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■有望な若手選手にチャンスを与えることの大切さ

 インドネシアで行われた東アジア大会で、海外組抜き、Jリーグ開催中なので国内組も自由に招集できないという悪条件なかでU-21日本代表が準優勝を果たし、さらに先日のコスタリカとのテストマッチで、中島・南野・堂安選手らが大活躍したことで、有望な若手にチャンスを与えて実戦を経験させることの重要性を、日本サッカー界は再認識したと思います。

中島選手や堂安選手にチャンスが与えられたことで、まだA代表に呼ばれていないリオ世代・東京世代の選手たちもモチベーションがグッとあがり、まずはクラブのゲームで結果を出すぞとさぞ気合が入ったことでしょう。

国別代表ですから本来あり得ない話ですが、東アジア大会に臨む日本代表監督に、世界トップレベルの外国人選手を招集する特例が認められていたとしたら、監督としての自分のクビが危なくなってくれば来るほど、優秀な外国人選手に頼りたくなるのが人情というものです。

もし森保さん以外の人が東アジア大会の日本代表を率いる監督だったとして、アジア最弱レベルのネパールとの初戦が“しょっぱい”1-0の試合に終わり、サポーターやマスコミからさんざん叩かれた後で、グリーズマンやモドリッチ、ムバッペ、エデン・アザール、デブライネやウムティティを使えるのだとしたら、次のパキスタン戦以降、彼らをスタメンから起用する誘惑に負けてしまい、若手の日本人選手をベンチに引っ込めてしまう人が大半だと思います。

そうなれば実戦を通じて前田・岩崎・立田・板倉ら若手日本人選手たちの、あの成長はありえなかったわけです。

優秀な外国人選手をそろえた日本代表が例え東アジア大会で金メダルが取れたとしても、それが日本サッカー界の強化につながるでしょうか。

それはコスタリカとのテストマッチでも同様です。

ましてや外国人選手を使うことがルールで認められていて、しかも代表監督よりも成績不振で頻繁にクビを切られることが多いクラブチームの監督さんの場合、自分のチームに優秀な外国人選手がいれば、経験の浅い若手日本人選手よりも優先してスタメンで使う人が圧倒的だと思います。

だから私は、Jリーグの外国人枠完全撤廃には反対なわけです。

もちろん、優秀な外国人選手がJリーグに来ることで、日本人選手が好影響を受けてレベルアップするというのはありますし、実際、1990年代初めのJリーグ発足からそれを目にしてきました。

しかし、優秀な日本人プレーヤーがどれくらい生まれてくるかは、日本のサッカー選手全体のピラミッドの“すそ野”がどれくらい広く大きいかにかかってくるでしょうし、実際の試合でプレーする日本人選手数が少ない状態で、その頂点にいる一部のエリート選手を強化しても、日本サッカーの真の強化にはつながらないと考えます。例えそのエリートたちが優秀な外国人選手から良い影響を受けたとしても。

ちょっと前に、ヴィッセル神戸がJリーグの試合中、ピッチ上の11人のうち6人が外国人選手だった時間帯があったそうで、外国人枠の撤廃をきっかけに、他のクラブでも同様の例が続出するようであれば、日本サッカーの危機だと思います。

J1・J2・J3合わせてJリーグ会員クラブは確か54だったと思いますが、もしすべてのクラブがスタメン11人のうち6人を外国人にすると、54×6=324で、324人もの大量の日本人サッカー選手が自国リーグでプレーし、実戦を通じてサッカー選手としての能力を高めるための経験をするチャンスを失います。

1000人のサッカー少年たちがいたとして、そのうち何人がJリーグでプレーできるプロサッカー選手になれるのかを考えてみても、こうした状態が日本サッカーの強化に悪影響を与えないはずがありません。

正確なデータを持っていないのですが、仮に1000人の子供たちから1~2人がプロサッカー選手になれたとして、300人以上の日本人選手が出場チャンスを失うことになるわけです。

Jリーグは各クラブが保有できる外国人選手数を無制限とすることも検討しているようですが、経営がおもわしくないJ2クラブが日本人選手を切る代わりに年俸が安くて「コスパの良い」外国人選手を大量に獲得し、全登録選手30人のうち、外国人選手25人・日本人のプロA契約の選手が5人というところが現れるかもしれません。やはりそれも日本サッカー界の危機です。

セリエAでもプレミアシップでも、外国人枠が撤廃されてスタメン11人全員が外国人選手というクラブが現れるに至ったことが、イタリア・イングランド両代表の強化の足を引っ張ったことは明らかでしょう。

ですからJリーグの外国人枠に関して言えば、外国人3人+アジア枠等1人の計4人までが同時にピッチ立てる状態が、外国人選手をJリーグに受け入れるメリットが若手を含む日本人選手の出場機会を奪ってしまうデメリットを上回るギリギリのところではないかと考えます。

クラブが契約できる外国人選手数にも一定の歯止めをかける必要があります。

そういうわけで、いまJリーグが検討している外国人枠の完全撤廃ですが、日本サッカー協会の関塚技術委員長は9月12日に開催された技術委員会で反対と明言し、私も関塚さんを強く支持したいと思います。

Jクラブでも反対の声があがっているそうで、日本サッカー界に良識派がまだまだ多いということであれば勇気づけられますね。

これに関連して「外国人枠撤廃で日本人選手が育たなくなるは本当か」という、外国人枠の撤廃について賛成なのか反対なのか結論が書かれていないので何が言いたいのかよくわからないプロの記者が書いた記事を最近読んだのですが、記事のタイトルと内容から、その記者さんは外国人枠の撤廃に賛成していると判断して言わせてもらうと、

レベルの高い外国人選手がJリーグに来ることで、チームメイトとしてレベルの高いプレーを間近で見られることで得られる好影響であったり彼らと競争したりすることで、日本人選手もレベルアップするのだから(だから外国人枠の撤廃に賛成なのだ)と言いたそうな内容でした。

私は以前の記事で外国人枠の完全撤廃に反対したわけですが、「外国人選手を全員Jリーグから追い出せ」と言っているわけではありません。Jリーグ発足以来、質の高い外国人選手がやってきたことで日本人選手のレベルアップにつながったことは前述したように良くわかっていますし、神戸のイニエスタのプレーはサポーターばかりでなく多くの日本人指導者や選手たちに、ほんとに良く見てもらいたいです。

フリーで味方からパスを受けるときに、ゴールに背を向けるのではなく半身になって受けてすぐ前を向くという基本をおろそかにしないところなどは特に。

しかし、日本人はどうも極論から極論に触れるというか、「組織戦術は選手の個性をダメにする」と言われたジーコジャパンの「個の自由」以降、「個か組織か」という極端な二者択一の議論が起こります。

過去記事をあさってもらえばわかると思いますが、私の考え方は「世界トップレベルには達していない日本人選手の個の能力を引き上げるには時間がかかる。だからといってその間日本代表がなすすべなく負け続けても良いはずがないので、組織戦術で個で劣勢なのをカバーして勝ちつつ、個の能力を引き上げていく」というものでした。

西野ジャパンが個の能力でトップレベルのベルギーにあれだけやれたのは、チーム組織を大事にしたこと、多くの日本人選手が欧州クラブへの移籍で個の能力をアップさせ、ベルギーの選手との差をいくぶんか縮められたこと、その相乗効果があったからだと思います。

ところが「個か組織か」という論争が起きていた当時、「組織で個が劣勢なのをカバーできるはずがない」という主張の方が大勢でしたし、そのような主張をする人たちは、組織の重要性を訴える人たちを「組織力さえ高めれば、個の能力が低くても問題ないと考えている人たち」と誤解しているようでした。

さらに2014年ブラジルW杯でザックジャパンが敗退すると、「ザックジャパンはポゼッションサッカーのせいで負けた」という主張が日本サッカー界で圧倒的に増え、またしても「ポゼッションか、カウンターか」という極端な論争が巻き起こります。

私の立場は、「どちらの戦術も必要。ピッチ内のシチュエーションに応じてポゼッションとカウンターを使い分けていくべき」というもので、今もそれは変わっていませんが、「ポゼッションサッカーは諸悪の根源、カウンターサッカーこそ正義」みたいな主張が大勢となり、ハリルジャパンの誕生へとつながっていきました。

このように、「個か組織か」「ポゼッションかカウンターか」みたいな、極端な二者択一論が起こるたびに辟易させられるのですが、私は「外国人枠を完全撤廃してスタメン全員を外国人にするのを許容するか、それともJリーグからすべて外国人選手を追い出すべきか」という二者択一を主張しているのではなく、「Jリーグの各クラブに外国人選手をどれくらいの人数プレーさせることを認めるのか、程度の問題だ」と言っているのです。

その記者さんの記事では、外国人を多く使っても神戸では若い選手が育っていると主張していましたが、外国人枠の完全撤廃による弊害が現れてくるのはそれが実施されてから年単位である程度の時間がたってからでしょうし、撤廃する前である神戸の例を出してみても、日本人選手が育たなくなることの証拠にはなりません。

ブラジルW杯で優勝したドイツ代表も証拠としてあげておられましたが、外国人枠を完全撤廃してスタメン全員が外国人であるクラブが現れたイタリアやイングランドが何の問題もなかったという実例を自分の意見が正しい根拠として出すのであればともかく、ブンデスリーガでは「ドイツ国籍を持つ12人を、しかもそのうち6人はクラブの地元で育成された選手を登録しなければならない」という外国人枠撤廃の弊害をマイルドにするための対策が取られているのでむしろ話が逆ではないでしょうか。

イタリアにしろイングランドの代表チームにしろ、自国クラブでプレーできる外国人選手数を適切に抑えれば、今よりもっと強くなっているのではないでしょうか。

欧州各国リーグでプレーする日本人選手が増えましたが、裏を返して言えば、その分、地元選手の出場機会は確実に無くなっているということですから。

 最後にまとめますが、これまで述べてきた理由によって当研究所はJリーグの外国人枠完全撤廃には反対ですし、もしそれをやってしまうと、チーム組織は選手の個性をダメにするというジーコジャパン時代の「個の自由」、「ブラジルW杯でザックジャパンが負けたのはポゼッションサッカーのせい」という誤った分析から誕生した、バックからトップの大迫選手にひたすらロングボールを放り込むハリルジャパンの「タテに速いサッカー」に続く、天下の愚策になりかねないと思います。

外国人選手をJリーグに呼ぶメリットがデメリットを上回るのは、1試合に出場できる非日本人選手が1クラブ4人までではないかと思います。

Jリーグのレベルをアップさせ人気を高めるために、外国人枠の完全撤廃という話が出てきたのでしょうが、もちろんJリーグがいつか世界最高峰のサッカーリーグになってくれることを望んでいますけど、日本人選手のレベルアップによってそれが達成されなければ意味がありません。

Jリーグ各クラブが世界トップレベルのサッカーを見せてくれることが理想ですけど、そうじゃないからといって必ずしもサポーターが逃げてしまうということでもないと思います。

(これも程度の問題で、あまりに低レベルのサッカーだとそっぽを向かれるでしょうが)

ポゼッションサッカーがどちらかというと好みである私が世界最高レベルのサッカーを見たいなら、日本代表なんか見ずにバルサのサッカーだけを見ますし、指導者・戦術家としてペップ・グアルディオラを尊敬しているので、バルサ→バイエルン→マンチェスター・Cと彼の率いるチームだけを追っかけたかもしれません。

しかし25年以上も日本代表を追っかけてきて、こうして代表戦のレビュー記事をこのブログで13年書いてきた理由は、何といっても私が日本人だからで、日本人としての「地元愛」からです。

夏の甲子園では秋田の金足農業が大きな話題となりましたが、高校野球が根強い人気を保っているのも、プロ野球よりプレーレベルが高いからではなくて「俺たち、私たち地元の代表チーム」だからだと思います。

Jリーグ各クラブのサポーターの皆さんが、地元のクラブを応援するのは、やはり自分たち地元の代表であり、地元クラブの育成組織で育ち、成長する過程を見てきた選手がいるからではないでしょうか。

練習場やスタジアムでのプレーを見て、「この若手選手は今あまり注目されていないけど、いずれクラブを背負って立つ主力プレーヤーになる」と予想して当たった時は、結構快感じゃないですか?

しかしどのJクラブも、スタメンの半数以上が世界中からかき集められた外国人プレーヤーとなり、経験の浅い、でも将来の伸びしろがたっぷりある地元クラブの育成出身の若い日本人選手が、自国のトップリーグで実際にプレーするチャンスを奪われるケースが増えれば増えるほど、長い目で見れば、日本サッカー界のためにはならないと思います。

そうした意味において、自分のクラブで育成したラ・マシア出身の選手を主力として、自国リーグやCLで世界トップレベルのサッカーを展開し、代表チームに多くの主力選手を送り込んでスペインの2010年南アフリカW杯優勝に大きく貢献したペップ時代のバルサは、まさに理想的なクラブでした。

最後にペップの言葉で締めたいと思います。

「バルサのカンテラがレアル・マドリード、ビジャレアル、エスパニョールのものより格段に優れているわけじゃない。バルサではそういった選手がトップで起用される。そこで違いが生まれるんだ」




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■森保ジャパン、コスタリカに勝利の船出

 森保ジャパンの船出となるコスタリカとのテストマッチが昨日行われ、日本が3-0で勝利しました。

今回の対戦相手コスタリカ代表は、レアルでプレーするナバス、サントスのルイスらを欠いた1.7軍のような若手主体のチームで来日、それを考慮しても、日本はホームでもアウエーでも勝たなければいけないレベルの相手と見ていましたが、3-0という結果は順当だったと思います。試合内容もまずまず良かったのではないでしょうか。

     ☆       ☆       ☆

 まずチーム全体の組織プレーがどうだったかを見ていきますが、攻撃に関して言えば、初の実戦にもかかわらずなかなか良かったと思います。

パスのテンポが非常に良くなり、フィニッシュにつなげるための攻撃のビルドアップがスムーズになりました。

周囲の選手によるグラウンダーのパスを味方から引き出すための「顔出し」の動きが格段に増え、ボールホルダーも迷いなくフリーの味方へパス出来ていたことがその勝因です。

このパスのテンポを森保ジャパンの攻撃のベースとして、カタールW杯の本番まで忘れずに継続していって欲しいです。

日本サッカー長年の課題であるアタッキングサードにおける相手DF陣の崩しも、中島選手を中心に、南野・堂安選手らがからんでなかなか良かったと思います。

 逆に守備面ですが、相手のボール保持者に厳しく体を当てに行き、何度もボールを奪い返したのは評価できます。

しかし、この試合は森保監督の代名詞ともいえる3-6-1ではなく4-2-3-1(守備時は4-4-2)を使ったのですが、4バックの守備における組織戦術で初歩的ミスが見られました。

コスタリカのボール保持者がサイドにいて、こちらのサイドバック(SB)が応対するためにサイドに寄せたとき、残りのセンターバック(CB)2枚と逆サイドのSB1枚がゴール前から動かないので、相手のボールホルダーがいるサイドにスペースが空くのはもちろん、そちらへ寄せた日本のSBとゴール前から動かないCBの間に広大なスペース(下図の2)をつくってしまっていました。(下図)

悪い形
(クリックで拡大 図は過去記事の使いまわしなので図の2のスペースが空くということが理解できればOK)

今回の相手は個でも組織でも日本より劣る相手だったので事なきを得ましたが、もっとレベルの高い相手だと失点に直結するようなミスです。

また守備ブロックの作り方が甘く、縦にも横にも間延びしていて守備ブロック内に危険なスペースができてしまっているのも問題です。

4バックのゾーンディフェンスで守る場合、MF4人×DF4人で長方形のコンパクトな守備ブロックを形成し、横幅(だいたいペナルティエリアの横幅と同程度)と等間隔で並んでいる4人の選手の距離を変えず、守備ブロック全体で相手のボールホルダーがいるサイドへスライドさせるのが戦術の基本です。(下図)


スライド


その際CBは自分がそれまでマークしていた敵FW等をボールサイドとは反対にいる1つ隣の味方へ受け渡すか、相手のボール保持者が絶対に前方へパスできない状況であればバックラインを押し上げて、相手のFWをオフサイドポジションに置き去りにします。

相手が逆サイドのスペースでフリーになっている選手へサイドチェンジしたら、こちらも守備ブロック全体で逆サイドへスライドします。

こういうゾーンディフェンスの基本はザックジャパン時代はできていたんですがね...。

もしゾーンではなくマンマーク志向で守りたい、CBと逆サイドのSBの3枚のバックをゴール前から動かしたくないならば、相手のボール保持者に応対しているこちらのSBとゴール前にいるCBとの間にできるスペースに、ボールサイドに近いほうのボランチが入ってカバーするべきしょう。(下図)


カバー


おそらく選手たちが、頭の中が3バックの守備戦術のまま切り替えが出来ず4バックをやってしまったのでこういうミスが出たのだと思います。

3バック系のシステム(特にマンマーク志向)は、守備時に3バックとウイングバック(WB)の連動性が低く、サイドにいる相手のボール保持者の応対はWBやボランチが個で対応し、基本バイタルエリア中央から動かない3バックは、WBの背後のスペースをあまりケアしません。

そのスペースはWBが下がって5バックぎみにして埋めるか、WBが敵に抜かれてそのスペースに侵入してきて初めて、3バックのボールサイドにいる選手が応対することになるのですが、そのやり方をゾーンの4バックでもやってしまうと前述のような初歩的ミスになってしまうわけです。

森保監督も、選手たち自身で気づいて修正するのを待つために、あえて試合終了まで放置していたのかもしれませんが、失点に直結しかねないミスなので、どんなに遅くても前半の半分(20分ぐらい)をすぎて修正できないようなら、選手たちに指示を出すべきだったと思います。

 これは以前から再三指摘していることですが、この試合も日本人選手はヘディングの正確性が世界の平均レベルに達していません。フリーでヘディングさせてもらっているのに、敵へのナイスパスになってしまうシーンが多すぎます。

アタッキングサード内はもちろんのこと、自陣やミドルサードでのヘディングパスが80%味方へちゃんと渡るのと、80%相手ボールになってしまうのとでは、試合に勝つ確率が大きく変わってしまうことでしょう。


     ☆       ☆       ☆


 選手個々で特筆すべきは、まず中島選手。ドリブルを中心に高い個人技で前方の敵を個の能力ではがし、シュートにチャンスメークにと大活躍。アタッキングサードにおけるチームの攻撃を活性化させていました。ロシアW杯に臨む日本代表メンバー発表を見た瞬間、私にとって最大の失望は彼の名前が無かったことでした。「日本代表をどう立て直すか?」の記事で、左サイドハーフの代表候補に中島選手を推していたことからもそれがわかると思いますが、もし彼がロシアのピッチに立っていたら日本の成績もまったく違ったものになっていたかもしれません。

南野選手は、バイタルエリアで敵の選手と選手との間のスペースでパスを受けてからのチャンスメークが良かったですし、思い切って相手の股を抜いたシュートからの代表初ゴールも素晴らしかったですね。

佐々木選手は、ゴール前でのヘディングが相手のオウンゴールを誘う幸運に恵まれました。
守備では時間がたつごとに良くなっていったものの、軽いプレーから1対1で抜かれたり、味方からのロングボールを受けようとしている相手選手に対してヘディングを挑んでクリアしようとするのではなく、ボールウオッチャーになって相手に自由なポストプレーを許す場面が見られたことは今後の成長のための課題です。

途中出場の伊東選手は、自分のドリブルでシュートコースを開けて、個の能力で奪った目の覚めるようなゴールが大変良かったです。ただ、シュートコースがやや甘かったのでクルトワやノイヤーあるいはナバス・レベルのGKだとセーブされていた可能性があります。世界トップレベルのGKからでもゴールできる選手に成長してくれることに期待します。

遠藤選手は守備はまずまず、南野選手へのアシストとなった攻め上がりも良かったのですが、中盤において攻撃を組み立てるときにパスミスが散見されます。パス能力や攻撃の戦術眼を向上させるともっと良い選手になれます。

逆に、槙野・三浦の両選手は、相手のボールホルダーがサイドにいて味方のSBが応対するときに、自分たちとSBとの間に出来る広大なスペースへのケアを怠ったことは、失点にこそつながりませんでしたが大きな問題。

東口選手は、ゴールを空けて前方へ飛び出したものの、ヘディングシュートした相手との競り合いに負け、ボールに触れなかったプレーが一回ありました。GKのミスは失点に直結するので注意して欲しいです。

ここで、インドネシアで行われた東アジア大会で気になった選手を挙げておきますが、個人的にはセンターバックの板倉選手が非常に興味深かったですね。

体が大きくて対人守備で有利な体格に恵まれているのはもちろんなんですが、足元の技術が高く、個の能力で前方の敵選手をはがしてパスが出せそうなところが良いですね。

以前の記事で、「ロシアW杯では日本代表のボランチの守備能力の低さが目立った。今後は『フェライーニに対人守備で勝てる柴崎』を育成するのが日本サッカー界の課題」と指摘しましたが、板倉選手に、五輪代表やA代表の場で守備はもちろんパス能力や攻撃における戦術眼が高まるように育成していけば、日本サッカー界待望の「対人守備に強く、足元も上手くて高い攻撃能力を持った大型ボランチ」に成長してくれる可能性があります。

いかがでしょうか森保監督?

ただ、186㎝と身長に恵まれていても体の線が細いので、フィジカルコンタクトの戦いで世界に勝てるような体づくりが今後必要だと思います。

そうなるとすぐ「筋トレ」という話になるのですが、反則にならないような手の使い方(相手からボールを奪うために手や肩を相手の体の前に入れたり、自分のボールを奪われないように相手の体をハンドオフしたり)を普段の試合や練習からやっていれば上半身もヘトヘトに疲れて、それをユース年代から継続することで必要な筋肉が自然とついてくるのですが、そうではないとすればフィジカルコンタクトの争いが少ないJリーグという環境の問題とも言えます。

     ☆       ☆       ☆

 森保監督のA代表初陣は、勝利という結果は順当なものでしたし、試合内容の方もまずまず良かったと思います。

特に攻撃面では、多くの選手が高い連動性でもって意図の見える攻撃を数多く展開してくれ、テストマッチで久々にワクワクできる、面白いと思える試合を見ることができました。

若い選手の躍動に、日本サッカーの明るい未来への扉が少し開いたように思います。

アジア大会とあわせ、勇気を出して経験の浅い若手選手に試合出場のチャンスを与えることの重要さを、日本サッカー界は理解したのではないでしょうか。

リオ五輪を目指していた選手たちも、五輪予選に専念させリオ五輪が終わったら本格的にA代表に合流させるのではなく、A代表でやれると判断された選手はロシアW杯アジア予選の段階からどんどんチャンスを与えていれば、A代表はもちろん五輪代表もチームが劇的に活性化されたと思うのですが、まあ前の前の監督さんは実績のあるベテラン偏重の選手起用で、初召集したフレッシュな選手も「試合では使わない」と招集発表の記者会見で宣言しちゃうような人でしたから望むべくもありませんでしたが。

来月か、どんなに遅くとも11月までには海外組を呼ばないと、1月のアジアカップに向けたチーム作りが間に合わなくなってしまいますが、実績のあるベテラン選手たちもこの試合の若い選手のプレーに大いに刺激を受けたことでしょう。

まだ森保ジャパンの1試合目ですし、何らかの評価を下すのは時期尚早すぎますが、若い選手が躍動したこの試合をきっかけに日本サッカー界が良い方向へ進んでくれることを祈ります。



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■新生・森保ジャパンの課題

 今回は、2022年カタールW杯(オリンピック信仰が根強いこの日本では2020年東京五輪のほうが現時点で関心が強いみたいですが)に向けて誕生した新生・森保ジャパンの課題について考えたいと思います。

もちろん森保ジャパンの最大の課題は2022年W杯において好成績をあげることですが、それを達成するためには今度こそ、カタールW杯のアジア予選やアジアカップ2019等のような結果が求められる公式戦に勝ちながら代表選手の世代交代を着実に進めていかなげればなりません。

ロシアW杯でベスト16に進出した“ベテラン選手たち”の経験を若い選手へ継承させつつチームを融合させ、ベテラン・中堅・若手のバランスが上手く取れたチームが2022年W杯のピッチに立っているのが理想的な形と言えます。

世代交代の難しさは世界各国共通で、ベテランとなった選手が過去に輝かしい結果を残していれば残しているほど、チームの監督が「あの時の素晴らしいプレーをもう一度やってくれるのではないか?」と強く期待して起用を続け、そのベテラン選手が体力の衰えなどで期待通りの活躍を見せられなかった場合、そのチームには「敗北」という結果と「実戦経験の不足した若手選手たち」が往々にして残されることになります。

近年で言えばオランダ代表やイタリア代表がその典型であり、ロシアW杯で言えばドイツ代表が期待外れの結果に終わった大きな原因の一つが、特に攻撃の選手における世代交代の失敗にあったと思います。

クローゼの後継者を見つけられず、ロイスやゲッツェの伸び悩みもあり、レーブ監督もミュラーやエジルなど2010年南アフリカW杯から攻撃の主力を担っていたプレーヤーを「2014年ブラジル大会における輝かしい活躍をもう一度見せてくれるのではないか」と期待して起用したんでしょうが、グループリーグ敗退というよもやの結果に終わりました。

かくいう日本代表も、これまで輝かしい実績を残してきた本田選手が攻撃の選手として90分間プレーするクオリティにないということに西野さんが気づいたのは、彼を右ウイングからトップ下に戻しても連敗を続けていたW杯直前のテストマッチの段階だと思います。

それくらい、輝かしい過去を持つベテラン選手の衰えを見極めるのは難しいということです。もちろん選手本人がそれを認めることは絶対にありません。

西野さんの前の監督は、選手の育成や世代交代も含む「長期的な視野に立ったチーム作り」という発想がほとんどなく、目先の一試合に勝つために、過去の実績を最優先にしてスタメンを決めていたためにどうしてもベテラン偏重の選手起用となり、大会前にサポーターから「おっさんジャパン」と揶揄されるようなチームを西野さんは引き継ぐことになってしまったのです。

特にGKとセンターバックのポジションで、高齢化と若手選手(しかし世界基準ではそれほど若いわけではない)の国際経験不足が深刻な問題となっていました。

森保監督は、世代交代に関して「ポジションは実力で奪うもの」と言っていますが、特にGKとCBのポジションについて「A代表でやれる実力がある」と判断した選手は東京五輪世代や、さらにその下のカテゴリーからどんどん抜擢して、アジアカップ2019やカタールW杯アジア予選でA代表としてプレーさせながら、東京五輪に備えさせると良いと思います。

上のカテゴリーでの真剣勝負に身を投じることよって実力をアップさせ、その選手が下のカテゴリーである五輪代表に戻ってきたとき、例えばCBなら同世代の敵FWを「軽く」感じることができれば理想的です。

過去の実績や経験の多い・少ないだけを基準にして起用していては、イタリア代表のドンナルンマみたいな選手は絶対に出てきません。

現時点でまだベテラン選手を追い抜く実力がなくても「将来の伸びしろ」が大きいと判断される若手選手は、プレッシャーのかからないテストマッチや、公式戦でもこちらが4点差5点差つけて試合が決まった後にでも交代出場させて実戦経験を積ませてやるような指導者側の配慮も欠かせないでしょう。

そうした意味で森保監督の「選手の将来性についての目利き能力」が問われるところです。

ロシアW杯では日本代表の守備のもろさが改めてクローズアップされたわけですが、GKやDF陣の問題に加え、バックラインの直前に広がるバイタルエリアを担当するダブルボランチの守備力の低さが目につきました。

西野さんはロシアW杯に向けたチーム作りに関して、ザックジャパンへの回帰を図ったように思います。

ザックジャパンにおいては、守備でバランスをとる長谷部選手と、中盤の底からボールを散らすことでポゼッションサッカーの要となっていた遠藤選手がダブルボランチを組んでいました。

西野ジャパンでは遠藤選手と似たような役割を大島選手や柴崎選手が担ったのですが、世界を相手にした場合、長谷部選手も含めて対人守備力の不足は明らかで、ベルギー戦ではフェライーニに痛いゴールを浴びる原因ともなります。

ですから日本サッカー界は理想のボランチとして「フェライーニに対人守備で勝てる柴崎」を、長期戦略で育成していかなければなりません。

つまりバイタルエリアでの地上戦でもゴール前での空中戦でも抜群の対人守備能力を誇り、なおかつ柴崎選手みたいに攻めの起点となる気の利いたパスを出せる技術も持った選手です。

守備ではフィジカル能力も大きく関係してきますから、身長はできれば最低でも180㎝以上欲しいところですが、こういう選手が自然に出てくるのを待つのではなく、ある程度の体の大きさを持った選手に、足元のスキルや戦術眼を教えていくような長期の育成戦略が必要です。

森保監督が広島時代に使っていた3-6-1もダブルボランチの一人は、バス展開力はあるが守備力がさほど無いタイプの選手が担っていたわけで、A代表でも3-6-1を使う時にこの問題が解決されない場合、カタールW杯ではロシアW杯でベルギーに負けたのと同じ失敗を繰り返す恐れがあります。

 その、森保監督の代名詞とも言えるシステム・3-6-1についても、一抹の不安を感じています。

西野さんのサッカーを継承する指導者として日本サッカー協会は森保さんを代表監督に据えたのですが、西野さんはかつて広島を率いていたミシャ監督の戦術にルーツを持つ3-6-1でロシアW杯に勝ったわけではありません。

そこで「そもそものボタンの掛け違い」が無ければいいなと思います。

確かに森保監督の3-6-1は成功を収めたのですが、それは、自分たちより個の能力で同等か劣るチームが相手(特にフィジカルコンタクト能力で)、相手チームの守備は、前から厳しくプレスをかけてくることがなく、ボールホルダーが前進した分、一緒に後方にズルズル下がるだけのリトリート戦術が主流、よってフィジカルの戦いが発生しない試合がほとんど、下位チームであっても強豪チーム相手に0-0の引き分け狙いのサッカーをやることを潔しとせず、どんどん攻めてくれる「守備の文化の欠如」などなど、欧州四大リーグと比べてレベルが劣り、特異なサッカー文化を持つJリーグという特殊な環境においてでしか成功が実証されていません。

守備面では、4-4-2でつくるコンパクトな守備ブロックのように、四角いピッチをまんべんなくカバーできればゾーンで守りやすいですし、選手同士も距離的にチャレンジ&カバーがやりやすいです。

しかし3バック(5バック)系のシステムは形がいびつで、3バックの両サイドやウイングバックのところでスペースができ、そこを担当するサイドの選手を中心に個での対応を余儀なくされやすく、一対一のマッチアップがより強調されやすいシステムであるような気がします。

そこで森保ジャパンよりも個の能力(特にフィジカル)で勝っている対戦相手が同じ3-6-1のミラーゲームを挑んできた場合、このシステムを使うアドバンテージはなくなるでしょうし、そういう相手から厳しいプレス守備をかけられるとさらに苦戦すると思います。

アジアレベルまでは問題無くても、一番大切な舞台で欧州・南米などの強豪国と対戦するときになって壁にブチ当たらないと良いのですが。

森保ジャパンの4年間で日本人選手の「個の能力」を世界トップレベルまで持っていけるなら話は別ですが、3バックの両脇にどうしてもスペースが空くのでそこを使われて攻撃されると弱いという構造的な弱点を抱えており、WBを下げて5枚で守る時間が長くなってしまうのであれば、このシステムをあえて使う意味はあまりないような...。

攻撃面では、相手ゴール前に1トップ+2シャドーに加えて両サイドのWBまで押し上げ、5トップのような形で攻めるのもこのシステムの特徴の一つですが、逆にマーカーまでひっぱってきてしまってバイタルエリアが敵・味方の選手で大渋滞、「相手ゴール前に二階建てバスを止める」というマズイ状況を、自らつくってしまいかねません。

(オフサイドにならずに相手DFラインのウラへボールを持った味方が突破した後、中央への折り返しを狙うために、5人の選手がやや遅れてゴール前に飛び込むのであれば問題はありません。最初から相手DFラインとこちらの5トップが横一直線で並んでいるのが問題)

それが「日本式ポゼッションサッカーの欠点」の一つであり、ハリルジャパンがW杯アジア予選でシンガポールやカンボジアに苦戦し、UAEに負けた原因がまさにそれだったというのは、これまでさんざん指摘した通りです。

アジア予選では、「日本からは勝ち点1取れれば十分」と考え、5バック・6バックをゴール前にベタ引きにして、0-0のドロー狙いなんてチームはいくらでもありますからね。

「ブラジルW杯のザックジャパンはポゼッションサッカーのせいで負けた」という誤った分析をして日本サッカーのアイデンティティを全否定していた4年間から、「ポゼッションサッカーとカウンターサッカーを適切に使い分ける」という「正しい道」へ戻ってきたのは大変結構なのですが、特にバイタルエリアやサイドで近すぎる&多すぎる選手同士で細かすぎるパスを回そうとして多くの敵選手までひっぱってきてしまい、自分たちでゴール前のスペースをつぶして攻撃が停滞するという欠点を、日本式ポゼッションサッカーは持っていますので、森保監督も注意していただきたいです。

 なんかネガティブなことばかり書いてしまいましたが、まだ森保監督はA代表を一試合も指揮していないわけですし、彼の代名詞ともいえる3-6-1がアジアはともかく世界レベルでは通用しませんと決めつけるつもりはサラサラありません。

森保監督には自らの戦術を選手たちに浸透させる十分な時間を与えなければなりませんし、彼が抜擢するであろう若い選手たちも、長い目でじっくり育てていく必要があります。

彼の3-6-1システムがこれから受けるであろう試練を予測してみましたが、何か参考になるところがあれば幸いです。

アジアカップ2019や東京五輪、そして最終目標である2022年カタールW杯で森保ジャパンが良い成績を残せることを祈っています。

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 それでは短い話題を二つほど。

Jリーグで外国人枠の撤廃が検討されていますが、絶対に反対です。

スタメン全員が外国人選手というクラブが現れ、選手が自国のリーグなのに出場や成長の機会を失ったイタリアやイングランドの代表チームが衰退したのも、外国人枠の撤廃が大きな原因でしたし、プレミアのクラブに移籍したのに浅野選手や井手口選手が規制を受けてプレーできないように、プレミアリーグが労働ビザの制限を設けて、外国人選手の野放図な流入にストップをかけた結果、ようやくイングランド代表がロシアW杯で4位になるところまで持ち直してきたのです。

イタリアやイングランドがやって大失敗だった外国人枠の撤廃を、いまからJリーグが二周遅れで実施しようなどというのは正気の沙汰ではありません。

むしろ、チームにたった一つしかないポジションであるGKは、公式戦(リーグ・天皇杯・リーグカップ)の半分以上は日本人GKで戦わないといけないみたいな規制をJクラブに取り入れても良いぐらい。

ともかくJリーグクラブの外国人枠撤廃は、組織は選手の個性をダメにするというジーコジャパン時代の「個の自由」、「ブラジルW杯でザックジャパンが負けたのはポゼッションサッカーのせい」に続く、日本サッカーをダメにする天下の愚策になりかねません。

 つづいてフロニンヘンの堂安選手や仙台の西村選手にロシアのクラブからオファーがきているみたいですが、はっきり言っておススメできません。

スペイン・イングランド・ドイツ・イタリアの欧州4大リーグ(2部も含めて)か、フランス・オランダ・ベルギー・ポルトガル等の周辺国リーグ(以上、西側のクラブ)に、自ら売り込みに行った方が良いと思います。

日本人は意外と知らないのですが、ロシアは産油国でありサッカー界を支えるマネーの出どころも最終的には石油や天然ガスの輸出代金です。

ですからサウジリーグのクラブがお金に困って自国選手を外国に売ることがないように、ロシアのクラブも世界の原油価格が高騰している時であればあるほど、西側のクラブからいくら大金を積まれても「売らない」と決断したときは選手を売りません。

それで苦しめられたのがCSKAモスクワ時代の本田選手で、自分のプレーが一番ノリにノッテいる時期に、たとえ四大リーグのビッグクラブからオファーが来ても、「ロシアの監獄」から逃げられないというリスクがあります。

そうした意味で、ロシアのクラブは西側のクラブとは違うロジックで移籍市場を動いているのだということを肝に銘じておく必要があります。

それを納得した上で移籍を決断したとか、西側のクラブからオファーがまったく無かったというのなら別ですが、欧州に行きたいならドイツ-オーストリア-イタリアを結ぶ線から東の国のリーグは、あえて行くメリットを感じません。

プレー環境が整っていて移籍市場の流動性も高い西側のクラブへの移籍が実現できるよう努力した方が良いと思います。特に年齢が若い選手ならなおさらです。




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