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■日本代表、ベネズエラに苦しんでドロー

 昨日、日本代表は大分でベネズエラ代表とのテストマッチを行い、試合は1-1の引き分けに終わりました。

対戦相手のベネズエラは、イタリア・スペイン・イングランドなどでプレーする選手で構成されており、日本との戦力差は、日本のホームで日本の勝利、アウェ-で引き分け程度と評価していました。

(再三指摘している通り、ロシアW杯アジア予選で日本はオーストラリアに1勝1分だったにもかかわらず日本の方が下位になるなど、FIFAランキングは二か国の戦力差を測るのに不正確なものであり、当研究所は全世界の国際Aマッチを集計して作成している独自の格付けを使用しております)

ホームの日本が引き分けてしまったという結果は残念なものでしたし、試合内容の方も相手に対策を練られてそれに苦しみましたね。それがウルグアイ戦のような勝利とはいかなかった原因となりました。

このレベルの相手にホームでこういうゲームをやってしまうと、W杯でベスト8以上を狙うことは難しくなります。

それでは試合内容を詳しく見ていきましょう。


     ☆       ☆       ☆


 まず攻撃面ですが、日本の4-2-3-1に対してぴったりマッチアップするようにベネズエラが4-1-4-1のミラーゲームを挑んできて、日本がボール保持をしている時、中盤でフリーの選手をつくらないような守備をされていました。

それによってパスの出しどころをなかなかつくることができず、パステンポが悪くてスピードに乗った攻撃のリズムを上手くつくらせてもらえませんでした。

長旅の疲れでしょうか、ベネズエラのインテンシティが落ちるにつれ、チャンスをつくれるようになりましたが、自分をマークしている相手をはがしてボールを受ける動きを入れるなど、攻撃のビルドアップ時にはパスの受け方にもっと工夫が必要です。

特にボランチはチームの攻守の要であり、ボールを受ける動きやアイデアが少なすぎました。

自分が本来もらいたいスペースとはいったん逆に動いてマーカーをはがしてから、急反転して半身でボールを受けて前を向いたり、味方がマーカーを引っ張って空けたスペースにもう一人の選手が入ってパスを受けて前を向くような工夫がもっと必要。

ウルグアイ戦では、ボールをバイタルエリアへ個で運ぶ中島選手の抜群のキープ力によって多くのチャンスを作り出しましたが、この試合では相手のプレスをかいくぐってバックやボランチからようやく中島選手にパスをつないでも、ドリブルする中島選手があっという間にベネズエラの選手2~3人に囲まれてしまい、質の高いチャンスをあまりつくれなかった原因となりました。

ウルグアイ戦の記事で、中島選手がバック1枚をドリブルで抜けばGKと一対一になる場面では、他の選手が彼のドリブルコースに入らないでほしいと書いたのですが、3人もの相手に囲まれている状況であれば話は別です。

彼が2~3人の相手を引き付けているということは、他の局面では守備側の人数が足りていないということなので、そういう状況では中島選手をサポートしてパスを受け、別のスペースへ展開すればもっと攻撃がスムーズに行きます。

チーム全体のパスのテンポや攻撃のリズムの悪さが影響して、シュート決定率も落ちてしまった感じです。

迷いなく正しい判断で正確なシュート打つためには、攻撃を組み立てるときのパスのテンポや攻撃のリズムを適切にすることがいかに重要かがわかります。

ウルグアイ戦であまりにも攻撃が上手くいったので、ボールを持った選手が余裕を持ちすぎて、次のプレーをどうするのか、シュートか、ドリブルか、パスかという判断を下すスピードが遅くなったのも攻撃が停滞した原因だったと思います。

 守備に関しては、これまでの試合より少しづつ改善が続いていますが、どういうわけか前半18分過ぎから守備ブロックをつくるだけで相手の攻撃を見ているだけの時間帯がありましたね。それによってベネズエラが攻勢を強め、試合の流れが悪くなってしまいました。

90分間ずっと同じインテンシティでプレスをかけ続けることは難しいのかもしれませんが、前半18分であればまだへたばる時間帯ではありません。中盤でのボールの奪い合いは、サッカーにおけるすべての勝負の基礎ですから、1試合を通してなるべく高いインテンシティを保つ努力をしてほしいです。

また、日本が先制した後にチーム全体がイケイケになってしまったのか、守備陣形が大きくバラけてチームが浮足立った瞬間がありました。相手チームが必死になって反撃してくる中、前半終了5分前という時間帯を考えれば、大きなリスクを冒して追加点を狙うよりも、最低限そのままのスコアで前半を終わらせることを優先させるべきでしょう。

失点シーンは、酒井選手が冷静さを失ってしまいましたね。PKによるゴール以外では、ベネズエラもそれほど良い得点チャンスをつくれていなかったと思います。


     ☆       ☆       ☆


 選手個々で特筆すべき活躍だったのは酒井選手。
ふかさないようにミートに徹したボレーシュートは見事でしたし、サイドでの攻防でも体や手の使い方が上手くフィジカルコンタクトの戦いで強さを見せましたが、PKを与えてしまったのは余計でした。相手選手の前に吉田選手らがいて多少シュートコースが限定されていましたから、あそこまで焦る必要はなかったと思います。彼自身49試合目にして代表初ゴールということで、普段よりも興奮状態にあったのかもしれません。

中島選手は酒井選手の先制点をアシストする正確なプレースキックを見せてくれました。これまでの日本代表ではFK・CK時に山なりのボールや、GKに近すぎるところへ落とすキックが多く、効果的ではないなとずっと思っていたのですが、中島選手の強く鋭く曲がってGKから離れていくクロスは有効です。
流れの中からのプレーでは、ウルグアイ戦での活躍で相手のマークが厳しくなり、ボールを持つとすぐに2~3人に囲まれ苦しみましたね。

冨安選手は、非常に安定したプレーぶりで好印象を受けました。前半11分に味方のミスであわや失点かという場面でゴールからボールをかき出しチームを救いました。このゲームをドローで終えられたのは彼のおかげ。
そのプレーがなかったとしても相手選手との一対一の対応、前方へ出てパスカットするときの判断力、GKにパスコースをつくるための労をいとわない動き、味方の足元に正確にタテパスをつける能力など総じて安定しており、年齢を考えれば今後の伸びしろがうかがえます。これからも先発で見てみたい選手です。

大迫選手は、味方からあまり良いパスが入らず苦しみましたが、パスを受けて反転するプレーや、前半34分の中島選手へのスルーパスのようにチャンスメークは良かったと思います。

 ボランチは現代サッカーでは非常に重要なポジションなので、高いプレー水準を求めていきたいと思います。
逆に柴崎選手は、チーム全体が攻撃のビルドアップに苦しむ状況において自分のマーカーをはがしてボールを受けて前を向く工夫が求められます。
守備面に不安を抱えているのも相変わらずで、前半12分の相手のCKの場面をはじめ、自陣ペナ付近で50/50の浮き球が上がっても自分は決して競りにいかずボールウオッチャーとなってしまう悪癖を何度も見かけます。
同じく前半12分のプレーのように自らのパスミスから相手の反撃を受け、それをノーファールで止められずに相手セットプレーのピンチをつくってしまうなど、守備の不安とともに実戦勘の欠如も感じさせます。移籍も含めクラブでどう出場機会を確保するのか考える時期に来ていると思います。

遠藤選手も柴崎選手と同様に、相手をはがしてボールを受けるための労をいとわない運動量や工夫がもっと必要。
柴崎選手もそうなんですが、ボランチに攻撃面でまず貢献してほしいことは、バックからもらったボールを自分のところでロストしたりパスミスをしたりせず、正確に二列目の3枚につなぐことです。チャンスに前線に出て行ってゴールやアシストをするような攻撃参加のプレーはそれが確実にできてからの話。
後半6分、弱いバックパスが相手へのプレゼントボールになったり、後半33分にも冨安選手へのパスが弱くてもう少しで相手ボールになるところだったりと、基本のインサイドキックが相変わらず弱くて不正確なところが改善されていません。敵味方のプレーへの反応がにぶく棒立ちになってボールが出てから動き出そうとする場面が目立つのも気になります。クラブでレギュラーポジションを失いつつあり奮起が求められます。

佐々木選手は前半11分に、自陣ゴール前においてヘディングでGKにバックパスしようとしたところ弱くなり、相手へのプレゼントボールにしてしまう痛恨のミス。バックヘッドでゴールラインに出してCKへ逃れておけば何でもないプレーだったはずですが、ゴール前にあれだけ敵選手が詰めている状況でゴール中央方向へのヘディングによるバックパスは危機管理策としてあり得ません。パスがズレた、弱くなった、GKとタイミングが合わなかったといったミスがどれか一つでも起こればたちまち失点につながるからです。
タッチライン際で味方からのパスをトラップミスして相手のスローインにしてしまうような代表選手らしからぬイージーミスも散見されます。まだまだ国際経験不足なところがあり、辛抱して起用してあげる必要がありそうです。

堂安選手は、前半26分の惜しいチャンスを筆頭に、決して悪いプレー内容だったわけではないのですが、やや個人技でゴールを狙いすぎたでしょうか。
もちろんシュートが打てると判断したときのファーストチョイスはシュートで、それができないときに始めてドリブル突破やパスという選択肢が出てくるのであって、そういうプレー選択の仕方は継続していってほしいです。
これまでの日本人選手は、ゴール前でパスの出しどころが無くなってようやくシュートを打つようなところがあり、そのような消極性がないところが堂安選手や中島選手ら若い世代の良いところなのですが、周りの味方を生かしてゴールさせるプレーも高めていけば、決定機に自分のプレー選択の幅が広がり、守備側が次のプレーを予測することが困難になって自らの得点力も高まります。
堂安選手はアシストにつながるようなパス能力をもっと高められますし、ワールドクラスのプレーヤーになるためにそれも今後の課題です。



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 ベネズエラとのテストマッチは、日本のホームで引き分けられたという結果は残念でしたし、試合内容も、こちらの攻撃を研究されて対策を立てられたことで、ウルグアイ戦ほど上手くいきませんでした。

こうした状況になっても、ピッチ上の選手たちが自分たちの頭で考えて、解決策をあみだして困難な状況を打破していってほしいです。テストマッチとは違い、アジアカップやW杯の予選といった公式戦は、対戦相手は日本研究を必ずやってきますから。

 最後に余談ですが、大分スタジアムはアクセスに不安があるのは2002年W杯からわかっていましたし、普段のJ2大分の試合ならいざ知らず、渋滞に巻き込まれて代表チームのスタジアム入りが試合直前ギリギリだったというのは、JFAを含めた運営側のおそまつだったのではないでしょうか。




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■森保ジャパン、11月シリーズの課題

 今回は来年1月に行われるアジアカップを前にした最後の日本代表テストマッチである11月シリーズ(16日 対ベネズエラ 20日 対キルギスタン)における、森保ジャパンの課題について考えてみます。

先月のウルグアイとの試合に限って言えば、攻撃の形はある程度できていました。

特に中島・堂安・南野ら「高い個の能力」を持った選手たちが、日本のパスサッカーをワンランク上のレベルへと引き上げてくれて、それが先制点と2点目につながったことは大変素晴らしかったですし、3点目と4点目は相手陣内でボールを奪い返してのショートカウンターからのもので、攻撃の使い分けという意味でも良かったと思います。

問題は3失点した守備。
 
ダブルボランチから後ろのポジションには、課題が多く出ましたね。

このあたりをどう修正していくか、これが11月シリーズにおける森保ジャパンの課題になっていくと思います。

 まずGKですが、G大阪の東口選手がケガをしてしまい、今月の代表戦に出られるのか不透明になっていることも併せて、国際経験豊富なゴーリーの層が薄いという状況は変わっていません。

センターバック(CB)も層の薄さは同様ですが、10月のテストマッチ・パナマ戦に出場したシントトロイデンの冨安選手に個人的に注目しています。

世界に引けを取らない体の大きさは魅力ですし、動きが鈍くてキックの精度が低いというこれまでの体が大きい日本人選手にありがちなところもありません。

むしろスピードやアジリティは高い方に見えますし、フィード能力など足元の技術も良いものを持っていると思います。

ポジショニングや読み・相手との駆け引きなど、まだ粗削りなところもありますが、そこは経験を積んで能力をあげていけば良いわけで、将来の伸びしろは大きいのではないでしょうか。

そんなポテンシャルの大きい彼を、サウサンプトンの吉田選手と組ませてベネズエラ相手にどれだけやれるか、ちょっと見てみたいです。

吉田選手もエールディビジからプレミアへ行った当初は適応に苦しんでいましたが、ファン・ダイク(現リバプール)とコンビを組んでプレーするチャンスを得たことで、彼のプレーをすぐ横で見て盗み、メキメキとCBとしての実力をつけていったという印象を持っています。

それと同様、現役のプレミアCBとコンビを組ませることで、冨安選手が得るものも大きいのではないでしょうか。

ウルグアイ戦で吉田選手とコンビを組んだG大阪の三浦選手も将来有望な若手CBですが、今回は冨安選手に吉田選手と組むチャンスを与えて欲しいと個人的には思っています。

 つづいてサイドバックですが、左・長友、右・酒井の両レギュラーと、スタメンの座をめぐって彼らを追いかける他の選手との差に開きが見られるポジションです。

11月シリーズでは誰が起用されるのか興味深いところですが、キミッヒみたいな例もありますし森保監督がやれると判断されるなら、パッとしない20代後半の選手よりも、東京五輪世代以下の若い選手にチャンスを与えた方が良いかもしれません。

 最後にボランチですが、ウルグアイ戦は堅守の相手から4点も取ったけれど、3点も失ってしまったことが示すように、攻・守のバランスが「攻」の方に偏っていたように思います。

その試合は、遠藤・柴崎の両選手でダブルボランチを組んでいたのですが、二人とも良いプレーはあったものの、守備面で多くの課題が露見しました。

柴崎選手はどちらかというと攻撃的な選手で、相手からボールを奪う能力も含めてもともと守備力が高い方ではありません。ボランチとしての守備機会では「マリーシア」を使ってファールで相手の攻撃を止めるシーンが目立ちます。

その点、遠藤選手により守備的な役割が求められたわけですが、攻撃力をアピールしたかったのか、バイタルエリアを空けて攻めあがっていた時間も多く、ウルグアイの3点目は攻めあがった彼が中盤でボールを奪われ、相手のカウンターから失点したものでした。(遠藤選手は、ボールスピードが遅い“ホスピタル・パス”が多いのも気になりますね)

二人とも空中戦に不安があり、前半4分には遠藤選手がゴール前左でデ・アラスカエタにヘディングで競り負け、そのボールが相手選手につながれば失点につながりかねないところでしたし、ロシアW杯では、相手のセットプレーからの失点が課題と言われましたが、ウルグアイの先制(訂正)同点ゴールシーンを始め、この試合でも相手のセットプレー時に多くの決定機をつくられ、前半16分のプレーのように柴崎選手が自分がマークすべき相手に簡単に前を取られてつききれていないシーンも見られました。

セットプレー対策として「自陣でファールをしない」ということが言われていますが、サッカーにおいて自陣でのファールをゼロにすることは現実的な解決策ではありません。

やはりゴール前での空中戦・地上戦でいかに負けないかを考えるべきです。

セットプレーからニア・ファーサイドのどちらにボールが来たとしても、相手に先にボールを触られてしまうと、直接シュートがゴールに向かって飛んでくるのはもちろん、狙ったところに落とされて失点する確率が高まります。

これまでは本田選手がニアサイドに来たボールをたいていは跳ね返してくれていたのですが、森保ジャパンは体が小さい攻撃の選手が多く、相手のセットプレー時の空中戦対策を考慮すれば、ボランチにはある程度の体の大きさがある選手を入れたいところです。(身長が低くても空中戦に勝てるというのであれば文句はないのですが)

柴崎・遠藤両選手に、空中戦でも地上戦でも守備能力の向上を求めたいところですが、それが無理であれば、ある程度の体のサイズ(身長180㎝以上)があって守備力が高いのはもちろん、足元の技術も確かで攻撃の起点になれるようなボランチの選手を、4年先を見越して育てていく必要があると思います。

柴崎選手や川崎の大島選手のように、足元の技術があって攻撃力はあるけれども守備は苦手というタイプのセントラルMFは日本では好まれるようですが、4年後にW杯で当たる相手の攻撃力の高さを考えれば守備力に不安が残りますし、その予兆がウルグアイとのテストマッチで既に見られたことは再三指摘している通りです。

この問題に関しては、ロシアW杯の結果をふまえた森保ジャパンの課題について述べた記事でも取り上げています。

柴崎選手がヘタフェで出場機会に恵まれないのは、ボルダラス監督が同じことを考えているからではないでしょうか。もしそうであれば、柴崎選手があくまでもボランチでのプレーを望むならそれを理解してくれるクラブへ移籍した方が良いように思われますし、それとも自分が勝負すべきポジションを変えていくか、思案のしどころでしょう。

大島選手に関しても、川崎はほとんどの対戦相手に対しボールをポゼッションして試合を有利に進めるため、守備力を厳しく問われる機会があまりないのですが、ロシアW杯前のガーナとのテストマッチでは、非常に申し上げにくいのですが一対一でほぼ全敗でした。

「角を矯めて牛を殺す」ということわざもありますし、苦手な守備力を無理してアップさせようとするよりも、柴崎・大島両選手をもし代表で使うなら守備の負担が少ない、4-2-3-1ならトップ下、3-6-1ならツーシャドーで起用した方が、足元の技術や攻撃力といった本来持っている長所を伸ばしてあげられるんじゃないでしょうか。

 というわけで、森保ジャパンの11月シリーズにおける課題について考えてみました。

国際経験の豊富なGK・CB・SBの層が薄いという問題は一朝一夕には解決しませんし、ボランチの守備力向上も喫緊の課題です。

森保監督が11月シリーズにおいて、それらのポジションに誰を呼ぶか興味シンシンですし、東口・吉田・長友らベテラン勢を脅かす若手選手は誰かという視点で見ると、海外リーグはもちろんJリーグもより面白くなってきますね。



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■せっかく上手くいっている日本の育成を台無しにするもの

 今月行われたウルグアイとのテストマッチでは、中島・南野・堂安ら20代前半の若手選手の躍動は目覚ましいものがありました。

代表でもクラブでも対戦相手に研究され対策を立てられても彼らがそれを克服して成長していけるかどうか、これからが本当の勝負でしょうが、それでもシュート・ドリブル・パスといった足元の技術はもちろん、ゴールチャンスでのプレーの正確性をもたらす精神的な落ち着きなど、これまでの世代に比べ、長年日本サッカーの弱点であった総合的な「個の能力」の部分がアップしているところは間違いないと思います。

現在、U-19日本代表がU-20W杯出場権をかけてアジア予選を戦っていますが、影山ジャパンの各選手も高い技術に加え、フィジカルコンタクトの戦いにも強くなっており、やはり個の能力がアップしてきていると感じました。

先月U-17W杯出場を大会優勝で決めた森山ジャパンもそうですが、いま日本の育成が非常に上手く行っている印象を受けます。

日本の育成が生み出した「ダイヤの原石」たちがJリーグで順調に育ち、いずれは世界的なプレーヤーへと羽ばたいていってくれることを望みます。

ところが、この良い流れに水を差しかねないのが、Jリーグが進めようとしている野放図とも言える「外国人枠の拡大」です。

この問題についての当研究所の考え方は(過去記事・有望な若手選手にチャンスを与えることの大切さ)で述べたとおりです。

現在JリーグはJ1各クラブに外国人の出場枠を「5人」とする案を提示し、今月25日の理事会で決定する方針と報じられております。

上記の記事中にあるように、同時出場可能な外国人(日本代表としてプレーする資格を持たない選手)は4人までとするのが、外国人選手をJリーグに受け入れるメリットが若手を含む日本人選手の出場機会を奪ってしまうデメリットを上回るギリギリのところではないかと当研究所は考えるのですが、Jリーグが言っている「5人」というのは「アジア枠」や「提携国枠」を除いた数字で、実際にはスタメンの過半数をはるかに超える7人以上の外国人が同時にピッチに立てるようにするものです。

Jリーグ側は、若手日本人の出場機会減少というデメリットを緩和するため、13~21歳に下部組織に在籍した選手をJ1クラブは2人以上保有しないといけないとする「ホームグロウン制度」も導入する予定ですが、これでは「ちゃんと努力しましたよ」というアリバイ作り程度で、若手の成長チャンス確保策としては不十分すぎると思います。

Jリーグは「競争力アップのため」と言っていますが、なぜこれほどまでに外国人選手を増やそうと前のめりになっているのか理解できません。

もちろん当研究所が最優先に考えているのは「日本サッカー=(日本人選手)の競争力アップ」ですが、Jリーグの言う「競争力」は別のことを意味しているのかもしれません。

これに関して、外国人選手を多くJリーグでプレーさせて「コンテンツとしての競争力」をアップさせることで視聴者を増やし、それによって投資した資金を早く回収したいJリーグを独占中継しているネット配信会社から要望があり、ヴィッセル神戸のオーナーである三木谷さんも外国人枠の拡大に賛成であるという分析記事を最近読みました。

その記事の内容が事実かどうかはわかりませんが、もしそうであればそれはビジネスの話であって、当研究所が最重要視している「日本サッカー、あるいは日本人サッカー選手の競争力アップ」の話とズレが出てくるのは当たり前ですね。

確かにイニエスタ出場予定試合はどこもスタジアムが満員になっており、Jリーグ側がビジネス面でよだれダラダラになるのはわかるのですが、日本サッカーの競争力アップとは基本的には関係ないですし、行き過ぎた外国人選手枠の拡大策は、才能ある日本の若手選手から試合に出場して成長するためのチャンスを奪ってしまい、これまでせっかく上手くいっている日本の若手育成を台無しにしかねないと思います。

高額の移籍金を払って、ちょっと峠を越えたベテランも含む有名外国人選手をたくさん連れてきさえすれば、その国のサッカー選手の競争力が上がるというものではないということは中国リーグを見ればわかりますし、そもそもJリーグのどのクラブもイニエスタ・クラスの外国人選手を6人も7人も連れてこられる資金力を持っているというわけではありません。

優秀な外国人選手と競うことで日本人選手の競争力がアップするというのが当初の説明だったのに、中途半端な実力の外国人選手ばかりがJリーグに増えてスタメンの過半数がそんな外国人選手で占められ、そのために若い日本人選手から出場機会が失われてしまうのであれば、日本サッカーの強化という面から最悪のシナリオと言えます。

そうなると、優秀な日本人選手は出場機会を求めて19~20歳ぐらいでベルギーやオランダなどの欧州クラブへと移籍し、Jリーグは中途半端な実力の外国人多数と、欧州へ進出する実力を持たない日本人選手、欧州で通用しなくなって戻ってきたベテラン日本人選手で構成される、空洞化したリーグとなってしまう危険性をはらんでいると思います。

そんなリーグは、サポーターにとって「コンテンツ的」に魅力的といえるでしょうか。

当研究所は、代表とJリーグは日本サッカー強化のための車の両輪だと考えているので、そうした事態を懸念します。

ヴィッセル神戸のオーナーである三木谷さんがどれくらいサッカーにお詳しいか存じ上げませんが、確かにイニエスタやファンマ・リージョを連れてきたのはすごいと思いますし、Jリーグに投資してくださって私からも感謝を申し上げたいのですが、高額の移籍金を払って外国人選手・監督を連れてきさえすれば、クラブが強くなるかというと必ずしもそうではないのが現在の神戸ですね。

むしろ神戸はどういうサッカーを理想とするのかというクラブ哲学が先にあって、そのサッカーをやるためにポジションごとにどういう選手を育てていくかを決め、時間とお金をかけてカンテラ(育成組織)を充実させて、幾多の挫折を乗り越えて辛抱強くクラブ哲学を貫いていった先に、常勝軍団・神戸はあると思います。

もし三木谷さんがバルサを理想とされておられるならなおさらですし、そうして育てられた日本人選手と組んでこそ、イニエスタもリージョも最大限の力を発揮できると思います。

 というわけでまとめます。

Jリーグの野放図とも言える外国人枠拡大策は、日本サッカー(=日本人サッカー選手)の強化という観点から見てメリットよりもデメリットの方がはるかに多いように思われますし、せっかく上手くいっている日本の育成を台無しにしかねないと思います。

ここまで「育成日本復活」を掲げている日本サッカー協会(JFA)会長の田嶋さんの顔が全く見えないのですが、JFAはJリーグの外国人枠拡大やホームグロウン制度の問題をもう一度よく検討し直していただきたいです。




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