■2007年07月

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■退屈な3位決定戦(その2)

前回のつづき

 メンタル面について言えば、準決勝が終わってから、首をかしげたくなるようなことがたくさんありました。

日本代表選手やマスコミから、「決勝は韓国とやりたかった」「伝統の一戦だから絶対に負けられない試合」「韓国は日本の永遠のライバル」と言った声が、一斉に上がったことです。

前述のように、今大会の韓国がファイナリストとしてふさわしい試合をしていたか疑問です。

「近年の、オランダ流の組織サッカーを取り入れた韓国に対し、オシム監督がもたらした日本の組織サッカーが、どう対抗するか、どれだけ勝負できるのか」

この試合で私が期待したものは、まさにこれでしたが、この試合は双方アイデアもなく、お互いが単純にロングボールを放り込み合う、退屈な展開。

韓国は、タテへ速いロングボールを入れて、ラッシュした身体能力の高いFWに競わせるという、伝統のサッカーへと先祖帰りしつつあるように見えました。

オーストラリアを3-1で破ったイラクと、日本を3-2で破ったサウジの方が、少なくとも私には、ファイナリストとしての資格があるように思えますし、現実にそうなりました。

相手の実力・試合内容も見ずに、日本サッカー界が、韓国を”ブランド”として崇拝するのはもうやめるべきです。

 あそことやりたい、どこどことはやりたくない、というのは、どっちにしろコンプレックスの一種ではないでしょうか。

残念ながら日本サッカー界に、南米と韓国へのコンプレックスがあるのは否定できないと思います。

これまでJリーグに来た外国人選手がどことどこから来たのか見れば、一目瞭然です。

二つの国に圧倒的に片寄っているのです。

Jリーグ歴代外国人の国籍

1位 ブラジル 372人
2位 韓国   39人
3位 アルゼンチン 26人



ですが、なんでこんな平凡な選手を高いカネ払ってよんだのか、サテライトの若手に何でチャンスを与えてやらないのか、という選手も少なくありません。

南米と韓国が”ブランド”になってしまっているのではないでしょうか。

日本代表が、ブラジル・アルゼンチンはもちろんのこと、南米諸国との対戦で成績が芳しくないというのは良く知られています。

その原因は、相手が強いということのほかに、日本のサッカー選手の多くがマラドーナやジーコ、ソクラテスなど南米のサッカー選手にあこがれて、サッカーをはじめたからではないかと思うのですが、

それによって日本の選手たちが南米チームをリスペクト(尊敬)しすぎて、試合をやる前から0-3で負けたような気持ちになっているように思えます。

日本とブラジルやアルゼンチンとの試合を見ていると、一点でも取られたら「絶対に同点に追いついてやる」という気迫よりも、「今日はもうだめだ」という雰囲気がありありとうかがえるのです。それからズルズルと失点しまうのがパターン化しています。

これはコンプレックスの一種だと思います。

2002年W杯でも、強豪と当たらなかったのでW杯の気分が出なかったといった選手がいたように記憶しています。 W杯の組み分け抽選がはじまる直前のサッカー番組でも、「ブラジルとやりたい、どこどこと日本が戦うところを見たい」という声が盛んにあがります。

しかし、2002年当時のトルコやベルギーだって充分強豪だったと思います。
それらのチームにホームで勝てなくて、どうしてブラジルやアルゼンチンといった強豪との挑戦権が与えられるのでしょうか。

W杯に出る上での戦略目標は一つでも多く勝って、決勝Tへ進出して一つでも多く上を目指すということです。

その戦略目標が達成され、決勝Tを勝ち進んで行けば、嫌でも強豪に当たるようになっています。


日本の場合、一つでも多く勝つという、W杯に出る上での戦略目標よりも、どこどことやりたいという本来なら優先順位が低いことが、プライオリティの最上位に来てしまう瞬間があるのではないでしょうか。

日本人は伝統的に、今、一番大切な利益はなにかを見抜き、戦略目標を立ててそれに集中するということが下手だと思います。それもマリーシアが足りないということの一種です。

どこどことやりたいということに注意を奪われて、目の前の敵を確実に倒す、ひたむきに優勝を目指すということがおろそかになっている瞬間があるのではないでしょうか。

 今回のアジアカップで言えば、「決勝で韓国とやりたい」というプライオリティが低いというか、本来どうでも良いことが、選手・マスコミを含む、日本サッカー界全体の最上位の戦略目標になってしまった瞬間があったのではないでしょうか。

準決勝の第一試合で韓国が負けるのを見た瞬間、日本代表選手や記者たちの心の中に、「韓国が負けてホッとしたというか、気が抜けたというか。これで準決勝・決勝と日本がいただきだ」という危うい心理が芽生えていたことは無かったでしょうか。

目の前の強敵・サウジへの注意がおろそかになって、油断していたことは無かったでしょうか。

もしこれらのことが事実であったのならば、私は怒ります。

メンタルの持ち方としては最悪で、まったくプロフェッショナルではないと思います。

 TVや新聞は視聴率を上げ、販売部数をあげなくてはならないので、「日韓戦は伝統の一戦だから絶対に負けられない試合」「韓国は日本の永遠のライバル」と、これからも視聴者・読者をあおることでしょう。

日本サッカー界のおじさん・おじいさん世代は、韓国に本当に良く負けたので、大変なコンプレックスを持っています。

しかし、日本サッカーがプロ化してからは、日韓戦の成績はほぼイーブンのはずです。他の中東諸国との成績と同じように。

だから日本の若い世代が、おじいさん世代のコンプレックスにお付き合いして、それをひきずる必要性はまったく無いのです。

相手の実力・試合内容も見ずに、韓国を「永遠の日本のライバル」という”ブランド”として崇拝するのはもうやめにしませんか。

それよりも、日本サッカーが到達すべき目標をもっと高く持つべきではないでしょうか。

韓国戦へのモチベーションが健全な闘争心へとつながるのではなくて、相手が実力以上の存在に見えてしまって、自分を過緊張に追い込んで本来の力が発揮できなくなったり、最重要の戦略目標に集中できていないといった、きわめて不健全なものになってしまっているような気がします。

これは韓国にも言えることで、彼らにとっても日本代表が大変なコンプレックスとなっていることがわかります。

数年前の韓国代表のような、もっとレベルの高い相手との試合で内容がともなった勝負ができたというなら、いくらでも評価する記事を書きますが、この試合のようなレベルで「さすがは伝統の一戦。白熱の好試合だ」とか言いながら、勝った負けたと大騒ぎするのであれば、根源的な疑問を感じてしまいます。

 アジアサッカー連盟が計画した大会日程や移動のムチャクチャさを考えれば、酷な評価かもしれませんが、3位決定戦は、両チームとも試合内容にみるべきものがなく、攻撃もアイデアに欠け、偶然性に頼った、非常に退屈なものになってしまいました。

「バイタルエリアで、シュートして勝負から逃げない」という日本代表の課題も、とうとう解決されませんでした。

まったく残念です。

 最後に一点だけ指摘すれば、オシム監督の用兵にちょっと疑問が残ります。

何か考えがあってのことでしょうが、カタール戦で機能しなかったワントップをなぜこの試合で再び採用したのでしょうか?

やはりこの試合もワントップが機能したとは言いがたいですし、シュートが少なくなるというシステムの弊害がまたしても出てしまったように思います。

山岸選手にチャンスを与えたいのであれば、中村俊・中村憲・遠藤選手の誰か一人を外すべきだったと思います。矢野選手の投入も遅すぎたのではないでしょうか。

 次回以降、不定期連載で、アジアカップ全体の総括をやろうと思っております。


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 2007.7.28 ジャカバリン・スタディオン(パレンバン)

 
  日本  0  -  0  韓国
        5 PK 6


 GK 川口     GK  イ・ウンジェ

 DF 中澤     DF キム・ジンギュ
   加地       キム・チウ
   駒野       オ・ボムソク
            カン・ミンス
 MF 阿部
   鈴木     MF キム・ドヒョン
   遠藤      (キム・チゴン 66)
   中村憲      キム・ジョンウ
  (羽生 72)    オ・ジャンウン
   山岸      (イ・ホ 86)
  (佐藤 78)
   中村俊    FW チョ・ジェジン
            イ・チョンス
 FW 高原       ヨム・ギフン
  (矢野 115)   (イ・グンホ 40) 



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■退屈な3位決定戦

 アジアカップ2007・3位決定戦となった日本対韓国戦は、120分戦っても0-0で決着がつかず、PK戦もサドンデスにもつれこみ、5-6で日本のPK負けとなりました。

サッカーという競技は本来、前・後半90分で勝負を決めるスポーツです。

もし90分で引き分けなら、再試合となるのが本来の姿。

イングランド伝統のFAカップは、今でもそうだと思いますが、だんだんとサッカーチームのスケジュールがタイトになってきて、のんびりと再試合なんてやってられなくなりました。

そこで、延長戦・PK戦というものが発明されたわけですが、それはあくまでも引き分けた両者のうち、どちらが次のラウンドに進むか決めるためのクジのようなもの。

日本では、90分での勝利とPK勝ちの価値を区別するこのような考え方は、あまり無いと思いますが、私は、準々決勝のオーストラリア戦も今回の試合も、日本は90分戦って相手と引き分けたと認識した上で、良い試合が出来たのか、出来なかったのかという評価をしています。

このエントリーのタイトルは、前・後半90分が終わった時点で決め、延長PKでどちらが勝ってもこれで行こうと考えていました。

もちろん、PK戦で韓国に負けたという事実をこの目でしっかりと見ましたし、それを受け入れますが。

以上の点を踏まえれば、川口選手が「相手のキックを止められなかったのは自分の責任」と自分を責めるのはやめて欲しいですし、ましてや羽生選手がPKを失敗したことについて、彼を非難すべきでもありません。

まわりが川口選手や羽生選手を批判したり、彼らが自分自身を責めても、何の問題の解決にもならないと思いますし、自信を失って今後のプレーに影響が出ることのほうが心配です。

川口選手の読みの素晴らしさは相変わらず凄かったと思います。

 さて、今回の対戦相手である韓国ですが、パク・ジソン、ソル・ギヒョン、イ・ヨンピョら海外組がケガなどで参加せず、チョ・ジェジンやイ・ウンジェ、イ・チョンスらベテラン組と若手を融合させたチームで大会に臨んできました。

韓国代表は久しぶりに見たのですが、海外組が参加していないのを差し引いても、年々、チーム力が減退しているように思います。

個の能力・組織力ともに、以前ほどのレベルではありません。

今大会を通しても、バーレーンに負けたり、決勝トーナメントに進んでも3位決定戦まですべて0-0でPK戦へ、という結果がそれを表しているように思います。

3位決定戦の内容も、見るべきものは正直ありませんでした。

ジーコジャパン時代ですと、ボール保持率で上回るのは韓国の方だったのですが、この試合は五分五分か、日本のほうが少し上回っていました。(もちろん退場者が出る前の話)

これは近年ではあまり無い現象でした。

 ただ、韓国にも増して、ひどい内容だったのが日本代表でした。

試合内容を、前回のサウジ戦が100だったとすれば、今回は40ぐらいだったと思います。

前回エントリーで、3位決定戦に向けた課題として、

ゴール前でのシュートから逃げない、弱気で消極的な自分自身との戦いに勝つという課題を、日本代表はこの大会の内に克服して欲しいと思います。



ということをあげておきましたが、

ゴール前でのシュートから逃げないという課題以前に、質の高いシュートチャンスを造るというところまでなかなかいけませんでした。

前線へロングボールを無造作に放り込む攻撃が多くなってしまったことで、アジアカップ開幕戦から準決勝までの、日本の持ち味を生かしたパスサッカーがまったくできていませんでした。

この試合では、相手ゴールから25m付近の、いわゆるバイタルエリア前までボールを持っていくことがなかなかできず、そのために質の高いチャンスを多くつくることができなかったのです。

 その原因が、酷暑・連戦と長距離移動からくる疲労という単純なものであれば、それほど心配することでは無いのですが、別の理由だと、問題はちょっと深刻だと思います。

たとえば、サウジとのたった一回の敗戦で、これまで積み上げてきた自分たちのサッカーへの自信がもろくも崩れ去り、我を失ってパニックのように前線へ放り込むだけのサッカーになってしまった、

あるいは、「伝統の一戦」「絶対に負けられないダービーマッチ」である日韓戦だから、緊張で冷静さを失い、自分たちが普段やっているサッカーが、あの瞬間すべてブッ飛んでしまった、(W杯ドイツ大会でのオーストラリア戦のように)

といったように。

自分たちのサッカーができなかった理由が、そのどちらか二つであるならば、問題の根は深いと思います。

私は「気合や根性が足りないから試合に負けるんだ」みたいな、非科学的で無意味な精神論・根性論はまったく支持しません。

しかし、心・技・体と言われるように、スポーツにメンタルの強さ、自分を信じる力というものは欠かせないと思います。

これまで何度も言っているように、日本のサッカー選手の最大の弱点は、消極性と自信の無さです。

それはメンタル面での問題であり、この弱点が解消されない限り、どんなにすぐれた戦術があっても、高いテクニックがあってもフィジカルが強くても身長が高くても、無用の長物だと思います。

どんなにすぐれた戦術があったとしても個人に高いテクニックがあったとしても、シュートを打つことから逃げてしまえば、絶対にゴールを奪うことはできません。

 この試合でも数少ないシュートチャンスを、「シュートを打てるタイミングなのに打たない」ということで、ことごとくつぶしてしまいました。

後はクロスを入れるタイミングなのに、お約束のようにバックパスをしていました。

これは疲労うんぬんはまったく関係無いと思います。

準決勝・サウジ戦の敗戦で、「リスクをおかしてでもゴールを狙わなければ勝てない」ということを我々は痛いほど学んだはずです。

これは日本サッカー界全体が、高い犠牲を払って得た経験・財産として、末永く受け継がれていかなければならないものです。


しかし準決勝で得た教訓・経験を、日本代表は3位決定戦で何も生かすことはできませんでした。

ここまできて、何を守ろうとしているのでしょうか。

3位決定戦の内容には、本当に失望しました。内容で見るべきものは何も無かったと思います。

 私は、PK負けで良かったと断言します。

アジアカップ予選という真剣勝負の公式戦が、日本にはまだまだ必要です。

ぬるい親善マッチでは力が発揮できても、真剣勝負の場では弱いメンタルが原因で負けてしまうのでは、W杯で勝ちぬいていくことなんかできません。

それでは親善マッチを何試合やったところで、代表強化へとつながりません。

つづく



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■日本代表、自分との戦いに負ける

 アジアカップ2007準決勝の日本対サウジアラビア戦は、激しい点の取り合いの末、2-3で日本の悔しい敗戦となりました。

この試合を一言で言えば、「日本代表は、弱気で消極的な自分自身との戦いに負けた」ということにつきると思います。

アジアカップの初戦となったカタール戦から準々決勝のオーストラリア戦まで、ずっと指摘してきた日本代表の課題ですが、ついにその弱点が克服されずに、敗戦へと結びついてしまいました。

カタール戦のエントリー

次に試合内容について分析しますが、リスクをかけなければならないところで怖がってリスクをかけないために攻撃がなかなかうまくいかず、リスクをかけてはいけないところでリスクをかけて守備でピンチを招き、そこからゴールを奪われてみすみす勝ち点2を失ったという試合でした。

そのどちらも、原因は日本人選手の一番の弱点である消極性と自信の無さだとの一言につきます。

日本人選手の一番の弱点が消極性と自信の無さだということは、このブログでも繰り返し述べてきましたし、「消極性と自信の無さ」さえ克服できれば、「日本サッカーがかかえる問題の大半は解消したも同然だ」といっても過言ではないと思います。

(略)

この試合でも、敵陣深くでラストパスやクロスが出せるタイミングなのに、ボールを失うのが怖いのか、安易にバックパスや横パスを選択してしまう、

(略)

”パサー”という役割にこだわりすぎてチャンスメークはするけれども自分から積極的にシュートや得点を狙うことが少ない、オシムがいうポリバレント(多能性・マルチロール能力とも訳せるでしょう)が無いというのは、日本人MFの弱点です。

まず何より「攻守に積極的にプレーすること」を心がけることで、おのずから日本代表に結果はついてくると思います。

サッカーの神様は、消極的で弱気で逃げ腰の選手やチームには、ついイジワルしたくなる性格のようです。



UAE戦のエントリー 

前回指摘した「日本人選手の消極性と自信の無さ」という課題がまだ完全には解決されていません。

オシムの戦術で、すばらしくボールが回っており、中盤での組み立ては大変うまくいっています。ジーコジャパン時代にはあまり無いことでした。

ですが、両サイドを崩して突破して、もう行き止まり、後はクロスを入れるかドリブルでかわすだけという状況でも、ボールを失うことを恐れているのか、まだ無意味なバックパスをしてしまうシーンを見かけます。

何のために速いパスワークで相手を崩したのでしょうか。

(略)

日本が消極的に、サイドを突破してはバックパス、サイドチェンジして反対サイドを突破してはバックパス、迷って迷って最後に中央で最悪のミスパスなんてことをやっているうちに、カウンターから失点をくらってしまいました。



ベトナム戦のエントリー

攻撃面で欲を言えば、もうちょっと積極的にアーリークロスを使っても良いのでは?というのはあります。

日本のクロスは圧倒的にふわっとした山なりのボールが多いのですが、守備範囲の広い、すぐれたGK相手だとすぐキャッチされて、なかなか通用しません。

クロスはGKが出られそうで出られない場所へ入れるのが、まず第一です。

無理してサイドをえぐらずに、充分な体勢から強くて速く曲がるアーリークロスを正確に、ペナルティ・スポットを中心に左右・数mの範囲に入れ、そこへ走りこんでヘッドを狙うという攻撃はオーソドックスながら、ひいた相手に非常に有効です。

攻撃で課題があるとすれば、相手のセンターバックの前、ボランチの後ろのスペースをなかなか使えないということでしょう。

(日本がW杯でオーストラリアにやられた時、ここを使われたのを覚えているでしょうか)

ベトナムがかなりひいていたので、バックラインの裏にはスペースがあまりありませんでした。

そういうときに、逆に相手のセンターバックの前を、FWあるいは二列目、オーバーラップしたボランチが使って、そこへボールが入る瞬間に第三の動きがからめば、大きな得点チャンスとなります。



オーストラリア戦・傾向と対策

もちろんパスで崩したら、積極的にシュートやクロス・スルーパスを入れて、得点を狙わなくては意味がありません。

「ボールを回すためにボールを回すサッカー」では、百本パスがつながってもそれだけでは一点にもなりませんし、試合にも勝てません。



オーストラリア戦のエントリー

攻撃で課題があるとすれば、相手が一人少なくなっていた45分間も含めて、 押しているにもかかわらず、試合を決めるゴールが上げられなかったことです。

グループリーグ三試合で何度も見られたシーンですが、日本が相手を押し込むのですが、そこから攻撃がつまってしまい、なかなかシュートまでいけません。

トルシエも同じようなことを言っていたと思いますが、監督がチームにしてやれるのは、良い戦術を与えて、ボールを相手ゴールから25mのところまで持っていけるようにすることまでです。

そこから先は、選手・個人個人のアイデア、ファンタジーが問われるエリアであって、監督が、ピッチ上の選手の代わりにラストパスを出してやったり、フリースペースに走りこんだり、シュートを打ってやるわけにはいきません。

日本は、オーストラリアのような強敵相手でも、素晴らしい組織戦術で相手ゴールから25mのところまでボールを持っていけるようになりました。

そこから試合を決める得点をどうやってゲットするかが、今後の課題です。

ある程度予想していましたが、この試合、日本がボールを支配する時間が長かった割にはシュートが少なかったと思います。

当たり前のことですが、シュートしなければ得点することはできません。

日本の選手がペナルティエリア(PN)に侵入した場面が何度かありましたが、 自分の前にGKしかいなくても、積極的にシュートを打つよりも、パスを選択してしまう場面が多いです。

(略)

シュートにしろ、クロスにしろ、日本の選手がためらってしまう理由は、「今はバックパスした方が、後でもっと良いチャンスが来るのではないか?」と考えるからではないかと思うのですが、「サッカーにおいて、時間は常に守備の味方」という格言があります。その可能性は低いでしょう。

時間をかければかけるほど、戻ってくる相手の選手の数は増えますし、ポジショニングやマークのズレを修正されてしまいます。

シュートやクロスは、打てる時こそ最高のチャンスと考えて、相手が準備できていないと見たら、積極的に打って出るべきです。




 サウジ戦の日本代表も非常に消極的で、相手を押し込んでボールは回すのですが、どんなに回してもなかなかシュートを打とうとしません。

シュートを打たなければ相手はぜんぜん怖くありませんし、「強豪と言われる日本だが、思ったより怖くないじゃないか。自分たちはやれる」と相手チームに変な自信をつけさせてしまったように思います。

そして前半35分、セットプレーのこぼれダマからシュートを食らい先制点を奪われました。こういう時、得てして弱気のチームではなく気持ちが攻めに出ている方へボールがこぼれるものです。

これはベトナム戦・オーストラリア戦での失点と似た展開でした。

あの時も、日本代表が慎重になりすぎてボールを持ちすぎたことで攻撃の流れが悪くなり、相手に押し込まれてCKを与えたのでした。

サウジはまた、加地選手や駒野選手のようなフィジカルのあまり強くない選手についている味方の頭を狙ってクロスを合わせてきていたように思います。

日本代表は先制され追いつめられたことで、ようやくゴールへの積極性が出てきます。

37分、遠藤選手のCKを中澤選手が気迫のヘッドですぐさま同点に追いつきます。

しかし、同点に追いついてしばらくたつと、いつもの消極的な日本代表へと戻ってしまいます。

 後半は、サウジがいきなり積極的に攻撃に出てきます。

2分、右サイドを突破してきたサウジはクロスをゴール前へ。
これがゴール前のマレクの頭にピタリとあって、サウジが突き放します。

失点してから闘争心のエンジンがようやくかかる日本は、8分、遠藤のCKを高原がつなぎ、最後は阿部選手が捨て身のバイシクルシュート!

これが決まって再度・同点に追いつきますが、日本が後手後手にまわっている印象が否めません。

それに闘争心をもってファイトしているのは、中澤や阿部といった守備の選手ばかりで、前の選手、中村俊・遠藤・中村憲が積極的にミドルシュートを狙うようなシーンはここまでほとんどありません。

ゴール前でも弱気なパス・パス・パスです。

中盤でも、前へダイレクトパスが出せるタイミングなのにバックパスを選択し、そのたびにサウジの選手が4~5人戻ってしまうシーンの連続でした。

同点もつかの間の12分、カウンターから左サイドを突破したマレクのシュートが決まって3-2。

追いつめられないとゴールへの積極性が出ない日本は、ここから反撃に出ますが、まだシュートより消極的なバックパス・ヨコパスが多く、相手ゴールを脅かすことができませんでした。

そして流れはサウジへ。

試合終了間際に、日本はロングの放り込みによるパワープレーで起死回生をはかりますが、日本よりフィジカルに勝るサウジ相手では確率の低い攻撃でした。

この時間帯になってようやくMF陣からミドルシュートが出るようになりますが、劣勢の中、焦りもあるのでしょう、なかなか精度の高いシュートとはなりませんでした。

そしてタイムアップ。 いつも後手後手にまわった日本代表は自分の力を出しきれなかった、悔しい敗戦となりました。

 相手のサウジですが、フィジカル・テクニックで日本より上回る選手はいましたが、組織戦術はそれほど高いとは思えませんでした。中盤のプレス守備は良かったと思いますが。

それは負けた日本のほうが、ボールを回し、相手を押し込んでいたことからもわかります。日本は、素晴らしい組織戦術で相手ゴールから25mのところまでボールを何度も持っていけていました。

ところが常に相手にリードを許し、リードされ追いつめられてからようやく日本側にゴールを狙う姿勢が出るという、後手後手の展開になってしまいました。

それがこの試合の敗因でした。

人間、不利な状況・困難な状況に追い込まれると、普段できていることさえなかなかできなくなります。 酷暑の中、先制して守るよりも、追いつくほうがエネルギーを必要とします。

日本はそういう状況に自らを追い込んでしまったのでした。

逆にサウジの方が、ゴールへの積極性・勝利への気迫・闘争心で日本に勝っていました。 その点は見事だったと思いますし、常に日本から先手を取り、リードしたことが勝因でした。

 それではなぜ日本代表は、後手後手になってしまったのか、言いかえれば、同点の段階からどうして相手をリードする点を奪えなかったのか、なぜ同点の状態で相手ゴールから25mのラインのその先で攻撃が機能しなかったのかですが、

何度も繰り返していますからもうお分かりでしょう。どういう理由であれ日本代表が「シュートをして勝負する」ということから逃げたからです。

シュートチャンスが無かったからではなく、自分がシュートを打たないことでシュートチャンスをつぶしていたということに尽きます。

結果、「ボールを回すためにボールを回すサッカー」になってしまいました。 百本パスがつながってもそれだけでは一点にもなりませんし、試合にも勝てません。

イングランド・サッカー協会の指導育成ディレクターだったチャールズ・ヒューズ氏は、「得点チャンスの三回に一回は、シュートをしないことによって失われる」と言っています。

 オーストラリア戦のエントリーでも言いましたが、シュートにしろクロスにしろ、日本の選手がためらってしまう理由は、「今はバックパスした方が、後でもっと良いチャンスが来るのではないか?」と考えるからではないかと思うのですが、

「サッカーにおいて、時間は常に守備の味方」であって、時間をかければかけるほど、戻ってくる相手の選手の数は増え、ポジショニングやマークのズレを修正されて、シュートやクロスのチャンスがどんどん失われていくのです。

時間をかけて今よりもっと確率の高いチャンスをつくるには、もっと高レベルの動きが必要とされるのです。

日本はサッカーの基礎・サッカーの定石に逆らって、「今はバックパスした方が、後でもっと良いチャンスが来るのではないか?」という消極的なプレーをしてしまったがゆえに、サッカーの女神から嫌われてしまいました。

つまり「日本代表は、弱気で消極的な自分自身との戦いに負けた」ということです。

こういったことは、口で言ってもなかなか理解しづらいですが、こうして自分自身で経験してみてやっと理解できることなのかもしれません。

 もしかしたら、シュートにチャレンジしても、外してしまえば「マスコミやファンから批判されるのではないか」と内心考えた選手がいたのかもしれません。

でも、ゴールを奪おうとする積極的な気持ちが入った、精一杯のシュートであれば、私は、たとえ外れてもシュートにチャレンジした選手を誉めます。

プレミアリーグを見ていても、積極的にシュートを打った選手には、たとえ外れても必ずと言って良いほど観客から拍手が起こります。

逆に、外れたからと言って積極的にシュートを打った選手を批判する人は、それは何のための批判なのか、よく考えるべきだと思います。

チームをよくするために何かを言うならば、シュートを打った人を誉めるべきでしょう。

以前あったように、選手に水をかけるとかは最低の行為です。それで日本のゴールが増えるとは思えません。

 チーム全体として消極性が目立った日本代表でしたが、中澤・阿部の両選手の積極性・闘争心は非常に評価できます。

試合後も、中澤は心の底から悔しがっていたように見えました。

逆に、2トップはもちろんなのですが、攻撃を任されている中村俊・遠藤・中村憲の3選手には特に、肉食獣のような闘争心とゴールへの積極性を見せて欲しいです。

そうでなければ日本の背番号10は任せられません。

高いテクニックを持つ中盤の3選手が、中澤選手や闘莉王選手のような闘争心・ゴールへの貪欲さを持つことができれば、私はもっともっと高いレベルのプレーヤーになれると思います。

勇気を持って自分のカラを破って欲しいです。

 最後に一点だけ守備に触れておきます。

マレクの突破を許し決勝点を奪われたシーンですが、阿部と中澤がマレクのドリブルに応対に行った時、マレクのフェイントで1度に2人とも左へ振られ、シュートを許してしまいました。

そういった場合は、まず阿部がマレクに応対し、中澤が阿部の数mうしろにポジショニングします。

それを確認してから、阿部がマレクにプレスをかけ、最悪抜かれても良いので相手のバランスを崩させ、中澤はそれまで動かずに、後ろからマレクが阿部の左右どちらへドリブル突破をしかけるかを見極め、

いざマレクが阿部を抜きに掛かってバランスを崩し、ボールを体から離した瞬間に、中澤がカバーしてボールを奪うようにすると、相手が個人技に優れた選手でも突破を防ぐことができると思います。

こうした組織的守備戦術はチーム全員ができるよう練習しておかなければなりません。

  相手ゴールから25mのエリアまでボールを持って押し込むが、それがゴールへ結びつかない、そのエリアで積極的なシュートを避けてしまう、弱気で消極的な自分自身との戦いに勝てないからゴールへ結びつかないという弱点が、この試合でハッキリと露呈しました。

こうしたことは、いざ経験してみないとなかなかわからないものです。

日本がW杯のアジア予選を突破し、2010年大会で勝ちぬいて行くには、この課題の解決は避けて通れないと思います。

コンソレーション・ファイナル(なぐさめの決勝戦)と呼ばれる3位決定戦は、モチベーションの維持が難しいと言われますが、ゴール前でのシュートから逃げない、弱気で消極的な自分自身との戦いに勝つという課題を、日本代表はこの大会の内に克服して欲しいと思います。

今の悔しさをバネにすれば、克服できるはずです。

 それから、ホスト国として約3週間もの間、温かく日本代表を迎えてくださったベトナム国民とハノイ市民の皆さんに心から感謝いたします。

Cam o'n. Vietnam. The perfect host country.


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 2007.7.25 ミーディン・スタジアム(ハノイ)


  日本  2  -  3  サウジアラビア

  ’37 中澤        ’35 ヤセル
  ’53 阿部        ’47 マレク
               ’57 マレク
 

 GK 川口       GK アル・ムサイレム

 DF 中澤       DF オサマ
   加地         K・アルムーサ
   駒野         アル・バハリ
              アブドゥラブ
 MF 阿部        (タカル 79)
   遠藤                  
  (羽生 75)    MF ハリリ
   中村憲       (オマル 87)
  (矢野 82)      アジズ
   鈴木         タイセール
   中村俊        アル・カフタニ
             (A・アルムーサ 61)
 FW 高原
   巻        FW マレク
  (佐藤 68)      ヤセル  


 

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■★メニュー

◇SPARTAKの人生を変えたチームとの出会い


 管理人SPARTAKのサッカー観に強い影響を与えたチームについて書いてあります。私SPARTAKの自己紹介の代わりでもあります。

第1回spartakの人生を変えたチーム―1990年日本代表
第2回 日本サッカー、その後
第3回spartakの人生を変えたチーム―1992年ドイツ代表
第4回spartakの人生を変えたチーム―92年ポーランド代表
第5回 とうとうドーハの悲劇と遭遇
第6回spartakの人生を変えたチーム―94-95ユベントス
第7回spartakの人生を変えたチーム―ユベントス(続編)

◇カテゴリー別記事


20050813143805.jpg日本代表
  

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アジア 


UEFA1.jpg
ヨーロッパ

  CAF.jpg
アフリカ

  CONCACAF.jpg
北中米カリブ

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■日本、PK勝ちでオーストラリアとの死闘を制す

 アジアカップ2007準々決勝の日本対オーストラリア戦は、120分の死闘の末、日本のPK勝ちに終わりました。

この試合を見て、まず言いたいことは、

あー、組織戦術のあるサッカーって
素晴らしい!!


ということ。

 今回の対戦相手、オーストラリアは、ニューキャッスルのビドゥカ、リバプールのキューウェル、アラベスのアロイージなど、ほとんどが欧州主要リーグでプレーする選手でかためたチーム。

アジアカップでの不調を考慮しても、日本とほぼ互角か、少しオーストラリアの方が実力は上かと考えていました。

90分戦って同点にもちこみ、PK戦の末に日本がオーストラリアを下すという結果は、大変素晴らしいものだと思います。

ジーコジャパンの時のオーストラリア代表は、W杯初体験の状態でしたが、今回のオーストラリア代表は、ドイツW杯ベスト16・決勝Tで優勝したイタリアとの激闘を経験し、自信と勝ち方を知ったチームになっています。

ですから、蒸し暑い気候の有利さを差し引いても、オーストラリアと対戦する難しさで言えば、今回の方が上でしょう。

そのオーストラリアにPK勝ち、試合内容でも日本が押していましたから、本当に素晴らしいと思います。

 試合を振り返ると、前半立ちあがりはオーストラリアに攻め込まれますが、日本が我慢強く耐えて反撃します。

いつものようにショートパスで崩していく日本と、タテに長いボールを入れてくるオーストラリアとで、一進一退の展開。

前半の中ごろから、やや日本が押し気味でゲームが続くも、得点に至らず。

 後半は日本のペースとなり、何度かチャンスがありましたが決められず、後半15分あたりで、一人一人がボールを持ちすぎるようになってからリズムが悪くなり、流れがオーストラリアへ。

24分、右CKからのキューウェルのボールがゴール前を通過、ファーポストにつめていたアロイージに押し込まれ、それまで押されぎみのオーストラリアが先制。

しかし、中村俊選手のクロスを巻選手が頭で落とし、相手のクリアミスを拾った高原選手が素晴らしい切り返しでシュート。

これが決まってわずか3分で同点。これは大きかったです。

直後の31分、グレッラが高原にヒジ打ちで一発レッド。

そこから延長の30分を含めて、日本が押し込み、何度も惜しいチャンスがありましたが、オーストラリアの堅守に阻まれて試合を決めることはできません。

そしてPK戦へ突入。

キューウェルとニールのキックを川口選手が見事な反応ではじき出し、日本は高原以外の全員が決めて、120分間の死闘にケリをつけました。

 さて試合内容ですが、まずは攻撃から。

前回のエントリーで、

身長が高くフィジカルの強いオーストラリアが得意なサッカーをするのではなくて、能力の高いMFを中心に組織的にすばやくショートパスを回して相手を崩す日本の持ち味を生かしたサッカー、相手に走り負けないサッカーをやるのです。



ということをオーストラリア戦での課題としてあげておきましたが、ショートパスで崩していく日本の持ち味を生かした攻撃がうまく機能して、非常に効果的だったと思います。

ドイツW杯ではオーストラリアに、完全に試合の主導権を奪われてしまいましたが、今回は、日本の方が長い時間、試合の主導権を握ることができました。

たとえオーストラリアが、プレミアリーグ・セリエA・リーガエスパニョーラ・ブンデスリーガ等で活躍する選手で固めてきたとしても、たとえ相手の方が身長が高く、フィジカルが強かったとしても、日本側にしっかりとした組織戦術があれば、あれぐらいはやれるという良い証明になったと思います。

代表選手・個人個人も、自分たちのサッカーに自信を深めたと思いますし、成長も実感できたのではないでしょうか。

 また、この試合ではオーストラリアに先制点を許してしまいましたが、落ち着いて反撃を開始し、すぐに同点に追いつけたことも大きかったです。

日本代表が精神的にも成長したところを見せてくれました。

 攻撃で課題があるとすれば、相手が一人少なくなっていた45分間も含めて、
押しているにもかかわらず、試合を決めるゴールが上げられなかったことです。

グループリーグ三試合で何度も見られたシーンですが、日本が相手を押し込むのですが、そこから攻撃がつまってしまい、なかなかシュートまでいけません。

トルシエも同じようなことを言っていたと思いますが、監督がチームにしてやれるのは、良い戦術を与えて、ボールを相手ゴールから25mのところまで持っていけるようにすることまでです。

そこから先は、選手・個人個人のアイデア、ファンタジーが問われるエリアであって、監督が、ピッチ上の選手の代わりにラストパスを出してやったり、フリースペースに走りこんだり、シュートを打ってやるわけにはいきません。

日本は、オーストラリアのような強敵相手でも、素晴らしい組織戦術で相手ゴールから25mのところまでボールを持っていけるようになりました。

そこから試合を決める得点をどうやってゲットするかが、今後の課題です。

世界に出れば、オーストラリア・クラスの相手はゴロゴロしているわけですから、2010年で結果を出そうとするなら、この課題の解決は避けて通れないものです。

 ある程度予想していましたが、この試合、日本がボールを支配する時間が長かった割にはシュートが少なかったと思います。

当たり前のことですが、シュートしなければ得点することはできません。

日本の選手がペナルティエリア(PN)に侵入した場面が何度かありましたが、
自分の前にGKしかいなくても、積極的にシュートを打つよりも、パスを選択してしまう場面が多いです。

相手GKのシュウォーツァーは、ハイボールに強い反面、グラウンダーのボールは前へポロポロやっていたので、意図的に強くてグラウンダーのシュートをファーポスト側に(もちろんゴールのワク内に)打って、別の誰かがつめる、といったアイデアが欲しいです。

シュートにしろ、クロスにしろ、日本の選手がためらってしまう理由は、「今はバックパスした方が、後でもっと良いチャンスが来るのではないか?」と考えるからではないかと思うのですが、「サッカーにおいて、時間は常に守備の味方」という格言があります。その可能性は低いでしょう。

時間をかければかけるほど、戻ってくる相手の選手の数は増えますし、ポジショニングやマークのズレを修正されてしまいます。

シュートやクロスは、打てる時こそ最高のチャンスと考えて、相手が準備できていないと見たら、積極的に打って出るべきです。

 これもUAE・ベトナム戦のエントリーで指摘しましたが、相手のセンターバックの前、ボランチの後ろのスペースをなかなか使えていません。

組織戦術でボールを回すのは、サイドを崩してフリーでクロスを上げたりドリブル突破したりしたいのと、相手のセンターバック(CB)の前、ボランチの後ろのスペースで、ボールを持ってフリーで前を向きたいからです。

ここで前が向ければ、たまらず相手のCBが前へ出てくるでしょうから、相手の最終ラインが崩れます。

そこをスルーパスでつくなり、ワンツーを使うなり、ドリブルやフェイントで相手をかわすなり、選手のアイデア・ファンタジーをこのスペースでこそ発揮して欲しいのです。

リーガエスパニョーラのバレンシアあたりは、このスペースを本当にうまく使うイメージがあるのですが。

 残念ながらオーストラリア戦でもベトナム戦でもUAE戦でも、多くの場合、日本の攻撃の選手が相手の最終DFラインと一直線になってしまって、このスペースを使おうというアイデアがある選手がまだまだ少ないです。

中村俊・遠藤・中村憲選手は、このエリアでこそフリーで前を向いて欲しいですし、FWが一人下がってきても、オーバーラップした鈴木選手が使っても面白いです。

こういったことがうまくできれば、ゴール前25mから先の問題は解決できるのではないでしょうか。

 守備に関しては、かなりうまく出来ていたと思います。
暑くて大変だとは思いますが、最後までこの調子でいってほしいと思います。

あの失点については、やむをえないことだったかもしれません。

ただ、アロイージがあそこにいたのは偶然では無いと思います。

いままで何度か言っていますが、セットプレーの時、あるいはクロスが入ってくる時、ファーポストの前・数mのエリアに最低一人つめておくのは、少なくともイングランド・サッカーの戦術では定石です。

そこはプライム・ゴールエリアといって、非常に得点できる可能性が高い場所だからです。

日本も自分の攻撃の時はそこを使い、相手の攻撃の時はうまく使われないように気をつける必要があります。

さらにあのシーンは、誰か一人が自分のマークを捨ててでも前へ出ていって、ボールをクリアできれば、失点は防げたかもしれません。

 さて、鈴木選手が頼もしいコメントをしてくれましたので、選手たちは大丈夫だと思いますが、浮かれ気味のマスコミは「オーストラリア戦が事実上の決勝戦だ」と言っていますが、あの試合は準々決勝以上でもそれ以下でもありません。

この試合でようやくアジアカップが開幕したぐらいの心構えを持つことが重要でしょう。

この試合でつかんだ、成長の実感と自分たち日本代表のサッカーへの自信を胸に、積極的に勝負することの大切さを忘れずに、次の試合にのぞんで欲しいと思います。

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2007.7.21  ミーディン・スタジアム(ハノイ)


   日本  1  -  1  オーストラリア
         4 PK 3

 '72 高原          '69 アロイージ



 GK 川口        GK シュウォーツァー

 DF 中澤        DF ニール
   駒野          ボーシャン
   加地          ミリガン
  (今野 88)
             MF カリーナ
 MF 阿部          エマートン
   中村憲         グレッラ
  (矢野 115)       カーニー
   鈴木          ブレシアーノ
   中村俊        (カーヒル 71)
   遠藤
             FW ビドゥカ
 FW 高原         (キューウェル 61)
   巻           アロイージ
  (佐藤 102)      (カール 83)



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■オーストラリア戦・傾向と対策

 アジアカップ準々決勝の対オーストラリア戦が間近になってきました。

今日は、W杯ドイツ大会のオーストラリア戦を振り返りながら、その傾向と対策を考えてみたいと思います。

W杯のときのエントリーはこちら。 あの時の悔しさが今でもこみあげてきます。 

 それではまず、昨年のW杯オーストラリア戦の敗因はどこにあったのか、という問題ですが、まずジーコジャパンは、ふだんから戦術の意識づけということをやっていなかったということが一点です。

W杯のようなプレッシャーのかかる厳しい戦いの場では、いつものリラックスした気持ちで普段通りのプレーをさせてもらえるほど甘いものではありません。

だからこそ普段から反復練習をしておくわけですが、ジーコ監督は「選手の自主性に任せる。個の自由を尊重する」として、選手に戦術を意識づける反復練習をほとんどやっていませんでした。

また、選手起用が保守的で、チーム内で厳しいレギュラー争いが無いために、
選手の闘争心や積極性のレベルが低く、メンタル的に弱かったというのが敗因の二点目です。

 そのことが試合で実際にどういった形で出たかと言うと、

日本サッカーの持ち味というのは、能力の高いMFを中心にすばやくショートパスを回して相手を崩すスタイルであり、それはこの前のU-20代表の成功でも再確認できたと思います。

しかしW杯のオーストラリア戦では、冷静さを失ったせいなのか勝負を恐れたのか、自分たちのサッカーがあの大事な瞬間にすべてブッ飛んでしまって、浮き球のロングボールの放り込みによる単純な攻撃を多用したものになってしまいました。

ロングボールによる放り込みサッカーは、むしろ身長が高くフィジカルの強いオーストラリアが得意とするスタイルで、日本が得意とする攻めのパターンではありません。

場合によってはロングボールの攻撃も必要ですが、それが多すぎるというか、ほとんどそればっかりになってしまいました。

あの試合、日本代表はボール保持者とロングに走りこむ二人ぐらいしかサッカーをしていなかったように思います。残りはボール・ウオッチャーです。

当然、攻撃が機能せず、ヤケクソのようなドリブル突破で局面打開をはかりましたが、フィジカルでまさるオーストラリアのプレスディフェンスによって阻止されました。

あの試合は最初から最後まで、日本より攻守で組織力に勝るオーストラリアに、ほぼ試合の主導権を握られてしまいました。

 ですが、サッカーというのは面白いもので、押されている日本の方に先制点が転がり込んできます。

といっても、日本の攻撃が良くなったわけではなくて、中村俊選手のクロスの対応を誤った相手GKのミスというか、事故のような得点でした。

その後も勝っているとはいえ、オーストラリアの攻撃を川口選手のファインセーブや中澤選手を中心としたDF陣で何とかしのいでいるといった、アップアップの状態。

ゲームを見ていて、「日本は押されるばかりでまったく攻撃が機能しないので、このままオーストラリアに失点を許さなければ1-0で日本の勝利。しかし、1点でも取られたらドローではすまない可能性が高い。オーストラリアの逆転もありうる」とヒヤヒヤしていました。

ロスタイムまで4分という段階で、日本は身長の高さと強いフィジカルを生かしたオーストラリアの攻撃に耐えきれず、失点してしまいます。

まだ負けたわけではなかったですし、最悪ドローでもクロアチア戦以降に希望が残ったはずですが、この瞬間、ピッチ上の日本代表選手たちがガックリと下を向き、「もう一点取り返してやる」とか「最悪ドローで終わらせる」といった闘争心どころか、もう1-2で負けたような顔をしていました。

メンタル面も完敗でした。

(U-20代表もそうでしたが、日本のチームは、最後の最後まで1点を守りきるというのは苦手のようです。 イタリアのチームあたりだと、アウェーは0-0で守りきって、ホームで1-0で勝ち抜けみたいなのは得意のようですが)

そして現実に、カーヒルとアロイージに立て続けに失点を食らい、この大量失点負けによって、日本の希望は事実上うちくだかれたと言えるでしょう。

結局、日本が自分たちのサッカーを取り戻したのが、最後のブラジル戦でしたが、もう時すでに遅しでした。

 それでは、日本代表がどうオーストラリア戦を戦えば良いのかですが、やはり自分たちのサッカーをやるということでしょう。

身長が高くフィジカルの強いオーストラリアが得意なサッカーをするのではなくて、能力の高いMFを中心に組織的にすばやくショートパスを回して相手を崩す日本の持ち味を生かしたサッカー、相手に走り負けないサッカーをやるのです。

オシム監督が言う「ボールは汗をかかない」というやつです。

もちろんパスで崩したら、積極的にシュートやクロス・スルーパスを入れて、得点を狙わなくては意味がありません。

「ボールを回すためにボールを回すサッカー」では、百本パスがつながってもそれだけでは一点にもなりませんし、試合にも勝てません。

フィフティ・フィフティの浮きダマやこぼれダマも積極的に競りにいって、マイボールにしなくてはいけません。

今度のオーストラリアとの準々決勝は、「暑くて動きたくないや。このボールは俺の責任じゃないよね」と考えて、ボール・ウオッチャーになった選手が多い方が負けになると思います。

日本の持ち味を生かしたパスサッカー、走り勝つサッカーで、ぜひリベンジを果たして欲しいと思います。




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■日本、ベトナムに鮮やかな逆転勝利

 日本代表が決勝トーナメント進出をかけた、グループリーグ最終戦の対ベトナム戦は、日本が4-1と鮮やかな逆転勝利をあげ、グループリーグトップ通過で、決勝トーナメント進出を決めました。

対戦相手のベトナムは、やはり全員が国内リーグでプレーしています。

実力的には日本のほうが上なのは明らかですが、最近のベトナムの好調さから見て、日本が勝つにしても、もうちょっと接戦になるのではないかと思っていたのですが、日本の逆転・大勝に終わりました。

 開始早々の7分、ベトナムの左CKから出たボールが鈴木選手の足に当たり、まったく不運なオウンゴールで試合の幕開けとなりました。

前回のエントリーで、「アウェーでは何が起こるかわからない」と言いましたが、本当に何が起こるかわかりません。

ベトナム国民8300万人の執念がボールをゴールにねじ込んだとしか思えないような先制点でした。

 これで前半開始直後から、非常に慎重で動きが重かった日本のエンジンにようやく点火します。

左サイドを突破した中村俊選手が、派手な切り返しで相手のマークを外すと、ファーサイドへ正確なクロス、これを巻選手が胸でシュートして、わずか5分で追いつけました。 これは大きかったと思います。

ここから押し込む日本と、観客の熱狂的な応援を受け、粘り強く守って鋭いカウンターをときおり繰り出すベトナムとで一進一退となります。

前半31分、ようやくゲームが動きます。
高原選手が倒されて得たゴール前・左のFKを遠藤選手が直接決めて、日本が逆転に成功します。

これでベトナム代表は、明らかにがっくりきました。

若くて経験の少ないチームは、勢いに乗ってリードしているかあるいは強豪相手に同点という時までは、非常にがんばりますが、逆転されるとがっくりきて、しばしばモチベーションが下がってしまうものです。

それでもなんとか同点を狙って攻撃を続けるベトナムを、日本が往(い)なして前半終了。

 後半たちあがりはベトナムが攻勢に出ましたが日本も逆襲、左サイドから遠藤-駒野-遠藤と渡って中央へやさしいボールを出すと、走りこんできた中村俊が正確にゴール左上に決めて3-1。

これでベトナムの戦意は完全に喪失状態となり、ミスが増え運動量もがくんと減ってしまいました。

あとは日本のやりたい放題。

14分、左サイドから遠藤のボールをファー側にいた巻が再び決めて4-1と、試合を完全に”殺しました”。

この後は、時間を上手に消費してタイムアップ。

日本が決勝Tへ向けてトップ通過。 
カタールがUAEにまさかの敗戦で、開催国ベトナムが2位通過です。

おそらくベトナム人観客がスタジアムに押しかけて、UAEを強烈に応援して後押ししたのでしょう。

 それではいつものように試合内容を見ていきますが、まずは攻撃から。

たぶんベトナムはひいてくるからスペースが無いだろうと思ったので、正確なクロスからヘッドでゴールを決められるかがポイントになると思っていました。

カタール戦・UAE戦のエントリーでしつこく「クロス!クロス!」と言ってきたのも同じ理由からです。

その点、巻の同点・駄目押しゴールがクロスから決まったので、狙い通りだったのではないでしょうか。 一本が胸だったのはご愛嬌ですが、ゴールが決まれば文句ありません。

ファーポストの前、数mは得点の可能性が高い、プライム・ゴールエリアと呼ばれるところですが、そこを狙った巻のポジショニングも良かったと思います。

使い続けてくれたオシム監督の信頼にようやく応えられたと言えます。
自信を胸にもっと練習して、技術と状況判断力のアップに力を入れて欲しいです。

 攻撃面で欲を言えば、もうちょっと積極的にアーリークロスを使っても良いのでは?というのはあります。

日本のクロスは圧倒的にふわっとした山なりのボールが多いのですが、守備範囲の広い、すぐれたGK相手だとすぐキャッチされて、なかなか通用しません。

クロスはGKが出られそうで出られない場所へ入れるのが、まず第一です。

無理してサイドをえぐらずに、充分な体勢から強くて速く曲がるアーリークロスを正確に、ペナルテイ・スポットを中心に左右・数mの範囲に入れ、そこへ走りこんでヘッドを狙うという攻撃はオーソドックスながら、ひいた相手に非常に有効です。

ひきすぎたチームがやられるパターンの多くはこれです。

ひきすぎると、攻撃側にとってアーリークロスの距離が短くなって、より正確なクロスが出しやすくなるからでしょう。

となると、ピンポイントのヘッドにズドーンとやられやすくなるわけです。

(もちろん、相手がひいていなくても有効な基本的な戦術です)

前回機能していないと指摘した中村俊も、この試合は流れの中からよくゲームをつくれていましたし、流れの中から得点したのも非常に良かったです。

チーム全体としても、パスを細かく回す攻撃とロングボールで前線の選手を走らせる攻撃の比率も、よかったのではないでしょうか。

 攻撃で課題があるとすれば、相手のセンターバックの前、ボランチの後ろのスペースをなかなか使えないということでしょう。

(日本がW杯でオーストラリアにやられた時、ここを使われたのを覚えているでしょうか)

ベトナムがかなりひいていたので、バックラインの裏にはスペースがあまりありませんでした。

そういうときに、逆に相手のセンターバックの前を、FWあるいは二列目、オーバーラップしたボランチが使って、そこへボールが入る瞬間に第三の動きがからめば、大きな得点チャンスとなります。

相手のセンターバックがたまらず前へ出てくれば、最終ラインが混乱して、穴ができやすくなります。

日本がここを使えていない時は、押し込んでいても相手の最終ラインを混乱させられず、しばしば攻撃がつまってしまっています。

それでも、全体的に攻撃は良かったと思います。

 次に守備ですが、先制されたシーンは不運なもので、いたしかた無いでしょう。

酷暑のなか、中澤選手を中心によくがんばったと思いますが、課題もありました。

オシム監督が指摘していましたが、相手選手をフリーにする場面が多少ありました。

中盤で相手がドリブルを始めても、誰も応対に行かないので、相手がトップスピードに乗ってしまい、よけいに処理が難しくなっていました。

やはり誰か一人は応対に行って、相手をトップスピードに乗せず、パスコースも限定すべきです。

あと、相手が縦のクサビのパスを入れた時も、応対が甘いようでした。

クサビを受ける選手を倒す必要はありませんから、相手がボールを触る方の足にこちらの足を出すなりして、相手がボールを受ける瞬間にトラップやパスが不正確になるように、後ろからプレッシャーをしっかりとかけて欲しいです。

こうしたことの積み重ねで、守備がだいぶ楽になると思います。

試合全体では、前回指摘した課題である、”試合を殺す”ということがこの試合はうまく出来ました。

後半の3点目、4点目で完全に相手が戦意を喪失しましたし、時間帯を見てボランチがしっかりとセンターバックの前のスペースを埋めることも出来ていました。

 オシムジャパンは、グループリーグ3試合をこなしていくうちに、だんだんと完成度を高めてきました。

その結果が、1位通過という形であらわれたと思います。

もちろん、世界で戦いぬける、W杯に出ても問題無く決勝Tへ行けるというレベルに達するまでには、まだまだ完成度を高めていく必要があります。

さて、準々決勝の相手は、オーストラリアとなりました。

大会に参加している国では、数少ないワールドレベルの相手です。

今大会のオーストラリアの試合は見ていませんが、A組ではだいぶ苦しんだようですね。

しかし、一旦死にかけて、がけっぷちから這い上がって来ただけに、チームの士気は相当上がっていることでしょう。

2010年W杯を見据えてチーム力を強化している日本代表としては、絶好の相手だと思います。

ドイツW杯のリベンジという意味もありますし、難しい相手ですが、積極果敢に日本は勝負を挑んで欲しいと思います。


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 2007.7.16 ミーディン・スタジアム(ハノイ)


  ベトナム  1  -  4  日本

  '7 O.G.         '12 巻
               '31 遠藤
               '52 中村俊
               '59 巻


GK ズオン・ホンソン     GK 川口
 
DF フン・バンニエン     DF 中澤
  グエン・フイホアン      加地
  ブー・ニュータイン      駒野
  フイン・クアンタイン    
               MF 阿部
MF グエン・ミンフォン      遠藤
 (ファン・タインビン 80)  (水野 68)
  レー・タンタイ        中村俊
 (ドアン・ベトクォン 75)  (羽生 62)
  グエン・ミンチュエン     鈴木
  グエン・ブーフォン      中村憲
  ファン・バンタイエム
 (フン・コンミン 65)   FW 高原
                 巻
FW レー・コンビン       (佐藤 68) 




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■日本、UAEに勝利するも...

 アジアカップ2007、ここまで1引き分けの日本は第二戦となった対UAE戦で、3-1の勝利をあげました。

たしかUAE代表はカタール代表と同じく、国内リーグに所属する選手だけで構成されたチームだったと思います。

最近、チーム力が下降いちじるしいUAEのことを考えれば、ホームでもアウェーでも日本が勝てるぐらいの実力差があると見ていました。

ベトナムがUAEに2点差をつけて勝ちましたし、最終戦でカタールがUAEに何点とって勝つかわからないので、最低でも3点差以上での日本の勝利が欲しいなと思っていましたが、3-1の勝利、総得点でかろうじてグループリーグ首位になるという、本当に最低限の結果を得た試合となりました。

酷暑とものすごい湿気のなか、最低限の結果は出したわけですから、素直に評価したいのですが、最終戦のベトナム戦は相手のホームですし、何が起こるかわかりません。

ベトナム代表は、自分が生まれ育った気候のもとで試合ができますし、東南アジア四カ国のなかでも、ベトナム・サポーターの熱狂的な応援は有名です。

レフェリーの判定基準も当然ベトナム寄りとなると見た方がよいでしょう。

実力的には日本のほうが上であるのは間違いありませんが、以上のことを考えると、やっぱり何が起こるかわからないのです。

勝てたとしても、相当タフな試合となりそうです。

ベトナム対日本戦と同時刻に行われるカタール対UAEも、カタールが当然大勝を狙ってくるでしょう。

そうしたことを考えればUAE戦は、3-0、4-0以上の日本の勝利が欲しかった試合でもありました。

 試合は、負けられないUAEが主導権を握る形でスタートしましたが、15分間それをしのぐと、今度は日本のペース。

左からのショート・コーナーから中村俊選手が体勢を崩しながらクロス、それが高原選手にぴたりと合って日本が先制。

日本は攻勢を弱めず、27分、右サイドの加地選手のアーリークロスを、高原がワン・トラップして相手選手の前からシュート、これが見事にネットに突き刺さり、日本が2-0とします。

これでガックリきたUAEはラフプレーを連発するようになりますが、日本は冷静に攻撃を続け、43分、ペナルティ・エリアに侵入した遠藤選手が相手GKに倒されてPKゲット。

これを中村俊が決めて3-0として前半終了。

 後半は負けられないUAEが再び攻勢に出てきますが、日本も上手く守ります。

しかし、日本がトドメの追加点を取れそうで取れないうちに、UAEのお得意のカウンターから失点して3-1。

その後は元気になったUAEの攻勢を受けるも、何とかしのいでタイムアップとなりました。

 それではいつものように試合内容についてですが、前回指摘した「日本人選手の消極性と自信の無さ」という課題がまだ完全には解決されていません。

オシムの戦術で、すばらしくボールが回っており、中盤での組み立ては大変うまくいっています。ジーコジャパン時代にはあまり無いことでした。

ですが、両サイドを崩して突破して、もう行き止まり、後はクロスを入れるかドリブルでかわすだけという状況でも、ボールを失うことを恐れているのか、まだ無意味なバックパスをしてしまうシーンを見かけます。

何のために速いパスワークで相手を崩したのでしょうか。

2点目のシーンのように、アーリークロスでも良いから勇気をもってチャレンジし、ちゃんとゴール前のターゲットに合わせられれば、チャンスもゴールも増えるのです。

 また、日本対カタール戦を見たUAEのブルーノ・メッツ監督が「日本は試合を殺すことができない(決めることができないという意味か)」と言ったそうですが、それはUAE戦でも言えたと思います。

後半、UAEがフラフラになっていて、あと一点ダメ押しできれば試合を完全に”殺せた”と思うのですが、日本が消極的に、サイドを突破してはバックパス、サイドチェンジして反対サイドを突破してはバックパス、迷って迷って最後に中央で最悪のミスパスなんてことをやっているうちに、カウンターから失点をくらってしまいました。

これでUAEが元気になり、無駄なエネルギーを消費させられたと思います。
UAEから1点でも多くゲットして、最終戦を楽にしたいというプランも崩れてしまいました。

 「日本が試合を殺すことができない」もう一つの原因は、チームのFWからDFラインまでの間をコンパクトに保てないことだと思います。

これはジーコジャパン時代からさんざん書いてきたことですけれど、消極性の次にありがちな日本のチームの弱点だと思います。

どうしてそうなるかと言えば、点を取りたいトップと二列目は、なるべく相手ゴールに近づきたいと思って前がかりになり、失点が怖いDFラインは下がり気味となって、DFラインとボランチの間にポッカリと亀裂ができて、日本代表が”守備チーム”と”攻撃チーム”の二つに分裂してしまうからです。

カタール戦にしろUAE戦にしろ、日本代表のFWから中村憲選手までの”攻撃チーム”は、得点差や残り時間に関係無くいつも前がかりで、孤立した日本代表の”守備(DFライン)チーム”は、失点してはいけない危険な時間帯でもカウンターをくらいやすいのです。

だからカタール戦みたいに試合終了まぎわに追いつかれてみたり、ヘロヘロ状態のUAEを元気付けるカウンターをくらってしまうわけです。

チームのFWからDFラインまでの間をコンパクトに保つということは本当に重要なことです。

4-2-2-2のシステムだとすると、この4つのラインはお互いの距離を一定に保てるよう常に注意しなければなりません。

そして絶対に失点してはいけない時間帯では、DFライン+ボランチ2枚はあまり上がらずに(下がりすぎてもいけません)、両サイドもオーバーラップを控えるようにして、守備体勢を崩さないようにしなければなりません。


コンパクトにすることで自分のポジションがゴールから遠くなっても、2トップ+攻撃的MF2人が焦る必要はありません。

日本代表がコンパクトになっていて、こちらが程よく押し込まれている時、相手はバックラインをかなり押し上げている可能性が高いです。

すると、相手のバックラインの裏に広大なスペースが生まれるわけです。

そこを効果的に動いて、ワンツーとスルーパスを組み合わせて、オフサイドに注意しながら相手最終ラインの穴をつけば、前の4人だけであっても得点することはそんなに難しいことではありません。

日本代表は伝統的にこういった攻守の駆け引きが下手ですし、こうすることによってリスクをそれほどかけずに試合を”殺す”ことができるのです。

それができないのは日本サッカー界全体が、チームのFWからDFラインまでの間をコンパクトに保つということの重要性をわかっていないからです。

 選手個々で見ると、

高原は、リスクをおかして勝負して良い時に、自信をもって積極的に勝負をして、しかも結果を次々と出しているわけですから、本当に素晴らしいです。

逆に、中村俊はセットプレーからのキックは相変わらず素晴らしいですが、現在、流れの中でゲームをつくることができていません。

難しいことをやろうとしすぎて周囲とかみあわず、一人で空回りしているようにも見えます。

「アウトサイドやヒールキックなど、難易度の高いプレーでなければサッカーでチャンスはつくれない、インサイドキックではろくなチャンスがつくれない」といった、日本人選手にありがちな考え方に陥っているような気がします。

もっとサッカーをシンプルに考えるようにして、インサイドキックで高原か巻選手に当てて、ワンツーでリターンをもらってシュート・ゴールのような、基礎的なプレーに一旦立ち戻るべきではないでしょうか。

 厳しいことも言いましたが、こうした課題をクリアできないとW杯では勝てない、世界では勝てないということで、UAE戦で日本代表が最低限の結果を出したことについては、評価すべきだと思います。

前述のように、グループリーグ最後のベトナム戦は周りが全て敵の、本当にタフな試合になると思います。

決勝トーナメントであたる他グループのチームのことも見据えながら、自信を持って積極的に、リスクをおかすべきところはチャレンジし、リスクをおかしてはいけないところはクレバーに安全第一でやってほしいです。

それができれば、おのずから結果はついてくるでしょう。


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  2007.7.13 ミーディン・スタジアム(ハノイ)


    日本  3  -  1  UAE

 '22 高原        '66 S・アルカス
'27 高原
'41 中村俊(PK)


 GK 川口       GK M・ナスル

 DF 駒野       DF ラシド・A
   加地         H・アリ
   中澤         B・サイード
              H・ファヘル
 MF 阿部
   遠藤       MF A・ジュマ
   中村俊        E・アリ
  (水野 71)     (S・アルカス 45)
   鈴木         H・サイード
  (今野 77)
   中村憲      FW K・ダルビッシュ
             (A・モハメド 45)
 FW 巻          I・マタル
   高原         アル・シェッヒ
  (羽生 67)     (M・カシム 56)




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■日本代表、カタールにもったいなさすぎるドロー

 ベトナム・タイ・マレーシア・インドネシアの東南アジア四カ国共同開催となった、アジアカップ2007が開幕しました。

日本はB組に入り、共同開催国ベトナムにカタール・UAEと決勝トーナメント進出をかけて争います。

 日本の初戦の相手はカタール。

日本が幸先よく先制したものの、試合終了直前に不用意なミスから同点ゴールを浴び、試合はドローに終わりました。

対戦相手のカタールは日本とほぼ互角の実力、やや日本の方が上かと分析していました。

試合結果を見れば分析の通りと言えますが、集中力が切れやすい、一番点を取られてはいけない時間帯に、不用意なミスからまんまと同点ゴールを浴びたわけで、大変残念な結果となってしまいました。

カタールはこの組で一番強い対戦相手だと思いますが、日本が本気で2010年W杯で結果を出すつもりなら、こんな試合をやっていてはダメです。

 さて、試合展開の方は、前半からボールを支配する日本のペース。

しかし、ボールを失うことを恐れているのか、なかなかラストパス・クロスが入らず、ボールを支配しているわりにはシュートが少ないという嫌な展開。

カタールは、引いてカウンター狙いという戦術を徹底させ、日本に決定的なチャンスはつくらせないものの、効果的な攻撃も無いという状態。

前半22分、左サイドを突破した中村憲選手からゴール前にいた中村俊選手にボールが渡り、ワントラップして狙い済ましたシュートが、すべりこんだ敵DFに防がれたシーンが前半唯一といって良い日本の得点チャンスでした。

 後半開始直後はカタールが攻勢に出て、それが10分ぐらい続いた後、今度は反対に日本が攻勢に出ます。

後半12分、ゴール前で競った高原選手が落としたボールを山岸選手がボレーで狙いますが、ゴールマウスをとらえることができません。

16分、中村憲が起点となって左サイドを突破した今野選手が中央へボールを流し込み、それを高原が落ち着いて決めて、ようやく日本が先制。

先制後も日本が試合を支配し、カタールは非常に苦しい展開。

しかし、後半43分、阿部選手の不用意な判断ミスから日本のゴール前でFKを与え、壁のつくりが甘いところをセバスチャンの弾丸フリーキックがつき抜けて同点ゴールを許してしまいます。

ロスタイムに羽生選手の惜しいシュートがあったものの外れ、日本の初戦はドローという結果となりました。

 次に試合内容について分析しますが、リスクをかけなければならないところで怖がってリスクをかけないために攻撃がなかなかうまくいかず、リスクをかけてはいけないところでリスクをかけて守備でピンチを招き、そこからゴールを奪われてみすみす勝ち点2を失ったという試合でした。

そのどちらも、原因は日本人選手の一番の弱点である消極性と自信の無さだとの一言につきます。

日本人選手の一番の弱点が消極性と自信の無さだということは、このブログでも繰り返し述べてきましたし、「消極性と自信の無さ」さえ克服できれば、「日本サッカーがかかえる問題の大半は解消したも同然だ」といっても過言ではないと思います。

この試合でも、敵陣深くでラストパスやクロスが出せるタイミングなのに、ボールを失うのが怖いのか、安易にバックパスや横パスを選択してしまう、

「誰かが味方のサポートをするだろう」といった感じでパス受けの動きをせず、自分にパスが出ると予想外でびっくりしたように応対する、

浮きダマが落ちてきても「誰かが競るだろう」といった感じで、敵がフリーでヘッドするのを見ているだけ、といった場面がたびたび見られました。

試合の後半にはだいぶ良くなりましたが、試合の前半からもっと積極的にプレーしてもらいたいものです。そうすれば日本の攻撃はもっと機能したはずです。

また、相手のゴール前で敵選手がちょっとでも当たってくるとすぐに倒れて、
フリーキックをゲットしたいという狙いがミエミエのプレーも少なくありませんでした。

試合が経過するにつれてレフェリーも日本側の意図を見抜き、あまりファールをとってくれなくなりました。

「わざと倒れてフリーキックをゲットしよう」という消極的なプレーをするのではなくて、もっと自信を持ってドリブル突破なり、シュートなり勝負して欲しいと思います。

その結果、倒されたという場合ならレフェリーもしっかりファールをとってくれるはずです。

こういうところにも、日本選手の消極性・自信のなさがうかがえます。
 
 日本が失点する直前も、日本のDFラインがリスクを冒さずにシンプルに前へ蹴るということをせず、FWの数を増やしてきたカタールの選手の前で横パスを繰り返していて「危ないな」と思っていました。

そして失点のシーンは、中盤の浮きダマを誰も競りにいかず、カタールにフリーでつながれてラストパスを出されたのがまず問題。

カタールのラストパスが出た場面で、カタールの選手よりボールに近かった阿部選手が先にボールに追いついてタッチに蹴り出すなり自分で処理すれば、何の問題も無かったと思うのですが、

あえてGKの川口選手に任せたものの、川口よりカタールの選手の方が先にボールにさわりそうになり、川口が前へ出てくる時間を稼ぐために阿部がカタールの選手に当たりに行ったのをファールと判定されてしまいました。

国際試合のレフェリーとJリーグのレフェリーの判定基準は当然違うわけですから、何が起こるかわかりません。 阿部は絶対にファールにならないと判断したのだと思いますが...。

試合終了5分前の状況で、阿部がわざわざリスクが高いプレーを選択した原因は、「自分がやらずGKに処理してもらおう」という消極的な考えがあったのではないでしょうか。

このように、リスクをかけなければならないところでかけなかったために攻撃が今一つうまくいかず、リスクをかけてはいけない時間・場所でリスクをかけてしまったことが失点につながり、ドローという結果に結びついてしまったと言えるでしょう。

2003年フランスで行われたコンフェデレーションズ・カップでも、グループリーグ最終戦のコロンビア戦・引き分けでも日本が決勝T進出という状況で、宮本選手が自陣深くで非常にリスキーなヒールキックをして、それがミスとなってボールを奪われ、そのままそれが失点につながって予選リーグ敗退となったわけですが、まったくその反省が生かされていません。

代表選手がいつまでも経験の浅いルーキーみたいなことをやっていてはダメです。

 攻撃面でのその他のポイントでは、前半、日本の動きが硬く非常に消極的でしたが、後半10分すぎぐらいからは大分よくなりました。

アジアカップ2004年大会の初戦・オマーン戦の時より、連動性があってチームが組織として動けていたと思います。

ただ、いかんせんシュートが少なすぎです。
ゴールできなければ試合に勝てませんし、ゴールするためにはまず何よりシュートしないといけません。

特にクロスからのヘディング・シュートが少なすぎる、というより流れの中から出たヘディング・シュートはゼロだったような気がします。

その原因は、高原選手のワントップというシステムにあると思います。

ワントップだと二列目の中村俊・遠藤の両選手がもっと積極的にFWの役割をはたすように心がけないと、FWが一人になっている分、当然シュートが減ってしまうわけですが、もともと中村俊・遠藤の両人はパス主体で積極的にシュートを打つタイプではありません。

ましてやヘディング・シュートはもっと苦手でしょう。試合でほとんど見たことありません。

”パサー”という役割にこだわりすぎてチャンスメークはするけれども自分から積極的にシュートや得点を狙うことが少ない、オシムがいうポリバレント(多能性・マルチロール能力とも訳せるでしょう)が無いというのは、日本人MFの弱点です。

すると当然、クロスのターゲットが高原一人になってしまうわけで、これではヘディング・シュートもチーム全体のシュート数も少なくなってしまいます。

ワントップというシステムは「シュートに消極的な日本人」という弱点をもっと悪化させてしまうシステムだと思います。

やはり2トップに戻すべきではないでしょうか。

日本代表でワントップが機能したことは見たことありませんし、日本には向いていないようだから私は反対というお話は以前しました。

前回のコロンビア戦でも機能しませんでしたし、今回のカタール戦でも機能していなかったと思います。なぜオシムはワントップにこだわっているのでしょうか。

日本サッカー協会が「代表戦の視聴率が下がっているから、中盤にスターを並べてくれ」とオシムに頼んで、やってもらっているなら、本末転倒なのでやめて欲しいのですが。

 守備に関しては、酷暑の中まずまず組織的な守備が出来ていたと思いますが、敵をフリーでプレーさせない、五分五分のボールについては浮きダマでも何でも、必ず誰か一人が競りに行き、別の選手がこぼれダマの予測をして、なるべくマイ・ボールにするということをもっとがんばって欲しいと思います。

これが出来ていれば、失点はかなりの確率で防げるはずです。

 アジアカップ2007の初戦となったカタール戦は、攻守ともに日本代表が非常に消極的で自信が無さそうにプレーしているのが目につきました。相手が強かったというより、自滅した結果の引き分けと言えるでしょう。

次のUAE戦は絶対に勝たなければならない試合となりました。

一部のマスコミ報道では、まるで予選リーグ突破が絶望的になったかのように言う人がいますが、うろたえる必要は全くありません。

カタールはこのグループで一番力のある対戦相手であり、そことドローならば最低限の結果は残したと言えるでしょう。

UAEとベトナムにきっちり勝てば問題はありません。

日本代表の選手たちには、もっと自信を持って積極的にプレーをし、リスクをおかして積極的にチャレンジするところと、安全第一で絶対にリスクをおかしてはいけないところの判断をきちんとして欲しいと思います。

まず何より「攻守に積極的にプレーすること」を心がけることで、おのずから日本代表に結果はついてくると思います。

何百試合もサッカーの試合を見てきた経験から思うのですが、

サッカーの神様は、消極的で弱気で逃げ腰の選手やチームには、ついイジワルしたくなる性格のようです。

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 2007.7.9  ミーディン・スタジアム(ハノイ) 


  日本  1  -  1  カタール


  '61 高原       '88 セバスチャン


 GK 川口        GK サクル

 DF 中澤        DF シャマリ
   阿部          オバイド
   今野          ムスタファ
   加持          メシャル

 MF 鈴木        MF メサード
   中村憲        (マジディ 45)
  (橋本 82)       ウェサム
   遠藤         (マジド 75)
   山岸          タラル
  (羽生 74)       ヤセル 
   中村俊         ワリード
              (アデル 66)
 FW 高原
             FW セバスチャン



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