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■日本代表

■若き日本代表、香港に大勝

 E-1選手権の第二戦、日本代表対香港代表のゲームが昨日韓国・釜山で行われ、日本が5-0で勝利しました。

対戦相手の香港は、国内リーグでプレーする選手を中心に、中国リーグでやっている海外組をあわせたチーム。

もともとイギリスの植民地だったので、東アジアでもっとも古くからサッカーが根付いた地域の一つで、1910年に創設されたサウスチャイナ(南華体育会)は、東アジアでは珍しい総合型スポーツクラブであり、そのサッカー部門は国内リーグ優勝41回を誇ります。

1970年代までは日本もなかなか勝てなかったのですが、日本でもプロリーグが開始された93年以降は完全に引き離し、それも過去の話となりました。

日本との力関係はホームでもアウェーでも日本が勝てる相手、特にホームや中立地でのゲームでは大量点差での勝利が求められるレベルの相手です。

香港はベストメンバーでしたが日本はU-22代表候補がスタメンのほとんどを占める実質2軍チームであり、ブレーメンの大迫勇也選手ら海外組がプレーした時と同様に、中立地で大量点をあげての勝利が達成できるか注目していましたが、5-0での勝利という結果は順当でした。

試合内容の方は、相手との実力差が大きかったこともありますが、まずまず良かったと思います。



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 まず攻撃面から日本のゲーム内容を分析していきますが、この試合のスタメンを前回中国戦に出場しなかった選手で固めてきました。

その分現地入りしてから試合当日まで、攻撃での連携を深めるための練習時間が取れたのでしょう、選手間のコンビネーションは中国戦に出たメンツよりも良かったですね。

香港は4-3-2-1のいわゆる“クリスマスツリー”で来たのですが、極めてマンマーク志向の強い守り方で、これは明らかに戦術的な失敗でした。

日本の選手の動きに合わせてマークする香港の選手もついて行かなければならないので、自分たちが守るべきスペースを広げられてしまい、広いスペースで個の能力が高い日本の選手との一対一に挑まなければならないという不利な状況を自ら作り出してしまいました。

個の能力が低い方のチームが広いスペースで一対一の闘いを挑んでしまうと、個の能力が高い方の選手はスピードに乗った状態でドリブルを仕掛けられるのでますます有利になりますし、選手どうしの距離が広がっているため守備側はチャレンジ&カバーも効きにくくなります。

そしてマンマークゆえに一対一に負けてしまうと、ゴール前でフリーな日本の選手がどんどん生まれてしまい、失点を重ねていきました。

前半戦で4ゴールというのはまずまず良いペースでしたが、相手の足が止まってきた後半にわずか1ゴールだったところは、アグレッシブさが足りなかったですね。
 
相手の守備ブロックの外側でパスを回すことで時間を消費し、その時点でのスコアでゲームをクローズさせようとするようなゲーム運びが見られましたが、これがノックアウトステージの試合なら問題ないのかもしれませんが、大会の優勝を狙うなら1点でも得失点差の数字を稼いでおきたいところで、後半戦のゲームの運び方はちょっと消極的だったのではないでしょうか。

もし香港と一緒に日本の選手も足が止まってしまったということならば、世界トップレベルの相手と戦うインテンシティが不足しているということです。Jリーグを見ていて、欧州各国リーグと比べたインテンシティの低さはいつも気になります。

また味方からパスを受けるときに、相手ゴール方向へ向かってトラップできる状況でも、自陣に向かって後ろ向きにトラップしてバックパスという、チームの攻撃を無駄に遠回りさせてしまう消極的なプレーも目につきました。

相手のレベルがレベルだけに、目に見えるミスにはなっていませんが、パスの細かなズレもかなり見られ、自分の思い通りにボールを蹴る・止めるの基本プレーを丁寧かつ正確にお願いします。

 守備面では、相手の攻撃力が低かったこともあって、ほとんどピンチらしいピンチはありませんでしたが、浮き球のロングボールをワントップのサンドロに当てる香港の攻撃に、田中駿選手や畠中選手が手こずっていましたね。

サンドロが後方にいる日本のバックに体重を預けてきて一緒に倒れてしまったり、あるいはサンドロのユニフォームを後方から掴んだりしていずれもファールを取られていました。

浮き球のボールを胸から下でトラップしようとしているポストプレーヤーへの対処方法ですが、あまり早い段階で相手に密着してしまうと相手はこちらに体重を預けてきてポストプレーが上手い選手であればあるほど対応は難しくなりますから、ボールを胸や足でトラップする直前のタイミングで相手の背後から足を出してボールを蹴り返してしまうことで相手のポストプレーを妨害すると良いでしょう。


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 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、まず前半8分に先制ゴールをあげた菅選手。相手バックのクリアをフカさずに、上手く抑えたボレーシュートで豪快に決めてくれました。ただ、味方との連携や攻撃参加のタイミング・クロスの質についてはもっと良くなるはずです。

田川選手は、左CKから下がりながらの難しい体勢でしたが、上手く背中に当たったボールがゴールに吸い込まれてチーム2点目をゲット。しかし、前半14分と後半37分の決定機のどちらか一つは決めないといけません。

小川選手は、前半24分に田川選手のパスをバイタルで受けると相手バック3枚の前からシュートし、ゴール左隅に正確に決めてくれました。これまでの日本人選手にありがちだったのは、ゴール前で最後までパスを出せる味方を探し続け、もうパスできないのでしょうがなくシュートを打つみたいな消極的なプレーで、「アタッキングサードにおけるプレーの第一選択肢はシュート」ということを当研究所は口を酸っぱくして言ってきましたが、ボールをトラップした瞬間に「今ならシュートが打てる。だから打つ」という彼の決断が無ければ生まれなかったゴールでした。前半ロスタイムには菅選手のシュートが田川選手に当たってこぼれてきたボールを押し込んで2点目。後半12分に大島選手のクロスを相手がクリアしきれず、こぼれてきたボールを頭でプッシュしてハットトリック達成。いずれも「自分のところにボールがこぼれてきたらこうしよう」という心の準備が出来ていなければ生まれない得点であり、ゴールへの嗅覚が鋭いストライカーらしい3ゴールでした。

右ウイングバックで先発出場の相馬選手は、個人技とスピードで右サイドを切り裂いて何度も香港の守備を混乱に陥れ、チームの大勝に貢献。サイドで相手と一対一になった時に消極的なバックパスを選択する場面がありましたが、一対一のバトルでほぼ全勝状態でしたから、前半の途中で香港の左SBを交代に追い込むぐらいガンガン積極的に仕掛けていっても良かったように思います。

大島選手は、ボランチの位置から自らのパスで攻撃を組み立て、自分が任されたCKから田川選手のゴールを演出して1アシストの活躍。
足元の技術の高さはさすがですがラ・コルーニャの柴崎選手と同様、彼の課題も守備力の低さであり、川崎のゲームを見ていても守備はほぼ免除されているような状態なので、ボランチというポジションにこだわるならもっと攻撃力の高いチームに対しどれだけ守れるようになったのか気になるところです。

 逆に大迫敬選手は、後半10分に相手のセットプレーからゴール前に入ってきた浮き球のボールのクリアが弱くなり、相手にクロスバー直撃のシュートを打たれてしまいました。田中碧選手と交錯しそうになって難しい状況でしたが、「自分が処理する」とハッキリ声掛けし、キャッチするかフィスティングで相手のいないところへボールをしっかり飛ばすかしたいところ。

名前のあがらなかった選手は及第点の出来か、プレー機会が少なく評価の対象外です。


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 香港とのE-1選手権第二戦は、5-0という試合結果は順当なものでしたし、試合内容の方も、相手との実力差はありましたが、まずまず良かったと思います。

ただ4ゴールした前半はともかく、相手の足が止まってくる後半にわずか1ゴールというのは、アグレッシブさが足りないように思います。

この試合に出た選手たちは、大迫勇選手や南野選手・中島選手らフル代表のレギュラー陣がいない状況で、自らの実力をアピールしてポジションをゲットする絶好のチャンスだったのですが、貪欲にゴールを求めてもっともっと積極的にプレーしても良かったのではないでしょうか。

 最後に余談ですが、イギリスの植民地時代、香港の国歌はイギリス(イングランド)と同じ“ゴッド・セーブ・ザ・クイーン”だったのですが、1997年に中国に返還されると、中国の国歌と同じものが使われるようになりました。

この試合の前にも香港の国歌として中国のものが流されましたが、香港サポーターから大ブーイングでしたね。

香港で“犯罪”をおかした人物を中国へ移送して裁判にかける“逃亡犯条例”を、香港政府とそのバックにいる中国政府が成立させようとしたところ、「人権侵害」だとして多くの香港市民が反政府デモを今もなお繰り返しているニュースはご存知かと思いますが、中国は外国にいる香港出身者にも相当嫌われていることを実感させられました。




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■日本代表、中国に勝利も課題多し

 昨夜、日本代表のE-1選手権初戦となる中国とのゲームが韓国・釜山で行われ、日本が2-1で勝利しました。

対戦相手の中国代表は、ほとんどの選手が国内リーグでプレーしており、その戦力を評価すれば日本のホームで日本の勝利、アウェーでは引き分けが一番確率の高い試合結果と見ていました。

ただ今回対戦した両チームですが、日本は国内組のU-22代表候補とオーバーエイジをミックスした2軍チーム、中国もエスパニョールでプレーするウー・レイ等を欠く完全な2軍であり、条件は互角。

そうしたことを総合的に評価すれば、中立地でなら日本が勝たなければならないレベルの相手でしたが、2-1で勝利という結果は順当でした。

試合内容の方は、準備時間が少ない急造チームという制約があったので仕方のない部分はあるものの、チーム全体としても選手個々のレベルでも課題は残りました。


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 それではいつものように試合内容の方を分析していきます。

まず守備からですが、球際での一対一の闘いというベーシックなレベルではまずまず良かったと思います。

しかし攻から守へのトランジションが起こった際、相手のボール保持者への対応が相変わらず遅いです。

ボールをロストしたら、相手のボール保持者に一番近い選手がしっかり寄せて、ドリブルによる前進や前方への素早いパス展開を阻止し、できれば相手陣内でボールを奪い返せれば理想的。

残りの選手も速やかに後退しながら、味方のファーストディフェンダーと連携して相手のパスコースを消すようにプレスをかけつつ、プレスが上手くかからず突破されてしまうことも想定して、自陣にリトリートしてコンパクトな守備ブロックをつくる準備もしておく必要があります。

一番問題だったのは、試合終盤での失点シーンに象徴されるようにプレスとラインコントロールの連動のさせ方があやふやなところで、そこは強く反省すべきところです。

相手のロングボールやクロスの出どころに対してプレスに行ったり行かなかったりと中途半端で、相手に正確なボールを蹴らせてしまう場面がありました。

三浦選手を中心とするDF陣もラインコントロールの仕方があやふやで、相手のボール保持者にプレスがかかっていない状況では、自分たちが守るべきゴールと相手選手との間に立つことでマークすべき相手を自分の前において視界に入れておき、もし相手がDFラインのウラへ走り出したらついていかなければならないのですが、畠中選手がヘディングシュートを決めたドン・シュエシェンを自分の背後に置いてしまったため、簡単にウラを取らせてしまったことで失点を招いてしまいました。

完敗を喫した先月のベネズエラ戦(その1 その2)ではゴール前で人をつかまえきれず次々と失点を重ねていったわけですが、この試合でもほとんどそれが改善されていません。1失点で済んだのは相手のレベルが低かったからで、再びベネズエラレベルの相手とやったら大量失点してしまう可能性が高いでしょう。

相手のボール保持者にプレスがかかっていない状況では、相手選手を自分の前に置きウラへ抜けようとしたらついていく、ボール保持者にしっかりプレスがかかっており相手がDFラインのウラへパスを出せない状況でバックパスを選択したらその分DFラインを押し上げるといったラインコントロールの基本原則は、監督に言われたからやるのではなくてプロ選手ならユース年代(U-20)を卒業するまでには完璧にマスターしておきたいところ。

この試合、森保監督の代名詞とも言える3-4-2-1システムを久しぶりにフル代表のゲームで使いましたが攻撃に目を転じると、急造チームということでワントップと2シャドー、それにウイングバック(WB)がからむ連携面においてパスミスやポジショニングミスが多く、まだまだ改善の余地はあります。

また、良い形でボールを奪ってカウンターという場面でも、ボール保持者が自信無さそうにドリブルのスピードを緩めて周囲をキョロキョロしているうちにチャンスをつぶしてしまうケースが目立ちます。

せっかく速攻からの得点機を迎えているのですからもっと自信をもって、相手がボールを奪いにこなければゴールまでの最短距離をできるかぎり早くドリブルし、周囲の味方も全速力でサポートしてやってフィニッシュまでもっていき、せっかくのチャンスをフイにしないことです。

シュートを打てる場面でも自信なさげに味方へのパスを選択してそれがミスになってしまう残念すぎるシーンも散見され、いけると思ったらもっと勇気と自信をもってシュートを打って欲しいです。

アタッキングサードにおける次のプレーの優先順位はまずシュートであり、それが不可能な時に初めてドリブルやフェイントでシュートコースをつくって打つか、味方へのパスという選択肢が出てきます。

ただ、3-4-2-1というフォーメーションの優位性をこの試合でも感じることはできませんでした。

中国は日本が多用する4-2-3-1対策のためか、試合開始直後は4-1-2-3でプレーしていましたが、日本が3-4-2-1であることがわかると2シャドーをダブルボランチで見るために4-2-1-3へと変更してきました。

3-4-2-1と4-2-1-3のマッチアップでは、相手の3トップに対して3バックの数的同数ではなく数的優位をつくって守るには両WBを下げる(つまり5バック化する)必要が出てきますが、それではこちらのWBがサイドで相手の2枚(ウイングとSB)に対して数的不利になってしまいます。

後半7分に右SBのミン・ティアンが誰のチェックも受けないままフリーでするする上がってきてポスト直撃のシュートを打つことができたのも、そのせいです。

3-4-2-1を積極的に使うならば、このシステムのおかげで勝てたという説得力のある結果が欲しいですね。

「広島や浦和みたいにJリーグで3-4-2-1を使って成功したクラブがあるじゃないか」という反論が出てきそうですが、Jリーグで3-4-2-1がある程度の成功を収めた理由は2点あると思います。

1点目は、単純に相手チームが個の能力で劣っていたこと。

そしてこちらの理由の方が大きいように思いますが、対戦相手が効果的な対策を立てられず3-4-2-1のチームがどう攻めてくるかわかっていながら何度も何度も同じような失敗を繰り返したこと。

特に高いレベルでのゾーンディフェンスができるクラブがJリーグにはほとんどないことが大きいように思います。

4バックでもマンマーク的な思考法から脱却できずに「3-4-2-1の2シャドーの1人がサイドへ流れてきたら、こちらのSBはWBとシャドーストライカーのどちらを見ればいいの?」と頭が混乱しているうちにやられてしまったチームがあるのではないでしょうか。

本来、DF4人MF4人で長方形のコンパクトな守備ブロックをつくってゾーンで守ればピッチをまんべんなくカバーできるのみならず、自分たちが守るべきスペースを限定しながらチャレンジ&カバーの関係をつくりやすいのですが、3-4-2-1のような3バック(5バック)系のフォーメーションだと形がいびつで、どうしても広いスペースで一対一の闘いが起こりやすくなります。

それで3-4-2-1のチームが成功してしまうと、ますますJリーグに高いレベルでのゾーンディフェンスが根付きにくくなるというある意味での、悪循環が起こっているように思います。



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 選手個々で特筆すべき活躍をしたのは、まず鈴木選手。
上田選手のパスを受けて抜け出した森島選手からのクロスをダイレクトで決めて貴重な先制ゴールをゲットしてくれました。
ただ、右WBの橋岡選手やワントップの上田選手との連携に改善の余地があり、チームの攻撃が左サイドに偏ってしまう一つの原因になっていました。トラップ・パス・ドリブルのミスも目立つので、ボールを自分の思い通りに蹴る・止めるという基本のプレーを丁寧かつ正確にして欲しいです。

上田選手は、ゲーム全体を通して前線で攻撃の起点となるポストプレーが良かったですね。先制ゴールのシーンでは、背後にいる相手を見ずに股を抜くヒールパスを出したのは偶然だとは思いますが、あのプレーで中国のDF組織が崩れ、鈴木選手のゴールにつながりました。大学サッカーからプロの世界に入ってどれだけ揉まれたか注目していたのですが、確かな成長がうかがえました。あとはFWとしてゴールやアシストなど目に見える数字の結果を残したいところです。

三浦選手は、チーム2点目となるヘディングシュートからのゴールは良かったのですが、本業の守備に限って言えば及第点に至らず。
前述のようにラインコントロールの仕方があやふやで、相手のボール保持者にプレスがかかっていない状況で不用意にバックラインをあげてしまったことが、試合終了間際の失点につながる一つの要因に。
また、前半13分の中国のセットプレーでフリーでヘディングシュートしたドン・シュエシェンのマークを畠中選手とどちらが見るかあいまいになるなど、相変わらずボールウオッチャーになりがちで、ゴール前で人をつかまえるということが出来ないというベネズエラ戦の課題が解決されていません。
ボールばかりを見ているから簡単にマークを外されてしまうわけで、相手のボール保持者と自分がマークすべき相手を同時に視野に入れられるボディシェイプをなるべく取るようにするということをまず心掛けるべき。

森島選手は上田選手のヒールパスを受けると相手ゴール前やや左を駆け上がり、相手の股を抜くクロスを出して、鈴木選手の先制ゴールをアシスト。左WBの遠藤選手との連携もまずまずでしたが、個でもチームとしても相手の守備を崩すプレーにまだまだ改善の余地はあります。

井手口選手は、正確なコーナーキックからチーム2点目となる三浦選手のゴールをアシスト。ボランチとして攻守両面でまずまずのプレーを見せてくれましたが、4-2-1-3で来た相手とのマッチアップでは井手口選手のところが数的優位にありましたから、相手のトップ下は橋本選手に任せ、もっと積極的に攻撃のビルドアップに絡んでいって欲しいところ。

 逆に畠中選手はセンターバックとして残念な出来。Jリーグ優勝チームの主力CBのプレーとしては寂しいかぎりです。
相手のボール保持者に味方のプレスがかかっていない状況にもかかわらず、ドン・シュエシェンを自分の背後に置いてしまったため、オフサイド崩れで簡単にウラを取られてしまい失点の原因に。三浦選手と同様ボールウオッチャーになりがちで、ゴール前で人をつかまえるということが出来ないというベネズエラ戦の課題が解決されていません。ボールばかりを見ているから簡単にマークすべき相手を見失ってしまうわけで、相手のボール保持者と自分がマークすべき相手を同時に視野に入れることができる体の向きをどう取るかということを常に考えながらプレーしないといけません。
また自陣深くでボールを持っている時、プレスをかけてきた相手をドリブルやフェイントで抜いたプレーが2度ありましたが、リスクマネジメントが出来ていない無謀なプレーだと言わざるをえません。なぜなら、自陣深くで相手をドリブルで抜くことに成功しても1点にもなりませんが、もし失敗したらかなりの確率で失点につながるハイリスク・ローリターンのプレーだからです。

佐々木選手は、必死に努力しているということは見ていて伝わってきましたが、鈴木選手の先制ゴールにつながる起点となるパスを出したものの、守備ではファールをしなければ相手を止められないシーンが目立ちます。前半20分にゴール前左で味方のパスを受けたときにトラップが大きくなりボールを奪われてピンチを招き、後半に相手に不用意に飛び込んで抜かれるシーンが見られたのも相変わらずです。

名前のあがらなかった選手は及第点の出来か、プレー機会が少なく評価の対象外です。



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 森保監督の采配面では、またしても交代枠を一つ残してしまったわけですが、6人代えられるテストマッチならいざ知らず、この試合は一応公式戦ですから、3人しかない交代枠をフルに有効活用してほしいです。

例えば、試合の終盤に上田選手の足が止まり、前線からプレスがかけられなくなっていましたから、時間を消費して2-0のままゲームをクローズさせるためにも、後半35分を過ぎたら上田選手に代わり別のFWを入れるとか、やりようはあったのではないでしょうか。

また、E-1に臨む日本代表メンバー発表会見で森保監督は、ベネズエラ戦の1失点目の理由として、ゴール前で佐々木選手がロンドンとの一対一に負けたことよりも、相手にプレスがかからずクロスをあげさせてしまったことの方が大きいと説明しておられました。

しかし、相手チームのクロスを100%阻止することはほぼ不可能であって、個人にハッキリと責任を持たせた上で、いかにゴール前での一対一に負けないかということを考えるべきではないかと当研究所は疑問を提起したのですが、この試合でも、相手のクロスを阻止することはできず、ゴール前で畠中選手が相手との一対一に負けてしまったことが失点の原因となっており、森保監督も自らのサッカー観を修正なさらないと、何度でもやられてしまうことでしょう。



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 E-1選手権の初戦、中国との試合は2-1で勝利という結果は順当でしたし、準備時間が少ない中での急造チームという制約があって仕方ない部分はあったものの、内容の方も改善の余地は大きいです。

こういうレベルの相手が、W杯や五輪の本大会に出てくることはまずないということは忘れてはならないでしょう。ただ、代表経験の少ない選手に経験を積ませることができたのは収穫でした。

 最後に余談ですが、中国の選手が明らかに橋岡選手の首めがけてスパイクのウラで蹴りに行き、しかもレフェリーが一発退場にしないというところに「アジアの後進性」を痛感してしまいます。

中国の国民的作家・魯迅の小説に「阿Q正伝」があるのですが、主人公の阿Qがケンカに負けてボコボコに殴られても、「自分が相手に殴られたのではなく、相手のこぶしを自分の顔で殴ったのだ、だからケンカに勝ったのは俺だ」と、負け惜しみを言う場面があったように思います。

魯迅は、そういう中国人独特の「精神的勝利法」や中国社会の後進性、特に民衆の無知蒙昧さを嘆いて小説を書いたのですが、「自分が橋岡選手を蹴ったのではなく、むしろ橋岡選手の頭が(自分の足に)ぶつかってきたんだ」と日本の小学生でも言わないような稚拙な言い訳をした中国のサッカー選手を見るにつけ、魯迅が生きた100年前からほとんど進歩がないようですね。




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■E-1選手権に臨む日本代表メンバー発表

 昨日、今月10日から韓国で開催されるE-1選手権のために招集された日本代表メンバーが発表されました。


GK
  中村 航輔 (柏)
  大迫 敬介 (広島)
  小島 亨介 (大分)

DF
  畠中 槙之輔(横浜M)
  三浦 弦太 (G大阪)
  室屋  成 (F東京)
  渡辺  剛 (F東京)
  古賀 太陽 (柏)
  佐々木 翔 (広島)

MF
  橋本 拳人 (F東京)
  鈴木 武蔵 (札幌) 
  井手口 陽介(G大阪)
  大島 僚太 (川崎)
  仲川 輝人 (横浜M)
  相馬 勇紀 (鹿島)
  森島  司 (広島)
  遠藤 渓太 (横浜M)
  田中  碧 (川崎)
  田中 駿汰 (大阪体育大学)

FW
  上田 綺世 (鹿島)
  小川 航基 (水戸)
  田川 亨介 (F東京)


同日、今月28日に長崎で行われるジャマイカとのテストマッチのために招集されたU-22代表選手もあわせて発表されています。それも見ておきましょう。


GK 
  山口 瑠伊 (エストレマドゥラ:スペイン)
  小久保玲央ブライアン(ベンフィカU-23:ポルトガル)
  谷  晃生 (G大阪)

DF
  中山 雄太 (ズウォレ:オランダ)
  岩田 智輝 (大分)
  大南 拓磨 (磐田)
  岡崎  慎 (F東京)
  瀬古 歩夢 (C大阪)

MF
  安部 裕葵 (バルセロナB:スペイン)
  菅  大輝 (札幌)
  長沼 洋一 (愛媛)
  高  宇洋 (山口)
  岩崎 悠人 (札幌)
  松本 泰志 (広島)
  東  俊希 (広島)
  三苫  薫 (筑波大学)
  旗手 怜央 (順天堂大学)

FW
  前田 大然 (マリティモ:ポルトガル)
  一美 和成 (京都)



E-1選手権のために招集された日本代表メンバーに関して言えば、今月はFIFAインターナショナルウインドウの設定がないので、日本サッカー協会は海外クラブでプレーする日本人選手を代表チームの活動のために拘束することができません。

よって森保監督が招集メンバー発表の会見で述べていたように、東京五輪に向けてU-22の国内組を中心に国際試合の経験を積ませ、選手層を厚くしようという意図が色濃く出た顔ぶれになりました。

先月行われたベネズエラとのテストマッチ後、一部のサポーターから解任論まで出るほど森保監督への批判が高まっています。

プロとしてお客さんからお金を頂いて見てもらっている以上、ベネズエラ戦は結果も内容もあってはならないものでしたが、初体験のゲームでいきなりメッシやファン・ダイクレベルのプレーができる選手なんてまずいませんし、失敗や悔しい経験を積み重ねながら選手は成長していくものであって、そうした意味においてベネズエラ戦に出場した選手たちが失敗から多くの事を学び、世界に通用するプレーヤーに成長していってくれれば、あの屈辱的な敗戦も決して無駄にはなりません。

失敗を恐れすぎて「消極的な安全策」を選択することが大好きな日本人にありがちなんですが、ベネズエラに負けることを恐れ、あのテストマッチもいつものベストメンバーを揃えることで例え勝ったとしても、日本サッカー界が得られる利益などたかが知れています。

もし批判されるべきところがあったとすれば、「目先の勝利」を優先させるべきか「より長期的な利益」を優先させるべきか、森保監督が中途半端な選手起用をしてしまったことで、後者を優先させるなら、もう劇的な成長は望めない30歳以上の選手を起用する必然性は乏しかったように思います。

ところで前述した森保監督の会見で、ある記者がベネズエラ戦の1失点目(ソテルドのクロスに佐々木選手が競り負け、ロンドンにヘディングシュートを叩き込まれた)をどう防ぐべきだったかという質問に対する回答には違和感をおぼえました。

まず違和感の一点目。森保監督は、ロンドンの高さ・強さに負けたことが失点につながったという認識を示しておられましたが、どっかの赤い彗星ではありませんが「身長の高低差がヘディングの勝敗を分ける決定的な差ではない」という例をこれまで何度も見てきました。

私はかつてユベンティーノだったので、身長176㎝しかないカンナバーロが自分より背の高いFWを抑えるのを良く見ましたし、バルサを応援するようになってからプジョルが空中戦で獅子奮迅の守りを見せる姿も何度も目にしました。

もちろん身長が高くジャンプ力がある方が有利なのは間違いありませんが、ヘディングによる空中戦での勝敗を分けるものは決してそれだけではなく、ボールの落下点を早く正確に見極めて最適なコース取りで走りこむ技術であったり、相手に正確にヘディングを許さない空中での体のぶつけ方や手の使い方であったり、落下点に走りこむまでの相手との駆け引きにおける読みであったり、そういったことの総合力で勝敗が決まるのであって、だからこそ決して身長が高いとは言えないDFがW杯で活躍してバロンドールを獲得したりできるわけです。

ベネズエラ戦の1失点目の場面を振りかえってみると、室屋選手が悪かったというよりはあの体勢から正確なクロスをあげてみせたソテルドの技術をまず褒めるべきで、仮にクロスをあげられたとしても、ゴール前で相手をマークしている選手がやるべきことをやっていれば、そう簡単にやられることはありません。

そもそもどんなに注意しても、相手がクロスをあげるのを100%阻止することはほぼ不可能ですし、相手に狙い通りのシュートを打たせないように、たとえ勝てなくとも最低限ゴール前での一対一に負けない守り方をすることが極めて重要であると考えます。

しかし、ロンドンはソテルドからクロスが来ることを予測してジャンプしていますが、佐々木選手はまさかあのタイミングでクロスが来るわけがないと決めつけてしまったのか何の準備もできておらず、先にジャンプしたロンドンにビックリしたように完全に遅れたタイミングで助走もなしにその場でピョコンと飛び上がっただけで、ロンドンは何の妨害も受けずに正確にヘディングシュートを叩き込んでおり、だからあのプレーは代表選手としてふさわしいものではないと以前の記事で指摘したわけです。

身長186㎝のロンドンが176㎝の佐々木選手に勝ったという単純な話ではないんですが、安易に「高さで負けた」という分析の仕方をする日本人指導者や解説者が結構います。

「ヘディングで家を2軒建てた」と豪語する盛岡の秋田監督だったら「身長の高低差がヘディングの勝敗を分ける決定的な差ではない」ということを教えてくれるのではないでしょうか。

 違和感の二点目は、森保監督が大敗を喫したベネズエラ戦における個人の責任をあいまいにしているように見えるところで、最初の失点の場面で「高さで負けた」のは「誰か」ということには最後まで触れませんでした。

解説者の福田正博さんも同じようなことを言っていましたが、失点の原因は佐々木選手がロンドンとの一対一に負けたというよりも、それより前の段階、日本代表の各選手が相手のボール保持者に厳しくプレスをかけられなかったことの方が大きいという見方を森保監督はされていました。

サッカー界に限らず日本社会では、個人の責任が問われるのは周囲がかばいきれないようなひどい失敗を犯した場合で、それまでは個人のミスはあいまいに処理されてしまうケースが多いように思います。

それが日本的な「やさしさ」なのかもしれませんが、個人の責任がうやむやに処理されてしまうとその個人も組織全体としても同じミスを繰り返してしまう可能性が高いですし、同じミスを何度も繰り返して成長することがないその個人にとって、それが本当の「やさしさ」なのかという疑問を感じざるを得ません。

佐々木選手は1年前のベネズエラとのテストマッチでも、日本ゴールに相手選手が殺到する状況でGKにヘディングでバックパスしようとして相手選手にボールをプレゼントしてしまい失点の原因となっているのですが、それをウヤムヤにしているから今年のテストマッチでも3失点にからむ失敗を繰り返しているのではないでしょうか。

むしろ個人の責任を決してあいまいにせず、明確に指摘して失敗した本人と一緒にどうすれば同じミスを繰り返さないで済むのか、どうしたら個の能力をアップさせることができるのかを考えていく方が、よほどやさしいと思います。

当ブログでも、試合ごとに代表選手のプレーについて個人的な評価をしていますが、その目的はミスした選手をつるし上げて笑ってやろうということではなく、何がミスでそれによってどういう結果がもたらされたのかを明確に指摘した上で、どうすればそのミスを繰り返すことなく、個としてもチーム全体としても能力をアップさせることができるのか、サッカーのセオリーに乗っ取った代案を必ず提示しています。

欧州でプレーする選手はたぶん同意してくれると思うのですが、欧州各国のクラブでは個の責任を決してウヤムヤにせず、「一対一に負けたらその選手の責任だ」ということは明確に言われるはずです。

個人として低調なプレーをしたらマルカやガゼッタ・デロ・スポルト、キッカーなどのメディアから厳しく叩かれますし、サポーターもサッカーを見る目が肥えているので容赦はしません。

「個の責任」というプレッシャーにさらされる選手の方も、一対一にどうやって勝つか研究やトレーニングに必死に取り組むので、それだけ一対一に強くなりますし、重要な試合でも自分の実力を十分発揮できる強いメンタルが養われます。

逆に日本のJリーグでは「一対一に勝ってボールを奪い切る」という責任を誰も取ろうとせず、「ディレイ」と称して相手のボール保持者が前進した分だけ守備側は全員ズルズル下がっていくことで問題の解決を先送りし、相手がペナルティエリア内まで来て「これ以上下がれないよ」というところでズドンとシュートを打たれて失点という光景をこれまで嫌というほど見てきました。

こういう守備のやり方は世界では通用しませんし、これを続けている限り日本サッカーが強くなることもないでしょう。

もちろん一対一に強い選手が生まれてくるはずもありません。一対一による闘いを避けているのですから、「今度は負けないようにこうしよう」という気づきや工夫が生まれるはずもないからです。

「連帯責任は無責任」という言葉がありますが、なぜ日本でこういうスタイルのサッカーが生まれたのかと言えば、やはり個人のミスをウヤムヤにしてハッキリと指摘しないことを良しとする日本社会独特の考え方が原因ではないかと思います。

ロシアW杯直前でハリルホジッチ監督は解任されたわけですが、例えば「W杯直前での成績不振が原因」などと監督個人の責任を明確に指摘すれば良かったものを、最後まで解任理由をウヤムヤにするという「やさしさ」が仇となって、逆にハリル氏から面倒な訴訟を起こされ、ハリル氏を連れてきた強化委員長がその責任を最後まで問われることもありませんでした。

サッカーの試合で何か失敗が起こり、その原因が個人の行動にあるのであればハッキリとそれを指摘するとともに、どうすれば同じミスを繰り返さないで済むのか、どうしたら個の能力をアップさせることができるのかをミスをした本人と一緒になって考えていく方が、代表レベルでもクラブレベルでも日本サッカーは余計な回り道をする必要が無くなり、進歩発展のスピードはもっと上がると思います。

「個人の失敗」が厳しく問われる欧米社会ですが、もちろん同じ失敗を何の工夫もなく何度も繰り返すのは許されませんが、新しいこと・より困難なことへの挑戦のような前向きなトライであれば、たとえ失敗しても再チャレンジのチャンスが与えられるという、ある種の寛大さがあるのも特徴です。

攻めのタテパスを出して失敗するのを恐れ、安パイの横パス・バックパスを90分間繰り返してしまう日本人選手をたまに見かけますが、減点法の日本では「ノーミスで地味に効いていた」などと評価されるのかもしれませんが、欧州四大リーグではまったく評価されないどころか、いつの間にかチーム内に居場所がなくなっていたというのがオチです。

「失敗は成功の母」と考える欧米人に比べ、「失敗は絶対にあってはならないケガレ」と考えがちな日本人は、人間が生きていく限り絶対に逃れられない「失敗」との付き合い方がヘタクソだと思います。

日本代表の監督が外国人の場合、それに気づいて修正しやすいのですが、日本人が代表監督をやると選手と一緒になって最後までそうした問題点に気づかないということもあり得ます。

森保監督はどうでしょうか。




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