■2006年06月

■ジーコ監督の4年間は何だったのか?(その2)

前回のつづき

「選手たちが自分たちで自由に考えて、世界に通用する日本のサッカーを生み出す」というジーコの打ち出したサッカーはもろくも敗れ去りました。

するとジーコは突然「選手はプロじゃなかった。」と選手批判を始めましたが、プロ精神を持っているのかいないのかも含めて選手の力量を早いうちから見極め、現実に応じた強化戦略をたてるのが代表監督というものです。

ジーコの選手批判は全くフェアーではありません。

それに日本代表にプロ精神の欠けた甘ったれたムードが流れていたのだとすればそれも含めて監督の責任だと思います。 つまりジーコ監督のチームマネジメント能力の欠如です。

 私はジーコジャパン発足当時から、日本代表に”ぬるま湯体質”というか単なる仲良しクラブというか、だらーっとしたものを感じていました。

その原因は、”年功序列制度”と”縁故採用”に基づくメンバー選考の固定化にあったと思います。

 どの監督にも、その評価に周囲が首をかしげたくなるような”監督だけのお気に入り”の選手はいると思います。 しかしジーコの場合はそれが多すぎました。

まず第一に欧州でプレーしているという実績をつくった選手のための”海外組ワク”が日本代表に設定され、優先的に召集・レギュラー化されました。

その後、海外組の体調不良で徐々に国内組の選手が使われるようになると、どれだけ代表に呼ばれ、どれだけ試合に出たかという前例が重視されるようになります。

これが”年功序列制度”です。

また、かつてジーコがじかに指導した選手たちで構成される”鹿島ワク”がつくられて、優先的に代表に呼ばれました。

これが”縁故採用”です。

もちろん、これら優先ワクを与えられた選手に代表にふさわしい能力が全く無かったといっているわけではありませんが、本来プロである日本代表の選手は、実力のある者が、実力が同じなら調子の良い者から召集される実力主義であるべきです。

しかしジーコは選手を、実力主義ではなくて”海外組””鹿島出身”といったブランドで判断し、年功序列と縁故採用にもとづいて代表に召集し、優先的にレギュラーとしました。

 こうなると、監督によってポジションを保証されているレギュラー組は、ポジションを控え組に奪われる心配があまりないので、試合や練習への緊張感を少しづつ失い、プロのサッカー選手として求められる努力も熱心ではなくなります。

一方サブ組は、レギュラー組の選手が故障か、所属クラブが代表召集を拒否でもしないかぎり、どんなにがんばってもレギュラーポジションは望めません。

サブ組が、どんなにがんばってもレギュラーになれない、海外組なり鹿島組なりが戻ってくればレギュラーポジションは奪われるのでは、試合や練習で努力してレギュラーポジションを奪ってやろうというモチベーションが低くなります。

いわゆる”くさった”状態になってしまいます。

 チームがこういう状態になってしまったら、監督が口で何を言ってもダメで、選手たちに毅然とした態度をみせなければなりません。

どうすれば監督の毅然とした態度を選手にわからせることができるかというと、一番効果があるのは人事です。

試合も練習も、ちんたらやっていて実力を証明することができない選手は、容赦なくレギュラーから外す、サブ組ならその選手を代表メンバーから外して他の新しい選手を呼ぶ、といったようなことをしなければ、監督の真剣さが選手に伝わりません。

しかしジーコはそういった実力主義による人事という手段をとらず、”年功序列制度”と”縁故採用”に基づくメンバー選考をやめようとはしませんでした。

ですから、ジーコが選手たちにいくら「プロ精神が足りない」とカミナリを落とし、中田英選手が他の選手の態度を批判しても、ジーコジャパンの”ぬるま湯体質”は一向に改善しませんでした。

たとえは悪いですが、カリスマ性をもつワンマン社長が、学校を卒業したての何の社会人経験もない自分の息子を縁故採用で副社長にすえて、その社長が引退して会長になると、息子がそのまま社長になって会社をしきり、それまで会社のためにがんばってきた専務や常務・部長たちはしらけてやる気をなくす、そのために会社の雰囲気も悪くなって業績が悪くなり、倒産の危機を迎える、

これがジーコジャパンだったのではないでしょうか。

 実際、ジーコジャパンは4年前から試合内容がずっと低調でした。

2004年のアジアカップは、グループリーグからお寒い内容で、決勝トーナメントでもヨルダンやバーレーンといったあたりとヒヤヒヤの試合の連続で互角の勝負を展開。

私は一年以上前に「2004年アジアカップ出場国で、W杯で決勝トーナメントに進出できるレベルのチームはなかった」といいました。

日本のアジアカップ優勝を評価して、川淵会長は「国内組が成長した」と大はしゃぎで、ジーコも「このチームはどんな困難でも乗り越えられる」といっていたと記憶していますが、日本も含めて2006年W杯でアジア勢はグループリーグで全滅となりました。

ジーコも川淵会長も認識がまったく甘いと言わざるを得ません。

その後のワールドカップ・アジア予選でも、日本代表はアウェーのバーレーン戦以外はパッとしない内容でした。

キリンカップなど国内でのテストマッチでもよく負けましたね。

唯一がんばったのは、強豪国とのアウェーでのテストマッチ。
昨年のコンフェデでブラジルと引き分け、ギリシャに勝利したのをはじめ、ドイツ・イングランドなどと引き分けるなど健闘を見せましたが、その力を大事なW杯本番で発揮することはできませんでした。

 先ほどリンクした一年前の記事で、私はこう言いました。

日本サッカー協会は「次回W杯は2002年以上の成績、ベスト8以上が目標」などと言っていたはずですが、今のままのレベルでは日本も2006年ドイツ大会でのグループリーグ突破はかなり厳しいと言わざるを得ません。

本気で前回以上の成績をドイツ大会の目標とするなら、北朝鮮戦や今回のイラン戦のようなクオリティの試合をやって苦戦して「アジアもレベルアップしているから」なんて言い訳をしても、何の意味も無いということを忘れてはならないでしょう。

その意味で言えば、「予選は2位以内に入れば良いんだ」と言っているジーコや”国内組”の選手達が満足しているサッカーのレベルというのは低すぎるのではないかと考えてしまいます。

学校のテストにたとえるなら、”アジア組”で70点とってクラスのトップになったから「俺だってやれる!」とどんなに自信を持っても、最低でも90点とることが必要とされる”W杯ベスト8組”という選抜クラスには入れてもらえないのです。

そして普段70点台しかとったことの無い生徒が、いきなり本番の選抜試験で90点以上とれるのでしょうか?

そう考えてみれば、普段から質の高いサッカーをめざし、アジア予選で高い実力を証明して、本物の自信を積み上げて行くという作業が必要なのではないでしょうか。




 ぬるま湯体質のジーコジャパンでは、特に国内組の選手たちが試合で見せるサッカーのレベルの低さ、彼らが満足しているサッカーのレベルの低さが、ずっと気になっていました。

攻撃も守備も基本がまったくできておらず、ちんたら歩いて試合に参加していない、やる気を疑うような選手が続出でした。

さすがにW杯前までには少し良くなりましたが、ケタ違いに厳しいワールドカップという戦場で、ぬるま湯体質のジーコジャパンのそうした甘さがはっきりと出てしまいました。

オーストラリア戦に代表されるように、失敗を恐れて非常に消極的な試合運びで、普段の実力の半分ぐらいしか発揮できない状態。

試合終了10分前に同点ゴールを浴びると、選手みんなががっくりと下を向き、そのまま相手に立て続けに2点とられて大逆転負け。

先ほど、普段70点台しかとったことの無い生徒が、いきなり本番の選抜試験で合格点の90点以上がとれるのでしょうか?と言いましたが、 本番の試験では、それまでのぬるま湯体質が災いしてすぐに精神的に動揺し、合格点の90点どころか60点しか取れなかったというのが、ジーコジャパンのドイツW杯でした。

 「選手に自由を与え、自主性に任せる」という行き過ぎた理想主義に基づく自由放任主義と、実力主義のプロのサッカー界にあるまじき、”年功序列制度”と”縁故採用”に基づくメンバー選考の固定化によって、日本代表を緊張感に欠けたぬるま湯体質にしてしまうなど、試合中の采配も含めて、ジーコは代表監督に必要とされる経験が足り無さすぎたと言わざるを得ません。

この4年間、ジーコ監督が日本代表を強化したのではなく、日本代表が監督経験の無いジーコにトライ・アンド・エラー(挑戦と失敗)場を与えて、監督経験を積ませ育てていたのです。 その間、日本代表は現状維持か、退化するばかり。

しかし、日本は世界のサッカー強豪国ではありません。

日本は、いつからそんな余裕をかませられるようになったのでしょうか?

つづく



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■ジーコ監督の4年間は何だったのか?(その1)

 今日は前回にお約束したとおり、ジーコ監督について、この4年間は一体なんだったのかについて、考えてみたいと思います。

 2002年W杯での決勝T一回戦敗退後、トルシエ前監督が解任され、その後任者としてジーコが日本代表の新監督となりました。

この決定は川淵三郎サッカー協会会長の一存、いわゆる”鶴の一声”で決められました。

ジーコ監督が目指したサッカーは非常にあいまいで抽象的な説明しかなされませんでしたが、彼いわく、それは「”個の自由”に基づくサッカー」でした。

「戦術に個人を当てはめていくのではなく、選手個々の自主性に任せ、そこから生み出されるサッカーこそが日本にふさわしい」という考え方です。

選手の自主性に任せ、選手たちに考えさせる理由として、「選手たちが自分たちで自由に考えて、世界に通用する日本のサッカーを生み出せば、日本サッカー界は大変な進歩をとげることができる」というのがジーコ監督の説明でした。

 結論から言ってしまえば、ジーコ監督は理想主義者すぎたのだと思います。

極端な理想主義者であったがゆえに、4年間という限られた時間で実現不可能な理想をひたすら追いかけて現実が見えなくなってしまった。

 ジーコ監督が日本代表の選手たちにしたことを学校の数学教育に例えるなら、小学校にあがりたての子供たちに、高度な微分積分の問題集をあたえて、「これを自分の力だけで解いて合格点をとりなさい。あなたたちに自由を与えるのだから私は何も助言しませんしヒントも教えません」と言うようなものでした。

小学一年生の子供たちが日本代表各選手、数学の先生がジーコ監督です。

確かに小学一年生になりたての子供が自分の力だけで微分積分の問題をパーフェクトに解けるようになれば、その子供の数学の学力は大変なものになるでしょう。 

まさに理想的なことです。

しかし、そんなことはクラス全ての子供が数学の天才でもない限り実現不可能なことです。

たいていの子供は、自分にとってはわけのわからない微分積分の問題集を眺めて途方にくれるだけで、ひたすらフリーズ(固まった)状態になってしまうでしょう。

このような状態になってしまったら、どんなに時間をかけて問題集とにらめっこしても解けるわけありません。

しかし「あくまでも子供たちの自主性と自由な発想に任せる」といって数学の先生が、途方にくれている子供たちを放置したらどうなるでしょうか。

小学校の六年間、ひたすらわけのわからない微分積分の問題集の前でフリーズして終わりです。

その結果、小学校でやっておくべき、足し算・引き算や掛け算九九の暗記、分数の計算など数学の基礎を何も学ばずに時間を浪費して卒業といったことになってしまいます。

実現不可能な極端な理想主義のおかげで、数学の天才を創り出すどころか、数学の基礎さえできていない落第生を大量生産してしまうことになるわけです。

 ジーコ監督の4年間というのは、まさにこれだったのではないかと強く思います。

選手個々の自由と自主性に任せて、ワールドカップでベスト8以上を狙えるような日本独自のサッカーを生み出すことができるのなら、それは理想的なことです。

しかし日本代表の選手たちは、それが可能になるほどサッカーの世界的な天才でも何でもありませんでした。それは初めからわかりきっていたことです。

ジーコ監督自身が途中で誤りに気づくチャンスはこの4年間でいくらでもありました。

それでもジーコ監督はこの4年間、「選手たちの自主性に任せる」という大義名分で悪化する一方の事態を意図的に放置してきました。

到達することがとうてい不可能な理想の実現のために。

その結果、選手たちは「世界トップレベルで通用する日本サッカーを生み出す」という難しい問題集の前で、ひたすらフリーズ状態に陥り、そのままワールドカップに突入してしまった。

4年間ひたすら放置されてきた日本代表の選手たちは、サッカーの基礎学力が穴だらけの落第生レベルにまで落ち込んでしまったのです。

このような日本代表が、基礎ができて当たり前、応用力の高さで勝敗が分かれるW杯決勝トーナメントに進出し、勝ち上がっていくことなど、奇跡に近いことです。

 この点、オーストラリア代表監督のヒディンクは、練習する時間が限られているA代表という現実から目をそらすことなく、生徒に基礎学力の穴があればそれを短時間でふさいで合格点レベルにまで持っていき、ある程度の応用までできるようにしてやる先生(監督)としての能力がありました。

オーストラリアはビドゥカやキューエルに代表される海外リーグにちらばってプレーする選手たちを、代表の一つのチームとしてまとめるのにずっと苦労してきました。

オセアニア選手権やワールドカップ・オセアニア予選はほとんど国内組だけで勝ち抜けるので、わざわざ地球の裏側から海外組を呼ばなくても良いからです。

ですから、代表としてフルメンバーをそろえての真剣勝負の場はワールドカップ予選の大陸間プレーオフぐらいしかありませんでした。

欧州リーグで活躍する選手を多くかかえながら、代表をまとめ一つのチームとして経験をつむ時間とチャンスが少ないオーストラリアは、98年大会プレーオフではイランに、2002年大会プレーオフではウルグアイに敗れました。

しかし、ヒディンクはそのオーストラリアを数十年ぶりにW杯に出場させ、決勝T進出を果たした。

現実をみすえた戦略をもつヒディンクと、実現不可能な理想を追いかけるだけだったジーコの監督としての力量は歴然としていると思います。

 この4年間でジーコ監督が残したものは、彼本来の意図とは違っていたとしても、解決されるべき問題の放置とひたすらの時間の浪費でした。

その結果導かれたものは、日本代表の退化に他ならなかったと思います。


つづく



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■日本、ブラジルに完敗でグループリーグ敗退に終わる

 決勝トーナメント進出への最後の望みをかけて戦ったブラジルとのグループリーグ最終戦は、皆さんもご存知のとおり1-4の完敗に終わり、1分2敗のグループリーグ最下位で決勝トーナメント進出はなりませんでした。

 試合の方は立ち上がりからブラジルの猛攻を受けるも、川口選手のファインセーブ連発によって綱渡りで失点を防ぐといった展開。

しかし先制したのは日本。

前半34分に稲本選手の捨て身のパスが左サイドの三都主選手に通り、彼がすばやくパスを送ると、ゴール前にいた玉田選手が受けてウラへ抜け出し、ゴール左上に強烈なシュートを突き刺します。

ですが、前半ロスタイムの大事な時間にシシーニョからロナウドとヘッドでつながれて、日本のDF陣は完全にボールウオッチャー。

最後は簡単にフリーになったロナウドに痛すぎる同点ゴールを浴びます。

 後半は同点にされたことでがっくりきたのか、日本の運動量が激減し、ブラジルからボールを取り返そうともしません。

「勝ちたくないの?だったらこちらから行くよ」とばかりにブラジルの攻撃力爆発。

ジュニーニョのミドルから始まり、左サイドを突破してきたジウベルトには落ちついて流し込まれ、トドメは日本のDFラインの前から中澤をかわしてのロナウドの正確なシュート。

日本代表のドイツでの戦いは終わりました。

試合終了後、ピッチで倒れこんで空を見上げて悔し涙を流していた中田英選手が非常に印象的でした。

 さて、ワールドカップ一ヶ月前のキリンカップから私は、日本代表に関しての強い批判は封印してきました。

大会直前に日本代表の問題点を指摘しても今さら修正する時間もないでしょうし、いたずらにマイナスイメージを日本代表や日本社会に振りまくだけ、だったらポジティブな面を取り上げて自信を持って大会に臨めるようにプラスのイメージを与えるべきだと考えたからです。

しかし日本のドイツでの戦いは終わりました。
封印をとき、いつものスタンスで記事を書きたいと思います。

 ブラジル戦における日本の試合内容は、先制点をあげたシーンは素晴らしかったと思いますが、日本とブラジルの基礎能力の差を嫌というほど見せつけられるものとなりました。

それでもブラジルは終始、流している状態で日本に「レッスンを与えて」いましたが。

サッカーの基礎の話はこれまでの記事でさんざん書いてきたので、ブラジルのどこが基礎能力が高いのかはいちいち触れませんが、ブラジル代表は攻守にわたるチーム戦術・個人技の双方について、サッカーの基本をほぼ完璧にマスターしていました。

基本を完璧にした上で、しっかりとした基礎を土台に応用問題も難なくクリアしてみせるのがブラジルでした。

私はワールドカップの期間中、「日本代表は基礎を思い出せ」とずっと言ってきましたが、裏を返せば、サッカーの基礎もできておらず自国のサポーターから「サッカーの基礎を思い出せ」と言われているようなチームが、基礎は完璧にマスターしていて当たり前、難しい応用問題をどれだけ解いて見せるかが勝負というレベルのブラジル相手に勝つ確率など、本当に万が一だったと思います。

たとえば、グラウンダーのショートパスをつなぐというサッカーの基本中の基本をとってみても、ブラジル代表の各選手は局面局面で正しくポジショニングを取って、正しい姿勢で正確なパスを出し、正しい姿勢で球を受け、パス・ドリブル・シュートなど次のプレーにつなげていました。

しかし日本代表は、まず局面局面での正しいポジショニングが取れない。

取れたとしても正しいポジションをとるのが遅いから、いつも高速で走りながら球を受けなくてはならなくなる。 だからトラップミス・パスミスとなりやすい。

パスの出し手としても、味方が平気でブラジルの選手の陰にいて”ちんたら”歩いているので、無理やりグラウンダーのパスを通そうとすると、ブラジルの選手にボールをぶつけてしまう。

結局、パスの出し手も受け手も正しいポジショニングというのが分かっていないから、刻々と変化する局面局面で、どこへパスを出したら良いか、どこでパスを受けたらよいかが分からない。

だからブラジルがいとも簡単にパスを何本も通してみせるのに、日本は基本のショートパスを通すことさえ一苦労という状態。

パスの出し手がパスの受け手が通りすぎた後のスペースにボールを送って、パスの受け手がヒールキックで何とかつないで綱渡りのパス回しでポジショニングミスをごまかし、それを”ファンタジー”と勘違いしていたのが日本のサッカーだったと思います。

 いや、日本代表のほとんどの選手は「基礎を思い出す」どころかはじめから基礎そのものを知らなかったのかもしれません。

だからといって選手を責めるというよりは、ジーコ監督も含めて、サッカーの基礎を教えられる指導者が日本サッカー界にいなかった、日本にそうした指導者がいないのならサッカー協会が世界から連れて来ることができなかったことの方が問題です。

 オーストラリア戦でみせた日本代表のサッカースタイルは、おそらくW杯ドイツ大会で最低レベルのものの一つだったと思います。 ジーコジャパンになってからのテストマッチも含めても最低レベルの試合となってしまいました。

それを本大会の大事な第一戦に持ってきてしまうとは...。

守備はただ相手の正面に立ってパスコースを消そうとするだけで、プレスをかけずほとんどフリーでやらせていました。

攻撃もロングの浮き球を前線に単純に放り込むか、ボール保持者がチームプレーを忘れて強引なドリブル突破を試みてオーストラリアの組織的プレス守備にひっかかって球を失うばかり。 そして味方がドリブル突破に成功するのをひたすら”待ち”の姿勢で傍観する残りのメンバー。

あの試合、日本代表はボール保持者とロングに走りこむ二人ぐらいしかサッカーをしていませんでした。

サッカーの組織化が進んだ現在、こんな時代遅れのサッカースタイルをとっている国などあるのでしょうか。 少なくともフィジカルの弱い日本人向きの戦術ではありませんし、創造性のかけらも見られないサッカーです。

日本対オーストラリア戦を見たクロアチア代表のニコ・コバチが「日本はやる気がない」と評したらしいですが、私も三試合を通して「攻撃も守備も日本代表はやる気があるのか?」と何度も思い悲しくなりました。

敵の選手が日本ゴールに向かって突進するのをちんたら歩いて近くで見ている選手。

ドリブルしながら敵に囲まれて孤立している味方選手を、一番近くにいる選手が”コーチング”と称して、遠い選手に動けと指示し、自分は味方へのサポートから逃げて、またもやちんたら歩いている。

クロアチア戦・ブラジル戦と、だんだんと日本らしいサッカーを取り戻していきましたが、もう手遅れでした。

ただ最後のブラジル戦にしても、自信をすっかり失った日本代表のパフォーマンスは、とうてい決勝トーナメントを戦い抜けるものではありせんでした。

 今大会の日本代表を見て浮かんだ言葉は軟弱。 
フィジカルも戦術も個人技も選手ひとりひとりの気持ちもすべて軟弱でした。

どうして、こんな甘ったれたチームになってしまったのでしょうか?

涙をこらえてインタビューに答える中村を見て泣いていたサッカー解説者もいましたが、私は悲しかったけれども涙も出ませんでした。

きわめて論理的な当然の結果になっただけだと思ったからです。

2002年大会でベスト16の経験をしたチームをジーコは引き継いだわけですが、この4年間でレベルが全く上がらなかったか、もしくは2002年より日本代表は退化してしまったのではないかと強く思います。

99年のワールドユース準優勝、2000年のシドニーオリンピックベスト8、2002年ワールドカップベスト16と、順調に成長してきた日本の黄金世代が、ちょうど脂の乗り切った成熟期にあった2006年大会。

十年二十年先を見越した日本サッカー界の発展のためにも大きな果実を収穫しなければならない大会でしたが、その結果は無惨でした。

私は少なくとも決勝トーナメント進出を達成するぐらいのポテンシャルを持ったチームだったと思います。

しかし2002年の夏以降、このチームに個人技とチーム戦術の基礎知識、そして成功への自信を与えられる監督が欠けていました。

次回はジーコ監督のこの4年間について述べてみたいと思います。

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2006.6.22  シュタディオン・ドルトムント

  
   日本  1   -   4  ブラジル


   玉田 '34        ロナウド  '45+
               ジュニーニョ '53
               ジウベルト  '59
               ロナウド   '81


 GK 川口      GK ジーダ
              (セニ 82)
 DF 三都主
    坪井      DF ルシオ
    加地         ジュアン
    中澤         シシーニョ
               ジウベルト
 MF 中田英     
    小笠原     MF  カカ
   (中田浩 56)    (ゼ ロベルト 71)
    中村         ロナウジーニョ    
    稲本        (リカルジーニョ 71)
               ジウベルト シウバ
 FW 巻          ジュニーニョ
   (高原 60)  
   (大黒 66)   FW ロナウド
    玉田         ロビーニョ
 



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■ブラジル戦をどう戦うべきか?

 いよいよ明日に迫ったグループリーグ最後の試合となるブラジル戦。

今回はいかにブラジル戦を戦うべきかについて考えてみたいと思います。

 まずグループFの現在の状況ですが、ブラジルが二連勝で既に決勝T進出を決めています。 二位は一勝一敗のオーストラリア、一分一敗の日本とクロアチアは得失点差でクロアチアが三位、日本が四位となっています。

日本がブラジルに2点差以上なるべく大差で勝って、しかもクロアチア対オーストラリア戦が、クロアチアのなるべく小差の勝利(1-0とか)で終わらなければ、日本の決勝トーナメント進出はありません。

引き分けだと日本が確実に決勝トーナメントに進出するにはブラジルから3点以上とらなくてはならなくなります。

日本はブラジルに大差で勝って、しかもクロアチア対オーストラリアの結果待ちという大変苦しい状況ですが、とにもかくにも日本がブラジルに勝たないと何も始まりません。

 それではいかにブラジル戦を戦うべきかですが、日本人はマラドーナにあこがれてサッカーを始めたりファンになったりした人が非常に多いせいだと思いますが、南米の強豪・ブラジルやアルゼンチンをリスペクト(尊敬)しすぎているような気がします。

国際Aマッチでも日本代表はブラジルやアルゼンチンには全く勝てていないのですが、日本の選手は「ブラジルやアルゼンチンはうまくて強い」という気持ちが強すぎて、試合をやる前から精神的に0-3で負けたような気分になっているのではないでしょうか。

そして実際に試合をして先制点を取られると、「やっぱり相手が強すぎた。先制点も取られたし、もうダメだ」という風に、敗戦への不安が敗戦への確信にかわって、その後ずるずる失点を重ねてしまっているような気がします。

日本人の一部でも「ブラジルに勝たなくてはならないなんて、日本代表はもう終わっている」という人がいるでしょうし、マスコミでも、もう2010年にむけた記事を書いている人がいますが、こういうのは生まれながらの敗者のメンタリティーです。

「人間というのは自分で負けを認めた時に敗者になる」という言葉がありますが、まさにこれです。

確かにブラジルは強いですし、そのブラジルから2点差以上つけて勝つなんてことは並大抵のことではありません。

しかしピッチ上の日本代表とブラジル代表は同じ11人対11人です。日本が勝つ可能性は0%では決してありません。

南米予選ではエクアドルが1回ブラジルに勝っています。

日本代表の各選手の技術がブラジルの選手より劣るのであれば、日本の選手はブラジルの選手の2倍走って、プレスをかけて相手からボールを奪い、パスをどんどんつないで、シュート数を増やせば良いでしょう。

走る量を増やすだけなら特別な才能はいらないはずです。 勝利への可能性と自分たちを信じて絶対にあきらめず、試合後にぶっ倒れる覚悟で走りきり、戦いきってほしいと思います。

 あとは攻守におけるサッカーの基本に忠実であることが勝利には必要です。

明日の試合は点を取って勝たなくてはなりませんから、攻撃の話をしますが、(だから守備をおろそかにして良いということではありませんが)

クロアチア戦はどう戦うべきか?で言ったように、中盤では少ないタッチ数でどんどんグラウンダーのダイレクトパスをまわして攻撃のリズムを失わず、アーリークロスの割合をもっと多くすることが、まず必要です。

クロスの落しどころも、

>速くて鋭く落ちるボールを、GKが出られそうで出られない、PKのときにボールをセットする場所より1~2m内側をめがけて落とすのが、まずお約束です。

>もし相手GKがニアサイドにいれば、そこより数mファーサイド側へ、GKがファーサイドにポジショニングしていれば、逆に数mニアサイド側へ落とすのが基本中の基本です。

>クロスに飛び込む選手もこのような”お約束”を頭に入れて、どこへ飛び込むか決めます。

と言ったとおりです。

 クロスやコーナーキックに飛び込む日本の選手を見ていると、みんなが同じタイミングで同じような場所に飛び込んでいますが、

複数で飛び込むなら、前に走りこんだ選手の数m後ろに、次に飛び込む選手がずれて走りこむと、クロスやコーナーキックのボールが敵味方に当たって角度が変わっても、ゴールに押し込むチャンスが出てきます。

しかしみんなが同じタイミングで同じような場所に飛び込むと、何らかの理由でクロスの角度が変わったときは、飛び込んだ日本の選手の背後ばかりをボールが通過することになってしまいます。

 また、日本側のクロス・FK・CK・シュートの場面では、ボールが来る方向とは反対のゴールポスト(ファーポスト)の、まん前・4~8mの場所(プライム・スコアリング・エリアと呼ばれる)に必ず日本の選手が1人ポジショニングしておくと得点の可能性が高まります。

プライム・スコアリング・エリアは、味方のシュートやクロスなどのボールが敵味方に当たったり敵がセーブやクリアした場合、ボールがこぼれてくる確率が高いとされる場所で、この場所に味方を一人置いておいて、どんなボールが来ても素早く反応してゴールに押し込めるよう準備しておくのが基本です。

確かクロアチア戦の前半30分ぐらいに、高原選手がシュートを打ってボールが相手DFに当たって角度が変わり、日本の選手たちの背後を通過して、ちょうどプライム・スコアリング・エリアにこぼれたのですが、つめている日本の選手は誰もいず、相手GKにキャッチされたという場面があったと思います。

日本代表が、攻めの基本ポジショニングが出来ていれば1点というシーンでした。

 最後にシュートですが、グラウンダーで強めのシュートをファーサイド側に狙って打つのが、まず基本。 相手GKにさわられても良いぐらいの気持ちでワクに入れることを心がけます。 同時に別の味方がGK前へつめておきます。

強いシュートならば相手GKにさわられてもキャッチは出来ず、前へはじくのが精一杯でしょう。(ニアへのシュートは後ろにはじいてCKに逃げることが出来るが、ファーへのシュートを後ろにはじくとオウンゴールになる可能性がある) そこで味方がつめてゴールするチャンスが生まれます。

ともかくシュートはワクに入らないと何も起こりません。

もし相手GKがインサイドを大きく空けているといった場合、シュートをどこに打つかは臨機応変に決めます。

「自分より可能性の高い味方へパスしよう」という言い訳をして、自分の前にGKしかいないにもかかわらず、シュートすることから逃げるのは厳禁です。

敵ゴール前では時間をかければかけるほど、シュートチャンスは失われます。
ワン・トラップしただけでシュートコースがなくなるかもしれません。

慌てる必要はありませんが、なるべくファーストタッチがシュートになるようにしなければなりません。

 グループリーグの最終戦で決勝トーナメント進出をかけてブラジルと戦うという最高の舞台が用意されました。

ワールドカップでの苦しんだ二試合で学んだことを生かして、勝利への可能性があるかぎり絶対にあきらめず、「絶対に勝つんだ」という強い気持ちと自信を持って戦いきってほしいと思います。

ワールドユース準優勝からはじまった日本の黄金世代の真価が試される試合が明日のブラジル戦です。

ぜひ2点差以上で勝って(3点差だとより確実)日本サッカーに新たな歴史を付け加えてほしいと思います。


  

■日本、クロアチアと消耗戦のすえドロー

 W杯ドイツ大会、日本の第2戦である対クロアチア戦は、0-0の引き分けとなりました。

第1戦を落とし、絶対に負けられない試合でしたが相手にPKを与えてしまい、可能性として負けもあった試合を引き分けに持ち込んだのは評価できますが、最低でも最終戦のブラジル戦を勝たなくてはならないという状況は同じで、依然苦しい状況は変わりません。

 試合のほうは、前半、初戦と違って少しだけ落ち着きを取り戻した日本がパスをつなげるようになり、ボール支配率ではやや日本がリードといったところ。

しかし、チャンスの質と数ではクロアチア。 コーナーキック数も圧倒的に差をつけられました。

前半21分には宮本選手がプルショを倒し、PK献上。
キッカーはスルナでしたがこれを川口選手がスーパーセーブ!

これが入っていれば日本のワールドカップは終わっていたかもしれません。

その後もクラニチャルのミドルシュートがバーに当たったり、クラスニッチのシュートをまたもや川口が横っ飛びでセーブするなど、きわどい場面がいくつもありました。

対する日本は小笠原・中田英両選手のミドルシュートぐらいで、相手を決定的に崩すまでには至らず。

前半は0-0で後半へ折り返します。

 後半開始そうそう、日本にビッグチャンスがありました。

右サイドを突破した加持選手が中央へ絶妙のクロスを折り返し、これを柳沢選手があわせましたが、相手GKの股間をぬけてゴール右へ外れました。

その後、30度近い暑さのために両チームとも消耗し、プレーの正確度が低下しました。

クロアチアはセットプレーを生かしてヘッドから得点を狙うもことごとく外し、日本も中田英の良いミドルシュートがありましたが、GKにキャッチされました。

 そしてとうとうタイムアップ。
両チームは勝ち点1づつを分け合いました。いや勝ち点2を失ったというべきでしょうか。

 それでは次に、日本代表の試合内容を見てみましょう。

攻めに関しては、まったくダメだったオーストラリア戦に比べると、いくぶんかパスを回せるようになりました。

しかしポールを受けた各選手は、どこへパスを出すべきかまだ迷っています。
そうした判断の遅れが、日本の攻撃からリズムやダイナミズムを奪っています。

また、まわりの選手の足も止まりがちで、そのことがいっそう日本の攻撃からリズムを失わせています。

まだまだ日本本来のサッカーとは言えません。

グラウンダーでパスが出せるスペースにいて自分より相手ゴールに近い選手が見えたら自動的にパスをして、その選手からリターンがもらえるスペースへ動いてサポートのポジションをとったほうが、迷って迷って結局バックパスをするのより何倍も得点チャンスが生まれると思います。

 クロスをあげるときも、こちらが1で相手が2以上という局面では無理をして抜こうとせず、相手のサイドの選手の前から余裕を持って十分な体勢からあげるアーリークロスをもっと使うべきだと思います。

オーストラリア戦・クロアチア戦ともに、サイドからのクロスが少なすぎて、ほとんどチャンスをつくれていません。

サイドを攻める選手がドリブル突破にこだわりすぎてボールを失い、ほとんどクロスをあげられないからです。

たとえ突破できたとしても、相手の人数が多くスペースも小さいところで無理に抜いてあげるクロスは、体勢が崩れているので精度が低く、チャンスに結びついていません。

あるいは、いったん抜きにかかったが相手の数が多くて断念し、いったんドリブルやパスで戻してからようやくあげるクロスも、ボールをこねくり回しているうちに、相手のDFにポジショニング修正の時間を与えるだけで、やっぱりチャンスに結びついていません。

相手のDF陣の態勢が整っていないうちに、正確なアーリークロスを味方にあわせるという攻撃をもっと増やすべきだと思います。

良いアーリークロスが入るようになると、相手はそれを警戒して前へ出てくるので、コーナーフラッグ付近にスペースができます。そこでドリブル突破からサイドをえぐるようにすると効果的だと思います。


 前回の記事で指摘したシュートに関しては、まだゴール前で味方にパスすることばかり考えている消極的な選手がいます。

試合の後半で玉田選手が左サイドを突破し、相手GKと一対一になりましたが、あれぐらいの角度になると日本のFWのほとんどが、ほぼ100%味方へのパスを選択しますね。

玉田も例外ではなく、あの場面で味方へのパスを選びましたが、ゴール前の高原?は相手DFの陰にかくれている状況で、高原を狙ったパスは彼の前にいた相手DFに思いきりぶち当たってしまい、得点チャンスをむざむざ失ってしまいました。

玉田は2004年アジアカップで、角度のないところから素晴らしいゴールを決めているはずです。 思い切ってシュートを打って欲しかったですし、たとえ相手GKにはじかれても、高原の前へこぼれて、高原がそれを押し込んでいたかもしれません。

しかし、敵DFにパスしてしまっては、得点の可能性はゼロです。

代表すべての選手が日本人選手のそうした限界を打ち破って、積極的にゴール前へつめて、積極的にシュートして、積極的にゴールを狙って欲しいです。

 柳沢が決定的シュートを外した場面では、本人が「アウトサイドではなくインサイドで打つべきだった」とコメントしています。

シュートを積極的に打ったことは評価しますが、W杯の日本の試合を二試合見て強く感じるのが、

日本代表各選手が「W杯は特別な舞台なのだから、特別なことをしてやろう。そうしないとレベルの高いW杯では勝てない」という意識が強すぎるのではないかということです。

「W杯は特別」という気持ちが強すぎるから、基本のインサイドで合わせれば楽にゴールできるところを、難しいアウトサイドを使ってシュートし外してしまう。

「W杯は特別」という気持ちが強すぎるから、特別なパス・特別なクロスをあげようとして、考えすぎ・迷いすぎてボールを持ちすぎてしまい、結局、相手に守備のために戻る時間を与えるばかりで、攻めが機能しない原因となっています。

今の日本代表の試合を、数学のテストにたとえれば、難しい応用問題ばかりにこだわって、基礎問題をおろそかにしているのです。

2×3=6という掛け算九九の基礎・数学の基本を忘れて2×3=5と間違って覚えてしまっているのに、200×300=という応用問題ばかり解こうとしている。

しかし2×3=というかけ算九九の基礎があやふやだから、応用問題に2×3の計算が含まれていると応用問題を解く能力以前の問題で、200×300=50000と間違えてしまう。

だから基本問題も応用問題も間違えて、合格点に達することができない。

日本代表からは、アウトサイドの難しいキックやヒールキック、パスがきてもまたぐプレーといった、”サーカスプレー”をしないとワールドカップレベルのサッカーとは言えないといった考え方を強く感じます。

しかしインサイドキックで狙ったところに確実にパスする、確実にゴールのワクに入るシュートをするという基本がおろそかになっているのではないでしょうか。

以前にも言ったことですが、日本代表の選手はサッカーの基本をもう一度よく思い出して、基本を大事にしたプレーをして欲しいと思います。

W杯のような、手ごわい相手とのハイレベルな試合といった苦しい状況では、普段できていたこともなかなかできなくなります。

そうした苦しい状況のなかで、ものをいうのは普段から身についている基礎の力をどれだけ発揮できるか
です。

基本ができるようになれば次に応用問題を積み重ねても基礎がしっかりしているので、大きく崩れるようなことはないと思います。

 つづいて守備ですが、いくぶんか良くはなりましたが、まだプレスはがんばれるはず。

流れのなかでのクロスやセットプレーからの日本のゴール前にあがるボールに対しては、結果的に0点に押さえたのでがんばったとは思いますが、相手に先にヘッドを許すような危ないシーンがかなりありました。

しかし、こちらが相手に体を密着させていたのと、相手のプレーの不正確さでゴールされることはありませんでした。

次の試合でも、マークのズレを絶対に起こさず、ゴール前での競り合いに集中して欲しいと思います。

 また日本のDFやボランチが相手選手にパスしてしまうような、イージーかつ命取りになりかねないミスが目立ちました。

ボランチでボールを奪われれば、うしろはDFだけ。DFが奪われればGKだけしか残っていません。

2004年でしたか、フランスでのコンフェデ杯グループリーグ最終戦で、宮本がコロンビアの選手にボールを奪われてゴールを浴び、それで決勝T進出を逃しました。

判断を速くしてシンプルかつ確実に味方にパスをし、相手に囲まれて危ないと思ったらロングの放り込みでもタッチ外に蹴り出しても良いですから、安全第一でやって欲しいと思います。

 守備面で、最後に気になったのは、クロアチアがフィジカルの強いエースFWのプルショを、中澤よりフィジカルの弱い宮本に対してあからさまに狙い撃ちにしてぶつけてきましたが、そういうときは中澤にプルショのマークを受け渡して、中澤がマンマーク気味にプルショについたほうが良かったのではないかと思います。

前回の記事・クロアチア戦はどう戦うべきか?であげた日本の課題とその対策は、まだ完全にクリアできていませんし、次のブラジル戦でも引き続き日本代表がクリアしなければならない課題です。

 絶対に勝たなければならなかったクロアチア戦を引き分けにしてしまったことで、日本の決勝トーナメント進出のためには、グループリーグの最後の試合であるブラジル戦は、最低でも2点差以上の勝ちが必要になってしまいました。

もちろんクロアチア対オーストラリア戦の結果しだいで、ブラジル戦の結果は関係無く敗退の可能性があります。

 状況は非常に苦しいです。

日本がブラジルと戦えば、十回やって一回勝てるかどうかですが、なんとしてもその一回を6月22日に実現しなくてはなりません。

そのためには、攻守の基本と日本本来のサッカーを良く思い出して、最後まであきらめずに、すべてを投げ出してぶっ倒れる覚悟で戦って欲しいと思います。

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2006.6.18 フランケン・シュタディオン
      (ニュルンベルク)


    日本  0  -  0  クロアチア


 GK 川口        GK プレティコサ

 DF 宮本        DF シムニッチ
    三都主          R・コバチ
    加地           シミッチ
    中澤
              MF トゥドール       
 MF 中田英         (オリッチ 70)
    小笠原          スルナ
    中村          (ボシュニャク 87)
    福西           バビッチ
   (稲本 46)        N・コバチ
                 クラニチャル
 FW 高原           (モドリッチ 78)
   (大黒 85)
    柳沢        FW プルショ
   (玉田 61)        クラスニッチ

  

■クロアチア戦はどう戦うべきか?

 いよいよ明日に迫ってきたクロアチア戦。

そこで日本代表はどう戦うべきか考えてみたいと思います。

 まず、日本とクロアチアがおかれている状況ですが、日本はご存知のとおり初戦のオーストラリア戦を落とし1敗。 たいするクロアチアもブラジルに敗れ1敗。 得失点差で日本が最下位となっています。

日本もクロアチアも追い詰められて、もう1敗もできないという状況です。
引き分けでもグループリーグ突破は苦しくなります。

ですから、クロアチアは9割がた勝ちにくるでしょう。そのことをまず頭に入れておかなければなりません。

 そこで日本のゲームプランですが、日本としても絶対に勝たなければならない試合です。 試合終了のホイッスルとともにぶっ倒れるぐらい、全力を尽くして戦わなければなりません。

日本が勝つためには、相手に先制点をやらないということが大切です。

もし万が一、勝ち点3がとれなくても、最悪でも引き分けにしておかなければなりません。 負ければグループリーグ突破の可能性は限りなくゼロになります。

思いもよらず相手に先制されてしまった、あるいは日本が1点リードしていたのに追いつかれてしまったといった状況で、「もう勝ち点3はダメだ」とばかりに選手達が下を向いて、続けざまに追加点を奪われるような試合をしてはいけません。あのオーストラリア戦のように。

たとえ先制されても落ち着いて同点ゴールを奪うために攻撃し、あるいはリードしていて追いつかれてしまった場合でも、動揺してモチベーションを落とすようなことをせず冷静に勝ち越し点を狙いにいき、最悪でも引き分けにしておかなければなりません。

 クロアチアがどういうスタメンで来るかは私には予想できませんが、両サイドからの攻めは要注意です。

右サイドの軽快なスルナのドリブルからのクロスは精度が高いですし、左サイドの重戦車・バビッチは、ゴール前まで突進してきて得点力もあります。

日本が3バックでいくのか4バックでいくのかはわかりませんが、どちらにせよ両サイドへの対策を怠ってはダメです。

日本としては、両サイドからのクロスを100%防ぐのは無理でしょうから、相手のサイドの選手へしっかりプレスをかけて、ボールが奪えなくとも良いですから、相手の体勢を崩してクロスの精度を悪くさせ、日本のDFもゴール前にいるプルショらFWのマークを絶対にずらさない、絶対にフリーでシュートを打たせないことが大切です。

これができれば、そう簡単にはやられないはずです。

もちろん中央からの攻撃も脅威。 トップ下のクラニチャルが2トップやボランチ・両サイドの選手と絡んで、良いパスを出したり自らドリブル突破をしてきます。

福西・中田英・中村・小笠原らのMF各選手でしっかりプレスをかけて、攻撃の目を早いうちにつぶしておく必要があります。

クロアチアの攻撃力は強力ですから、かなり押し込まれる時間もあるかとは思いますが、落ち着いてプレスをかけ続け、ボールが奪えれば一番良いのですが、そうでなくてもプレスをやめず、相手のパスやクロスを不正確なものにしてミスを誘うということが大切です。

 それではボールを奪ってからの攻撃ですが、前回のオーストラリア戦ではパスがまったくと言ってよいほど回りませんでした。

その原因は、中村・中田英・福西のMF三選手の運動量の少なさにありました。 少なくとも日本の中盤にはオーストラリアのプレス・ディフェンスをかわすだけの運動量はありませんでした。

特に中村は運動量が少なすぎで、彼が試合中ほとんどの時間”消えていた”のが、日本の攻撃が機能しなかった最大の原因です。 彼が10番を背負っているのですから当然のことでしょう。

試合中ほとんど消えていても、いいところでちょろっと動いてパスを出し、それで勝てるほどワールドカップは甘くありません。

2002年で悔しい思いをしたはずの中村が、あの程度の動きしかできないはずがありません。

 日本代表は、グラウンダーのパスがまわせるように各選手が的確にポジションを取って、ワンタッチ・ツータッチでどんどんパスを回して日本本来の攻めのリズムを取り戻すことが大事です。

「どこへパスしようかな」と迷ってボールを長い時間持ったり、自陣内でのドリブル突破など、攻めに時間をかけるのは厳禁です。

もちろん、相手のDFは背が高くフィジカルも強いですから、攻めが速いからといって単純なロングボールの放り込みばかりでもいけません。

 あと、オーストラリア戦で感じたのは、日本のクロスの精度が低すぎて、味方の選手がいないところばかりに落としていたこと、あるいは、クロスを相手GKに近すぎるところばかりに落として、ほとんどキャッチされていたことです。

また、味方のFWもクロスに対してどこへ飛び込むのか約束事がまったくないようでした。

クロスは速くて鋭く落ちるボールを、GKが出られそうで出られない、PKのときにボールをセットする場所より1~2m内側をめがけて落とすのが、まずお約束です。

もし相手GKがニアサイドにいれば、そこより数mファーサイド側へ、GKがファーサイドにポジショニングしていれば、逆に数mニアサイド側へ落とすのが基本中の基本です。

クロスに飛び込む選手もこのような”お約束”を頭に入れて、どこへ飛び込むか決めます。

もちろんセオリーどおりでも、クロスを落とす場所に選手がいなければ話にならないので、そこは臨機応変にしなければなりません。

 最後に、たとえ多少角度が狭くても、自分の前に相手GKとゴールマウスしかないのであれば、迷わずシュートすることです。

ゴール前で時間と手数(足数?)をかければかけるほど、相手選手が戻ってきたり、パスミス・トラップミスなどでシュートチャンスは失われます。

よく日本の選手は「自分より確率の高い方へ」と考えて、自らシュートを打たず、ペナルティエリア内の別の選手へパスする方を選ぶことを好みますが、「確率が高い」とは必ずしも言えませんし、非常に消極的な考え方です。

自分でシュートをすれば、ミスがあるとしたらシュートミスしかありませんが、パスを選べば、自分のパスミス・味方のトラップミス・味方のシュートミスと3つの可能性があります。

だからシュートを打てるときに打っておくことが大事なのです。

 あとシュートを打つとき、狙いすぎてワクを外すぐらいなら相手GKに力いっぱいぶつけるような気持ちで強いシュートを打つべきです。

ワクを外れたシュートはそれっきりですが、ワクの中に入っていれば、相手GKに当たってゴールしたり、相手GKがこぼしたボールを味方が押し込んで得点できるかもしれません。

ともかくシュートを打てるときに打っておくこと、それもワクに入れることが重要です。

味方がシュートを打ったらGKがはじくことを予想して、近くにつめることも大切です。

 もしかしたら一生で最後のチャンスかもしれないワールドカップの舞台です。

日本代表の選手の皆さんには自分の力を信じて、失敗を恐れず積極的にプレーして欲しい。

そして、攻撃も守備も、試合終了のホイッスルとともにぶっ倒れるぐらい、全力を尽くして戦ってほしい。

それができれば、結果は自ずからついてくると思います。

  

■日本、オーストラリアに逆転負け

 2006年W杯ドイツ大会、日本の初戦となったオーストラリア戦は、1-3の逆転負けとなりました。

この試合を見て感じたことは、日本代表は何もかもが消極的だった、ということでした。

 今年最初のテストマッチとなったアメリカ戦直後の記事で、私はこう予言しました。

特に前半戦は、アメリカの組織的守備と日本の攻撃の組織力とを比較した場合、明らかにアメリカの守備組織の方が上回っていました。
アメリカの速くて激しいプレスに日本の選手は全くパスを回せなくなり、バック・パスに逃れるか、パニックになったように前方へ精度の低いロングキックをするだけでした。

これがアメリカの狙っているサッカーであり、日本はまんまとハメられたのです。

今回のアメリカ代表戦は仮想オーストラリア戦であると以前言いましたが、オーストラリア代表監督のフース・ヒディンクが狙っているのも、正にこの形でしょう。

オーストラリアもまず、速く激しいプレスをかけて日本のパス回しを封じようとするでしょう。

特にフィジカルの弱い中村選手がいつものように激しいプレスを嫌がって、サイドかボランチのラインまで逃げるようになると、中盤がポッカリ空いて、日本のパスはほとんど回らなくなると思います。

パスが回らなくなると日本の選手は中盤やサイドでの個人技によるドリブル突破で局面の打開をはかろうとするでしょうが、フィジカルの強いオーストラリアの選手のプレスにますます引っかかって相手の思うツボとなるでしょう。

最後に日本代表は、ヤケクソのような前線へのアバウトなロングパスでどうにかしようとするでしょうが、日本より身長が高くフィジカルも強いオーストラリア代表のバック陣に跳ね返されるだけとなります。

こういうパターンにハマると日本が勝つ可能性は限りなく低くなります。 運が良くて引き分けでしょう。 W杯の本番で、こういったゲームをやってしまえば、決勝トーナメントに行ける確率は限りなく小さくなります。



また、マルタ戦直後の記事では、

ワールドカップのアジア予選にしろアジアカップにしろコンフェデにしろ、日本代表はエンジンのかかりが遅く、テンションが低いまま漠然と大会の第1試合に臨んでしまい、苦戦するという特徴が見られます。

昨年のW杯の予行演習ともいうべきコンフェデでも、第1戦のメキシコ戦にボーッとした感じで臨んで日本の目が覚める前にメキシコにやられてしまい、欧州チャンピオンのギリシャに勝ち、ブラジルと引き分けたにもかかわらず、決勝トーナメント進出を逃しました。

これではいけません。W杯は短期決戦であり、本番で同じ事が起こったら挽回は難しくなります。

W杯の本番では、第1戦のオーストラリア戦から全力で立ち向かって、相手から勝ち点3を取らなくてはなりません。

 体調管理とともにモチベーションの管理もしっかりとやって欲しいです。後で後悔しないためにも。



と警告しておきましたが、実際オーストラリア戦は予言したとおりの試合となってしまい、

このブログを日本サッカー協会関係者が見ているわけもないでしょうからどうしようもありませんが、私がこうなる可能性が高かった事がわかっていながら、どうすることもできなかったのは、非常にもどかしいです。

 グループリーグの初戦、気温30度以上の暑さ、相手にゲームを支配されて受身になる展開、数少ないチャンスから日本が先制点を奪う、という試合はこのオーストラリア戦の前にも見たことがあります。

2004年アジアカップ初戦のオマーン戦です。

しかし展開は一緒でも結果は違いました。

オマーン代表はゲームを支配しながらも決定力がなかったので、日本は勝つことができましたが、オマーンより数段チーム力が上のオーストラリア相手では、リードを守りきることはできませんでした。

 ほとんどの時間、ゲームとボールを支配され、チャンスもシュート数も圧倒的にオーストラリアの方が上。

日本は相手を崩して決定的なシュートチャンスをつくることがほとんどできませんでした。 これでは試合に勝つのは難しいです。

それでも後半30分ぐらいまで、相手GKのミスという幸運で1-0でリードしていたものの、「このままオーストラリアに失点を許さなければ1-0で日本の勝利。しかし、1点でも取られたら逆転されるのは時間の問題だろう」と考えていました。

 オーストラリア戦で、日本代表は自分たちの持ち味をまったく出せなかったと思います。 日本の持ち味、それは能力の高いMFを中心にすばやくショートパスを回して相手を崩すスタイルです。

しかし、それが全くできませんでした。

守って守ってロングボールでカウンターを狙う、点を取ったら守りきって勝つという昨日の試合の戦い方は、この四年間で日本代表が積み重ねてきた戦い方ではありませんでした。

 なぜこうなってしまったのかと言えば、W杯という大舞台で失敗したくないという思いが強すぎて、大事にいきすぎた結果、消極的になりすぎたのではないでしょうか。

日本の選手ひとりひとりが「ボールを大事にしたい。相手に奪われたくない」という思いが強すぎて、ドリブルが多くなって球ばなれが非常に遅くなりました。

それによって日本はいつもの攻撃のリズムを失い、自分たちの普段のサッカーを自分たちで放棄してしまいました。

ボールを持っている味方のまわりにいる選手も、消極的な”待ち”の姿勢ばかりで、パスを受けるためにサポートしやすい、ボール保持者に近いスペースに移動するのではなく、味方がドリブル突破で相手を抜いて局面を打開するのをひたすら待つという光景が見受けられました。

しかし、フィジカルでまさるオーストラリアのプレスディフェンスによってドリブルは阻止され、ほとんど機能しません。

 また、浮き球のロングボールの放り込みによる単純な攻撃も多用していました。

もしかしたら、ショートパスをカットされることを恐れたのかもしれませんが、ロングボールによる放り込みサッカーは、むしろ身長が高くフィジカルの強いオーストラリアが得意とするスタイルで、日本が得意とする攻めのパターンではありません。

ドリブルとロングボールの放り込みを多用したサッカーは、自分たちよりも相手に有利となり、結果としてチャンスらしいチャンスをほとんどつくれなかったと思います。

 また、暑さのせいもあったのか、守備も相手選手への体の寄せが足りなかったように思います。

パスコースを限定するだけで、体を寄せにいかないので、オーストラリアにどんどんパスをまわされて、ゲームを支配されてしまいました。

本来ならオーストラリアがやったような守備を日本がやりたかったのです。

球が相手のポストプレーヤーに入る瞬間、体を密着させないので、ポストプレーもかなり自由にやられました。

選手ひとりひとりの距離が離れ、攻守にわたってサポートしづらい状況、チーム組織をつくりづらい状況にもなっていました。

 結局のところ、攻めも守りも相手より走り負けたために、パスがつながらない、プレスをかけてボールを相手から奪い返せない、といった状態になってしまったことが敗因でした。

日本の選手は、暑いから最後まで足が止まらないように、体力をセーブしていたのかもしれませんが、もしそうなら本当に消極的な考え方だと言わざるをえません。

オーストラリア戦が終わっても次のクロアチア戦まで中5日もあります。
試合終了と同時にぶっ倒れるまで走り回っても、体力を十分回復させる時間があります。

にもかかわらず、あのような運動量の少なさでは、勝てるゲームも勝てなくなります。

実力を出し切らず、温存して敗退することほど、悔しいことはないのではないでしょうか。

サッカーの一番の敵は、消極性です。

 さあ、これで残りのクロアチア戦とブラジル戦は、勝ちにいかなければならなくなりました。

残り二試合ともクロアチア・ブラジルに攻守で走り勝ち、日本の持ち味を生かしたサッカーをして二連勝できるように、選手が試合後にぶっ倒れるぐらい全力を出し切った試合をしてほしいと思います。

オーストラリア戦のたった一回の負けで下を向いたままドイツから帰るのか、
それとも強い精神力で二連勝して、W杯の真剣勝負の場でチームの成長を世界に示すのか、いま日本代表の真価が試されていると思います。

私は、次のクロアチア戦で日本代表が精神面での成長をみせてくれることを、そして日本代表の選手たちを信じています。

(今回のオーストラリア戦でみられた、日本代表の問題点は、以下のエントリーでもふれています。 代表の悪い時のパターンは決まっているということです)


http://spartak.blog5.fc2.com/blog-entry-11.html

http://spartak.blog5.fc2.com/blog-entry-14.html

http://spartak.blog5.fc2.com/blog-entry-15.html

http://spartak.blog5.fc2.com/blog-entry-44.html

http://spartak.blog5.fc2.com/blog-entry-52.html

http://spartak.blog5.fc2.com/blog-entry-61.html

http://spartak.blog5.fc2.com/blog-entry-65.html

http://spartak.blog5.fc2.com/blog-entry-110.html

http://spartak.blog5.fc2.com/blog-entry-127.html

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2006.6.12 フリッツ・ヴァルター・シュタディオン
(カイザースラウテルン)


 オーストラリア 3  -  1  日本

 カーヒル  '84       中村 '26
 カーヒル  '89
 アロイージ '90+


GK シュワルツァー    GK 川口

DF ニール        DF 宮本
   ムーア           中澤
  (ケネディ 61)       坪井
   チッパーフィールド    (茂庭 56)
                (大黒 90+)
MF カリーナ
   エマートン      MF 三都主
   グレッラ          駒野
   ウィルクシャー       中田英
  (アロイージ 75)      中村
   ブレシアーノ        福西
  (カーヒル 53)       
   キューウェル     FW 高原
                 柳沢
FW ビドゥカ         (小野 79)
  

■マルタ戦を振り返る

 4日にドイツ・デュッセルドルフで行われた、W杯本番前最後の日本代表のテストマッチ・対マルタ戦は、みなさんご存知のとおり1-0で日本の勝利に終わりました。

普段なら遅くとも翌日には記事がアップできるのですが、家を空けていたので昨日ようやく録画した試合を見ることができました。

それではいつものように試合を振り返ってみましょう。

 今回の対戦相手であるマルタと日本の実力差は、東京で試合をすれば3-0ぐらい、バレッタ(マルタの首都)でやれば1-0ぐらいで、日本がH&A両方で勝てる程度の力の差はあると見ていましたが、一部マスコミがFIFAランキングを根拠にして言っていたように、ゴールラッシュで常に5-0・6-0で勝てるような相手ではないと思っていました。

 試合は開始そうそうの2分、左サイドの三都主選手からゴール前中央へ低いクロスが入り、これを玉田選手がボレーシュート!

シュートはマルタの選手の股間を抜け、意表をつかれたGKは1歩も動けず、日本が早々と先制します。

12分の速攻から大黒選手の中央への折り返しは、惜しくも相手選手にクリアされます。

15分に大黒のヘディングシュートはGKにセーブされ、25分の大黒のシュートはポストに嫌われます。

30分前後から、日本の攻めをしのいで自信をつけたマルタの流れになってしまい、ロングボールを中心とするマルタのカウンター攻撃を何度が食らいヒヤっとさせられましたが、事無きを得ました。

 後半がはじまると、日本ペースに戻ります。

2分、右コーナーキックから宮本選手がフリック(頭ですらす)したボールを、フリーの福西選手がヘディングシュートするも、ワクをとらえず。

7分にも、福西がCKから直接ヘディングシュートするもGKのファインセーブに阻まれます。これ以降試合はこう着状態となります。

攻撃がうまくいかないとみたジーコ監督は4バックにシステムを変更しましたが流れは変わらずにタイムアップ。1-0で日本の”辛勝”となりました。

 結果としてはまずまずでしたが、内容はあまり良くありませんでした。

前回のドイツ戦と比べると、日本が引いて守りドイツは押しこんだが苦戦したという展開がそっくり入れ替わり、マルタが引いて守り日本が押しこんだが苦戦したというのが、今回のマルタ戦でした。

前回、「ただ、ドイツがガチガチに守っていてそれを崩してとった2得点とは違うという事は頭に入れておくべきでしょう。」と言いましたが、引いて守る相手を崩すのはたとえ相手が弱いチームでも苦労するものです。

押し上げた相手のウラをつくカウンターから取った1点と、ガチガチに引いた相手から取る1点は違うということです。

 ガチガチに引いた相手から得点するには、カウンターとは別のやり方、それに適した攻め方をしないと苦戦します。

引いて守る相手を崩すのに適した攻め方というのは、ボール保持者を周りの選手が常にサポートして、少ないタッチ数でオートマチックにどんどんパスを回して行き、相手ゴール前にいる味方選手に点であわせるようなクロス・ラストパスを数多く出して、シュート数を出来るだけ増やすというものです。

ちょうど先制点のような三都主のクロスを玉田が点で合わせてボレーシュートを放ったような形、あるいは、アーリークロスからヘッドでシュートを狙うような形をどんどんつくっていく必要があります。

相手は引いて最終ラインのウラにもその前にもスペースがあまりありませんから、ボールを持ちすぎて相手に体を寄せられたり、守備のポジショニング修正をする時間を与えると、得点が難しくなります。

実際マルタ戦でも、日本の各選手のサポートと球離れが遅くて攻撃のリズムを失い、相手をなかなか崩すことが出来ませんでした。

 またラストパスの精度も悪かったため、ボールを支配している割には、決定的なシュートチャンスが少なかったように思います。

ラストパスとして、特にショートの浮き球のパスを多用していましたがこれが雑で、直接相手選手にぶつけてしまったり、ウラへ抜け出した受け手の選手と合わなかったりするシーンが目立ちました。

 守備に関しては、そんなに攻められはしませんでしたが、数少ない相手のカウンターの場面での応対で課題があったかもしれません。

相手はワントップぎみのようでしたが、それだったら相手のトップに中澤選手か坪井選手がつき、数mうしろで宮本がカバーするようにして、あまったセンターバック一枚は、こちらのボランチより一枚多い相手の2列目につくなど、何か工夫が必要です。

 攻守両面にわたってのチームの課題としては、2トップからセンターバックまでの陣形をコンパクトに保つことです。

今回のマルタ戦はちょっと間延びしていたように思われ、それが各選手のサポートの距離を遠くさせて、日本の攻撃のリズムを失わせた原因のひとつとなりました。

 マルタ戦の日本代表は、出来としてはあまりよくありませんでしたが、相手が”格下”でテストマッチという条件だとモチベーションが上がらないのか、どうも日本代表はピリッとしません。

だからあまり心配はしていないのですが、

ワールドカップのアジア予選にしろアジアカップにしろコンフェデにしろ、日本代表はエンジンのかかりが遅く、テンションが低いまま漠然と大会の第1試合に臨んでしまい、苦戦するという特徴が見られます。

昨年のW杯の予行演習ともいうべきコンフェデでも、第1戦のメキシコ戦にボーッとした感じで臨んで日本の目が覚める前にメキシコにやられてしまい、欧州チャンピオンのギリシャに勝ち、ブラジルと引き分けたにもかかわらず、決勝トーナメント進出を逃しました。

これではいけません。W杯は短期決戦であり、本番で同じ事が起こったら挽回は難しくなります。

W杯の本番では、第1戦のオーストラリア戦から全力で立ち向かって、相手から勝ち点3を取らなくてはなりません。

 体調管理とともにモチベーションの管理もしっかりとやって欲しいです。後で後悔しないためにも。




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  2006.6.4  LTUアレナ(デュッセルドルフ)


    日本  1  -  0  マルタ


  玉田 '2


 GK 川口       GK ハベル

 DF 宮本       DF チャンター
    坪井          ウェルマン
   (小野 46)       ディメク
    中澤          アゾパルディ

 MF 駒野       MF バジャダ
    三都主         G・アギウス
   (中田浩 59)     (A・アギウス 81)
    中田英         サミュー
    中村          ペイス
    福西
   (稲本 69)    FW シェンブリ
               (マトックス 64)
 FW 大黒          コーエン
   (巻 69)       (シリア 88)
    玉田
   (小笠原 61)
  

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