場合、ゴールキーパーは前へこぼすことを嫌がる。
ボールをこぼしたところを相手選手に押し込まれて失点する可能性が高いからだ。

よってゴールキーパーは、キャッチできないほど強いシュートが来た場合、ゴールラインの外にはじき出してコーナーキックに逃れ、ゲームをいったん切ろうとする。

もしグラウンダーの強いシュートがニアポスト側に来た場合(①のケース。左右逆から来た場合はニア・ファーも当然逆になる)、ゴールキーパーは斜め後ろにボールをはじき出し、ゲームを切ることができる。

しかしファーポスト側にシュートが来た場合(②のケース)、斜め後ろにボールをはじくとオウンゴールの可能性があり、キャッチング出来ないゴールキーパーはどうしても前へはじかざるを得なくなる。(下の図。クリックで拡大)

正しいシュート

たとえ最初のシュートが決まらなくとも、相手GKが前へボールをこぼせば味方がつめてセカンドシュート・ゴールを狙うチャンスが生まれるわけで、シュートはグラウンダーでファーポスト側に打つのが有利である。

この場合、シュートを打ったら相手ゴールキーパーがボールを前へはじくことを予測して、最低1人味方がつめておくべきである。

それが組織的攻撃というものだ。

 こういったシュートのセオリーが身についているのといないのとでは大きな違いが出てくる。

セオリーを知っていれば、シュートを打つコンマ何秒の決定機において無用な迷いがなくなるだろうし、困った時は自信を持って強めのグラウンダーのシュートをファーポスト側へ打てば良い。

そのままゴールすればそれで良し、もし相手ゴールキーパーにセーブされてもボールが前へこぼれれば、それを予測した味方がつめてゴールしてくれるだろう。

つまり相手GKにアシストさせるわけである。

それを知っていれば、よりリラックスしてシュートを打つことができ、シュートの正確性・決定率も上がるのではないだろうか。

Jリーグなどを見ていると、ファーポスト側に横っ飛びした相手GKに完全にシュートコースを防がれた場合、GKが伸ばした手を外そうとしてゴールマウスまでシュートを外してしまう場面を見かける。

そういう場合、たとえ相手GKの手に当たっても良いからファーポストの内側にしっかりとした強めシュートを打てば、セカンドシュートのチャンスを得ることができる。シュートがゴールマウスを外れてしまえばそれっきりである。

 シュートはグラウンダーでファーポスト側に打つのがセオリーである。

クロス・CKの落としどころでも述べたが、いくらセオリーだからといってそこばかり狙うと相手GKに読まれてしまうので、時にはセオリーに反した奇襲攻撃も必要だ。

相手GKがポジショニングミスをしてニア側を大きく空けているようならニアポスト側を狙ってみたり、余裕があるならいったんシュートフェイントをかけて相手GKが横っ飛びをして寝っころがったその上を越すループシュートでゴールを狙うなど、選手のアイデアも求められる。

だが、セオリーが身についていてあえて奇襲攻撃をかけるのと、セオリーを知らずランダムにやたらめったらシュートを打つことの間には大きな違いがある。




↑購読料代わりに一日一回ポチッとして頂けるとうれしいです。↓
人気blogランキング

  

プロフィール

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク






   

ブログ内検索