■2006年10月

■日本代表、インドに順当な勝利

 昨日行われたアジアカップ2007予選のインド戦は、日本が3-0と順当に勝利をおさめました。

対戦相手のインドは、全員国内リーグでプレーしていると思われ、イングランド二部(実質三部)のクラブに在籍していたことがあるFWバイチュン・ブティア以外、無名の選手ばかりです。

こうした点を踏まえて、たとえアウェーでも日本が最低2~3点差をつけて勝つ実力差はあるなと考えていましたが、そのとおりの結果となりました。

それにしても会場となったバンガロールのスタジアムは、インドの巨大な人口にしてはお客さんが少ないようでした。

インドのサッカーどころと言えばなんと言っても、ブティアが所属するイーストベンガルやモフンバガンといった名門クラブが本拠地としているコルカタ(カルカッタ)ですが、バンガロール市民はサッカーよりもクリケットのほうに関心があるのかもしれません。

 さて試合展開のほうは、実力差を反映して日本がボールを支配。

前半23分、左サイドの三都主選手からグラウンダーでアーリークロスが入り、巻選手のシュートがスカッたところボールがうまく播戸選手の前にこぼれ彼がプッシュして先制。

照明灯が一基消えるアクシデントの後の44分、右から三都主のクロスに播戸がヘッドで合わせ、インドGKの手を弾いてゴール!日本2-0とします。

後半開始後の日本の攻撃が一息つくとインドが攻勢に出ます。
これに対して日本側がバタバタと慌ててしまい、多少混乱が見られました。

後半37分、この嫌な流れを断ち切ったのが中村憲選手。
ゴール左前から目の覚めるようなミドルシュートがゴールに突き刺さり、3-0。

これでインドの戦意は完全に失われゲームは決まりました。

 今回のインド戦は、デコボコのピッチ・停電や犬の乱入といった様々な障害のなか、きっちりと結果を残したのだから、そのことについてはちゃんと評価しなければいけないと思います。

内容については、収穫もありましたし課題も出た試合となりました。

攻撃では、播戸・中村憲の二人が結果を出してくれたことが収穫でした。

播戸は「俺が決めてやる」というアグレッシブな気持ちがひしひしと伝わってくるFWらしいFWです。

シュートを打つべきときにパスに逃げる日本人FWが非常に多いなか、シュートに迷いのない彼は、見ていて気持ちよいです。

中村憲も、パスのつなぎ役としてまずまず機能し、正確なミドルシュートの能力も披露してくれました。

日本人の二列目タイプの選手は、パサーというだけで自己満足してしまい消極的で得点能力が低いという問題を抱えがちですが、中村憲には、ラストパスも出せるし自分で得点もできるようなレベルの高い選手になってほしいと思います。

 課題については、ボランチと二列目のパスのホットラインの欠如をあげたいと思います。

この試合で、ボランチから二列目へパスが供給され攻撃が組み立てられるという形がほとんど見られませんでした。

それでも前半は、最終ラインから両サイドへのサイドチェンジぎみのロングパスによる攻撃が機能していたので目立ちませんでしたが、後半にインドが攻勢に出てきて、両サイドへのロングパスによる攻撃が機能しなくなると途端に、日本がチームとしてボールを落ち着いてキープできないという、問題が目に見える形であらわれてしまいました。

特に後半は、水本選手の負傷退場のせいで鈴木選手がDFラインまで下がったために、長谷部選手がボランチの位置に入ったのですが、彼が積極的に攻め上がったために、ボランチ役が誰もいないといった状況になってしまいました。

そのために、チーム全体として落ち着いてボールキープができず、インドに攻め込まれてバタバタしてしまいました。

前半でも、鈴木がボランチの位置でどっしりと構えて、相手から奪ったボールを中村憲や山岸選手に配給して、攻撃の基点になるようなプレーが欲しかったです。

ボランチは、前線に上がってシュートということだけが攻撃参加なのではなく、むしろ相手から奪ったボールを二列目や両サイドに確実に配給する、攻めの基点としての役割をしっかり果たすことの方が、大事な攻撃参加だと思います。

またボランチが攻め上がったら、二列目のうちの一人が必ず下がってスペースをカバーするという約束ごとも必要です。

ボランチと二列目のパスのホットラインの欠如という問題は、ジーコジャパン時代に国内組中心でメンバーが組まれたときにも、このブログで再三指摘しました。

これも日本サッカーにありがちな問題なのかもしれません。

 守備に関しては、まずまずだったと思いますが、前半終了間際の集中力が切れやすい時間帯に、CKからインドの選手をどフリーにしてしまって決定的なシュートを浴びたことが、一つ目の課題です。

あれが決まっていたらゲームの流れががらっと変わっていたことでしょう。

二つ目は、三都主の守備の判断ミス&手抜きです。

一度、日本の左サイドを三都主の軽率な守備応対からインドの選手に破られてシュートされたときはGK川口選手から怒鳴られていましたが、彼の守備での判断ミス&手抜きの数々は、先制点と二点目の基点となる攻撃での貢献をパーにしてしまうものでした。

私は相手が弱いからといってプレーの手抜きをするような選手は好きではありません。

 今回のインド戦は、結果をきっちりと残したことは評価できます。
あとは試合内容をいかに高めていくか、攻守両面でのプレーの質をどれだけ向上させられるかが課題になると思います。

-------------------------------------------

2006.10.11 スリーカンテラワ・スタジアム
      (バンガロール) 



  インド  0  -  3  日本

            '23 播戸
            '44 播戸
            '82 中村憲


GK ナンディ    GK  川口

DF マンジュ    DF 三都主
   スルクマル      駒野
   サンジブ       水本
   プラディープ    (長谷部 45)
   ディーパク
  (アヌパム 14) MF 中村憲
              鈴木
MF ベンカテシュ     阿部
  (アルビト 40)    今野
   マンジット      山岸
  (キヘトリ 69)
   スティーブン  FW 播戸
   レネディ      (佐藤 71)
              巻
FW バイチュン     (我那覇 67)




↑購読料代わりに一日一回ポチッとして頂けるとうれしいです。


  

■日本代表、ガーナにくやしい敗戦(その2)

前回のつづき

 今回の記事で、いつものように試合内容の分析をせずに、選手起用についてお話したのは、ジーコジャパンから血の入れ替え、世代交代を急ぎすぎているのではないかと思ったからです。

今まで代表に呼ばれたことのないフレッシュな選手が何人も入っていますし、ジーコジャパンで完全な控えだった選手が積極的に使われています。 ジーコジャパンでレギュラークラスだった”古い井戸の選手”も本来のポジションとは違ったところで使われたりしていました。

ただ、これでは変化のスピードが速すぎるように私には思えます。

変化は決して悪いことではありませんが、それを急ぎすぎてしまうと、日本サッカー界が、ジーコジャパンまでで積み上げてきたものがご破算になって、再びゼロから積み上げなければならなくなります。

ガーナ戦の日本代表を見て、あまりにも経験の無い若いチームになってしまったなと思いました。 (年齢的にはそんなに若いわけではないのですが)

以前、

中村・小野・高原・稲本といった黄金世代の次を担う選手の育成が急務になっていますが、だからといって現時点で日本代表を若手にそっくり入れ替えると、黄金世代が蓄積してきたワールドユース準優勝・五輪ベスト8・2002W杯ベスト16といったすばらしい経験から学んできたことがパーになってしまいます。

ときどきW杯や大陸選手権で惨敗した代表チームが、4年後をめざしてそれまでのベテランや中堅をそっくりチームから外して、全員若手と入れ替えてしまうことがありますが、あまりうまくいっていないような気がします。 (たとえばUAE代表)

ですから、黄金世代をベースにチームをつくり若手と競争させ、同じチームで練習や試合をするうちに、黄金世代の経験が徐々に若手に受け継がれ、4年後には若手がチームの主軸となってベテランとなった黄金世代の選手が要所をしめるといった形が理想かと思います。



書きました。 

 ジーコジャパンは、ドイツ大会で結果こそ出せませんでしたが、それは監督の戦術が最低だっただけで、個のレベルで言えば、過去最高の日本代表だったと間違い無く言えると思います。

ジーコジャパンのそうした遺産を確実に次世代に継承させるには、ジーコジャパン時代の選手と若手選手を競争させて、若手選手がジーコジャパン時代の選手から徐々にレギュラーポジションを奪っていき、結果的に世代交代が行われるというのを、これから4年間をかけてやればよいと思います。

二列目では、中村俊・小野・小笠原といった選手に、オシムが有望と判断した若手を競わせる、ボランチでは、福西・遠藤・稲本といった選手と若手を競わせるわけです。

こうすれば、ジーコジャパン組と一緒に練習したりゲームをしたりすることによって、若手は、自分たちが追いつき追い越すべきレベルの高さがどのようなものか、具体的に実感できるでしょう。

ところが、若手ばっかり召集してしまうと、自分も同じポジションのライバルも他の選手も、未熟な経験のない選手ばかりですから、強豪チームとのテストマッチをいつも組んでいかないかぎり、自分の経験のなさというのがなかなか実感しにくいと思います。

これでは、成長のスピードが遅くなってしまいますし、4年後に個のレベルでジーコジャパン時代まで到達できなかった、ということもあり得ます。

ガーナ戦を見た限りでは、現在のオシムジャパンは、こういう状態のように見えます。

4年後にジーコジャパンの黄金世代を追い抜く若手があらわれなかった場合は、やむをえないのでそのポジションに”ベテラン”を起用して予選・本大会はいくしかないでしょうが、それは日本サッカー界が伸び悩んでいるという危機的状況であり、できれば避けたいところです。

 最後にガーナ戦の日本代表はどうだったか、軽く振り返っておきますが、マスコミは「あの強豪ガーナに0-1でボール保持率もチャンスも多かったのだから日本は善戦した」ということになっているようですが、私は、あの試合のガーナはまったく不出来だったと考えているので、そういう評価はしません。

中央突破だのみのガーナの攻撃に日本はだいぶ助けられていました。(やられたのはサイドからの攻撃でしたね) その不出来なガーナに負けてしまって、くやしいと思っています。

 日本代表のプレーは様々な面で未熟で、日本人選手にありがちな失敗のオンパレードでした。それをいちいち指摘していくときりがないので、今回は選手起用の話に切り替えました。

あえて言うならば、

守備では、相手をマークするということでは良くできていましたが、ボール保持者へのプレスが弱く、かなり自由に回されてしまったところが不満です。

攻撃では、相変わらずウラヘウラヘと一本調子で狙いすぎでした。

日本代表の布陣は3-3-2-2か3-3-1-3といった感じでしたが、二列目やサイドの選手まで敵DFの最終ラインに入って、二列目がゼロで4トップみたいな、3-3-0-4みたいな形になってしまう局面がかなりあったと思います。

またトップから最終ラインまで、コンパクトな陣形を保つこともできていませんでした。

こうなると後ろから4トップへロングボールを当てるだけの単調な攻撃になってしまいがちです。 サッカーは単純にトップに張る人間が多ければ良いというものではありませんし、二列目のラインを置くのはちゃんと意味があることです。

二列目や他の選手が最低一人、敵センターバックの前のスペースに下がってきてボールをもらい、そこで前を向ければ、攻撃が立体的になってバリエーションがぐっと増えます。

スルーパスやワンツーだって使えますし、本人が敵DFをフェイントでかわしてシュートすることもできます。 もう一回サイドにはたいてクロスでも良いでしょう。

こういうアイデアが出せる選手が現在の代表にはいないように思われます。
選手が育つまで辛抱が必要のようです。


------------------------------------

2006.10.4 日産スタジアム(横浜)


  日本  0  -  1  ガーナ

           '73 ハミヌ

GK 川口      GK キングソン

DF 水本      DF サルペイ
   阿部         イリアス
   今野         メンサー
              モハメド
MF 三都主
  (二川 86)   MF キングストン
   駒野         アッピアー
   遠藤         エシアン
  (中村憲 75)     ムンタリ
   鈴木        (ハミヌ 67)
  (長谷部 79)     
   山岸智     FW アゴゴ
  (播戸 68)      ギャン   
             (ピンポン 67) 
FW 巻
  (我那覇 72)
   佐藤
  (羽生 63)




↑購読料代わりに一日一回ポチッとして頂けるとうれしいです。
  

■日本代表、ガーナにくやしい敗戦

 横浜の日産スタジアムで行われた日本対ガーナ戦は、0-1で日本が敗れました。

今回の対戦相手は、アフリカの古豪ガーナでした。
ガーナはドイツW杯で旋風を巻き起こし、近年の絶不調から華々しい復活をとげた国です。 試合前にマスコミも「W杯ベスト16のアフリカ最強国」と盛んにあおっていました。

ただ私は、選手個々には素晴らしいタレントがそろっているものの、チーム全体のまとまりとしてはそれほどでもなく、ホームでなら日本も十分勝機ありと考えていました。

実際のゲームを見た感想も、監督が変わったばかりで、しかも長旅の疲労・時差ボケもあったのか、イージーなパスミス・シュートミスが少なくなく、マスコミが大騒ぎするほど「とんでもなく強い」ということではなかったと思います。

 試合展開は、前半は日本がやや押し気味で、巻選手が決定的なチャンスを二度ほど外してしまいましたが、このうち一本でも決まっていれば、試合展開はがらっと変わったことでしょう。

後半はやっとエンジンがかかってきたガーナが日本を押し込みます。
日本のゴール前の危険な位置でFKを与えてしまいましたが、川口選手のファインセーブでしのぎきりました。

ところが、ガーナの攻勢を乗り切ったと思った瞬間、決勝点を奪われてしまいます。

後半28分、右サイドのスローインから途中出場のピンポンがシュートぎみの高速クロスを入れ、これまた交代したばかりのハミヌがゴール前へ走りこんで豪快に決められてしまいました。

 日本はたまらず中村憲剛選手を投入すると、停滞していた中盤が急に活気づき、ガーナを一方的に攻め立てて、攻撃の形がようやくでき始めましたが、時すでに遅しでした。

 さて、いつもならガーナ戦の試合内容を攻守別に分析するのですが、今日はまず選手起用についてお話したいと思います。

オシム・ジャパンの初戦となったトリニダード戦からガーナ戦まで、フレッシュな選手が次々と代表に呼ばれ、チャンスが与えられてきたわけですが、正直これから相当忍耐が必要だなと思いました。

忍耐が必要な点は二つです。

まず選手個人個人の経験が圧倒的に不足しており、若手選手が成長して”もの”になるまで相当忍耐が必要だということ。 技術力・状況判断力・戦術理解力といった各分野で、経験がまだまだ足りません。

二点目は、オシム監督の組織戦術が選手全員に浸透し、高度な組織サッカーができるようになるまで多くの時間が必要であり、それまで忍耐しなければいけないということです。

この点は、オシムも「オートマティズムはすぐには完成しない」と言っていますね。

 ただ、オシムの選手起用について、一点だけ疑問があります。
それは本来のポジションではないところに、選手を起用することです。

オシムはその理由として「選手は複数のポジションができなくてはならない」とか「そのポジションに良い人材がいない」と言っています。

現代サッカーでは一人の選手が複数のポジションをそつなくこなしたり、ゲーム中で激しくポジションチェンジするような能力が要求される、マルチロール化がすすんでいるから、オシムの言うことは良くわかります。

しかし例えそうだとしても、まず本来のポジションに入れてやって本職で合格点をとることが先決で、二つ目三つ目のポジションが出来るようになるのは、それからでも遅くないと思うのです。

「選手は複数のポジションができなくてはならない」ということで、本来のポジションではないところに選手を起用している良い例は、代表の二列目でしょう。

オシムジャパンになってから数試合、二列目に本来はサイドの三都主選手やボランチだった遠藤選手を入れていましたが、私には成功しているように見えませんでした。

(遠藤は現在クラブチームで攻撃的な役割を担っていますが)

三都主はもう二列目には入らないようですし、ガーナ戦で遠藤と交代で中村憲が入ったとたん日本の攻撃が機能しだしたのを見て、ちょっと遠藤には申し訳ないですが、彼に限界を感じてしまいました。

遠藤はときおり目を見張るような素晴らしいプレーをするのですが、試合中輝いている時間があまりにも短すぎ、攻守の局面で関係のないところをトボトボ歩いていて”消えている時間”が長すぎるのです。

だったら前述の中村憲や長谷部選手・小林大悟選手・中村直志選手のような、いかにも二列目にふさわしい攻撃的な選手にチャンスを与えてほしいと思います。海外組では松井選手もいますし。

 また「そのポジションに良い人材がいない」と言うのであれば、北京五輪世代なりユース世代なりから、伸びしろが大きそうな若い選手をA代表にひっぱってきてオシムが育ててしまえば良いと思います。

「そのポジションに良い人材がいない」ということで本来のポジションではないところに選手を起用している例は、センターバックでしょう。

現在A代表でセンターバックタイプが極端に不足していますが、五輪世代やユース世代にセンターバックタイプが一人もいないということはないのですから、そっちからA代表に選手を引っ張ってきてオシムのもとで経験を積ませ、必要に応じて五輪代表やユース代表に返してやれば良いのではないでしょうか。

その点、ガーナ戦で水本選手が起用されましたが、とても良いと思います。

そのポジションで日本最高の選手が20代前半の若い選手であるならば、その選手をA代表で使ったほうが、本職ではない選手をそのポジションに無理にねじこむよりは、よっぽど良いのではないでしょうか。

世界を見渡せば、20代前半の若い選手がバリバリのA代表レギュラーというのは珍しくありません。

逆に日本のA代表は高齢すぎるくらいです(笑)

次回につづきます



↑購読料代わりに一日一回ポチッとして頂けるとうれしいです。

  

プロフィール

スパルタク

  • Author:スパルタク
  • FC2ブログへようこそ!

月別アーカイブ






   

ブログ内検索