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■日本代表、連携した攻撃が戻ってボリビアに勝利(その2)

 前回の続き

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは中島選手。
ゴールシーンでは、ペナの中でパスを受けたあと中央をチラッと見て相手バックに中へのクロスを意識させ、左足のフェイントに相手がひっかかったところで逆をついてボールを右足方向へもっていき、相手の股間を狙ったシュートで決勝点をゲット。ゴールにこそつながらなかったものの味方を使ったスルーパスも良かったですし、ゴールにチャンスメークにと毎度のことながら大活躍。
ただ、味方との連携プレーはまだまだレベルアップさせることができると思います。
クラブでも、味方のアタッカー陣との連携が不足しているように見えますので、エースFWのエル・アラビにスルーパスを出してゴールを決めさせたり、逆にエル・アラビからスルーパスをもらってウラへ抜けた中島選手が相手GKとの一対一を制してゴールを決めるシーンが増えてくると、もっと楽しくサッカーが出来るのではないでしょうか。

橋本選手は、対人守備に強さを見せ、相手にガチガチ当たって盛んにボールを奪っていました。一対一でほぼ全勝だったのではないでしょうか。チームがボールロストしてネガティブトランジションが起こった時のファーストディフェンダーとしても良い働きを再三見せてくれ、時にはファールも辞さず、相手のボール保持者を早め早めにつぶしていき、ボリビアのカウンターを阻止したプレーもクレバーでした。
チーム戦術として森保監督から指示が出ていたのかもしれませんが、2トップで守るボリビアに対し、橋本選手が味方のセンターバックの間に落ちて3対2の数的優位をつくって攻撃のビルドアップを行っていたのも非常に良かったですね。味方が突然ボールロストしても、DFラインでの数的優位を保つことで、カウンターからの失点を防ぎやすくなるということも、ポジショナルプレー的な観点から重要なことです。相手が1トップの時にはもっと前方での攻撃のビルドアップに参加してくれることを期待します。 

柴崎選手はプレー時間はそれほど多くはありませんでしたがゲームに積極的に参加し、攻守両面でプレーが質的にも量的にも改善されたのは良かったです。
チーム全体の攻守のバランスを考えたポジショニングを取り、それを維持しながらバックと攻撃の選手とのボールのつなぎ役として、的確なパスを前方へテンポよく出すことができていました。
例え大迫選手や中島選手がいなくても、ダブルボランチがしっかりと機能することで日本代表がチームとしてボールをキープして攻撃できるように、攻守の中心として「独り立ち」することが柴崎選手が今後成長していくための課題だと思いますので、がんばって欲しいです。

 逆に南野選手は、先制ゴールのシーンでは中島選手をアシストするパスが出せたのは良かったのですが、その後は自分のゴールを焦ってしまったのかボールを持ちすぎてしまい、チームの得点機を2度つぶしてしまいました。
後半31分の速攻シーンでは、相手バックのウラに向かって良い動きをしていた堂安選手か鎌田選手にスルーパスを出せばゴールの確率は非常に高かったのに、最後までボールを離さずに相手DFにつぶされてしまいました。遅くともTV中継の映像で31分18秒のタイミングまでにパスを出さないとゴールの確率は限りなく低くなります。
同様に後半42分の攻撃シーンでは、相手バックのウラに向かってランする鈴木選手にパスを出せば、かなりの確率でゴールになったのに、やはりボールを持ちすぎて無理なドリブルを仕掛けて相手DFにつぶされてしまいました。
中継映像で42分55秒のタイミングにパスを出していたら少なくとも鈴木選手と相手GKとの一対一はつくれていたはずです。
もしこの2つの決定機で南野選手が適切な判断を下すことができていたら、2ゴールを加えることができたであろうチーム全体の利益になりますし、2つのアシストを記録した南野選手もゴールをあげたのと同じくらいの、高い評価を森保監督から受けたのではないでしょうか。

宇佐美選手は守備ではがんばっていましたが、攻撃面では精彩を欠いていたように思います。
20代も後半に突入し、若い時のスピードやアジリティがこれからだんだんと無くなってきますから、代表でもクラブでも生き残っていくためには、これからどのポジションで何を武器にゴールやアシストなどの結果を出していくか、考える時期に差し掛かっているのではないでしょうか。
このままサイドハーフとして代表のような攻撃サッカーをやりたいのであれば、宇佐美選手のプレースタイルを理解してくれて、なおかつ攻撃サッカーをやっているチームへ移籍することも検討すべきでしょうし、デュッセルドルフのようにカウンターが多いチームであれば、2トップの一角としてのFWにポジションを変えるか、考慮のしどころではないでしょうか。

 名前の挙がらなかった選手は及第点の出来か、プレー時間が短く評価の対象外ですが、代表初キャップで経験の浅い選手がいきなり出て及第点のプレーができたということに関しては、ポジティブに考えて良いと思います。

鈴木・鎌田両選手も、彼らの実力が最大限発揮できるシステムやポジションをいろいろ試しつつ、辛抱して使っても良いのではないでしょうか。

小林選手も、コロンビア戦ではCKからのボールを冨安選手の頭に正確に合わせてみせましたし、引き続き代表で見てみたいプレーヤーです。

彼への期待の意味をこめて、当研究所が代表のボランチに求めるプレーを具体的に述べてみますが、チームが攻撃をビルドアップしていく時、例えば左ボランチであれば、自分と同じサイドの左SBにCBからパスが出たのに、足を止めてそれを遠巻きに見ているということはあり得ません!
自分にパスが出ても出てこなくても、左SBの10m以内にスッと寄せ、もしパスが来て自分がフリーならば半身でボールを受けてすぐに前を向きます。すると4-2-3-1なら自分の左ナナメ前方に左SHが、右ナナメ前方にはトップ下がいるはずですから、その後の展開も考えつつ彼らがフリーでいるうちにそのどちらかの足元へ正確にパスをつけます。

日本サッカー界でも「パスを出したら、受けた選手を追い越して前へ走れ」と教えられると思いますが、ポジショナルプレーの観点では常に「パス&ゴー」が正しいとは限りません。なぜならパスを出した味方が自分の後方でボールロストした場合、相手のカウンター攻撃から一気にチームが失点してしまう可能性があるからです。
ハリルジャパン時代のロシアW杯最終予選の初戦となったUAE戦が典型ですが、相手にリードされてゴールが欲しい時ほど「パス&ゴー」する選手ばかりになって、5トップや6トップみたいな形でバイタルエリアに味方の選手がひしめき合い、マーカーを引き寄せてお互いスペースをつぶし合うことで攻撃が行きづまるばかりか、ボール保持者の前で張っている味方が多すぎる「頭でっかち」の選手配置となり、相手のカウンターから失点する可能性を高めてしまうという悪循環を招きがちなのも、日本サッカーの問題点です。

ですから、ボランチが例えば左SHにパスをつけても常に「パス&ゴー」をするのではなく、まず左SHの右ナナメ後方10m以内にポジションを取ります。

前方への攻撃が手づまりになった左SHからバックパスが戻ってきたら、自分の右にいるトップ下や右ボランチ、あるいは右SHにパスをして、相手選手の薄い方へサイドチェンジするためというのがその理由の一点目。

パスを出した左SHがボールロストした場合、その後方に控える自分がファーストディフェンダーとなり、後ろの数が足りていれば相手のボール保持者に速やかにプレスをかけてボールを奪い返すことを狙い、後ろが足りていないならばディレイさせて味方が戻る時間を稼ぎながら、チームの約束事どおりの方向に追い込む役目を果たすためというのが理由の二点目です。(通常、味方選手が多くいるストロングサイドに相手ボール保持者を追い込み、味方が少ないウイークサイドへのサイドチェンジ・パスは阻止する)

また自分の攻撃参加が必要と判断した場合は、左SHやトップ下などからリターンをもらってバイタルエリアに侵入し、相手DFラインのウラへランするワントップや右SHにスルーパスを出したり、相手DFの前から自らミドルシュート、あるいは自分がDFのウラへランしてワントップや2列目の選手からスルーパスを受けてGKとの一対一を制してゴールを決めます。

実力的に互角の相手チームとの対戦であれば、ボランチの理想的な仕事配分は、守備50%攻撃50%ぐらいでしょうか。攻撃50%の内訳は、中盤における攻撃のビルドアップが60~70%、アシストやゴールにからむ動きが30~40%ぐらいが理想でしょう。

小林選手の場合、体の大きさを生かして対人守備能力を向上させるともっと良いボランチになれます。
柴崎・遠藤・守田・山口・青山あるいはフローニンゲンの板倉選手ら代表のボランチ候補の選手たちが次のW杯で好成績をあげたりビッグクラブでプレーするためには、このような能力が求められると思います。

香川選手も、中盤で積極的にパス受けの動きをして攻撃のビルドアップのところで貢献し、味方選手を使うプレーもできていて及第点の出来だったと思います。ただゴールやアシストに絡むプレーはありませんでした。
ドルトムントで長期間ゲームに出られなかったせいか、加齢によるものか原因はわかりませんが、ブンデスでゴールを量産していた若いころのようなスピードや鋭いターンからのアジリティあるプレーがこの試合では影をひそめていました。もしその原因が後者であるならば、何を武器にこれからゴールやアシストに絡んでいくか、思案のしどころではないでしょうか。


    ☆       ☆       ☆

 
 ボリビアとのテストマッチは1-0で勝利という結果は順当でしたし、試合内容も代表経験の浅い選手が多かった割にはまずまずでした。

コロンビア戦で課題が出た、ボランチやトップ下を中心に組織で中盤における攻撃のビルドアップをしていく部分は改善されましたし、後半から主力組が投入されましたがコロンビア戦とは違って、相手の守備組織を崩す攻撃の最終ステージの局面でも連携の取れた攻撃が見られ、ゴールや勝利という結果を得ることが出来ました。

コロンビア戦の記事でも言いましたが、ミドルシュートを打つこと自体、決して間違いではありませんし、ゴールを決めてくれるなら何の問題もありません。

攻撃時のプレーのファーストチョイスはもちろんシュートであり、その選択肢が取れない場合に限り、パスやドリブルを検討すべきです。

ところがザックジャパンより前の時代の日本人選手はシュートに対して本当に消極的で、「FWの役目はゴールだけじゃない」とか言いながら、自分の前に相手GKしかいないのにまだパスを出せる味方を探し、誰もいないので「しょうがなく」自分でシュートを打って大きく外してしまうような選手が非常に多かったですから、当研究所も、その時代はあえてシュートミスを指摘せず、シュートを打ったことそれ自体を評価する記事を書いていました。

しかし、これだけ多くの日本人選手が欧州各国リーグでプレーするようになり、次のW杯でベスト8以上の結果を出そうという目標を掲げている今、いつまでもそんな状態ではいけませんし、日本人選手のシュート技術やその正確性がある程度は厳しく問われる次の段階に進むべき時に来ているのではないでしょうか。

そうした意味で、16本打ってワク内シュートがたった2本という前回のコロンビア戦を「ハメスやファルカオがいる強豪相手にハデに攻撃して善戦したんだから何の問題がある?」といって、満足感にひたってもよいとは決して思えませんし、別の選手に当たってコースが変わり相手GKが逆を突かれてゴールインみたいなラッキーが無い限り、シュートがゴールのワクから外れてしまえば何も起こりませんから、やはりシュートの正確性は問われるべきです。

また、コロンビア戦は個人によるゴリゴリの「ドリブル・シュート大会」みたいなゲームになってしまいましたが、あのゲームがもし2022年W杯の公式戦だったとして、本当にあのようなサッカースタイルを選択したでしょうか?

テストマッチだからと割り切って、失敗しても良いから思い切ってやりたいことを試すというのは十分アリだと思うのですが、公式戦ではリスクをかけたくないから絶対にやらないようなことをやる試合、実戦からあまりにもかけ離れた「テストのためのテスト」や「練習のための練習」をやるゲームなら、いくらやっても「ライトなサポーターを喜ばす興行」以外の意味はないと思います。

私も代表戦を見始めてから25年以上たちましたから、4年で1サイクルのうちにどういうことが起こるか、何度も見てきましたけど、ケガを恐れて100%全力でプレーしていなかったり、地球の裏側からやってきた時差ボケで半分酔っぱらったようなプレーをする強豪チームを相手に、失敗できるテストマッチだからとノビノビプレーすることで「善戦」して、それが自分たちの実力だと勘違いし、W杯の本大会ではガッチガチに緊張して硬くなった日本代表が100%自分たちの実力を発揮できず、本気になった世界の強豪にやられてしまう姿を嫌というほど見てきました。

そうした勘違いを防ぐためには、やはりアウェーでの強豪国とのテストマッチをできるだけ多く組むことが最低限必要なことではないでしょうか。

仮にアウェーで強豪国に勝ったとしても、「本当に相手は100%全力でプレーしていただろうか?これが本当の日本の実力だろうか」と常に自問自答していくことが欠かせません。

UEFAネーションズリーグが始まってからというもの、欧州の強豪国とテストマッチを組むことが難しくなっています。

今また、ユーロ2020予選が開始されましたが、同予選では5チームでユーロ出場を争う組があるので、毎節各1チームは必ずお休みとなりますから、5チームで争っている組の強豪国のホームで日本代表とのテストマッチを組むと良いかもしれません。

その条件に合致する当研究所の格付けAの国は、イングランド・ポルトガル・ドイツ・オランダ・スイス・デンマーク・ウェールズなどです。

日本サッカー協会は、W杯に出場しなければ強豪国とはなかなか認めてくれないみたいですが、レアルのベイルやアーセナルのラムジーが出てくれるなら、カーディフでウェールズ代表とテストマッチをやるのも十分強化になると考えます。


    ☆       ☆       ☆


 最後に余談ですが、これまでずっと疑問に思ってきたことは、日本のテレビ局が制作する代表戦中継でゲームスタッツがまったく表示されないということです。

W杯やアジアカップなど海外でやる代表戦は、ハーフタイムや試合終了後に、両チームのシュート総数・そのうちワク内シュート数・コーナーキック数・被ファール数・ボールポゼッション率・パス総数・パス成功率などといったおなじみのものから、進んだテレビ局になると1試合における各選手の走行距離まで表示されますが、日本のテレビ局が制作する番組ではほとんど見かけません。

代表戦を中継する国内テレビ各局にお願いですが、サッカー中継における「世界の常識」ですから、代表戦のハーフタイムや試合終了後に集計したゲームスタッツを必ず表示して欲しいです。

<了>




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■日本代表、連携した攻撃が戻ってボリビアに勝利

 昨日、ボリビアとのテストマッチが神戸で行われ、日本代表が1-0で勝利しました。

今回の対戦相手ボリビア代表は、メキシコなどでプレーしている一部の海外組を除き、国内リーグでプレーする選手中心のチームです。

日本との実力差は、ホームで日本の勝利、アウェーで引き分けが一番確率の高い試合結果と見ていました。

もっとも、ボリビアのホーム・ラパスのエスタディオ・エルナンド・シレスは富士山の山頂とあまり変わらない標高(3637m)にあるため、引き分けるだけでも相当シンドイんですけどね。

ボリビアは、コパアメリカや次のW杯予選を見据えた世代交代中で、そうしたことを踏まえても、今回の日本の勝利は順当な結果でした。試合内容も、まずまずだったと思います。


    ☆       ☆       ☆

 
 それでは日本代表のゲーム内容を振り返っていきますが、この試合のスタメンは現時点での“サブ組”が顔を揃えました。

ダブルボランチのパス受けの動きにまだ物足りなさを感じるのですが、前のゲームで課題となった「中盤からの攻撃のビルドアップ」については、香川選手や小林選手を中心に、まずまず良かったと思います。

課題が残ったのは、アタッキングサードに入ってからの、相手の守備組織を崩してゴールを奪う「攻撃の最終ステージ」の局面。

急造チームですから、これは仕方ないことですが、ゴールから逆算して、どうやって相手の守備組織を崩して得点を奪うのか、スタメン組のフィールドプレーヤー10人で同じピクチャーを頭の中に描くことが、まだできていないように見えました。

神戸のリージョ監督も以前同じようなことを言っていた気がしますが、相手からゴールを奪うことができる確率が一番高いのは、オフサイドにならないように相手DFラインのウラへ味方の選手とボールを送り込んで、GKとの一対一の局面をつくることだと思います。

それでは相手DF陣が強く警戒している中で、どうすれば高い確率で「ボールを持った味方と相手GKとの一対一」をつくりやすいのかと言えば、相手DFラインの前にあるバイタルエリアで味方がボールをもって前を向き、DF陣の背後へダイアゴナルランする味方へグラウンダーのスルーパスを出す形をつくることです。

スルーパスを出さずに、自分のドリブルで相手DFを抜いてGKとの一対一に持っていけるのなら言うことはありませんが、相手DFの能力が高くなればなるほど難しくなりますし、バイタルエリアでパスを受けてボールをもって前を向くにしても、ゴール真正面のセンターレーンは相手が最も厳しく警戒しているところですから、相手が4バックなら、CBとSBのゾーンディフェンスのギャップとなるハーフスペースで前を向ければ、スルーパスを出すにしろ相手の前からシュートするにしろ、その後の展開でこちらが優位に立てる可能性が高まります。

それでは「バイタルエリアにいる味方がボールをもって前を向く」という形をどうすればつくりやすいのかと言えば、バックやボランチからバイタルエリアにいる味方へロングボールを放り込んでも、相手DFにヘッドでクリアされる可能性が高いですから、やはりボランチやトップ下を中心に中盤から攻撃をビルドアップしていき、バイタルエリアにいる味方の足元へグラウンダーのパスをつけてやるのがベストですし、サイドでパスを受けた選手がカットインドリブルで、ハーフスペースに侵入するというケースもあるでしょう。

それが「パスサッカー」という戦術であり、「バイタルエリアにいる味方がボールをもって前を向き、相手バックと一対一になる」という、攻撃のプレーヤーが一番「個の能力」を発揮できるシチュエーションを作り出してあげるための道具が「パスサッカー」という組織戦術なのです。

その点、後半12分の畠中選手のパスから乾選手がドリブルでバイタルエリア中央へ侵入し、DFラインのウラへ走りこんだ鎌田選手へスルーパスを出した攻撃の形は、ゴールにこそならなかったものの非常に良かったですね。

その直後に、中島・堂安選手ら主力組が投入されましたが、もうちょっと辛抱してやればゴールをこじ開けられたかもしれません。

ゴールから逆算してどうやって相手の守備組織を崩していくのか、ピッチ上の選手全員が頭の中で同じピクチャーを描くことができるかどうかが、W杯で好成績をあげるために非常に重要になってきますから、これからしっかり練習して選手同士の連動やコンビネーションを磨いていって欲しいです。

その中島選手ですが、中盤における攻撃の組み立ての段階から自分のドリブルで前方にいる相手のマーカー1~2枚をひっぺがして、「バイタルエリアでボールをもって前を向く」という形を彼1人の個人技でつくれるので、本当にチームとしては楽になりますよね。

中島選手のこの能力は、現時点ではこの試合のスタメン組の誰も持っていない、特殊な能力だと思います。

後半から投入された中島・堂安選手ら主力組の攻撃陣は、前回のコロンビア戦とは違い、この試合はちゃんと連携ができていました。

後半30分には、相手のパスミスを拾って速攻をかけ、堂安選手のドリブルから南野選手へつなぎ、バックラインのウラへ走る中島選手へパスを出して、彼の個人技からのシュートでゴールという結果を出すことができました。

主力組も、前回のコロンビア戦のような「個人によるドリブル・シュート大会」ではなくて、こういう連携のある良い攻撃をして、それをさらにレベルアップさせていく必要があります。時間がまだたっぷりあるようでいて、次のW杯はあっという間にやってきます。

 守備面も、ボリビアの攻撃力がさほど高くなかったこともありましたが、まずまず良かったと思います。

中盤で厳しくプレスをかけ、ボールを良く奪い返すことができていました。

ゾーンディフェンス的な観点から見て、ちょっとおかしな動き方をする選手もいましたが、スタメンには代表経験の少ない選手が多かったので、今後の改善に期待します。

アジアカップの決勝戦や先日のコロンビア戦の失点シーンもそうなんですが、プレスがハマらなくても際限なく相手のボールホルダーを追いかけまわすより、例えば5秒間プレスをかけてボールを奪い返すことができなかったら、両サイドハーフをいったんダブルボランチの両脇まで下げて、4-4のコンパクトな守備ブロックをつくってゾーンで守るという約束事を決めたほうが良いのではないでしょうか。

 選手個々の評価は次回にしましょう。




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■日本代表、コロンビアに工夫無く、力負け(その2)

 前回のつづき

 選手個々で特筆すべき活躍だったのは、卓越した個人技で中盤での攻撃のビルドアップに、チャンスメークに、そしてシュートにと獅子奮迅の働きをした中島選手。コロンビアの選手2人ぐらいに囲まれてもボールを失わないキープ力は素晴らしいですし、ドリブルも相変わらずキレキレでした。

ただ、後半に守備が得意とはいえない中島選手のサイドを集中的に攻められると、中島選手も攻めあがることができなくなり、チーム全体としての攻め手も失ってしまったところは、今後解決すべき課題です。

 逆に冨安選手は、やや不運ながらも自身のハンドで相手に決勝点となるPKを献上。
アジアカップから日本のDFによるハンドが続いていますから何らかの対策が必要でしょう。例えば自分がペナの中にいて相手のシュートが来そうな場面では、両手を体の線から出ないようにして自分の股間を抑え、金的や肺をボールの強打から守るようにするとか...。
ハンドを取られたプレー以外では、ファルカオを始めとするコロンビアのアタッカー陣に対し、地上戦でも空中戦でも大きな穴を開けることなく守れたのは大きな収穫でした。

昌子選手は、コロンビアの攻撃陣を怖がってしまったのか、バックラインを下げすぎてしまい、MF4人でつくるラインとの間にスペースをつくってしまったのは課題です。
後半21分ドリブルするムリエルとの一対一の場面では、相手にスピードの緩急をつけられるとついていけずに抜かれ、あわや失点かというピンチを招いてしまいました。ドリブルする相手に対し、スピードの緩急やフェイントをかけられると足を滑らせたり尻餅をつかされたりして抜かれ失点というシーンをリーグアンの試合でも見かけますが、ワンサイドカットをせずに、自分の左右どちらも抜かせまいとして結局どちらも抜かれてしまっていることが、昌子選手が一対一で簡単にやられてしまう原因のように思います。
ドリブルしてくる相手との一対一の局面では、まず相手の利き足がどちらかを考え、利き足側を切って相手にボール扱いが苦手な方の足で持たせてから奪うようにすると、一対一に勝てる確率があがります。相手が両方の足で同じようにボールを扱える時は、シュートの角度が広くなるピッチ中央方向を切って、相手をサイドへ追い込むことが基本となります。
また、後半1分にパラシオスへのスライディングタックルが空振りとなりやはり失点のピンチを招いてしまいましたが、一度寝てしまうと挽回はほぼ不可能になりますから、スライディングタックルはボールに足が届く100%の確信がある時以外、自重すべきでしょう。

佐々木選手は前半21分、左サイドでの相手のダイレクトパスによる攻撃によって不意を突かれ、ビジャにウラを取られて決定的なピンチを招いてしまいました。相手と自分のスピードの差を考慮して適切な間合いをとることで、自分のウラへパスが出たときに相手にスピードでブッチ切られないようにする必要があります。

柴崎選手は 後半20分のピンチに良く戻り、彼のクリアのおかげでチームの失点が1減りましたが、中盤での攻撃のビルドアップ、つまりバックからパスを受けて2列目の3人に確実にボールをつなぐというボランチにとって一番重要な仕事に対する貢献度が低いです。
CBやSBがパスコースを探しているときは、速やかに寄せて自分がフリーなら半身でボールを受けてスッと前を向き、2列目の選手がフリーでいるうちに正確にパスをつなぐという、地味ですが本当に重要な仕事をコツコツとこなして欲しいのです。
そうした仕事を中島選手の個人技に頼ってしまっているので、彼がドリブルでアタッキングサードへボールを運んでくれると柴崎選手も攻め上がって味方に良いパスが出せるのですが、後半に相手が取ってきた「中島封じ」の対策によって彼が機能しなくなると、チーム全体としても攻め手を失ってしまい、それがこの試合の勝敗の分かれ目となってしまいました。
先月のアジアカップでも、中島・大迫両選手がいなかったオマーン戦やサウジ戦では先制した後チームとしてボールをキープして攻めることができなくなってしまいましたが、これから先も、中島・大迫両選手がいない状態で重要な試合を戦わなければならないケースが出てくるかもしれませんし、そういう場合は柴崎選手が中心となって日本の攻撃を組み立てて欲しいです。
このゲームで失点した後、香川・乾両選手が投入されると再び柴崎選手も良いプレーができるようになりましたが、これを見て思ったことは、皆さんロシアW杯での柴崎選手の活躍が目に焼き付いていると思うのですが、それはボールキープ力のある香川選手や乾選手、あるいはダブルボランチを組んだ長谷部選手がサポートしてくれていたから、柴崎選手もあのような活躍が出来たのではないか、ということです。もしそうであるなら、攻撃の中心選手として柴崎選手はまだ「独り立ち」できていないということになりますので、それが今後の課題となるのではないでしょうか。
この試合DFラインを下げすぎていて、ダブルボランチから前のMF4人でつくるラインとの距離が大きく離れ、日本の守備ブロックが間延びしてしまい、広く空いた中盤のスペースを相手のカウンター時に使われてしまいましたから、守備ブロックをコンパクトな状態に保つために、DF陣にバックラインを上げさせるか、それとも低いバックラインに合わせて自分を含むMF陣を下がらせるのか、ゲームキャプテンを任されていた柴崎選手がハッキリとした指示を出して欲しいです。

山口選手も、ボランチというチームが攻撃のビルドアップしていく時に中心となるべきポジションを任されているのにパス受けの動きが足りなさすぎますし、攻撃面でほとんど貢献できていません。個の能力が高いコロンビアの選手が相手で、得意はなずの対人守備でも一対一で競り負ける場面もありました。

堂安選手は、強引なドリブルから盛んにシュートを打っていきましたがほとんどがワクを外れていき、ゴールという結果が出ませんでした。ミドルシュートを打つことが間違いということではありませんがアイデアが不足しており、相手も堂安選手が次にどういうプレーをするのか予測しやすく、それが結果につながらない原因のように思います。
ペナルティエリアの直前までドリブルしてしまうと、相手もバックラインを下げてウラのスペースが狭くなり、相手バックが2~3人いる前からミドルシュートを打つというワンパターンの選択肢しか無くなってしまいます。
オフサイドにならずに相手DFラインのウラでボールを持ち、相手GKと一対一の形をつくればゴールできる確率が一番高くなりますから、まずはそういうプレーを狙うべきでしょう。
例えば、右サイドでボールを受けてカットインドリブルを始めたら、相手DFラインのウラにスペースがあるうちに、ダイアゴナルランした味方(この試合で言えばトップの鈴木選手や南野・中島選手)にスルーパスを出してゴールを決めさせたり、逆にバイタルにいる南野選手や鈴木選手にいったんボールを預け、スルーパスをだしてもらってウラへ抜けだした堂安選手が相手GKとの一対一を制して決めるといった、コンビネーションプレーをもっと磨いていくべきです。
ゲーム前やゲーム中にチームメイトとそうした共通理解を深める必要がありますし、クラブでもウラへ抜けるマヒにスルーパスを出してゴールを決めさせたり、逆に自分がマヒからスルーパスをもらってゴールを決めたりするプレーを増やしていけば、相手も堂安選手のプレーを絞りづらくなって、カットインドリブルからのミドルシュートというプレーも生きてくると思います。

南野選手も、強引にゴリゴリシュートを打っていきましたが精度に欠けました。昨年秋のテストマッチでは彼の非常に正確なシュートに感心していたのですが、最近は結果を出すことに焦っているのか、ゴールや相手GKの位置を確認する余裕がなく、シュートも不正確になっているように見えます。
ワントップに入る選手や中島・堂安両選手にスルーパスを出してゴールを決めさせるなど味方とのコンビネーションを高め、攻撃のバリエーションを増やしていくことで、自分のゴールという結果にもつながっていくと思います。
また、中盤での攻撃のビルドアップにもどんどん参加して、チームがスムーズに攻撃できるようにして欲しいです。それによって自分のシュートチャンスも増えることになります。

 いつものように名前の挙がらなかった選手は及第点の出来か、プレー時間が短く評価の対象外ですが、鈴木・小林・鎌田そして香川選手はもうちょっと長くプレーを見たかったですね。


    ☆       ☆       ☆


 森保監督の戦術面では、南野選手のゼロトップは試みとして面白いと思いました。今後も機能するかどうか試していく価値は十分あると思います。

ただ、中島選手や大迫選手がいないとチームとしてボールをキープして攻撃することができなくなってしまうというアジアカップで露呈した課題が依然解決されていません。

この試合ではコロンビアのケイロス監督の采配によって、攻撃力はめっぽう高いものの守備が得意とは言えない中島選手のいる左サイドを後半になって集中的に攻撃されると、中島選手のドリブルが封じ込められるという形で、攻められっぱなしだったアジアカップのサウジ戦と同じような状況を招いてしまいました。

そしてこれが冨安選手のハンドを誘発してこの試合の勝負を分ける分岐点となりました。

昨年秋のウルグアイ戦後の記事でも、森保ジャパンは攻守のバランスが取れておらず、守備力が不足していると指摘しましたが、コロンビアのように攻撃力の高いチームに中島選手のサイドを攻撃されたらどうすべきか、それが解決すべき新たな課題となりました。

一つのソリューションとしては、中島選手が守備力をアップさせることを待つこと。

もう一つは、彼の守備の負担が軽くなるようなフォーメーションを用意することです。

例えば、W杯のグループリーグでフランスやベルギーのような強豪チームと当たってどうしても負けたくない、守備重視で最低でも勝ち点1が欲しいというゲームについては次のようなシステムにするのも一つの案でしょう。




 ▲5-3-2



      ▲大迫    ▲南野
             (堂安)
            

          ▲中島
 

    
       ▲小林   ▲遠藤


   
  ▲長友 ▲冨安 ▲吉田 ▲昌子 ▲酒井


    ☆       ☆       ☆


 コロンビアとのテストマッチを0-1で落としてしまったという結果については残念でしたし、試合内容も、特に攻撃面で工夫やアイデアに乏しく、強引なドリブルをゴリゴリ仕掛け、遠目からミドルシュートを打っては外すという単調な攻撃が多かったように思います。

中島選手や大迫選手がいなかったり、ポストプレーなどの得意なプレーが相手の対策によって封じ込められてしまうと、日本代表はチームとしての攻め手を失ってしまうというアジアカップで露呈した課題がこのゲームでも解決されず、それが敗因となってしまいました。

コロンビアが「中島封じ」として、日本の左サイドを集中攻撃してきても、ダブルボランチを中心に攻撃をビルドアップして中央や右サイドから反撃できれば、この試合の結果も違っていた可能性がありますが、防戦一方となって相手の波状攻撃に我慢しきれず、冨安選手のハンドを誘発してそれが決勝点となってしまいました。

このゲームのあと、「コロンビアに善戦した」ということで一部のメディアやサポーターに満足感が漂っているようですが、個人的には違和感を覚えます。

「強豪に善戦したけど結局は負けた」というのは、1998年フランスW杯に出場した第一期岡田ジャパンからベルギーに負けた昨年のロシアW杯までずっと経験してきたことですし、「もうそれで満足する時代は去った。日本代表選手のほとんどが欧州でプレーしている今、もう次のステップに進むべきだ」というのが自分の考え方です。

昨年秋のウルグアイ戦のあと、あるサッカー系の掲示板に、日本代表の勝利に気持ちよく酔いたいんだからヤボなこと言うなといわんばかりに、「テストマッチだからウルグアイに4-3で勝ったことを額面通りに受け取れない」という意見に対する批判が書き込まれていましたが、サッカーというスポーツにおいて、W杯のような公式戦と単なるテストマッチ、ホームとアウェーの区別をつけずに、ぜんぶ一緒に考えていると、とんでもない勘違いをする可能性があります。

コロンビア代表の両サイドバックは国内リーグでプレーしているので、時差がバリバリある地球の裏側から日本にやって来てプレーしているはずで、マッチアップした中島・堂安両選手がドリブルでゴリゴリ行けても、それはある意味当然と言えます。

逆に、もし日本がW杯の南米予選に参加して、アウェーのバランキージャで本気のコロンビアと対戦した時、森保ジャパンがこのゲームと同じレベルのプレーしかできないならば、例え大迫・吉田選手を加えてフルメンバーでぶつかっても、手も足も出ずに0-3の完敗を喫する可能性があります。

そうした意味で、「捉え方によっては危険」とこのゲームを評価し、「今言えるのは、自分たちが良い勝負を演じていることに満足するレベルではないということ」というコメントを試合後に残した柴崎選手と、私はまったく同じ意見です。

〈了〉



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