■日本代表

■イラク戦「外伝」

 引き分けに終わったイラク戦から一週間以上たちましたが、試合が終わってしばらくたってから、監督が試合の直前や試合中に選手たちに出していた指示の内容のような、非常に重要な情報が出てくることがしばしばあります。

あるスポーツ専門紙から、ハリルホジッチ監督が代表選手たちにハードなトレーニングをさせすぎて、それがシリア戦・イラク戦で故障者が続出した原因ではないかという疑問が提起されています。

http://number.bunshun.jp/articles/-/828296

その記事を読むまで知らなかったのですが、ハリル監督はイラク戦に向けた2週間近い合宿中に、相当ハードな走り込みを選手たちにやらせたそうです。

しかしサッカー選手のコンディション調整法の常識として、1シーズンを乗り切るための持久力を養う目的で肉体に高い負荷をかける走り込みのようなトレーニングは、シーズン開幕前のオフ期間中に行うべきものであり、シーズン中は疲労回復をうながすためのジョギング以外、ハードな走り込みは避けるものです。(レギュラーポジションが取れないなどといった理由で、試合出場機会の少ない選手は除く)

運動をすることによって疲労が蓄積したり、筋肉の細かい破壊が起こったりしますが、肉体による回復が追いつかないほどハードなトレーニングを続けてしまうと、大きなケガの原因になりかねないからです。

特に、1年に及ぶハードなシーズンを終えたばかりの欧州組に厳しい走り込みを課すのは、無謀な行為と言えるでしょう。

実際、37℃以上という酷暑のなかでのゲームとなったイラク戦において、欧州組の久保・酒井宏両選手が相次いで負傷したことも痛い失点の原因となり、当初予定していた追加点をあげるための交代選手も使えず引き分けに終わってしまったのは不運だったという報道もありましたが、シリア・イラクとの2連戦でケガ人が続出したことは、直前合宿におけるハリル監督のまずい練習プランによって起こるべくして起こった可能性が高いです。

そのシリアとのテストマッチから久保選手の動きが重く、相当疲れているように見えましたし、昨年11月サウジ戦直前にやったオマーンとのテストマッチでも、原口選手が初めからヘトヘトの状態でピッチに入ってきて、「何かがおかしい」とは思っていました。

当時原口選手はW杯予選3試合連続ゴール中で、ハリルジャパンの事実上のエースFWだった時期です。今月のシリアとのテストマッチ時においては、調子が下降ぎみだった原口選手に代わり、予選2試合連続ゴール中の久保選手が、エースFWになっていました。

エースFWに強い期待をかけるあまり、ハリル監督がハードな練習をやらせすぎて、本番の試合で使いものにならない状態にしてしまったのではないでしょうか。

もしそれが事実だとしたら、ハリル監督には科学的かつ効果的なトレーニングを実施するための知識が欠けています。

当研究所だって、本当はハリル監督の良いところをほめる記事を書きたいのですが、サッカー監督としての能力を疑うようなところばかりが目についてしまいます。

さらに、シリア戦前後の記者会見で「戦術トレーニングをやる時間が1日しかなかった」「オートマティズム(選手の連動性)を高める時間が少なすぎる」と言っていましたが、日本代表監督に就任してから2年もの時間がありましたよね。

代表チームはW杯の開催サイクルに合わせて4年スパンで強化が行われますが、実際に活動できる日数はそれほど多くありません。

ですから、W杯の開幕ゲームから逆算して長期計画を立てて、攻守両面での組織力やオートマティズムを高めるトレーニングをやったり、若手に実戦経験を積ませたりして育成していくのが、プロの代表監督としての仕事なのです。

ハリル氏の場合、2次予選から目先の試合に勝つことだけを考えて、過去の実績を持つベテラン偏重の選手起用をしたり、中盤でパスをつないで失点することを恐れ、リードしたらひたすらロングボールを放り込む「タテポンサッカー」をやってきたから、W杯開幕が1年後に迫っているにもかかわらず、オートマティズムの欠如に大慌てしているのです。

8月31日になって「夏休みの宿題がぜんぜん終わっていない」と騒ぎ始める小学生じゃないんですから。


当ブログ過去記事・二手三手先を考えてサッカーをするということ(その1)) 

当ブログ過去記事・二手三手先を考えてサッカーをするということ(その2)) 


ハリル監督は毎度毎度ハッタリで、「私には最低2つ以上のタクティクス(戦術)がある」と言うのですが、フォーメーションや先発メンバーを大きく変えることはあっても、攻撃では「タテポンサッカー」しか見たことがありません。

本大会まで監督をやるつもりなら今からでも遅くはないので、オートマティズムを高めるようなトレーニングを開始するべきです。

代表選手たちも、監督の指示を鵜呑みにするんじゃなくて、ゲーム中に自分たちの頭で考えて戦術を選択できるようになることを強く求めます。

このイラク戦も、日本が前半8分に先制したあと、自陣に引いて「タテポンサッカー」をやり始めたらイラクに押し込まれて防戦一方になったのですから、「無失点で抑えていればOK」じゃなくて、イラクの攻勢をしのいだあと、先制ゴールをあげたときと同じようにバックラインを押し上げてパスサッカーで追加点を狙わないと。

ともかくハリルジャパンの最大の弱点は監督でしょうね。

 37℃の酷暑の中で、現地時間17時キックオフというのも強い疑問が残りました。

試合直前に、停電のおそれが「わすかながら」あるので、日没前のキックオフとなったという報道がありましたが、過去にU-16アジア選手権決勝をナイトゲームでやった実績がある以上、にわかには信じられません。

UAEやカタールのような金満産油国はお金に困っていないので、自分たちがプレーしやすい夜に試合を組みますが、イラク・シリア・ヨルダン・イエメン・アフガニスタンなどのように、金銭的余裕がない中東諸国はジャパン・マネーにつられ、日本国内で高いTV視聴率が見込める夜7~11時(現地時間では昼から夕方)に、日本とのW杯予選試合が組まれることが圧倒的に多いです。

事実、ブラジルW杯アジア最終予選でもイラクとやっていますが、2013年6月にやったイラクホーム扱いの試合は、停電の心配が無い産油国であるカタール開催だったにもかかわらず、現地時間17時30分キックオフだったことを忘れるわけにはいきません。

結局、日本でのTV視聴率を最優先させた結果、37℃という過酷な環境で日本代表選手に試合をさせてケガ人が続出し、ロシアW杯へ行くための勝ち点まで失ってしまったのですから目も当てられません。

これについては当研究所が、この予選が始まる前から警告していました。


当ブログ過去記事・アジア最終予選の組み合わせ決定!) 


この時期のテヘランは寒暖差が激しく、日中は37℃以上の酷暑となりますが、日没後は25℃以下まで気温が下がりグッと過ごしやすくなりますので、キックオフを3時間遅らせるだけでこの試合の結果に大きな違いが出た可能性があります。

もし日本代表がW杯行きを逃せば、我々サポーターが深く失望するのはもちろん、広告代理店もW杯での代表戦中継においてTVコマーシャル枠を販売する機会を喪失することになりますし、テレビ局もスポーツ新聞も売り上げが激減して誰も得をしません。

今でも代表戦中継を取り仕切っているのは電通さんだと思いますが、何が本当の利益なのか良く考えて、中東での代表選キックオフ時間を選んで欲しいです。

特にサッカー選手は生身の人間なのですから、「鬼十則」を押しつけるのはやめて頂きたいです。

 というわけでイラク戦の「外伝」をお届けしてきましたが、日本サッカー協会は、ハリルホジッチ監督続投で行くことを決めたようですね。

現在首位を走っているチームの監督を代える必要がどこにあると言う人もいるようですが、最終予選全10試合が終わった時点での順位が重要なのであって、今の段階で何位だとかはあまり意味がありません。

実際、次に当たるオーストラリアは日本が勝ち点1リードしているものの、最終戦はタイとのホームゲームで勝ち点3が計算できるので、日本戦は引き分けでも良しという考え方もできます。

日本が最終戦で当たるサウジは、日本との試合前にUAEとのアウェー戦を残していますが、もしそのゲームに勝ってしまうと、日本がオーストラリア戦でW杯行きを決められなかった場合、サウジはホームでの最終戦は引き分けでもW杯出場、日本はグループA3位とのプレーオフ行きとなってしまいます。

オーストラリア・サウジ両国が必ず守備を固めて引き分け狙いで来ると決めつけるのは危険ですが、相手が引いてカウンター狙いで来るところを、必ずゴールを奪って勝たなければならない日本が攻めるという展開は、「2試合のうち、どっちかに勝てばいいんだろ」と言うほど、簡単な状況ではありません。

しかも、ひたすらロングボールを放りこむカウンターサッカーしか戦術がないハリルジャパンは、相手に引かれて背後のスペースを消された状態で得点するのが苦手です。

ハリル監督は、スペースがあろうがなかろうが攻撃の選手に「ウラヘ抜けてボールを受けろ」しか言いませんし。


当研究所関連記事・良いカウンターアタックとは) 


だから当研究所はハリル監督を更迭し、引いた相手を崩すためにパスサッカー戦術も使える監督さんが日本代表に必要だと考えたわけです。

当研究所の懸念が外れて、日本代表が無事にW杯へ行けることを願っていますが、協会もメディアもふくめた日本サッカー界全体が、不都合な事実から目をそむけ、「根拠なき楽観論」へ流されているような気がしてなりません。




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■本田選手のこと

 今日は本田圭佑選手について述べたいと思います。

私の本田選手に対する評価は、2010年南アフリカW杯から14年ブラジルW杯まで先頭に立って日本サッカー界を引っ張り、「脱アジア化」を成し遂げた大功労者というものです。

このたび、3シーズン半におけるACミランでの彼の挑戦は終わりを告げましたが、成功という結果を残すことができなかったのは残念でした。

彼が当初ミランで望んでいたポジションはトップ下だったのですが、ブラジル代表カカーなど他の選手の存在であったり、監督がトップ下を置かないシステムを使ったりした関係で希望がかなわず、特にセードルフ監督時代以後、右ウイングという本来彼には不向きなポジションを任されることが多くなってしまいました。

若い頃の彼はドリブルのスピードは並でしたが、強いフィジカルコンタクト能力で追いすがる相手を跳ね飛ばして中盤でボールをキープしつつ、自らのパスでチームの攻撃を組み立て、ゴールもあげるプレーヤーでした。

しかしロシアリーグやW杯アジア予選レベルで当たる相手には「中盤の王様」として振る舞うことができたのですが、フィジカルコンタクトの強さ・上手さが数ランク上のセリエAに移籍すると、相手に体を寄せられてあっさりとボールを失ってしまうシーンが目立つようになります。

そこから人の見ていないところで相当な努力をしたのでしょう、1~2シーズン経過する頃にはフィジカルコンタクト能力がさらにアップし、相手に体を寄せられても簡単にボールを失うことは減りました。

ただ、残念ながら右ウイングとしては最後まで成功することはできませんでした。

加齢によってスピードが落ちたこともあり、右サイドを独力でタテに抜いてチャンスメークすることができないため、ほぼ100%ピッチ中央方向へカットイン・ドリブルしてくることを相手に完全に読まれており、真横にドリブルしながらあげるクロスはすべてはね返され、ミドルシュートも決まらないというプレーを繰り返すようになります。

さらにミラン入団時に背番号10を要求し、「セリエAやCLでの優勝を目指す」と宣言してミラニスタの期待を煽りまくり、自分で成功へのハードルを極限まで高くしてしまったことも裏目に出てしまったように思います。

本田選手は若い頃から「目標はW杯優勝」みたいな大風呂敷を広げ、自分を並大抵ではない努力をしないといけない状況に追い込むことで成長してきた選手です。

右肩上がりでサッカー選手としての能力が上がっていた若い頃はそれでも良かったのですが、30代に近づくにつれ、スピードや持久力など身体機能の衰えが見え始めると、各ポジションの中で最もスピードと運動量が要求されるウイングとして成功するのに、もはや努力すればどうにかなるという段階は過ぎてしまったことが明らかとなります。

結果として本田選手を「低迷する名門クラブをスクデットやビッグイヤー獲得へと導く救世主」と見ていたミラニスタは期待を大きく裏切られたと感じ、怒り狂うことになってしまったのではないでしょうか。

さらに、どんなに右サイドでの一対一に勝てなくても、再び右ウイングとしてピッチに立ち、やっぱり右サイドでの一対一に勝てないということをエンドレスで繰り返してチームも負け試合が増えていくわけですから、世界一サッカーを見る目が厳しいミラニスタのフラストレーションがたまりにたまってついに限界を超え、彼らの怒りが大爆発してしまったように思います。

プロの世界は「実力」と「結果」が全てですから、サイドでの一対一で「4勝6敗」は十分評価されますが、「0勝10敗」は許されませんし、それをエンドレスで続けていくことは絶対に許されません。

彼を応援する立場の人間として、ミラニスタから「パンキナーロ」(ベンチ要員)と名づけられて、ピッチに出ただけでブーイングを浴びせられるのを見るのは正直つらいものがありました。

 本田選手は、どうして右ウイングというポジションにそれほどまでにこだわっていたのでしょうか。

クラブからそのポジションを任された以上、絶対に成功しなければ自分のプライドが許さないという考えがあったのか、それともミランからそれ以外のポジションでプレーすることを許されなかったのでしょうか。

もしトップ下以外で、彼のプレーの特徴やストロングポイントを生かすのであれば、左・真ん中・右のどちらから攻めるのか、速攻をかけるのか遅攻でじっくり攻めるのか、それともボールを落ち着かせて嫌な流れを断ち切るか、自分のパスでチーム全体を操るボランチ(イタリア語でいうレジスタ)が適任だったように思います。

ゴールを決めるFWが会社で言えば契約を取ってくる「営業」だとしたら、ボランチは社長室から指示を飛ばす「経営者」といったところでしょうか、

もちろんボランチだって機を見て攻め上がり、味方からリターンをもらって自分でゴールを決めることだってできますけどね。

ミランでしたら、4-3-1-2の“3”のポジションからチームを操ったピルロという偉大な“王様”がいたのですから、もしそのポジションで成功できていたら、「ピルロの後継者」として本田選手のミランにおける評価が現在とまったく違ったものになっていたかもしれません。 4-1-2-3でしたら、“2”のインサイドハーフも良いと思います。

 これで思い出すのが「フランクフルトのカイザー(皇帝)」の二つ名を持つ長谷部選手です。

カイザーというニックネームはもちろん、3バックのリベロのポジションから上がって攻撃を組み立てたドイツのレジェンド・ベッケンバウアーから来ているのでしょうが、長谷部選手に対するクラブ関係者・マスコミ・サポーターからの評価が非常に高いことをうかがわせます。

フランクフルトを率いるニコ・コバチ監督の現役時代、クロアチア代表は当時のクラニチャル監督が3バックを採用しており(2006年ドイツW杯で日本と対戦し0-0の引き分け)、彼の弟でバイエルンでプレーしていたロベルト・コバチが3バックの真ん中をやっていたので、そうした影響でニコ・コバチ監督も「3バック使い」なのかなと思うのですが、長谷部選手をリベロのポジションで使って今シーズンはかなりの成功を収めました。

ドルトムントで香川選手が成功したことでドイツにおける日本人選手の評価がグンと上がったのですが、それ以前にブンデスリーガへやってきた長谷部選手は相当苦労したはずです。

でも、「環境に適応するために自分を変える勇気」をつねに持ち、いくつものクラブを渡り歩いて、監督から任されたポジションならどこでもやるという長谷部選手の姿勢が、さまざまな経験を積むことを可能にし、チームの最後尾から豊富な経験にもとづいて的確にチームをコントロールする「ピッチ上の指揮官」として高い評価を受けるようになったわけです。

カイザーとまで呼ばれるようになった長谷部選手が、バイエルン戦で大ケガをしてしまったことが本当に残念だったのですが、やはり「サッカー選手はゲームに出てナンボ」「そのポジションで成功してチームを勝たせ、サポーターを幸せにしてナンボ」だと思います。

若手→中堅→ベテランと、サッカー選手としてのキャリアが進むたびに、自分の身体能力にも変化が起こってくるわけですが、それに適応するためにポジションやプレースタイルを変えることは決して恥でも負けでもありません。

前回W杯で優勝したドイツ代表を中盤の底から支えたシュバインシュタイガーをはじめ、多くのスター選手も経験してきたことです。


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■またしても同じミスを繰り返したハリル監督(その2)

前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、先制ゴールをあげた大迫選手。CKから難しい体勢だったとは思いますが、技ありのバックヘッドでチームがのどから手が出るほど欲しかった先制点をゲット。
 しかし、ポストプレーで懸命に前線で攻撃の基点をつくろうとしていましたが、強風のためボールの落下地点を見極めるのが難しかったのか、それともイラクに研究し尽くされていたのか、意図したように基点がつくれませんでした。
ハリルジャパンは、相手ゴールまでボールを運ぶ唯一の手段が「大迫選手にロングボールを当てたポストプレー」なのですが、相手チームに研究されてそれが封じ込められてしまうと、この試合みたいに点が欲しくてもボールをなかなか相手ゴールまで運べない、だからゴール確率の高いシュートチャンスがつくれないという状況に陥ってしまいます。 「大迫選手へのロングボール」以外のプランBがなければ、次のオーストラリア戦は相当厳しいと思いますが、吉田選手を前線にあげて、彼の頭めがけてロング蹴っている時点でハリル監督のプランBも「終わって」います。
 ポストプレーをするために大きくサイドへ動いたあと味方のボール保持者を見て立ち止まっているだけというシーンも多いので、ウイングやサイドバックに任せるところは任せ、自分は相手センターバックの前を中心としたピッチ中央方向へ速やかに移動して、味方からアシストをもらってシュートできるようなポジショニングを取るべきです。
 
 本田選手は、CKから大迫選手のゴールをナイスアシスト。
先制ゴールをあげるまで右ウイングの彼のところでボールをキープしてタメをつくり、ある程度は攻めで貢献できていました。
 ただ、37℃の酷暑という特殊な条件下で、両チームともスローなサッカーをせざるを得なくなったため、本田選手のスピード不足が問題にならなかったという面があり、夏でも冷涼な気候が予想されるロシアW杯では、速いテンポの高速サッカーが展開されることが見込まれ、本大会を見据えれば本田選手の右ウイングは有効な選択肢ではないと思います。
実際、本田選手はスピードや技術で右サイドをタテに抜くことができず、ほぼ100%カットイン・ドリブルしてくることが確実なのを相手に研究し尽くされており、イラクが相手であっても個の能力で抜けないのですから、W杯で当たる欧州・南米の強豪相手ではなおさらです。 ACミランでの3シーズン半ですでに答えは出ており、彼は絶対にそれを認めないでしょうから、指導者が決断しないと。 どうしても彼を起用したいならシリアとのテストマッチで機能したセントラルMF(インサイドハーフ・ボランチ)に置くべき。
 後半ロスタイムに相手ゴール前でフリーでシュートしたシーンがありましたが、シリア戦でも指摘したように、シュート直前に相手GKをチラッと見て、GKの真正面にシュートを打ってしまうのは、岡崎選手と同様に「北京世代」の特徴なのですが、原因を早く分析・修正してゴール決定力を上げて欲しいです。

 原口選手はトップ下として運動量豊富に動き、味方の攻撃を助けていました。
彼は「熱いハート」が長所ですが、シュートやアシストなど得点チャンス時にマイナスに働いてしまい、全身に無駄な力が入って、シュートが大きくゴールから外れてしまったり、スルーパスが強すぎて味方が追いつけず、ボールがそのままゴールラインを割ってしまったりしています。十分わかっていると思いますが、ワールドクラスのプレーヤーになるためには、どんな時でも正確なシュートやパスができるように、自分のメンタルをコントロールする方法を覚える必要があります。

 遠藤選手は豊富な運動量で主に守備面でがんばっていました。
しかし相手と一対一でボールを競り合ったとき、あまりにも簡単につぶれてしまうケースがあり、もしレフェリーがファールを取ってくれなかった場合、失点につながりかねないピンチになってしまう可能性があります。

 逆に吉田選手は痛恨の判断ミスから失点の原因に。
たとえCKになったとしてもクリアしておけば何でもないところを、相手選手を自分の体でブロックして味方GKに取らせようとしたら、ボールが止まりそうになって川島選手と交錯、こぼれたボールを相手にゴールへプッシュされるという極めて消極的なプレーが痛い失点につながってしまいました。 当研究所がいつも言っているように「サッカーは、弱気で消極的な選手・チームが罰をうけるスポーツ」であるとつくづく思います。

 昌子選手もまずまずの出来でしたが、やはり自分の体で相手選手をブロックして、相手が蹴ったボールをゴールラインの外へ出して、味方のゴールキックにしようとする消極的なプレーが目立ちましたが、これも一歩間違うと後ろにいる相手にボールを奪われ、そのままゴールへ向かってドリブルされて失点しかねない危険なプレーです。ボールの勢いが強ければ、そのまま出しても構いませんが、弱い時はセーフティにタッチラインの外へ蹴った方がリスクは低いです。
「1点を取ったらそれを守り切って勝ちたい」というハリル監督の弱気で消極的なサッカーに対する考え方が、吉田・昌子の両センターバックに伝染してしまった感じです。

 交代出場の倉田選手は、先発組が体力面でキツイ中、再びリードを奪うために攻撃の中心となることが期待されました。
しかし、チームがロングボールをひたすら前線へ放り込んでいたこともありましたがほとんど機能せず、失望させられるような出来でした。

        ☆        ☆        ☆

 相手との実力差を考えれば、何としても勝ち点3が欲しかったイラク戦ですが、引き分けという結果は残念でしたし、試合内容も最悪だったと思います。

その原因のほとんどはハリルホジッチ監督の采配ミスにあり、選手たちが希望していたパスサッカーで先制ゴールをあげたところまでは良かったのですが、その後はハリル監督の指示どおり、1点を守り切るため自陣深くへ引いて、あとはひたすら前線へロングボールを放り込む「タテに速いサッカー」をやり、わざわざ自分たちから相手にゲームの主導権を渡し、相手の攻めに最後まで守り切れず、痛い勝ち点2を落してしまいました。

これはホームでのイラク戦やアウェーでのオーストラリア戦とまったく同じ采配ミスだということは、前回記事で述べた通りです。

先発メンバーの顔ぶれや交代出場選手のチョイスも疑問だらけであり、それも引き分けに終わってしまった大きな要因です。

対戦相手の強弱やピッチ内の状況に関係なく、ロングボールをひたすら前へ放り込む「タテに速い攻撃」と、マークの受け渡しはしているようですがほぼマンマークに近い守備「デュエル」という、20年以上前のカビが生えたような古臭い戦術しか使えず、選手のプレーの特徴や長所短所・選手間の優劣を正確に見抜いて、適材適所のポジションで起用するということもできないハリル監督。

唯一彼が優れている点は、自分を本当の実力以上に大きく見せる弁舌能力で、日本サッカー協会(JFA)の幹部も選手もそれにだまされてしまっているのではないでしょうか。

「だまされている」という言葉が悪ければ、過大評価しすぎていると言い直してもいいです。

ハリル監督は、代表選手の招集発表記者会見のとき、いつも大演説をぶつのですが、話は長いですけど中身は大したこと言っていません。

欧州サッカーのデータをしばしば引用するところを評価する人もいるようですが、「体脂肪率が何%以下でないとダメ」だとか「欧州のトップGKは身長190㎝以上」だとか、それだけなら日本の中学生だって言えますし、そもそもそんなデータにあまり意味はありません。

欧州各国リーグでやっている日本代表選手たちも、自分が所属するクラブの監督さんの指導法と比較してみてどうでしょうか。ハリル監督が練習中に出す指示内容やトレーニングメニューも、大したことないんじゃないですか。

代表の各選手に匿名でアンケートを取り、ハリル監督の練習内容や指示についてどう思うか、協会で調べてみたらどうでしょうか。

日本代表OBでハリルジャパンの試合映像を検証し、あんな内容のサッカーでW杯へ本当に行けるのか、徹底的に議論した方が良いです。

 ハリルさんが日本代表監督になった直後、彼の半生記を読んだのですが、カウンターサッカーでフランス2部のリールを1部にあげて、翌シーズン3位になるのですが、それが認められてパリサンジェルマン(PSG)の監督になったものの成功できませんでした。

PSGは優勝を義務づけられたリーグアンのビッグクラブですから、他のクラブが自陣に引いてカウンターを狙ってくるところを、ポゼッションサッカーで崩して勝ち点を取らなければなりません。

しかしカウンターサッカーしか手持ちの戦術がないハリル監督は相手の守備を崩せず、PSGを解任されたのではないでしょうか。何だか今の日本代表に通じるような話ですが、彼の実績らしい実績と言えばこれだけです。当時リーグアンは、スペイン・ドイツ・イングランド・イタリアの欧州四大リーグよりワンランク落ちるリーグだったことも付け加えておきます。フランス人選手は四大リーグでプレーすることによって「レ・ブルー」(フランス代表)を強くしていったのです。

彼はアルジェリア代表でブラジルW杯ベスト16という成績を残してはいますが、日本代表でやっている彼のサッカーの内容を見る限り、それはアルジェリアの選手個々の能力が高かったおかげじゃないでしょうか。もし本当に優秀な監督であったのなら、どうしてアルジェリア協会はハリル監督との契約を延長せず、W杯のあと簡単に手放してしまったのでしょうか。

当研究所は常に、やっているサッカーの中身で監督や選手・チームを評価します。


基礎が大切


「サッカーの基礎から応用までのピラミッド」に基づき、ハリル監督がこれまで2年間、日本代表でやってきたサッカーの内容から判断して、このまま続けていっても、日本サッカー界にとってプラスになる要素は少ないと思われ、大変残念ですがこのタイミングで彼を解任すべきだと考えます。

後任は手倉森コーチを暫定監督にし、W杯出場権を獲得出来たら、テグさんを含め改めて内外からもっとも適任の人を代表監督に招聘したらどうでしょうか。

リオ五輪での采配を見る限り、あともう一息で結果がついてきませんでしたが、カウンターサッカーとパスサッカーの使い分けが出来ていた点や、コンパクトな陣形によるゾーンディフェンスを構築できていた点は評価しています。

私見ですが、このままハリル監督がタテポンサッカーを続けるのであればW杯出場の可能性は30%、選手選考と戦術の選択を間違えず、これから2か月の時間を使ってしっかりチーム組織を整備するという条件つきで、手倉森監督なら60~70%と見ます。

次のオーストラリア戦をシミュレーションするなら、大迫選手への浮き球のロングボールは身長が高くフィジカルの強い相手に跳ね返されて日本はシュートチャンスをほとんどつくれず、セットプレーやゴール前での混戦から相手に力づくでボールを押し込まれて失点、最後まで同点に追いつくことはできず痛恨の敗戦といったところでしょうか。

もしオーストラリア戦で最悪の結果となった場合、ハリル監督を解任して新監督にチームを託したとしても、たった2~3日で新しい戦術を選手に教え込み、自信と積極性を失ってしまったチームを立て直して、何が起こるかわからない酷暑のサウジアラビアに乗り込んでW杯出場権を獲得するというのは、より困難なミッションとなります。

だから監督を解任するのは今のタイミングしかないと考えるわけです。協会のほうで次の代表監督にふさわしいと評価する別の人物を用意しているのであれば、その方でも良いでしょう。

 報道によれば、日本サッカー協会の田嶋会長は「ハリル続投」という判断を下したようですが、それならば、もしハリル監督でW杯に行けなかった場合に、会長の責任問題となることは避けられません。

「会長の仕事は代表監督の人事だけではない」という言い訳は通用しませんし、ハリル監督で本当にW杯へ行けるというポジティブな理由と確信をお持ちなら、これ以上申し上げることはありませんが、「もし今ハリルを代えて失敗したら怖いから」という消極的な理由で続投を選ぶのであれば、良い結果が得られる可能性は低いと思います。

シャープや東芝のように、優秀な従業員も技術も持っていながら、リーダーの誤った判断でダメになっていく日本企業が増えています。

「液晶一本足打法」のシャープの場合、液晶テレビ製造というビジネスが儲からなくなり、赤字を垂れ流して銀行からの借金ばかりが増えているのに、自分たちが長年やってきたビジネスモデルを変えて失敗するのが怖くて厳しい現実から目をそむけ、いつまでも「現状維持」を選択し続け、グズグズしているうちに気づいたらもう取り返しのつかない状態になって事実上の倒産・外資による買収という結末になってしまいました。

欧米やアジア企業の場合、チャンスと見たら積極果敢に新しいビジネスや商品の開発に乗り出しますし、この先成功する見込みがないと判断したら、スピーディにその事業から撤退して損失を限定するのも速く、どのビジネスが成功する確率が高いのかを見極める判断力に優れた人がリーダーになるような企業風土を持っているところが多いです。

日本サッカー協会はどうでしょうか?

つづく


◇    ◇     ◇     ◇     ◇     ◇    ◇

  2017.6.13 ワルジシュガー・シャヒード・ダストゲルディ
                             (テヘラン)

          イラク 1 - 1 日本


          カミル 78'       大迫 8'


        GK カッシド       GK 川島

        DF アドナン       DF 酒井宏
           スラカ          (酒井高 76)
           イブラヒム         吉田
           サリム           昌子
                          長友
        MF ヌーリ
          (アットワン 70)   MF 遠藤
           アブドルアミル      井手口
           カミル           (今野 62)
          (ラサン 76)        原口 
           アブドルザフラ     (倉田 70)
           ヤシン
          (タリク 59)      FW 本田
                           大迫
        FW アブドルラヒム       久保



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