■2008年06月

■日本代表の最終予選組み分け決定!

 アジア最終予選の組み合わせが決定しました。

日本            

オーストラリア

カタール

ウズベキスタン

バーレーン

試合日程

2008年9月6日 バーレーン対日本
    10月15日 日本対ウズベキスタン
    11月19日 カタール対日本
2009年2月11日 日本対.オーストラリア
     3月28日 日本対バーレーン
     6月6日  ウズベキスタン対日本
     6月10日 日本対カタール
     6月17日 オーストラリア対日本



 実力からすれば日本とオーストラリアが一歩リードしていると言えますが、その他のチームも決してあなどれません。

言うまでもないことですが、決して日本の南アフリカ行きが約束されているわけではありません。

バーレーンとは三次予選であたり、アウェーで不覚をとったばかり。

カタールとは2007年アジアカップ・グループリーグで当たり1-1の引き分け。

ウズベキスタンとの直近のガチンコ勝負は2000年アジアカップ・グループリーグ第二戦までさかのぼってしまいます。そのときは8-1と日本が爆勝していますが、2010年W杯三次予選でサウジを3-0で破るなど現在のウズベキスタンはまったく別のチームです。

 ここで嬉々として「楽なグループに入った」と言っているようでは、サッカー指導者として経験が無さ過ぎます。

それは敗者の発想です。

なぜなら人間は基本的に楽することが好きで、「相手は格下だ。だから手を抜いても大丈夫」という深層心理へと容易につながっていくからです。

たとえば日本の戦闘力を100とすると戦闘力が80しかない「格下」の相手がいて、そこと試合をしたとします。

そこで日本の選手が「相手が格下だから」といって手を抜いて試合をしたらどうなるでしょう。

たとえば20%手を抜いて試合をすれば、もう戦闘力は80対80で互角です。
相手は格上の日本に立ち向かうのに手を抜くことはまずありえません。全力で来るでしょう。

試合開始後、25分・35分と時間がたってもなかなか日本が得点できません。実質互角になってますから。

すると両チームの心理状態に変化が起こります。

相手が格下だと思って試合をはじめた日本は「相手は格下なのにどうしてなかなか点が入らないのか」と焦りはじめます。

一方相手チームは「格上の日本に俺たちは互角にやれている。もしかしたら勝てるんじゃないか」とモチベーションがあがって120%の力を発揮しだします。

こうなるとますます日本は思うように得点できなくなります。

これで後半25分あたりに相手チームが先制でもしたらもう大変。

日本は焦りが焦りを呼んで、普段は通る何でもないパスがミスになり、シュートはことごとくゴールマウスを外れていきます。

残り10分ベンチからの指示で、いちかばちかのパワープレーに出るも、もともと確率の低い運頼みの攻撃をしている時点で、戦略的に負けです。

そして運からも見放されてとうとうタイムアップ。

これは、サッカーでアップセット(番狂わせ)が起こる典型的なパターンですが、アウェーのバーレーン戦と似ていますね。

私が「それは敗者の発想だ」と言った意味がおわかりいただけたと思います。

こうしたことを警戒して、自分のコメントに気をつけるのが経験ある指導者たるもの。

特にトッププレーヤーとしての経験が少ない選手がほとんどの日本において、指導者が軽々しく「楽なグループに入った」と言うべきではないと思います。

 さらに「楽なグループに入った」と日本に言われたら、同じグループの他のチームはどう思うでしょうか。「ちくしょう、俺たちをナメやがって。日本だけには負けられない」と闘志をメラメラと燃やすのではないでしょうか。

ライバルチームの闘志を無用にかき立てるのも、経験ある指導者のやることではないでしょう。

こういう時は、「非常に厳しいグループに入った。日本のW杯行きが約束されたわけではない」と選手個人個人やチーム全体を引き締める一方で、たとえ楽なグループに入ったと思っていたとしても「オーストラリアとはW杯でもアジアカップでも死闘を演じている。ウズベキスタン・バーレーン・カタールも近年急速に力をつけていて危険な相手だ」とリップサービスしておくもの。

それが経験ある指導者のコメント作法でしょう。

その点、田島幸三さんのコメントは非常に良かったと思います。

 ともかく、対戦相手は決まりました。

このグループの難しいところは、失敗が許されないところです。
絶対に二位以内に入って本大会出場を決めなければなりません。

特に「プレーオフがあるから三位でもいいや」という意識を持っていると大変なことになるでしょう。

反対側の組の三位は、サウジ・イラン・韓国のどこかの可能性が大だと思いますが、「死のグループ」で死線をさ迷い地獄を見てきた相手側の三位チームは、最終予選を経てそうとう手強くなると思います。

(守備力がアップした北朝鮮やUAEも可能性がなくはありませんが)

ユーロ2008なんかもそうですが、オランダ・ポルトガルといったグループリーグを順調にすんなり勝ち上がったチームを、クロアチアに敗れたドイツやスペインに敗れたロシアのような「一度地獄を見たチーム」がトーナメント戦の一騎打ちで負かしています。

グループリーグのレベルが比較的低いところに入ったチーム、あるいはすんなりと勝ち上がったチームは、よほど気をつけるか圧倒的な実力差を持っていないと、グループリーグのレベルが高いところから出てきたチームや激戦をくぐり抜けてきたチームと一騎打ちするときは苦しむことになると思います。

日本も上述のように「楽なグループに入った」と油断して結果が思うようにあがらず、どうにかこうにか三位通過というのが一番悪いパターンでしょう。

もっとも、アジア予選で悪い試合内容を繰り返していっぱいいっぱいになりながらも、どうにかこうにかW杯行きを決めたことで「何も問題無し」とされ、そのまま南アフリカのグループリーグで三連敗というのが、史上最悪のシナリオだと思いますが。

 ともかく油断せず敵を侮らず結果を恐れず、日本代表が常に試合で全力を尽くすということが一番大事だと思います。

結果だけではなくW杯でグループリーグを突破できるぐらいのレベルにあるのか、その試合内容にもこだわっていかなければならないでしょう。





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■日本、バーレーンの自滅で勝ち点3

 アジア三次予選最終戦となるバーレーンとの試合が、雨の埼玉スタジアムで行われ、日本が1-0と勝利しました。

対戦相手のバーレーンは、日本より実力的に下という私の評価は変わっていません。

確かに日本はバーレーンのホームで0-1と敗れています。

ですが、日本はホームでオマーンやタイに大差で勝利しているにもかかわらず、バーレーンは両チームにホームでとうとう勝てませんでした。

そのことからも、日本とバーレーンの力の差がうかがえると思います。

アウェーのバーレーン戦は、結果はもちろんどれだけ日本代表の試合内容が悪かったか、まったくの勇気に欠けた、ふがいない自滅だったかがわかるでしょう。

 岡田監督も明言なさっているように、プライドをかけたリベンジの戦いとなったこの試合に注目が集まりましたが、1-0で勝ったという結果は順当と言えますが、試合内容は攻守にわたって低調だったと言わざるを得ません。

ドイツで惨敗したジーコジャパンのアジア予選、同じ埼玉で行われたオマーン戦・バーレーン戦の録画を見ているようでした。

結局三次予選におけるバーレーンとの二試合は、アウェーはこちらのGKのミスでゲームを落とし、ホームでは相手GKのミスで勝ちを拾った、ということになるでしょう。

 試合経過を振り返っておきます。

立ち上がりは攻守に積極的な日本のペース。

前半5分、スルーパスに抜け出した佐藤選手が倒されたとしてPK獲得。

これは日本ホームならではの「ホームタウン・デシジョン」ぎみの判定に見えましたが、もらえるものはありがた~くもらっておきたいもの。

ところが中村俊選手のPKは相手GKにはじかれてしまいました。

PKは半分クジのようなものですから常に改善は必要なものの、中村俊は自分を責める必要は無いと思います。

あえて言うなら、もう少し助走を取ったほうが良い気がしますが。

20分、佐藤のクロスを闘莉王選手がヘッドで落とし、再び佐藤がつめますが届かず。

あの距離であるならば十分すぎるくらいのシュート射程距離内。

闘莉王はヘッドでつなぐということを決め打ちするのではなく、積極的にヘディングシュートを打ってほしかった。攻撃好きでアグレッシブな彼らしくありません。

45分、遠藤選手のFKがゴールバーに当たってはね返り、これを本田選手がつめますが、残念ながらシュートは空振り。

これで前半終了。

 後半立ち上がりは一転して流れがバーレーンへ。

7分F・ムバラクの強烈なミドルシュートを食らいますが、楢崎選手がナイス・セーブ。

この後も何度か危ない場面がありましたが、無失点だったのは彼のおかげでしょう。マン・オブ・ザマッチは文句なく楢崎だと思います。

これで目がさめたのか日本は再び主導権を奪い返し、攻撃をしかけますが、中盤での組み立てにミスが多く、なかなか得点を奪えません。

スコアレスドローの空気が濃厚となってきた45分、相手のクリアを内田選手がヘッドでゴール前へ押し込み、相手GKが判断ミスで前へ出れず、ワンバウンドさせてしまったボールは彼の頭上を超えてゴールイン。

結局これが決勝点となりました。

 それでは試合内容を分析します。

埼玉の気温が21℃と、ようやくサッカー向きの気候のなか試合ができると思ったので、試合内容に期待したのですが、あまり良くありませんでした。

守備面では、キリンカップのときから比べるとプレスが甘くなり、相手のボール保持者へのプレッシャーが減った結果、かなり正確なミドルシュートを打たれていたように思います。

まずシュートコースを消し、後ろのカバーが整っているならプレスをかけて相手のミスを誘う、片方のコースを切ってチーム内で約束事になっている方向へ追い込む等、してほしいもの。

 攻撃に関しても、前回タイ戦では相手のフィジカル能力が弱かったので、セットプレーからのヘッドで2ゴールをあげることができましたが、タイと違ってバーレーンはフィジカル能力においては日本と互角。

日本にも惜しいシーンが二度くらいあり、セットプレーのやり方が間違っていたわけではありませんが、タイほど容易にはゴールさせてくれません。それについては前回述べました。

 こうなると流れの中からの崩しが重要になってきますが、あまりうまく行きませんでした。

ここ数試合のエントリーにおいてずっと、

1.コンパクトな布陣の維持(FWが前へ前へと焦らない、選手間の適切なサポート距離・複数のパスコースの確保) 

2.アタッキングサードへ行くまではシンプルかつ速く、グラウンダーのショートパスをオートマチックに回せ

3.グラウンダーのショートパスを受ける時のポジショニングの取り方、パスを出すときのコースとタイミングの基本に忠実に

4.ゴールゲットのキーとなる敵センターバックの前のスペースを上手く使え

と言ってきましたが、この試合においてもほとんど進歩・改善が見られません。



(クリックで拡大)

上の図は、岡田ジャパンに非常に良く見られるシーンですが、玉田・大久保コンビにしろ玉田・佐藤コンビにしろ巻選手が入るにしろ、2トップがいつも同時に同じような動き(相手のウラへ抜け出す動き)をしてしまう

それも二人ともゴールを焦って、早すぎるタイミングで前へ前へと行ってしまう結果、自分から相手のウラのスペースを狭めてしまう、チーム全体が間延びしてしまう

敵センターバックの前のスペース(黄色い線で囲んだスペース)を誰も使えない、使おうとしないというシーンが良く見られます。

 そうではなく、まずチーム全体をコンパクトにし(特にFWと二列目が気をつける)、2トップや二列目が敵センターバックの前のスペースを上手く使うことが重要です。


(クリックで拡大)

図は攻撃の一例ですが、トップと二列目が一人づつ敵センターバックの前のスペースを利用してダイレクトのショートパスをつなぎ、相手にプレスをかける余裕を与えることなく、グラウンダーのショートパスでキラーパスを出したところです。

キラーパスはグラウンダーですし、距離が短いからさほどスピードも速くないので、FWも受けるのが容易でしょう。あとは焦らず慌てずオフサイドに気をつけて抜け出すだけです。

パスを出すときはタッチラインと平行に(縦にまっすぐ)出すのではなく、図のようにダイアゴナル(ななめにジグザグ)に出すことが重要です。

パスを受ける動きも、縦にまっすぐ上がったり下がったりするのではなく、ダイアゴナルに動くと効果的。

ダイアゴナルなパス交換と言えば、中盤での組み立ても敵最終ラインへの崩しでもそうですが、日本代表はほとんどワンツーが使えません。

ユーロ2008準々決勝のポルトガル対ドイツ戦、

ドイツは左サイドでクローゼ・バラックらがからんでワンツーを二本かませてポドルスキが抜け出し、ゴール前へグラウンダーのクロス、これをシュバインシュタイガーが押し込むというのが先制シーンでしたが、別に「奇跡のパス一本」が無くても「グラウンダーのショートパスでワンツー」という基本ワザだけで優勝候補ポルトガルの最終ラインを崩せてしまうんですね。

日本も、もっともっとワンツーを上手に使ってほしいです。

 また、敵センターバックの前から、相手をフェイントで振ってのミドルシュートも悪くありません。
この試合ミドルが少なすぎました。

 アタッキングサードへ人とボールを送り込むための、中盤における組み立てにしても問題が多く、特に中村俊が相手の二列目の前、あるいはボランチの前のスペースで、ゆっくりとドリブルしながら4タッチ5タッチしている間に、バーレーンの選手が6人7人と戻ってゴール前を固めてしまいます。

人とボールがアタッキングサードにいる時間を長くしたい、バーレーンのDFが自分のゴールに向かってバックするところに速攻をしかけたいのに、ディフェンディングサード・ミドルサードでモタモタと時間をかけて、日本はいつもバーレーンの守備隊形が整うのを待ってから攻撃しているわけです。

アタッキングサードにいくまでは、シンプルかつ速く正確に、グラウンダーのショートパスをオートマチックに回して、敵の陣形が整わないうちに、素早く上の図に示した敵センターバックの前のスペース、あるいはサイドのスペースに人とボールを送り込んでほしいものです。

これまで見てきたように、日本がアジアにおける戦いで、引いた相手に苦しむ原因の半分は自分たちにあります。相手が引いている原因の50%は、自分たちのスペースの使い方がマズイ、中盤でボールをいつも持ちすぎるからです。

この試合の後半27分でしたか、中村俊・山瀬・玉田らがからんだシンプルなダイレクトパスによる惜しい攻撃がありましたが、ここにこそ攻撃力アップのヒントがあると思います。

 さて、バーレーンでの自滅後、「俺流宣言」して始まった、病み上がり岡田ジャパンの経過観察の結論を述べようと思います。

代表選手の選考に関しては、オシム氏より岡田監督の方が私は好みです。

守備に関しては、まずまずといったところですが、攻撃に関してははっきりとした進歩・改善が見られたとはちょっと言えません。

図で説明したように特にスペースの使い方の戦術理解が弱いというのは、選手・指導者の別なく日本サッカー界全体が抱えている弱点ですが、それが一向に良くなりません。

岡田さんはそれがわかっていて選手にも指導しているが、いくら言っても選手が試合で表現できないのか、それとも選手と岡田監督の両方が問題点を理解できていないのか、私にはわかりません。

ただ、前から厳しくプレスをかけてボールを奪い、攻守の切り替えを速くして攻撃したいというところまではコンセプトは見えますが、ではどう攻撃するかという具体的なソリューションが、岡田ジャパンから見えてきません。

岡田さんがDF出身の殻を打ち破れないということなのでしょうか。

また、中盤におけるパス回しや、選手の連動性もオシムジャパン時代のレベルには戻れていません。
これではバーレーンやオマーンより守備組織が上のチームと当たったら、日本のパス回しが封じられかねません。

このまま現状維持であれば、2010年W杯で3位どころかグループリーグ突破さえ困難かと思われます。

私は岡田さんを尊敬していますし、彼も厳しいプロの世界の掟をじゅうぶんご理解なさっていると思いますが、日本サッカー協会として岡田さんより良い監督を確保できる自信があるなら、最終予選まで時間がある今のうちに決断するべきだと思います。



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   2008.6.22 埼玉スタジアム2002


   日本  1  -  0  バーレーン


  内田 '90


 GK 楢崎       GK S・モハメド

 DF 中澤       DF S・イッサ
   闘莉王        M・フセイン
   安田         A・サイード
  (今野 73)     (R・イッサ 72)
   内田         M・アドナン

 MF 中村俊      MF S・マフムード
   遠藤         H・ラケア
   中村憲        アブドルラフマン
   本田         F・ムバラク
  (巻 80)       A・イスマイール

 FW 玉田       FW アブドルラティフ
   佐藤        (R・ジャマル 83)
  (山瀬 64)




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■日本、タイを3-0で圧倒

 バンコクで行われたアジア三次予選の第五節、タイ対日本は0-3で日本の圧勝に終わりました。

対戦相手のタイにはクラブ・ブルージュやグラスホッパー・チューリヒでプレーする海外組がいる(レギュラー取れているんでしょうか?)ようですが、実力では日本が上。

バーレーンもオマーンもバンコクで勝ち点3をあげている以上、日本も勝たなくてはならない試合でしたが3-0の大勝で、結果としては大変よかったと思います。

 試合経過の方は、立ちあがりから激しいプレスで積極的にボールを奪取した日本ペース。
セットプレーでもフィジカルの強さで勝る日本が何度も惜しいヘディング・シュートを放ちます。

待望の先制点は23分。遠藤選手のショートコーナーから闘莉王選手が地面に叩きつけるヘディングシュート!これが決まって日本先制。

この後も日本が攻め立て、39分遠藤の左コーナーからゴール前中央のいわゆるプライムターゲットエリア中央に飛び込んだ中澤選手のヘディングシュートが豪快にゴールに突き刺さり2-0。

日本は自分の時間帯でうまいこと2点をゲットすることができました。

 しかし後半は、前半から積極的にいった日本の足が止まったこともあり一転してタイペース。

タイらしいショートパスをつないだ崩しで日本ゴールへと迫りますが、中澤を中心としたDFラインがシュートコースを消すなどして対応、何とか最後の一線だけは割らせませんが、2点差リードというのは1点返されるとガタガタッといって一番ひっくり返されやすい試合展開であり、まだ安心できる点差ではありません。

後半25分に中村憲・矢野両選手を投入するとゲームの流れをやや引き戻すことができました。

43分、中央へ切りこんできた駒野選手がラストパス、相手DFラインの裏へ抜け出した中村憲のシュートが決まって、この試合を「完全に殺しました」。

 それではいつものように日本代表の試合内容を守備から見ていきましょう。

守備に関しては、相変わらず好調さを維持しています。

特に前半ですが、激しいプレスでタイ代表の持ち味であるショートパス攻撃を封じ込めることができました。これでタイの攻め手が無くなりピンチらしいピンチもありませんでした。

後半は足が止まったことで、タイがショートパスをかなり回せるようになって押されましたが、前半から勝負をかけて2点リードしていましたから、そういうゲームプランであったのなら問題ないと思います。

バンコクは40℃近いマスカットより気温が低かったですが、逆にムシムシと湿度が高く、汗の蒸発による体の冷却がうまくいかなくて日本選手の消耗も激しかったでしょうから、やむを得ないところもあります。

 続いて攻撃面です。

良かった所は何と言ってもセットプレーでしょう。

「流れの中からとれない」という人もいますが、セットプレーからでも1点は1点です。

日本が使えるスペースを極力狭くするために、引いてゴール前を固めてきた相手から点を奪うのに一番有効な攻撃ツールは、アーリークロスやセットプレーから最小限のスペースでもシュートが打てるヘディングです。

闘莉王の先制点も良かったですが、中澤による追加点は特に良かったです。

ヒマがあったら図でも作りたいところですが、プライムターゲットエリアのど真中を狙った遠藤のボールの落としどころのセンスもパーフェクトでしたし、いったんファーポスト側に動いてから自分のマークを外し、そこから急反転してニアに向けて走りこんで正確なヘッドを叩きこむ中澤の動きもパーフェクト。

再三言ってますが、セットプレーからのボールの落としどころについての遠藤のセンスは大好きです。

日本のFW陣も基本に忠実な中澤のヘディングシュートの技術・マークの外し方を盗むべきです。

ヘディングシュートを狙う時の基礎として二人のプレーの連続写真をサッカー教科書に載せたいくらいで、全国のサッカー少年・少女は是非まねをしてほしいと思います。

 ただ、ここまで空中戦で日本が有利だったのは、タイがあきらかに日本よりフィジカルコンタクトに弱かったからで、どんな相手でもここまで上手く点がとれるとは限らないことに注意が必要でしょう。

サウジ・バーレーンやオマーンといったアラブ勢、韓国・中国の東アジア勢に比べ、タイやベトナム・インドネシアといった東南アジア勢は、アジアレベルでさえもフィジカルコンタクトが明らかに弱く、それが彼ら最大の弱点であり、20年前の日本サッカーが抱えていた弱点でもあります。

以上の理由から、岡田ジャパンには「絶対に勝ちに行く時は、縦に速いロングを放り込んで背の高い選手に競らせるパワープレー」というゲームプランがありますが、アラブ勢や東アジア勢はもちろん、フィジカルで日本に勝るオーストラリアや欧州勢、アフリカ勢にたいしてパワープレーから点が取れて勝ちにいけるのか相当疑問です。

そもそもパワー負けしている相手に有効なパワープレーを仕掛けることが可能なのか疑問ですし、パワープレーが成功する確率は非常に低いのではないでしょうか。

だったらショートパスで相手を振りまわして疲弊させ、相手の足が止まった後半30分以降、日本の得意な形で決勝点を奪う方が確率が高いように思います。

日本サッカー界はテクニック崇拝が根強い裏返しとして、自分達や相手チームのフィジカルコンタクトの強弱が試合の勝敗に与える影響を軽視する傾向があります。

岡田ジャパン首脳陣は、三次予選が始まる前に「このグループで一番良いライバルチームはタイ」と言っていて私は首をかしげましたが、タイの最下位が決定的な今、スカウティング・ミスは明らかでしょう。

それは技術の高低だけで戦力評価をし、フィジカル能力の高低が勝敗に与える影響を軽視したことが原因ではないかと思います。

それと同様、日本のパワープレーがどんな相手にも通用すると考えるのは危ういのではないでしょうか。

 中盤におけるショートパスのつなぎ・人とボールの連動性については蒸し暑さもあったと思いますが、前回よりもレベルダウンしていました。

ボールを受けても2タッチ3タッチしてどこへパスを出すか考え込んでしまうシーンも多く、そうこうしているうちに今までフリーだった味方に敵のマークがついてパスが出せなくなり、苦し紛れに出したパスがミスになる、相手にボールを奪われて余計にスタミナを消耗するという悪循環でした。

足元に出すショートパスも雑で、味方の効き足やや前方へ確実にパスを出してやって欲しいです。

シドニー五輪予選のフィリピン戦で、相手の悪質なタックルで小野選手が選手生命を左右するような大ケガをしていますが、大差で負けているとラフプレーに走るのも東南アジアのチームにはありがちで、つまらないケガを防ぐと言う意味でも、シンプルなパス回しが重要です。

 やはり日本代表選手にとって、ボールを受けた時は次にどういったプレーを選択するかそれを考えるのを楽しみたい、パスを出すときは慎重に大事に行きたいというのはあると思います。

しかし時間もスペースも少ない現代サッカーにおいては、次にどういったプレーを選択するかそれを楽しむ時間というのは、アタッキングサードやバイタルエリアの中で使うべきであり、ミドルサードやディフェンディングサードで時間を浪費してしまうと、なかなか点が取れない試合に勝てないということが常識になっています。

自分より前にいる選手がいたらオートマチックにショートパスをまわすことを身につけることだけを目的として、日本代表よりかなり力が劣る相手との練習マッチを組んで、パス回しのリズムを体で覚えさせたり、ショートパスの出し方受け方を練習させたらどうでしょうか。

そうすることでオートマチックにパス回しをする不安を解消することができると思います。

今ユーロ2008がやっていますが、オランダ・チェコそれに負けてしまいましたがスイスなどサッカー戦術で世界最先端を行っているチームのショートパスのつなぎ方を見ていると、「そんなサッカーの基礎が出来ているのは当たり前」と言わんばかりに、パスを出すコースとタイミング、ボールを受ける時のポジショニングがほぼパーフェクト、観ている方もストレス無く楽しむことができます。

文章ではなかなか伝わりにくいと思いますので、ぜひユーロの映像を見て、良いところを盗んで欲しいと思います。

 この試合セットプレーからの2得点で目立たなくなっていますが、FWとMFの連携からシュートチャンスをつくるということもあまり上手くいっていません。

再三言っていますが、日本にはワントップというシステムが合っていないということが一点。
(岡田さんはこれまでずっとワントップだったとおっしゃっているようですが、試合中に玉田・大久保は2トップ的に動いているように見えます)

あとホームのオマーン戦でも言いましたがFWがウラへ動き始めるタイミングがいつも早すぎるというのが原因の二点目でしょう。

MFが相手ボランチの前のスペースで前を向いただけで、日本のFWはもう全速力で相手のウラへ走りこんでいます。でもパスが出ないので相手のオフサイドラインと平行に走りますがそれでもパスが出ないのでついにはオフサイドポジションへ突きぬけてしまいます。

ユーロ2008でファンニステルローイやアンリ、ビジャの動き方を見ていましたが本当に勉強させられます。

味方が相手のボランチの前のスペースでショートパスをつないでいるときはまだ動かず、敵のセンターバックの前のスペースの味方にショートパスが渡り、味方がボールを受けて前を向いた瞬間に、ようやくウラへ抜け出す動きを始めます。

「焦らずあわてず味方のパサーをFWの自分に引き付ける」というイメージでしょうか、ウラのスペースが広ければ広いほどスルーパスは通すにも受けるにもやりやすくなりますから、早く動きすぎてウラのスペースを自分でつぶしてしまうのではなく、味方が敵センターバックの前のスペースで前を向き、グラウンダーのスルーパスの「一本道」が見えてからウラへ動きはじめても遅くはないわけです。

FWはゴールに向いていてウラへ動くには有利ですが、相手DFはゴールに背を向けていて体勢が不利ですし、相手DFより数m速く抜け出せれば、GKと一対一にもっていけます。

シュートの正確性も含め、日本のFW陣が学ぶ点はたいへん多いと思います。

 選手起用については香川選手があまり機能していなかったように思います。 
上述のFWとMFの連携が上手く行かなかった一因として、それもあったのではないでしょうか。

現時点で香川より山瀬選手や中村憲の方が経験は上だと思うのですが、ワントップというシステム選択と同様疑問が残ります。

点が取れない時のためのパワープレー用に、巻・矢野両選手と山瀬や中村憲を温存しておいたというのであれば、慎重すぎるというか弱気で悲観的な采配ではないでしょうか。

タイをなめてかかるわけではありませんが、試合前からそこまで日本がいっぱいいっぱいになる必要があったとも思えません。

 それではまとめますが、タイとのアウェー戦で3-0という結果はかなり良かったと思います。
試合内容もまずまずでした。

ただ、ユーロ2008に出場している列強の試合内容を横目でにらむと、バーレーンとオマーンが引き分けたため日本の最終予選進出が決定こそしましたが、2010年W杯決勝T進出・3位以上という岡田ジャパンの目標達成のための戦力整備という点では、まだまだレベル向上が必要と思われます。


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追記

北京へ行く五輪代表にオーバーエージを使うという話が出ていますが、私は反対です。

A代表の選手は疲労の蓄積・故障の発生等で、とても北京に戦力を割ける状況にありません。
W杯予選もまだアジア最終予選ですらありませんし。

オーバーエージを入れれば、若手が経験を積むチャンスが確実に失われますし、勝っても負けてもU-23で勝負をいどんで経験を積ませることが短期的な勝敗を超越した、長い目で見た日本サッカーの利益になると思います。

U-23の人的リソースを十分生かしきっているとは思えないのに、オーバーエージで何とかしようというのであれば安易な発想ではないでしょうか。


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2008.6.14 ラジャマンガラ・ナショナル・スタジアム
            (バンコク)


   タイ  0  -  3  日本


             '23 闘莉王
             '39 中澤
             '88 中村憲



 GK コーシン      GK 楢崎

 DF スリー       DF 闘莉王
   二ウェット       中澤
   ナタポーン       駒野
   キアトプラウット    内田

 MF ダサコーン     MF 中村俊
   ピシットポン     (中村憲 70)
  (スティー 85)     香川
   タワン        (今野 82)
   チャイウット      松井
  (ニルット 71)    (矢野 70)
               遠藤
 FW サラーユット      長谷部
  (タナー 48)
   ティーラシン    FW 玉田




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■日本代表、酷暑のアウェーで勝ちに等しいドロー

 オマーンの首都マスカットで行われたW杯アジア三次予選の対オマーン戦は1-1で引き分けという結果に終わりました。

対戦相手であるオマーンの戦力評価については、前回エントリーでも言ったように日本とほぼ互角の相手、やや日本の方が上かと思っていました。

ですが今回は気温が40℃にもなろうかというアウェー戦。

勝てれば最高ですが、引き分けでも勝ちに等しいと考えていました。

その点からすれば1-1という結果は良かったと思いますし、三次予選突破に向けて確実に一歩前進できました。

前回3-0で完勝だったのに今回引き分けに終わったのは、たった5日間でオマーンが急激に強くなったとか、日本が急激に弱くなったというよりは、この試合がオマーンホームだったからという単純な事実が原因でしょう。

ただ中村俊選手も似たようなことをコメントしていますが、目先の相手ではなく世界の強豪国を意識して、2010年W杯グループリーグ突破という目標を見据えるならば、結果・内容ともにまだまだ足りないところがあるというのは、岡田ジャパン発足以来変わっていません。

 それでは試合経過を振り返っておきましょう。

試合は両チーム五分五分の立ちあがり。

先制したのはオマーンで前半12分、右サイドからのFKからこぼれたボールがオマーン選手の前へころがり、ゴール前中央へバックパス。

これを走りこんできたマハイジリがシュート・ゴールしてオマーンが先手を取ります。

ここからオマーンが引いてカウンター狙いになり、日本が相手を押し込んで中澤・大久保両選手の惜しいシュートがありましたが得点できず。

 後半、日が落ちて少し涼しくなったことで動きが良くなった日本に対し、オマーンはがっくりと運動量が落ち、前半以上に日本が押し込みます。

後半7分、長谷部選手のスルーパスから抜け出した玉田選手が倒されたとしてPK獲得。
相手の足はかかっていないように見えましたがラッキーでした。

これを遠藤選手が冷静に決めて同点に。

直後の12分、オマーンのサレハが日本のペナルティエリア(PA)を突破、闘莉王選手が引っ掛けたとしてPKを取られます。

闘莉王の足は相手にかかっていないように見えましたが、アンラッキーでした。
審判は日本にPKを与えたことへの「バランス」を取ったのでしょうか。

しかしドゥールビーンのPKを楢崎選手が見事にストップ!日本は命拾いをします。
 
その後も日本が優勢に試合をすすめますが、29分相手GKと交錯した大久保が報復で蹴りを入れてしまい一発退場。相手も退場者が出ましたが日本優勢の流れに水を差してしまいます。

結局試合はこのままドローとなりました。

 それでは試合内容の方を見ていきましょう。まず守備から。

40℃近い酷暑の中、マークのズレもほとんど見られず、中盤のプレスも精一杯やっていたと思います。

このあたりはキリンカップからの守備面の好調さを維持しているようでした。

横浜での試合よりFWからDFラインまでが間延びしたように見えましたが、もともと相手が、引いてトップにロングボールを蹴りこんでくる間延びしたサッカースタイルの上、酷暑の砂漠気候の中ですからやむを得ないところでしょう。

コンパクトな布陣というのは今後も常に意識し続けて欲しいです。

失点シーンですが、FKのボールが混戦の中からちょうどオマーン選手の前へこぼれてくるあたりが、オマーン・ホームの地の利ということなのでしょう。

TVアナは「まさかの失点」「オマーンは横浜とは別のチームのよう」を連呼していましたが、ホームとアウェーでほとんど有利不利が無い、Jリーグの恵まれた環境を大前提にしているからだと思います。

 唯一気になったのが、ボールを奪い返してからDFラインでパスを回している時、相手がプレスをかけてきているのに余裕を持ちすぎて、奪われそうになったシーンが何度があったことです。

ピッチを三分割した場合の自軍ゴール寄り、ディフェンディングサードはリスクをかけてパスをつなぐ所ではありません。

危なくなったらロングを放り込んでも良いので、とにもかくにも安全第一でお願いします。

 攻撃に関しては、あの酷暑のなか人とボールが動き続け、中盤の組み立ての部分ではまずまず良かったのではないでしょうか。

ただ相変わらず、グラウンダーのショートパスを受ける時のポジショニングの取り方、パスを出すときのコースとタイミングの基本がマスターできていないようです。

この試合、日本の選手がパスを相手選手にぶつけてしまうシーンが非常に多かったのですが、ボールを保持している日本選手から見て、敵選手がパスのコース上に立ちふさがっていて死角となっているスペースへ味方が走りこんでしまい、それでも無理やりパスを出そうとするので、相手選手にボールをぶつけてしまって奪われていました。

闘莉王がPKを取られたシーンも、駒野選手が相手にボールをぶつけてしまうというミスから始まっています。

より高いレベルの攻撃を求めるなら、ショートパスを回す時の基本のマスターが欠かせません。

 しかしながら、この試合なかなか日本が得点できなかった原因は中盤ではなく、相手ゴール前のバイタルエリアに侵入してからにあって、パスで相手のDFを完全に崩して、GKまでパスでかわして後はゴールに流し込むだけという形をつくりたいという、いきすぎた完璧主義に陥っているのかもしれませんが、日本の選手はバイタルエリアで前を向けてもシュートが少なすぎました。

シュートへの積極性においてはオマーンの方が上で、それが1-1という結果につながった一つの要因でしょう。

パスで相手を完璧に崩しきってからシュートしたいという考えの裏側には、シュートが外れるのを恐れ、シュートという勝負から逃げてしまうというメンタルの弱さがあると思うのですが、それが2006年W杯グループリーグ敗退や07年アジアカップ4位という結果の大きな原因の一つであり、日本サッカー界がなかなか解決できないでいる課題となっています。

日本選手の弱気さというのは、相手PA内に侵入した日本選手に相手がちょっとでも触れると倒れて、
すぐさま主審の顔を見てPKをアピールするというシーンがこの試合で何度も何度も見られたことからもうかがえます。

この試合のマレーシア人主審は、2004年アジアカップ決勝T一回戦の対ヨルダン戦、PK戦において日本が二本外した後、宮本選手の提案でPK戦をやるゴールを反対側に代え、日本が大逆転勝利をした時と同じ方とお見受けしましたが、オマーン戦でPKを一本獲得できたのは審判との相性が良かったと言うか、ちょっとラッキーだったと思います。

レベルの高い欧州や南米の主審だったらどうだったでしょうか。

もちろん悪質なファールを受けたというなら別ですが、相手がボディコンタクトしてきても日本の選手が倒れずに踏ん張って、シュートなりラストパスなりすれば、この試合もっと点が入っていたかもしれないと思います。

シュートを打とうと思えば打てるが、倒れてあわよくばPKをもらおうという考え方自体、消極的で弱気な証拠であり、日本人選手のサッカー技術の向上にも役立つことは無いでしょう。

下手をするとシミュレーションを取られてカードをもらうことになりますし、正真正銘日本にPKが与えられるようなファールがあっても、日本選手が審判からの信用を失ってしまい、シミュレーションを警戒した審判がPKを取ってくれないこともあるかもしれません。

レベルの高い審判であれば、選手が思っているほどシミュレーションかそうでないかを見分けるのは難しくないと思います。

ともかく、こういった日本選手のメンタル面での弱さというのは、イタリアやアルゼンチンといった強豪と対戦すればもっとハッキリとあらわれ、悪い試合結果へとつながっていくことになります。

失敗しても良いから、アタッキングサード、特にゴール前では日本の選手がリスクをおかし、積極的にシュートで勝負を挑む姿を見たいです。

横浜では中村俊のゴールでそうした姿勢がまずまず見られたのに、この試合ではチーム全体にそういう意識がなかったのが残念。

サイド深くでボールをもらった最初のタイミングでゴール前へクロスをあげて勝負するよりも、すぐボールを後ろへ戻してしまうバックパス専用選手と化しているサイドバックの姿も見たくないです。

前回指摘した、センターバックの前のスペースをどう使うかという問題も、浮き球のパスを出してFWが裏を狙うという単調な攻撃が多く、もっと創造力を求めたいところ。

 先ほどシミュレーションの話をしましたが、ジーコジャパン時代の日韓戦で大久保がシミュレーションを取られて退場になったことがありました。

この試合でも、相手GKと交錯した時に報復行為の蹴りを入れて一発退場。

日本代表を重大な危機に陥れましたが、審判との相性の良さでしょうか、大久保のラフプレーが原因となってエキサイトした相手選手が松井選手を突き飛ばしたとして、バランスを取ってレッドを出してくれたので、数的不利は免れました。

ただ、代表に大きな迷惑をかけたのはこれで二度目であり、情状酌量の余地はありません。
大久保は当分代表から外すべきでしょう。

これに関連してですが、松井は二列目よりも大久保に代えてFWにあげたほうが、彼の個性が生きるのではないでしょうか。

 プレー以外にも気になったことが二点。

この試合、日本は白の2ndユニホームを着用していましたが、オマーンのユニホームは赤か白のはず。どうして日本が2ndユニを着用する必要があったのでしょうか?

たとえばブラジル代表のカナリア色のユニが相手チームに与える精神的威圧感は相当なものだと思うのですが、オマーンを含めアジア各国にとっても、アジアの強豪・日本代表の青いユニホームから受けるプレッシャーがあるはずです。

横浜でオマーンを圧倒した青いユニホームを日本が自分からひっこめてしまったことで、オマーン側に完敗のショックから立ち直る気分転換のチャンスを与えてしまったのではないでしょうか。

Jリーグでもそうですが、アウェーだから自動的に2ndユニではなく、日本協会はもっと自分たちの1stユニホームに誇りを持ち大切にして欲しいです。

優勝したJクラブがユニの上からヘンテコなTシャツを着て記念撮影するのも私個人は好きではありません。

どうして優勝を勝ち取った自分たちの誇りある「戦闘服」を、安っぽいTシャツで隠してしまう必要があるのか理解に苦しみます。

 二点目は、どうして40℃近い酷暑のオマーンで、わざわざ太陽がまだ沈んでいない17時というキックオフ時間を選んだのかです。

オシムジャパン時代にオマーンの隣国イエメンとのアウェーを戦った時もそうだったのですが、これは日本におけるサッカー中継開始をなるべくゴールデンタイムに近くして視聴率を上げたい日本側の都合でそうなったそうで、それを受け入れたオマーン協会もどうかと思いますが、川淵会長率いる日本サッカー協会の愚かな商業主義がまだ続いているのかとあきれてしまいます。

W杯ドイツ大会でも日本でのTV中継時間を第一に考えてキックオフ時間が設定されましたが、人とボールを動かすことが生命線になっている日本代表が、デーゲームの猛暑のなか足がとまり、(特にオーストラリア戦の試合終了直前)それがドイツでの惨敗の大きな要因となりました。

日本協会の行きすぎた商業主義がドイツにおける日本の惨敗につながり、そのことが現在まで尾をひく代表戦人気凋落の原因となっています。

ドイツW杯直後、「川淵会長は責任を取って辞任するべきだ」という意見が当然出て、私も支持しましたが、驚いたことに「川淵会長がいなくなったら代表戦の興行収入はどうなる。だからやめさせてはダメだ」という論陣をはって川淵氏をかばうブロガーが少なくありませんでした。

しかし、代表人気の凋落を防ぐには試合に勝って好成績をあげることに勝るものはありません。

代表が勝つために日本サッカー協会が存在しているはずなのに、川淵会長の協会カネ儲け第一主義が代表チームの足をひっぱり、代表が勝てないから観客動員が落ちる、興行収入が減るというのでは、川淵会長続投支持の根拠はすべて崩れ去ったと言わざるを得ません。

川淵氏はJリーグを作ったからその後は何をしても許されるという、プロの世界にあるまじき年功序列主義はまったくの論外。

日本サッカー協会の会長職を選挙によって決めようという話が出ると川淵氏が怒り狂って、後輩たちが静まり返ったという話が某週刊誌に載っていましたが、たとえ先輩が間違っていても後輩は絶対に逆らってはいけないという日本独特の部活文化も、協会に巣くう前近代性の象徴でしょう。

 それではまとめます。

アウェーのオマーン戦で1-1という結果は良かったと思います。内容もまずまずでした。

ただW杯で3位以上という岡田ジャパンの目標を見据えると、結果も内容もさらに高いレベルが望まれます。

W杯で決勝トーナメントに進出できるチーム、あるいはユーロの本大会に出場できるレベルのチームであったなら、たとえ1点差であってもオマーンに勝ちきっていたと思います。

アジアはレベルが低いから、どんなに試合を重ねても日本代表のレベルアップにはつながらないということはありません。

日本代表がアジアにおいて「まるで別の惑星から来たようなチームだ」と言われるぐらいの、別次元の強さを見せることが出来るようにならないとW杯3位以上は見えてこないでしょう。


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 2008.6.7 ロイヤルオマーンポリス・スタジアム
                  (マスカット)


  オマーン  1  -  1  日本


'12 マハイジリ       '53 遠藤(PK)



 GK アルハブシ       GK 楢崎

 DF ラビア          DF 中澤
   アルナウフリ         闘莉王
   サビール           駒野
   アルアジミ          内田
   ファヤル           (今野 90+)

 MF ドゥールビーン     MF 長谷部
   (Y・ムバラク 85)       遠藤
    M・ムバラク         松井
   (アシュール 46)      (山瀬 78)
    マハイジリ        中村俊
   (アルムシャイヒ 69)
    アルファルシ      FW 玉田
                    (矢野 90+)
 FW サレハ            大久保




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■日本代表、オマーンに完勝

 横浜の日産スタジアムで行われたW杯アジア三次予選、日本対オマーン戦は3-0で日本の完勝という結果になりました。

オマーンはカタールやクウェートのリーグでプレーする選手中心のチームで、日本とほぼ互角の実力を持つ相手、それでもやや日本の方が上かと思っておりましたが今回は日本のホーム。

石にかじりついても絶対に日本が勝たなければいけない試合でしたが、3-0で勝利という結果はすばらしかったです。

ドイツW杯アジア1次予選やアジアカップ2004であたった時よりも、オマーンはレベルダウンしていたように思います。サスペンションやケガで主力5人が欠けていたり監督が変わったばかりといった話もありますが、それが影響したのでしょうか。

 それでは試合経過をざっと振り返りましょう。

試合は攻守ともに終始日本が主導権を握ります。

左サイドからショートパスで相手を崩し獲得した前半10分のCK。

遠藤選手が蹴ったボールがゴール前ど真ん中の、相手GKが出られそうで出られない絶妙なポイント
(イングランドの戦術教科書で言うところの「プライム・ターゲットエリア」)に落ち、これを相手選手を引きずりながら中澤選手が頭でねじ込み、日本先制。

前回のエントリーでも言いましたがセットプレーからボールをどこへ落とすか、そのセンスは中村俊選手より遠藤の方が私は好きです。

早い時間で先制できたことがとても大きく、日本の選手たちがのびのびとプレーしはじめます。

22分、闘莉王選手が後方から最前線にあがると、オマーンDF陣のマークがズレて混乱、中村俊がロングパスを送り、闘莉王がヘッドで落としたボールを拾った大久保選手がゴール左に流し込んで2-0。

一方、中澤が一回ミスした時以外はオマーン攻撃陣にほとんど仕事をさせません。

 後半も、ひきつづき日本ペース。

4分、松井選手が前から積極的なプレスでボールを奪取するとドリブルで中へ持って行き、ゴール前やや右に走りこんだ中村俊へパス。

フェイントを入れて相手DFを外して放った中村俊のミドルシュートがゴールに突き刺さり、日本が3-0とリードを広げます。

この後日本はスローダウン、今後のことを考えてもう1点ぐらい欲しいところでしたが、無難な試合運びでそのままタイムアップとなりました。

 次に日本代表の試合内容を分析します。まず守備から。

守備に関してはキリンカップでの好調を引き続き維持しています。

オマーンお得意の、身体能力の高いFWにロングボールを放り込むカウンター攻撃は、抜群のフィジカルの強さと高さを誇るセンターバック・コンビ、中澤と闘莉王がシャットアウト。

かといって中盤でつなごうにもオマーンは攻撃面での組織力が低く、ことごとく日本の厳しいプレス守備網にひっかかって、数少ないセットプレー以外オマーンの攻め手は完全に無くなりました。

相手のボール保持者にまず一人が当たりに行き、相手がバランスを崩したところでカバーに入った二人目三人目がボールを奪うという日本の組織的なプレス守備が非常に機能していました。

これからもコンスタントに、このような高いレベルの組織的ディフェンスを維持・発展させていって欲しいと思います。

 つづいて攻撃面ですが、キリンカップの時と同様まずまずだったと思います。

立ちあがりは緊張からか、ややギクシャクしたところもありましたが、セットプレーから早めに先制点を取ってからは、ショートパスを中心に人とボールが良く動く、日本らしい攻撃ができていました。

二列目の選手が積極的に前へ飛び出してゴールを狙って欲しいと、パラグアイ戦のエントリーで課題として挙げておきましたが、中村俊のゴールはとても良かったです。他の攻撃的MFやボランチの選手も彼の良いところを盗んで欲しいと思います。

 ただ攻撃面における組織力は、まだまだ伸ばす余地がありますし、岡田さんはW杯で3位以上という目標をかかげていますが、その目標を達成するには改善が必要です。

この試合における日本代表の攻撃力のレベルは、キリンカップの時とさほど変わっていません。

コートジボアールに1-0、パラグアイに0-0だったのに、オマーンに3-0で勝てたのは、攻撃力がここ数日間で急激にレベルアップしたと言うよりは、オマーンがコートジボアールやパラグアイより弱かったという単純な事実が原因でしょう。

オマーンに3-0で勝てれば、日本はイタリアやフランスにも3-0で勝てるということなら何も言うことはありませんが、事実はそうではないということに留意しなくてはならないと思います。

 この試合問題だったのは、岡田監督もハーフタイムで指摘したようですがFWから最終DFラインまでかなり間延びしてしまったことです。

これによって選手ひとりひとりの距離や一本一本のパスが長くなり、それに比例するようにパスミスも多くなってしまいました。

ロングパスを放り込んだり3バックで1人余らせる守備システムをしくことが多い中東のチームや中国・韓国代表は元来間延びしやすい傾向をもっています。

日本代表は選手も監督も、まだ自分の意思でFWからDFラインまでの距離を自由自在に設定することができず、相手につられてそれに合わせてしまうクセがあります。

相手が間延びした中東のチームだと日本もつられて間延びしてしまい、相手がコンパクトな欧州のチームだとこちらもつられてFWからDFラインまでコンパクトになるといった具合です。

 よく日本代表が欧州遠征で、チェコやスイスを破りドイツやイングランドと引き分けるといったサプライズを見せるのは、相手のコンパクトな布陣につられてこちらもコンパクトになり、選手同士の距離がショートパスをつなぐのに最適のサポート距離になってパスが楽に回せるためです。

日本の布陣がコンパクトになっているために相手DFラインも高く保たれ、相手DFのウラのスペースが広いためにウラへ抜け出す選手に出すロングパスも通りやすくなります。

現在の日本代表はFWからDFまでコンパクトな布陣にするということを、相手につられたときに偶然できるという段階ですが、これを自分たちの意思でいつでもどんな時でもできるようにしなければいけません。

このあたりが組織戦術面において、イタリアやフランスといった世界トップレベルの強豪から日本が大きく遅れている分野のひとつです。

 そこで一番問題なのは日本のFW陣のポジショニングで、日本のFWは点を取りたいと焦るあまりゴールに近いところへ近いところへとポジショニングする傾向がありますが、相手DFは自分のウラを取られたくないので、当然オフサイドラインを下げます。

するとFWに引きずられる形で日本の二列目の選手も前へ前へと移動し、ボランチと二列目が離れすぎてその間に大きなギャップが発生、結果として日本のDFラインからFWまでが間延びして、ショートパスを回しにくい、パスミスが多い状態になってしまうのです。

また、相手のオフサイドラインを下げさせてしまうために、相手DFとGKまでのウラのスペースが狭くなり、日本のFWが狙っているはずの、相手DFのウラに抜け出してロングパスを受けてGKと一対一の局面をつくるということも難しくなります。

つまり自分が前へ前へと得点を焦ってポジショニングすることで、自分がプレーするスペースを自分でつぶしてしまって得点から遠のいているということです。

バックやボランチがボールを持っている段階で、日本のFWが焦って相手DFのウラへウラへと動くのではなく、中盤でボールをまわしているうちはコンパクトな陣形を保ち、相手センターバックの前のスペースで日本の二列目の選手がボールを持ち前を向いた瞬間に、相手DFのウラへ抜け出すような動きを始めても遅くは無いと思います。

ここで重要なポイントになってくるのが、相手センターバックの前のスペースの使い方で、スペインやアルゼンチンなどの選手はそこを使うのが本当に上手いのですが、日本のFWも二列目の選手もこのスペースの使い方にまだまだ課題を抱えています。

このスペースでワンツーを使って相手のDFラインを突破したり、スルーパスを出したり、いったん中央へ敵を引き付けてからサイドへ展開などなど、このスペースでこそ選手ひとりひとりの個性・アイデア・ファンタジーを見せて欲しいと思います。

その点において、この試合の中村俊のゴールは良かったと思います。

こうした攻撃を続けているうちに、相手が日本のパス回しを封じるためDFラインを押し上げ、中盤が詰まってきた場合は、味方のバックやボランチがボールを持った瞬間、日本のFWがオフサイドに気を付けながら相手DFのウラへ抜け出し、ロングパスを受けるような動きをすると効果的です。

 この試合、ショートパスをつなぐ時のミスもまだまだ多いのが気になりました。

アタッキングサードの、特に敵ペナルティエリア直前にいる選手にショートパスを出すときに、パスを出す選手が決定機ということでパニックになってしまうのか、スペースに出すでもない味方の足元に出すでもない、中途半端なパスをなんとなく出して、そのままボールを敵に渡してしまうシーンが見受けられました。

まだまだショートパスをつなぐ時のセオリーがしっかりと身についていないようです。

判断に迷うようなら、敵DFラインの前ではまず確実に足元へつなぐことを最優先にして、パスをスペースへ出すのは相手DFのウラへの動きのみにするという約束ごとを決めておいた方が良いかもしれません。

それで基本プレーが確実にできるようになったら、応用へとすすむようにすれば、日本の攻撃はさらにレベルアップすることでしょう。

 今回のオマーン戦、3-0という結果はとても良かったと思いますし、試合内容もキリンカップに引き続いてまずまずでしたが、2010年W杯でグループリーグ突破・3位以上という目標を念頭に置くならば、攻守におけるさらなるレベルアップを貪欲に追及し続けて欲しいと思います。

「まだ本大会まで時間があるから、今はアジアを勝ち抜けるレベルで良いのでは」という方がおられるかもしれませんが、代表はクラブと違って、チームづくりの時間が非常に限られています。

である以上、アジア予選を戦いながらなるべく早いうちに基礎問題を確実にクリアできるようにし、試合の中で応用問題を解く時間をできるだけ長く取りたいのです。

イタリアやフランス、ドイツ、アルゼンチン、ブラジルといったチームはとっくに基礎を固め、もう何十年も応用問題で何点とれるかという競争をライバルたちと続けてきました。

日本とはそうした意味で経験が違います。

これからの三試合で岡田ジャパンのサッカーに、少なくとも2010年W杯でグループリーグ突破の可能性が見えるのか、そこまでの「のびしろ」はあるのか、そのあたりをじっくりチェックしようと思っています。

最近代表戦の観客数が減っているようですが、その原因はそうした「のびしろ」がまったく見えなかったところにあるのではないでしょうか。

 次回はアウェーのオマーン戦ですが、H&Aとして見ればまだ「前半」が終わったばかり。
「後半」も良い結果・ハイレベルの試合内容に期待したいです。

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    2008.6.2 日産スタジアム(横浜)


  日本  3  -  0  オマーン


  中澤  '10
  大久保 '22
  中村俊 '49


 GK 楢崎      GK アルハブシ

 DF 中澤      DF アシュラフ
    闘莉王        マダファル
    駒野         アルアジミ
    長友         ファヤル
   (今野 83)      アシュール

 MF 中村俊     MF A・ハディド
    遠藤         ドゥールビーン
    松井         M・ムバラク
    長谷部       (H・ラビア 75) 
               アルムシャイヒ
 FW 玉田        (H・ハミス 55)
   (巻 79)
    大久保     FW アルホスニ
   (香川 72)




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