■2008年01月

■岡田ジャパン初勝利

 きのう国立競技場で行われたテストマッチ、対ボスニア・ヘルツェゴビナ戦は3-0で日本の完勝に終わり、二戦目にして第二期岡田ジャパンは初勝利をあげました。

オシム前監督も観戦に訪れ、VIPルームに元気な姿を見せてくれました。本当にうれしいですね。

 さて対戦相手となったボスニア代表ですが、クロアチア・ドイツ・イタリア・ロシアなど各国リーグでプレーする選手を召集して日本とガチンコ勝負になれば、日本のホームでも引き分けるぐらいの実力はあると評価していました。

ただ残念ながら今回来日したチームは、国内リーグでプレーする選手中心の二軍で、レギュラークラスはチェコリーグでプレーするメルジッチくらいだったでしょうか。

日本としては絶対に勝たなくてはいけない相手だったと思います。

これをふまえると、3-0で日本の勝利という結果は満足できるものです。
ただ、試合内容にまだまだ課題が残されているようでした。

 それでは試合をざっと振り返ると、前半後半とも終始、日本が優勢に試合を進めました。
ところが前半は、攻撃の組み立てが雑になってあまり良い形をつくれず。

後半も重苦しい展開が続きます。

後半も半ばに差し掛かって得た右CKから、遠藤選手がペナルティエリア直前へパスし、これに飛びこんだ山瀬選手のシュートはうまくヒットしなかったものの、ゴール前にいた中澤選手への絶妙のパスとなって、これを押し込んで日本がようやく先制。

これでボスニア代表の集中力が切れ、ガックリと運動量が減りました。

後半38分には、日本のカウンターから大久保選手が浮きダマのラストパス、これをオフサイドぎりぎりで抜け出した山瀬が拾い、GKと一対一となるも冷静にボールをゴールへ流しこんで二点目。

43分、今野選手がゴール前へ放りこんだボールを播戸選手がヘッドで落とし、山瀬がシュートしてダメを押しました。

 それでは試合内容を守備からチェックします。

ボスニアの攻撃力がさほど強力ではなかったこともありますが、守備に関しては中盤でのプレスが良く機能していたと思います。複数の選手で相手を囲い込んで、うまくボールを奪えていたのではないでしょうか。

日本のゴール前での敵選手へのマークもかなり出来ていました。

 課題があるとすれば、日本が人数をかけて攻撃した後の、敵のカウンター攻撃対策でしょう。

特にアジアの場合、中東諸国がカウンター巧者であるのは有名ですし、タイもなかなかのものです。

残っている敵選手へのマークとカバーをしっかりやる、味方選手がオーバーラップをかけたら、抜かれた選手は上がった選手のポジションを埋めるなどの約束事の再確認が必要でしょう。

たとえば、ボランチが前線へ上がったら追い抜かれた二列目がボランチの担当していたスペースを埋めて周りの敵選手を見る、

センターバックが上がったら、追い抜かれたボランチがバックラインまで下がるといった具合にです。

センターバックが上がる場合、中澤がパス回しに参加するのも面白いですし、ここ数試合そういう場面も多いのですが、絶対に上がるなとは言いませんが、できれば一対一に強い中澤はゴール前を空けず、展開力の高い阿部選手がリベロのように上がった方が攻守両面において好ましいのではないでしょうか。

 攻撃に関して良かった点は、山瀬のゴールを奪おうとする貪欲な姿勢です。山瀬の積極的な姿勢にチームはだいぶ助けられたのではないでしょうか。

逆にいえば、それ以外の選手はバイタルエリアに入っても、まだシュートから逃げ腰になるクセが抜けきれません。

個人名をだして申し訳ないですが、典型的だったのは内田選手がペナルティエリア内に侵入して自分の前に相手GKしかいなかったにもかかわらず、マイナスのパスに逃げたシーンです。

若いのだからこういうシーンではどんどんリスクをかけてシュートして欲しいです。それは良いリスクのかけ方です。

「シュートできたけど、よりゴールへの確率が高いパスを選んだ」というコメントをする日本人選手が大変多いですが、その80%はシュートから逃げるうまい口実となっていると思います。

そのパスがミスになってズレたら、あるいはパスを受けた選手がトラップ・ミスをしたら、パスをしている間に敵選手が戻り味方がシュートを打つ時間もスペースも消されてしまったら、なんてケースはいくらでもあります。

どうしてそのパスが「よりゴールへの確率が高い」と言いきれるでしょうか。

時間もスペースも無い敵ゴール前では、手数をかければかけるほどゴールから遠ざかって行きます。

イングランド・サッカー界では「時間は常に守備の味方」という格言があるようですが、手数をかけて失った時間とスペースを取り戻してゴールするには、よほど効果的なパスとポジショニングが求められます。

それは多くの場合たやすいことではありません。

ペナルティエリア内に侵入して自分の前に相手GKしかいなかったら、ためらいなくシュートを打つべきです。

また、この試合でゴール前でのヒールパスを失敗するシーンが非常に多かったですが、これも単調な攻撃にアクセントをつけるというよりも、味方同士でシュートをする権利をたらい回しにしているような感じ、ポジショニング・ミスやパスコースのズレを苦しまぎれのヒールで何とかしようとしている感じでした。

練習試合や親善マッチで、しばらくヒールキック禁止で試合をしたらどうでしょうか。

こうすれば正しいポジショニング、正しいボディ・シェイプ、正確なパスでボールを回してシュートを打たないと苦しいですから、これらの能力が鍛えられると思うのですが。

ともかく、山瀬のシュートへの積極的な姿勢をチーム全体に浸透させるべきでしょう。

W杯予選のタイ戦では、バイタルエリア内で楽な姿勢からどれだけシュートを数多く打てるかが勝負となると思います。

 次にショートパスによる中盤の組み立てですが、横あるいはバックパスは良いのですが、横・横とつないだ後のタテに入るパスが雑で、ミドルの浮きダマのパスをなんとなくFWがいるあたりに放りこむようなアバウトなパスが多く、これが試合開始から後半の半ばまであまり良い形をつくれなかった原因となっていたようでした。

岡田監督は「きれいな形ばかりじゃ点は取れない」とおっしゃっていましたが、だから雑でアバウトなサッカーをやれという意味では無いと思います。

オシム氏は「自分のパスにメッセージをこめろ」と選手に何度も繰り返したと思いますが、この試合の、ミドルの浮きダマをなんとなく放りこむようなアバウトなパスからは、それを受ける選手にどうしてほしいのか、私にはパスを出した選手のメッセージが理解できませんでした。

私が考えるスーパーなパサーというのは、バランスを崩した無理な体勢からでもボールの受け手がトラップしやすいシルキーなパスを出せる選手です。

バランスを崩した無理な体勢からボールの受け手がトラップしにくい難しいパスを出す、あるいは楽な姿勢からボールの受け手がトラップしやすいシルキーなパスを出すというのは、プロならまあ当然と考えて良いでしょう。

しかし、あえてリスクをかける時は別としても、自分が余裕を持った楽な姿勢からボールの受け手がトラップしにくい難しいパスを出す選手というのは、良いパサーとは言えないと思います。

この試合、そういうパサーが目立ちました。

先ほど言った、味方がいないような所にミドルの浮きダマをなんとなく放りこむようなアバウトなパスや、トラップしやすいグラウンダーのショートパスをもらったにもかかわらず、出したパスは小刻みにバウンドするような、受け手がトラップしづらいパスが目につきました。

自軍ゴールからバイタルエリア直前までのエリアでは、もっとていねいに、特にタテに入れるショートパスを大事にして欲しいと思います。

そして自分のパスにメッセージをこめて欲しい。

バイタルエリアを超えたら、ゴールを奪うために、大胆にリスクを冒して積極的にシュートして欲しいと思います。

 個人的に良かったのは、まず山瀬、そして内田もだいぶ慣れてきたように思います。
若いのだからシュート・クロスでもっと大胆に自分を出してくれることを期待します。

 次回はいよいよW杯予選の本番・タイ戦です。

絶対に勝ち点3を取らなくてはいけない試合です。

タイの出方はわかりませんが、もし引いてスペースを消してくるのなら、日本がボールをキープできるからといって判断が遅くなり各選手がボールを持ちすぎて、クロス・シュートが少なくなると相手の思うツボとなります。

モタモタと横パスを回しているうちにボールをかっさらわれてカウンターを食らい、先に失点すればますます苦しくなります。

 まずショートパスで自分の前に味方がいたら判断良くどんどんパスを回して、バイタルエリアに味方とボールを送りこむ回数をなるべく多くすること、

バイタルエリアに侵入したら、なるべく楽な体勢のうちに精度の高いクロスやラストパスを出して、できる限りシュートの回数を増やすこと、


もちろん相手に弱点があればそこを重点的につくべきですが、サイド攻撃がはね返されたら今度は薄くなった中央から崩し、中央ではね返されたら再び薄くなったサイドからと、攻撃に幅を持たせて相手にしぼらせず、貪欲に先制点を狙うことが重要なポイントとなるでしょう。



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   2008.1.30  東京・国立競技場


    日本  3 - 0  ボスニア


'68 中澤
 '83 山瀬
 '88 山瀬


GK 楢崎      GK ハサジッチ

DF 中澤      DF ビディッチ
   駒野         スパヒッチ
   内田         Sta・ニコリッチ
   阿部        (レゴイエ 53)
              ダムヤノビッチ
MF 遠藤         ヨバノビッチ
   中村憲       (ユーゴ 46)
  (今野 78)
   鈴木    MF フルゴビッチ
   大久保       (サルチノビッチ 84)
  (羽生 88)      ジジョビッチ
             (スティリッチ 84)
FW 高原         ブラダビッチ
  (播戸 82)     (シュコロ 61)
   巻          メルジッチ
  (山瀬 34)
           FW ラシュチッチ
              (Ste・ニコリッチ 46)



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■岡田ジャパン初陣はスコアレスドロー

 第二期・岡田ジャパンの初陣となったチリ戦は、スコアレスドローとなりました。

対戦相手のチリは、私個人としては日本とほぼ互角の相手と評価していましたが、

W杯南米予選を戦っている欧州やブラジル・アルゼンチン・メキシコリーグでプレーする主力選手を帯同せず、若手の国内組のみでチームを組んだこと、そして真夏の地球の裏側から真冬の日本へはるばる遠征したことも考え合わせて、何としても日本が勝利しなければならないと考えていましたが試合は引き分けに終わり、日本代表は結果を出せませんでした。

さすがに理論派のビエルサ監督がつくったチームだけあり、非常に組織力が鍛えられた良いチームでした。

攻撃に難があるようでしたが、試合終了まで続けられたプレス守備は驚きです。

日本とチリ、目指す方向性が似ているように思えました。

 ただ、シーズンオフ明けとなる岡田ジャパンの最初の実戦としては、まずまずの内容だったと思います。

 試合の方は、最初の10分こそ日本が良い形をつくりましたが、3バックにシステムを修正して中盤の厳しいプレス守備で日本の攻撃の芽をつみ、試合の主導権をにぎったチリのペース。

しかし守備は素晴らしいものの、チリの攻撃にも迫力がなく、前半は両チームともゴール前であまり熱いシーンが見られることなく終了。

 後半も同じような展開。 

17分、高原選手に代えて大久保選手を投入すると、ゲームの流れが変わりました。

1分後、中村憲選手が相手のバックラインのウラへパスを出すと、大久保が抜け出し相手GKを外してシュートするもゴールマウスを外れます。

20分、羽生選手のスルーパスを受けた大久保が中へきり返してコントロールシュート!
惜しくもバーの上へ。

37分、遠藤選手のCKを大久保が頭でうまく合わせるも、相手GKの好セーブで得点ならず。

41分、矢野選手が落としたボールを拾った大久保がGKと一対一、このシュートもゴールの上へ。

主審がほとんどロスタイムを取らず試合終了となりました。

 それでは試合内容をチェックします。まず攻撃から。

攻撃における組織プレーは、最初の実戦にしては良くできていた方だと思います。

特に前半9分の、遠藤・高原・巻選手らがからんだ組織的な崩しは、スペースの使い方・使用するパスの選択・連動性どれも素晴らしかったです。

全選手がこのプレー映像を良く頭に焼き付けておいて、岡田ジャパンの攻撃の土台とすべきです。

 逆に課題となったのは、あまりにも「速くパスを回さなければ」という意識が強すぎたところにあったように思います。

前半9分のプレーは理想的な形でしたが、あれよりパススピードを速くすると、今の日本代表選手のポジショニング能力・技術ではプレーの正確性がぐっと下がってしまうように思います。

チリのプレス守備も良かったのですが、あれ以降パススピードは上がりましたが、日本の中盤の組み立てがどんどん雑になってしまい、良い形がほとんどつくれなくなってしまいました。

あまりにも「速くパスを回さなければ」「ダイレクトパスをしなければ」という意識が強すぎて、味方が誰もいないスペースや敵選手にパスしてしまったケースが目立ちます。

ダイレクト・パスでミスになりそうなら、ツータッチしてもやむを得ませんし、まわりの状況がつかめていないなら、いったんキープしてルックアップしても良いでしょう。

本来ならダイレクトで流れる様にパスがつながるのが理想ですが、中盤の組み立てが雑になってミス連発では意味がありません。

 また、敵ゴールから30mのいわゆるバイタルエリアに侵入してもなお、「パスを回して最後の最後まで崩してやろう」という意識が強すぎて、バイタルエリア内でのシュート・クロスが少なすぎました。(特に前半)

バイタルエリアでシュート・クロスの勝負から逃げてしまうという問題は、オシムジャパン時代からの課題であり、それがなお解決されていないということでもあります。

FW陣も試合の前半、「速いパス回しをしなければ」という意識が強すぎて、悪い意味でポストプレーをやるのに一生懸命になりすぎ、本来の仕事つまり得点するということがおろそかになっていたと思います。

「バックパスありき」では無く、ボールを受けたらまず前へ向いてシュートするのが第一の選択肢。

それが出来ない場合に、スルーパス・クロスという選択肢を考え、それでもダメな時は横パス・バックパス。

それとともに、足元で受けて前へ向くプレーと同じくらいウラへ飛び出すプレーやゴール前へつめるプレーも大切。シュートとウラへ抜け出すプレーが無いと相手DFはちっとも怖くありません。

 守備面では、中のマークもかなり集中できていましたし、中盤のプレスも速くてまずまずでした。

しかし、相手のボール保持者には体をもっと寄せてミスプレーを誘わないと、ただ速くつめてパスコースを切るだけでは守りきれません。

試合中でも、キープ力が高いチリの選手にかなりやられていて、それが苦戦の原因となったように思います。

 選手個々では、内田選手に経験を積ませられたことが大きいです。

オシムジャパンでは、両サイドバックのポジションで競争がほとんどなかったのですが、G大阪の安田選手あたりも含めて、フレッシュな選手が参戦することでポジション争いが激しくなって欲しいです。

大久保も活発な運動量でチームにカツを与えました。
シュートが外れたことについては気にする必要は無いと思います。

どんどんシュートを打って、どんどん決める、それだけに集中すれば良いでしょう。

 岡田ジャパンの初陣は、ドローに終わりました。

結果こそついて来なかったですが、初の実戦にしてはまずまずの内容だったと思います。

次回のボスニア戦が勝負となります。

ただ、相手がフルメンバーでバリバリのモチベーションで来るならば、そう簡単に勝てる相手ではありませんが。

ともかく、日本代表選手がバイタルエリアに入ったら「パスで完璧に崩してやろう」とか「シュートが外れたらどうしよう」などと考えず、得点チャンスと見たらどんどんシュートを打って、貪欲にゴールを求めて欲しいです。

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 2008.1.26 東京・国立競技場

   日本 0  -  0  チリ



GK 川口       GK ピント

DF 中澤       DF セレセダ
   駒野          ハラ
   内田          マルチネス
  (加地 71)    
   阿部       MF フィエロ
               エストラーダ
MF 遠藤          イトゥーラ
   中村憲         モラレス
  (山瀬 80)       メデル
   鈴木
   山岸       FW ルビオ
  (羽生 57)       ボセジュール

FW 高原
  (大久保 62)
   巻
  (矢野 70)



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